JP3365817B2 - 改質石炭灰のイオン交換造粒法 - Google Patents

改質石炭灰のイオン交換造粒法

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JP3365817B2 JP11577093A JP11577093A JP3365817B2 JP 3365817 B2 JP3365817 B2 JP 3365817B2 JP 11577093 A JP11577093 A JP 11577093A JP 11577093 A JP11577093 A JP 11577093A JP 3365817 B2 JP3365817 B2 JP 3365817B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石炭をエネルギー源と
する発電所等において発生する多量の石炭灰を有効利用
するための改質造粒方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、石炭利用の拡大に伴い、排出され
る石炭灰も莫大な量に達している。しかしながら、こう
した石炭灰の多くは、埋め立て処理されているが、こう
した埋め立て地の確保も年々困難となっている。
【0003】一方、従来より行われている石炭灰の単純
な利用方法にセメント用原材料や路盤材としての活用が
あるが、これらにしても現在までに充分な利用推進が図
られ、将来的に大幅な需要増加は期待できないことか
ら、石炭灰の処理対策については、新たな用途分野に活
用できる有効利用促進のための石炭灰の改質が重要な課
題となっている。
【0004】上記課題を解決すべく、こうした石炭灰を
高付加価値化させて再資源化することによる有効利用方
法として、石炭灰に苛性ソーダなどのアルカリ溶液を添
加して熱水処理することにより、多孔質結晶物である人
工ゼオライトに改質する方法が、例えば、特開昭59−
86687号、同61−90745号および同61−1
78416号などに提案されている。これらの方法によ
り得られる多孔質結晶物たる人工ゼオライトは、陽イオ
ン交換機能および吸着機能を有することから、土壌改良
剤や産業排水からPb、Cdなどを除去する吸着剤とし
て有効に利用できるとするものである。
【0005】しかしながら、土壌改良剤および特殊脱臭
(特にアンモニア)用に用いられるゼオライトとして
は、カルシウム型ゼオライトが必須であり、上記人工ゼ
オライトにおいても、かかる用途に利用する場合には、
ナトリウムイオンなどをカルシウムイオンにてイオン交
換する必要があるが、上記公報に記載された人工ゼオラ
イトに改質する方法には、こうしたイオン交換方法より
人工ゼオライトを製造する方法に関する技術的な開示あ
るいは示唆はなされていない。
【0006】また土壌改良剤や吸着剤に用いる場合、実
用化するうえで微粉末状のままでは、ハンドリング性な
ど極めて作業性が悪いなどの問題があった。さらに人工
ゼオライトを土壌改良剤としてそのまま利用する場合、
該人工ゼオライトの大きさが、1〜65μmと微細であ
るため、地中への浸透性に優れるものの、使用していく
あいだに該ゼオライト粒子が地中に堆積して通水性のな
い層を形成するなどの問題があり実用的でなかった。
【0007】したがって、こうした土壌改良剤などの実
際の用途分野にゼオライトを利用するには、用途に応じ
て異なるが、通常0.3〜5.0mm程度の大きさが必
要である。
【0008】しかしながら、上記公報に記載された人工
ゼオライトに改質する方法には、得られた人工ゼオライ
トをさらに適当な大きさに造粒する方法に関しても、な
んら技術的な記載および示唆はなされていない。
【0009】他方、ゼオライトには、上述の人工ゼオラ
イト以外に、沸石として天然に産出されるモルデナイト
ゼオライトやクリノプチロライトゼオライトなどの天然
ゼオライト、さらに水酸化ナトリウム、ケイ酸ソーダ、
コロイドシリカ、アルミン酸ナトリウムなどを原料とし
て工業的に製造される合成ゼオライトが現在までに知ら
れている。
【0010】このうち、天然ゼオライトでは天然にある
ゼオライトの岩石をそのまま必要な粒度の粉末に粉砕、
▲か▼焼加工して製造できるため、他の合成ゼオライト
などに比し安価に製造できる利点を有する。そのため、
現在市販されているゼオライト系土壌改良剤の多くは、
天然ゼオライト系のものである。
【0011】しかしながら、上記天然ゼオライトの場合
には、ゼオライトの品質を判断するひとつの指標である
陽イオン交換容量(陽イオンをどれだけイオン交換し得
る能力を有しているかを示す指標である。以下、単にC
ECとも記す)において、合成ゼオライトが400〜6
