JP2007268349A - 重金属含有粉状物の処理方法、処理剤および処理装置 - Google Patents

重金属含有粉状物の処理方法、処理剤および処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】アンモニアまたはアンモニウム塩を含む重金属含有灰等に対し、重金属の溶出防止効果を低下させるおそれを回避し、かつ、アンモニア発生を抑制できる重金属含有粉状物の処理方法、処理剤および処理装置を提供する。
【解決手段】アンモニアまたはアンモニウム塩を含む重金属含有灰等の重金属含有粉状物を水の存在下で混練する過程で、次亜塩素酸またはその塩を重金属含有粉状物に添加する。重金属含有灰は、灰貯留槽11から混練機12内に送られる。混練機12には、次亜塩素酸貯槽13に貯留された次亜塩素酸ナトリウム水溶液等の次亜塩素酸またはその塩を供給し、重金属含有灰に次亜塩素酸ナトリウム水溶液等を添加して混練する。
【選択図】図1

Description

本発明は、重金属と、アンモニアまたはアンモニウム塩と、を含む粉状物からの重金属溶出およびアンモニア臭発生を防止する処理方法、処理剤および処理装置に関する。本発明は特に、焼却飛灰等の重金属含有灰からのアンモニア臭発生を防止した状態で重金属溶出防止を図ることができる処理方法、処理剤、および処理装置に関する。
都市ゴミおよび産業廃棄物等の廃棄物を焼却することにより発生する焼却炉残渣(以下、「焼却灰」)や飛灰(集塵灰とも称する)には、廃棄物に含まれていた重金属等の有害物質が含まれる。このため、重金属を含有するこれらの灰(重金属含有灰)はそのまま埋め立て廃棄することはできず、重金属の溶出が基準値未満となるように処理する必要がある。従来、重金属含有灰に対する重金属溶出防止法としては、セメントのような固化剤を添加する固化処理、酸等を添加して重金属を灰から溶出させて除去する抽出処理、重金属と反応して不溶性物質を形成する重金属固定剤を添加する安定化処理等が知られている。
ところで、廃棄物を焼却する過程では、焼却処理に伴い発生する排ガスに含まれる窒素酸化物を除去する目的で、焼却炉等にアンモニア水または尿素を吹き込む脱硝処理が用いられる場合がある。このような場合、飛灰は重金属以外にアンモニアまたはアンモニウム塩を含み、かつ酸性ガス対策として吹き込まれた消石灰等のアルカリ成分を含む。このような重金属含有粉状物を、キレート剤等の重金属固定剤と水の存在下で混練する際、アルカリ条件になり、アンモニアが揮発して臭気を生じる問題がある。
上記アンモニア発生対策としては、重金属含有灰に液状のキレート剤とアルコールとを添加する方法(特許文献1)、樹脂酸および/または樹脂酸変性物を添加する方法(特許文献2)、リン酸および/またはその塩とマグネシウム化合物を添加する方法(特許文献3)が提案されている。
特開2003−340393号公報 特開2004−105900号公報 特開2004−73990号公報
特許文献1に開示された方法は、混練時に消石灰等のアルカリ成分が水と反応して発生する反応熱を奪うことによりアンモニアの発生を抑制するものである。特許文献1に開示された方法では、キレート剤が分解されるおそれが低いため、重金属溶出防止効果の低下を防止してアンモニア臭の発生を抑制できる。しかし、アルコールの気化熱を利用して重金属含有灰の温度上昇を防止するだけでは、高いアンモニア発生抑制効果を得ることは期待できない。
また、特許文献2に開示された方法は、樹脂酸等による皮膜効果でアンモニア臭の発生および重金属の溶出防止を図る。すなわち、この方法では樹脂酸等によりアンモニアを灰中に封じ込めるため、アンモニア発生抑制効果を高くすることは期待できるが、粘度が高い樹脂酸等を重金属含有灰と均一に混合することは困難である。
さらに、特許文献3に開示された方法では、リン酸の添加により重金属含有灰のpHが低下して鉛やカドミウムのような重金属が溶出するおそれがある。
