JP2005220249A - 不溶出化剤及び土壌処理剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】土壌から重金属類が溶出することを低コストで容易且つ簡便に回避する不溶出化剤及び土壌処理剤を提供する。
【解決手段】土壌処理剤は、セメントと、石膏と、フライアッシュと、エキスとを含有する。このエキスには、不溶出化剤と、土壌の固化を促進する固化促進剤が含まれる。具体的には、不溶出化剤として、鉄、チオ硫酸ナトリウム、塩化カリウムが使用されており、固化促進剤として酸化カルシウムが使用されている。この土壌処理剤は、土壌に添加され、該土壌にシアン、ヒ素、カドミウム、鉛、水銀、クロムが存在する場合、鉄でシアン及びヒ素が捕捉され、チオ硫酸ナトリウムでカドミウム、鉛及び水銀が捕捉され、硫酸カルシウムと二酸化ケイ素とでクロムが捕捉される。これにより、重金属類が不溶出化される。
【選択図】なし

Description

本発明は、汚泥等の土壌から重金属類を不溶出化することが可能な不溶出化剤及び該不溶出化剤を含有する土壌処理剤に関する。
埋め立て工事を行う場合、他の土木工事現場で発生した浚渫汚泥等が使用される。この場合、浚渫汚泥には、クロムや水銀等の重金属類を除去ないし不溶出化する、いわゆる重金属類除害処理がプラントにて実施される。
除害処理が施された浚渫汚泥は、埋め立て工事が行われる工事現場へと運搬され、そこで、流動性を喪失させるための固化処理が施される。すなわち、セメント系の固化処理剤が浚渫汚泥に添加される。
これにより固化された浚渫汚泥は、全体的に石質化する。換言すれば、浚渫汚泥が全体的に一体化し、その結果、所定の形状を呈する固化物が形成される。
固化処理剤としては、上記したようにセメント系が主であるが、セメント系の固化処理剤には、有機質土壌を固化することが困難であるという不具合がある。そこで、本発明者は、特許文献1において、有機質土壌にも適用可能な固化処理剤を提案している。
特開平7−136693号公報
しかしながら、特許文献1に記載された固化処理剤は、浚渫汚泥等の土壌を固化する機能を有するものの、重金属類を不溶出化する機能に乏しい。このため、クロム等の重金属類が含まれていることが懸念される土壌を固化する場合、当該土壌に対し、プラントにて不溶出化処理を施す必要がある。
周知のように、不溶出化処理を施すためのプラントは概して大規模であり、このため、設備投資が高騰する。その結果、不溶出化処理のためのコストが上昇するという不具合がある。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、土壌からの重金属類の不溶出化処理をその場で行うことが可能であり、このために処理プラントを設置する必要がなく、低コストで、しかも、容易且つ簡便に土壌から重金属類を不溶出化させることが可能な不溶出化剤及び土壌処理剤を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、二酸化ケイ素を含有する成分とともに処理対象物に添加される不溶出化剤であって、
鉄と、硫化ナトリウム又は硫酸化ナトリウムと、硫酸カルシウムと、硫酸アルミニウムとを含有し、
前記処理対象物に含まれるシアン、ヒ素、カドミウム、鉛、水銀及びクロムを捕捉し、
硫酸カルシウムと、前記成分に含有された二酸化ケイ素と、前記処理対象物に含まれるクロムとでクロムエトリンガイトを生成することを特徴とする。
本発明によれば、鉄によりシアン及びヒ素が捕捉され、硫化ナトリウム又は硫酸化ナトリウムによりカドミウム、鉛及び水銀が捕捉される。さらに、前記成分に含まれる二酸化ケイ素と、不溶出化剤に含まれる硫酸カルシウムと、捕捉したクロムとでクロムエトリンガイトが生成することにより、クロムが捕捉される。このように重金属類が捕捉されることに伴い、該重金属類が不溶出化される。
この不溶出化を行うには、不溶出化剤を土壌等の処理対象物に添加する作業を行うのみでよい。すなわち、本発明によれば、容易且つ簡便な作業を行うのみで処理対象物に含まれる重金属類をその場で不溶出化することができる。従って、大規模な処理プラントを設ける必要がない。
なお、二酸化ケイ素を含有する成分の具体例としては、フライアッシュやセメント等が挙げられる。すなわち、本発明に係る不溶出化剤は、フライアッシュやセメントともに処理対象物に添加され、該処理対象物に含まれる重金属類を捕捉して不溶出化する。処理対象物としては、例えば、浚渫汚泥等の土壌等が挙げられる。勿論、フライアッシュに含まれる重金属類も上記の各化合物によって捕捉され、不溶出化される。
