JP2011057105A - 空気入りタイヤ用ビードコア及びそのビードコアを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ビードワイヤの巻き始め端部における段差に起因するカーカスコードのエンド乱れを防止することのできる空気入りタイヤ用ビードコア及びそのビードコアを用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】本発明の空気入りタイヤ用ビードコア10は、一本のビードワイヤ12を複数回巻き回して環状に形成したビードワイヤ束13から構成されたものであり、ビードワイヤ12の巻き始め端部15によって生じる段差部17に段差低減部材20が設けられている。また、本発明の空気入りタイヤ1は、上記段差低減部材20を有した空気入りタイヤ用ビードコア10が配置された一対のビード部4と、一対のビード部4,4間に架け渡され、その両端部が各ビードコア10の周りで折り返されたカーカス5とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、1本のビードワイヤを複数回巻き重ねて環状に構成されるビードコア、及び、このビードコアを用いた空気入りタイヤに関するものである。
図13は、一般的な空気入りタイヤにおけるビード部の子午断面図である。図13に示されるビード部40は、サイドウォール部(図示せず)のタイヤ径方向内側に設けられた部位であり、ビードコア100及びビードフィラー110とを備えている。ビードコア100は、1本のビードワイヤ120を複数回巻き重ねて環状に形成したいわゆるシングルワインド構造と称されるものである。ビードコア100をビードコア100の周方向と直交する面で切断した断面形状は、図13に示すように例えば六角形状を成している。ビードフィラー110は、ビードコア100を補強するためのゴム材である。上記のように構成されるビード部40は、タイヤ赤道面を中心として対称になるように一対設けられている。一対のビード部40,40間にはカーカス50がトロイド状に掛け回されている。ここで、カーカス50は、複数のカーカスコードを平行に配列してゴム材で被覆したものであり、その両端部は図13に示すようにビードコア100の周りにタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に向けて折り返されている。
図14は、図13に示したビードコア100の一部分を示した斜視図である。ビードコア100は、図14に示すようにビードワイヤ120の巻き始め端部150と巻き終わり端部160とが重複するように巻き回された構造であり、巻き回されたビードワイヤ120のバラケを防止するために、巻き始め端部150と巻き終わり端部160とが重複する領域及びその近傍部位に、ビードワイヤ留めコード140(以下、これを省略して「留めコード」とよぶ)が螺旋状に巻き付けてある(たとえば特許文献1を参照)。
特開2004−345537号公報
図14に示すように、ビードワイヤ120の巻き始め端部150はビードコア100の内周側に位置している。このため、ビードコア100の内周側の面には巻き始め端部150によって段差部170が形成されている。図15は、ビードコア100の段差部170付近を模式的に示した図である。図15において、破線で示される符号50a,50Aは、図13に示したカーカス50を構成する複数のカーカスコードである。
カーカス50は、図13に示すようにビードコア100の内周側の面に接触する態様でタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に向けて折り返されているが、ビードコア100の内周側の面には図15に示すように段差部170が形成されているため、この段差部170において、カーカス50とビードコア100との間には隙間が生じる。すなわち、図15に示すように、段差部170に配置されるカーカスコード50Aとビードコア100との間には長さΔの隙間が生じる。
生タイヤの加硫時において、カーカス50は、図13に示す矢印Aの方向、すなわち、タイヤ幅方向内側においてタイヤ径方向外側方向に引っ張られるため、各カーカスコード50aに張力が掛かる。このとき、図15に示すように、段差部170に配置されるカーカスコード50Aは、図15に示す矢印の方向Bにずれるため、その分、カーカスコード50Aにおけるタイヤ幅方向内側の部位に緩みが生じる。その結果、サイドトレッド部(図示せず)付近において、カーカスコードの間隔が不揃いになるいわゆる「エンド乱れ」が生じやすくなる。特にカーカスコードの目開きが発生した場合には、車両の走行中に目開きが発生した箇所に歪が集中するため、インナーライナ(図示せず)にクラックが発生し、タイヤの耐久性が低下するおそれがある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ビードワイヤの巻き始め端部によって生じる段差部に起因するカーカスコードのエンド乱れを防止することのできる空気入りタイヤ用ビードコア及びそのビードコアを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る空気入りタイヤ用ビードコアは、一本のビードワイヤを複数回巻き回して環状に形成したビードワイヤ束から構成されたビードコアであり、前記ビードワイヤの巻き始め端部によって生じる段差部に段差低減部材を有することを特徴とする。