本発明は上記課題に鑑みてなされ、アンモニアまたはアンモニウム塩を含む重金属含有粉状物に対し、重金属の溶出防止効果を低下させるおそれを回避し、かつ、アンモニア発生を抑制できる重金属含有粉状物の処理方法、処理剤および処理装置を提供することを目的とする。本発明はまた、簡便な操作で、向上されたアンモニア発生抑制効果を得ることができる重金属含有粉状物の処理方法、処理剤および処理装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、アンモニアまたはアンモニウム塩を含む重金属含有灰等の重金属含有粉状物を水の存在下で混練する過程で、次亜塩素酸またはその塩を重金属含有粉状物に添加することにより、アンモニア発生が抑制され、しかも鉛等の重金属溶出防止効果も向上されることを見出し、本発明を完成させた。具体的には、本発明は、以下を提供する。
(1)重金属と、アンモニアまたはアンモニウム塩と、を含む重金属含有粉状物に、次亜塩素酸またはその塩を添加して混練する重金属含有粉状物の処理方法。
(2)前記重金属含有粉状物は、アルカリ成分をさらに含み、含水率が10質量%以下のアルカリ性灰である(1)に記載の重金属含有粉状物の処理方法。
(3)前記重金属含有粉状物に、重金属固定剤をさらに添加して混練する(1)または(2)に記載の重金属含有粉状物の処理方法。
(4)前記重金属固定剤は、無機系重金属固定剤である(3)に記載の重金属含有粉状物の処理方法。
(5)前記重金属含有粉状物に、pH調整剤をさらに添加して混練する(1)から(4)いずれかに記載の重金属含有粉状物の処理方法。
(6)前記pH調整剤は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、および炭酸水素カリウムからなる群より選ばれる1種以上である(5)に記載の重金属含有粉状物の処理方法。
(7)前記重金属含有粉状物は、前記重金属として、鉛またはカドミウムの少なくとも一方を含む(1)から(6)いずれかに記載の重金属含有粉状物の処理方法。
(8)重金属と、アンモニアまたはアンモニウム塩と、を含む重金属含有粉状物に添加される重金属含有粉状物処理剤であって、次亜塩素酸またはその塩を含む重金属含有粉状物の処理剤。
(9)無機系重金属固定剤をさらに含む(8)に記載の重金属含有粉状物の処理剤。
(10)重金属と、アンモニアまたはアンモニウム塩と、を含む重金属含有粉状物が導入される混練機と、前記重金属含有粉状物に次亜塩素酸またはその塩を添加する次亜塩素酸添加手段と、を備える重金属含有粉状物の処理装置。
本発明は、重金属以外にアンモニアまたはアンモニウム塩を含む灰を好適な処理対象とする。ただし、本発明は、灰以外の粉状物の処理に用いることができ、具体的には重金属、およびアンモニアまたはアンモニウム塩を含む土(例えば浚渫汚泥等の泥を含む)を処理対象とすることは排除されない。灰としては、廃棄物の焼却により発生する焼却灰および飛灰を主たる処理対象とし、「飛灰」には、下水処理汚泥および浚渫汚泥等を溶融処理する際に発生する飛灰(特に「溶融飛灰」と称する)も含まれるものとする。灰等の重金属含有粉状物に含まれる重金属は特に限定されないが、本発明では特に鉛およびカドミウムに対する向上された溶出防止効果が得られることから、少なくとも鉛またはカドミウムを含む粉状物を好適な処理対象とする。
本明細書において「混練」とは、灰等の粉状物に対して含水率10〜40質量%程度の水の存在下で粉状物を攪拌する操作を意味するものとする。廃棄物等を焼却等する過程で発生する飛灰は、無処理の状態、すなわち加水していない状態では含水率が10質量%以下、具体的には5質量%程度であるが、重金属溶出防止処理の過程で加水され、水分を含む状態になる。このため、アンモニアまたはアンモニウム塩を含み、かつ、酸性ガス対策として吹き込まれた消石灰等のアルカリ成分を含む飛灰を処理対象とする場合、pHが高アルカリ域となりアンモニアが揮発して臭気を発生させる。
