WO2022059275A1 - 燃料タンク - Google Patents

Abstract

燃料タンクにおいて、給油口の周囲の部分の強度を簡単な構成で高くできるようにする。　燃料タンクは、燃料を貯留する燃料タンク本体（７０）と、給油口（５０ａ）とを備え、燃料タンク本体（７０）を貫通する開口（７５）が設けられ、開口（７５）を塞ぐ板部材（７１）が燃料タンク本体（７０）に溶接され、前記板部材（７１）の強度は前記燃料タンク本体（７０）の強度よりも高く、給油口（５０ａ）は、板部材（７１）に設けられる。

Description

燃料タンク

　本発明は、燃料タンクに関する。

　従来、燃料タンクにおいて、給油口を形成する口金を燃料タンクの開口に挿入し、口金の外周を燃料タンクの開口に溶接する構造が知られている（例えば、特許文献１参照）。

特開平９－３９８６４号公報

　ところで、燃料タンクでは、給油口の周囲の部分の強度を高くすることが望まれる。
　本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、燃料タンクにおいて、給油口の周囲の部分の強度を簡単な構成で高くできるようにすることを目的とする。

　この明細書には、２０２０年９月１８日に出願された日本国特許出願・特願２０２０－１５７８２３の全ての内容が含まれる。
　燃料タンクは、燃料を貯留する燃料タンク本体と、給油口とを備える燃料タンクにおいて、前記燃料タンク本体を貫通する開口が設けられ、前記開口を塞ぐ板部材が前記燃料タンク本体に溶接され、前記板部材の強度は前記燃料タンク本体の強度よりも高く、前記給油口は、前記板部材に設けられることを特徴とする。

　また、上述の構成において、前記板部材の板厚は、前記燃料タンク本体の板厚よりも大きくても良い。
　また、上述の構成において、前記板部材は、前記開口の周縁部に重ねて設けられ、前記板部材の面において前記周縁部に対し重なる側の面である重なり面と、前記周縁部とが、前記周縁部の内周面に沿う溶接部によって溶接されても良い。
　また、上述の構成において、前記板部材は、前記燃料タンク本体の内側から前記周縁部に重なっても良い。

　さらに、上述の構成において、燃料キャップ締結部が、前記板部材に設けられ、前記給油口を開閉可能に塞ぐ燃料キャップは、前記燃料キャップ締結部に締結されても良い。
　また、上述の構成において、前記燃料タンクは、鞍乗り型車両に搭載され、前記鞍乗り型車両は、前記鞍乗り型車両を左右の一方に傾斜した状態に支持するサイドスタンドを備え、前記給油口を開閉可能に塞ぐ燃料キャップが設けられ、前記燃料キャップは、前記給油口を塞ぐキャップ本体と、前記キャップ本体を開閉自在に支持するフレーム部とを備え、前記フレーム部は、前記キャップ本体を周囲から囲む環状部と、前記環状部から下方に突出する突出部とを備え、前記突出部は、液体が溜まる凹部を備え、前記凹部の側面において前記サイドスタンドによって前記鞍乗り型車両を支持した状態で低くなる側の側面には、前記液体を排出する排出口が設けられても良い。

　燃料タンクは、燃料を貯留する燃料タンク本体と、給油口とを備え、燃料タンク本体を貫通する開口が設けられ、開口を塞ぐ板部材が燃料タンク本体に溶接され、板部材の強度は燃料タンク本体の強度よりも高く、給油口は、板部材に設けられる。
　この構成によれば、燃料タンク本体の開口に板部材を溶接して塞ぐため、燃料タンク本体よりも強度が高い板部材を燃料タンクに簡単に設けることができる。そして、板部材に給油口が設けられる。このため、給油口の周囲の部分の強度を簡単な構成で高くできる。