00meq/100g、さらには上記人工ゼオライトが
150〜350meq/100gであるのに対し、天然
ゼオライトが概ね150meq/100g以下と低いも
のである。
【0012】一方、合成ゼオライトでは、カルシウム交
換方法およびその造粒方法が、化学プロセス集成,株式
会社東京化学同人発行,249〜252頁に記載されて
いる。
【0013】上記カルシウム交換方法では、まず、結晶
化工程として、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウムお
よびアルミン酸ナトリウムの原料を正確に秤量して調合
槽に添加し、撹拌、混合しながら一定のpHおよび濃度
に調整し、該調整スラリーを反応槽(結晶化槽)に送り
約100℃常圧下で結晶化させてゼオライト化する。続
いて濾過工程では、反応(結晶化)完了後、該スラリー
を回転真空濾過器に送り、固液を分離して該ゼオライト
を濾過ケーキとして分離する。さらにイオン交換工程で
は、該濾過ケーキをコンベアによりイオン交換槽へ送
り、加熱したカルシウム水溶液中へ懸濁し、液の温度お
よび接触時間を調節してイオン交換率を一定(約40
%)に保ちながらイオン交換反応を行い、該イオン交換
終了後、上記濾過工程と同様に濾過してゼオライトの濾
過ケーキとして分離する方法が記載されている。
【0014】さらに上記造粒方法では、水酸化ナトリウ
ム、ケイ酸ナトリウムおよびアルミン酸ナトリウムの原
料を調合した後、撹拌、混合しながら約100℃常圧下
で結晶化させ、これを濾過して得られた濾過ケーキに水
および粘土を製品時重量で20%になるように配合し、
該混合物をマーラーミキサーを用いて混練し、押出造粒
機にかけて約3.2または1.6mm(1/8または1
/16インチ)に棒状に造粒し、該造粒物は、ロータリ
ードライヤーで乾燥し、篩別して大きさの揃った造粒物
を、さらにロータリーキルンで650℃焼成することに
より所望の造粒物を得る方法が記載されている。なお、
上記方法では高温で焼成を行うことにより、粘土が不可
逆的な加水分解を起こして強い結合剤として働き、同時
にゼオライトが活性化(脱水)するものであり、該合成
ゼオライトの造粒には必要不可欠な加工技術である。
【0015】しかしながら、合成ゼオライトでは、原料
のシリカゲルおよびアルミナが非常に高価であるため、
極めて高価なものである。そのため、価格よりも性能を
重要視する分野において合成ゼオライトの持つ優れた触
媒機能などを有効に利用する必要があり、土壌改良剤な
どへの利用は実用的でない。
【0016】また、本発明者らは、上記合成ゼオライト
のカルシウム交換方法を、上記人工ゼオライトに適用し
た場合、すなわち、脱液後の濾過ケーキを用い、これを
加熱したカルシウム水溶液中へ懸濁し、イオン交換を実
施した結果、イオン交換率は約50%と上記合成ゼオラ
イトと同程度の転換率を得ることが確認できたが、イオ
ン交換後の濾過処理が不能に近いなど、実際に運転を行
う上での多くの課題を有していることが分かった。
【0017】さらに、上記合成ゼオライトの造粒方法
を、上記人工ゼオライトに適用した場合、すなわち、石
炭灰に苛性ソーダなどのアルカリ溶液を添加して熱水処
理することにより得られた多孔質結晶物である人工ゼオ
ライトを脱液、水洗、脱水の精製処理を施した人工ゼオ
ライトの濾過ケーキにバインダーを配合し、該混合物を
マーラーミキサーを用いて混練し、押出造粒機にかけて
棒状に造粒し、該造粒物をロータリードライヤーで乾燥
し、篩別して大きさの揃った造粒物を、さらにロータリ
ーキルンで650℃焼成することにより造粒を行った結
果、上記方法による高温焼成を行うことにより、石炭灰
を原料とする人工ゼオライトに含有される残留石炭の燃
焼により、ゼオライト構造が破壊されるため、該人工ゼ
オライトの有する陽イオン交換容量(図6に、人工ゼオ
ライトを焼成した際のCECの変化を示し、また表1に
該人工ゼオライトに用いた石炭灰の化学組成を示す。)
をはじめとする諸機能が焼成温度が高くなるにつれて大
幅に劣化するため、天然ゼオライトに比して性能、価格
の双方で劣るなど、実際に運転を行う上で解決しなけれ
ばならない重大な課題を有していることが分かった。
【0018】
【表1】
【0019】さらに、上記イオン交換方法および造粒方
法では、多くの工程およびその設備を必要とするため運
転コストおよび設備費が高く、製造コストが高くなり、
得られる造粒物が高価となるため不経済であり、実用的
なものでない。
【0020】したがって、今日までに天然ゼオライトに
代わる安価で高性能な人工ゼオライトのイオン交換造粒
法は見出だされておらず、該人工ゼオライトのイオン交