本発明によれば、かかる飛灰等の重金属含有粉状物に次亜塩素酸またはその塩を添加することで、アルカリ条件下で水を含んだ状態で混練される重金属含有粉状物からのアンモニアの発生を抑制できる。本発明により、アンモニアの発生が抑制できる理由は、化学式1に示される反応によるものと推察される。
Figure 2007268349
また、本発明によれば、重金属溶出防止効果を低下させるおそれを回避でき、特に鉛およびカドミウムについては、重金属安定剤の添加等による溶出防止効果を向上させることができる。鉛の溶出防止が図られる理由としては、化学式1に示した反応により生成するNaOHにより、混練される重金属含有粉状物の中に含まれるOHが増加することにより、不溶性のPb(OH)の生成が促進されるものと推察される。カドミウムについては、化学式2のようにアミン錯体を形成していると考えられ、次亜塩素酸またはその塩の添加によりNHの存在量が減少し、Cd2+の形態で存在するカドミウムの割合が増加することにより、遊離性のカドミウムがCd(OH)あるいはCdCOとして固定化されるものと推察される。
Figure 2007268349
次亜塩素酸またはその塩としては特に限定されず、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム(サラシ粉)、および次亜塩素酸カリウム等を用いることができる。次亜塩素酸またはその塩は、粉等の固体として重金属含有粉状物に添加してもよく、水溶液等の液状にしたものを添加してもよい。
次亜塩素酸またはその塩の添加量は、重金属含有粉状物に対して有効塩素濃度として20質量%以下、特に5質量%以下、具体的には0.01〜5質量%とすることが好ましい。次亜塩素酸またはその塩を水溶液等の液体として添加する場合、次亜塩素酸またはその塩が重金属含有粉状物と均一に混合されるように徐々に添加するとよい。例えば、次亜塩素酸またはその塩を含む液体を少量ずつ連続的に添加してもよく、複数回に分割して添加してもよい。
本発明によれば、重金属の溶出防止効果を低下させることを防止して混練過程でのアンモニア発生防止が図れる。また、本発明による重金属の溶出防止効果は上記の反応により奏されるものと推察されることから、重金属の溶出防止効果を向上させるために他の処理を組み合わせることは排除されない。例えば、重金属含有粉状物に次亜塩素酸またはその塩のみならずセメント等の固化剤を添加することにより、重金属含有粉状物を固化する固化処理を行ってもよい。
また、次亜塩素酸またはその塩に加えて重金属固定剤を重金属含有粉状物に添加する安定化処理を行なってもよい。重金属固定剤としては、重金属と反応して不溶性の塩を生成する任意の薬剤、およびキレート剤を使用できる。具体的には、リン酸系、鉄系、ケイ酸系等の無機系重金属固定剤、および有機キレート系の重金属固定剤が挙げられる。
より具体的には、リン酸系重金属固定剤として、正リン酸、次亜リン酸、メタ亜リン酸、ピロ亜リン酸、正亜リン酸、次リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、縮合リン酸、第一リン酸塩、および第二リン酸塩が挙げられる。他の無機系重金属固定剤としてはケイ酸系重金属固定剤が挙げられ、また、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、およびポリ硫酸第二鉄等の鉄系重金属固定剤等が挙げられる。この他、硫黄系重金属固定剤である硫化ナトリウム、水硫化ナトリウム、およびチオール系化合物等、並びに有機キレート系重金属固定剤であるイミノプロピオン酸基、チオカルバミン酸基、またはイミノジ酢酸基等を有する化合物等を使用することは排除されない。
