JP4823139B2 - 酸性化土壌の改良方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸性化土壌の改良方法に関し、詳しくは、酸性雨や肥料等の影響により酸性化した土壌、あるいは酸性硫酸塩土壌から溶出する陽イオン重金属類をイオン交換吸着することにより、陽イオン重金属類の溶出量を低減させるための酸性化土壌の改良方法に関するものである。
建設工事において、黄鉄鉱や白鉄鉱等を含む地山を掘削したり、あるいはこのような地山の掘削土を用いて盛土を行ったりすると、還元状態であった土壌が空気に触れて酸化し、強酸性の酸性硫酸塩土壌となることが知られている。
近年、酸性雨や肥料等の影響により酸性化した土壌、あるいは酸性硫酸塩土壌から、カドミウムや鉛等の人体に有害な重金属類が流出することが懸念されている。具体的には酸性雨や肥料等の影響、あるいは酸性硫酸塩土壌の酸化反応により、土壌中に含まれるカドミウムイオンや鉛等が交換性陽イオンとして土の間隙水中に放出され、穀物類の根から取り込まれて蓄積されることにより穀物の重金属汚染が発生する。
そこで、従来、カドミウムや鉛等の重金属を含む土壌の改良剤や改良方法が種々提案されている。例えば、重金属を化学的に固定化して原位置に封じ込める方法では、キレート化合物を形成して重金属を固定化したり、難溶性の硫化物、難溶性塩、砒酸鉄を生成したり、セメント固化する方法が知られている。また、土壌pH調整材を用いて、酸性硫酸塩土壌から溶出する重金属量を低減する方法も知られている。
具体的な技術として、重金属を高濃度で含有する土壌中の粒子を分離除去して、地盤への埋め戻しが可能な清浄物を得ることができる重金属汚染土壌の浄化方法が開示されている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載された技術は、重金属によって汚染された土壌に還元剤、化学結合剤又はゼオライト等の吸着剤を混合及び攪拌して土壌を不溶化処理し、その後、粒径に応じて分級し、重金属の含有量が多い部分と少ない部分とに分離する。そして、重金属の含有量が少ない部分は簡単な処理を行って地盤に埋め戻す。また、重金属の含有量が多い部分は、粒径で区分された土壌毎に比重選別、溶脱処理、電解処理等を行ない、汚染濃度が高い部分を分離する。
特開2004−188250号公報
しかし、キレート剤を用いて重金属を除去する方法では、キレート剤が高価であるため処理費用が嵩んでしまう。また、カドミウム、鉛、水銀等を除去するために硫化ナトリウムを用いて難溶性の硫化物を生成する方法では、悪臭を伴う硫化水素が発生する。また、シアンを除去するために硫酸第一鉄等を用いて難溶性塩を生成する方法では、重金属との錯塩を形成している場合に適用が困難である。また、砒素を除去するために硫酸第二鉄や塩化第二鉄を用いて難溶性の砒酸鉄を生成する方法では、砒酸鉄生成後に硫酸イオンや塩素イオンが大量に残留する。また、セメント固化や土壌pH調整剤を用いる方法では、処理後の土壌が高アルカリ性となって植物の成長に悪影響を与えるとともに、pHが10を超えてしまった場合には砒素や鉛等が再溶出するおそれがある。
このように、上述した特許文献1に記載された技術を含めて、従来の土壌改良方法では、有毒ガスが発生したり、処理後の土壌が高アルカリ化したりする等の問題があり、さらなる改善の余地があった。
この点、本願の発明者により、植物の発芽や生育を阻害しない土壌改良材として、ゼオライトのナトリウムイオンをカルシウムイオンとイオン交換した土壌改良材(特許第3785417号)が既に開発されている。本願の発明者は、この土壌改良材を人体等に有害な重金属を含む酸性化土壌に適用するに際し、酸性化土壌中に含まれる陽イオン重金属類の溶出量を安価かつ効果的に低減させることができる土壌改良材の混合割合について鋭意研究を重ねてきた。
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、酸性化土壌中に含まれる陽イオン重金属類の溶出量を安価かつ効果的に低減させることが可能な酸性化土壌の改良方法を提供することを目的とする。
本発明に係る酸性化土壌の改良方法は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。