　また、上述の構成において、前記板部材の板厚は、前記燃料タンク本体の板厚よりも大きくても良い。
　この構成によれば、簡単な構成で、板部材の強度を高くできる。また、燃料タンク本体の板厚を小さくできるため、燃料タンクを軽量化できる。
　また、上述の構成において、板部材は、開口の周縁部に重ねて設けられ、板部材の面において周縁部に対し重なる側の面である重なり面と、周縁部とが、周縁部の内周面に沿う溶接部によって溶接されても良い。
　この構成によれば、開口の周縁部が、板厚が厚い板部材の重なり面に溶接されるため、板部材に対する溶接の深さを大きくでき、良好に溶接できる。
　また、上述の構成において、板部材は、燃料タンク本体の内側から前記周縁部に重なっても良い。
　この構成によれば、板部材が燃料タンク本体の外側に出っ張ることを防止でき、燃料タンクをコンパクトにできるとともに、燃料タンクの外観性が良い。また、燃料タンクの外側から板部材と燃料タンク本体とを溶接でき、溶接の作業性が良い。

　さらに、上述の構成において、燃料キャップ締結部が、板部材に設けられ、給油口を開閉可能に塞ぐ燃料キャップは、燃料キャップ締結部に締結されても良い。
　この構成によれば、燃料キャップは、燃料キャップ締結部を介し、板厚が厚い板部材に締結されるため、燃料キャップを強固に固定できる。このため、燃料キャップによって給油口を良好に塞ぐことができる。
　また、上述の構成において、燃料タンクは、鞍乗り型車両に搭載され、鞍乗り型車両は、鞍乗り型車両を左右の一方に傾斜した状態に支持するサイドスタンドを備え、給油口を開閉可能に塞ぐ燃料キャップが設けられ、燃料キャップは、給油口を塞ぐキャップ本体と、キャップ本体を開閉自在に支持するフレーム部とを備え、フレーム部は、キャップ本体を周囲から囲む環状部と、環状部から下方に突出する突出部とを備え、突出部は、液体が溜まる凹部を備え、凹部の側面においてサイドスタンドによって鞍乗り型車両を支持した状態で低くなる側の側面には、液体を排出する排出口が設けられても良い。
　この構成によれば、サイドスタンドで鞍乗り型車両を支持した状態では、燃料キャップのフレーム部の凹部に溜まる液体を、鞍乗り型車両の傾斜によって排出口から排出できる。

図１は、本発明の実施の形態に係る自動二輪車の右側面図である。 図２は、燃料タンクを上方から見た平面図である。 図３は、自動二輪車の前部を車幅方向の中央で切断した断面図であり、車体フレーム及び燃料タンク等の断面を示す。 図４は、図３において給油口の部分を拡大した断面図である。 図５は、図４の断面の斜視図である。 図６は、図２のＶＩ－ＶＩ断面図である。

　以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号ＦＲは車体前方を示し、符号ＵＰは車体上方を示し、符号ＲＨは車右方を示す。

　図１は、本発明の実施の形態に係る自動二輪車１の右側面図である。
　自動二輪車１は、車体フレーム１０と、車体フレーム１０に支持されるエンジン１１と、前輪２を操舵自在に支持するフロントフォーク１２と、後輪３を支持するスイングアーム１３と、乗員用のシート１４とを備える車両である。
　自動二輪車１は、乗員がシート１４に跨るようにして着座する鞍乗り型車両である。シート１４は、車体フレーム１０の後部の上方に設けられる。

　車体フレーム１０は、車体フレーム１０の前端に設けられるヘッドパイプ１５と、ヘッドパイプ１５から後下方に延びるメインフレーム１６と、メインフレーム１６の後端部から下方に延びるピボットフレーム１７とを備える。
　また、車体フレーム１０は、メインフレーム１６の後方で車体フレーム１０の後部を構成するシートフレーム（不図示）を備える。

　メインフレーム１６は、ヘッドパイプ１５から車幅方向の中央を後下方に延びるパイプ材である。メインフレーム１６は、ヘッドパイプ１５と同様に車幅方向の中央に配置される１本のフレーム部材である。
　ピボットフレーム１７は、メインフレーム１６の後端部から車幅方向の中央を下方に延びる単一の部材である。

