JP4401374B2 - フッ素汚染土壌の無害化処理方法 - Google Patents

フッ素汚染土壌の無害化処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、フッ素汚染土壌の無害化処理方法に関する。
従来、フッ素はメッキ液の成分として多く用いられている。そのため、メッキ工場の周辺やメッキ工場跡地などでは、例えば、事故によるメッキ液の漏洩や、メッキ廃液の不適切な処理により、その土壌がフッ素で汚染されたりしている。
この土壌中のフッ素については、土壌含有量基準が土壌1kgあたり4000mg以下であること、ならびに、土壌溶出量基準が検液1リットルあたり0.8mg以下であることが土壌汚染対策法の指定基準として定められている。
すなわち、フッ素汚染土壌は、土壌中のフッ素含有量を土壌1kgあたり4000mg以下で且つ土壌からのフッ素溶出量を検液1リットルあたり0.8mg以下となるように無害化処理されることが求められている。
このことに対し、従来、フッ素汚染土壌の無害化処理としてリン酸あるいはリン酸塩水溶液とカルシウム塩とを混合させて数日間の養生を行い、土壌中に水に可溶なフッ素化合物として存在するフッ素を水に対する溶解性が極めて低いフルオロアパタイトに変化させ不溶化させる方法などが行われている。
特許文献1には、汚染土壌からのフッ素とホウ素との溶出濃度を土壌環境基準以下にすべく、汚染された土壌にリン酸とアルカリ物質を加えて常温〜95℃の温度で数分〜数十分の混合を行い、この混合後の土壌をさらに養生させてフッ素をフルオロアパタイトなどの不溶化物に変化させることが記載されている。
しかし、上記のような従来のフッ素汚染土壌の無害化処理方法は、土壌中のフッ素の含有量を低減させるものではないため、土壌中の含有量が基準値以上の汚染土壌に対しては、その無害化処理に対する要望を満足させられるものではない。さらに、従来のフッ素汚染土壌の無害化処理方法は、フッ素の不溶化が十分なものとなっておらず、溶出量の抑制も十分なものとなっていない。したがって、フッ素の含有量が多い土壌を従来の方法で処理した場合には、フッ素の含有量が少ない土壌を処理した場合に比べてフッ素の溶出量が多くなる。また、土壌中に含有されるフッ素は、土壌のpH値の変化によって溶出量が多くなることがある。このようなことから土壌中のフッ素の含有量が多いと、溶出量の基準を超えてしまうおそれがある。
また、土壌中に重金属を含有する土壌などにおいては、重金属を除去もしくは不溶化することを目的として、この重金属含有土壌にアルカリ物質などを添加し、加熱する方法がとられている。したがって、フッ素以外に土壌に重金属が含有されている場合には、前述のような無害化処理方法によって土壌中で水に対する溶解性の低い状態で安定化していたフッ素化合物が、その後の重金属の処理のための加熱によって不安定なフッ素化合物に変化し、フッ素が溶出するようになるおそれがある。したがって、重金属の処理のために、土壌からのフッ素溶出量が基準値を超えてしまうおそれがある。
すなわち、従来の処理方法は、フッ素汚染土壌のフッ素含有量を低減させることが困難で、溶出量の低減も十分ではないという問題を有している。
特開2004−305833号公報
本発明は、上記の問題点に鑑み、フッ素汚染土壌のフッ素含有量を低減させ且つフッ素溶出量を十分に低減させ得るフッ素汚染土壌の無害化処理方法の提供を課題としている。
