JP2007260613A - 重金属含有灰の処理方法 - Google Patents

重金属含有灰の処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007260613A
JP2007260613A JP2006091458A JP2006091458A JP2007260613A JP 2007260613 A JP2007260613 A JP 2007260613A JP 2006091458 A JP2006091458 A JP 2006091458A JP 2006091458 A JP2006091458 A JP 2006091458A JP 2007260613 A JP2007260613 A JP 2007260613A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heavy metal
containing ash
ash
magnesium
agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006091458A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuhiro Masuko
光博 益子
Keiichi Mizushina
恵一 水品
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kurita Water Industries Ltd
Original Assignee
Kurita Water Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kurita Water Industries Ltd filed Critical Kurita Water Industries Ltd
Priority to JP2006091458A priority Critical patent/JP2007260613A/ja
Publication of JP2007260613A publication Critical patent/JP2007260613A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treating Waste Gases (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Abstract

【課題】重金属含有灰からの重金属の溶出を少ない薬剤添加で確実に防止する。
【解決手段】重金属含有灰にマグネシウム系アルカリ剤および鉄系薬剤を添加して、重金属含有灰からの重金属の溶出を防止する。鉄系薬剤にマグネシウム系アルカリ剤を併用することにより、マグネシウム系アルカリ剤の酸性成分中和能力と、pH緩衝作用で重金属含有灰のpHを重金属の溶出防止に有効なpHに安定化させると共に、鉄系薬剤との併用による相乗効果で少ない薬剤添加量で重金属の溶出を確実に防止することができる。

Description

本発明は、廃棄物焼却炉(特に灰溶融炉、ガス化溶融炉、産業廃棄物焼却炉)、炭化炉、木屑ボイラ、発電ボイラ、製鋼電気炉等の焼却、溶融施設等の燃焼施設において発生する煤塵や焼却灰(以下、これらを「飛灰」と称す。)等の重金属を含有する灰からの、六価クロム(Cr6+)、砒素(As)、セレン(Se)、水銀(Hg)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)等の重金属の溶出を防止する方法に関する。本発明はまた、飛灰からの重金属の溶出防止と共に、焼却、溶融施設において発生する有害な塩化水素、硫黄酸化物等の酸性ガスやダイオキシン類をも処理する方法に関する。
廃棄物焼却炉(特に灰溶融炉、ガス化溶融炉、産業廃棄物焼却炉)、炭化炉、木屑ボイラ、発電ボイラ、製鋼電気炉等の焼却、溶融施設等の燃焼施設において発生する、塩化水素、硫黄酸化物等の有害な酸性ガスを含む排ガスは、消石灰等の酸性ガス処理剤で処理され、その後、バグフィルター等の集塵機で徐塵された後、煙突から排出される。
一方、集塵機で集塵された飛灰は、有害なPb、Cd等の重金属類を含有しているため、これらの有害重金属の安定化処理が施された後、埋立処分されている。
なお、飛灰等の重金属含有物を埋立処分する際には、環境庁告示13号試験における各種重金属の溶出量を鉛0.3mg/L以下、カドミウム0.3mg/L以下、水銀0.005mg/L以下、六価クロム1.5mg/L以下、砒素0.3mg/L以下、セレン0.3mg/L以下にする必要があり、更に船舶などを用いて埋立処分する際には鉛0.1mg/L以下、カドミウム0.1mg/L以下、水銀0.005mg/L以下、六価クロム0.5mg/L以下、砒素0.1mg/L以下、セレン0.1mg/L以下にまで処理する必要がある。
