JP7137212B2 - フラックス、はんだ組成物及び接合体の製造方法 - Google Patents
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Description
かかるはんだ接合に用いられるフラックスは、接合する面のはんだ付け性を向上させるものであり、樹脂成分、溶剤成分、酸化防止成分等の各種成分を含む。
例えば、特許文献1には、ヒンダートフェノール系化合物を酸化防止剤として含むフラックスが記載されている。また、特許文献2及び3には特定のカルボン酸を含むフラックスが記載されている。
しかしながら、チタン銅には強固な酸化被膜が付着しやすいため、はんだ濡れ性が悪いという問題があり、従来のフラックスでははんだ付け性を向上させることが難しい.
また、本発明は、強固な酸化被膜を形成する金属であるチタン銅の濡れ性を向上させうる接合体の製造方法を提供することを課題とする。
前記合金はチタンを1.0質量%以上4.0質量%以下含む銅合金である。
前記合金はチタンを1.0質量%以上4.0質量%以下含む銅合金である。
本実施形態のフラックスは前記A成分を含むことでフラックスを塗布する金属表面の濡れ性を向上しうる。特に、金属表面に強固な酸化被膜が形成される場合に、酸化被膜によって濡れ性が低下することをより確実に防止することができる。
また、ジグリコール酸としては、ジグリコール酸無水物、ジグリコール酸水和物等が挙げられる。
前記A成分のフラックスにおける含有量が前記範囲である場合には、より濡れ性を向上させうるフラックスが得られる。
前記活性剤は、単独で、あるいは複数種類を混合して用いることができる。
前記溶媒は、単独で、あるいは複数種類を混合して用いることができる。
前記酸化防止剤のフラックスにおける含有量は特に限定されるものではないが、例えば、0.1質量%以上50質量%以下、好ましくは1.0質量%以上20質量%以下等が挙げられる。
前記チキソトロピック成分のフラックスにおける含有量は特に限定されるものではないが、例えば、0.1質量%以上50質量%以下、好ましくは1.0質量%以上20質量%以下等が挙げられる。
本実施形態のフラックスは、あるいは、フラックスとはんだ合金とを含む本実施形態のはんだ組成物の成分であってもよい。
以下、本実施形態のはんだ組成物について説明する。
前記はんだ合金は、鉛フリー合金であってもよい。
前記はんだ合金としては、特に限定されるものではなく、鉛フリー(無鉛)のはんだ合金、有鉛のはんだ合金のいずれでもよいが、環境への影響の観点から鉛フリーのはんだ合金が好ましい。
具体的には、鉛フリーのはんだ合金としては、スズ、銀、銅、亜鉛、ビスマス、アンチモン等を含む合金等が挙げられ、より具体的には、Sn/Ag、Sn/Ag/Cu、Sn/Cu、Sn/Ag/Bi、Sn/Bi、Sn/Ag/Cu/Bi、Sn/Sb、Sn/Zn/Bi、Sn/Zn、Sn/Zn/Al、Sn/Ag/Bi/In、Sn/Ag/Cu/Bi/In/Sb、In/Ag等の合金が挙げられる。特に、Sn/Ag/Cuが好ましい。
はんだ組成物がソルダーペーストとして製造される場合には、例えば、前記はんだ合金80質量%以上95質量%以下、前記フラックス5質量%以上20質量%以下で混合されていることが好ましい。
特に、チタン銅等のように強固な酸化被膜を形成する金属であっても、濡れ性を向上させることができ、はんだ付け性を向上させることができる。
また、本実施形態のフラックスをはんだ組成物に配合した場合には、はんだ組成物が配置された金属表面の濡れ性を向上させることができる。よって、はんだ付け性を向上させることができる。
本実施形態の製造方法は、前記フラックスをチタン及び銅を含む合金からなる部材に塗布し、前記フラックスを塗布した前記部材にはんだ合金を配置し、前記部材を加熱することで前記はんだ合金と前記部材を接合して接合体を製造する。
本実施形態で使用されるはんだ合金は特に限定されるものではないが、上述したような鉛フリーはんだ合金が環境への影響の観点から好ましい。
はんだ合金の形態は特に限定されるものではないが、はんだボール、はんだペースト、糸はんだ等任意の形態のはんだ合金が使用できる。
加熱する温度は、はんだ合金が溶融する温度であれば特に限定されるものではなく、例えば、150℃以上250℃以下等の温度で加熱することが挙げられる。
かかる別の部材としては、例えば、コネクタ、リレー、スイッチなどの電子部品が挙げられる。かかる電子部品の電極をはんだ合金を介してプリント基板等の電極と電気的に接合させる場合に、はんだ合金が十分に広がらないと接続強度が確保できない。
本実施形態の製造方法で得られた接合体は、接合する部材の一方の部材(例えば、基板の電極等)がチタン銅等のチタンと銅を含む部材であっても、フラックスを塗布することによりはんだ濡れ性を向上させることができ、はんだが十分に広がるため、高い接合強度を確保することができる。