　フロントフォーク１２は、ヘッドパイプ１５に回動自在に軸支されるステアリングシャフト（不図示）と、上記ステアリングシャフトの上端に固定されるトップブリッジ２０と、上記ステアリングシャフトの下端に固定されるボトムブリッジ２１と、トップブリッジ２０及びボトムブリッジ２１に支持される左右一対のフォークチューブ２２とを備える。フォークチューブ２２はテレスコピック式のサスペンションである。
　前輪２は、左右のフォークチューブ２２の下端部間に渡される車軸２ａに支持される。
　乗員がフロントフォーク１２を左右に操舵するためのハンドル２３は、フロントフォーク１２の上端部に取り付けられる。

　スイングアーム１３は、ピボットフレーム１７に支持されるピボット軸２５に支持される。ピボット軸２５は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム１３の前端部には、ピボット軸２５が挿通される。スイングアーム１３は、ピボット軸２５を中心に上下に揺動する。
　後輪３は、スイングアーム１３の後端部に設けられる車軸３ａに支持される。
　スイングアーム１３の後部と車体フレーム１０との後部との間には、リアクッション２６が掛け渡される。

　エンジン１１は、メインフレーム１６の下方、且つ、ピボットフレーム１７の前方に配置される。エンジン１１は、メインフレーム１６及びピボットフレーム１７に締結される。
　エンジン１１は、車幅方向に延びるクランク軸（不図示）を収納するクランクケース３０と、クランクケース３０の前面部から前方に延出するシリンダー部３１とを備える内燃機関である。
　シリンダー部３１は、ピストン（不図示）を収納するシリンダー３１ａと、シリンダー３１ａから前方に延びるシリンダーヘッド３１ｂと、シリンダーヘッド３１ｂを前方から覆うヘッドカバー３１ｃとを備える。
　エンジン１１は、シリンダー３１ａのシリンダー軸線３１ｄが車両側面視で略水平に前方へ延びる水平エンジンである。上記ピストンは、シリンダー軸線３１ｄに沿って前後に往復運動する。

　エンジン１１の出力は、エンジン１１の後部に設けられる出力軸（不図示）と後輪３とを接続する駆動力伝達部材３２によって後輪３に伝達される。
　エンジン１１の排気装置３３は、シリンダーヘッド３１ｂの下面の排気ポートから車両後方に延びる。

　エンジン１１の吸気量を調整するスロットルボディ３４は、シリンダー部３１の上方に配置される。スロットルボディ３４は、シリンダーヘッド３１ｂの上面の吸気ポートに接続される。
　外気をエンジン１１用の吸気として取り込むエアクリーナーボックス３５は、クランクケース３０よりも前方且つヘッドパイプ１５よりも後方で、上下方向においてシリンダー部３１とメインフレーム１６との間に配置される。エアクリーナーボックス３５は、メインフレーム１６の下方に位置し、シリンダー部３１に上方から重なる。エアクリーナーボックス３５は、スロットルボディ３４の前上方に位置する。
　エアクリーナーボックス３５は、エアクリーナーボックス３５の後部から後方に延びる接続菅３６によってスロットルボディ３４に接続される。

　燃料タンク３８は、ヘッドパイプ１５とシート１４との間でメインフレーム１６の上方に配置される。燃料タンク３８は、車体フレーム１０に固定される。
　燃料タンク３８の燃料は、吸気通路に設けられる燃料供給装置（不図示）によって、上記吸気ポートに供給される。

　自動二輪車１は、車体を覆う車体カバー４０を備える。
　車体カバー４０は、燃料タンク３８を外側方から覆う左右一対のタンクカバー４１と、燃料タンク３８を上方から覆う上面カバー４２とを備える。
　また、車体カバー４０は、シート１４の下方の車体を外側方から覆うサイドカバー４３と、サイドカバー４３の下方でピボットフレーム１７等を外側方から覆うカバー４４とを備える。
　自動二輪車１は、前輪２を上方から覆うフロントフェンダー４５と、後輪３を上方から覆うリアフェンダー４６とを備える。