また、重金属に加えアンモニアまたはアンモニウム塩を含む重金属含有粉状物が集塵機により集塵された飛灰である場合、酸性ガス対策として集塵機前でしばしば酸性ガス対策用の薬剤が噴霧される。酸性ガス対策用の薬剤には、消石灰のようにアルカリ度が高い薬品、または重曹のように比較的アルカリ度が低い薬品がある。
本発明は、酸性ガス対策としてこれらのアルカリ性の薬剤が用いられた場合に生じる飛灰のような重金属含有粉状物の処理に用いることができるが、消石灰のようにアルカリ度が高い薬品が吹き込まれ飛灰のpHが高すぎると、重金属の溶出を防止しつつ過度のアンモニアの発生を抑えるのに適したpHに調整することは難しくなる。このため、酸性ガス対策用の薬剤が吹き込まれた場合に生じる飛灰を処理する場合、アルカリ度が比較的低い薬品、具体的には重曹(炭酸水素ナトリウム)、セスキ炭酸ソーダ(セスキ炭酸ナトリウム)、炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等を用いていることが好ましい。なお、セスキ炭酸ソーダには天然ソーダ(トロナ)が含まれるものとする。
ところで、酸性ガス対策として重曹等の比較的アルカリ度の低いアルカリ成分が吹き込まれた飛灰を処理対象とする場合は飛灰そのもののpHは低くなり、アンモニアによる臭気発生の問題は軽減されるものの、重金属固定剤による処理が不十分になる場合がある。そのため、酸性ガス対策として添加されたアルカリ等の薬剤とは別に、pH調整剤を添加して重金属固定処理を行なってもよい。
この場合、pHが高くなるとアンモニアが揮発して臭気を発生させるという問題が生じ、重金属固定処理とアンモニア対策とは両立が困難であるが、必要に応じて固形または液状のpH調整剤を重金属含有粉状物にさらに添加して、混練時の重金属含有粉状物のpHが8〜10程度となるようにするとよい。pH調整剤としては、重金属含有粉状物のpHが低すぎる場合は酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、および炭酸水素カリウム等のアルカリを添加することが好ましい。また、重金属含有粉状物のpHが高すぎる場合には、硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウム等を添加することが好ましい。
本発明によれば、重金属と、アンモニアまたはアンモニウム塩とを含む重金属含有粉状物を、アンモニアの発生を抑制した状態で処理することができる。また、本発明によれば、特に次亜塩素酸またはその塩と無機系特にリン酸系の重金属固定剤とを重金属含有粉状物に添加することで、鉛等の重金属の溶出防止効果も向上させることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。図1は、本発明に係る一実施形態による重金属含有粉状物として飛灰を処理する重金属含有粉状物の処理装置(以下、単に「処理装置」)1の模式図である。処理装置1は、混練機12と、この混練機12に接続され次亜塩素酸またはその塩を供給する次亜塩素酸供給手段と、を含む。本実施形態では次亜塩素酸供給手段は、次亜塩素酸貯槽13と次亜塩素酸供給路23とを含んで構成されている。
図1に示すように、飛灰は酸性ガス対策用薬剤貯槽16から酸性ガス対策用薬剤供給路26を通して煙道7に供給された酸性ガス対策用薬剤が酸性ガスと反応して生成された生成物や、酸性ガスと反応せずに残留した酸性ガス対策用薬剤とともに集塵機9にて集塵される。こうした酸性ガス対策用薬剤等を含む飛灰は、灰排出路20を介して灰貯留槽11に一端貯留され、灰移送路21を経由して混練機12に供給される。混練機12には、次亜塩素酸またはその塩を貯留する次亜塩素酸貯槽13が次亜塩素酸供給路23を介して接続されており、灰貯留槽11から送られた飛灰に次亜塩素酸またはその塩が添加される。処理済の飛灰は、処理飛灰排出路22から取り出される。