本発明者らは、フッ素汚染土壌の無害化処理方法について鋭意検討を行った結果、フッ素汚染土壌中のフッ素は、通常、その反応性を大きく異ならせた多様なフッ素化合物として土壌中に存在すること、そして、その多様なフッ素化合物の中には、リン酸とアルカリ物質とを加えて混合するだけではフルオロアパタイトなどの不溶化物に変化しないものが存在することを見出した。また、フッ素汚染土壌中には、所定温度以上に加熱することでフッ素汚染土壌から揮発除去させ得るフッ素化合物が多分に含まれていることを見出した。さらに、フッ素汚染土壌を所定温度以上に加熱することで、汚染土壌中のフッ素化合物の反応性を高め、且つ、土壌中のカルシウム分などをフッ素と反応させ易い状態にし得ることを見出し本発明の完成に到ったのである。
すなわち、本発明は、土壌中にフッ素を含有するフッ素汚染土壌を400〜1200℃の温度に加熱し、該加熱後の前記フッ素汚染土壌にリンイオンを含有する水溶液を添加し、しかも、前記水溶液の添加前に、前記加熱後のフッ素汚染土壌への水の添加をさらに実施するフッ素汚染土壌の無害化処理方法を提供する。
本発明によれば、フッ素を含有するフッ素汚染土壌を400〜1200℃の温度に加熱することから、フッ素汚染土壌に含有されるフッ素化合物を揮発除去させて土壌中のフッ素含有量を低減させ得る。さらに、土壌中に残留するフッ素化合物についても、フッ素汚染土壌が400〜1200℃の温度に加熱されることから、その反応性を高めた状態とし得る。また、土壌中のカルシウム分などについてもフッ素汚染土壌が400〜1200℃の温度に加熱されることからフッ素と反応させ易い状態とし得る。さらに、本発明によれば、加熱後の土壌にリンイオンを含有する水溶液が添加されることから、加熱により反応性の高められたフッ素化合物やカルシウム分などとリンイオンとを反応させてフルオロアパタイトなどの不溶化物に変化させ得る。
すなわち、フッ素の含有量を低減させることができ、残留するフッ素についても従来に比べてより多く不溶化物に変化させることができ、その溶出性を抑制させ得る。
以下に、フッ素汚染土壌の無害化処理方法についての第一の実施形態を説明する。
まず、フッ素汚染土壌の無害化処理においては、フッ素汚染土壌を、ロータリーキルンを用いて400〜1200℃に加熱処理する加熱工程を実施し、該加熱工程を終えた土壌とリン酸水溶液とを混合して前記土壌にリンイオンを添加しつつ土壌の冷却を行う冷却工程を実施する。
前記加熱工程においては、フッ素汚染土壌のみをロータリーキルンに導入し400〜1200℃の温度で加熱して、フッ素汚染土壌からフッ素化合物を揮発除去させる。この加熱工程での加熱温度が400〜1200℃とされるのは、加熱温度が400℃未満の場合には、フッ素化合物の揮発除去が十分なものとならず、しかも、フッ素化合物の反応性を高めつつ土壌中のカルシウム分などをフッ素と反応させ易くする効果も不十分となるためである。すなわち、加熱温度が400℃未満の場合には、土壌中のフッ素含有量を十分低減できない。さらに、加熱温度が400℃未満の場合には、後述するリンイオンの添加においてフッ素ならびにカルシウム分などとリンイオンとを十分反応させてフルオロアパタイトなどの不溶化物とすることができずにフッ素の溶出を十分抑制させることができないためである。
一方、加熱温度が1200℃を超える場合には、土壌がスラグ化してしまう。また、加熱温度を1200℃を超える温度とする場合には、処理する設備も1200℃を超える高温に耐える、例えば、クロム含有耐火物のような特殊なものが必要となり、運転およびメンテナンスが煩雑となるばかりでなく、装置コスト、メンテナンスコスト、運転コストが一般的な耐熱レベルの設備を用いる場合に比べて非常に高くなってしまう。
また、この加熱工程での汚染土壌の加熱は、フッ素含有量を十分低減させ得る点ならびにフッ素の溶出を十分抑制させ得る、さらには、土壌中の不安定なフッ素化合物を分解し、土壌中から除去しうる点、土壌中のカルシウム化合物を分解し、フッ素と反応させやすい状態にし得る点、スラグの生成を抑制しうるという優れた効果を発揮させ得る点において800〜1100℃の温度とされることが好ましい。また、このような点において、ロータリーキルン内の平均滞留時間は、5〜120min好ましくは10〜90minとするのが好ましい。