　ヘッドパイプ１５の前方には、ヘッドライト４７が配置される。
　自動二輪車１は、駐車時に路面に接地して自動二輪車１を支持するサイドスタンド４８を備える。サイドスタンド４８は、ピボットフレーム１７の下部の左側に設けられており、車幅方向の中央に対して左側にオフセットして配置される。
　サイドスタンド４８によって自動二輪車１を駐車した状態では、自動二輪車１は、左側に傾斜する。

　図２は、燃料タンク３８を上方から見た平面図である。図３は、自動二輪車１の前部を車幅方向の中央で切断した断面図であり、車体フレーム１０及び燃料タンク３８等の断面を示す。
　燃料タンク３８の上面３８ａには、上面３８ａに対し上方に延びる円筒状の口金５０が設けられる。口金５０は、燃料タンク３８の内部を外部に連通させる筒状部材である。
　口金５０の内周部が区画する開口は、給油口５０ａである。燃料は、給油口５０ａから燃料タンク３８内に注入される。給油口５０ａは、車幅方向の中央に位置する。

　給油口５０ａは、上面３８ａの前部に設けられる。燃料タンク３８の上面３８ａにおいて給油口５０ａの後方には、燃料ポンプ取付部５１が設けられる。燃料タンク３８の燃料をエンジン１１に送る燃料ポンプ５２は、燃料ポンプ取付部５１の開口に挿入され、燃料ポンプ取付部５１に締結される。

　図４は、図３において給油口５０ａの部分を拡大した断面図である。
　図２～図４を参照し、燃料タンク３８には、給油口５０ａを開閉可能に塞ぐ燃料キャップ５５が取り付けられる。
　また、燃料タンク３８の上面３８ａには、口金５０を周囲から囲むトレー状の燃料受け部材５６が設けられる。

　図５は、図４の断面の斜視図である。図５では、燃料キャップ５５は開いた状態が示される。
　燃料受け部材５６は、口金５０の周囲に配置される底壁部５７と、底壁部５７から上方に延出する周壁部５８とを備える。
　底壁部５７は、上面視で略円形の板であり、中央部に開口５７ａを備える。燃料受け部材５６は、開口５７ａが口金５０の外周に嵌合した状態で、燃料タンク３８の上面３８ａに載置される。
　底壁部５７は、底壁部５７を上下に貫通する取付孔５７ｂを開口５７ａの周囲に備える。

　周壁部５８は、底壁部５７の周縁部から上方に延びる。周壁部５８は、上面視では、口金５０を周囲から囲む円環状の壁である。
　周壁部５８の上端５８ａは、口金５０の上端５０ｂよりも上方に位置する。
　周壁部５８の下部には、排水孔５８ｂ（図５）が設けられる。排水孔５８ｂは、周壁部５８の左側面に設けられており、車幅方向の中央に対し左側にオフセットされている。
　排水孔５８ｂは、燃料受け部材５６の内側を外側に連通させる。
　排水孔５８ｂには、周壁部５８の外側から排水ホース（不図示）が接続される。

　燃料受け部材５６は、給油口５０ａの周囲に侵入する液体を受け、排水孔５８ｂ及び上記排水ホースを介して液体を外部に排出する。上記液体は、例えば、給油の際に給油口５０ａの周囲に零れた燃料、及び洗車の際に燃料受け部材５６に侵入した水である。
　サイドスタンド４８で自動二輪車１を支持して駐車すると、燃料受け部材５６は、車体と一体に傾斜して左側の部分が低くなる。このため、燃料受け部材５６が受けた液体を、排水孔５８ｂに効率良く流すことができる。

　燃料タンク３８の上面３８ａは、上面カバー４２によって上方から覆われる。上面カバー４２は、燃料受け部材５６及び燃料キャップ５５を上方に露出させるカバー開口４２ａを備える。
　カバー開口４２ａの周縁部４２ｂは、燃料受け部材５６の周壁部５８の上端５８ａの外周部に接続される。

　燃料キャップ５５は、給油口５０ａを塞ぐキャップ本体６０と、キャップ本体６０を開閉自在に支持するフレーム部６１とを備える。
　キャップ本体６０は、平面視で略円形の蓋であり、給油口５０ａを上方から覆う。
　フレーム部６１は、キャップ本体６０を周囲から囲む環状部６２と、環状部６２から燃料受け部材５６の底壁部５７に向けて下方に突出する突出部６３とを備える。
　燃料キャップ５５は、燃料受け部材５６内に収納される。環状部６２の外周は、燃料受け部材５６の周壁部５８の内周に嵌合する。