この空気入りタイヤ用ビードコアによれば、ビードワイヤの巻き始め端部によって生じる段差部に段差低減部材を設けた構成としたことで、段差部に配置されるカーカスコードとビードコアとの間に生じる隙間(Δ)を小さくすることができる。その結果、上記段差部に起因するカーカスコードのエンド乱れを防止することができ、インナーライナのクラック発生を防止することができる。
また、本発明に係る空気入りタイヤ用ビードコアは、前記段差低減部材の最大高さが、前記ビードワイヤの直径よりも小さく形成されていることを特徴とする。
この空気入りタイヤ用ビードコアによれば、段差低減部材の最大高さを前記ビードワイヤの直径よりも小さく形成したので、上記効果を確実に実現することができる。
また、本発明に係る空気入りタイヤ用ビードコアは、前記ビードワイヤ束に所定のピッチで巻き付けられることにより前記ビードワイヤ束を結束する留めコードを備え、前記段差低減部材は、前記留めコードを前記段差部以外の領域に比して小さい巻きピッチで巻き付けることにより形成されたものであることを特徴とする。
この空気入りタイヤ用ビードコアによれば、ビードワイヤ束を結束する留めコードを利用して段差低減部材を設けた構成としているので、段差低減部材として他の材料を別途用意する必要がなく、低コストで上記の効果を実現することができる。
また、本発明に係る空気入りタイヤ用ビードコアは、前記段差低減部材が、コード部材を前記段差部に巻き付けることにより形成されたものであり、前記コード部材は、無機繊維コード、有機繊維コードのいずれかから一種類以上選択して用いられることを特徴とする。
この空気入りタイヤ用ビードコアによれば、段差低減部材として最適な材質・大きさの材料を選択することができるため、より確実に上記の効果を実現することができる。
また、本発明に係る空気入りタイヤ用ビードコアは、前記段差低減部材が、テープ部材を前記段差部に巻き付けることにより形成されたものであり、前記テープ部材は、ナイロンまたはビニロンで補強されたゴム付き平織りテープまたはすだれ織りテープのうちのいずれかであることを特徴とする。
この空気入りタイヤ用ビードコアによれば、段差低減部材として最適な材質及び大きさの材料を選択することができるため、より確実に上記の効果を実現することができる。
また、本発明に係る空気入りタイヤ用ビードコアは、前記段差低減部材が、スペーサ部材を前記段差部に配置することにより形成されたものであり、前記スペーサ部材は、加硫ゴム、軟化温度が加硫温度以上の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、金属のうちのいずれかから構成されたものであることを特徴とする。
この空気入りタイヤ用ビードコアによれば、段差低減部材として最適な材質及び大きさの材料を選択することができるため、より確実に上記の効果を実現することができる。
また、本発明に係る空気入りタイヤは、請求項1〜請求項6のいずれか一つに記載の段差低減部材を有した空気入りタイヤ用ビードコアが配置された一対のビード部と、前記一対のビード部間に架け渡され、その両端部が前記各空気入りタイヤ用ビードコアの周りで折り返されたカーカスと、を備えたことを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、ビードワイヤの巻き始め端部によって生じる段差部に段差低減部材を設けた構成としたことで、段差量を小さくすることができる。その結果、上記段差部に起因するカーカスコードのエンド乱れを防止することができ、インナーライナのクラック発生を防止することができる。
また、本発明に係る空気入りタイヤは、前記ビードワイヤの巻き始め端部の端面と前記段差低減部材との間の距離が、前記カーカスを構成するカーカスコードの直径の1/2以内であることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、ビードワイヤの巻き始め端部の端面と前記段差低減部材との間の距離がカーカスコードの直径の1/2以内であるので、カーカスコードとビードコアとの間に確実に段差低減部材を配置することができる。その結果、上記の効果を確実に実現することができる。
本発明に係る空気入りタイヤ用ビードコア及びそのビードコアを用いた空気入りタイヤによれば、ビードワイヤの巻き始め端部によって生じる段差部に段差低減部材を設けた構成としたので、段差部に配置されるカーカスコードとビードコアとの間に生じる隙間を小さくすることができる。その結果、上記段差部に起因するカーカスコードのエンド乱れを防止することができ、インナーライナのクラック発生を防止することができる。
図1は、実施の形態1に係る空気入りタイヤのタイヤ子午線方向の断面図である。 図2は、図1に示したビードコアの一部分を示した概略斜視図である。 図3は、図2に示したビードワイヤ束をビードコアの周方向と直交する面で切断した断面図である。 図4は、実施の形態1に係るビードコアの段差低減部材付近の模式図である。 図5は、実施の形態2に係るビードコアの段差低減部材付近の模式図である。 図6は、実施の形態2に係るビードコアの段差低減部材付近の模式図である。 図7は、実施の形態3に係るビードコアの段差低減部材付近の模式図である。 図8は、実施の形態3に係るビードコアの段差低減部材付近の模式図である。 図9は、実施の形態3に係るビードコアの段差低減部材付近の模式図である。 図10は、実施の形態3に係るビードコアの段差低減部材付近の模式図である。 図11は、実施例および比較例の測定結果を示す表である。 図12は、カーカスコードオフセット量の概念を説明するための図である。 図13は、従来の空気入りタイヤにおけるビード部の子午断面図である。 図14は、従来のビードコアの一部分を示した概略斜視図である。 図15は、図14に示したビードコアの段差部付近の模式図である。
