以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る電子部品接続材料は、バインダー樹脂と、少なくとも外表面がはんだである導電性粒子と、融点が90℃以上、125℃以下でありかつカルボキシル基を有するフラックスとを含む。本発明に係る電子部品接続材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は3重量%以上、40重量%以下である。
本発明に係る電子部品接続材料における上記組成の採用によって、電子部品同士の電気的な接続を良好に行うことができる。融点が90℃以上、125℃以下でありかつカルボキシル基を有するフラックスは、導電性粒子の外表面のはんだや電子部品上の金属配線表面の酸化膜を効果的に排除することに寄与し、更に接続後も耐湿試験等の電気的信頼性への悪影響を抑えることに寄与する。また、導電性粒子の含有量を3重量%以上、40重量%以下に設定することで、異方導電的な接続を行う際に、導電性を保ちながら、配線間のリークを防ぐことができる。特に、銅電極を有する接続対象部材を接続した場合に、導通信頼性を効果的に高めることができる。
さらに、本発明に係る電子部品接続材料における上記組成の採用によって、冷熱サイクル等の熱衝撃が与えられても接続構造体の高い導通信頼性を十分に維持でき、接続構造体における耐熱衝撃特性を高めることができる。
本発明に係る電子部品接続材料は、加熱により硬化可能な電子部品接続材料であることが好ましい。この場合には、電子部品接続材料を加熱により硬化させる際の熱によって、上記導電性粒子における外表面のはんだを溶融させることができる。本発明に係る電子部品接続材料は、光の照射と加熱との双方により硬化可能な電子部品接続材料であってもよい。この場合には、光の照射により電子部品接続材料を半硬化(Bステージ化)させ、電子部品接続材料の流動性を低下させた後、加熱により電子部品接続材料を硬化させることができる。
以下、先ず、本発明に係る電子部品接続材料に含まれている各成分、及び含まれることが好ましい各成分を詳細に説明する。
[バインダー樹脂]
上記バインダー樹脂は、熱可塑性化合物を含んでいてもよく、硬化性化合物を含んでいてもよい。上記バインダー樹脂は、熱可塑性化合物を含むことが好ましく、熱硬化性化合物を含むことが好ましく、熱可塑性化合物と熱硬化性化合物との双方を含むことがより好ましい。電子部品接続材料により形成された接続部と接続対象部材との接着力をより一層高くし、電極間の導通信頼性を高く維持する観点からは、上記バインダー樹脂は、熱可塑性化合物を含むことが好ましい。上記熱硬化性化合物は加熱により硬化可能である。上記バインダー樹脂が熱硬化性化合物を含む場合に、上記バインダー樹脂は、熱硬化剤を含むことが好ましい。
上記熱可塑性化合物としては、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
電子部品接続材料により形成された接続部と接続対象部材との接着力をより一層高くし、電極間の導通信頼性を高く維持する観点からは、上記熱可塑性化合物は、フェノキシ樹脂及びウレタン樹脂の内の少なくとも1種であることが好ましく、上記バインダー樹脂が、フェノキシ樹脂及びウレタン樹脂の内の少なくとも1種を含むことが好ましい。上記バインダー樹脂は、フェノキシ樹脂を含むことが好ましく、ウレタン樹脂を含むことも好ましい。
電子部品接続材料により形成された接続部と接続対象部材との接着力をより一層高くし、電極間の導通信頼性を高く維持する観点からは、上記熱可塑性化合物が反応性官能基を有することが好ましい。上記反応性官能基としては、エポキシ基、エピスルフィド基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、水酸基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、イソシアネート基が挙げられる。上記反応性官能基は、エポキシ基、エピスルフィド基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、水酸基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基又はイソシアネート基であることが好ましい。
上記熱可塑性化合物の分子量は好ましくは5000以上、より好ましくは10000以上、好ましくは50000以下、より好ましくは30000以下である。上記「分子量」は、上記熱可塑性化合物が重合体ではない場合、及び上記熱可塑性化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記熱可塑性化合物が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。また、上記「重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記電子部品接続材料は、加熱により硬化可能な電子部品接続材料であり、上記バインダー樹脂として、上記加熱により硬化可能な硬化性化合物を含むことが特に好ましい。該加熱により硬化可能な硬化性化合物は、光の照射により硬化しない硬化性化合物(熱硬化性化合物)であってもよく、光の照射と加熱との双方により硬化可能な硬化性化合物(光及び熱硬化性化合物)であってもよい。
また、上記電子部品接続材料は、光の照射と加熱との双方により硬化可能な電子部品接続材料であり、上記バインダー樹脂として、光の照射により硬化可能な硬化性化合物(光硬化性化合物、又は光及び熱硬化性化合物)をさらに含むことが好ましい。上記光の照射により硬化可能な硬化性化合物は、加熱により硬化しない硬化性化合物(光硬化性化合物)であってもよく、光の照射と加熱との双方により硬化可能な硬化性化合物(光及び熱硬化性化合物)であってもよい。本発明に係る電子部品接続材料は、光硬化開始剤を含むことが好ましい。本発明に係る電子部品接続材料は、上記光硬化開始剤として、光ラジカル発生剤を含むことが好ましい。上記電子部品接続材料は、上記硬化性化合物として、熱硬化性化合物を含み、光硬化性化合物、又は光及び熱硬化性化合物をさらに含むことが好ましい。上記電子部品接続材料は、上記硬化性化合物として、熱硬化性化合物と光硬化性化合物とを含むことが好ましい。
電子部品接続材料を加熱により硬化させる際の熱によって、上記導電性粒子における外表面のはんだを溶融させることができるので、上記バインダー樹脂は、熱硬化性化合物を含むことが好ましい。上記熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なお、光の照射と加熱との双方により硬化可能な硬化性化合物を用いる場合において、電子部品接続材料を光硬化させないときは、光の照射と加熱との双方により硬化可能な硬化性化合物は、熱硬化性化合物に相当する。