本実施形態の製造方法は、上述のようなはんだ組成物をチタン及び銅を含む合金からなる部材の表面に配置し、前記はんだ組成物を配置した前記部材を加熱することではんだ合金と前記部材を接合して接合体を製造する接合体の製造方法である。
本実施形態の製造方法では、フラックスを含むはんだ組成物が部材に配置された状態で部材を加熱することで、はんだ組成物が溶融する際にはんだ組成物中のフラックスが部材表面の酸化被膜を除去することができ、はんだ濡れ性を向上させることができる。
(フラックスの作製)
以下に示すような材料で表1に示す配合(数字の単位は質量%)で各フラックスを作製した。
作製方法は各材料を加熱容器に投入して、180℃まで加熱し、全材料が溶解して分散したことを確認した。その後、室温にまで冷却して、均一な状態の各フラックスを得た。各フラックスは後述する各実施例及び各比較例に使用される。
アクリル変性ロジン:KE-604、荒川化学社製
グリコール系溶剤:ヘキシルジグリコール、日本乳化剤社製
硬化ひまし油:ひまし硬化油A、伊藤製油社製
アマイド系チキソ剤:スリパックスZHH、日本化成社製
ハロゲン系活性剤:DBBD、JAIN CHEMICAL社製
ジグリコール酸:試薬、東京化成社製
コハク酸:試薬、東京化成社製
アジピン酸:試薬、東京化成社製
ドデカン二酸:試薬、東京化成社製
厚み0.3mm、縦30mm、横30mmのチタン銅合金板(金属組成:Ti3%含有のチタン-銅合金)、同サイズのニッケル板及び銅板を200℃で30秒間加熱して酸化処理をして酸化被膜を形成した。かかる試験基板に各フラックスを塗布した。その後、はんだボール(直径0.76mm、金属組成Sn3.0Ag0.5Cu)を載置して、250℃のはんだ槽にて1分間加熱して、はんだボールを溶融した。
前記実施例及び比較例の試験基板の加熱後の溶融したはんだの高さをマイクロノギスで測定し、以下の式からはんだ広がり率(%)を算出した。結果を表1にぬれ広がり率として示す。
はんだ広がり率=(はんだボール直径-はんだの高さ)÷はんだボール直径×100
一方各比較例はニッケル板、銅板に対しては実施例と同程度以下の広がり率であったが、チタン銅についてはすべて広がり率は50%以下であり、実施例に比べると低かった。
(はんだ組成物)
前記試験1の実施例1、3及び比較例1及び2で用いたフラックスと、はんだ合金粉末(SAC305:Sn-Ag-Cu合金、粒径20~38μm)とを用いて実施例6,7及び比較例5,6のはんだ組成物(はんだペースト)を作製した。
はんだ組成物は、表2に示す比率でフラックス及びはんだ合金粉末を混合し、各はんだ組成を得た。
基板として前記試験1と同様のチタン銅、ニッケル及び銅板を準備した。該基板を200℃、30秒で酸化処理を施した。開口直径6.5mm、厚み0.2mmのマスクを用いて各はんだ組成物を基板に印刷した。
各基板を250℃のはんだ槽にて加熱して、はんだ組成物の溶融状態を目視にて以下の評価基準で確認した。
(基準)
1:印刷範囲以上にはんだが濡れ広がっている。
2:印刷範囲と同じ部分にはんだがぬれている。
3:印刷範囲よりも、はんだが濡れ広がっていない(濡れている面積は50%以上ある)。
4:印刷範囲よりも、はんだが濡れ広がっていない(濡れている面積は50%未満)。
結果を表2に示す。
一方各比較例は、特にチタン銅についてははんだの濡れひろがりが不十分であった。
Claims (5)
- ジグリコール酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも一種である成分を含むチタンを1.0質量%以上4.0質量%以下含有する銅合金用のフラックス。
- 前記成分が0.1質量%以上20質量%以下含まれるチタンを1.0質量%以上4.0質量%以下含有する銅合金用の請求項1に記載のフラックス。
- 請求項1又は2に記載のフラックスとはんだ合金とを含むチタンを1.0質量%以上4.0質量%以下含有する銅合金用のはんだ組成物。
- 請求項1又は2に記載のフラックスをチタン及び銅を含む合金からなる部材の前記合金の表面に塗布し、
前記フラックスを塗布した前記部材にはんだ合金を配置し、
前記部材を加熱することで前記はんだ合金と前記部材を接合して接合体を製造する接合体の製造方法であって、
前記合金はチタンを1.0質量%以上4.0質量%以下含む銅合金である、接合体の製造方法。 - 請求項3に記載のはんだ組成物をチタン及び銅を含む合金からなる部材の前記合金の表面に配置し、
前記はんだ組成物を配置した前記部材を加熱することではんだ合金と前記部材を接合して接合体を製造する接合体の製造方法であって、
前記合金は、チタンを1.0質量%以上4.0質量%以下含む銅合金である、接合体の製造方法。
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