以下に、本発明に係る空気入りタイヤ用ビードコア及びそのビードコアを用いた空気入りタイヤの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的同一のものが含まれる。
以下の説明において、タイヤ幅方向とは、空気入りタイヤの回転軸(図示せず)と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面に向かう側、タイヤ幅方向外側とは、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面から離れる側をいう。ここで、タイヤ赤道面とは、空気入りタイヤの回転軸に直交すると共に、空気入りタイヤのタイヤ幅の中心を通る平面であり、タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面上にあって空気入りタイヤの周方向に沿う線をいう。また、タイヤ径方向とは、前記回転軸と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とは、タイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、前記回転軸を中心軸とする周方向である。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。図1に例示される空気入りタイヤ1は、タイヤ赤道面を中心としてほぼ対称になるように構成されたものであり、トレッド部2、サイドウォール部3、ビード部4、カーカス5、ベルト層6とを備えている。
トレッド部2は、タイヤ径方向の外側に露出した部位であり、その表面が空気入りタイヤ1の輪郭となる。トレッド部2の表面は、空気入りタイヤ1を装着する車両(図示省略)が走行した際に路面と接触する面であるトレッド面7として形成されている。サイドウォール部3は、タイヤ幅方向の最も外側に露出したものである。
ビード部4は、サイドウォール部3のタイヤ径方向内側に設けられた部位であり、タイヤ赤道面を中心として対称になるように一対設けられている。このビード部4は、本実施の形態である空気入りタイヤ用ビードコア10(以下、単に「ビードコア」とよぶ)及びビードフィラー11とを有している。
ビードコア10は、1本のビードワイヤ(スチールワイヤ)12を複数回連続して巻き回して形成した環状のビードワイヤ束から構成されるものである。ビードコア10は、空気入りタイヤ1をホイール8のリムフランジ部9に固定する役割を果たすとともに、空気入りタイヤ1の内圧によって発生するカーカス5のコード張力を支える役割をもつ。上記ビードコア10の詳しい構成については後述する。ビードフィラー11は、ビードコア10を補強するためのゴム材であり、カーカス5の両側端部がビードコア10の位置でタイヤ幅方向外側に折り返されることにより形成された空間であってビードコア10のタイヤ径方向外側に配置される。
カーカス5は、タイヤの骨格を構成するものであり、有機繊維(ナイロン(登録商標)やポリエステルなど)やスチール等からなる複数のカーカスコード(図示せず)を平行に配列してゴム材で被覆したものである。カーカス5は、上述した一対のビード部4,4間にトロイド状に掛け回され、その両端部はそれぞれビードコア10の回りにタイヤ内側から外側に向けて折り返され、ビードフィラー11に沿って巻き上げられてサイドウォール部3で係止されている。カーカスコードは、タイヤ赤道線に直交してタイヤ子午線方向に沿いつつタイヤ周方向に複数並設されている。なお、図1に示されるカーカス5は1層で構成されているが、剛性を向上させるために多層構造としてもよい。また、このカーカス5の内側あるいはカーカス5の空気入りタイヤ1における内部側には、インナーライナ(図示せず)がカーカス5に沿って形成されている。
ベルト層6は、カーカス5の外周であるタイヤ径方向外側に配置され、トレッド部2においてカーカス5をタイヤ周方向に覆うものであり、2層以上のベルト層を積層した多層構造を成している。このベルト層6は、有機繊維(ナイロン(登録商標)、ポリエステル、レーヨン、アラミドなど)やスチール等からなる複数のコードをゴム材で被覆したもので、該コードがタイヤ周方向に対して、所定の角度をつけて配置されている。
次に、上述したビードコア10の詳細な構成について説明する。図2は、ビードコア10の一部分を示した概略斜視図であり、図3は、ビードワイヤ束をビードコア10の周方向と直交する面で切断した概略断面図である。図2に例示されるビードコア10は、1本のビードワイヤ12を複数回巻き重ねて環状に形成したビードワイヤ束13にビードワイヤ留めコード14(以下、省略して「留めコード14」とよぶ)を巻き付けることによって構成されている。ビードワイヤ束13の断面形状は、図3に例示するように六角形状を成している。ここで、ビードワイヤ束13を構成するビードワイヤ本数(すなわちビードワイヤ12の巻き回し回数)は図2及び図3に例示した本数に限定されるものではない。また、ビードワイヤ束13の断面形状は、図3に示した正六角形状に限定されるものではなく、図13に示したような六角形状あるいは矩形状など他の形状であってもよい。
ビードワイヤ12は、図2に示すようにその巻き始め端部15と巻き終わり端部16とが重複するように巻き回されており、巻き始め端部15と巻き終わり端部16とが重複する部位及びその近傍部位に、上述した留めコード14が巻付けられている。図2に示すように、ビードコア10においてビードワイヤ12の巻き始め端部15と巻き終わり端部16とが重複する領域は、それ以外の領域よりもビードワイヤ束13を構成するビードワイヤ12の本数が一本多くなっている。
