JP5032938B2 - 熱硬化性樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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但し、上記構造式(1)中の−X−は、−S−である。
この式中の−X−は、−O−、−S−、−S−S−のうちのいずれかである。すなわち、フラックス成分として、下記構造式(2)で示されるジグリコール酸、下記構造式(3)で示されるチオジグリコール酸、下記構造式(4)で示されるジチオグリコール酸のうちの少なくとも一種を用いる。
HOOCH2C−S−CH2COOH …(3)
HOOCH2C−S−S−CH2COOH …(4)
フラックス成分は、上記のような化合物のうち一種の化合物からなるものであっても良く、二種以上の化合物からなるものであっても良い。また、フラックス成分は、上記化合物に加えて、一般に用いられる他のフラックスを含むものであっても良い。
はんだ粒子として、JIS H42B:58Aに規定されたはんだ組成のものを用いた(Sn42Bi58)。はんだ粒子は常法に従って作製した。このはんだ粒子の平均粒径は15μm、融点は139℃であった。
熱硬化性樹脂組成物に配合するフラックス成分として、チオジグリコール酸を用いた。他の条件は実施例1と同一として、熱硬化性樹脂組成物を得た。
熱硬化性樹脂組成物に配合するフラックス成分として、ジチオジグリコール酸を用いた。他の条件は実施例1と同一として、熱硬化性樹脂組成物を得た。
熱硬化性樹脂組成物に配合するフラックス成分として、ジグリコール酸1質量部とグルタル酸1質量部を用いた。他の条件は実施例1と同一として、熱硬化性樹脂組成物を得た。
熱硬化性樹脂組成物に配合するはんだ粒子の配合量を95質量部、液状エポキシ樹脂の配合量を3質量部、硬化剤の配合量を0.5質量部、ジグリコール酸の配合量を1.5質量部とした。他の条件は実施例1と同一として、熱硬化性樹脂組成物を得た。
熱硬化性樹脂組成物に配合するはんだ粒子の配合量を70質量部、液状エポキシ樹脂の配合量を3質量部、硬化剤の配合量を0.5質量部、ジグリコール酸の配合量を1.5質量部とした。他の条件は実施例1と同一として、熱硬化性樹脂組成物を得た。
熱硬化性樹脂組成物に配合するはんだ粒子の配合量を82質量部、液状エポキシ樹脂の配合量を15質量部、硬化剤の配合量を2.85質量部、ジグリコール酸の配合量を0.15質量部とした。他の条件は実施例1と同一として、熱硬化性樹脂組成物を得た。
熱硬化性樹脂組成物を調製するための成分として、実施例1と同様のはんだ粒子を85質量部、熱硬化性樹脂バインダーとしてシアン酸エステル樹脂(Lonza社製、品番「L−10」)を12質量部、硬化剤としてFeアセチルアセトナート(Fe(acac)3)を0.1質量部、フラックス成分としてチオジグリコール酸を2.9質量部用意した。他の条件は実施例1と同一として、熱硬化性樹脂組成物を得た。
実施例1と同様のはんだ粒子を85質量部、熱硬化性樹脂バインダーとして液状エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、品番「YD128」)を6質量部、フラックス成分としてジチオジグリコール酸を2質量部、用意した。前記成分を混合し、ディスパーを用いて均一に混練し、予備混合物を調製した。前記予備混合物を一昼夜放置した。
実施例1と同様のはんだ粒子を85質量部、MEK(メチルエチルケトン)を30質量部、フラックス成分としてジグリコール酸を2質量部用意した。前記成分を均一に混合して予備混合物を調製した後、この予備混合物を真空乾燥機を用いて乾燥し、MEKを除去した。この乾燥後の予備混合物に、熱硬化性樹脂バインダーである液状エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、品番「YD128」)を11質量部、硬化剤(味の素テクノファイン株式会社製、商品名「アミキュアPN23」)を2質量部加え、ディスパーを用いて均一に混練して、熱硬化性樹脂組成物を得た。
熱硬化性樹脂組成物に配合するフラックス成分として、セバシン酸を2質量部用いた。他の条件は実施例1と同一として、熱硬化性樹脂組成物を得た。
熱硬化性樹脂組成物を調製するにあたって、フラックス成分を用いなかった。他の条件は実施例1と同一として、熱硬化性樹脂組成物を得た。
