JP2011056495A - 重金属の溶出防止方法 - Google Patents

重金属の溶出防止方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2011056495A
JP2011056495A JP2010066390A JP2010066390A JP2011056495A JP 2011056495 A JP2011056495 A JP 2011056495A JP 2010066390 A JP2010066390 A JP 2010066390A JP 2010066390 A JP2010066390 A JP 2010066390A JP 2011056495 A JP2011056495 A JP 2011056495A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
calcium
fly ash
compound
elution
added
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010066390A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5359955B2 (ja
Inventor
Mitsuhiro Masuko
光博 益子
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kurita Water Industries Ltd
Original Assignee
Kurita Water Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kurita Water Industries Ltd filed Critical Kurita Water Industries Ltd
Priority to JP2010066390A priority Critical patent/JP5359955B2/ja
Publication of JP2011056495A publication Critical patent/JP2011056495A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5359955B2 publication Critical patent/JP5359955B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Treating Waste Gases (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Abstract

【課題】燃焼排ガスに対し炭酸水素ナトリウム等の炭酸含有アルカリ金属化合物を噴霧した場合において、飛灰に対しリン酸を単独で添加したときよりも鉛の溶出を減少させることができる重金属の溶出防止方法を提供する。
【解決手段】燃焼排ガスに対し炭酸含有アルカリ金属化合物を噴霧により添加する。飛灰に対しカルシウム化合物を添加すると共に、環境庁告示13号試験(L/S=10)で示される溶出液のpHを8〜11に調整し、かつ溶出液中のカルシウムイオン濃度を50mg/L以上に調整する。カルシウム化合物としては、具体的には、消石灰、塩化カルシウム、生石灰、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、カルシウムシリコン、酢酸カルシウム等のほか、カルシウム有機酸塩が例示される。中でも、消石灰及び塩化カルシウムは、カルシウムの溶解性が良く、好適である。
【選択図】なし