なお、ロータリーキルン内の土壌の温度は、熱電対などの一般的な温度計測手段により計測することができ、このような温度測定手段をロータリーキルンの所望の位置(例えば、入口部、中央部、排出部など)に設置して、それぞれの位置での土壌の温度を測定することができる。
また、ロータリーキルン内の平均滞留時間とは、ロータリーキルン内の土壌の質量をロータリーキルンから単位時間あたりに排出される土壌の質量で除した時間を意図している。
また、この加熱工程においては、フッ素汚染土壌から発生するフッ素含有気体をロータリーキルン内から排気機構で吸引除去して別途処理させる。また、フッ素が、このロータリーキルンから漏洩してロータリーキルンやその周辺設備を腐食させたりするおそれを抑制し得る点においてロータリーキルン内をわずかに(例えば−0.1〜0kPa:ゲージ圧)負圧状態とすることが好ましい。
また加熱工程は、例えば、酸素濃度10容量%以下の低酸素状態で実施することが好ましく、更には6容量%以下が好ましい。処理対象となる土壌は自然由来の重金属(例えば、砒素、クロム、鉛)を含んでいることがあり、これらの重金属が溶出基準を満たしている場合であっても、この加熱工程により、水に溶出し易い形態に変化するおそれがある。そのため、酸素濃度を10容量%以下、好ましくは6容量%以下に調整することにより、これらの重金属が溶出しやすい形態に変化することを抑制させ得る。したがって、加熱工程後の土壌が、重金属の溶出基準を超えたものとなることを抑制させ得る。
なお、加熱工程は、全くの無酸素状態での実施よりも0.5容量%以上、更には1容量%以上の低酸素状態で実施されることが好ましい。酸素濃度を0.5容量%以上、更には1容量%以上とすることにより土壌中の有機物を分解除去することができ、加熱工程前の土壌中に含まれている有害な有機物が加熱工程後に残留したり、加熱処理工程前の土壌中に含まれている有機物が加熱工程により有害な有機物に変化したりして、加熱工程後の土壌に有害な有機物が含有されることを抑制させ得る。
すなわち、酸素濃度を0.5〜10容量%、好ましくは、1〜6容量%とすることにより、加熱工程後の土壌におけるフッ素溶出量を十分低減できることのみならず、重金属の溶出量や有害有機物の含有量も低減させ得るという優れた効果を発揮させ得る。
なお、加熱工程の酸素濃度は、加熱工程の雰囲気ガスをサンプリングして酸素濃度を市販の酸素濃度計を用いて測定することができる。
また、ロータリーキルン内をこのような雰囲気とするには、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、水蒸気などの置換ガスを用いてロータリーキルン内の空気を置換させればよい。
ロータリーキルン内から吸引除去した排ガスは活性炭により処理することで排ガス中のフッ化水素等のフッ素化合物が除去される。フッ素化合物の除去手段としては活性炭に限定されず、フッ素化合物がフッ化水素である場合、酸化アルミニウムに吸着させる方法や、アルカリ水溶液に吸収させる方法や水に吸収させる方法等を利用することができ、これらを組み合わせても良い。また、アルカリ水に吸収させた場合、アルミン酸ソーダを利用し、水に吸収させた場合、消石灰を利用することで溶液中からフッ素を除去することができる。
前記冷却工程においては、前記加熱工程のロータリーキルン出口直後に設けられ、リン酸水溶液を貯留するリン酸槽に、前記加熱工程でフッ素やカルシウム分などの反応性を高めた土壌を投入して土壌にリンイオン含有水溶液を添加させつつ土壌を冷却する。