本実施形態では、次亜塩素酸ナトリウムの水溶液を次亜塩素酸貯槽13に貯留し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を混練機12内の飛灰に添加するように構成している。しかし、添加する次亜塩素酸またはその塩の添加形態、種類、および添加量は特に限定されず、好適な態様は上述したとおりである。次亜塩素酸またはその塩は、混練される飛灰に含まれていればよく、添加位置は本形態に限定されない。具体的には、次亜塩素酸またはその塩を混練機12の前段、例えば灰貯留槽11と混練機12とを接続する灰移送路21の途中で添加してもよい。
重金属含有粉状物には、次亜塩素酸またはその塩以外の薬剤を添加してもよい。本実施形態では、混練機12に重金属固定剤供給路24を接続し、重金属固定剤貯槽14に貯留された液状のリン酸系重金属固定剤を混練機12に供給することにより、飛灰に重金属固定剤をさらに添加するように構成している。
重金属固定剤に代えてセメント等の他の重金属溶出防止処理用の薬剤を添加してもよい。他の重金属溶出防止剤の具体例は上述したとおりであり、添加量は薬剤の種類によって適宜、選択すればよい。重金属溶出防止用の薬剤の添加形態は薬剤の種類によって選択すればよく、粉等の固体として、または水溶液等の液状で添加できる。
飛灰等の重金属含有粉状物は、混練時の含水率が10〜40質量%程度であることが好ましく、次亜塩素酸またはその塩を固体で添加する場合等で水分が不足する場合、必要に応じて加水すればよい。例えば本実施形態では、混練機12に給水パイプ29を接続することにより、適宜、加水できるように構成している。
さらに、混練する飛灰等の重金属含有粉状物はpHが8〜10であることが好ましく、必要に応じてpH調整を行なってもよい。pH調整剤の添加位置は限定されないが特に、混練される重金属含有粉状物のpHを上記pH範囲にする目的で、排ガスの煙道7にpH調整剤を供給することが好ましい。具体的には、図1に示すように、飛灰を収集する集塵機9に供給される排ガスの煙道(排ガス供給路)7の途中にpH調整剤路25を接続し、pH調整剤貯槽15に貯留したpH調整剤を供給するとよい。なお、ここでいうpHとは、環境庁告示第13号溶出試験に準拠した試験を行ない、溶出液のpHを測定した場合のものである。
pH調整剤の添加位置は上記に限定されず、混練機12にpH調整剤路25を接続してpH調整剤貯槽15に貯留したpH調整剤を飛灰に添加するように構成してもよい。同様に、重金属固定剤等の重金属溶出防止用の薬剤、pH調整剤、および加湿用水のいずれか1以上をさらに添加する場合の添加位置も上記に限定されず、混練機12の前段、例えば灰移送路21の途中で添加してもよい。
[比較例1]
重金属含有粉状物として、産業廃棄物焼却施設から排出された飛灰を処理対象とした。飛灰は、産業廃棄物由来の鉛等の重金属、脱硝目的で添加されたアンモニア由来のアンモニアまたはアンモニウム塩、および酸性ガス対策として吹き込まれた重曹の未反応成分(主に炭酸ソーダ)をアルカリ成分として含み、詳細は表1に示すとおりである。なお表1において、重金属含有量およびアンモニア性窒素含有量は乾燥重量あたりの値で示す。
Figure 2007268349
比較例1では飛灰を容量5Lのテドラーバッグに入れ、飛灰に対して30質量%に相当する蒸留水を添加して密閉し、手で混練した後、4.5Lの空気を充填した。これを、室温(25℃)または75℃で10分間、放置した後、テドラーバッグ内の空気のアンモニア濃度を検知管で測定した。また、アンモニア濃度を測定した後、テドラーバッグ内の混練後の飛灰について、環境庁告示第13号溶出試験に準拠した試験を行い、溶出液のpHを測定するとともに、鉛およびカドミウムの溶出濃度を測定した。
[実施例1]