従来、飛灰中の重金属の処理方法としては、ジエチルジチオカルバミン酸塩等のキレート剤で不溶化処理する方法(例えば、特開2003−129035号公報)が一般的であるが、六価クロム、砒素、セレン、水銀等の溶出を防止する方法としては、飛灰に鉄系薬剤添加する方法が一般的である。例えば、特開平9−150127号公報には、重金属汚染有害物質に第一鉄化合物等の還元性物質と水硬性材料および固化助剤を添加して固化処理する方法が、また特開平10−128273号公報には、飛灰に第一鉄化合物およびリン酸系重金属固定剤を加えて混練処理する方法が記載されている。
特開2003−129035号公報 特開平9−150127号公報 特開平10−128273号公報
しかしながら、鉄系薬剤を用いて六価クロム、砒素、セレン、水銀、鉛、カドミウム等の重金属の溶出を防止する方法では、飛灰の性状に応じて次のような課題がある。
1)中性灰
(集塵前の排ガスに消石灰等のアルカリ剤を噴霧していない燃焼施設で集塵された飛灰)
六価クロム、砒素、セレン、水銀等を処理するために、酸性の鉄系薬剤を多量に添加する必要があるが、鉄系薬剤の多量添加で飛灰のpHが低下し、六価クロム、砒素、セレン、水銀等の溶出防止が可能であっても、鉛、カドミウムが再溶出する。
2)アルカリ灰
(集塵前の排ガスに消石灰等のアルカリ剤を噴霧している燃焼施設で集塵された飛灰)
鉄系薬剤のみでは十分な効果を得ることができないが、一般的な重金属処理剤であるキレート剤と併用すると鉄系薬剤は酸性であるため、飛灰との混合の際、有害な二硫化炭素が発生し、取り扱い上大変危険である。また、鉄系薬剤並びにリン酸等の無機重金属固定剤で処理する場合には、これら薬剤は酸性であるため、残存する消石灰の中和に消費され、大量添加が必要となる。
本発明は上記従来の問題点を解決し、重金属含有灰からの重金属の溶出を少ない薬剤添加で確実に防止する重金属含有灰の処理方法を提供することを目的とする。
本発明はまた、重金属の溶出防止と共に、焼却、溶融施設等の燃焼施設において発生する有害な塩化水素、硫黄酸化物等の酸性ガスやダイオキシン類をも処理することができる重金属含有灰の処理方法を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の重金属含有灰の処理方法は、重金属含有灰にマグネシウム系アルカリ剤および鉄系薬剤を添加して、該重金属含有灰からの重金属の溶出を防止することを特徴とする。
請求項2の重金属含有灰の処理方法は、請求項1において、前記重金属含有灰は六価クロムを含有しており、該重金属含有灰からの六価クロムの溶出を防止することを特徴とする。
請求項3の重金属含有灰の処理方法は、請求項1または2において、前記重金属含有灰は砒素、セレンおよび水銀よりなる群から選ばれる1種以上の重金属類を含有しており、該重金属含有灰からの砒素、セレンおよび水銀の溶出を防止することを特徴とする。
請求項4の重金属含有灰の処理方法は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記マグネシウム系アルカリ剤が酸化マグネシウムおよび/または水酸化マグネシウムであることを特徴とする。
請求項5の重金属含有灰の処理方法は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記鉄系薬剤が塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄および鉄粉よりなる群から選ばれる1種以上の薬剤であることを特徴とする。
請求項6の重金属含有灰の処理方法は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記重金属含有灰に、さらにリン酸系重金属固定剤を添加することを特徴とする。
請求項7の重金属含有灰の処理方法は、請求項1ないし6のいずれか1項において、燃焼施設の煙道に設けられた集塵機の前段の排ガス中に前記マグネシウム系アルカリ剤を添加して、該集塵機にて飛灰とともに該マグネシウム系アルカリ剤を集塵し、集塵された重金属含有灰に前記鉄系薬剤を添加することを特徴とする。
請求項8の重金属含有灰の処理方法は、請求項7において、前記集塵された重金属含有灰に前記鉄系薬剤および前記リン酸系重金属固定剤を添加することを特徴とする。
請求項9の重金属含有灰の処理方法は、請求項7または8において、前記集塵機前段の排ガスに、前記マグネシウム系アルカリ剤とナトリウム系アルカリ剤とを噴霧することを特徴とする。