このときのリン酸水溶液中のリンイオンと土壌との割合は、処理コストを抑制しつつより確実にフッ素の不溶化を行い得る点において土壌中のフッ素1molに対してリンが3mol〜30molとなる量でリン酸等が用いられて行われることが好ましい。
さらに、pH変動や土壌中に無用な添加剤を残存させないという観点から土壌中の1kgに対し、100g以下となるようにリンの量を調整することが好ましい。
なお、本実施形態においては、フッ素と反応して揮発性の低い化合物を形成する物質が導入されてフッ素の揮発除去が阻害されることを防止し得るように、フッ素汚染土壌のみを400〜1200℃に加熱する場合を例に説明したが、本発明においては、本発明の効果を損ねない範囲において加熱前のフッ素汚染土壌に適宜添加剤を添加させてもよい。特に、土壌がフッ素以外の重金属に汚染されている場合、添加剤を添加することで重金属を除去もしくは不溶化、固化することができる。
また、本実施形態においては、フッ素汚染土壌を攪拌しつつ加熱処理することができ、土壌に処理むらができることを防止し得る点ならびに連続的な処理が可能である点から加熱機構としてロータリーキルンを用いる場合を例に説明したが、本発明においては、フッ素汚染土壌を400〜1200℃に加熱する加熱機構としてロータリーキルンを用いる方法に限定するものではなく、一般的な間接加熱炉や、その他の加熱炉を用いることができる。
また、本実施形態においては、土壌から揮発させたフッ素化合物を吸引除去する場合を例に説明したが、本発明においては、土壌から揮発させたフッ素化合物を除去する手段として吸引除去に限定するものではない。さらに、フッ素化合物を除去する手段を設けずに自然放散させてもよい。
また、本実施形態においては、フッ素やカルシウム分などの反応性を加熱工程で高められた状態に維持させた土壌にリン酸水溶液を添加させることにより、加熱工程後に土壌中に残留するフッ素分のより多くをフルオロアパタイトなどの不溶化物とさせ得る点において加熱工程直後の土壌をリン酸水槽に投入させる場合を例に説明したが、本発明においては、加熱工程後の土壌を、例えば、常温よりも30℃高い温度程度に一旦冷却して、該冷却された土壌をリン酸水槽に投入させてもよい。さらに、本実施形態においては、土壌全体に十分なリン酸水溶液を添加し得ることから、土壌にリンイオンを含有する水溶液を添加する方法として、土壌をリン酸水槽に投入させる方法を例に説明したが、本発明においては、土壌にリンイオンを含有する水溶液を添加する方法としては、土壌にリン酸水溶液をシャワーリングする方法や、その他の方法などでもよい。
さらに、本実施形態においては、リンイオンを含有する水溶液としてリン酸水溶液を例に説明したが、本発明においては、リンイオンを含有する水溶液をリン酸水溶液に限定するものではなく、リン酸塩水溶液を用いても良い。
このリン酸塩水溶液に用いるリン酸塩としては、正リン酸塩、ポリリン酸塩、メタリン酸塩などのリン酸塩を用いることができ、これらは、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩などを用いることができる。
また、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、ピロリン酸カリウム、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウムなどは、水に対する溶解性が高く、水溶液として用い易い点において優れている。
特にリン酸を利用した場合、土壌中のpHがリン酸の添加量により大きく変化せず、また、土壌中にリンイオン含有水溶液に起因したナトリウムイオンやカリウムイオンといったものが残存しない。