上記加熱により硬化可能な硬化性化合物及び上記熱硬化性化合物の分子量は10000未満であってもよく、5000未満であってもよい。上記「分子量」は、上記加熱により硬化可能な硬化性化合物及び上記熱硬化性化合物が重合体ではない場合、並びに上記加熱により硬化可能な硬化性化合物及び上記熱硬化性化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記加熱により硬化可能な硬化性化合物及び上記熱硬化性化合物が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。また、上記「重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記硬化性化合物としては特に限定されず、不飽和二重結合を有する硬化性化合物及びエポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物等が挙げられる。
上記エポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、レゾルシン型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、アントラセン型エポキシ化合物、アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ化合物、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ化合物、並びにこれらのエポキシ化合物のエポキシ基をチイラン基に置き換えた化合物等が挙げられる。
上記電子部品接続材料の硬化を容易に制御したり、接続構造体における導通信頼性をより一層高めたりする観点からは、上記硬化性化合物及び上記熱硬化性化合物は、エポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物を含むことが好ましい。エポキシ基を有する硬化性化合物は、エポキシ化合物である。チイラン基を有する硬化性化合物は、エピスルフィド化合物である。電子部品接続材料の硬化性を高める観点からは、上記硬化性化合物100重量%中及び上記熱硬化性化合物100重量%中、上記エポキシ基又はチイラン基を有する化合物の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、100重量%以下である。上記硬化性化合物の全量が上記エポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物であってもよい。取り扱い性に優れており、かつ接続構造体における導通信頼性をより一層高める観点からは、上記エポキシ基又はチイラン基を有する化合物は、エポキシ化合物であることが好ましい。
電子部品接続材料の硬化性を高める観点からは、上記エポキシ化合物の含有量は多いことが好ましい。上記熱可塑性化合物と上記熱硬化性化合物との合計100重量%中、熱硬化性化合物であるエポキシ化合物の含有量は好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは20重量%以上である。
電子部品接続材料により形成された接続部と接続対象部材との接着力をより一層高くする観点からは、上記エポキシ化合物の含有量は少ないことが好ましい。上記熱可塑性化合物と上記熱硬化性化合物との合計100重量%中、熱硬化性化合物であるエポキシ化合物の含有量は好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下、更に好ましくは80重量%以下である。
上記エポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物は、芳香族環を有することが好ましい。上記芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、クリセン環、トリフェニレン環、テトラフェン環、ピレン環、ペンタセン環、ピセン環及びペリレン環等が挙げられる。なかでも、上記芳香族環は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であることが好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環であることがより好ましい。また、ナフタレン環は、平面構造を有するためにより一層速やかに硬化可能であることから好ましい。
また、上記電子部品接続材料の硬化性を高め、電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記硬化性化合物は、不飽和二重結合を有する硬化性化合物を含むことが好ましく、(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物を含むことが好ましい。また、本発明に係る電子部品接続材料は、エポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物と、不飽和二重結合を有する硬化性化合物とを含むことが好ましい。上記不飽和二重結合は、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。上記不飽和二重結合を有する硬化性化合物としては、エポキシ基又はチイラン基を有さず、かつ不飽和二重結合を有する硬化性化合物、及びエポキシ基又はチイラン基を有し、かつ不飽和二重結合を有する硬化性化合物が挙げられる。
上記(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物として、(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、又はイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。上記「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基とを示す。上記「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを示す。上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを示す。
上記(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物は特に限定されない。該エステル化合物として、単官能のエステル化合物、2官能のエステル化合物及び3官能以上のエステル化合物のいずれも使用可能である。
上記電子部品接続材料の硬化性を高め、電極間の導通信頼性をより一層高め、更に硬化物の接着力をより一層高める観点からは、上記電子部品接続材料は、不飽和二重結合と熱硬化性官能基との双方を有する硬化性化合物を含むことが好ましい。上記熱硬化性官能基としては、エポキシ基、チイラン基及びオキセタン基等が挙げられる。上記不飽和二重結合と熱硬化性官能基との双方を有する硬化性化合物は、エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ不飽和二重結合を有する硬化性化合物であることが好ましく、熱硬化性官能基と(メタ)アクリロイル基との双方を有する硬化性化合物であることが好ましく、エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物であることが好ましい。