請求項10の重金属含有灰の処理方法は、請求項9において、前記ナトリウム系アルカリ剤が重曹であることを特徴とする。
本発明の重金属含有灰の処理方法によれば、鉄系薬剤にマグネシウム系アルカリ剤を併用することにより、マグネシウム系アルカリ剤の酸性成分中和能力と、pH緩衝作用で重金属含有灰のpHを重金属の溶出防止に有効なpHに安定化させると共に、鉄系薬剤との併用による相乗効果で少ない薬剤添加量で重金属の溶出を確実に防止することができる。
従って、本発明によれば、重金属含有灰からの六価クロム、砒素、セレン、水銀の溶出を確実に防止することができ、しかも、これらの重金属の溶出の防止に当たり、鉛やカドミウム等の再溶出の問題を引き起こすことがない(請求項2,3)。
本発明において、マグネシウム系アルカリ剤としては酸化マグネシウムおよび/または水酸化マグネシウムが好ましく(請求項4)、鉄系薬剤としては塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄および鉄粉よりなる群から選ばれる1種以上の薬剤が好ましい(請求項5)。
本発明では、重金属含有灰に、さらにリン酸系重金属固定剤を添加しても良く、これにより、より一層少量の薬剤添加で重金属の溶出を確実に防止することができる(請求項6)。この場合、リン酸系重金属固定剤は、正リン酸と水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムとを含む薬剤として添加することが好ましい。
本発明の方法は、集塵された飛灰にマグネシウム系アルカリ剤と鉄系薬剤とを添加、混練することにより実施することもできるが、燃焼施設の煙道に設けられた集塵機の前段の排ガス中にマグネシウム系アルカリ剤を添加して、集塵機にて飛灰とともにマグネシウム系アルカリ剤を集塵し、集塵された重金属含有灰に鉄系薬剤を添加するようにすることもでき、この場合には、排ガス中の塩化水素や硫黄酸化物等の酸性成分をマグネシウム系アルカリ剤との反応で中和除去することができる(請求項7)。
この場合においても、集塵された重金属含有灰に鉄系薬剤と共にリン酸系重金属固定剤を添加しても良い(請求項8)。また、集塵機前段の排ガスにはマグネシウム系アルカリ剤と共にナトリウム系アルカリ剤を噴霧しても良く、ナトリウム系アルカリ剤の併用でより一層良好な排ガス処理効果を得ることができる(請求項9)。
このナトリウム系アルカリ剤としては重曹が好適である(請求項10)。
以下に本発明の重金属含有灰の処理方法の実施の形態を詳細に説明する。
本発明においては、廃棄物焼却炉(特に灰溶融炉、ガス化溶融炉、産業廃棄物焼却炉)、炭化炉、木屑ボイラ、発電ボイラ、製鋼電気炉等の焼却、溶融施設等の燃焼施設において発生する飛灰にマグネシウム系アルカリ剤と鉄系薬剤とを添加して混練する。
飛灰に添加するマグネシウム系アルカリ剤としては、酸化マグネシウムおよび/または水酸化マグネシウムが挙げられる。これらは粉体のまま添加しても良く、0.1〜45重量%程度の水溶液として添加しても良い。
なお、マグネシウム系アルカリ剤は後述するように、燃焼施設の煙道の排ガスに添加し、このマグネシウム系アルカリ剤と共に飛灰を集塵することにより、結果的にマグネシウム系アルカリ剤を飛灰に添加するようにしても良い。
飛灰に添加する鉄系薬剤としては、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄および鉄粉よりなる群から選ばれる1種以上の薬剤が挙げられ、これらは粉体のまま添加しても良く、これらのうち、水溶性のものは、0.1〜50重量%程度の水溶液として添加しても良い。
本発明においては、飛灰に更にリン酸系重金属固定剤を添加しても良い。この場合、リン酸系重金属固定剤としては、正リン酸(オルソリン酸)、ポリリン酸、メタリン酸、次リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、過リン酸、第一リン酸ソーダ、第二リン酸ソーダ、第三リン酸ソーダ、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、第三リン酸カリウム、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第一リン酸マグネシウム、第二リン酸マグネシウム、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、過燐酸石灰、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等のリン酸やリン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の塩が挙げられる。これらのリン酸系重金属固定剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
