JP2011057650A - クロロプロペンの製造方法 - Google Patents

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康尚 小松
Kikuo Yamamoto
喜久雄 山本
Naoya Okada
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Abstract

【課題】高転化率、高効率かつ簡易なクロロプロペンの製造方法を提供する。
【解決手段】上記クロロプロペンの製造方法は、四塩化炭素とエチレンまたはクロロエチレンとの付加反応を鉄−リン酸エステル触媒の存在下に液相で行ってクロロプロパンとし、次いで該クロロプロパンの脱塩化水素反応を行ってクロロプロペンとするクロロプロペンの製造方法において、上記付加反応を、液相および気相の双方にエチレンまたはクロロエチレンが存在する圧力下で行い、そして上記付加反応後に、気相からエチレンまたはクロロエチレンを除去するとともに反応混合物の圧力を下げることによって上記脱塩化水素反応を開始する。
【選択図】なし

Description

本発明は、クロロプロペンの製造方法に関する。
クロロプロペンは、農薬、医薬品、フロン代替材料等の各種製品を製造するための原料ないし中間体として重要である。例えば1,1,2,3−テトラクロロプロペンは、除草剤として有用なトリクロロアリルジイソプロピルチオカルバメートを製造する際の重要な中間体である。
クロロプロペンの代表的な製造方法としては、エチレンまたはクロロエチレンと四塩化炭素との付加反応を行ってクロロプロパンとした後、該クロロプロパンの脱塩化水素反応を行ってクロロプロペンとする方法が公知である。
例えば特許文献1には、エチレンと四塩化炭素との付加反応を金属鉄およびホスホリル化合物の存在下で行って1,1,1,3−テトラクロロプロパンとした後、これを相間移動触媒としての第4級アンモニウム塩または第4級ホスホニウム塩の存在下に水酸化ナトリウム水溶液中、40〜80℃の温度で処理して脱塩化水素し、得られた反応混合物から水相を分離することにより1,1,3−トリクロロプロペンおよび3,3,3−トリクロロプロペンの混合物を得る方法が記載されている。ここで分離された水相は廃棄されることになる。しかしながら特許文献1に記載された方法によると、廃棄される水相中に溶解している有機塩素化合物の処理に多大の労力およびコストを要するほか、アルカリ源として消費される水酸化ナトリウムおよび相間移動触媒のコストが多大であり、重要な資源として再利用が望まれる塩化水素が水酸化ナトリウムの塩として消費されてしまうとの難点がある。さらに、アルカリの使用により、特許文献1の方法により得られるクロロアルケンには通常の飽和溶解度以上の水が存在することとなり、該クロロアルケンまたはこれをさらなる反応に供した目的物から水を精製分離する工程が必要になるとの問題があり、改善が望まれている。
一方、クロロプロパンの脱塩化水素反応は、触媒の存在下にクロロプロパンを熱処理することによっても行うことができる。例えば特許文献2には、塩化第二鉄の存在下に、液相において1,1,1,3−テトラクロロプロパンの脱塩化水素反応を行う方法が記載されている。この方法によると、テトラクロロプロパンの反応転化率が不十分であるばかりでなく、塩化第二鉄を溶解するために20分程度の時間を要し、生産性に劣るとの問題がある。
さらに上記いずれの方法による場合でも、エチレンまたはクロロエチレンと四塩化炭素との付加反応後、脱塩化水素反応前に、生成物の蒸留精製を行うことが常であり、工程時間の短縮、製造プラントの小型化およびエネルギー効率の観点からは問題がある。
特公平2−47969号公報 特開昭50−62911号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高転化率、高効率かつ簡易なクロロプロペンの製造方法を提供することにある。
本発明によれば、本発明の上記課題は、
四塩化炭素と下記一般式(1)
Cl (1)