すなわち、本発明に係る酸性化土壌の改良方法は、酸性化した土壌から溶出する陽イオン重金属を土壌改良材によりイオン交換吸着して、陽イオン重金属の溶出量を低減させるための土壌改良方法であって、土壌に投入する土壌改良材は、人工ゼオライトのナトリウムイオンをカルシウムイオン単体、あるいは鉄イオン、水素イオン、マグネシウムイオン、カリウムイオンのうちの少なくとも1つ及びカルシウムイオンでイオン交換するとともに、イオン交換後において、陽イオン交換容量に対する交換性陽イオンの総量の比が0.7以上であり、土壌改良材の投入量を土壌1リットルあたり0.666g以上78g以下とし、溶出量を低減させる陽イオン重金属は、カドミウム又は鉛の少なくとも一方であることを特徴とするものである。また、土壌改良材の投入量を土壌1リットルあたり6.66g以上30g以下とすることが好ましい。
具体的な酸性化土壌の改良方法としては、土壌改良材を、土壌中にそのまま散布し、あるいは水を加えてスラリー状として土壌の表面に散布し、混合又は覆土することにより、酸性化した土壌から溶出する陽イオン重金属類をイオン交換吸着して、陽イオン重金属類の溶出量を低減させる。
また、土壌改良材に水を加えてスラリー状として土壌の深層部に機械注入することにより、酸性化した土壌から流出する陽イオン重金属類をイオン交換吸着して、陽イオン重金属類の溶出量を低減させることも可能である。
本発明に係る酸性化土壌の改良方法は、土壌改良材として、ゼオライトのナトリウムイオンをカルシウムイオン単体、あるいは鉄イオン、水素イオン、マグネシウムイオン、カリウムイオンのうちの少なくとも1つ及びカルシウムイオンでイオン交換するとともに、イオン交換後において、陽イオン交換容量に対する交換性陽イオンの総量の比が0.7以上のものを用いる。そして、土壌改良材の投入量を適切に規定することにより、土壌中に含まれる陽イオン重金属類の溶出量を、安価かつ効果的に低減させることが可能となる。
具体的には、土壌中に適切な割合で土壌改良材を投入すると、土壌改良材の主成分であるゼオライトの酸緩衝機能により、土壌の酸化を低減させることができる。また、土壌が酸化した場合であっても、土壌中に適正な割合で投入された土壌改良材により、土壌から溶出する陽イオン重金属類をイオン交換吸着して、陽イオン重金属類の溶出量を低減させることができる。
以下、本発明に係る酸性化土壌の改良方法について、最良の実施形態を説明する。
<土壌改良材>
本発明の酸性化土壌の改良方法に用いる土壌改良材は、ゼオライトのナトリウムイオンをカルシウムイオン単体、あるいは鉄イオン、水素イオン、マグネシウムイオン、カリウムイオンのうちの少なくとも1つ及びカルシウムイオンでイオン交換するとともに、イオン交換後において、陽イオン交換容量に対する交換性陽イオンの総量の比が0.7以上となるように調整したものである。
この土壌改良材に用いるゼオライトは、例えば発電所等で使用される石炭の焼却灰(例えばフライアッシュ)を水酸化ナトリウム水溶液と水熱反応させることにより生成した人工ゼオライトである。この人工ゼオライトの製造方法は、特開2006−69853号公報及び特許第3785417号公報に詳細に記載されている。具体的には、まず、石炭灰と水酸化ナトリウム水溶液を混合してスラリーを生成し、このスラリーを90℃の温度条件下で予備反応させる。なお、この予備反応工程では、石炭灰の表面が水酸化アルカリにより溶解し、その後のゼオライト化反応が効率よく行われることになる。
続いて、予備反応工程が終了したスラリーを、0.8kg/cmGの加圧下で約120℃に加熱することにより、スラリー中の石炭灰と水酸化ナトリウムを反応させ、石炭灰をゼオライト化する。この工程では、予備反応後のスラリーが、上流側の加圧反応槽に供給された後に下流側の加圧反応槽に供給されることにより、スラリーのショートパスが抑制され、各加圧反応槽においてゼオライト化反応が確実に進行することになる。
続いて、反応が終了したスラリーを冷却及び濾過し、分離されたゼオライト(ケーキ)を洗浄する。この際、ゼオライト乾量に対して4〜15倍量の水を用いてゼオライト(ケーキ)の洗浄を行う。
続いて、洗浄後のゼオライトケーキに、鉄分含有水溶液を供給して、ゼオライトに鉄分を含有させる。なお、鉄分含有水溶液とは、最終洗浄の洗浄液(カルシウム分を含む)を用いて塩化第2鉄(FeCl)を溶解したものである。続いて、ゼオライトにカルシウム分含有水溶液を供給して、ゼオライトにカルシウム分を含有させる。このとき、向流式又はバッチ式でカルシウム分含有水溶液を接触させてゼオライトにカルシウム分を含有させる。その後、鉄分及びカルシウム分を含有させたゼオライトを水洗した後、乾燥させる。