これらのうち、特に重金属固定効果並びにコスト面から、正リン酸が好ましい。
正リン酸等のリン酸系重金属固定剤は、通常5〜85重量%程度の水溶液として飛灰に添加される。
なお、リン酸系重金属固定剤として特に正リン酸を用いる場合、正リン酸と水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウム等のアルカリ剤とを含む水溶液として添加することが好ましく、このように水溶液中にアルカリ剤を配合することにより、正リン酸による過度なpH低減作用を抑えて、処理灰が低pH域となることによる重金属の溶出を防止することができる。
この場合、リン酸15〜35重量%、アルカリ剤5〜35重量%で、pH3以上、特に3〜13.5程度の水溶液として飛灰に添加することが好ましい。
各薬剤は予め混合して一剤化して飛灰に添加しても良く、別々に添加しても良い。鉄系薬剤とリン酸系重金属固定剤とを併用する場合、これらは混合水溶液として添加することが好ましい。
飛灰への各薬剤の添加量は、用いる薬剤の種類、マグネシウム系アルカリ剤の添加箇所(燃焼施設の煙道に添加するか飛灰に直接添加するか)、処理する飛灰の性状、リン酸系重金属固定剤の併用の有無等によって異なるが、集塵された飛灰にマグネシウム系アルカリ剤と鉄系薬剤とを添加、混練する場合、飛灰に対する有効成分の添加量で、マグネシウム系アルカリ剤をMgO換算で1〜10重量%、鉄系薬剤をFe換算で0.5〜15重量%となるように添加することが好ましく、重量比は、鉄系薬剤(as−Fe):マグネシウム系アルカリ剤(as−MgO)=1:0.1〜5.0(重量比)となるように添加することが好ましい。
また、更にリン酸系重金属固定剤を併用する場合、飛灰に対する有効成分の添加量で、マグネシウム系アルカリ剤をMgO換算で0.5〜20重量%となるように添加することが好ましく、1〜10重量%となるように添加することがより好ましい。また、その際、鉄系薬剤は、Fe換算で0.2〜20重量%となるように添加することが好ましく、0.5〜15重量%となるように添加することがより好ましい。リン酸系重金属固定剤は、0.3〜15重量%となるように添加することが好ましく、0.5〜12重量%となるように添加することがより好ましい。重量比は、鉄系薬剤(as−Fe):マグネシウム系アルカリ剤(as−MgO):リン酸系重金属固定剤(as−HPO)=1:0.05〜15:0.05〜5.0となるように添加することが好ましい。
マグネシウム系アルカリ剤を煙道の排ガスに添加する場合のマグネシウム系アルカリ剤の添加量は後述の通りである。
いずれの場合も、薬剤添加量が少な過ぎると十分な重金属の溶出防止効果を得ることができず、多過ぎても添加量に見合う効果は得られず、徒に薬剤コストが高騰して不利である。
なお、飛灰の処理時に飛灰に添加する水の量は、処理効果に大きな影響を及ぼすものではないが、混練性、処理灰の取り扱い性等の面から飛灰に対して10〜40重量%とすることが好ましい。通常の場合、飛灰に前述の薬剤の水溶液を添加することにより、このような水添加量が確保できるように各薬剤の水溶液の濃度が調整される。
このようにして処理された飛灰は、各重金属の溶出が確実に防止されたものであるため、埋立処分等に供される。
本発明においては、前述の如く、マグネシウム系アルカリ剤については、燃焼施設の煙道の集塵機よりも上流側の排ガスに添加しても良い。
この場合においても、マグネシウム系アルカリ剤は粉体のまま排ガスに噴霧しても良く、水溶液として噴霧しても良い。
また、マグネシウム系アルカリ剤を煙道の排ガスに噴霧する場合、マグネシウム系アルカリ剤と共にナトリウム系アルカリ剤を併用して噴霧しても良く、ナトリウム系アルカリ剤の併用でより一層良好な排ガス処理効果を得ることができる。
この場合、用いるナトリウム系アルカリ剤としては、重曹、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムの1種または2種以上が挙げられるが、特に酸性ガスとの反応性が高い重曹が好ましい。
煙道の排ガスへのマグネシウム系アルカリ剤の噴霧量は、ナトリウム系アルカリ剤の併用の有無によっても異なるが、好ましくは、集塵された飛灰中に前述の飛灰へのマグネシウム系アルカリ剤添加量となるようにマグネシウム系アルカリ剤が混入するような量であることが好ましく、通常の場合、煙道の排ガス量に対して30〜2000mg/Nm程度噴霧することが好ましい。また、重曹を併用する場合は、マグネシウム系アルカリ剤と重曹を1:20〜1(重量比)の割合で、合計で600〜20000mg/Nm程度噴霧することが好ましい。