上記エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する硬化性化合物の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を、(メタ)アクリロイル基に変換することにより得られる硬化性化合物であることが好ましい。このような硬化性化合物は、部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物又は部分(メタ)アクリレート化エピスルフィド化合物である。
上記硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と、(メタ)アクリル酸との反応物であることが好ましい。この反応物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒などの触媒の存在下で反応することにより得られる。エポキシ基又はチイラン基の20%以上が(メタ)アクリロイル基に変換(転化率)されていることが好ましい。該転化率は、より好ましくは30%以上、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下である。エポキシ基又はチイラン基の40%以上、60%以下が(メタ)アクリロイル基に変換されていることが最も好ましい。
上記部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、カルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート、及びフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記硬化性化合物として、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有するフェノキシ樹脂の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を(メタ)アクリロイル基に変換した変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。すなわち、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。
上記「フェノキシ樹脂」は、一般的には、例えばエピハロヒドリンと2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂、又は2価のエポキシ化合物と2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂である。
また、上記硬化性化合物は、架橋性化合物であってもよく、非架橋性化合物であってもよい。
上記架橋性化合物の具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記非架橋性化合物の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
さらに、上記硬化性化合物としては、オキセタン化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。
熱硬化性化合物と光硬化性化合物とを併用する場合には、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との配合比は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との種類に応じて適宜調整される。上記電子部品接続材料は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜90:10で含むことが好ましく、5:95〜60:40で含むことがより好ましく、10:90〜40:60で含むことが更に好ましい。
[導電性粒子]
上記導電性粒子は、少なくとも外表面がはんだであれば特に限定されない。上記導電性粒子は、基材粒子と該基材粒子の表面上に配置された導電層とを有し、該導電層の少なくとも外表面がはんだ層である導電性粒子であることが好ましい。上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子ではない基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。電極間を接続する際には、導電性粒子を電極間に配置した後、一般的に導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子であると、圧縮により導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。接続構造体における耐熱衝撃特性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子は、樹脂粒子と該樹脂粒子の表面上に配置された導電層とを有し、該導電層の少なくとも外表面がはんだ層である導電性粒子であることが好ましい。
図1に、本発明の一実施形態に係る電子部品接続材料に含まれている導電性粒子を断面図で示す。
図1に示す導電性粒子1は、樹脂粒子2と、樹脂粒子2の表面2a上に配置された導電層3とを有する。導電層3は、樹脂粒子2の表面2aを被覆している。導電性粒子1は、樹脂粒子2の表面2aが導電層3により被覆された被覆粒子である。従って、導電性粒子1は導電層3を表面1aに有する。
導電層3は、樹脂粒子2の表面2a上に配置された第1の導電層4と、該第1の導電層4の表面4a上に配置されたはんだ層5(第2の導電層)とを有する。導電層3の外側の表面層が、はんだ層5である。従って、導電性粒子1は、導電層3(導電部)の一部としてはんだ層5を有し、更に樹脂粒子2とはんだ層5との間に、導電層3(導電部)の一部としてはんだ層5とは別に第1の導電層4を有する。このように、導電層3は、多層構造を有していてもよく、2層以上の積層構造を有していてもよい。