不溶出化剤は、塩化カリウムをさらに含有するものであることが好ましい。これらにより、特にクロムの捕捉効果が一層向上する。
不溶出化剤には、水によって水酸化物を生成する酸化物が含有されていることがより好ましい。処理対象物が浚渫汚泥等の含水量が高いものである場合、不溶出化剤が添加された際、酸化物が水によって水酸化物に変化する。これにより、処理対象物を団粒化することが容易となる。
このような酸化物の好適な例としては、酸化カルシウムを挙げることができる。
また、本発明は、10〜60重量%のセメントと、5〜20重量%の石膏と、30〜80重量%のフライアッシュと、2〜10重量%の不溶出化剤とを含有し、処理土壌に添加される土壌処理剤であって、
前記不溶出化剤は、鉄と、硫化ナトリウム又は硫酸化ナトリウムと、硫酸カルシウムと、硫酸アルミニウムとを含有し、
前記処理土壌に含まれるシアン、ヒ素、カドミウム、鉛、水銀及びクロムを捕捉し、
前記処理土壌に含まれるクロムを、前記不溶出化剤に含有された硫酸カルシウムと、前記セメント、前記石膏及び前記フライアッシュに含有された二酸化ケイ素とによってクロムエトリンガイトとして安定化させ、
且つ前記処理土壌中に存在する金属イオンをフライアッシュによって吸着することを特徴とする。
すなわち、本発明に係る土壌処理剤は、上記した不溶出化剤と、セメントと、石膏と、フライアッシュとを含むものである。この土壌処理剤は、処理土壌に添加された際、不溶出化剤の上記した作用によってシアン、ヒ素、カドミウム、鉛、水銀を捕捉する。さらに、不溶出化剤中の硫酸カルシウムと、前記セメント、前記石膏及び前記フライアッシュに含有された二酸化ケイ素とが、処理土壌に含まれるクロムとともにクロムエトリンガイトを生成することによってクロムが捕捉される。
そして、本発明においては、金属イオンがフライアッシュによって吸着除去される。このため、処理土壌の除害効率が向上する。
しかも、重金属類を不溶出化して土壌の除害処理を行うに際しては、土壌処理剤を処理土壌に添加する作業を行うのみでよい。すなわち、本発明によれば、容易且つ簡便な作業を行うのみで処理対象物に含まれる重金属類をその場で不溶出化することができる。従って、大規模な処理プラントを設ける必要がない。このため、設備投資を大幅に低減することができるので、土壌処理に要するコストを著しく低廉化することができる。
その上、本発明に係る土壌処理剤によれば、有機質土壌を凝集させて団粒化することもできる。
ここで、硫化ナトリウムと硫酸化ナトリウムとでは、重金属類の捕捉効果に優れている硫酸化ナトリウムを使用することが好ましい。
土壌処理剤を構成する不溶出化剤には、塩化カリウムがさらに含有されていることが好ましい。この場合、上記したように、クロムの捕捉効果が一層向上するからである。
不溶出化剤には、さらに、水によって水酸化物を生成する酸化物が含有されていることが好ましい。この場合、該処理土壌の団粒化を促進することができる。
上記したように、このような酸化物の好適な例としては、酸化カルシウムを挙げることができる。
本発明によれば、処理現場で薬剤を添加するという極めて容易且つ簡便な作業を行うことにより、土壌等の処理対象物に含まれる重金属類を効率よく不溶出化させることができる。しかも、大規模な処理プラントが不要であるので設備投資が低廉化し、結局、低コストで土壌処理を施すことができる。
以下、本発明に係る不溶出化剤につき、それを含有する土壌処理剤との関係で好適な実施の形態を挙げ、詳細に説明する。
本実施の形態に係る土壌処理剤は、セメントと、石膏と、フライアッシュと、後述するエキスとを含有する。
セメントは、土壌やフライアッシュに含有された粘土質や酸化アルミニウム等と反応し、土壌を凝集させる。本実施の形態において、セメントの割合は、土壌全体を一体的に固化させることなく、団粒化した凝集粒子の形状で固化させる程度、具体的には、10〜60重量%に設定される。10重量%未満であると、土壌を凝集させる機能に乏しい。また、60重量%を超えると、土壌全体を一体的に固化させるようになり、団粒化した凝集粒子を得ることが困難となる。
