JP6993185B2 - 土壌改質材及び土壌改質方法 - Google Patents
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なお、ここでいう硬化時間とは、含水粘性土壌を構成する土が凝集若しくは固まって粒状物となり触った感覚として粘性がほとんどなくなるまでの時間をいい、初期強度とは例えば改質処理から1日後の上記粒状物の強度をいう。硬化時間と初期強度が適切でないと、次の工程での作業性が低下したり、コストアップを招いたりしてしまう。
[2] 前記シリカ質粉末が、シリカフューム、焼成カオリン、及びベントナイトの少なくともいずれかである[1]に記載の土壌改質材。
[3] さらに、吸水性ポリマー粒子を含む[1]又は[2]に記載の土壌改質材。
[4] [1]~[3]のいずれかに記載の土壌改質材を含水粘性土壌と混合し、前記含水粘性土壌の改質を行う土壌改質方法。
[5] 前記含水粘性土壌を粒状化する[4]に記載の土壌改質方法。
[6] 前記含水粘性土壌が有害物質を含有してなる[4]又は[5]に記載の土壌改質方法。
[7] 前記有害物質が、砒素、鉛、六価クロム、カドミウム、セレン、水銀、シアン、フッ素、及びホウ素の少なくともいずれかを含む[6]に記載の土壌改質方法。
[8] 前記有害物質が放射性物質を含む[6]に記載の土壌改質方法。
また、含水粘性土壌に有害物質が含まれる場合、当該改質に伴って、当該有害物質を上記粒状物に固定化することができる。
本発明の実施形態に係る土壌改質材は、カルシウムアルミネート粉末、石膏粉末、消石灰粉末、シリカ質粉末を含有してなり、全体として粉状となっている。粉状となっていることで、貯蔵や運搬等において取扱い性がよいという利点がある。
本発明ではこれらの効果に加えて、消石灰粉末のカルシウムイオンが、上記エトリンガイトの生成を促進し、また、消石灰粉末はシリカ質粉末とも反応するため、これらの相互作用により粘性の高い土粒子の凝集効果を高めることができると推定される。その結果、ドロドロ若しくはベトベトな含水粘性土壌を、さらさらとした土壌(粒状物)に改質できると考えられる。
なお、このような効果は後述するように、上記各成分の含有量を所定の範囲とすることで得られやすくなる。
以下、各成分について説明する。
カルシウムアルミネート粉末は、カルシア原料とアルミナ原料等を混合して、キルンで焼成し、あるいは、電気炉で溶融し冷却して得られるCaOとAl2O3とを主成分とする水和活性を有する物質の総称であり、硬化時間が早く、初期強度発現性が高い材料である。
不純物の代表例としては酸化ケイ素があり、その他、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化チタン、酸化鉄、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属硫酸塩、及びアルカリ土類金属硫酸塩等がCaOやAl2O3の一部に置換したものがあるが、特に限定されるものでない。
なお、CaO、Al2O3、及び不純物等の含有量は蛍光X線分析によって求めることができる。
カルシウムアルミネート粉末のガラス化率は加熱前のサンプルについて、粉末X線回折法により結晶鉱物のメインピーク面積Sを予め測定し、その後1000℃で2時間加熱後、1~10℃/分の冷却速度で徐冷し、粉末X線回折法による加熱後の結晶鉱物のメインピーク面積S0を求め、さらに、これらのS0及びSの値を用い、下記式を用いてガラス化率を算出する。
ガラス化率(%)=100×(1-S/S0)
カルシウムアルミネート粉末の平均粒径は、300μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。平均粒径は、カルシウムアルミネート粉末をエタノール中に均一に分散させ、例えば、レーザ回折法等の粒度分布測定装置により測定することで得ることができる。なお、石膏粉末、消石灰粉末、シリカ質粉末の平均粒径についても同様である。
石膏粉末の含有量は、カルシウムアルミネート粉末100部に対して、45~105部であり、50~100部であることが好ましい。45部未満では、作業時間が取れなくなり、強度発現性が低下する場合がある。105部を超えると作業時間は十分に取れるが、初期強度が得られない場合がある。
なお、ここでいうpHとは、石膏粉末/イオン交換水=1g/100gの20℃における希釈スラリーのpHを、イオン交換電極等を用いて測定したものである。
消石灰粉末の含有量は、カルシウムアルミネート粉末100部に対して、0.5~18部であり、1~15部であることが好ましい。0.5部未満では硬化時間が長引いてしまい、18部を超えると強度発現性が低下する。
シリカ質粉末の含有量は、カルシウムアルミネート粉末100部に対して、40~150部であり、60~120であることが好ましく、80~100部であることがより好ましい。40部未満では、粘性が下がらず、粒状物が得られない場合があり、150部を超えると、粘性が下がり硬化に至らない場合がある。
シリカ質粉末中のSiO2含有量は60%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。SiO2含有量は、蛍光X線分析によって求めることができる。