上記のように、導電層3は2層構造を有する。図2に示す変形例のように、導電性粒子11は、単層の導電層として、はんだ層12を有していてもよい。導電性粒子における導電部の少なくとも外側の表面が、はんだであればよく、例えば、導電性粒子における導電層の少なくとも外側の表面層が、はんだ層であることが好ましい。ただし、導電性粒子の作製が容易であるので、導電性粒子1と導電性粒子11とのうち、導電性粒子1が好ましい。また、図3に示す変形例のように、基材粒子をコアに有さず、コア−シェル粒子ではないはんだ粒子16を用いてもよい。はんだ粒子16は、中心部分及び外表面のいずれもはんだにより形成されている。但し、導電性粒子1と導電性粒子11とはんだ粒子16とのうち、導電性粒子1と導電性粒子11とが好ましい。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成することができ、かつ基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合、上記エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合に、上記基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシル基を2つ以上持つケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記基材粒子の平均粒子径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm以下、特に好ましくは5μm以下である。基材粒子の平均粒子径が上記下限以上であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。基材粒子の平均粒子径が上記上限以下であると、電極間の間隔を狭くすることができる。
上記樹脂粒子の表面上に導電層を形成する方法、並びに上記樹脂粒子の表面上又は第1の導電層の表面上にはんだ層を形成する方法は特に限定されない。上記導電層及び上記はんだ層を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的な衝突による方法、メカノケミカル反応による方法、物理的蒸着又は物理的吸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを樹脂粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、無電解めっき、電気めっき又は物理的な衝突による方法が好適である。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。また、上記物理的な衝突による方法では、例えば、シーターコンポーザ(徳寿工作所社製)等が用いられる。
上記第1の導電層の表面上に上記はんだ層を形成する方法は、物理的な衝突による方法であることが好ましい。上記はんだ層は、物理的な衝撃により、上記第1の導電層の表面上に配置されていることが好ましい。
上記はんだ(はんだ層)を構成する材料は、JIS Z3001:溶接用語に基づき、液相線が450℃以下である溶加材であることが好ましい。上記はんだの組成としては、例えば亜鉛、金、鉛、銅、錫、ビスマス、インジウムなどを含む金属組成が挙げられる。なかでも低融点で鉛フリーである錫−インジウム系(117℃共晶)、又は錫−ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、上記はんだは、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むはんだ、又は錫とビスマスとを含むはんだであることが好ましい。
上記はんだ(はんだ層)の融点は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは160℃以下、より一層好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下である。上記はんだ(はんだ層)の融点は、100℃以上、140℃以下であることがより好ましい。
上記はんだ(はんだ層)と電極との接合強度をより一層高めるために、上記はんだは、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、チタン、リン、ゲルマニウム、テルル、コバルト、ビスマス、マンガン、クロム、モリブデン、パラジウム等の金属を含んでいてもよい。はんだと電極との接合強度をさらに一層高める観点からは、上記はんだは、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム又は亜鉛を含むことが好ましい。はんだと電極との接合強度をより一層高める観点からは、接合強度を高めるためのこれらの金属の含有量は、上記はんだ(はんだ層)100重量%中、好ましくは0.0001重量%以上、好ましくは1重量%以下である。
上記導電性粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に配置された導電層とを有し、該導電層の外側の表面がはんだ層であり、上記樹脂粒子と上記はんだ層との間に、上記はんだ層とは別に第1の導電層を有することが好ましい。この場合に、上記はんだ層は上記導電層全体の一部であり、上記第1の導電層は上記導電層全体の一部である。
上記はんだ層とは別の上記第1の導電層は、金属を含むことが好ましい。該第1の導電層を構成する金属は、特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第1の導電層は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層であることが好ましく、ニッケル層又は金層であることがより好ましく、銅層であることが更に好ましい。導電性粒子は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層を有することが好ましく、ニッケル層又は金層を有することがより好ましく、銅層を有することが更に好ましい。これらの好ましい導電層を有する導電性粒子を電極間の接続に用いることにより、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、これらの好ましい導電層の表面には、はんだ層をより一層容易に形成できる。なお、上記第1の導電層は、はんだ層であってもよい。導電性粒子は、複数層のはんだ層を有していてもよい。
従来、導電層の外側の表面層にはんだ層を有する導電性粒子の粒子径は、数百μm程度であった。これは、粒子径が数十μmであり、かつ表面層がはんだ層である導電性粒子を得ようとしても、はんだ層を均一に形成できなかったためである。これに対して、無電解めっき時に分散条件を最適化することによりはんだ層を形成した場合には、導電性粒子の粒子径が数十μm、特に粒子径が0.1μm以上、50μm以下の導電性粒子を得る場合であっても、第1の導電層の表面上にはんだ層を均一に形成できる。また、シータコンポーザを用いることによっても、粒子径が50μm以下である導電性粒子を得る場合であっても、第1の導電層の表面上にはんだ層を均一に形成できる。
上記はんだ及び上記はんだ層100重量%中、錫の含有量は、好ましくは90重量%未満、より好ましくは85重量%以下である。また、はんだ及びはんだ層100重量%中の錫の含有量は、はんだ及びはんだ層の融点などを考慮して適宜決定される。はんだ及びはんだ層100重量%中の錫の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは20重量%以上である。