また、これらのリン酸あるいはリン酸塩は、その種類を複数組み合わせて用いることも可能である。
また、本実施形態においてはフッ素のみ汚染された土壌について記載したが、これに限定されず、重金属(例えば、鉛、ヒ素、クロム、水銀)等に汚染された複合汚染土壌に利用することができる。特に、重金属汚染土壌の処理においては、アルカリなどの添加剤を加えて加熱することが多く、その際に、元来、安定化していたフッ素化合物が不安定な化合物となり、水に対してのフッ素の溶出量が環境基準値以下であったものが基準値を超えて溶出するおそれがあるが、本発明によれば、加熱後の土壌にリンイオン含有水を添加するため、不安定化したフッ素化合物又はフッ素を水に対して安定な化合物とすることができる。
なお、この重金属として水銀を含む土壌においては土壌を400℃以上に加熱することで水銀の不溶化もしくは揮発除去をより確実に実施することができる。また、重金属として鉛、砒素、クロムを含有する土壌においては600℃以上、好ましくは800℃以上で加熱することにより不溶化もしくは揮発除去をより確実に実施することができる。
次いで、フッ素汚染土壌の無害化処理方法についての第二の実施形態を図1を参照しつつ説明する。
まず、フッ素汚染土壌の無害化処理を、加熱機構としてロータリーキルン1を用いて400〜1200℃に加熱処理する加熱工程を実施し、該加熱工程を終えた土壌にリンイオンを添加する点においては、第一の実施形態と同様である。
より具体的に説明すると、この第二の実施形態においては、フッ素汚染土壌の処理にロータリーキルン1と、このロータリーキルン1で加熱されたフッ素汚染土壌から発生する気体を除去して二次燃焼させる二次燃焼炉2とが備えられている。
また、フッ素汚染土壌の処理装置には、加熱前のフッ素汚染土壌を貯留する土壌ホッパー3と、該土壌ホッパー3からロータリーキルン1にフッ素汚染土壌を搬送する搬送コンベア4とが備えられている。
また、フッ素汚染土壌の処理装置には、ロータリーキルン1から排出された、加熱処理後の土壌と水とを接触させてフッ素汚染土壌を冷却する土壌冷却装置5が備えられ、該土壌冷却装置5で冷却された土壌を搬送しつつ水切りする水切りコンベア8と、該水切りコンベア8により排出された土壌に、リンイオンを含有する水溶液を霧状にしてシャワーリングするシャワーリング機構として噴霧装置11が備えられている。また、該噴霧装置11によりリンイオンが添加されたフッ素汚染土壌を攪拌させるミキサー12、該ミキサー12より排出されたフッ素汚染土壌の保管場所を振り分ける振り分けコンベア9が備えられている。
さらに、フッ素汚染土壌の処理装置には、前記二次燃焼炉2で二次燃焼された排ガスを冷却するための減温塔6と、該減温塔6で冷却された排ガスに含まれる重金属やその他のダストを捕集するためのバグフィルター7と、前記排ガスをバグフィルター7に通過させる前に排ガスを中和処理させたりするための薬剤を保管する薬剤貯留槽10とが備えられている。
また、ここでは詳述はしないが、フッ素汚染土壌の処理装置には、上記のほかに、燃料供給手段、助燃ガス供給手段や各種配管、ポンプ、送風機、煙突などといった、土壌処理装置に通常備えられているものが備えられている。
このような装置を用いたフッ素汚染土壌の処理方法においては、まず汚染土壌をロータリーキルン1を用いて加熱する。なおこのロータリーキルン1での加熱条件、ロータリーキルン1の運転条件などは、第一の実施形態と同様である。なお、ロータリーキルン1から排出される排ガスは、土壌中の有機物が不完全に燃焼して生成された未燃分(たとえば一酸化炭素)を含んでいる場合などに前記二次燃焼炉2で二次燃焼させて減温塔で水の散布により約100〜200℃、好ましくは150〜180℃まで冷却された後、粒子状(45μm以下)の活性炭と消石灰などの添加剤が添加され、その後、バグフィルターによって排ガス中の微粒子や前記活性炭が除去される。また、このとき必要に応じて中和剤等の薬品を添加しても良い。このことから、土壌に重金属が含まれている場合にも、加熱によって重金属を排ガスに同伴させて、このバグフィルターで前述の微粒子や活性炭などとともに捕捉させて除去することができる。