(式(1)中、aは1〜4の整数であり、bは0〜3の整数であり、ただしa+b=4である。)
で表される不飽和化合物との付加反応を鉄−リン酸エステル触媒の存在下に液相で行って下記一般式(2)
Clb+4 (2)
(式(2)中、aおよびbは、それぞれ、上記一般式(1)におけるaおよびbと同義である。)
で表される飽和化合物とし、次いで上記一般式(2)で表される化合物の脱塩化水素反応を行って下記一般式(3)
a−1Clb+3 (3)
(式(3)中、aおよびbは、それぞれ、上記一般式(1)におけるaおよびbと同義である。)
で表されるクロロプロパンとするクロロプロペンの製造方法において、
上記付加反応を、液相および気相の双方に上記一般式(1)で表される不飽和化合物が存在する圧力下で行い、そして
上記付加反応後に、気相から上記一般式(1)で表される不飽和化合物を除去するとともに反応混合物の圧力を下げることによって上記脱塩化水素反応を開始するクロロプロペンの製造方法によって達成される。
本発明によれば、簡易な方法によって高い転化率にて効率よくクロロプロペンを製造することができる。本発明の方法により得られるクロロプロペンは純度が高く水を含んでいないので、簡単な精製方法によって高純度の製品とすることができ、超高純度が要求される農薬、医薬品等の各種製品の原料ないし中間体として好適に使用することができる。また、本発明の方法のうちの第二段階(脱塩化水素反応)の副生物として得られる塩化水素は、容易に回収して他の用途に供することができるから、本発明は資源の有効利用にも資する。
実施例1で得られた脱塩化水素反応後の反応混合物のガスクロマトグラフィーチャートである。
以下、本発明のクロロプロペンの製造方法について詳細に説明する。
本発明のクロロプロペンの製造方法は、四塩化炭素と上記一般式(1)で表される不飽和化合物との付加反応を行って上記一般式(2)で表される飽和化合物を得る第一の反応(付加反応)と
上記一般式(2)で表される化合物の脱塩化水素反応を行って上記一般式(3)で表されるクロロプロパンとする第二の反応(脱塩化水素反応)と
からなる。
上記一般式(1)で表される化合物としては、例えばエチレン、塩化ビニル、1,1−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエチレン、1,1,2−トリクロロエチレン等を挙げることができる。これらのうち、エチレンまたは塩化ビニルを使用することが、得られるクロロプロペンが工業的に重要であることから好ましい。
第一の反応である付加反応により得られる上記一般式(2)で表される飽和化合物および第二の反応である脱塩化水素反応により得られる上記一般式(3)で表されるクロロプロパンの種類は、それぞれ、原料として使用する上記一般式(1)で表される化合物の種類に依存する。例えば原料としてエチレンを使用した場合には上記一般式(2)で表される飽和化合物としての1,1,1,3−テトラクロロプロパンを経由して、上記一般式(3)で表されるクロロプロペンとして1,1,3−トリクロロプロペンを得ることとなる。ここで異性体である3,3,3−トリクロロプロペンはほとんど生成して来ないことが、本発明の利点の一つである。また原料として塩化ビニルを使用した場合には、上記一般式(2)で表される飽和化合物としての1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを経由して上記一般式(3)で表されるクロロプロペンとして1,1,3,3−テトラクロロプロペンを得ることとなる。ここで、異性体である1,3,3,3−テトラクロロプロペンおよび2,3,3,3−テトラクロロプロペンはほとんど生成して来ない。このように、異性体のうちの特定の種がほとんど排他的に生成して来ることが、水酸化ナトリウム等のアルカリ成分を使用する従来技術に対する本発明の大きな利点の一つである。原料として上記以外の不飽和化合物を使用した場合に、いかなる飽和化合物を経由していかなるクロロプロペンが得られるかは、当業者には容易に理解されよう。
以下、本発明のクロロプロペンの製造方法を構成する付加反応および脱塩化水素反応につき、順に説明する。