換造粒法の確立が望まれているのが現状である。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、石炭をエネルギー源とする発電所等において発
生する多量の石炭灰を有効利用するための新規な改質石
炭灰たる人工ゼオライトのイオン交換造粒法を提供する
ものである。
【0022】さらに本発明の目的は、石炭灰にアルカリ
水溶液を添加して熱水処理することにより多孔質結晶物
に改質し、脱液、水洗、脱水の精製処理を施した改質石
炭灰たる人工ゼオライトをカルシウム型ゼオライトにイ
オン交換しながら、ゼオライト構造の破壊による性能劣
化を起こすことなく簡便でかつ効率的に造粒することの
できる改質石炭灰のイオン交換造粒法を提供するもので
ある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記諸目的
を達成すべく、改質石炭灰たる人工ゼオライトをカルシ
ウム型ゼオライトにイオン交換しながら、ゼオライト構
造の破壊による性能劣化を起こすことなく簡便でかつ効
率的に造粒することのできる新規な改質石炭灰のイオン
交換造粒法について鋭意研究した結果、(1)カルシウ
ムに富みかつ常温固化特性を有する材料としてのセメン
トに着目し、該セメントをバインダーとして用いること
により、高温焼成を行うことなく強い結合が得られ、優
れた強度を有する造粒物が得られること、(2)セメン
トバインダーの比重d=1.4と人工ゼオライトの比重
d=0.7の差が大きく、従来用いられているマーラー
ミキサーによる機械力では混練性が低下し均質な混練状
態が得られ難いことを知り、大きな機械力を付与できる
高速回転羽根付きミキサーを用いることにより、好適に
混練できること、および(3)原料混合物の水分含有量
が約45重量%であるのに対し、造粒に適する水分含有
量が約33〜38重量%であることを見出だし、この知
見から水分含有量が約45重量%と比較的多量の水分を
含有する人工ゼオライトに一定の機械力を与えることで
内部に包含している水分を該ゼオライト表面に湧出させ
ることができることを知り、これにカルシウムに富んだ
セメントバインダーを反応させつつ乾燥することで、混
練乾燥と同時にイオン交換も進行し、造粒適正水分とな
った時点で更に機械力を付与しつつ造粒することで、一
気にカルシウムを含有する人工ゼオライトの造粒物が製
造できることを見出だし、これにより従来のように該イ
オン交換および造粒工程を多段階の工程および装置を設
けることなく、簡便でかつ効率的にイオン交換しつつ造
粒を行うことができることを知り、この知見に基づき本
発明を完成するに至ったものである。
【0024】すなわち、本発明の目的は、(1)石炭灰
にアルカリ水溶液を添加して熱水処理にて改質し、脱
液、水洗、脱水の精製処理を施してなる改質石炭灰
料全体の乾燥重量に対する配合量15重量%以上のセ
メントバインダーを加えたものを原料とし、該原料に初
期回転速度を付与して混合し、加えた機械力により原料
の改質石炭灰より水分を湧出させてペースト状とした後
に、初期回転速度より低い回転速度にて混練、乾燥を行
い、適性造粒水分になった時点で、目標粒径に見合った
回転速度にて造粒、乾燥を行うことを特徴とする改質石
炭灰のイオン交換造粒法により達成される。
【0025】本発明の他の目的は、(2)上記(1)に
記載の造粒、乾燥完了後、初期回転速度より低い回転速
度にて仕上げ造粒を行うことを特徴とする改質石炭灰の
イオン交換造粒法によっても達成される。
【0026】本発明の他の目的は、(3)混合、混練お
よび造粒が高速回転羽根付きミキサーを用いて行うこと
を特徴とする上記(1)または(2)に示す改質石炭灰
のイオン交換造粒法によっても達成される。
【0027】本発明の他の目的は、(4)乾燥が熱風の
吹き込みによる乾燥である上記(1)ないし(3)のい
ずれかに示す改質石炭灰のイオン交換造粒法によっても
達成される。
【0028】本発明の他の目的は、(5)適性造粒水分
が原料全体に対して33〜38重量%である上記(1)
ないし(4)のいずれかに示す改質石炭灰のイオン交換
造粒法によっても達成される。
【0029】
【作用】本発明の改質石炭灰のイオン交換造粒法は、石
炭灰にアルカリ水溶液を添加して熱水処理にて改質し、
脱液、水洗、脱水の精製処理を施してなる改質石炭灰
原料全体の乾燥重量に対する配合量15重量%以上の
セメントバインダーを加えたものを原料とし、該原料に
初期回転速度を付与して混合し、加えた機械力により原
料の改質石炭灰より水分を湧出させてペースト状とした
後に、初期回転速度より低い回転速度にて混練、乾燥を
行い、適性造粒水分になった時点で、目標粒径に見合っ