実施例1では、比較例1と同様に飛灰をテドラーバッグに入れ、有効塩素濃度12%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を飛灰に対して20質量%(有効塩素濃度として対飛灰2.4質量%)となるように添加し、さらに、上述の次亜塩素酸ナトリウム水溶液の水分と合わせた総水分が飛灰に対して30質量%となるように蒸留水を加水した。その後、比較例1と同様にテドラーバッグを密閉して内容物が均一に混合されるように手で混練した後、4.5Lの空気を充填し、比較例1と同様の試験を行なった。
[実施例2]
実施例2では、実施例1で用いた次亜塩素酸ナトリウム水溶液を飛灰に対して30質量%(有効塩素濃度として対飛灰3.6質量%)となるようにした以外は実施例1と同様の試験を行なった。
表2に比較例1、実施例1および実施例2について、有効塩素濃度(対飛灰)、テドラーバック内の空気中のアンモニア濃度、溶出液のpH、および鉛とカドミウムの溶出濃度を示す。なお、埋め立て基準値は鉛、カドミウムとも0.3mg/L以下である。
Figure 2007268349
表2に示すように、加水しただけで混練した比較例1では、アンモニアが発生した。一方、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を添加して混練した実施例1および実施例2では、アンモニアの発生を抑制でき、また、重金属の溶出量も比較例1に比べ低くなった。
[比較例2]
比較例2では、比較例1、実施例1および2で用いた飛灰とは別の産業廃棄物焼却施設から排出された飛灰を処理対象とした。飛灰は、産業廃棄物由来の鉛等の重金属、脱硝目的で添加されたアンモニア由来のアンモニアまたはアンモニウム塩、および酸性ガス対策として吹き込まれた重曹の未反応成分(主に炭酸ソーダ)をアルカリ成分として含み、詳細は表3に示すとおりである。なお表3において、重金属含有量およびアンモニア性窒素含有量は乾燥重量あたりの値で示す。
Figure 2007268349
比較例2では飛灰を容量5Lのテドラーバッグに入れ、飛灰に対して30質量%に相当する蒸留水を添加して密閉し、手で混練した後、4.5Lの空気を充填した。これを比較例1と同様に、室温または75℃で10分間、放置した後、テドラーバッグ内の空気のアンモニア濃度を検知管で測定した。また、アンモニア濃度を測定した後、テドラーバッグ内の混練後の飛灰について、環境庁告示第13号溶出試験に準拠した試験を行い、溶出液のpHを測定するとともに、鉛およびカドミウムの溶出濃度を測定した。
[比較例3]
比較例3では、比較例2と同じ産業廃棄物焼却施設から排出された飛灰を処理対象とした。比較例3では、比較例2と同じ飛灰をテドラーバッグに入れ、第三リン酸カリウムを主成分とするリン酸系重金属固定剤を飛灰に対して5質量%、およびpH調整剤として粉末の酸化マグネシウムを飛灰に対して10質量%添加し、全体で水分が飛灰に対して30質量%となるように蒸留水を加水した。その後、比較例2と同様にテドラーバッグを密閉して内容物が均一に混合されるように手で混練した後、4.5Lの空気を充填し、比較例2と同様の試験を行なった。
[実施例3]
実施例3では、比較例3と同様に飛灰、リン酸軽重金属固定剤、酸化マグネシウムをテドラーバッグに入れ、有効塩素濃度12%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を飛灰に対して10質量%(有効塩素濃度として対飛灰1.4質量%)となるように添加し、さらに、上述の次亜塩素酸ナトリウム水溶液の水分と合わせた総水分が飛灰に対して30質量%となるに蒸留水を加水した。その後、比較例3と同様にテドラーバッグを密閉して内容物が均一に混合されるように手で混練した後、4.5Lの空気を充填し、比較例3と同様の試験を行なった。
[実施例4]
実施例4では、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の添加量を飛灰に対して20質量%(有効塩素濃度として対飛灰2.4質量%)とした以外は実施例3と同様の試験を行なった。
[実施例5]