Description

本発明は、都市ごみ廃棄物焼却炉、産業廃棄物焼却炉、発電ボイラ、炭化炉、民間工場等の燃焼施設において捕集した飛灰からの重金属の溶出を防止する方法に関するものである。
特開平9−99215に記載されているように、塩化水素や硫黄酸化物を含む排ガスに消石灰を噴霧した後、集塵機で除塵することが広く行われている。捕集された飛灰は、セメント、キレート剤、リン酸等の重金属固定剤でPb等の重金属を不溶化し、埋立処分される。その中でもリン酸化合物による重金属固定は、クロロピロモルファイトを形成し鉱物の形態で長期安定的に重金属固定を固定できる点で効果的である。
排煙からの硫黄酸化物の除去効率を高くするために、消石灰などのカルシウム化合物よりも硫黄酸化物との反応性が高い炭酸水素ナトリウムを噴霧することがある(特開2002−263442、特開2006−110423)。ただし、このように炭酸水素ナトリウムを噴霧した場合、カルシウム化合物を噴霧した場合に比べて重金属の溶出量が多くなることがあるので、特開2006−110423では飛灰に対し、リン酸、リン酸塩又は鉄(II)塩を添加して重金属の溶出を減少させることが記載されている。
特開平9−99215 特開2002−263442 特開2006−110423
上述の通り、燃焼排ガスに対する炭酸水素ナトリウム等の炭酸含有アルカリ化合物の添加量を増加させた場合、集塵された飛灰に含まれる鉛の溶出が多くなることがある。これは、溶出液中の炭酸が鉛と結合し、通常のPb(OH)よりも溶解度の高いPbCOやPbCO・PbOの様な化合物を形成するためであると推察される。
本発明は、燃焼排ガスに対し炭酸水素ナトリウム等の炭酸含有アルカリ金属化合物を噴霧した場合において、飛灰に対しリン酸等の重金属固定化剤を単独で添加したときよりも鉛の溶出を減少させることができる重金属の溶出防止方法を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の重金属の溶出防止方法は、炭酸含有アルカリ化合物を噴霧した燃焼排ガスから捕集された飛灰からの重金属溶出を防止する方法において、飛灰に対しカルシウム溶出性のカルシウム化合物を添加すると共に、環境庁告示13号試験(L/S=10)で示される溶出液のpHを8.0〜11に調整し、かつ該溶出液中のカルシウムイオン濃度を50mg/L以上に調整することを特徴とするものである。
請求項2の重金属の溶出防止方法は、請求項1において、炭酸含有アルカリ金属化合物が、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、及び天然ソーダの少なくとも1種であることを特徴とするものである。
請求項3の重金属の溶出防止方法は、請求項1又は2において、カルシウム化合物が消石灰及び/又は塩化カルシウムであることを特徴とするものである。
請求項4の重金属の溶出防止方法は、請求項1ないし3のいずれか1項において、飛灰に対しさらにリン酸化合物及び/又は有機キレート化合物を添加することを特徴とするものである。
請求項5の重金属の溶出防止方法は、請求項1ないし4のいずれか1項において、溶出液中のカルシウムイオン濃度を50〜3000mg/Lに調整することを特徴とするものである。
請求項6の重金属の溶出防止方法は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記溶出液中の炭酸と重炭酸を合算した炭酸濃度が900mg−CO/L以下であることを特徴とするものである。
請求項7の重金属の溶出防止方法は、請求項1ないし6のいずれか1項において、前記溶出液のpH及びカルシウムイオン濃度が前記範囲となるように飛灰に対して前記カルシウム化合物を添加することを特徴とするものである。
炭酸含有アルカリ金属化合物を噴霧した燃焼排ガスから捕集される炭酸含有飛灰に対し、水酸化カルシウムや塩化カルシウム等のカルシウム化合物を添加することにより、鉛の溶出を防止できることが見出された。これは、カルシウム化合物添加により炭酸を炭酸カルシウムとして固定することにより、鉛が溶解度の低いPb(OH)の形態に変換されるためであると推察される。なお、環境庁告示13号試験(L/S=10)における溶出液中のpHを8〜11、より好ましくは9〜10.5に調整すると共に、カルシウム濃度を50mg/L以上に調整することにより、炭酸を含有する難処理飛灰においても安定した重金属の処理効果を得ることができる。
本発明では、溶出液に更にリン酸化合物及び/又は有機キレート化合物を添加することにより、同様に安定した重金属の処理効果を得ることができる。
なお、溶出液中の炭酸と重炭酸を合算した炭酸濃度は、900mg−CO/L以下に調整されるのが好ましい。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明では、都市ごみ廃棄物焼却炉、産業廃棄物焼却炉、発電ボイラ、炭化炉、民間工場等の燃焼施設において発生する燃焼排ガスに対し炭酸含有アルカリ金属化合物を噴霧により添加する。炭酸含有アルカリ金属化合物の噴霧位置は、バグフィルタ、電気集塵機などの集塵機よりも上流側とする。炭酸含有アルカリ金属化合物の添加量は、炭酸含有アルカリ金属化合物噴霧前の燃焼排ガス又は集塵機よりも下流側のガス中の硫黄酸化物及び/又は塩化水素濃度を計測し、この計測値に応じて制御されるのが好ましいが、炭酸水素ナトリウムの場合、通常は上記燃焼施設にて発生する主要な酸性ガスであるHCl、SOの合算量に対し、0.5〜3当量、特に0.7〜1.5当量程度添加するのが好ましい。