石膏は、セメント同様に機能して土壌を凝集させる成分である。また、土壌に含まれる水分を迅速に吸収し、該土壌の固化を促進する。石膏の割合は、5〜20重量%に設定される。5重量%未満であると、土壌処理剤を固化することが困難となる。また、20重量%を超えると、土壌処理剤を土壌に添加したときに不溶出化処理を行うことが困難となる。
フライアッシュは、石炭を焼却する際に生成した煤塵であり、高い比表面積を有する。すなわち、フライアッシュの表面には著しく多数の細孔が存在し、この細孔によって金属イオンや臭い成分、水分等が吸着される。フライアッシュの割合は、30〜80重量%に設定される。30重量%未満であると、金属イオン等を吸着する機能に乏しくなる。また、80重量%を超えると、セメントや石膏の割合が小さくなるので、土壌処理剤や土壌を固化させることが困難となる。
フライアッシュ及び石膏には、二酸化ケイ素が含有されている。この二酸化ケイ素により、エトリンガイトが形成される。また、二酸化ケイ素は、ケイ酸カルシウム水和物の生成にも寄与する。このような水和物が生成される際、水和反応に伴って多量の水が消費される。
しかも、この水和反応の際には、土壌に含まれる有機物が生成物に囲繞され、最終的に該生成物に包み込まれる。すなわち、エトリンガイトや水和物の生成反応は、有機物の存在下でも進行する。
エキスには、不溶出化剤及び固化処理剤が含まれる。このうちの不溶出化剤としては、鉄、チオ硫酸ナトリウム、塩化カリウムが使用されている。これらは、後述するように、フライアッシュ又は処理土壌に含まれたクロム、鉛、亜鉛、ヒ素、カドミウム、水銀等の重金属類を捕捉する。さらに、チオ硫酸ナトリウムは、ホウ素やハロゲンを捕捉する作用を営む成分であり、従って、土壌にホウ素、又はフッ素や塩素等が含まれている場合、チオ硫酸ナトリムによってこれらが除害される。
この場合、エキスには、カルシウム化合物としての酸化カルシウム、硫酸カルシウム及び炭酸カルシウムと、硫酸アルミニウムとがさらに含有されている。このうち、カルシウム化合物は、上記したエトリンガイトの生成反応に関与する一方、土壌を固化するとともに中和する役割を果たす。さらに、ハロゲンを捕捉する機能を営む。
また、硫酸アルミニウムは、加水分解して水酸化アルミニウムのコロイドを生成する過程において、アルミニウムの重縮合イオンを生成する。この重縮合イオンが土壌粒子を吸着しながら凝集する作用を営むことにより、処理土壌の強度が向上する。さらに、硫酸カルシウムや、後述するように酸化カルシウムが水分を吸収することによって生成した水酸化カルシウムと反応してケイ酸石灰アルミネートを生成する。
硫酸アルミニウムは、上記の凝集を非アルカリ領域においても進行させる役割を果たす。これにより、処理土壌のpHがアルカリ側となることが回避される。
エキスには、さらに、塩化マグネシウムや塩化カリウム、酸化アルミニウム、カルシウムとマグネシウムの複合炭酸塩(CaMg(CO32)等が含有されていてもよい。
エキスには、さらにクエン酸が含まれていてもよい。クエン酸は、処理土壌のpHを調製するpH調整剤として機能する。また、カルシウムや鉄等の微量なミネラル分と結合し、植物が直接吸収可能なミネラル分となる。すなわち、土壌処理剤で処理された土壌は、植物を栽培するための緑化用土壌として使用することもできる。
エキスにおける各成分の割合は、例えば、MgCl2:KCl:CaCO3:Al23:CaMg(CO32:C387:Na2SO4:Al2(SO43:CaO:Na223:Fe=0.75:1:2.25:1.5:2.5:1:0.5:25:30.5:20:15に設定すればよい。なお、数字は重量%である。
以上のような物質を含有するエキスの割合は、2〜10重量%に設定される。2重量%未満であると、処理を施す土壌全体に分散させることが困難となり、また、10重量%以上となると、材料コストが高騰してしまう。より好ましいエキスの割合は、3〜6重量%である。
このような成分の混合物である土壌処理剤は、浚渫汚泥等の処理土壌に添加されて撹拌される。この際、先ず、処理土壌に含有された水分がフライアッシュによって吸収される。すなわち、フライアッシュの表面には、上記したように著しく多数の細孔が存在し、水分はこの細孔内に保持される。
また、処理土壌中の水分は、エキスに含まれる酸化物、例えば、酸化カルシウムと反応して水酸化カルシウム等の水酸化物を生成する。この際、処理土壌中の水分が気化して該処理土壌の含水量が低減する。