実施例5では、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の添加量を実施例3の3倍、すなわち飛灰に対して30質量%(有効塩素濃度として対飛灰3.6質量%)とした以外は実施例3と同様の試験を行なった。
表4に比較例2、3および実施例3〜5について、有効塩素濃度(対飛灰)、テドラーバック内の空気中のアンモニア濃度、溶出液のpH、および鉛とカドミウムの溶出濃度を示す。
Figure 2007268349
表4に示すように、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を添加せずにリン酸系重金属固定剤を添加した比較例3では重金属の溶出を防止できたものの、アンモニアが発生した。一方、次亜塩素酸ナトリウムと重金属固定剤とを添加した実施例3〜5ではアンモニアの発生を抑制でき、しかも重金属溶出防止効果を向上させることができた。特に、実施例3〜5の結果から、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の添加量を増やすことで重金属溶出防止効果を向上できることが示された。
本発明は、飛灰等の重金属含有粉状物の処理に用いることができる。
本発明を実施するために用いられる一実施形態に係る重金属含有粉状物の処理装置の模式図である。
符号の説明
1 重金属含有粉状物の処理装置
9 集塵機
11 灰貯留槽
12 混練機
13 次亜塩素酸貯槽
14 重金属固定剤貯槽
15 pH調整剤貯槽
16 酸性ガス対策用薬剤貯層
22 処理飛灰排出路
23 次亜塩素酸供給路
24 重金属固定剤供給路
25 pH調整剤路
26 酸性ガス対策用薬剤供給路

Claims (10)

  1. 重金属と、アンモニアまたはアンモニウム塩と、を含む重金属含有粉状物に、次亜塩素酸またはその塩を添加して混練する重金属含有粉状物の処理方法。
  2. 前記重金属含有粉状物は、アルカリ成分をさらに含み、含水率が10質量%以下のアルカリ性灰である請求項1に記載の重金属含有粉状物の処理方法。
  3. 前記重金属含有粉状物に、重金属固定剤をさらに添加して混練する請求項1または2に記載の重金属含有粉状物の処理方法。
  4. 前記重金属固定剤は、無機系重金属固定剤である請求項3に記載の重金属含有粉状物の処理方法。
  5. 前記重金属含有粉状物に、pH調整剤をさらに添加して混練する請求項1から4いずれかに記載の重金属含有粉状物の処理方法。
  6. 前記pH調整剤は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、および炭酸水素カリウムからなる群より選ばれる1種以上である請求項5に記載の重金属含有粉状物の処理方法。
  7. 前記重金属含有粉状物は、前記重金属として、鉛またはカドミウムの少なくとも一方を含む請求項1から6いずれかに記載の重金属含有粉状物の処理方法。
  8. 重金属と、アンモニアまたはアンモニウム塩と、を含む重金属含有粉状物に添加される重金属含有粉状物処理剤であって、
    次亜塩素酸またはその塩を含む重金属含有粉状物の処理剤。
  9. 無機系重金属固定剤をさらに含む請求項8に記載の重金属含有粉状物の処理剤。
  10. 重金属と、アンモニアまたはアンモニウム塩と、を含む重金属含有粉状物が導入される混練機と、前記重金属含有粉状物に次亜塩素酸またはその塩を添加する次亜塩素酸添加手段と、を備える重金属含有粉状物の処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015126732A (ja) * 2013-12-27 2015-07-09 プラスティックス インダストリー デベロップメント センター 果物や野菜などの植物の熟成、腐敗速度を遅らせる材料及びその製造方法

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