回転速度にて造粒、乾燥を行うことを特徴とする。
【0030】以下、本発明を実施態様に基づき、より詳
細に説明する。
【0031】本発明に用いられる石炭灰にアルカリ水溶
液を添加して熱水処理にて改質し、脱液、水洗、脱水の
精製処理を施してなる改質石炭灰としては、特に限定さ
れるものでないが、好ましくは、本発明者によりなされ
た石炭灰の改質技術を用いて製造することが望ましく、
例えば、(1)石炭灰にアルカリ水溶液を添加し、熱水
処理して多孔質結晶物に改質するに際して、アルカリ水
溶液と石炭灰の反応固液比を0.5〜3.0リットル/
kgの範囲として撹拌、熱水処理することを特徴とする
石炭灰の改質方法(特願平5−107090)、(2)
熱水処理後のスラリーの反応固液比を2.5リットル/
kg以上に調整した後に、連続的に余剰のアルカリ水溶
液と多孔質結晶物を分離することを特徴とする石炭灰の
改質方法(特願平5−107090)、(3)石炭灰に
アルカリ水溶液を添加し、撹拌しながらスラリー化して
温度90〜100℃にて熱水処理した後に、該スラリー
温度70℃以下の条件にて脱液機により余剰のアルカリ
水溶液と生成結晶物を分離精製することを特徴とする改
質石炭灰の製造方法(特願平5−107091)および
(4)石炭灰にアルカリ水溶液を添加し、撹拌しながら
スラリー化して温度90〜100℃にて熱水処理した後
に、該スラリーを系内の水洗脱排水と熱交換にて温度7
0℃以下に冷却した後、連続式脱液機により余剰のアル
カリ水溶液と生成結晶物を分離精製すると共に熱交換し
て昇温した水洗脱排水をアルカリ水溶液の原料として回
収利用することを特徴とする改質石炭灰の製造方法(特
願平5−107091)などが挙げられる。
【0032】上記精製処理を施してなる改質石炭灰は、
通常、濾過ケーキの状態で得られるものであり、この際
に該濾過ケーキに含まれる水分量は、本発明の造粒の際
の最適水分含有量以上を保持している必要があることか
ら、原料混合物に対して通常37〜47重量%、より好
ましくは40〜45重量%である。該水分量が37重量
%未満では、該改質石炭灰より湧出する水分量が不足し
ペースト状に混合し難くなるほか、混練時のイオン交換
反応に必要な媒体としての水分量も不足となり十分にイ
オン交換が成されないなど好ましくなく、また、47重
量%を越える場合には、造粒時の最適水分含有量を大幅
に越えるため、混練時の乾燥に要する時間が非常に長く
なり、製造コストの増加につながるなど好ましくない。
【0033】また、原料としての改質石炭灰の濾過ケー
キは、使用時の水分量が上記範囲内にあればよく、保存
状態にある乾燥改質石炭灰や多量の水分を含む改質石炭
灰であっても、使用に際し、事前に水分調整を行うこと
で、本発明の原料として十分に利用することができる。
【0034】上記精製処理を施してなる改質石炭灰の大
きさは、用いた石炭灰の粒径、結晶化度等により異なる
が、通常1〜65μm、より好ましくは5〜50μmの
範囲である。上記大きさが1〜65μmの範囲を外れる
改質石炭灰を得ようとすれば、製造コストが高くなった
り、ゼオライト性能が低下したりするため好ましくな
い。
【0035】なお、上記改質石炭灰たる人工ゼオライト
の比重dは、用いた石炭灰の化学組成、結晶化度等によ
り異なるが、通常0.7程度である。
【0036】次に本発明に用いられるセメントバインダ
ーとしては、カルシウムに富みかつ常温固化が可能なも
のであれば特に制限されるものでなく、例えば、ポルト
ランドセメント、スラグセメント、高炉セメント、アル
ミナセメント、混合セメント、膨脹セメント、シリカセ
メント、高硫酸塩スラグセメント、フライアッシュセメ
ントなどのアルミナ−シリカ系セメントなどが挙げられ
る。
【0037】上記セメントバインダーの原料全体の乾燥
重量に対する配合量は、使用する石炭灰の組成などによ
り異なるが、通常15重量%以上、好ましくは15〜2
5重量%、より好ましくは17〜22重量%である。す
なわち、セメントの水和反応初期の状態は、混練水中の
セメント粒子の濃度とセメントの細かさによって決定さ
れ、セメントの水和速度はセメントの重量%が大きくな
るほど遅くなることから、該配合量が15重量%未満の
場合には、バインダーとしての働きが充分でなく、得ら
れる造粒物の圧潰強度が低くなるなど好ましくない。ま
た、25重量%を越える場合には、得られる造粒物の持
つ陽イオン交換容量(CEC)等のゼオライト機能およ
び水硬化速度が低下するため好ましくない。
【0038】上記セメントバインダーは、市販品を活用
する。
【0039】なお、上記セメントバインダーの比重d
は、用いるセメントの種類等により異なるが、通常1.