炭酸含有アルカリ化合物としては、炭酸を含有するアルカリ物質であれば良く、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、天然ソーダが例示できる。
炭酸含有アルカリ化合物は、硫黄酸化物や塩化水素などの酸性ガスとの反応性を高くするために、粒子径が30μm以下、特に5〜20μmの微粉であることが好ましい。この炭酸含有アルカリ化合物は、粒径を調整した剤を適用しても良いし、粉砕設備を設け、粒径の粗い炭酸含有アルカリ化合物を現地で粉砕しながら添加しても良い。
本発明では、燃焼排ガスに対し、炭酸含有アルカリ化合物だけでなく、さらに消石灰などのカルシウム化合物を噴霧添加してもよい。これにより、燃焼排ガス中の硫黄酸化物や塩化水素などをさらに低減することができる。このカルシウム化合物としては消石灰が好適であり、中でも比表面積が高い例えばBET比表面積が30m/g以上とりわけ35m/g以上のものが好適である。高比表面積の消石灰は、酸性ガスとの反応性が高く、より効率的で安定した処理が可能となる。ただし、消石灰の比表面積は上記以外であってもよい。また消石灰の添加位置は、集塵機前排ガスに添加してもよいしガス冷却塔の減温水に添加し、スラリーとして噴霧してもよい。スラリーとして用いる場合には、1〜20%のスラリーとして用いるのが好ましい。
本発明では、飛灰に対しカルシウム化合物を添加すると共に、環境庁告示13号試験(L/S=10)で示される溶出液のpHを8.0〜11に調整し、かつ溶出液中のカルシウムイオン濃度を50mg/L以上に調整する。
飛灰に対してカルシウム溶出性のカルシウム化合物を添加することにより、前述の通り、飛灰又は溶出液中の炭酸が炭酸カルシウムとして固定され、PbCO、PbCO・PbOなどの可溶性鉛化合物の生成が抑制され、鉛の溶出が防止される。
本発明は、飛灰のカルシウム含有量にもよるが、炭酸含有量が90,000mg−CO/kg以上である飛灰に対して適用すると効果が高い。これは、飛灰の炭酸含有量がカルシウム含有量に対し、0.8当量以上、特に1当量以上の場合、炭酸が溶出液中に増加するためである。
カルシウム化合物としては、水への溶解度の高い化合物が好ましい。カルシウム化合物としては、具体的には、消石灰、塩化カルシウム、生石灰、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、カルシウムシリコン、酢酸カルシウム等のほか、カルシウム有機酸塩が例示される。中でも、消石灰及び塩化カルシウムは、カルシウムの溶解性が良く、好適である。なお、反応の機構上、炭酸カルシウムは不適である。
これらカルシウム化合物の添加場所に特に制限は無く、飛灰中に添加されれば良い。重金属固定剤を添加する混練機手前に添加しても良く、バグフィルター等の集塵機から混練機に輸送するコンベアに添加しても良く、燃焼排ガスに噴霧しても良い。また、カルシウム化合物と後述の重金属固定剤、中和剤、鉄系化合物、固化剤の少なくとも1種以上とを混合して添加しても良い。このようにカルシウム化合物を各種薬剤と混合して添加する場合、薬剤添加設備の数を少なくでき、スペース的にもコスト的にも好適である。
カルシウム化合物の添加量は、飛灰中のカルシウム含有量にもよるが、飛灰中のCO 2−とHCO との合量に対し、0.1〜2当量倍特に0.2〜1当量倍程度とするのが好ましい。
なお、燃焼排ガス中に消石灰を噴霧した場合であって、消石灰の噴霧量がこのカルシウム化合物添加量の範囲に入る場合には、捕集した飛灰に対してはカルシウム化合物を添加しなくてもよい。
本発明では、捕集した飛灰の環境庁告示13号試験(L/S=10)で示される溶出液のpHが8.0〜11、好ましくは8.5〜11、特に好ましくは9〜10.5となるように調整する。pHをこの範囲に調整するために、上記カルシウム化合物として水酸化カルシウム(消石灰)を用いるのが好ましいが、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を添加してもよい。
本発明では、溶出液中のカルシウム濃度を50mg/L以上、好ましくは50〜3000mg/L特に好ましくは100〜500mg/Lに調整する。これにより、飛灰からの重金属特に鉛の溶出を減少させることができる。溶出液中のカルシウム濃度を50mg/L以上とするためには、上記のカルシウム化合物の添加量を調整すればよい。