　環状部６２の後端部には、キャップ本体６０を支持するヒンジ６２ａが設けられる。ヒンジ６２ａは車幅方向に延びる軸である。キャップ本体６０は、ヒンジ６２ａを中心に上下に回動して給油口５０ａを開閉する。
　環状部６２には、環状部６２を上下に貫通する固定孔６２ｂが周方向に複数設けられる。
　燃料キャップ５５は、環状部６２の固定孔６２ｂに上方から挿通される燃料キャップ固定具６４によって、燃料タンク３８に固定される。

　突出部６３は、燃料キャップ５５が誤って他の燃料タンクに取り付けられることを防止する。例えば、燃料キャップ５５を、自動二輪車１とは仕様が異なる自動二輪車の燃料タンクに取り付けようとすると、突出部６３が、上記仕様が異なる自動二輪車の燃料受け部材の底壁部に当接し、燃料キャップ５５を取り付けできない。このため、燃料キャップ５５が誤って他の燃料タンクに取り付けられることが防止される。
　一方、自動二輪車１では、突出部６３は、燃料受け部材５６の底壁部５７に当接しない。このため、燃料キャップ５５を燃料タンク３８に取り付けできる。

　突出部６３は、キャップ本体６０の下方に位置する。突出部６３は、下方に凹む凹部６３ａを備える。凹部６３ａには上方から流れてきた上記液体が溜まる。突出部６３は、凹部６３ａによって肉抜きされている。このため、燃料キャップ５５を軽量にできる。
　凹部６３ａの左側面には、凹部６３ａの液体を排出する排出口６３ｂが設けられる。凹部６３ａの左側面は、凹部６３ａの側面において、サイドスタンドによって自動二輪車１を支持した状態で低くなる側の側面である。排出口６３ｂから排出される液体は、燃料受け部材５６内を通り、排水孔５８ｂから外部に排出される。

　図２及び図３を参照し、燃料タンク３８は、中空の燃料タンク本体７０と、燃料タンク本体７０に溶接される板部材７１と、口金５０とを備える。燃料タンク本体７０、板部材７１、及び口金５０は、金属製である。

　燃料タンク本体７０は、燃料タンク本体７０の上側部分を構成する上半体７３と、燃料タンク本体の下側部分を構成する下半体７４とに分割されている。
　上半体７３は、下面が下方に開放するケース状である。下半体７４は、上面が上方に開放するケース状である。上半体７３及び下半体７４は、板材をプレス加工等によって成形してケース状に形成される。
　燃料タンク本体７０は、上半体７３の下面部と下半体７４の上面部とを溶接によって接合することでタンク状に形成される。

　燃料タンク本体７０の上面には、燃料タンク本体７０を板厚方向に貫通する開口７５が設けられる。開口７５は、上半体７３の上面の前部に設けられる。
　開口７５は、上面視で円形である。
　板部材７１は、開口７５の周縁部７５ａに溶接されて、開口７５を塞ぐ。口金５０は、板部材７１に設けられる。

　図６は、図２のＶＩ－ＶＩ断面図である。
　図２及び図６を参照し、板部材７１は、上面視で、開口７５よりも大径の円板である。
　板部材７１と燃料タンク本体７０とは、同じ材料で構成される。板部材７１の板厚ｔ１は、燃料タンク本体７０の板厚ｔ２よりも大きい。本実施の形態では、板厚ｔ１は、板厚ｔ２の２倍以上の厚さである。このため、板部材７１の強度は、燃料タンク本体７０の強度よりも高い。
　なお、板部材７１を構成する材料として、燃料タンク本体７０を構成する材料よりも強度が高い材料を用いることで、板部材７１の強度を燃料タンク本体７０の強度よりも高くしても良い。