<付加反応>
本発明のクロロプロペンの製造方法における第一の反応は、四塩化炭素と上記一般式(1)で表される不飽和化合物との付加反応である。
本付加反応は、液相および気相の双方に上記一般式(1)で表される不飽和化合物が存在する状態で行われる。かかる状態を実現するには、例えば反応器中に所定量の四塩化炭素を準備し、反応系を適当な圧力下および適当な温度下において上記一般式(1)で表される不飽和化合物を気体状で連続的に供給し、前記適当な圧力を維持するために過剰の不飽和化合物を気相から排除する方法によることが好ましい(気相流通下における液相バッチ反応)。反応系への上記一般式(1)で表される不飽和化合物の供給は、反応系の気相に対して行ってもよく、あるいは反応系の液相中にバブリングする方法で行ってもよい。
液相および気相の双方に上記一般式(1)で表される不飽和化合物が存在するために適当な圧力としては、不飽和化合物の種類によって適宜に設定されるべきである。例えば上記一般式(1)で表される不飽和化合物がエチレンまたは塩化ビニルである場合には、絶対圧として0.05〜3.1MPaとすることができ、0.2〜2.1MPaとすることが好ましい。上記適当な温度としては、70〜180℃とすることが好ましく、90〜150℃とすることがより好ましい。なお、ここで設定する温度がそのまま付加反応の反応温度となるべきことは、容易に理解されよう。
本付加反応は、液相に鉄−リン酸エステル触媒の存在する状態で行われる。この鉄−リン酸エステル触媒は、液体状の四塩化炭素中で、鉄およびリン酸エステルを接触させることにより調製することができる。
ここで使用される鉄としては、例えば金属鉄、純鉄、軟鉄、炭素鋼、フェロシリコン鋼、鉄を含む合金(例えばステンレス鋼等)等を挙げることができる。鉄の形状としては、例えば粉末状、粒状、塊状、棒状、球状、板状、繊維状等の任意の形状であることができるほか、これらを用いてさらに任意の加工をした金属片、蒸留充填物等であってもよい。前記加工金属片としては、例えばコイル、網、スチールウール、その他の不定形片状を;前記蒸留充填物としては、例えばラシヒリング、へリックス等を、それぞれ挙げることができる。これらのいずれの形態であっても使用することができるが、リン酸エステルおよび反応物との接触面積を十分に確保する観点から、粉末状または繊維状であることが好ましい。同様の観点から、窒素を吸着質としてBET法により測定した鉄の比表面積は0.001〜5m/gであることが好ましい。
本付加反応における鉄の使用割合としては、高い反応転化率および高い選択率を両立するとの観点から、使用する四塩化炭素の1モルに対して、0.001モル以上とすることが好ましく、0.001〜1モルとすることがより好ましく、0.005〜0.5モルとすることがさらに好ましい。
上記リン酸エステルとしては、例えば下記一般式(4)
Figure 2011057650
(式(4)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基であり、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基である。)
で表される化合物を挙げることができ、その具体例として例えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、ジエチルハイドロジェンホスフェート、ジブチルハイドロジェンホスフェート、フェニルジハイドロジェンホスフェート、ブチルジハイドロジェンホスフェート、ジメチルフェニルホスフェート、ジエチルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、フェニルエチルメチルホスフェート等を挙げることができる。これらのうち、上記一般式(4)において、R,RおよびRのすべてが炭素数1〜4のアルキル基であるリン酸トリアルキルエステルが好ましく、特にトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェートまたはトリブチルホスフェートが好ましい。