4程度である。
【0040】さらに本発明の改質石炭灰の造粒方法に用
いることのできる原料としては、上記改質石炭灰および
セメントバインダー以外にも、必要に応じて各種添加剤
を使用用途に応じて適宜使用することができる。該添加
剤としては、例えば、防水剤(重油、アスファルトエマ
ルジョン、ラテックスポリビニルアセテートサスペンシ
ョンなど、大きな空げきを減らすのにベントナイトなど
が用いられ、これにより得られる造粒物の低pH化が図
られる)、凝結遅延剤(砂糖などの糖類、酒石酸、フミ
ン酸、リグニンスルホン酸、オキシカルボン酸、ホウ
酸、リン酸などの酸とその塩類、ケイフッ化物、酸化
鉛、酸化亜鉛などの無機化合物などが用いられる)、硬
化促進剤(2重量%以内の塩化カルシウムが広く用いら
れる)、減水剤(リグニンスルホン酸塩、オキシカルボ
ン酸塩などが、水量を減じ強度を高め、β−ナフタレン
スルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物、メラミン樹脂ス
ルホン酸塩は、高性能減水剤であり、水セメント比を大
幅に低下させ、高強度の造粒物を得る)、流動化剤(上
記高性能減水剤が流動化剤としても用いられる他に、特
殊リグニンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩なども用い
られる)、凝固剤(ポリアクリルアミドの一部加水物な
どを0.1重量%程度添加して用いる)、増粘剤(ポリ
ビニルアルコール、メチルセルロース、ベントナイトな
どが用いられる)、発泡剤(アルミニウム粉末を用い、
空げきを減じ結合を強める)、はっ水剤(造粒物が硬化
後、セッケン、シリコーン樹脂などを塗布する)、弾性
付与剤(ラテックスその他の高分子エマルジョンを加え
ると、造粒物の弾性が高められ、磨耗を減ずる)、強化
剤(粗い鉄粉が用いられ、塩化カルシウムなどが配合さ
れている)、錆止め剤(塩化スズ、二クロム酸塩、亜硝
酸塩などを用いる)などが挙げられる。なお、これら添
加剤を用いる場合には、人工ゼオライトのイオン交換機
能および吸着機能に悪影響を及ぼすことのないように十
分注意を要する。
【0041】次に、本発明に用いることのできるイオン
交換造粒装置としては、用いる固体粒子のセメントおよ
び改質石炭灰たる人工ゼオライトを従来用いられている
マーラーミキサーよりも撹拌トルクが大きく、混合速度
の大きい機械力(撹拌力)を付与して良好に混合、混練
させつつ、該機械力により人工ゼオライトより湧出する
水分を媒体として人工ゼオライトのアルカリ金属イオン
(例えば、ナトリウムイオン)とセメント中のカルシウ
ム成分を反応させてイオン交換を行い、さらに熱風によ
る加熱によりセメントの水和反応速度を促進させて均質
な混練物を早期形成し、引き続き熱風による加熱乾燥に
より該混練物中の水分を素早く除去することによりセメ
ントの水和硬化反応を早期に終了させつつ、極めて大き
な機械力(撹拌剪断力)によりイオン交換が完了し水和
硬化する混練物を破砕して一定粒度に造粒することがで
きれるものであれば、特に制限されるものでないが、粘
稠で変形に対する抵抗の大きい物質を取り扱うため、層
流剪断混合できるものが望ましく、例えば、熱風乾燥可
能な補助手段を有する高速回転羽根付きミキサーなどを
用いることが望ましい。
【0042】また上記イオン交換造粒装置は、容器回転
型装置(容器自体が回転するもの)、容器固定型装置
(容器は固定していてパドル、リボン、スクリューなど
の適当な形状の撹拌機(回転羽根)により撹拌するも
の)およびこれらの両者を組み合わせた複合型装置のい
ずれでも良いが、好ましくは、複合型の高速回転羽根付
きミキサーなどが望ましい。さらに、上記複合型および
容器固定型装置の撹拌機は、機械力を調整用として、任
意にその撹拌速度(回転羽根の回転速度)を制御するこ
とのできる可変速機能を有するものが望ましい。なお該
イオン交換造粒装置の操作方法は、回分式と連続式のい
ずれでもよい。
【0043】以下、本発明に係る改質石炭灰のイオン交
換造粒法を図面を用いて説明する。
【0044】図1は、本発明に係る改質石炭灰のイオン
交換造粒法に用いられるイオン交換造粒装の一実施態様
としての熱風乾燥可能な補助手段を有する回分式の複合
型の可変速機能を有する高速回転羽根付きミキサーを示
す概略図である。
【0045】図1より、改質石炭灰のイオン交換造粒法
に用いられる高速回転羽根付きミキサー1の構成として
は、まず、回転式容器2が設けられ、該上頭部に固定式
容器蓋3が設置されており、該容器蓋3を介して、可変
速機能を有する高速回転羽根4を有する撹拌機5が、容