　板部材７１は、開口７５の周縁部７５ａに対し、板部材７１の外周側の周縁部７１ａが板厚方向に重ねて設けられる。上面視で、板部材７１は、板部材７１の中心と開口７５の中心とが略一致するように配置される。
　板部材７１の面において、開口７５の周縁部７５ａに対し板厚方向に重なる側の面は、重なり面７１ｂである。
　板部材７１は、燃料タンク本体７０の内側であって下方から開口７５の周縁部７５ａに重なる。このため、重なり面７１ｂは、板部材７１の上面である。
　開口７５の部分では、板部材７１は、燃料タンク本体７０の板厚の分だけ周縁部７５ａに対し下方に位置する。このため、開口７５の内側には、板部材７１が周縁部７５ａに対し低くなった段部７６が形成される。

　板部材７１と燃料タンク本体７０とは、板部材７１の重なり面７１ｂと開口７５の周縁部７５ａとが、周縁部７５ａの内周面７５ｂに沿う溶接部７７によって溶接される。
　溶接部７７は、板部材７１の上面である重なり面７１ｂ上を内周面７５ｂに沿って一周する円環状の溶接ビードである。
　このように、溶接部７７が、板厚が厚い板部材７１の上面に溶接されるため、板部材７１に対する溶接部７７の溶接深さを大きくでき、良好に溶接できる。
　例えば、板部材７１の周縁部７１ａの外周面７１ｃと開口７５の周縁部７５ａの下面とを溶接する場合、板厚の薄い燃料タンク本体７０の下面に溶接部が形成されるため、溶接部が燃料タンク本体７０を板厚方向に貫通し易くなり、溶接が難しくなる。

　口金５０は、上面視において、板部材７１の中央部に設けられる。
　詳細には、口金５０は、車幅方向では、円形の板部材７１の中心に位置する。
　口金５０は、前後方向では、板部材７１の中心に対し、前方側にオフセットして配置される。このため、口金５０の前端と開口７５の周縁部７５ａとの距離は、口金５０の後端と開口７５の周縁部７５ａとの距離よりも小さい。すなわち、上面視において、口金５０の部分を除いた板部材７１の面積は、板部材７１の前部よりも後部で大きい。

　板部材７１は、板部材７１を貫通する口金支持孔部７８を備える。口金支持孔部７８は、板部材７１の上面に対し燃料タンク本体７０の内側に延びる円筒状である。
　口金５０は、口金支持孔部７８の内周に嵌合する。口金５０は、口金５０の外周に沿う溶接ビード７８ａによって、口金支持孔部７８の周縁部に溶接される。

　板部材７１の上面には、燃料キャップ５５が締結される燃料キャップ締結部８０が設けられる。燃料キャップ締結部８０は、板部材７１の上面において口金５０の周囲に複数配置される。
　詳細には、燃料キャップ締結部８０は、板部材７１の幅方向の中央において口金５０の前方に一つ設けられる。
　また、燃料キャップ締結部８０は、口金５０の後方において板部材７１の幅方向の中央に対し左右に一対で設けられる。
　燃料キャップ締結部８０は、上下に延びる筒状部材の内周に雌ねじ部８０ａが設けられたナットである。燃料キャップ締結部８０は、板部材７１の上面に溶接される。燃料キャップ固定具６４は、雌ねじ部８０ａに締結される。

　図４及び図５を参照し、燃料受け部材５６は、中央の開口５７ａが口金５０の外周に嵌合するとともに、取付孔５７ｂが燃料キャップ締結部８０の外周に嵌合することで燃料タンク３８に対し位置決めされる。

　燃料キャップ５５は、燃料受け部材５６の周壁部５８の内側に配置されるとともに、フレーム部６１の環状部６２の底面が燃料キャップ締結部８０の上面に当接する。燃料キャップ５５は、環状部６２の固定孔６２ｂに上方から挿通される燃料キャップ固定具６４によって、燃料キャップ締結部８０に締結される。
　環状部６２の底面は、燃料受け部材５６において取付孔５７ｂが設けられた部分を上方から押さえ、燃料受け部材５６を燃料キャップ締結部８０に対し抜け止めする。