本付加反応におけるリン酸エステルの使用割合としては、高い反応転化率および高い選択率を両立するとの観点から、使用する四塩化炭素の1モルに対して、0.001〜1モルとすることが好ましく、0.002〜0.5モルとすることがさらに好ましい。
本付加反応における鉄−リン酸エステル触媒は、好ましくは液体状の四塩化炭素中に上記の如き鉄およびリン酸エステルを添加して両者を接触させることによって調製される。鉄−リン酸エステル触媒を調製するにあたっては、反応開始時に鉄およびリン酸エステルの全量を一括して添加してもよく、あるいは反応開始時に鉄の全量およびリン酸エステルの一部を添加し、残余のリン酸エステルは付加反応進行中に追加添加してもよい。しかしながら、高い反応転化率を実現するために要する触媒量が少なくて済むこと、および反応の制御が容易である点で、後者の添加方法によることが好ましい。
反応開始時に鉄およびリン酸エステルを一括添加する場合、これらの添加は、反応系に上記一般式(1)で表される不飽和化合物を導入する前に行うことが好ましい。反応開始時に鉄の全量およびリン酸エステルの一部を添加し、残余のリン酸エステルは付加反応進行中に追加添加する場合、鉄の添加およびリン酸エステルの最初の添加は、反応系に上記一般式(1)で表される不飽和化合物を導入する前に行うことが好ましい。
本付加反応の反応時間(気相流通下における液相バッチ反応にて行う場合には、好ましくは上記一般式(1)で表される化合物の導入開始からの時間)としては、2〜12時間程度とすることが好ましく、2〜10時間程度とすることがより好ましい。ここで、反応時間を2時間よりも短くすると四塩化炭素の反応転化率が不十分である場合があり、一方、12時間を超えて長く反応を行う実益はない。
かくして反応系は、鉄−リン酸エステル触媒を含有する液体状の上記一般式(2)で表される飽和化合物を主成分とする液相と、上記一般式(1)で表される不飽和化合物を主成分とする気相とで構成されることとなる。
<脱塩化水素反応>
上記の如くして得られる付加反応後の反応混合物は、その気相から上記一般式(1)で表される不飽和化合物を除去するとともに反応混合物の圧力を下げることによって脱塩化水素反応が開始されることとなる。このときに格別の精製操作(例えば蒸留等)を要せず、しかも脱塩化水素反応のために反応相の変更、新たな触媒や反応物の添加を要しないことが、本発明の利点の一つである。特に、付加反応後の反応混合物から鉄−リン酸エステル触媒を除去する必要がないこと、および脱塩化水素反応においてアルカリ成分、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の使用を要しないことは、いずれも本発明の大きな利点である。本発明者らは、付加反応において触媒として使用した鉄−リン酸エステル触媒を反応混合物中に残存させた場合、驚くべきことにこれが脱塩化水素反応においても良好な触媒作用を示すことを見い出して、本発明に至ったのである。
気相から上記一般式(1)で表される不飽和化合物を除去するには、例えば反応混合物の気相を適当な不活性気体(例えば窒素、ヘリウム、アルゴン等)で置換する方法等によることができるが、単に反応混合物の圧力を下げることのみによって気相から上記一般式(1)で表される不飽和化合物を除去することができ、この方法で足りる。
脱塩化水素反応における圧力は、0.002〜0.18MPaとすることが好ましく、0.003〜0.15MPaとすることがより好ましい。
本脱塩化水素反応の反応時間としては、0.2〜20時間程度とすることが好ましく、0.2〜15時間程度とすることがより好ましい。ここで、反応時間を0.2時間よりも短くすると反応転化率が不十分である場合があり、一方、20時間を超えて長く反応を行う実益はない。
脱塩化水素反応においては、反応がある程度以上進行すると、反応混合物中に、反応生成物であるクロロプロペンと塩化水素とが共存することとなる。そこで、この脱塩化水素反応は、反応蒸留によって行うことが好ましい。これによって生成したクロロプロペンを系外に取り出すことにより、好ましくない副生成物の生成を低減できることとなる。