本発明では、捕集した飛灰に対しリン酸化合物及び/又は有機キレートなどの重金属固定剤を添加することにより、重金属の溶出量をさらに低減することができる。なお、リン酸化合物を飛灰に添加すると、クロロピロモルファイトを形成し、重金属が鉱物の形態で長期固定化される。リン酸化合物としては、水溶性のリン酸もしくはリン酸塩が好適である。その形態は粉体でも、水溶液でも良い。リン酸としては、正リン酸(オルソリン酸)、ポリリン酸、メタリン酸、次リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、過リン酸が例示される。リン酸塩としては、第一リン酸ソーダ、第二リン酸ソーダ、第三リン酸ソーダ、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、第三リン酸カリウム、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第一リン酸マグネシウム、第二リン酸マグネシウム、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、過燐酸石灰、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウムなどが例示される。これらの中でも、特に正リン酸、第一リン酸塩、第二リン酸塩、第三リン酸塩、トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ピロリン酸塩は良好な重金属固定効果を示す。なお、正リン酸等は、酸度が高く、配管への腐食の懸念があるため、リン酸塩の水溶液や水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を混合し、pHを3以上にして適用するようにしてもよい。
有機キレート化合物としては、ピペラジンジチオカルバミン酸又はその塩、ジエチルジチオカルバミン酸又はその塩、ジメチルジチオカルバミン酸又はその塩、ジブチルジチオカルバミン酸又はその塩等が例示される。また、上記有機キレート化合物の塩としては、ナトリウム塩又はカリウム塩が好ましい。
飛灰中のアルカリ残分が多い場合、安価な塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩酸、硫酸バンド等の中和剤を飛灰に添加しても良い。また、六価クロム、砒素、セレン、水銀等が溶出する場合には、これらの溶出を抑制するために、鉄系化合物の添加が有効である。鉄系化合物としては、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸鉄、鉄粉などが例示され、塩化第一鉄が最も好ましい。
飛灰の固化処理を行う際には、固化剤として焼き石膏、ポルトランドセメント、早強セメント、ジェットセメント、高炉セメント、アルミナセメント等のセメント類を添加しても良い。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[試料飛灰]
産業廃棄物焼却施設において、排ガス煙道(180℃、ガス流量12,000N−m/h)に対し平均粒子径8μmの炭酸水素ナトリウムを30kg/hで噴霧した飛灰(以下、飛灰Aという。)と、ゴミ質変動に伴って酸性ガス濃度が高くなったために、同一煙道にこの炭酸水素ナトリウムを60kg/hで噴霧した飛灰(以下、飛灰Bと称す。)を採取した。
各飛灰のPb、Cd、Ca含有量及びCO 2−+HCO の含有量の合計値(mg−CO/kg)を表1に示す。
Figure 2011056495
[予備テスト1,2]
まず、飛灰A,BからのPb等の重金属の溶出挙動を評価するため、各飛灰A,B50gに純水500g(L/S=10)を加え、スターラーで6時間連続攪拌した。連続攪拌時には、pH電極によりpHの測定を行い、pH調整剤として塩酸(6N)または水酸化ナトリウム(5N)を滴下して、pHを約10.5に調整しながら攪拌を行った。6時間の連続攪拌後、ろ紙(アドバンテックGS−25,1μm)でろ過し、ろ液のpHとろ液中のPb、Cd、Ca、CO 2−、HCO 濃度を測定し、表2に示した。この予備テスト1,2は、Pbの溶出量はpHにより大きく変化するため、ほぼ同一pHに調整した場合における、飛灰組成によるPbの溶出挙動の差を把握するために実施した。なお、本試験ではpH調整剤を滴下しながら攪拌を行っているが、あらかじめ同量のpH調整剤を添加した上で環境庁告示13号試験(L/S=10)で示される溶出液を得ても同等の結果となる。
Figure 2011056495
表1の通り、飛灰Bは飛灰Aに比べて、炭酸(CO 2−+HCO )の含有量が大幅に増加している。
また、表2の通り、飛灰Bは飛灰Aに比べてPb溶出量が大幅に上昇している。飛灰Bの場合、通常の重金属固定剤(リン酸、有機キレート)の添加処理ではPbの溶出量が埋立基準(Pb<0.3mg/L、Cd<0.3mg/L)を超えるレベルとなっている。
また、飛灰Bは飛灰Aに比べ溶出液中の炭酸濃度が大幅に増加すると共に、溶出液中のCaイオン濃度が大幅に低下している。これは、炭酸水素ナトリウムの噴霧量を増加させた飛灰Bからは炭酸が多量に溶出し、カルシウムイオンが炭酸と反応して炭酸カルシウムを形成するためである。