特に、本実施形態では、ナトリウムイオンとカルシウムイオンとのイオン交換工程において、初めに低濃度のカルシウム分含有水溶液を用いてイオン交換を行った後、段階的に高濃度のカルシウム分含有水溶液を用いることにより、カルシウムイオンの濃度を増加させながらイオン交換を行っているため、ナトリウムイオンとカルシウムイオンとを効率よくイオン交換することができる。すなわち、従来行われてきたイオン交換工程(特開平8−291286号公報、特開平8−291287号公報参照)では、水酸化ナトリウム水溶液と焼却灰を反応させると、人工ゼオライトの細孔及び表面にケイ酸ソーダが残留する。そして、このようにケイ酸ソーダが残留した人工ゼオライトを用いて塩化カルシウム水溶液でイオン交換を行うと、人工ゼオライトの表面にケイ酸カルシウム及びその水和物や、水酸化カルシウムが生成される。このように、カルシウムイオンが上述した反応に消費されるとともに、人工ゼオライトの表面にケイ酸カルシウム等が生成されるため、ナトリウムイオンとカルシウムイオンとのイオン交換が阻害される。これに対して、本実施形態のイオン交換工程では、ケイ酸カルシウム等のイオン交換阻害物質の生成が極めて少なくなり、ナトリウムイオンとカルシウムイオンとのイオン交換が効率よく行われることとなる。
また、本発明の酸性化土壌の改良方法に用いる土壌改良材は、イオン交換後において、陽イオン交換容量に対する交換性陽イオンの総量の比が0.7以上となっている。以下、図1を参照して、交換性陽イオンの飽和度が0.7以上であることが好ましいことを説明する。図1は、酸性硫酸塩土壌に対して飽和度を変えた人工ゼオライトを添加した場合の緩衝曲線を示す説明図である。図1から明らかなように、交換性陽イオンの飽和度が0.7未満では、既に水素イオンを多く担持しているため、酸緩衝能力を発揮できないことが分かる。
このように、陽イオン交換容量に対する交換性陽イオンの総量の比が0.7以上となるように調整された土壌改良材を用いることにより、酸性化土壌を効果的に中和することができる。
<酸性硫酸塩土壌>
本実施形態の土壌改良材は、酸性雨や肥料等の影響により酸性化した土壌、あるいは酸性硫酸塩土壌に好適に適用されるもので、このような土壌から溶出する陽イオン重金属類をイオン交換吸着することにより、陽イオン重金属類の溶出量を低減させることができる。
酸性硫酸塩土壌とは、例えば、下記表1に示す特性を有する土壌のことである。この酸性硫酸塩土壌は、表1に示すように、pH(H)1.9〜pH(H)3.1程度の酸性を呈している。なお、表1に示す検体は自然岩であり、酸化物のpyrite(黄鉄鉱)が均一に分布していないと考えられる。したがって、局所的にはpH(HO)2.0を下回っているものと考えられる。
Figure 0004823139

<土壌改良材の投入方法>
本発明では、土壌改良材を、土壌中にそのまま散布し、あるいは水を加えてスラリー状として土壌の表面に散布し、混合又は覆土することにより、酸性化した土壌から溶出する陽イオン重金属類をイオン交換吸着して、陽イオン重金属類の溶出量を低減させることができる。
また、土壌改良材に水を加えてスラリー状として土壌の深層部に機械注入することにより、酸性化した土壌から溶出する陽イオン重金属類をイオン交換吸着して、陽イオン重金属類の溶出量を低減させてもよい。
次に、本実施形態の土壌改良材を用いたカドミウム吸着試験について説明する。
<供試土壌>
本実施例では、供試土壌としてカドミウム汚染水田土壌を用いた。このカドミウム汚染水田土壌の化学分析結果を下記表2に示す。
Figure 0004823139

<カドミウム吸収抑制材>
また、カドミウム吸収抑制材として、本実施形態の土壌改良材(以下、fAゼオライトと称する)及びこのfAゼオライトと同様な陽イオン交換能力を有する天然ゼオライト(モルデナイト系)を使用した。このカドミウム吸収抑制材の化学分析結果を下記表3に示す。
Figure 0004823139

<試験方法>
風乾2mmに調整したカドミウム汚染土壌(酸性硫酸塩土壌)を用い、土壌1000mリットルに対して所定量のカドミウム吸収抑制材を添加、混合したものを試験土壌とした。カドミウム吸収抑制材の添加量は、0g(無添加)、0.334g、0.666g、3.34g、5.00g、6.66g、10.0g、15.0g、20.0g、30.0gである。