上記第1の導電層及び上記はんだ層の厚みはそれぞれ、好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは100nm以上、好ましくは2000nm以下、より好ましくは1000nm以下である。第1の導電層及びはんだ層の厚みが上記下限以上であると、導電性が十分に高くなる。第1の導電層及びはんだ層の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と第1の導電層及びはんだ層との熱膨張率の差が小さくなり、第1の導電層及びはんだ層の剥離が生じ難くなる。
上記第1の導電層は2層以上の積層構造を有していてもよい。上記第1の導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、第1の導電層における最外層の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは25nm以上、特に好ましくは50nm以上、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下である。第1の導電層における最外層の厚みが上記下限以上であると、導電性が十分に高くなる。第1の導電層における最外層の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と第1の導電層の最外層との熱膨張率の差が小さくなり、第1の導電層における最外層の剥離が生じ難くなる。
上記導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは40μm以下である。導電性粒子の平均粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子と電極との接触面積が充分に大きくなり、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、電子部品接続材料における導電性粒子に適した大きさとなり、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
上記樹脂粒子は、実装する基板の電極サイズ又はランド径によって使い分けることができる。
上下の電極間をより一層確実に接続し、かつ横方向に隣接する電極間の短絡をより一層抑制する観点からは、導電性粒子の平均粒子径Cの樹脂粒子の平均粒子径Aに対する比(C/A)は、1.0を超え、好ましくは3.0以下である。また、上記樹脂粒子と上記はんだ層との間に上記第1の導電層がある場合に、はんだ層を除く導電性粒子部分の平均粒子径Bの樹脂粒子の平均粒子径Aに対する比(B/A)は、1.0を超え、好ましくは2.0以下である。さらに、上記樹脂粒子と上記はんだ層との間に上記第1の導電層がある場合に、はんだ層を含む導電性粒子の平均粒子径Cのはんだ層を除く導電性粒子部分の平均粒子径Bに対する比(C/B)は、1.0を超え、好ましくは2.0以下である。上記比(B/A)が上記範囲内であったり、上記比(C/B)が上記範囲内であったりすると、上下の電極間をより一層確実に接続し、かつ横方向に隣接する電極間の短絡をより一層抑制できる。
FOB及びFOF用途向け電子部品接続材料:
本発明に係る電子部品接続材料は、フレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))、又はフレキシブルプリント基板とフレキシブルプリント基板との接続(FOF(Film on Film))に好適に用いられる。
FOB及びFOF用途では、電極がある部分(ライン)と電極がない部分(スペース)との寸法であるL&Sは、一般に100〜500μmである。FOB及びFOF用途で用いる樹脂粒子の平均粒子径は10〜100μmであることが好ましい。樹脂粒子の平均粒子径が10μm以上であると、電極間に配置される電子部品接続材料及び接続部の厚みが十分に厚くなり、接着力がより一層高くなる。樹脂粒子の平均粒子径が100μm以下であると、隣接する電極間で短絡がより一層生じ難くなる。
フリップチップ用途向け電子部品接続材料:
本発明に係る電子部品接続材料は、フリップチップ用途に好適に用いられる。
フリップチップ用途では、一般にランド径が15〜80μmである。フリップチップ用途で用いる樹脂粒子の平均粒子径は1〜15μmであることが好ましい。樹脂粒子の平均粒子径が1μm以上であると、該樹脂粒子の表面上に配置されるはんだ層の厚みを十分に厚くすることができ、電極間をより一層確実に電気的に接続することができる。樹脂粒子の平均粒子径が15μm以下であると、隣接する電極間で短絡がより一層生じ難くなる。
COF向け電子部品接続材料:
本発明に係る電子部品接続材料は、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))に好適に用いられる。
COF用途では、電極がある部分(ライン)と電極がない部分(スペース)との寸法であるL&Sは、一般に10〜50μmである。COF用途で用いる樹脂粒子の平均粒子径は1〜10μmであることが好ましい。樹脂粒子の平均粒子径が1μm以上であると、該樹脂粒子の表面上に配置されるはんだ層の厚みを十分に厚くすることができ、電極間をより一層確実に電気的に接続することができる。樹脂粒子の平均粒子径が10μm以下であると、隣接する電極間で短絡がより一層生じ難くなる。
上記基材粒子(上記樹脂粒子など)及び上記導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。上記基材粒子(樹脂粒子など)及び導電性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
上記電子部品接続材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は3重量%以上、40重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が3重量%以上、40重量%以下であるため、異方導電性的な接続を行う際に、導通性と絶縁性とを両立することができる。上記電子部品接続材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは15重量%以上、好ましくは35重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。上記電子部品接続材料100重量%中の上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子を容易に配置できる。さらに、接続されてはならない隣接する電極間が複数の導電性粒子を介して電気的に接続され難くなる。すなわち、隣り合う電極間の短絡をより一層防止できる。
(カルボキシル基を有するフラックス)