[試験No.1〜7(カルシウム化合物添加なし。pH7.6〜11.6)]
飛灰Bの溶出液を塩酸(6N)及び水酸化ナトリウム(5N)によってpHを7.6〜11.6の間で種々変え、上記予備テスト1,2と同一条件(L/S=10.6時間連続撹拌)にて重金属を溶出させた場合のPb、Cd及び炭酸濃度を測定した。結果を表3に示す。
表3の通り、この試験No.1〜7ではカルシウム化合物を添加しておらず、溶出液中のPb、Cd濃度が高い。
[試験No.8〜14(水酸化カルシウムを10%添加。pH7.6〜11.6)]
飛灰Bに水酸化カルシウムを10重量%添加したこと以外は試験No.1〜7と同様にして、重金属を溶出させた場合のPb、Cd及び炭酸濃度を測定した。結果を表3に示す。
表3の通り、pH=8.5〜11.0とした試験No.10〜13では溶出液中のPb、Cd濃度が低いが、pH=7.6,7.9としたNo.8,9ではPb、Cd濃度がやや高く、pH=11.6としたNo.14ではPb濃度が高い。
[試験No.15〜19(水酸化カルシウムを10%、リン酸水溶液(75%濃度)を5%添加。pH7.6〜11.7)]
飛灰Bに水酸化カルシウムを10重量%及び75重量%濃度のリン酸水溶液を5%添加したこと以外は試験No.1〜7と同様にして、重金属を溶出させた場合のPb、Cd及び炭酸濃度を測定した。結果を表3に示す。
表3の通り、pH=8.1〜11.0とした試験No.16〜18では溶出液中のPb、Cd濃度が低いが、pH=7.6としたNo.15ではCd濃度がやや高く、pH=11.7としたNo.19ではPb濃度が高い。
[試験No.20〜24(水酸化カルシウムを10%及び有機キレート剤添加。pH7.5〜11.5)]
飛灰Bに水酸化カルシウムを10重量%及び有機キレート剤(40重量%濃度のピペラジンジチオカルバミン酸カリウム水溶液)を1%添加したこと以外は試験No.1〜7と同様にして、重金属を溶出させた場合のPb、Cd及び炭酸濃度を測定した。結果を表3に示す。
表3の通り、pH=8.1〜11.0とした試験No.21〜23では溶出液中のPb、Cd濃度が低いが、pH=7.5としたNo.20ではCd濃度がやや高く、pH=11.5としたNo.24ではPb濃度が高い。
Figure 2011056495
[試験No.25〜28(Ca化合物を変えた試験)]
<試験No.25>
試験No.12においてCa(OH)10重量%添加の代わりにCaCOを10重量%添加し、pHを10.2に調整したこと以外は同様にして重金属の溶出試験を行った。結果を表4に示す。
<試験No.26>
試験No.12においてCa(OH)10重量%添加の代わりにCaClを10重量%添加し、pHを10.1に調整したこと以外は同様にして重金属の溶出試験を行った。結果を表4に示す。
<試験No.27>
試験No.12においてCa(OH)10重量%添加の代わりにCaCOを10重量%添加し、さらにNo.17と同様のリン酸を添加し、pHを10.1に調整したこと以外は同様にして重金属の溶出試験を行った。結果を表4に示す。
<試験No.28>
試験No.12においてCa(OH)10重量%添加の代わりにCaClを10重量%添加し、さらにNo.17と同様のリン酸を添加し、pHを10.2に調整したこと以外は同様にして重金属の溶出試験を行った。結果を表4に示す。
Figure 2011056495
表4の通り、Ca(OH)の代わりにCaClを用いた場合は、Ca(OH)の場合と同様に、Pb、Cdの溶出を低くすることができるが、CaCOを用いた場合は、Pbの溶出量が多くなる。これは、CaCOを用いた場合、溶出液中の炭酸濃度が高くなり、可溶性Pb化合物が生成するためである。
[試験No.29,30(カルシウム化合物無添加。リン酸又はキレート剤のみ添加)]
Ca(OH)を添加しなかった場合の影響について試験を行った。
即ち、Ca(OH)とリン酸とを添加する試験No.17においてCa(OH)を添加しなかった場合(ただし、pH=10.3)を試験No.29とした。また、Ca(OH)とキレート剤とを添加する試験No.22においてCa(OH)を添加しなかった場合を試験No.30とした。結果を表5に示す。
Figure 2011056495
表5の通り、Ca化合物を添加しないと、溶出液中のPb濃度が高くなる。
なお、参考までに、飛灰AについてNo.29,30と同様の試験を行い、結果を表6に示した。
Figure 2011056495
表6の通り、炭酸水素ナトリウムの噴霧量が少ない飛灰Aの場合は、リン酸やキレート剤によってPb、Cdの溶出が十分に低減される。
以上の実施例及び比較例より、炭酸水素ナトリウムを噴霧して捕集した飛灰に対して、カルシウム溶出性カルシウム化合物を添加することにより、Pbの溶出量を大幅に低減できることが明らかである。また、このカルシウム化合物を添加した際のpHを8.0〜11、好ましくは8.5〜11、特に好ましくは9〜10.5に調整することによりPb,Cd等の重金属を安定して処理することができる。更に、リン酸化合物、有機キレート剤を併用した場合は、Pb、Cd等の重金属の溶出を安定して防止できることが認められた。