一方、ロータリーキルン1で加熱されたフッ素汚染土壌は、前記土壌冷却装置5の水槽中に投入して冷却する。
このときフッ素汚染土壌中のフッ素化合物は、前記ロータリーキルン1での加熱により反応性が高められ、水への溶解性も高められていることから、水を添加して接触させることで接触させた水にフッ素を溶解させることができ、後段でのリンイオンの添加時にリンイオンとフッ素とを容易に反応させ得る。また、水槽には土壌の量に比べて多大な水量が貯留されており、後述するように、フッ素汚染土壌に接触してフッ素が溶出された水を土壌から前記水切りコンベア8にて水切りして脱水分離することから、土壌中のフッ素含有量を低減させることができる。
このことからフッ素汚染土壌の処理にともない水槽に貯留された水の中のフッ素量は増大することとなるが、例えば、別途水中からフッ素分を除去するフッ素除去装置を設けて、該フッ素除去装置とこの水槽との間を水を循環させることにより、水槽中のフッ素濃度が増大することを抑制しつつフッ素汚染土壌の処理を連続的に実施させることができる。
この冷却後のフッ素汚染土壌は、水切りコンベア8を用いて水を除去しつつ前記水槽から搬出させる。この水槽からの搬出において水切りすることで、前述のごとく、この水に溶解したフッ素化合物が土壌から除去されることとなり、フッ素含有量を低減させた状態のフッ素汚染土壌にリンイオン含有水溶液が添加されることとなり、処理後の土壌からのフッ素溶出量をより低減させ得る。また、リンイオン含有水溶液の使用量も低減でき、運転コストを低減させ得る。
土壌冷却装置5の水槽から水切りコンベア8にて水切りしつつ搬出させたフッ素汚染土壌は、噴霧装置11によりリンイオンを含有する水溶液を霧状にシャワーリングしてミキサー12に導入する。
このとき用いるリンイオン含有水溶液は、第一の実施形態にて説明したものと同様のものを、第一の実施形態にて説明した土壌に対する割合と同様の量で用いることができる。ただし、第一の実施形態ではリン酸水溶液を貯留するリン酸槽に、前記加熱工程でフッ素やカルシウム分などの反応性を高めた土壌を投入して土壌にリンイオン含有水溶液を添加させつつ土壌を冷却させる場合を例に説明したが、この第二の実施形態では加熱工程で反応性を高めたフッ素汚染土壌は、上記のように水と接触させて冷却し、この水と接触させた後の土壌にリンイオン含有水溶液をシャワーリングしてフッ素汚染土壌にリンイオン含有水溶液を添加している点において第一の実施形態と異なっている。
第一の実施形態のようにリン酸イオン添加機構としてリン酸槽を用い、該リン酸水槽に土壌を投入する場合には、リン酸槽に貯留するリンイオン含有水溶液として、土壌中にリンイオン含有水溶液に起因したナトリウムイオンやカリウムイオンといったものの残留を防止すべくリン酸などを用いる場合において、このリン酸槽などの腐食を防止するためにリン酸槽に耐食性を付与するなどせねばならず、しかも、フッ素汚染土壌の処理の進行に伴うリン酸槽に貯留されているリンイオン含有水溶液のpH変化やリンイオンの濃度変化(リンイオンの消費)への対処が必要となる。一方、この第二の実施形態のようにリン酸イオン添加機構としてリンイオン含有水溶液をシャワーリングするシャワーリング機構を用いてフッ素汚染土壌にリンイオン含有水溶液を添加する場合には、リンイオン含有水溶液としてリン酸などを用いる場合にも、装置とリン酸水溶液との接触を抑制でき、装置に腐食が発生することを抑制できる。しかも、フッ素汚染土壌へのリンイオン含有水溶液の添加量を容易に変更することができる。さらには、用いるリンイオン含有水溶液の種類や濃度なども変更が容易で、フッ素汚染土壌のコンディションに応じたリンイオン含有水溶液の添加を実施することができる。