本実施形態に係る土壌改質材は、さらに、吸水性ポリマー粒子が含有されてなることが好ましい。吸水性ポリマー粒子が含有されることで、改質時の硬化時間を長くしたり、改質後は良好な強度を発現させたりすることができる。
なお、上記の重量平均分子量は、標準物質としてポリアクリル酸ナトリウムを使用して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより得られた分子量をいう。
吸水性ポリマー粒子の平均粒径は、10~2000μmであることが好ましく、50~1000μmであることがより好ましい。当該平均粒径はSEMにより測定して求めることができる。
本実施形態に係る粉状の土壌改質材には、本発明の効果を阻害しない範囲で種々の添加剤を含有させることができる。
例えば、珪石粉末、頁岩粉末、及び、高炉スラグ微粉末等が挙げられる。
本実施形態に係る土壌改質方法は、既述の本発明の土壌改質材を含水粘性土壌と混合し、当該含水粘性土壌の改質を行う土壌改質方法である。
ここで、「土壌改質」とは少なくとも、含水粘性土壌を粒状物にすることをいう。また、含水粘性土壌の具体例としては、泥土やヘドロを含むような、建設発生土、建設汚泥、土木汚泥等や、自然災害で発生した草木や瓦礫を含む土砂等が挙げられる。
また、土壌の含水比等を考慮し、水を加えずに土壌改質材をそのまま添加するか、土壌改質材に水を加えて混合するか、適宜方法を変更する。水を添加する場合は、水/土壌改質材比が50~150%となるのが好ましい。
したがって、本実施形態の土壌改質材によれば、上記(1)の有害物質を効率よく補足し、固定化することができる。すなわち、粒状化しながらその粒状物である土に有害物質を固定化することができる。
温度20℃、相対湿度60%の環境下で、含水比40%に調整した粘性土(含水粘性土壌)200gに、下記表1に示すように、カルシウムアルミネート粉末100部に対して、石膏粉末、消石灰粉末、シリカ粉末、吸水性ポリマー粒子の添加量を変えた土壌改質材6gと、水6gとを混合したものを振撒き、撹拌した。
練混ぜた材料の改質(粒状化)効果と硬化時間を確認し、型枠に敷設後、圧縮強度の測定を行った。
なお、カルシウムアルミネートのブレーン比表面積は、5000cm2/gとなるように調整した。結果を下記表1に示す。
(1)カルシウムアルミネート粉末:CaO/Al2O3モル比2.2、ガラス化率97%、不純物含有量2.0%、ブレーン比表面積5000cm2/g
(2)石膏粉末:天然無水石膏、ブレーン比表面積5000cm2/g
(3)消石灰粉末:消石灰1号(上田消石灰製造(株))、CaO含有量70%、
(4)シリカ質粉末A:シリカフュームSF-R 巴工業(株)製、SiO2含有量93.9%、ブレーン比表面積18.9m2/g
(5)シリカ質粉末B:焼成カオリン Satintone5HB 林化成(株)製、SiO2含有量52.3%、
(6)シリカ質粉末C:ベントナイト クニゲルV1 クニミネ工業(株)製、SiO2含有量69.4%、
(7)吸水性ポリマー粒子A:ポリビニルピロリドンK90 東京化成工業(株)製、平均分子量360000
(8)吸水性ポリマー粒子B:ポリエチレングリコール4,000 東京化成工業(株)製 平均分子量2600~3800
(9)水:水道水
(1)改質(粒状化)効果:触手および目視にて、粘性土が粒状物になり他の混合物と分別し易くなったか判断した。分別しやすくなったものを改質(粒状化)効果「有」とし、そうでないものを改質(粒状化)効果「無」とした。
Claims (8)
- カルシウムアルミネート粉末、石膏粉末、消石灰粉末、シリカ質粉末を含有してなる粉状の土壌改質材であって、
前記カルシウムアルミネート粉末100質量部に対して、前記石膏粉末を45~105質量部、前記消石灰粉末を0.5~18質量部、シリカ質粉末を40~150質量部含有してなり、
前記シリカ質粉末中のSiO 2 含有量が60質量%以上であり、
前記土壌改質材中の前記カルシウムアルミネート粉末、前記石膏粉末、前記消石灰粉末、及び前記シリカ質粉末の合計量が90質量%以上である土壌改質材。 - 前記シリカ質粉末が、シリカフューム、焼成カオリン、及びベントナイトの少なくともいずれかである請求項1に記載の土壌改質材。
- さらに、吸水性ポリマー粒子を含む請求項1又は2に記載の土壌改質材。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の土壌改質材を含水粘性土壌と混合し、前記含水粘性土壌の改質を行う土壌改質方法。
- 前記含水粘性土壌を粒状化する請求項4に記載の土壌改質方法。
- 前記含水粘性土壌が有害物質を含有してなる請求項4又は5に記載の土壌改質方法。
- 前記有害物質が、砒素、鉛、六価クロム、カドミウム、セレン、水銀、シアン、フッ素、及びホウ素の少なくともいずれかを含む請求項6に記載の土壌改質方法。
- 前記有害物質が放射性物質を含む請求項6に記載の土壌改質方法。
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