Claims (7)

  1. 炭酸含有アルカリ化合物を噴霧した燃焼排ガスから捕集された飛灰からの重金属溶出を防止する方法において、
    飛灰に対しカルシウム溶出性のカルシウム化合物を添加すると共に、
    環境庁告示13号試験(L/S=10)で示される溶出液のpHを8.0〜11に調整し、かつ該溶出液中のカルシウムイオン濃度を50mg/L以上に調整することを特徴とする重金属の溶出防止方法。
  2. 請求項1において、炭酸含有アルカリ金属化合物が、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、及び天然ソーダの少なくとも1種であることを特徴とする重金属の溶出防止方法。
  3. 請求項1又は2において、カルシウム化合物が消石灰及び/又は塩化カルシウムであることを特徴とする重金属の溶出防止方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、飛灰に対しさらにリン酸化合物及び/又は有機キレート化合物を添加することを特徴とする重金属の溶出防止方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、溶出液中のカルシウムイオン濃度を50〜3000mg/Lに調整することを特徴とする重金属の溶出防止方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記溶出液中の炭酸と重炭酸を合算した炭酸濃度が900mg−CO/L以下であることを特徴とする重金属の溶出防止方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、前記溶出液のpH及びカルシウムイオン濃度が前記範囲となるように飛灰に対して前記カルシウム化合物を添加することを特徴とする重金属の溶出防止方法。
JP2010066390A 2009-08-11 2010-03-23 重金属の溶出防止方法 Active JP5359955B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010066390A JP5359955B2 (ja) 2009-08-11 2010-03-23 重金属の溶出防止方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009186725 2009-08-11
JP2009186725 2009-08-11
JP2010066390A JP5359955B2 (ja) 2009-08-11 2010-03-23 重金属の溶出防止方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011056495A true JP2011056495A (ja) 2011-03-24
JP5359955B2 JP5359955B2 (ja) 2013-12-04