上記カルボキシル基を有するフラックスの融点は90℃以上、125℃以下である。上記フラックスの融点が90℃以上であると、耐湿試験等の電気的信頼性への悪影響を抑えることができる。上記融点が120℃以下であると、フラックスのバインダー樹脂中への溶解力が高くなり、電子部品接続材料全体へフラックスを均一に添加することができる。上記フラックスは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
融点が上記温度範囲にある上記カルボキシル基を有するフラックスとしては、グルタル酸、マンデル酸及び安息香酸等が挙げられる。なかでも、フラックス効果がより一層高く、接続構造体における導通信頼性がより一層高くなることから、グルタル酸又は安息香酸が好ましく、グルタル酸が特に好ましい。
上記電子部品接続材料100重量%中、上記カルボキシル基を有するフラックスの含有量は好ましくは0.5重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。上記カルボキシル基を有するフラックスの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだの表面に酸化膜がより一層形成され難くなり、さらに、はんだの表面又は電極の表面に形成された酸化膜をより一層効果的に除去できる。また、上記カルボキシル基を有するフラックスの含有量が上記下限以上であると、フラックスの添加効果がより一層効果的に発現する。上記カルボキシル基を有するフラックスの含有量が上記上限以下であると、硬化物の吸湿性がより一層低くなり、接続構造体の信頼性がより一層高くなる。
[他の成分]
上記電子部品接続材料は、熱硬化剤を含むことが好ましい。該熱硬化剤は、上記加熱により硬化可能な硬化性化合物及び上記熱硬化性化合物を硬化させる。該熱硬化剤として、従来公知の熱硬化剤を使用可能である。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤、熱カチオン発生剤及び酸無水物等が挙げられる。なかでも、電子部品接続材料を低温でより一層速やかに硬化可能であるので、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤が好ましい。また、加熱により硬化可能な硬化性化合物と上記熱硬化剤とを混合したときに保存安定性が高くなるので、潜在性の硬化剤が好ましい。潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。これらの熱硬化剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なお、上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記熱カチオン発生剤としては、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤及びスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
フラックス効果をより一層高める観点からは、上記熱硬化剤は、熱カチオン発生剤を含むことが好ましい。上記電子部品接続材料は、熱カチオン発生剤を含むことが好ましい。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記加熱により硬化可能な硬化性化合物100重量部及び上記熱硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下、更に好ましくは75重量部以下である。熱硬化剤の含有量が上記下限以上であると、電子部品接続材料を充分に硬化させることが容易である。熱硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の熱硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
上記熱硬化剤が、熱カチオン発生剤を含む場合に、上記加熱により硬化可能な硬化性化合物100重量部及び上記熱硬化性化合物100重量部に対して、上記熱カチオン発生剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。上記熱カチオン発生剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続材料が充分に熱硬化する。
上記電子部品接続材料は、光硬化開始剤を含むことが好ましい。該光硬化開始剤は特に限定されない。上記光硬化開始剤として、従来公知の光硬化開始剤を使用可能である。電極間の導通信頼性及び接続構造体の接続信頼性をより一層高める観点からは、上記電子部品接続材料は、光ラジカル発生剤を含むことが好ましい。上記光硬化開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光硬化開始剤としては、特に限定されず、アセトフェノン光硬化開始剤(アセトフェノン光ラジカル発生剤)、ベンゾフェノン光硬化開始剤(ベンゾフェノン光ラジカル発生剤)、チオキサントン、ケタール光硬化開始剤(ケタール光ラジカル発生剤)、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナート等が挙げられる。
上記アセトフェノン光硬化開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等が挙げられる。上記ケタール光硬化開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
上記光硬化開始剤の含有量は特に限定されない。上記光の照射により硬化可能な硬化性化合物100重量部及び上記光硬化性化合物100重量部に対して、上記光硬化開始剤の含有量(光硬化開始剤が光ラジカル発生剤である場合には光ラジカル発生剤の含有量)は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。上記光硬化開始剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電子部品接続材料を適度に光硬化させることができる。電子部品接続材料に光を照射し、Bステージ化することにより、電子部品接続材料の流動を抑制できる。
上記電子部品接続材料は、フィラーを含むことが好ましい。フィラーの使用により、電子部品接続材料の硬化物の熱線膨張率が低くなる。上記フィラーの具体例としては、シリカ、窒化アルミニウム、アルミナ、ガラス、窒化ボロン、窒化ケイ素、シリコーン、カーボン、グラファイト、グラフェン及びタルク等が挙げられる。フィラーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。熱伝導率が高いフィラーを用いると、本硬化時間が短くなる。