器2内部にを備えられている。また、熱風乾燥可能な補
助手段として、容器蓋3には、熱風供給配管6および熱
風排気配管7が設けられている。
【0046】上記構成を有する高速回転羽根付きミキサ
ー1を用いてなる改質石炭灰のイオン交換造粒法につい
て詳述する。
【0047】まず、原料として、上述した改質石炭灰の
濾過ケーキおよび原料全体の乾燥重量に対する配合量1
5重量%以上とするセメントバインダーを容器2に装入
し、容器蓋3を閉じた後、撹拌機5の高速回転羽根4に
初期回転速度を与えると共に、容器2を該回転羽根4の
回転方向とは反対方向に一定の回転速度を与えることに
より原料を混合し、加えた機械力により改質石炭灰たる
人工ゼオライトの濾過ケーキより湧出させた含有水分に
より原料をペースト状混合物とした後に、系外の送風装
置より熱風供給配管6を通じて容器2内に熱風を吹き込
み、熱風排気配管7より乾燥に使われ熱交換の終わった
気体を系外に排気しながら、高速回転羽根4の回転速度
を下げて、混練を行いセメントの水和硬化反応を進めつ
つ、同時に湧出した水分を媒体として人工ゼオライトの
アルカリ金属イオン、例えばナトリウムイオンとセメン
トのカルシウムイオンを反応させてイオン交換を行いな
がら乾燥を進め、該混練物の含有水分量が、適性造粒水
分になった時点で、再び高速回転羽根4の回転速度を調
整して、大きな剪断力を付与して造粒を行うものであ
る。さらに必要に応じて、造粒完了後、最後に熱風の供
給を停止し、高速回転羽根4の回転速度を下げて仕上げ
造粒を行うことも可能である。
【0048】ここで、上記原料混合時の撹拌機5の高速
回転羽根4による初期回転速度としては、原料処理量、
用いる容器の大きさ、回転羽根の形状、大きさ、温度、
圧力等の諸条件により異なることから、用いる装置など
に応じ、適宜決定されるものである。一実施態様例を示
せば、原料処理量200kg、容器2の有効容量100
0リットル(回分式の複合型、容器半径0.9m、高さ
0.8m)、容器2の回転速度5〜10rpm、放射流
型翼形状の多段式の回転羽根16枚(羽根の長さ165
mm、幅44mm)、常温常圧下の場合、初期回転速度
は、通常1000rpm以上、好ましくは1300〜1
500rpm、より好ましくは1400〜1500rp
mの範囲である。該回転速度が1000rpm未満の場
合には、原料である改質石炭灰とセメントとの比重差が
大きいために十分な混合が行えず、加える機械力が不足
するために、改質石炭灰の濾過ケーキより湧出する水分
が少なく原料混合物をペースト状にすることが十分にで
きないか、あるいは極めて長時間を有するため混合時に
一部のセメントが水硬化を起こすなどの問題を生じるな
ど好ましくない。
【0049】また、上記容器2の回転速度としても原料
処理量、用いる容器の大きさ、上記回転羽根速度等によ
り異なることから、用いる装置などに応じ、適宜決定さ
れるものである。また容器2の回転は、上記高速回転羽
根4による、混合、混練および造粒操作を補助するもの
であり、容器内壁近傍においても原料に循環流を形成さ
せ、原料の混合、混練および造粒の進行を促進させるた
めのものである。したがって、例えば、容器2の回転速
度としては、上記実施態様例による場合、通常5〜10
rpm、より好ましくは7〜9rpmの範囲である。
【0050】なお、上記原料からペースト状混合物を得
るのに要する混合時間も原料処理量、用いる容器の大き
さ、回転羽根速度、温度、圧力等の諸条件により異なる
ことから、用いる装置などに応じ、適宜決定されるもの
であり、上記実施態様例による場合には、通常7〜20
分間、より好ましくは10〜15分間の範囲である。7
分間未満では、ペースト状混合物の形成が不十分とな
り、20分を越える場合には、セメントの反応が進まな
い潜伏期間を越えるため、混合過程で水和硬化反応が発
現するが、混合条件(混練条件に比して低温でかつ撹拌
力が小さい)では、水和反応速度が遅く、全体的な反応
効率が低下するため好ましくない。
【0051】次に、上記熱風乾燥に用いることのできる
気体としては、乾燥する対象物が吸着機能を有する人工
ゼオライトであることから、好ましくは気体中に不純物
を有しない空気が望ましいことから、熱風供給配管6の
経路上にこうした不純物を除去することのできるフィル
ターを設けることが望ましい。したがって発電所などで
副生される高温排気ガスを直接利用することは好ましく
なく、事前に不純物を処理し再生することが望ましい。
【0052】上記熱風供給配管6より供給される熱風に
よる乾燥温度は、通常80〜200℃、好ましくは90
〜150℃、より好ましくは100〜130℃の範囲で