熱硬化性樹脂組成物を調製するにあたって、熱硬化性樹脂バインダー及び硬化剤を用いなかった。他の条件は実施例1と同一として、はんだ組成物を得た。
熱硬化性樹脂組成物に配合するはんだ粒子として、融点950℃の銀粒子を85質量部用いた。他の条件は実施例1と同一として、熱硬化性樹脂組成物を得た。
各実施例及び比較例で得られた熱硬化性樹脂組成物(比較例3で得られたはんだ組成物を含む)を用いて、次のような評価試験を行った。
配線板(FR−4グレード)の表面にAuメッキが施された端子(パット)を形成し、前記パットの表面に、通常の方法に従い、熱硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷法で塗布した。塗布後の熱硬化性樹脂組成物の厚みは、約70μmであった。この配線板をオーブン内で150℃で10分間加熱し、熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させた。その後、前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物を顕微鏡で観察し、下記評価基準で評価した。
◎:はんだ粒子が一体化した球状の層の周りを、はんだ粒子を含まない樹脂硬化物の層が取り囲み、二層に分離した。
○:はんだ粒子が一体化した球状の層の周りを、若干のはんだ粒子を含んだ樹脂硬化物の層が取り囲み、二層に分離した。
△:中央部でははんだ粒子の密度が高く、周辺部でははんだ粒子の密度が比較的低かった。
×:はんだ粒子の一体化が観察されない。
上記の「1.はんだ粒子の一体性評価」で形成された熱硬化性樹脂組成物の硬化物を指触し、粘着感の有無を下記評価基準で評価した。
○:粘着感がない(タックフリー)。
×:粘着感がある。
上記の「1.はんだ粒子の一体性評価」の場合と同様の方法で配線板のパットに熱硬化性樹脂組成物を塗布した後、このパット上に0Ωの1608チップ抵抗器を配置した。この状態で配線板に対し、リフロー炉内で、最高温度150℃の条件でリフロー処理を施し、配線板上に前記チップ抵抗器を実装した。
上記の「3.接続抵抗値評価」の評価において配線板に実装されたチップ抵抗器のシェア強度を測定した。
以上の評価試験による評価結果を下記表1,2に示す。
Claims (6)
- 融点180℃以下のはんだ粒子、熱硬化性樹脂バインダー及び下記構造式(1)で示されるフラックス成分を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
HOOCH2C−X−CH2COOH…(1)
但し、構造式(1)中の−X−は、−S−である。 - 上記熱硬化性樹脂バインダーが、エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 上記フラックス成分の含有量が、上記熱硬化性樹脂バインダーに対して1〜50phrの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 熱硬化性樹脂バインダーとフラックス成分との含有量の合計が、熱硬化性組成物全量に対して5〜30質量%の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物を製造する方法であって、上記熱硬化性樹脂バインダーとして液状エポキシ樹脂を用い、融点が180℃以下のはんだ粒子、液状エポキシ樹脂の一部又は全部、及びフラックス成分を予め混合・混練する工程と、前記工程で得られた混合物に、前記液状エポキシ樹脂の残部、及び硬化剤を添加する工程とを含むことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物を製造する方法であって、上記熱硬化性樹脂バインダーとして液状エポキシ樹脂を用い、融点が180℃以下のはんだ粒子、溶剤、及びフラックス成分を混合した後、乾燥して溶剤を除去する工程と、前記工程で得られた混合物に、液状エポキシ樹脂及び硬化剤を添加する工程とを含むことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物の製造方法。
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