Family

ID=43944769

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010066390A Active JP5359955B2 (ja) 2009-08-11 2010-03-23 重金属の溶出防止方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5359955B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012176892A1 (ja) * 2011-06-24 2012-12-27 東ソー株式会社 重金属処理剤の必要添加量決定方法、重金属含有物の処理方法、並びに重金属処理剤
JP2013136026A (ja) * 2011-12-28 2013-07-11 Tosoh Corp 重金属処理剤の必要添加量決定方法及び重金属含有物の処理方法
JP2014008420A (ja) * 2012-06-27 2014-01-20 Kurita Water Ind Ltd 飛灰等の処理方法及び飛灰等の処理に用いられる鉄塩の添加量決定方法
CN103747839A (zh) * 2011-06-24 2014-04-23 东曹株式会社 重金属处理剂的必要添加量确定方法、重金属含有物的处理方法、及重金属处理剂
JP2014100670A (ja) * 2012-11-20 2014-06-05 Kurita Water Ind Ltd 酸性ガス安定処理方法及び燃焼排ガス処理施設
TWI469821B (zh) * 2011-03-29 2015-01-21 Kurita Water Ind Ltd 含重金屬的固態物的處理方法
JP2015081265A (ja) * 2013-10-21 2015-04-27 株式会社土地改良センター 重金属被覆固化剤
JP2015217314A (ja) * 2014-05-13 2015-12-07 国立研究開発法人国立環境研究所 焼却灰の処理方法
WO2021079824A1 (ja) * 2019-10-24 2021-04-29 Agc株式会社 排ガス処理方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003181411A (ja) * 2001-12-20 2003-07-02 Ebara Corp 重金属類溶出防止剤及び汚染媒体の処理方法
JP2006110423A (ja) * 2004-10-13 2006-04-27 Kurita Water Ind Ltd 飛灰の処理方法
JP2007167818A (ja) * 2005-12-26 2007-07-05 Ebara Engineering Service Co Ltd 排ガスの処理薬剤及び排ガスの処理方法
JP2008212923A (ja) * 2007-02-07 2008-09-18 Ryoko Lime Industry Co Ltd 排ガス処理剤、および排ガス処理方法、処理システム。
JP2008272591A (ja) * 2007-02-23 2008-11-13 Kurita Water Ind Ltd 重金属含有灰の処理方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003181411A (ja) * 2001-12-20 2003-07-02 Ebara Corp 重金属類溶出防止剤及び汚染媒体の処理方法
JP2006110423A (ja) * 2004-10-13 2006-04-27 Kurita Water Ind Ltd 飛灰の処理方法
JP2007167818A (ja) * 2005-12-26 2007-07-05 Ebara Engineering Service Co Ltd 排ガスの処理薬剤及び排ガスの処理方法
JP2008212923A (ja) * 2007-02-07 2008-09-18 Ryoko Lime Industry Co Ltd 排ガス処理剤、および排ガス処理方法、処理システム。
JP2008272591A (ja) * 2007-02-23 2008-11-13 Kurita Water Ind Ltd 重金属含有灰の処理方法

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
第10回廃棄物学会研究発表会 講演論文集, JPN6013004353, 1999, pages 521 - 523, ISSN: 0002601426 *
第13回廃棄物学会研究発表会 講演論文集, JPN6013004351, 2002, pages 1028 - 1030, ISSN: 0002601425 *