ある。該温度が80℃未満の場合には、混練物の乾燥に
長時間を要するほか、セメントの水和反応速度が低下す
るため、硬化速度が遅くなると共にイオン交換反応の同
様に遅くなり、造粒時間全体に要する時間も長くなり、
かつイオン交換率が低下するため、製造コストが増加
し、イオン交換能も低下するなど好ましくない。また、
200℃を越える場合には、高温化し、要した運転費に
見合うだけ、乾燥時間が短縮されず、更に改質石炭灰の
残留炭素が燃焼することによるゼオライト構造の破壊が
生じるため好ましくない。
【0053】上記熱風の供給量(および排気量)も原料
処理量、用いる容器の大きさ、熱風による乾燥温度、圧
力等の諸条件により異なることから、用いる装置などに
応じ、適宜決定されるものである。該熱風の供給量は、
上記実施態様例による場合、通常50〜150m3 /m
in、好ましくは80〜120m3 /min、より好ま
しくは90〜100m3 /minの範囲である。該供給
量が50m3 /min未満の場合には、供給する熱容量
が小さいため、混練物全体を十分に乾燥することができ
ず好ましくなく、また、150m3 /minを越える場
合には、乾燥速度が早くなり過ぎ、混練が不十分な段階
で混練物の含有水分量が、適性造粒水分に達するため、
得られる造粒物の性状が不均一となるため好ましくな
い。
【0054】なお、本発明の方法に利用することのでき
る乾燥手段は、上記熱風乾燥に制限されるものでなく、
例えば、容器や撹拌機などをヒーターなどで加熱した
り、ジャケット、羽根および回転軸の中空部に流体をと
して加熱するなどの方法も可能である。
【0055】また、混練乾燥時の高速回転羽根4の回転
速度としても、原料処理量、用いる容器の大きさ、回転
羽根の形状、大きさ、熱風乾燥温度、圧力等により異な
ることから、用いる装置などに応じ、適宜決定されるも
のであり、上記実施態様例に加えて、熱風乾燥温度10
0〜120℃、熱風の供給量(および排気量)90〜1
00m3 /minによる場合、通常800〜1350r
pm、好ましくは1100〜1300rpm、より好ま
しくは1200〜1300rpmの範囲である。該回転
速度が800rpm未満の場合には、混練およびイオン
交換が不十分な段階で混練物の含有水分量が、適性造粒
水分に達するため、得られる造粒物の性状が不均一とな
るため好ましくなく、また、1350rpmを越える場
合には、加えられる機械力が大きくなり過ぎ、良好な混
練状態を維持できず、回転式容器2の内面および天井部
への原料付着が増大し、局所的に分離してしまうことが
多くなり、以後の混練およびイオン交換が進行しなくな
り、混練およびイオン交換が不十分な段階で混練物の含
有水分量が、適性造粒水分に達するため、得られる造粒
物の性状が不均一となるため好ましくない。
【0056】なお、上記ペースト状混合物から良好な混
練物を得るのに要する混練乾燥時間も原料処理量、用い
る容器の大きさ、回転羽根速度、熱風乾燥温度等の諸条
件により異なることから、用いる装置などに応じ、適宜
決定されるものであり、上記実施態様例(熱風乾燥条件
を追加したもの)による場合には、通常10〜40分
間、好ましくは15〜30分間、より好ましくは18〜
23分間の範囲である。10分間未満では、混練物の含
有水分量を適性造粒水分まで乾燥することが困難であ
り、40分を越える場合には、イオン交換は十分に行わ
れるが、上記乾燥混練条件下では、セメントの水和硬化
の反応速度が早く、急速に硬化が促進される反面、剪断
力が不十分であるため、十分に造粒化されることなく固
化してしまうため好ましくない。
【0057】次に、適性造粒水分になった時点での混練
物の含有水分量としては、使用原料の構成成分の組成お
よび種類などにより異なるが、原料混合物全体に対し
て、通常33〜38重量%、より好ましくは33〜35
重量%の範囲である。含有水分量が33重量%未満の場
合には、上記乾燥混練条件下で水和硬化が促進され、造
粒前に固化することで、該混練物の粘性が高くなり造粒
するのに過剰な剪断力を必要とするため好ましくなく、
また38重量%を越える場合には、混練物の粘性が低
く、これに造粒に必要な剪断力を付加しても、なお付
着、凝集性が強く、一旦砕けた混練物の塊が簡単に再付
着するため適性造粒水分として不十分であるため好まし
くない。
【0058】さらに造粒時の高速回転羽根4の回転速度
としては、使用用途に応じて、必要とされる造粒物の粒
径となるように、原料処理量、用いる容器の大きさ、回
転羽根の形状、大きさ、熱風乾燥温度等の諸条件と共に
適宜決定されるものであり、所望の造粒物の粒度が1.