このように、煙道の排ガスにマグネシウム系アルカリ剤またはマグネシウム系アルカリ剤とナトリウム系アルカリ剤とを噴霧することにより、排ガス中の酸性ガスの中和除去も行うことができる。
なお、この場合には、集塵された飛灰には鉄系薬剤、或いは鉄系薬剤とリン酸系重金属固定剤とを添加すれば良いが、更にマグネシウム系アルカリ剤が不足する場合には集塵された飛灰にマグネシウム系アルカリ剤を添加しても良い。
マグネシウム系アルカリ剤を煙道の排ガスに噴霧する場合、集塵された飛灰に対する鉄系薬剤、更にリン酸系重金属固定剤の添加量は、前述の飛灰にマグネシウム系アルカリ剤を添加する場合と同様である。
なお、本発明においては、上述した薬剤以外の薬剤を更に併用して飛灰や排ガスに添加しても良い。例えば、煙道の排ガスには活性炭を添加しても良く、この場合には活性炭によるダイオキシン類吸着作用で、より一層良好な処理効果を得ることができる。この場合、活性炭の添加量は排ガスに対して20〜300mg/Nm程度とすることが好ましい。
更に、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カリウム、第1リン酸ナトリウム、第1リン酸カリウム、第3リン酸ナトリウム、第3リン酸カリウム等の無機リン酸化合物を排ガスに噴霧することにより、集塵された飛灰中の鉛等の重金属の処理効果が高められる。
これら排ガス処理剤は、必ずしもマグネシウム系アルカリ剤と併用するに限らず、本発明では、飛灰にマグネシウム系アルカリ剤、鉄系薬剤、必要に応じてリン酸系重金属固定剤を添加、混練し、排ガスにナトリウム系アルカリ剤、活性炭、無機リン酸化合物の1種または2種以上を噴霧しても良い。
いずれの場合においても複数の薬剤を排ガスや飛灰に添加するに当たり、これらの薬剤は予め混合して添加しても良く、別々に添加しても良い。また、煙道に噴霧する薬剤は同一の箇所で噴霧しても良く、異なる箇所で噴霧しても良い。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において「%」は「重量%」を示す。
[六価クロム含有灰の処理]
以下の実施例及び比較例では、ガス化溶融炉(処理量3t/日)から発生する飛灰を原灰として処理行い、処理灰について、Pb,Cd,Cr6+の溶出量を環境庁告示13号試験で測定した。
<実施例1>
飛灰に酸化マグネシウム及び32%塩化第一鉄水溶液を表1に示す添加量で添加して混練し、処理結果を表1に示した。
Figure 2007260613
表1のNo.1−4より、酸化マグネシウムと塩化第一鉄との併用で、比較的少量の塩化第一鉄添加量でPb,Cd,Cr6+の溶出を防止することができることが分かる。
<実施例2>
飛灰に、酸化マグネシウムと、正リン酸及び塩化第一鉄を配合した重金属固定剤を表2に示す添加量で添加して混練し、処理結果を表2に示した。
なお、表2には薬剤無添加の場合の結果も併記した。
Figure 2007260613
表2のNo.2−3より、更に正リン酸を添加することにより、酸化マグネシウムと塩化第一鉄を添加した実施例1の場合よりも、より一層少ない薬剤添加量でPb,Cd,Cr6+の溶出を防止することができることが分かる。
<実施例3>
ガス化溶融炉のバグフィルター入口煙道の排ガスに酸化マグネシウムを1.5kg/h(900mg/Nm)噴霧し、発生した飛灰に対して、塩化第一鉄水溶液を表3に示す添加量で添加して混練し、処理結果を表3に示した。
なお、表3には、塩化第一鉄水溶液無添加の場合の結果も併記した。
Figure 2007260613
表3のNo.3−1より明らかなように、塩化第一鉄を添加しなくても、酸化マグネシウムのpH緩衝効果でPbおよびCdの溶出が抑えられている。また、No.3−2より、少量の塩化第一鉄添加量でCr6+も確実に固定できることが分かる。
<比較例1>
塩化第一鉄水溶液のみを表4に示す添加量で添加して混練し、処理結果を表4に示した。
Figure 2007260613
表4より明らかなように、塩化第一鉄だけでは、少量添加ではCr6+が固定化できず、多量に加えるとpHが低下してCdやPbが溶出するようになるため、PbおよびCdとCr6+を同時に固定化することができない。
[砒素、セレンおよび水銀含有灰の処理と酸性ガスの処理]
以下の実施例及び比較例では、灰溶融炉(処理量:15t/日)から発生する飛灰を原灰として処理を行い、処理灰について、Pb,Cd,Cr6+,As,Hg,Seの溶出量を環境庁告示13号試験で測定すると共に、煙突から排出される排ガスのHCl濃度およびSO濃度を測定した。なお、この酸性ガス濃度測定は2回行い、平均値を求めた。