留めコード14は、巻き回されたビードワイヤ12のビードコア周方向への拡大(バラケ)を抑制するためにビードワイヤ束13を結束するひもであり、ビニロン(登録商標)、ナイロン(登録商標)等の有機繊維等からなるコードが好ましく用いられる。留めコード14の径は、ビードワイヤ12の径よりも小さいものが用いられる。
ここで、図2に示すように、ビードワイヤ12の巻き始め端部15はビードコア10の内周側に位置している。そのため、この巻き始め端部15によって、ビードコア10の内周側の面にはタイヤ径方向内側に凸となる段差が生じる。以下では、ビードワイヤ12の巻き始め端部15における端面18からの延長領域、かつ、端面18の近傍部位を「段差部17」とよぶ。この段差部17には、ビードワイヤ12の巻き始め端部15によって生じる段差の段差量を低減するための段差低減部材20が設けられている。本実施の形態では、図2に示すように、段差低減部材20として上述した留めコード14を利用している。より詳細に説明すると、留めコード14の巻き付け領域において、段差部17における留めコード14の巻きピッチが、段差部17以外の領域の巻きピッチよりも小さいピッチで高密度に巻き付けられることにより、段差低減部材20が形成される。
以下、この段差低減部材20について詳しく説明する。図4は、図2に示した段差低減部材20付近を模式的に示した図である。図4において、破線で示した符号5aは、ビードコア10の周りに沿って配置されるカーカス5(図1を参照)を構成するカーカスコードである。複数のカーカスコード5aは、ビードコア10の周方向に沿って一定の間隔で配列されている。なお、段差部17において、巻き始め端部15の端面18に最も近接した位置に配置されるカーカスコードを「カーカスコード5A」とする。以下では、カーカスコード5a,5Aの直径をdとして説明する。
段差低減部材20は、図4に示すように、ビードワイヤ12の巻き始め端部15における端面18から、この端面18に最も近い留めコード14までの距離Lがd/2以内であり、かつ、留めコード14の巻きピッチLがd/2以内である条件を満たしつつ、留めコード14をビードワイヤ束13の周面に2周以上螺旋状に巻き付けることにより形成されている。なお、図4では、留めコード14を5周巻き付けた例が示されている。また、段差低減部材20の高さ寸法(タイヤ径方向内側への突出量)は、ビードワイヤ12の径よりも小さく形成されている。
上述したように、生タイヤの加硫時には、カーカス5が図13に示した矢印Aの方向に引っ張られるため、各カーカスコード5aに張力が掛かる。このとき、図15に示した従来のビードコア100のように段差低減部材20が設けられていない場合、巻き始め端部150の端面180に近接するカーカスコード50Aは、図15の矢印Bの方向にずれるため、その分、タイヤ幅方向内側の部位におけるカーカスコード50Aに緩みが生じる。その結果、この緩みに起因して、サイドトレッド部(図示せず)付近においてカーカスコードのエンド乱れが生じやすくなるという問題があった。
これに対して、本実施の形態では、段差部17に上述した条件を満たすように段差低減部材20が設けられているため、ビードコア10の内周側の面に形成された段差の段差量は、段差低減部材20が設けられていない場合と比べて小さくなる。これにより、図4に示すようにカーカスコード5Aとビードコア10(留めコード14)との間の隙間の長さΔは、図15に示したΔよりも小さくなる(あるいは0となる)。その結果、加硫時にカーカスコード5Aに張力が掛かったとしても、カーカスコード5Aにおけるタイヤ幅方向内側部位には従来ほどの緩みは生じない。したがって、段差部17に起因するカーカスコードのエンド乱れを効果的に防止することが可能となる。
ここで、図4に示す距離Lがd/2を超えると、カーカスコード5Aとビードコア10との間に留めコード14が存在しないことがあり得る。この場合、上記段差の段差量は従来と変わらないため、カーカスコード5Aとビードコア10との間には、依然として長さΔ(図15を参照)の隙間が存在する。したがって、上述した効果は得られない。また、留めコード14の巻きピッチLがd/2を超えた場合も上記と同様である。すなわち、段差低減部材20において隣接する留めコード14と留めコード14との間にカーカスコード5Aが位置した場合には留めコード14が存在しないから段差量は従来と変わらない。したがって、上述した効果は得られない。
また、段差低減部材20における留めコード14の巻き回し回数は2回以上であり、段差低減部材20の巻き付け幅L(図4を参照)はカーカスコード5Aの直径dの2倍程度以上の長さであれば上記効果が得られるが、巻き付け幅Lを必要以上に大きくし過ぎるとコストが増加する。したがって、段差低減部材20の巻き付け幅Lは、カーカスコード5Aの直径dの4倍程度以内とするのが好ましい。
なお、上記効果を確実に得るためには、カーカスコード5Aから段差低減部材20における留めコード14までの距離Δをできるだけ小さくすることが好ましい。したがって、ビードワイヤ12の直径と比べて留めコード14の直径が極端に小さいような場合には、段差低減部材20における留めコード14を、タイヤ径方向に複数回巻き重ねることで、上記距離を小さくすることができる。
また、段差低減部材20は、図15に示したカーカスコード50Aとビードコア100との間の隙間Δを小さくするために設けられるものであるから、段差低減部材20の高さ寸法(タイヤ径方向内側への突出量)は、ビードワイヤ12の径よりも小さくする必要がある。