ここで反応蒸留に使用する蒸留塔としては、低沸点化合物を製造するための反応蒸留に使用されるものとして当業界において知られているものを制限なく使用することができ、段塔または充填塔を好ましいものとして挙げることができる。段塔の段数または段塔に換算した充填塔の相当段数は、1〜20段であることが好ましい。
上記段塔としては、十字流トレイ、シャワートレイ等を用いることができる。これらの具体例としては、十字流トレイとして、例えば多孔板トレイ、泡鐘トレイ、バルブトレイ、ターボグリッドトレイ等を;
シャワートレイとして、例えばターボグリッドトレイ、リップルトレイ等を、それぞれ挙げることができる。これらのうち、十字流トレイを用いることが好ましい。
上記充填塔としては、公知の蒸留用充填物を充填した蒸留塔を挙げることができ、前記蒸留用充填物としては規則充填物および不規則充填物を挙げることができる。上記不規則充填物としては、例えばラシヒリング、ベルサドル、マクマホン、ナッターリング、ポーリング、カスケードミニリング、ヘリパック等を挙げることができる。これらのうち、規則充填物、または不規則充填物のうちのカスケードミニリングを使用することが、蒸留効率を高くすることができる点で好ましい。
第一反応の反応混合物は、蒸留塔の下部の適当な位置から蒸留塔に導入される。反応混合物中に存在する付加反応の生成物(上記式(2)で表される化合物)は、共存する鉄−リン酸エステル触媒の作用により塔中で脱塩化水素して目的生成物であるクロロプロペンに転化し、脱離した塩化水素とともに蒸留塔内を上昇する。そして、頭頂部付近には、塩化水素が濃縮されるから、目的物を蒸留塔の塔側流として抜き出すことが好ましい。ここで、「塔側流として抜き出す」とは、蒸留塔の最上段よりも少なくとも1段下の段、好ましくは3〜10段下において抜き出すことをいう。
上記の如き反応蒸留は、連続的に行ってもよく、あるいはバッチ蒸留によってもよい。
かくして得られた脱塩化水素反応の反応生成物は、目的生成物であるクロロプロペン(上記式(3)で表される化合物)を高い濃度で含むものであり、好ましい態様である反応蒸留により得られた目的留分は、これ自体が高純度の目的クロロプロペンである。従って、本発明の方法により得られるクロロプロペンは、これをそのまま製品とすることができ、あるいはごく簡単な精製方法によって高純度の製品とすることができる。また、脱塩化水素反応において副生物として得られる塩化水素は、容易に回収して他の用途に供することができる。
実施例1
(1)付加反応
内容積1,500mLのオートクレーブに、四塩化炭素1,560g、リン酸トリエチル8gおよび化学反応用純鉄粉4gを仕込み、温度を110℃に設定し、反応圧力が0.4MPaG(絶対圧換算約0.5MPa)となるように、オートクレーブ中の気相にエチレンの導入を開始することにより、付加反応を開始した。エチレン導入開始から1時間後、リン酸トリエチル4gを追加添加した。
エチレン導入開始から6時間後、オートクレーブを冷却して反応を終了し、反応混合物を回収してガスクロマトグラフィーにより分析したところ、使用した四塩化炭素基準の反応転化率は85%であり、1,1,1,3−テトラクロロプロパンの選択率は90%であった。
さらに、反応終了後の反応混合物の一部をサンプリングし、誘導統合プラズマ発行分析装置(ICP)によって分析したところ、反応混合物中のFe濃度は2,300重量ppmであった。
(2)脱塩化水素反応
内容積1,000mLのフラスコ中に上記付加反応後の反応混合物のうちの550gを採り、130℃において圧力0MPaG(絶対圧換算約0.098MPa)にて1時間反応を行ったところ、転化率90%(1,1,1,3−テトラクロロプロパン基準)で1,1,3−トリクロロプロペンが得られた。
この脱塩化水素反応後の反応混合物のガスクロマトグラフィーチャートを図1、各ピークの帰属および存在比を表1に、それぞれ示した。
Figure 2011057650