<実施例4>
灰溶融炉のバグフィルターの入口煙道の排ガスに酸化マグネシウム、重曹、および活性炭を32%,63%,5%の比率で配合した粉体薬剤を18kg/h(3,000mg/Nm)で噴霧し、発生した飛灰に表5に示す薬剤を表5に示す添加量で添加して混練し、飛灰処理結果を表5に、排ガス処理結果を表8に示した。
なお、表5には、飛灰への薬剤無添加の場合の結果も併記した。
Figure 2007260613
表5より、少量の塩化第一鉄の添加で確実に重金属が固定化されていることが分かる。
<比較例2>
灰溶融炉のバグフィルター入口煙道の排ガスに消石灰を18kg/h(3,000mg/Nm)噴霧し、発生した飛灰に表6に示す薬剤を表6に示す添加量で添加して混練し、飛灰処理結果を表6に、排ガス処理結果を表8に示した。
なお、表6には、飛灰への薬剤無添加の場合の結果も併記した。
Figure 2007260613
表6のNo.6−2〜6−4より、キレート剤ではAsおよびSeを不溶化することはできないことが分かる。なお、キレート剤と塩化第一鉄とを併用すると塩化第一鉄とキレート剤との反応で有害な硫化水素ガスが発生してしまう。また、No.6−5〜6−7より明らかなように、消石灰を煙道で吹込んでいるアルカリ度の高い飛灰では、重金属の溶出防止のために多量の塩化第一鉄の添加が必要となり、一方で、添加しすぎると塩化第一鉄には緩衝作用がないため、pHが酸性になってしまい、Cdが溶出するようになる。
また、No.6−8〜6−10より消石灰を煙道で吹込んでいるアルカリ度が高い飛灰では、多量のリン酸の添加が必要となり、しかも、リン酸のみではAsおよびSeの固定化効果が小さいことが分かる。
<比較例3>
灰溶融炉のバグフィルター入口煙道の排ガスに重曹を18Kg/h(3,000mg/Nm)噴霧し、発生した飛灰に表7に示す薬剤を表7に示す添加量で添加して混練し、飛灰処理結果を表7に、排ガス処理結果を表8に示した。
なお、表7には、飛灰への薬剤無添加の場合の結果も併記した。
Figure 2007260613
表7のNo.7−2〜7−4より明らかなように、キレート剤ではAsおよびSeを不溶化することはできない。なお、キレート剤と塩化第一鉄とを併用すると、塩化第一鉄とキレート剤との反応で有害な硫化水素ガスが発生してしまう。また、No.7−5〜7−7より、As,Se,Hgを固定化するために塩化第一鉄を添加するとPbやCdが溶出してしまい、これらを同時に固定化できないことが分かる。
Figure 2007260613
表8より、煙道の排ガスに酸化マグネシウム、更には重曹、活性炭を噴霧することにより、排ガス中の酸性ガスをも効率的に処理することができ、前述の飛灰の処理効果を合わせると、酸化マグネシウムを用いる本発明の方法が有利であることが分かる。

Claims (10)

  1. 重金属含有灰にマグネシウム系アルカリ剤および鉄系薬剤を添加して、該重金属含有灰からの重金属の溶出を防止することを特徴とする重金属含有灰の処理方法。
  2. 請求項1において、前記重金属含有灰はクロムを含有しており、該重金属含有灰からの六価クロムの溶出を防止することを特徴とする重金属含有灰の処理方法。
  3. 請求項1または2において、前記重金属含有灰は砒素、セレンおよび水銀よりなる群から選ばれる1種以上の重金属類を含有しており、該重金属含有灰からの砒素、セレンおよび水銀の溶出を防止することを特徴とする重金属含有灰の処理方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記マグネシウム系アルカリ剤が酸化マグネシウムおよび/または水酸化マグネシウムであることを特徴とする重金属含有灰の処理方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記鉄系薬剤が塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄および鉄粉よりなる群から選ばれる1種以上の薬剤であることを特徴とする重金属含有灰の処理方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記重金属含有灰に、さらにリン酸系重金属固定剤を添加することを特徴とする重金属含有灰の処理方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、燃焼施設の煙道に設けられた集塵機の前段の排ガス中に前記マグネシウム系アルカリ剤を添加して、該集塵機にて飛灰とともに該マグネシウム系アルカリ剤を集塵し、集塵された重金属含有灰に前記鉄系薬剤を添加することを特徴とする重金属含有灰の処理方法。