しかも、リンイオン含有水溶液を霧状にしてシャワーリング(噴霧)することにより、リンイオン含有水溶液とフッ素汚染土壌との接触面積を増大させることができ、リンイオン含有水溶液の使用量を抑制して運転コストを低減させつつ、処理後の土壌からのフッ素溶出量を低減させることができる。
なお、このリンイオン含有水溶液を霧状にしてシャワーリングするあるいは噴霧するとは、リンイオン含有水溶液を粒径(水滴の真球換算の直径)1mm以下の状態としてフッ素汚染土壌に添加することを意図している。
リンイオン含有水溶液とフッ素汚染土壌との接触面積を充分に増大させて、リンイオン含有水溶液の使用量を抑制して運転コストを低減させつつ、処理後の土壌からのフッ素溶出量を低減させ得る点において、リンイオン含有水溶液は、粒径が0.5mm以下の状態でフッ素汚染土壌に噴霧されることが好ましい。
このリンイオン含有水溶液を添加した後のフッ素汚染土壌は、ミキサー12にて攪拌してフッ素汚染土壌にリンイオン含有水溶液と接触しない個所が生じることを抑制させ、フッ素汚染土壌中のフッ素とリンイオン含有水溶液の反応を促進させた後に、処理済土壌として搬出までの期間保管すべく、振り分けコンベア9に導入してストックヤードなどに振り分ける。
この第二の実施形態においては、フッ素汚染土壌にリンイオン含有水溶液と接触しない個所が生じることを抑制させ、フッ素汚染土壌中のフッ素とリンイオン含有水溶液の反応を促進させ得ることからミキサー12への導入前にフッ素汚染土壌にリンイオン含有水溶液をシャワーリングさせているが、ミキサー12への導入前のリンイオン含有水溶液のシャワーリングならびにミキサー12での攪拌を実施せずに、振り分けコンベア9などでストックヤードなどに保管する前にリンイオン含有水溶液をシャワーリングさせる場合には、リン酸水溶液と装置との接触をさらに抑制させることができ、リンイオン含有水溶液としてリン酸などを用いる場合であっても装置の腐食をさらに防止でき、防食のためのコストを削減できて装置をコストダウンさせ得る。また、メンテナンスコストも削減させ得る。
さらに、ストックヤードなどにフッ素汚染土壌を保管する際にリンイオン含有水溶液のシャワーリングやフッ素汚染土壌の攪拌を実施することもでき、このような場合には、装置の腐食をさらに防止し得る。
なお、この第二の実施形態においては詳述しないが、第一の実施形態において説明した種々の変更点は、この第二の実施形態にも適応可能である。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
加熱炉としてSUS304製の間接加熱炉を利用し、間接加熱炉の中に被処理土壌を投入し、一端より所定の雰囲気ガス(窒素と空気との混合ガス)を供給し、他端よりガスを排出する構造の試験装置を利用した。
土壌は、平成15年3月環境省告示第19号「土壌含有量調査に係る測定方法を定める件 」に基づく試験方法による測定において1kgあたりにフッ素が50mg含有されていることが確認されたものを用いた。
この土壌0.5kgを前記間接加熱炉の中に投入し、供給ガスとしては窒素を30リットル/minで供給し炉内雰囲気を酸素濃度10容量%になるように調整しつつ1000℃の温度で15分間加熱した。なお、排ガスの一部を酸素分析計(ホダカ社製、排ガス計測器HT−1300)に通過させ、炉内の酸素濃度を確認できるようにしている。