試験方法は、試験土壌に所定量のカドミウム吸収抑制材を添加し、24時間、飽和水分条件下において30℃インキュベーションを行った後、0.01N塩酸抽出法によりカドミウム溶出量を測定した。また、試験土壌に所定量のカドミウム吸収抑制材を添加した後の化学性状の変化を把握するためpH(HO)を測定した。
<試験結果>
試験結果を下記表4に示す。
Figure 0004823139

<土壌改良材添加量の下限値及び上限値>
上記した試験結果より、以下の考察が成り立つ。上記表4及び図2を参照して、試験結果に対する考察を説明する。図2は、カドミウム吸収抑制材の添加量と0.01N塩酸抽出結果との関係を示すグラフである。
土壌中に含まれるカドミウムの多くは、交換性カドミウムイオンとして土壌の間隙水中に存在する。したがって、陽イオン交換体であるゼオライトを添加することでカドミウム溶出量が低減する。
しかし、酸性硫酸塩土壌では、pH(HO)2を呈することが多いため、周辺の水素イオン濃度の上昇に伴って、ゼオライトに担持されていたカドミウムイオンが再放出されると考えられる。上述した試験において、天然ゼオライトでは、担持していたと思われるカドミウムイオンをほぼ100%放出してしまった。一方、fAゼオライトでは、表4及び図2に示すように、fAゼオライトの添加量が増加すると、それに伴いカドミウム溶出量が低減した。
表4及び図2から明らかなように、fAゼオライト及び天然ゼオライトの添加量が0.334g/リットルでは、カドミウム溶出量について両者に有意な差は認められない(両者ともに2.0mg/kg)。そして、fAゼオライト及び天然ゼオライトの添加量を0.666g/リットルとすると、天然ゼオライトではカドミウム溶出量が2.0mg/kgのままであるのに対して、fAゼオライトではカドミウム溶出量が1.9mg/kgとなり、カドミウム溶出量が低減していることが分かる。さらに、fAゼオライト及び天然ゼオライトの添加量を増加させてゆくと、天然ゼオライトを添加した場合のカドミウム溶出量は殆ど変化しないものの、fAゼオライトを添加した場合のカドミウム溶出量が徐々に低減する。そして、添加量が6.66g/リットルとなると、fAゼオライトを添加した場合のカドミウム溶出量が1.3mg/kgとなり、極めて優れたカドミウムイオン吸着効果を発揮していることが分かる。
したがって、fAゼオライトの投入量を、土壌1リットルあたり0.666g以上とすることにより、酸性化土壌からのカドミウム溶出量を低減することができ、6.66g以上とすることがより好ましいことが分かる。
また、図2から明らかなように、fAゼオライトの添加量とカドミウム抽出量との関係は、下記式で表すことができる。
y=2.0519e-0.0672x (R2=0.9904)
fAゼオライトはアルカリ性を呈することから、その添加量の増加に伴い水酸化物あるいは塩基性炭酸塩が析出して沈殿することが分かっている。したがって、fAゼオライトの添加量を増加させると、カドミウム溶出量が指数的に低減すると考えられる。図2から明らかなように、fAゼオライトの添加量が30g/リットルを超えると、カドミウム溶出量の低減率は低くなり、それ以上、fAゼオライトの添加量を増加させても効率的ではないと判断できる。
本試験に用いたカドミウム汚染土壌は、そのカドミウム含有量がBowenの土壌平均値である0.35g/kgを遙かに超えた8.9mg/kgである。そして、上記式からfAゼオライトの添加量の上限値を求めると、排水基準値では138g/リットル、環境基準値では173g/リットルが上限値であると判断することができる。なお、カドミウムについて、排水基準値は0.1mg/リットル、環境基準値は0.01mg/リットルである。
ここで、一般のカドミウム汚染土壌におけるカドミウム含有量を4mg/kgと仮定すると、上述した比率から、fAゼオライトの添加量の上限値を78g/リットルとすることができる。さらに、カドミウムを不溶化するための他の材料(例えばキレート材)は、1m3あたり1万円前後である。これに対して、fAゼオライトを用いた土壌改良材の材料価格は1kgあたり350円である。したがって、土壌から溶出するカドミウムイオンをイオン交換吸着して、カドミウム溶出量を効果的に低減させることができる範囲の中で経済性を考慮すると、fAゼオライトの添加量の上限値を30g/リットルとすることが好ましい。