上記電子部品接続材料は、溶剤を含んでいてもよい。該溶剤の使用により、電子部品接続材料の粘度を容易に調整できる。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、メチルセロソルブ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル等が挙げられる。
(電子部品接続材料の詳細及び用途)
本発明に係る電子部品接続材料は、ペースト状又はフィルム状の電子部品接続材料であり、ペースト状の電子部品接続材料であることが好ましい。本発明に係る電子部品接続材料は、導電材料であることが好ましく、異方性導電材料であることがより好ましい。
ペースト状の異方性導電材料は、異方性導電ペーストである。フィルム状の異方性導電材料は、異方性導電フィルムである。異方性導電材料が異方性導電フィルムである場合、該導電性粒子を含む異方性導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されてもよい。
本発明に係る電子部品接続材料は、ペースト状であって、ペースト状の状態で接続対象部材(電子部品)上に塗布される電子部品接続材料であることが好ましい。
ペースト状の上記電子部品接続材料の25℃での粘度は、好ましくは3Pa・s以上、より好ましくは5Pa・s以上、更に好ましくは20Pa・s以上、特に好ましくは50Pa・s以上、好ましくは700Pa・s以下、より好ましくは500Pa・s以下、更に好ましくは300Pa・s以下である。上記粘度が上記下限以上であると、電子部品接続材料中での導電性粒子の沈降を抑制できる。上記粘度が上記上限以下であると、導電性粒子の分散性がより一層高くなる。塗布前の上記電子部品接続材料の上記粘度が上記範囲内であれば、第1の接続対象部材上にペースト状の電子部品接続材料を塗布した後に、硬化前の電子部品接続材料の流動をより一層抑制でき、さらにボイドがより一層生じ難くなる。
本発明に係る電子部品接続材料は、銅電極を有する接続対象部材を接続するために用いられる電子部品接続材料であることが好ましい。銅電極の表面には酸化膜がかなり形成されやすい。これに対して、本発明に係る電子部品接続材料の使用により、銅電極の表面の酸化膜を効果的に除去でき、接続構造体における導通信頼性を高めることができる。
本発明に係る電子部品接続材料は、様々な接続対象部材を接着するために使用できる。上記電子部品接続材料は、第1,第2の接続対象部材が電気的に接続されている接続構造体を得るために好適に用いられる。
図4に、本発明の一実施形態に係る電子部品接続材料を用いた接続構造体の一例を模式的に断面図で示す。
図4に示す接続構造体21は、第1の接続対象部材22と、第2の接続対象部材23と、第1,第2の接続対象部材22,23を電気的に接続している接続部24とを備える。第1の接続対象部材22と第2の接続対象部材23とは、電子部品である。接続部24は、導電性粒子1を含む電子部品接続材料により形成されている。なお、図4では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。
第1の接続対象部材22は上面22a(表面)に、複数の第1の電極22bを有する。第2の接続対象部材23は下面23a(表面)に、複数の第2の電極23bを有する。第1の電極22bと第2の電極23bとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材22,23が導電性粒子1により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。該接続構造体の製造方法の一例としては、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材との間に上記電子部品接続材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。加熱及び加圧により、導電性粒子1のはんだ層が溶融して、該導電性粒子1により電極間が電気的に接続される。さらに、バインダー樹脂が熱硬化性化合物を含む場合には、バインダー樹脂が硬化して、硬化したバインダー樹脂により第1,第2の接続対象部材22,23が接続される。上記加圧の圧力は9.8×104〜4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
図5に、図4に示す接続構造体21における導電性粒子1と第1,第2の電極22b,23bとの接続部分を拡大して正面断面図で示す。図5に示すように、接続構造体21では、上記積層体を加熱及び加圧することにより、導電性粒子1のはんだ層5が溶融した後、溶融したはんだ層部分5aが第1,第2の電極22b,23bと十分に接触する。すなわち、表面層がはんだ層5である導電性粒子1を用いることにより、導電層の表面層がニッケル、金又は銅等の金属である導電性粒子を用いた場合と比較して、導電性粒子1と電極22b,23bとの接触面積が大きくなる。このため、接続構造体21の導通信頼性が高くなる。なお、加熱により、一般にフラックスは次第に失活する。
上記第1,第2の接続対象部材は電子部品であれば特に限定されない。上記第1,第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記電子部品接続材料は、電子部品の接続に用いられる電子部品接続材料であることが好ましい。本発明に係る電子部品接続材料は、電子部品の電極の電気的な接続に用いられることが好ましい。
上記接続構造体では、上記接続部と上記第1の接続対象部材との接続部分と、上記接続部と上記第2の接続対象部材との接続部分との合計の面積の1/5以上が、電子部品接続材料に含まれている導電性粒子以外の成分により接続されていることが好ましい。言い換えれば、上記接続構造体では、上記接続部と上記第1の接続対象部材との接続部分と、上記接続部と上記第2の接続対象部材との接続部分との合計の面積の1/5未満が、電子部品接続材料に含まれている導電性粒子により接続されていることが好ましい。この場合には、接続構造体の耐熱衝撃特性がより一層高くなる。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
上記第1の電極及び上記第2の電極の内の少なくとも一方が、銅電極であることが好ましい。上記第1の電極及び上記第2の電極の双方が、銅電極であることが好ましい。この場合には、本発明に係る電子部品接続材料によるフラックス効果がより一層得られ、接続構造体における導通信頼性がより一層高くなる。
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
実施例及び比較例では、以下の材料を用いた。
(バインダー樹脂)
熱可塑性化合物1(フェノキシ樹脂、新日鐵化学社製「YP−50(40重量%MEK(メチルエチルケトン)溶液)」)
熱可塑性化合物2(ウレタン樹脂、日本ポリウレタン工業社製「NIPPOLAN 3110(35重量%酢酸エチル溶液)」:「NIPPOLAN 3022(25重量%MEK(メチルエチルケトン)溶液)」=1:1(重量比))