以上のような理由から処理土壌の含水量が低下し、その結果、該処理土壌が流動性を消失して団粒化が起こる。このため、処理土壌が軟弱な地盤である場合、強度を向上させることもできる。
なお、細孔には臭い成分がさらに吸着され、これにより処理土壌を脱臭することができる。換言すれば、処理土壌から悪臭を除去することができる。
次に、処理土壌が、クロムやカドミウム等の重金属類を含有する汚染土壌である場合、該重金属類がイオンとして水分とともにフライアッシュの細孔内に担持される。
フライアッシュに吸着除去されることなく残留した該重金属類は、土壌処理剤中の不溶出化剤によって捕捉される。具体的には、カドミウム、鉛、水銀は、チオ硫酸ナトリウムから派生した硫化ナトリウムによって、下記の化学式(1)〜(3)に従って捕捉される。
Cd2++Na2S→CdS+Na …(1)
Pb2++Na2S→PbS+Na …(2)
Hg2++Na2S→HgS+Na …(3)
なお、チオ硫酸ナトリウムは、ホウ素やハロゲンを捕捉する作用をも営む。すなわち、処理土壌にホウ素やハロゲンが含まれている場合、これらは、エキス中のチオ硫酸ナトリウムによって除外される。
また、処理土壌中にシアン化合物が存在する場合、シアンイオンが下記の化学式(4)に従い鉄によって捕捉され、錯イオンが生成する。
6CN-+Fe2+→[Fe(CN)64- …(4)
さらに、ヒ素も下記の化学式(5)に従い鉄によって捕捉され、鉄との複合酸化物を形成する。
AsO4 3-+Fe3+→FeAsO4 …(5)
その一方で、フライアッシュ及び石膏に含有された二酸化ケイ素や、エキスに含有された酸化アルミニウムが、ポゾラン反応に基づいてエキスに含有された酸化カルシウムと結合し、その結果、CaO−SiO2−H2O(ケイ酸石灰水和物:CSH)、CaO−Al23−H2O(アルミン酸石灰水和物:CAH)、CaO−Al23−SiO2−H2O(ケイ酸石灰アルミネート)が生成する。これらの水和物は、エキスに含まれる硫酸カルシウムと反応し、これに伴って、エトリンガイトとしての3CaO・Al23・3CaSO4・32H2Oが生成する。
クロムは、通常、処理土壌中に6価クロム(Cr27 2-)として存在し、水酸化カルシウム等のアルカリ性物質の作用下に3価クロム(Cr3+)に還元される。この3価クロムが3CaO・Al23・3CaSO4・32H2O中のSと置換することにより、最終的に、3CaO・Al23・3CaCrO4・32H2O(クロムエトリンガイト)が生成する。これによりクロムが捕捉され、結局、クロムが安定化されるに至る。
エトリンガイトが生成する際には、水和反応が起こることに伴って周囲の有機物が取り込まれる。換言すれば、本実施の形態においては、有機物の存在下でもエトリンガイトの生成反応(水和反応)が進行する。このため、本実施の形態に係る土壌処理剤は、有機質土壌であっても無機質土壌と同様に団粒化させることができる。
このように、本実施の形態によれば、チオ硫酸ナトリウムでカドミウム、鉛及び水銀を捕捉し、鉄でシアン及びヒ素を捕捉し、硫酸カルシウムと二酸化ケイ素とでクロムを捕捉することにより、これらを不溶出化する。例えば、処理土壌に溶出量2.4mg/リットル、6.2mg/リットルの6価クロムが含まれていた場合、それぞれ、1m3の処理土壌に対して土壌処理剤を30kg、50kg添加することにより、溶出量を環境基準値である0.05mg/リットル以下とすることができる。また、溶出量0.43mg/リットルのカドミウムが含まれていた場合には、処理土壌と土壌処理剤とを重量比で10:1の割合で混合すれば、溶出量が環境基準値である0.01mg/リットル以下に低下する。
クロムは、塩化カリウムによっても捕捉される。この場合の捕捉機構は、クロム酸カリウムが生成する反応によると推察される。
このように、処理土壌に土壌処理剤を添加することによって重金属類を不溶出化させることができるため、土壌を大規模なプラントで処理する必要がない。必然的に、設備投資を低減することができ、従って、土壌処理に要するコストを著しく低廉化することができる。
しかも、重金属類等を捕捉するに際しては、処理土壌に土壌処理剤を添加して撹拌するという極めて容易且つ簡便な作業を行うのみでよい。すなわち、本実施の形態によれば、容易且つ簡便に土壌から重金属類を不溶出化させることができる。