  8. 請求項7において、前記集塵された重金属含有灰に前記鉄系薬剤および前記リン酸系重金属固定剤を添加することを特徴とする重金属含有灰の処理方法。
  9. 請求項7または8において、前記集塵機前段の排ガスに、前記マグネシウム系アルカリ剤とナトリウム系アルカリ剤とを噴霧することを特徴とする重金属含有灰の処理方法。
  10. 請求項9において、前記ナトリウム系アルカリ剤が重曹であることを特徴とする重金属含有灰の処理方法。
JP2006091458A 2006-03-29 2006-03-29 重金属含有灰の処理方法 Pending JP2007260613A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006091458A JP2007260613A (ja) 2006-03-29 2006-03-29 重金属含有灰の処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006091458A JP2007260613A (ja) 2006-03-29 2006-03-29 重金属含有灰の処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007260613A true JP2007260613A (ja) 2007-10-11

Family

ID=38634132

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006091458A Pending JP2007260613A (ja) 2006-03-29 2006-03-29 重金属含有灰の処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007260613A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009256593A (ja) * 2008-03-26 2009-11-05 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 有害物質溶出低減材、および有害物質溶出低減処理方法
CN102728602A (zh) * 2011-03-29 2012-10-17 栗田工业株式会社 含重金属的固态物的处理方法
JP2012213717A (ja) * 2011-03-31 2012-11-08 Kurita Water Ind Ltd 重金属含有灰の処理方法
JP2013119057A (ja) * 2011-12-07 2013-06-17 Taiheiyo Materials Corp 有害物質の溶出防止剤
JP2014004514A (ja) * 2012-06-22 2014-01-16 Taiheiyo Material Kk 有害物質の溶出防止剤およびそれを用いた溶出防止方法
KR101438713B1 (ko) * 2012-02-20 2014-09-25 에코렉스(주) 폐수의 6가 크롬을 제거하기 위한 수처리제 및 수처리 방법
JP2020138131A (ja) * 2019-02-28 2020-09-03 太平洋セメント株式会社 固化不溶化方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06277444A (ja) * 1993-03-31 1994-10-04 Nippon Steel Corp 排ガス及び集塵ダストの処理方法
JPH11300313A (ja) * 1998-04-24 1999-11-02 Kurita Water Ind Ltd 重金属固定化剤組成物及び重金属含有灰の処理方法
JP2002177738A (ja) * 2000-12-13 2002-06-25 Kurita Water Ind Ltd 排ガス処理剤及び排ガス処理方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06277444A (ja) * 1993-03-31 1994-10-04 Nippon Steel Corp 排ガス及び集塵ダストの処理方法
JPH11300313A (ja) * 1998-04-24 1999-11-02 Kurita Water Ind Ltd 重金属固定化剤組成物及び重金属含有灰の処理方法