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI469821B (zh) * 2011-03-29 2015-01-21 Kurita Water Ind Ltd 含重金屬的固態物的處理方法
WO2012176892A1 (ja) * 2011-06-24 2012-12-27 東ソー株式会社 重金属処理剤の必要添加量決定方法、重金属含有物の処理方法、並びに重金属処理剤
CN103747839A (zh) * 2011-06-24 2014-04-23 东曹株式会社 重金属处理剂的必要添加量确定方法、重金属含有物的处理方法、及重金属处理剂
CN103747839B (zh) * 2011-06-24 2016-08-17 东曹株式会社 重金属处理剂的必要添加量确定方法、重金属含有物的处理方法、及重金属处理剂
JP2013136026A (ja) * 2011-12-28 2013-07-11 Tosoh Corp 重金属処理剤の必要添加量決定方法及び重金属含有物の処理方法
JP2014008420A (ja) * 2012-06-27 2014-01-20 Kurita Water Ind Ltd 飛灰等の処理方法及び飛灰等の処理に用いられる鉄塩の添加量決定方法
JP2014100670A (ja) * 2012-11-20 2014-06-05 Kurita Water Ind Ltd 酸性ガス安定処理方法及び燃焼排ガス処理施設
JP2015081265A (ja) * 2013-10-21 2015-04-27 株式会社土地改良センター 重金属被覆固化剤
JP2015217314A (ja) * 2014-05-13 2015-12-07 国立研究開発法人国立環境研究所 焼却灰の処理方法
WO2021079824A1 (ja) * 2019-10-24 2021-04-29 Agc株式会社 排ガス処理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5359955B2 (ja) 2013-12-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5359955B2 (ja) 重金属の溶出防止方法
JP6199698B2 (ja) 酸性排ガスの処理方法、及び排ガス処理剤
JP5338421B2 (ja) 燃焼排ガスの処理方法及び装置
JP5807349B2 (ja) 重金属類を含有する固形廃棄物の無害化方法
JPWO2009001719A1 (ja) 有害物質の不溶化剤及び有害物質の不溶化方法
JP2015178049A (ja) 酸性排ガス処理剤及び重金属の溶出防止方法
JP5975130B1 (ja) 酸性ガス及び重金属の複合処理剤、並びに酸性ガス及び重金属の処理方法
JP5939328B1 (ja) 酸性ガス及び重金属の複合処理剤、並びに酸性ガス及び重金属の処理方法
JP2018158306A (ja) 固化不溶化体、及び、固化不溶化方法
JP6271081B2 (ja) 有害物質不溶化剤及び有害物質の不溶化方法
JP6157947B2 (ja) 有害物質の溶出防止剤およびそれを用いた溶出防止方法
JP2009279481A (ja) 固体廃棄物中の重金属類の処理方法
JP2007260613A (ja) 重金属含有灰の処理方法
JP4893059B2 (ja) 焼却施設の排ガスおよび飛灰の処理方法
JP2020001963A (ja) セメント組成物の製造方法、及びセメント組成物の製造システム
JP5976437B2 (ja) 土工材料
JP2010279930A (ja) 排煙処理方法
CA2208142A1 (en) Waste gas and dust treatment method
JP5691211B2 (ja) 燃焼排ガスの処理方法
JP3683025B2 (ja) 廃棄物処理方法
JP2012205999A (ja) 重金属含有固形物の処理方法
JP5070815B2 (ja) 排ガス処理方法
JP6034011B2 (ja) 重金属の不溶化剤及び重金属の不溶化方法
JP5648917B2 (ja) 重金属不溶化材及び重金属不溶化方法
JP5877049B2 (ja) 有害物質の溶出防止剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120820

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20120821

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130115

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20130128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130318

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130430

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130625

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20130702

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130806

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130819

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5359955

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150