このように、上記実施の形態1に係るビードコア及びそのビードコアを用いた空気入りタイヤでは、ビードワイヤ12の巻き始め端部15によって生じる段差部17に留めコード14を巻き付けることによって段差低減部材20を設けた構成としている。段差低減部材20は、端面18から当該端面18に最も近い留めコード14までの距離がカーカスコード5Aの直径dの1/2以内であり、かつ、留めコード14の巻きピッチがd/2以内である条件を満たしつつ、留めコードが2周以上巻き回されることにより形成されるものである。上記のように構成したことで、ビードコア10の内周側の面に形成された段差の段差量を小さくすることができる。その結果、段差部17に起因するカーカスコードのエンド乱れを防止することが可能となり、インナーライナのクラック発生を防止することが可能となる。
また、実施の形態1に係る空気入りタイヤによれば、留めコード14をタイヤ径方向に複数回巻き重ねることにより段差低減部材20を形成するようにしたことで、留めコード14の径寸法がビードワイヤ12の径寸法と比べて極端に小さい場合であっても、段差部17の段差量を確実に小さくすることができる。その結果、段差部17に起因するカーカスコードのエンド乱れを確実に防止することが可能となる。
また、実施の形態1に係る空気入りタイヤによれば、ビードワイヤ12を結束する留めコード14を利用して段差低減部材20を形成しているため、段差低減部材20を設けるためのコードを別途用意する場合と比べて、低コストで上記の効果を実現することができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2の空気入りタイヤ用ビードコア及びそのビードコアを用いた空気入りタイヤについて説明する。なお、上述した実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。図5及び図6は、実施の形態2に係るビードコア10の段差低減部材20付近を模式的に示した図である。上述した実施の形態1では、ビードワイヤ束13を結束する留めコード14を利用し、段差部17に留めコード14を高密度に巻き付けることにより段差低減部材20を設けたが、実施の形態2では、留めコード14とは別個に用意した巻付部材を段差部17に巻き付けることによって段差低減部材20を設けた点が、実施の形態1の構成と異なっている。それ以外は実施の形態1の構成と同じである。
図5には、巻付部材としてコード部材30を用いた例が示されている。コード部材30としては、無機繊維コード(スチールワイヤ、スチールワイヤを複数本撚り合わせて構成されるスチールコード、)又は、有機繊維コード(ナイロン、レーヨン、ビニロン、ポリエステルコード、炭素繊維を撚り合わせた炭素繊維コード等)を用いることができる。これらのうち1種類を選択して巻き付けてもよく、また、2種類以上を併用して巻き付けてもよい。なお、留めコード14とは別個に用意したコード部材30を段差部17に巻き付ける場合、留めコードとしては、巻き始め端部15、巻き終わり端部16のビードワイヤ12をしっかり締め付けるスチールワイヤ、或いは、加硫中の温度での熱収縮が大きくその力で締め付けるナイロン、ビニロン、ポリエステルなどを用い、段差低減部材20としては汎用で安く、作業のしやすいナイロン、ビニロンやポリエステルを使用するのが好ましい。
図5に示すように、コード部材30の径は、ビードワイヤ12の径よりも小さいものが用いられる。このコード部材30からなる段差低減部材20は、上記実施の形態1と同様に、ビードワイヤ12の巻き始め端部15における端面18から、この端面18に最も近いコード部材30までの距離Lがカーカスコードの直径d/2以内であり、かつ、コード部材30の巻きピッチL(図4を参照)がd/2以内である条件を満たしつつ、コード部材30をビードワイヤ束13の周面に2周以上螺旋状に巻き付けることにより形成されている。なお、図5では、コード部材30を7周巻き付けた例が示されている。また、段差低減部材20の高さ寸法(タイヤ径方向内側への突出量)は、ビードワイヤ12の径よりも小さく形成されている。
また、図6には、巻付部材として、コード部材30よりも幅広に形成されたテープ部材40を用いた例が示されている。テープ部材40としては、ナイロン等のゴム引き材、より具体的にはナイロンやビニロンコードで補強されたゴム付き平織りテープやすだれ織りテープ等を適宜選択して用いることができる。テープ部材40の厚みは、ビードワイヤ12の径よりも小さいものが用いられる。このテープ部材40からなる段差低減部材20は、ビードワイヤ12の巻き始め端部15における端面18からテープ部材40までの距離Lがカーカスコードの直径d/2以内である条件を満たしつつ、テープ部材40をビードワイヤ束13の周面に巻き付けることにより形成されている。なお、図6では、コード部材30を1周巻き付けた例が示されているが、2周以上巻き付けた構成としてもよい。このように、段差低減部材20にコード部材30よりも幅広のテープ部材40を用いることで、ビードワイヤ束13への巻き回し回数を少なくすることができる。
上記実施の形態1と同様、図5に示したコード部材30及び図6に示したテープ部材40の巻き付け幅L(図4を参照)は、いずれもカーカスコード5Aの直径dの4倍程度以内とするのが好ましい。なお、図5及び図6に示した例では、巻付部材(コード部材30及びテープ部材40)を予めビードワイヤ束13に巻き付けた後に留めコード14でビードワイヤ束13を結束しているが、留めコード14でビードワイヤ束を結束した後に巻付部材を巻き付けた構成としてもよい。