JP2002177738A (ja) * 2000-12-13 2002-06-25 Kurita Water Ind Ltd 排ガス処理剤及び排ガス処理方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009256593A (ja) * 2008-03-26 2009-11-05 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 有害物質溶出低減材、および有害物質溶出低減処理方法
CN102728602A (zh) * 2011-03-29 2012-10-17 栗田工业株式会社 含重金属的固态物的处理方法
JP2012205999A (ja) * 2011-03-29 2012-10-25 Kurita Water Ind Ltd 重金属含有固形物の処理方法
TWI469821B (zh) * 2011-03-29 2015-01-21 Kurita Water Ind Ltd 含重金屬的固態物的處理方法
JP2012213717A (ja) * 2011-03-31 2012-11-08 Kurita Water Ind Ltd 重金属含有灰の処理方法
JP2013119057A (ja) * 2011-12-07 2013-06-17 Taiheiyo Materials Corp 有害物質の溶出防止剤
KR101438713B1 (ko) * 2012-02-20 2014-09-25 에코렉스(주) 폐수의 6가 크롬을 제거하기 위한 수처리제 및 수처리 방법
JP2014004514A (ja) * 2012-06-22 2014-01-16 Taiheiyo Material Kk 有害物質の溶出防止剤およびそれを用いた溶出防止方法
JP2020138131A (ja) * 2019-02-28 2020-09-03 太平洋セメント株式会社 固化不溶化方法
JP7213716B2 (ja) 2019-02-28 2023-01-27 太平洋セメント株式会社 固化不溶化方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5807349B2 (ja) 重金属類を含有する固形廃棄物の無害化方法
JP2007260613A (ja) 重金属含有灰の処理方法
JP5359955B2 (ja) 重金属の溶出防止方法
JP2015178049A (ja) 酸性排ガス処理剤及び重金属の溶出防止方法
JP5939328B1 (ja) 酸性ガス及び重金属の複合処理剤、並びに酸性ガス及び重金属の処理方法
JP3417398B2 (ja) 排ガス処理剤及び排ガス処理方法
JP4893059B2 (ja) 焼却施設の排ガスおよび飛灰の処理方法
JP5842423B2 (ja) 重金属類を含有する固形廃棄物の無害化方法
JP4830282B2 (ja) 飛灰の処理方法
JP2008272591A (ja) 重金属含有灰の処理方法
JP3271534B2 (ja) 鉛、六価クロム、ヒ素及びセレンを含有する灰の処理方法
JP3867307B2 (ja) ばいじんの処理方法
JP3228192B2 (ja) 重金属含有灰の処理方法
JP6034011B2 (ja) 重金属の不溶化剤及び重金属の不溶化方法
JPH09248541A (ja) 廃棄物処理方法
JP2004209372A (ja) 重金属類溶出抑制剤及び重金属類溶出抑制方法
JP5070815B2 (ja) 排ガス処理方法
JP4401374B2 (ja) フッ素汚染土壌の無害化処理方法
JP4258315B2 (ja) 2段直列集塵機の捕集灰の処理方法
JP5691211B2 (ja) 燃焼排ガスの処理方法
JP5352339B2 (ja) 溶融飛灰の薬剤処理方法
JP3985915B2 (ja) 廃棄物焼却処理過程における塩素化物の生成抑制方法
JP2004066202A (ja) ダイオキシン類及び重金属を含有する廃棄物の処理剤、排ガス及び飛灰の処理方法及び飛灰の処理方法
JP4078200B2 (ja) 焼却飛灰等の無害化処理方法(低温)
JP4821109B2 (ja) 重金属含有灰の処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090123

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101006

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101012

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101124

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101214