ここで、硫酸アルミニウムは、加水分解して水酸化アルミニウムのコロイドを生成する過程において、アルミニウムの重縮合イオンを生成する。この重縮合イオンは、土壌粒子を吸着しながら凝集する。このことによっても処理土壌が凝集し、その結果、該処理土壌の強度が向上する。また、硫酸アルミニウムがこの凝集を非アルカリ領域においても進行させることにより、処理土壌のpHがアルカリ側となることが回避される。
硫酸アルミニウムは、さらに、硫酸カルシウムや、酸化カルシウムが水分を吸収することによって生成した水酸化カルシウムと反応してケイ酸石灰アルミネートを生成する。土壌中に混入した炭酸ガス(CO2)は、炭酸カルシウムを生成した後、このケイ酸石灰アルミネートと反応して安定な複塩化合物となる。
なお、フライアッシュは石炭灰であり、6価クロム等の重金属類が含まれているが、これらが処理土壌中の重金属類と同様に捕捉されて不溶出化されることはいうまでもない。
そして、処理土壌中にハロゲンが存在する場合には、以下のようにして除害される。
すなわち、例えば、HFやH2SiF6の形態で存在している場合、水酸化カルシウムと以下の化学式(6)、(7)に従う反応を起こすと推察される。
HF+Ca(OH)2→CaF2+2H2O …(6)
2SiF6+3Ca(OH)2
3CaF2+H2SiO3+3H2O …(7)
また、Al3+やFe3+等の3価の金属イオンも、ハロゲンを捕捉する役割を担う。
そして、HBF4の形態で存在している場合、エキス(不溶出化剤)に含まれる硫酸アルミニウムとともに加水分解を起こし、以下の化学式(8)に従う反応を起こすと推察される。
3HBF4+Al2(SO43+9H2O→
2H3AlF4+3H2SO4+3H3BO3 …(8)
このように、本実施の形態によれば、ハロゲンを有効に除害することもできるという利点がある。
なお、上記した実施の形態では、処理土壌にシアン、ヒ素、カドミウム、鉛、水銀、クロムのすべてが存在する場合を例示して説明したが、本発明に係る土壌処理剤が、例えば、この中のいずれか1種のみを含む土壌を処理する際に使用可能であることはいうまでもない。
さらに、本発明に係る不溶出化剤は、セメント、石膏及びフライアッシュと混合されて使用されるものに特に限定されるものではなく、二酸化ケイ素を含有するその他の成分とともに使用されるものであってもよい。

Claims (8)

  1. 二酸化ケイ素を含有する成分とともに処理対象物に添加される不溶出化剤であって、
    鉄と、硫化ナトリウム又は硫酸化ナトリウムと、硫酸カルシウムと、硫酸アルミニウムとを含有し、
    前記処理対象物に含まれるシアン、ヒ素、カドミウム、鉛、水銀及びクロムを捕捉し、
    硫酸カルシウムと、前記成分に含有された二酸化ケイ素と、前記処理対象物に含まれるクロムとでクロムエトリンガイトを生成することを特徴とする不溶出化剤。
  2. 請求項1記載の不溶出化剤において、さらに、塩化カリウムを含有することを特徴とする不溶出化剤。
  3. 請求項1又は2記載の不溶出化剤において、さらに、水によって水酸化物を生成する酸化物を含有することを特徴とする不溶出化剤。
  4. 請求項3記載の不溶出化剤において、前記酸化物が酸化カルシウムであることを特徴とする不溶出化剤。
  5. 10〜60重量%のセメントと、5〜20重量%の石膏と、30〜80重量%のフライアッシュと、2〜10重量%の不溶出化剤とを含有し、処理土壌に添加される土壌処理剤であって、
    前記不溶出化剤は、鉄と、硫化ナトリウム又は硫酸化ナトリウムと、硫酸カルシウムと、硫酸アルミニウムとを含有し、
    前記処理土壌に含まれるシアン、ヒ素、カドミウム、鉛、水銀及びクロムを捕捉し、
    前記処理土壌に含まれるクロムを、前記不溶出化剤に含有された硫酸カルシウムと、前記セメント、前記石膏及び前記フライアッシュに含有された二酸化ケイ素とによってクロムエトリンガイトとして安定化させ、
    且つ前記処理土壌中に存在する金属イオンをフライアッシュによって吸着することを特徴とする土壌処理剤。
  6. 請求項5記載の土壌処理剤において、前記不溶出化剤が塩化カリウムをさらに含有することを特徴とする土壌処理剤。
  7. 請求項5又は6記載の土壌処理剤において、前記不溶出化剤が、水によって水酸化物を生成する酸化物をさらに含有することを特徴とする土壌処理剤。
  8. 請求項7記載の土壌処理剤において、前記酸化物が酸化カルシウムであることを特徴とする土壌処理剤。

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