　以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、燃料タンク３８は、燃料を貯留する燃料タンク本体７０と、給油口５０ａとを備え、燃料タンク本体７０を貫通する開口７５が設けられ、開口７５を塞ぐ板部材７１が燃料タンク本体７０に溶接され、板部材７１の板厚ｔ１は、燃料タンク本体７０の板厚ｔ２よりも大きく、給油口５０ａは、板部材７１に設けられる。
　この構成によれば、燃料タンク本体７０の開口７５に板部材７１を溶接して塞ぐため、燃料タンク本体７０よりも強度が高い板部材７１を燃料タンク３８に簡単に設けることができる。そして、板部材７１に給油口が設けられる。このため、給油口５０ａの周囲の部分の強度を簡単な構成で高くできる。

　また、板部材７１の板厚ｔ１は、燃料タンク本体７０の板厚ｔ２よりも大きい。
　この構成によれば、簡単な構成で、板部材７１の強度を高くできる。また、燃料タンク本体７０の板厚ｔ２を小さくできるため、燃料タンク３８を軽量化できる。
　また、板部材７１は、開口７５の周縁部７５ａに重ねて設けられ、板部材７１の面において周縁部７５ａに対し重なる側の面である重なり面７１ｂと、周縁部７５ａとが、周縁部７５ａの内周面７５ｂに沿う溶接部７７によって溶接される。
　この構成によれば、開口７５の周縁部７５ａが、板厚が厚い板部材７１の重なり面７１ｂに溶接されるため、板部材７１に対する溶接の深さを大きくでき、良好に溶接できる。
　また、板部材７１は、燃料タンク本体７０の内側から周縁部７５ａに重なる。
　この構成によれば、板部材７１が燃料タンク本体７０の外側に出っ張ることを防止でき、燃料タンク３８をコンパクトにできるとともに、燃料タンク３８の外観性が良い。また、燃料タンク３８の外側から板部材７１と燃料タンク本体７０とを溶接でき、溶接の作業性が良い。

　さらに、燃料キャップ締結部８０が、板部材７１に設けられ、給油口５０ａを開閉可能に塞ぐ燃料キャップ５５は、燃料キャップ締結部８０に締結される。
　この構成によれば、燃料キャップ５５は、燃料キャップ締結部８０を介し、板厚が厚い板部材７１に締結されるため、燃料キャップ５５を強固に固定できる。このため、燃料キャップ５５によって給油口５０ａを良好に塞ぐことができる。
　また、燃料タンク３８は、自動二輪車１に搭載され、自動二輪車１は、自動二輪車１を左右の一方に傾斜した状態に支持するサイドスタンド４８を備え、給油口５０ａを開閉可能に塞ぐ燃料キャップ５５が設けられ、燃料キャップ５５は、給油口５０ａを塞ぐキャップ本体６０と、キャップ本体６０を開閉自在に支持するフレーム部６１とを備え、フレーム部６１は、キャップ本体６０を周囲から囲む環状部６２と、環状部６２から下方に突出する突出部６３とを備え、突出部６３は、液体が溜まる凹部６３ａを備え、凹部６３ａの側面においてサイドスタンド４８によって自動二輪車１を支持した状態で低くなる側の側面には、液体を排出する排出口６３ｂが設けられる。
　この構成によれば、サイドスタンド４８で自動二輪車１を支持した状態では、燃料キャップ５５のフレーム部６１の凹部６３ａに溜まる液体を、自動二輪車１の傾斜によって排出口６３ｂから排出できる。

　なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
　上記実施の形態では、板部材７１は、燃料タンク本体７０の内側から周縁部７５ａに重なるものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、板部材７１は、燃料タンク本体７０の外側の上方から開口７５の周縁部７５ａに重なっても良い。この場合、重なり面である板部材７１の下面と、開口７５の周縁部７５ａとが、周縁部７５ａの内周面７５ｂに沿う溶接部によって溶接される。
　また、上記実施の形態では、燃料キャップ５５の環状部６２から下方に突出する突出部６３の凹部６３ａに排出口６３ｂが設けられる構成を説明したが、他の箇所に排出口を適用しても良い。例えば、ヘルメットや小物等の物品を収納可能な収納部に、液体が溜まる凹部が設けられ、この凹部の側面においてサイドスタンド４８によって自動二輪車１を支持した状態で低くなる側の側面に、液体を排出する排出口が設けられても良い。この構成によれば、収納部から凹部に流れる液体を自動二輪車１の傾斜を利用して排出口から排出できる。
　また、上記実施の形態では、自動二輪車１を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を２つ備える３輪の鞍乗り型車両及び４輪以上を備える鞍乗り型車両に適用可能である。

　１　自動二輪車（鞍乗り型車両）
　３８　燃料タンク
　４８　サイドスタンド
　５０ａ　給油口
　５５　燃料キャップ
　６０　キャップ本体
　６１　フレーム部
　６２　環状部
　６３　突出部
　６３ａ　凹部
　６３ｂ　排出口
　７０　燃料タンク本体
　７１　板部材
　７１ｂ　重なり面
　７５　開口
　７５ａ　周縁部
　７５ｂ　内周面
　７７　溶接部
　８０　燃料キャップ締結部
　ｔ１　板厚（板部材の板厚）
　ｔ２　板厚（燃料タンク本体の板厚）

Claims (6)

1. 　燃料を貯留する燃料タンク本体（７０）と、給油口（５０ａ）とを備える燃料タンクにおいて、
   　前記燃料タンク本体（７０）を貫通する開口（７５）が設けられ、
   　前記開口（７５）を塞ぐ板部材（７１）が前記燃料タンク本体（７０）に溶接され、
   　前記板部材（７１）の強度は前記燃料タンク本体（７０）の強度よりも高く、
   　前記給油口（５０ａ）は、前記板部材（７１）に設けられることを特徴とする燃料タンク。
2. 　前記板部材（７１）の板厚（ｔ１）は、前記燃料タンク本体（７０）の板厚（ｔ２）よりも大きいことを特徴とする請求項１記載の燃料タンク。
3. 　前記板部材（７１）は、前記開口（７５）の周縁部（７５ａ）に重ねて設けられ、
   　前記板部材（７１）の面において前記周縁部（７５ａ）に対し重なる側の面である重なり面（７１ｂ）と、前記周縁部（７５ａ）とが、前記周縁部（７５ａ）の内周面（７５ｂ）に沿う溶接部（７７）によって溶接されることを特徴とする請求項１または２記載の燃料タンク。
4. 　前記板部材（７１）は、前記燃料タンク本体（７０）の内側から前記周縁部（７５ａ）に重なることを特徴とする請求項３記載の燃料タンク。
5. 　燃料キャップ締結部（８０）が、前記板部材（７１）に設けられ、
   　前記給油口（５０ａ）を開閉可能に塞ぐ燃料キャップ（５５）は、前記燃料キャップ締結部（８０）に締結されることを特徴とする請求項１から４のいずれかに記載の燃料タンク。
6. 　前記燃料タンクは、鞍乗り型車両（１）に搭載され、
   　前記鞍乗り型車両（１）は、前記鞍乗り型車両（１）を左右の一方に傾斜した状態に支持するサイドスタンド（４８）を備え、
   　前記給油口（５０ａ）を開閉可能に塞ぐ燃料キャップ（５５）が設けられ、前記燃料キャップ（５５）は、前記給油口（５０ａ）を塞ぐキャップ本体（６０）と、前記キャップ本体（６０）を開閉自在に支持するフレーム部（６１）とを備え、
   　前記フレーム部（６１）は、前記キャップ本体（６０）を周囲から囲む環状部（６２）と、前記環状部（６２）から下方に突出する突出部（６３）とを備え、
   　前記突出部（６３）は、液体が溜まる凹部（６３ａ）を備え、前記凹部（６３ａ）の側面において前記サイドスタンド（４８）によって前記鞍乗り型車両（１）を支持した状態で低くなる側の側面には、前記液体を排出する排出口（６３ｂ）が設けられることを特徴とする請求項１から５のいずれかに記載の燃料タンク。

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