熱硬化性化合物1(エポキシ化合物、DIC社製「EXA−4850−150」)
熱硬化性化合物2(エポキシ化合物、ADEKA社製「EP−4000SS」)
熱硬化剤1(イミダゾール化合物、四国化成社製「2P−4MZ」)
熱硬化剤2(イミダゾール化合物、四国化成社製「2E−4MZ」)
(成分X)
熱カチオン発生剤1(下記式(11)で表される化合物、加熱によりリン原子を含む無機酸イオンを放出する化合物)
熱カチオン発生剤2(下記式(12)で表される化合物、加熱によりアンチモン原子を含む無機酸イオンを放出する化合物)
熱カチオン発生剤3(下記式(13)で表される化合物、加熱によりホウ素原子を含む有機酸イオンを放出する化合物)
(カルボキシル基を有するフラックス)
グルタル酸(融点96℃)
安息香酸(融点122℃)
ドデカン酸(融点45℃)
アジピン酸(融点152℃)
リンゴ酸(融点130℃)
(導電性粒子)
導電性粒子1(はんだ粒子、全体がはんだにより形成されている、錫:ビスマス=43重量%:57重量%、平均粒子径20μm、融点139℃)
導電性粒子2(樹脂コアはんだ被覆粒子、下記手順で作製)
平均粒子径20μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製、ミクロパールSP−220)を無電解ニッケルめっきし、樹脂粒子の表面上に厚さ0.1μmの下地ニッケルめっき層を形成した。次いで、下地ニッケルめっき層が形成された樹脂粒子を電解銅めっきし、厚さ1μmの銅層を形成した。更に、錫及びビスマスを含有する電解めっき液を用いて、電解めっきし、厚さ3μmのはんだ層を形成した。このようにして、樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が形成されており、該銅層の表面に厚み3μmのはんだ層(錫:ビスマス=43重量%:57重量%)が形成されている導電性粒子(樹脂コアはんだ被覆粒子、はんだ層の融点139℃)を作製した。
(実施例1〜17及び比較例1〜8)
下記の表1,2に示す成分を下記の表1,2に示す配合量で配合して、異方性導電ペーストを得た。
(評価)
(1)接続構造体の作製
L/Sが200μm/200μmの銅電極パターンを上面に有するガラスエポキシ基板(FR−4基板)を用意した。また、L/Sが200μm/200μmの銅電極パターンを下面に有するフレキシブルプリント基板を用意した。
上記ガラスエポキシ基板の上面に、作製直後の異方性導電ペーストを厚さ50μmとなるように塗工し、異方性導電材料層を形成した。このとき、溶剤を含む異方性導電ペーストを用いた場合には、乾燥を行った。次に、異方性導電材料層の上面に上記フレキシブルプリント基板を、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電材料層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、フレキシブル基板の上面に加圧加熱ヘッドを載せ、2.0MPaの圧力をかけて、はんだを溶融させ、かつ異方性導電材料層を185℃で硬化させ、接続構造体を得た。
(2)上下の電極間の導通試験
得られた接続構造体の上下の電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。10箇所の接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。上下の電極間の導通試験を下記の判定基準で判定した。
[導通試験の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が8.0Ω以下であり、隣接する電極間でリークしていない
○:接続抵抗の平均値が8.0を超え、10.0Ω未満であり、隣接する電極間でリークしていない
×:接続抵抗の平均値が10.0Ωを超え、隣接する電極間でリークしていない
××:接続抵抗の平均値が8.0Ω以下であるが、隣接する電極間でリークしている
(3)耐熱衝撃試験
得られた接続構造体をそれぞれ20個用意し、−30℃で30分間保持し、次に80℃まで昇温させて30分間保持した後、−30℃まで降温する過程を1サイクルとする冷熱サイクル試験を実施した。500サイクル及び1000サイクル後に、それぞれ10個の接続構造体を取り出した。
500サイクルの冷熱サイクル試験後の10個の接続構造体、並びに1000サイクルの冷熱サイクル試験後の10個の接続構造体について、上下の電極間の導通不良が生じているか否かを評価した。耐熱衝撃試験を下記の基準で判定した。なお、1000サイクルの冷熱サイクル試験後の判定結果は「○」であることが好ましいが、1000サイクルの冷熱サイクル試験後の判定結果が「×」であっても500サイクルの冷熱サイクル試験後の判定結果が「○」であれば、接続構造体は使用可能である。
[耐熱衝撃試験の判定基準]
○:10個の接続構造体全てにおいて、冷熱サイクル試験前の接続抵抗からの接続抵抗の上昇率の平均値が10%以下である
×:10個の接続構造体のうち、冷熱サイクル試験前の接続抵抗からの接続抵抗の上昇率の平均値が10%を超える接続構造体が1個以上ある
(4)23℃での接着性試験
L/Sが200μm/200μmの銅電極パターンを上面に有するガラスエポキシ基板(FR−4基板)を用意した。また、L/Sが200μm/200μmの銅電極パターンを下面に有するフレキシブルプリント基板を用意した。このガラスエポキシ基板とフレキシブルプリント基板とを、縦3mm×横10mmとなるように重ね合わせたこと以外は上記(1)接続構造体の作製と同様にして、接続構造体を得た。
得られた接続構造体における90°ピール剥離力を、島津製作所社製「オートグラフAGS」を用いて、23℃、引っ張り速度50mm/秒にて測定した。
[23℃での接着性試験の判定基準]
○:90°ピール強度が10N/cm以上
△:90°ピール強度が4N/cm以上、10N/cm未満
×:90°ピール強度が4N/cm未満
(5)85℃での接着性試験
上記(4)23℃での接着性試験の評価で得られた接続構造体における90°ピール剥離力を、島津製作所社製「オートグラフAGS」を用いて、85℃、引っ張り速度50mm/秒にて測定した。
[85℃での接着性試験の判定基準]
○:90°ピール強度が4N/cm以上
△:90°ピール強度が2N/cm以上、4N/cm未満
×:90°ピール強度が2N/cm未満
結果を下記の表1,2に示す。
なお、上記(1)接続構造体の作製で得られた接続構造体において、実施例1〜17の異方性導電ペーストにより形成された接続部と上記ガラスエポキシ基板との接続部分と、該接続部とフレキシブルプリント基板との接続部分との合計の面積の1/5以上が、異方性導電ペーストに含まれている導電性粒子以外の成分により接続されていた。比較例4の異方性導電ペーストにより形成された接続部と上記ガラスエポキシ基板との接続部分と、該接続部とフレキシブルプリント基板との接続部分との合計の面積との1/5未満が、異方性導電ペーストに含まれている導電性粒子以外の成分により接続されていた。