また、上記実施の形態1と同様、カーカスコード5Aから各巻付部材(コード部材30及びテープ部材40)までの距離Δ(図4を参照)をできるだけ小さくすることが好ましい。したがって、ビードワイヤ12の直径と比べてコード部材30の直径又はテープ部材40の厚みが極端に小さいような場合には、コード部材30又はテープ部材40をタイヤ径方向に複数回巻き重ねることで、上記距離を小さくすることができる。
なお、段差低減部材20は、図15に示したカーカスコード50Aとビードコア100との間の隙間Δを小さくするために設けられるものである。したがって、上記実施の形態1と同様に、巻付部材(コード部材30及びテープ部材40)の高さ寸法(タイヤ径方向内側への突出量)は、ビードワイヤ12の径よりも小さくする必要がある。
このように、実施の形態2に係るビードコア及びそのビードコアを用いた空気入りタイヤにおいても、上記実施の形態1と同様に、段差部17に上述した条件を満たすように段差低減部材20が設けられているため、ビードコア10の内周側の面に形成された段差の段差量は、段差低減部材20が設けられていない場合と比べて小さくなる。このため、カーカスコード5Aとビードコア10(コード部材30又はテープ部材40)との間の隙間は、図15に示したΔよりも小さくなる(あるいは0となる)。その結果、加硫時にカーカスコード5Aに張力が掛かったとしても、カーカスコード5Aにおけるタイヤ幅方向内側部位には従来ほどの緩みは生じない。したがって、段差部17に起因するカーカスコードのエンド乱れを効果的に防止することができ、インナーライナのクラック発生を防止することができる。
また、上記実施の形態1と同様に、巻付部材(コード部材30又はテープ部材40)をタイヤ径方向に複数回巻き重ねる構成とすることで、コード部材30の直径又はテープ部材40の厚みがビードワイヤ12の径寸法と比べて極端に小さい場合であっても、段差部17の段差量を確実に小さくすることができる。その結果、段差部17に起因するカーカスコードのエンド乱れを確実に防止することができる。
また、実施の形態2に係るビードコア及びそのビードコアを用いた空気入りタイヤでは、ビードワイヤ12を結束する留めコード14とは別個に用意した巻付部材(コード部材30又はテープ部材40)を用いて段差低減部材20を設けている。このため、留めコード14を利用して段差低減部材20を設けた上記実施の形態1と比べて、段差低減部材20の材質や大きさとして最適なものを選択することができるという利点がある。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3の空気入りタイヤ用ビードコア及びそのビードコアを用いた空気入りタイヤについて説明する。なお、上述した実施の形態1,2と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。図7〜図10は実施の形態3に係るビードコア10の段差低減部材20付近を模式的に示した図である。各図において、(a)は、ビードコア10を図4と同じ方向から見た図であり、(b)は(a)を矢印C方向から見た図である。この実施の形態3では、上記実施の形態2で用いた巻付部材30に替えて、段差低減部材20として後述するスペーサ部材50〜80を用いた点が、実施の形態2の構成と異なっている。それ以外は上記実施の形態2の構成と同じである。
図7には、スペーサ部材として、円錐状に形成された円錐状スペーサ50を用いた例が示されている。円錐状スペーサ50は、加硫ゴム、軟化温度が加硫温度以上の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、金属等から選択された材料から構成されている。加硫ゴムとしては、23℃における硬度(JIS Hs)が50以上であるものが用いられる。また、金属としてはスチールコード等が用いられる。
この円錐状スペーサ50は、段差部17において、端面51がビードワイヤ12の端面18に対向するように配置され、接着剤等によって段差部17(ビードワイヤ12)に接合されている。円錐状スペーサ50の端面51の直径(すなわち円錐状スペーサ50の最大高さ)は、ビードワイヤ12の径以下である。ビードワイヤ12の巻き始め端部15における端面18から、円錐状スペーサ50の端面51までの距離Lは、d/2以内とするのが好ましい。また、円錐状スペーサ50の全長(ビードコア10の周方向に沿った長さ)Lは、カーカスコード5Aの直径dの4倍程度以内とするのが好ましい。
また、図8には、スペーサ部材として、一方の端部が厚く、他方の端部に向かってその厚みが次第に薄くなる楔形状に形成された楔状スペーサ60を用いた例が示されている。楔状スペーサ60は、上述した円錐状スペーサ50と同様の材料から構成されたものであり、一方の端部における端面61の厚み寸法(すなわち楔状スペーサ60の最大高さ)は、図8に示すようにビードワイヤ12の直径以下に形成されている。この楔状スペーサ60は、段差部17において、上記端面61がビードワイヤ12の端面18に対向するように配置され、接着剤等によって段差部17(ビードワイヤ12)に接合されている。ビードワイヤ12の巻き始め端部15における端面18から、楔状スペーサ60の端面61までの距離Lは、d/2以内とするのが好ましい。また、楔状スペーサ60の全長L(ビードコア10の周方向に沿った長さ)は、カーカスコード5Aの直径dの4倍程度以内とするのが好ましい。さらに、図8の(b)に示すように、楔状スペーサ60の幅寸法はビードワイヤ12の直径と同程度又はそれ以下とするのが好ましい。