この加熱後の土壌を、リン酸水溶液500mL中に投入して10分間撹拌し、その後、吸引濾過にて土壌と水溶液とに分離して処理を終了した。
この処理において初期、間接加熱炉で1000℃×15分加熱後、リン酸添加後の土壌のフッ素溶出量を平成15年3月環境省告示第18号「土壌溶出量調査に係る測定方法を定める件 」に基づく試験方法により測定した。なお、リン酸添加後の土壌については、用いた500mLのリン酸水溶液中のリンイオンの量をモル比で使用土壌の初期フッ素含有量の5倍とした場合、同じく10倍とした場合の2通りの場合でそれぞれ測定を行った。
結果を、表1に示す。
Figure 0004401374
※表中の数値の単位は(mg/L)である。
この表1に示された結果からも、フッ素汚染土壌を400〜1200℃の温度に加熱した後にリンイオンを含有する水溶液を添加することで、土壌からのフッ素溶出量を十分に低減させ得ることがわかる。
平成15年3月環境省告示第19号「土壌含有量調査に係る測定方法を定める件 」に基づく試験方法による測定において、1kgあたりにフッ素が80mg含有されていることが確認された土壌を用いたことならびに加熱後のフッ素汚染土壌のリン酸水溶液への投入に代えて、水道水中に投入し、10分間撹拌し、60メッシュ(目開き250μm)のふるいにて水切りを行った。水切りして脱水したものを5cm×5cmの範囲に拡げて、霧吹きにより噴霧してリン酸水溶液を土壌に添加した以外は、実施例1と同様に処理した。
この処理において、初期、間接加熱炉で1000℃×15分加熱後(水中への投入前)、水中へ投入し脱水後、リン酸添加後の土壌のフッ素溶出量を実施例1と同様に測定した。
なお、リン酸噴霧については、1重量%リン酸溶液を用いて、使用土壌の初期フッ素含有量に対して、モル比で2倍、5倍、10倍、30倍、60倍の量となるリンイオンが添加されるように噴霧量を調整してそれぞれの場合について測定を行った。
結果を、表2に示す。
Figure 0004401374
※表中の数値の単位は(mg/L)である。
この表2に示された結果からも、フッ素汚染土壌を400〜1200℃の温度に加熱した後にリンイオンを含有する水溶液を添加することで、土壌からのフッ素溶出量を十分に低減させ得ることがわかる。またこの表2に示された結果からは、フッ素汚染土壌を加熱すると、加熱前の土壌よりもフッ素の溶出量が増大していることもわかる。さらに、加熱後に水と接触させて脱水させた場合には、土壌からのフッ素溶出量を低減させ得ることもわかる。
一実施形態のフッ素汚染土壌処理装置を示す模式図。
符号の説明
1:ロータリーキルン(加熱機構)、11:噴霧装置(シャワーリング機構)

Claims (4)

  1. 土壌中にフッ素を含有するフッ素汚染土壌を、400〜1200℃の温度に加熱し、該加熱後のフッ素汚染土壌にリンイオンを含有する水溶液を添加し、しかも、前記水溶液の添加前に、前記加熱後のフッ素汚染土壌への水の添加をさらに実施することを特徴とするフッ素汚染土壌の無害化処理方法。
  2. 前記水の添加後、リンイオンを含有する水溶液の添加前に、前記水が添加されたフッ素汚染土壌の脱水をさらに実施する請求項に記載のフッ素汚染土壌の無害化処理方法。
  3. 前記リンイオンを含有する水溶液の添加後に、リンイオンを含有する水溶液が添加されたフッ素汚染土壌の攪拌をさらに実施する請求項1又は2に記載のフッ素汚染土壌の無害化処理方法。
  4. フッ素汚染土壌へのリンイオンを含有する水溶液の添加を、リンイオンを含有する水溶
    液のフッ素汚染土壌へのシャワーリングにより実施する請求項1乃至の何れかに記載の
    フッ素汚染土壌の無害化処理方法。
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