したがって、本発明に係る酸性化土壌の改良方法では、土壌改良材の投入量を土壌1リットルあたり0.666g以上78g以下とし、より好ましくは6.66g以上30g以下とした。
<まとめ>
上述したように、本実施例では、カドミウム汚染土壌に対してfAゼオライトを適切量投入することにより、カドミウム汚染土壌から溶出するカドミウム量を低減することができる。
すなわち、天然ゼオライトを酸性化土壌に投入した場合には、担持した殆どのカドミウムイオンを放出してしまう。これに対して、fAゼオライトを酸性化土壌に投入した場合には、カドミウムイオンの放出量が極めて少なく、理論的にはカドミウム溶出量を「0」とすることも可能である。
したがって、酸性雨や肥料等の影響により酸性化した土壌、あるいは酸性硫酸塩土壌に対してfAゼオライトを適切量投入することにより、人体に有害なカドミウムイオン等の陽イオン重金属類の溶出量を低減させることができる。この点、fAゼオライトと同様の陽イオン交換機能を有する天然ゼオライトでは、担持した殆どのカドミウムイオンを放出してしまうため、fAゼオライト以外のカドミウム吸収抑制材では、酸性化土壌からのカドミウム溶出を防止することは難しいと考えられる。
<他の重金属イオンを含む酸性化土壌の改良>
本発明に係る酸性化土壌の改良方法は、カドミウム汚染土壌に対してだけではなく、鉛イオン等の陽イオン重金属類を含む酸性化土壌に対しても適用することができる。すなわち、本発明に係る酸性化土壌の改良方法は、特に、酸性雨や肥料等の影響により酸性化した土壌や酸性硫酸塩土壌に対して優れた酸緩衝能力を発揮することができるので、カドミウムだけではなく鉛等の重金属を含む酸性化土壌に対しても広範囲に適用することができる。
例えば、射撃場のように鉛散弾を含有する土壌では、鉛散弾が物理的な風化を受けて細粒化し、その後、酸性雨等の影響による化学的に風化して炭酸鉛(セルサイト)、ヒドロキシ炭酸塩(ハイドロセルサイト)、硫酸鉛(アングレサイト)等の2次鉱物へ形態変化し、土壌から溶出すると考えられている。金属鉛単体の溶解度は、0.031mg/100mリットルと低いものの、炭酸鉛、硫酸鉛、及び酸化鉛の溶解度は、それぞれ0.25mg/100mリットル、452mg/100mリットル、10.7mg/100mリットルであり、容易に溶解することが分かる。そこで、鉛イオンを含む酸性化土壌に対して、本発明に係る酸性化土壌の改良方法を適用することにより、土壌中に適正な割合で投入されたゼオライトを主成分とする土壌改良材が、土壌から溶出する鉛イオンをイオン交換吸着して、鉛の溶出量を効果的に低減させることができる。
酸性硫酸塩土壌に対して飽和度を変えた人工ゼオライトを添加した場合の緩衝曲線を示す説明図。 カドミウム吸収抑制材の添加量と0.01N塩酸抽出結果との関係を示すグラフ。

Claims (4)

  1. 酸性化した土壌から溶出する陽イオン重金属を土壌改良材によりイオン交換吸着して、前記陽イオン重金属の溶出量を低減させるための土壌改良方法であって、
    土壌に投入する前記土壌改良材は、人工ゼオライトのナトリウムイオンをカルシウムイオン単体、あるいは鉄イオン、水素イオン、マグネシウムイオン、カリウムイオンのうちの少なくとも1つ及びカルシウムイオンでイオン交換するとともに、イオン交換後において、陽イオン交換容量に対する交換性陽イオンの総量の比が0.7以上であり、
    前記土壌改良材の投入量を土壌1リットルあたり0.666g以上78g以下とし、
    溶出量を低減させる前記陽イオン重金属は、カドミウム又は鉛の少なくとも一方であることを特徴とする酸性化土壌の改良方法。
  2. 前記土壌改良材の投入量を土壌1リットルあたり6.66g以上30g以下としたことを特徴とする請求項1に記載の酸性化土壌の改良方法。
  3. 前記土壌改良材を、土壌中にそのまま散布し、あるいは水を加えてスラリー状として土壌の表面に散布し、混合又は覆土することを特徴とする請求項1又は2に記載の酸性化土壌の改良方法。
  4. 前記土壌改良材に水を加えてスラリー状として土壌の深層部に機械注入することを特徴とする請求項1又は2に記載の酸性化土壌の改良方法。
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