また、図9には、スペーサ部材として、円筒状に形成された円筒状スペーサ70を用いた例が示されている。円筒状スペーサ70は、上述した円錐状スペーサ50と同様の材料から構成されたものであり、端面71の直径(すなわちタイヤ径方向内側への突出量)は、図9に示すようにビードワイヤ12の径よりも小さく形成されている。この円筒状スペーサ70は、段差部17において、一方の端面71がビードワイヤ12の端面18に対向するように配置され、接着剤等によって段差部17(ビードワイヤ12)に接合されている。ビードワイヤ12の巻き始め端部15における端面18から、円筒状スペーサ70の一方の端面71までの距離Lは、d/2以内とするのが好ましい。また、円筒状スペーサ70の全長L(ビードコア10の周方向に沿った長さ)は、カーカスコード5Aの直径dの4倍程度以内とするのが好ましい。
さらに、図10には、スペーサ部材として、直方体形状に形成された直方体状スペーサ80を用いた例が示されている。直方体状スペーサ80は、上述した円錐状スペーサ50と同様の材料から構成されたものであり、その高さ(すなわちタイヤ径方向内側への突出量)は、図10に示すようにビードワイヤ12の径よりも小さく形成されている。この直方体状スペーサ80は、段差部17において、端面81がビードワイヤ12の端面18に対向するように配置され、接着剤等によって段差部17(ビードワイヤ12)に接合されている。ビードワイヤ12の巻き始め端部15における端面18から、直方体状スペーサ80の端面81までの距離Lは、d/2以内とするのが好ましい。また、直方体状スペーサ80の全長L(ビードコア10の周方向に沿った長さ)は、カーカスコード5Aの直径dの4倍程度以内とするのが好ましい。さらに、図10の(b)に示すように、直方体状スペーサ80の幅寸法は、ビードワイヤ12の直径と同等又はそれ以下とするのが好ましい。
このように、実施の形態3に係るビードコア及びそのビードコアを用いた空気入りタイヤにおいても、段差部17上述した条件を満たすように段差低減部材20が設けられているため、ビードコア10の内周側の面に形成された段差の段差量は、段差低減部材20が設けられていない場合と比べて小さくなる。これにより、カーカスコード5Aとビードコア10(スペーサ部材)との間の隙間は、図15に示したΔよりも小さくなる(あるいは0となる)。その結果、加硫時にカーカスコード5Aに張力が掛かったとしても、カーカスコード5Aにおけるタイヤ幅方向内側部位には従来ほどの緩みは生じない。したがって、段差部17に起因するカーカスコードのエンド乱れを効果的に防止することができ、インナーライナのクラック発生を防止することができる。
また、実施の形態3では、上記実施の形態2と同様に、ビードワイヤ12を結束する留めコード14とは別個に用意した部材を用いて段差低減部材20を設けている。このため、留めコード14を利用して段差低減部材20を設けた上記実施の形態1と比べて、段差低減部材20の材質や大きさとして最適なものを選択することができるという利点がある。
さらに、実施の形態3では、上述したスペーサ部材50〜80を接着材等によって段差部70に接着するだけでよいので、実施の形態1の留めコード14や実施の形態2の巻付部材(コード部材30及びテープ部材40)を用いる場合と比べて、段差低減部材20の設置作業が容易である。
上述した実施の形態1〜3の空気入りタイヤの効果を確認するために、図11に示す条件で12個の空気入りタイヤを作成した。すべての実施例及び比較例において、カーカスコードの直径dは1.0mm、ビードワイヤの直径は1.6mmとした。
(実施例1〜6,比較例1,2)
直径0.2mmの留めコードを図4に示したように段差部に巻き付けることにより、段差部に段差低減部材を形成した。留めコードの材質としてはビニロン(1200d/200f/1)を用いた。図11に示すように、ビードワイヤの巻き始め端部における端面から留めコード(段差低減部材)までの距離Lと、留めコードの巻き付け幅Lとを異ならせた実施例1〜6、比較例1,2の8個の空気入りタイヤを作成した。なお、留めコードの巻きピッチLは、上記実施例及び比較例においてすべて0.2mmとした。なお、実施例6では、段差低減部材の留めコードをタイヤ径方向に2回巻き重ねた構成(2重巻き)とした。
(実施例7,8,比較例3)
段差低減部材として円筒状スペーサを用い、図9に示したように段差部に配置し、接着材で段差部に接合した。円筒状スペーサの材質としては加硫ゴムを用いた。図11に示すように、ビードワイヤの巻き始め端部における端面から円筒状スペーサ(段差低減部材)までの距離Lと、円筒状スペーサの径とを異ならせた実施例7,8,比較例4の3個の空気入りタイヤを作成した。なお、円筒状スペーサの全長L(ビードコアの周方向に沿った長さ)は、上記実施例及び比較例においてすべて10mmとした。
(比較例4)
ビードコアに段差低減部材が設けられていない従来の空気入りタイヤを作成した。
X線装置を用いて、生タイヤの加硫前と加硫後における、バットレス部のビードワイヤ巻き始め端部前後に対応するカーカスコードオフセット量を測定した。ここで、カーカスコードオフセット量とは、図12に示すように、カーカスコードの移動後の位置を、移動前の元の位置からの差(距離)で表した量であり、(a−b)/2で表されるものである。このカーカスコードオフセット量が1mm以上となった場合、カーカスコードの目開きが発生する可能性が高くなる。図11に測定結果を示す。