図1および表1から理解されるとおり、本実施例における反応混合物中には、目的物である1,1,3−トリクロロプロペンとの分離が困難な副生物は見られず、特に目的物の異性体である3,3,3−トリクロロプロペンはほとんど含まれていなかった。
実施例2
(1)付加反応
上記実施例1における付加反応と同様にして実施した。
(2)脱塩化水素反応
内部に柴田科学(株)製ヘリパックを高さ500mm充填した塔径30mmφの蒸留塔を準備した。
上記付加反応後の反応混合物のうちの550gを上記蒸留塔のボトムに仕込み、還流をかけずに、常圧、蒸留温度130℃にてバッチ蒸留を行った。蒸留塔ボトムの残留物が240gとなった時点で蒸留(反応蒸留)を停止した。留出液とボトム液とを合わせてガスクロマトグラフィーにより分析したところ、1,1,1,3−テトラクロロプロパンの転化率は95%(基準)であった。また、留出液中の1,1,3−トリクロロプロペンの純度は93%であった。
比較例1
(1)付加反応
上記実施例1における付加反応と同様にして実施した。得られた反応混合物を、内部に柴田科学(株)製ヘリパックを高さ500mmで充填した塔径30mmφの蒸留塔において、還流をかけずに、蒸留圧力10kPa、蒸留温度95℃にてバッチ蒸留を行った。この操作により、1,1,1,3−テトラクロロプロパンよりも沸点が低い成分および沸点が高い成分を分離した。
得られた精製1,1,1,3−テトラクロロプロパンの一部をサンプリングし、イオンクロマトグラフィーによって分析したところ、Fe濃度は10重量ppm以下であった。
(2)脱塩化水素反応
内容積1,000mLのフラスコ中に上記付加反応後の反応混合物のうちの550gを採り、130℃において圧力0MPaG(絶対圧換算約0.098MPa)にて1時間反応を行ったが、トリクロロプロペンの生成は観察されなかった。

Claims (6)

  1. 四塩化炭素と下記一般式(1)
    Cl (1)
    (式(1)中、aは1〜4の整数であり、bは0〜3の整数であり、ただしa+b=4である。)
    で表される不飽和化合物との付加反応を鉄−リン酸エステル触媒の存在下に液相で行って下記一般式(2)
    Clb+4 (2)
    (式(2)中、aおよびbは、それぞれ、上記一般式(1)におけるaおよびbと同義である。)
    で表される飽和化合物とし、次いで上記一般式(2)で表される化合物の脱塩化水素反応を行って下記一般式(3)
    a−1Clb+3 (3)
    (式(3)中、aおよびbは、それぞれ、上記一般式(1)におけるaおよびbと同義である。)
    で表されるクロロプロペンとするクロロプロペンの製造方法において、
    上記付加反応を、液相および気相の双方に上記一般式(1)で表される不飽和化合物が存在する圧力下で行い、そして
    上記付加反応後に、気相から上記一般式(1)で表される不飽和化合物を除去するとともに反応混合物の圧力を下げることによって上記脱塩化水素反応を開始することを特徴とする、クロロプロペンの製造方法。
  2. 上記付加反応における圧力が0.05〜3.1MPaであり、
    上記脱塩化水素反応における圧力が0.002〜0.18MPaである、請求項1に記載のクロロプロペンの製造方法。
  3. 上記脱塩化水素反応においてアルカリ成分を使用しない、請求項1または2に記載のクロロプロペンの製造方法。
  4. 上記付加反応後かつ上記脱塩化水素反応前に反応混合物から鉄−リン酸エステル触媒を除去しない、請求項1〜3のいずれか一項に記載のクロロプロペンの製造方法。
  5. 上記脱塩化水素反応が反応蒸留により行われる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のクロロプロペンの製造方法。
  6. 上記一般式(1)で表される不飽和化合物がエチレンまたは塩化ビニルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のクロロプロペンの製造方法。
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