図11に示すように、ビードワイヤの巻き始め端部における端面から留めコードまでの距離Lが0.3mm(すなわちカーカスコードの直径dの1/2未満)である実施例1,3〜6では、いずれもカーカスコードオフセット量が0であり、良好な結果が得られた。また、Lが0.5mm(=d/2)である実施例2についても、カーカスコードオフセット量が極めて小さく、良好な結果が得られた。さらに、段差低減部材の巻き付け幅Lが2mm(=2d)である実施例1と、巻き付け幅Lが20mm(=20d)である実施例5では、いずれもカーカスコードオフセット量が0となっている。この結果から、段差低減部材の巻き付け幅Lは、カーカスコードの直径dの2倍程度で十分な効果が得られることが分かる。
これに対して、ビードワイヤの巻き始め端部における端面から留めコードまでの距離Lが0.5mm(=d/2)を超えている比較例1,2は、いずれもカーカスコードオフセット量が1mm以上となり、上記の効果が得られないことが分かる。
また、ビードワイヤの巻き始め端部における端面から円筒状スペーサまでの距離Lが0.3mm(すなわちカーカスコードの直径dの1/2未満)である実施例7は、カーカスコードオフセット量が0であり、良好な結果が得られた。同様に、ビードワイヤの巻き始め端部における端面から円筒状スペーサまでの距離Lがカーカスコードの直径d未満である実施例8においても、カーカスコードオフセット量が小さく、良好な結果が得られた。
これに対して、ビードワイヤの巻き始め端部における端面から円筒状スペーサまでの距離Lがカーカスコードの直径dを超えている比較例3、及び、段差低減部材が設けられていない比較例4は、実施例と比べてカーカスコードオフセット量が大きく、良好な結果が得られなかった。
以上のように、本発明に係る空気入りタイヤ用ビードコア及びそのビードコアを用いた空気入りタイヤは、ビードコアを構成するビードワイヤの巻き始め端部によって生じる段差に起因するカーカスコードのエンド乱れを防止するものであり、シングルワインド構造のビードコアを備えた空気入りタイヤに有用である。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 カーカス
5a,5A カーカスコード
6 ベルト層
7 トレッド面
8 ホイール
9 リムフランジ部
10 ビードコア
11 ビードフィラー
12 ビードワイヤ
13 ビードワイヤ束
14 留めコード
15 巻き始め端部
16 巻き終わり端部
17 段差部
18 巻き始め端部の端面
20 段差低減部材
30 コード部材
40 テープ部材
50 円錐状スペーサ
51 (円錐状スペーサの)端面
60 楔状スペーサ
61 (楔状スペーサの)端面
70 円筒状スペーサ
71 (円筒状スペーサの)端面
80 直方体状スペーサ
81 (直方体状スペーサの)端面

Claims (8)

  1. 一本のビードワイヤを複数回巻き回して環状に形成したビードワイヤ束から構成された空気入りタイヤ用のビードコアにおいて、
    前記ビードワイヤの巻き始め端部によって生じる段差部に段差低減部材を設けたことを特徴とする空気入りタイヤ用ビードコア。
  2. 前記段差低減部材の最大高さは、前記ビードワイヤの直径よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ用ビードコア。
  3. 前記ビードワイヤ束に所定のピッチで巻き付けられることにより前記ビードワイヤ束を結束する留めコードを備え、
    前記段差低減部材は、
    前記留めコードを前記段差部以外の領域に比して小さい巻きピッチで巻き付けることにより形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ用ビードコア。
  4. 前記段差低減部材は、
    コード部材を前記段差部に巻き付けることにより形成されたものであり、
    前記コード部材は、
    無機繊維コード、有機繊維コードのいずれかから一種類以上選択して用いられることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ用ビードコア。
  5. 前記段差低減部材は、
    テープ部材を前記段差部に巻き付けることにより形成されたものであり、
    前記テープ部材は、ナイロンまたはビニロンで補強されたゴム付き平織りテープまたはすだれ織りテープのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ用ビードコア。
  6. 前記段差低減部材は、
    スペーサ部材を前記段差部に配置することにより形成されたものであり、
    前記スペーサ部材は、加硫ゴム、軟化温度が加硫温度以上の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、金属のいずれかから構成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ用ビードコア。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一つに記載の段差低減部材を有したビードコアが配置された一対のビード部と、
    前記一対のビード部間に架け渡され、その両端部が前記各ビードコアの周りで折り返されたカーカスと、を備えたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  8. 前記ビードワイヤの巻き始め端部の端面と前記段差低減部材との間の距離が、前記カーカスを構成するカーカスコードの直径の1/2以内であることを特徴とする請求項7に記載の空気入りタイヤ。
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