5〜5mmである場合(土壌改良剤などに利用する場
合)、上記実施態様例(熱風乾燥条件を追加したもの)
の条件下において、通常600〜1400rpm、好ま
しくは700〜1200rpm、より好ましくは800
〜1000rpmの範囲とすることで、所望の粒度範囲
の造粒物をより多く得ることができる。上記回転速度を
外れる場合には、所望の粒度の造粒物の収率が低下する
ため好ましくない。
【0059】なお、上記混練物から必要とする粒度の造
粒物を高収率で得るのに要する乾燥造粒時間も原料処理
量、用いる容器の大きさ、回転羽根速度、熱風乾燥温度
等の諸条件により異なることから、用いる装置などに応
じ、適宜決定されるものであり、上記実施態様例(熱風
乾燥条件を追加したもの)による場合には、通常10〜
25分間、好ましくは10〜20分間、より好ましくは
13〜17分間の範囲である。10分間未満では、造粒
物の形状が不均一化し、粒度分布が広くなるため、必要
とする粒度の収率が低下するため好ましくなく、25分
を越える場合には、造粒負荷が持続される状況下では、
造粒物が時間と共に連続的に歪みを生じたり、変形した
り乾燥過剰で粉化したりするため好ましくない。
【0060】また、上記造粒時の熱風による乾燥温度お
よび熱風の供給量(および排気量)も、上述の混練時と
同様に各種条件によって適宜決定されるものであり、例
えば、上記混練時の条件と同一の条件で運転する以外に
も、必要に応じて温度を変えることで混練物(および造
粒物)の粘度を調整することができ、これにより造粒時
間や機械力(撹拌剪断力)の低減を図ることもできる。
【0061】さらに必要に応じて、造粒完了後、最後に
熱風の供給を停止した後に行う仕上げ造粒時の高速回転
羽根4の回転速度としても、原料処理量、用いる容器の
大きさ、回転羽根の形状、大きさ等の諸条件により適宜
決定されるものであり、所望の造粒物の粒度が1.5〜
5mmである場合(土壌改良剤などに利用する場合)、
上記実施態様例の条件下において、通常500〜100
0rpm、好ましくは550〜800rpm、より好ま
しくは600〜700rpmの範囲である。回転速度が
500rpm未満の場合には、得られた造粒物を適当な
形状(例えば、球状など)に成形するのに必要な機械力
を付与することができず好ましくなく、また1000r
pmを越える場合には、付与する機械力により得られた
造粒物に歪みを生じたり、変形を与え、さらには細粒化
するなど好ましくない。
【0062】なお、上記仕上げ造粒に要する時間も原料
処理量、用いる容器の大きさ、回転羽根速度等の諸条件
により異なることから、用いる装置などに応じ、適宜決
定されるものであり、上記実施態様例による場合には、
通常3〜7分間、より好ましくは4〜6分間の範囲であ
る。3分間未満では、造粒物が均一な形状に成形できず
好ましくなく、7分を越える場合には、機械力が持続さ
れる状況下では、得られた造粒物が時間と共に連続的に
歪みを生じたり、変形したりするため好ましくない。
【0063】また、本発明により得られる造粒物の大き
さは、使用用途に応じて、適宜決定されるものであり、
上記回転速度および時間を適当に制御することで、必要
とする造粒物の粒度の収率を高めることができる。な
お、上記造粒方法により得られる造粒物は、一定の粒度
分布を持つことから、造粒後に一定の造粒物の粒度だけ
を得るためには、例えば、篩別などを行う方法を用いる
ことができる。
【0064】さらに、本発明の方法により得られた造粒
物は、造粒した時点では、イオン交換により副生される
アルカリ金属化合物(例えば、ナトリウム化合物など)
を含有しているため、土壌改良剤として利用する際に
は、該アルカリ金属化合物が土壌に対して悪影響を及ぼ
すような場合、事前に水洗処理操作により、これらのア
ルカリ金属を除去することが望ましい。
【0065】
【実施例】以下、本発明の実施例について述べる。
【0066】実施例1 改質石炭灰を下記(石炭灰の改質方法(特願平5−10
7090))の方法により製造した。
【0067】まず、50μm以下の粒子が100%のフ
ライアッシュ7.5tおよび濃度2Nおよび温度100
℃に調整した水酸化ナトリウム水溶液を反応固液比が
2.2リットル/kgに調整して100℃の温度にて流
体速度1m/secとして撹拌、沸騰し、フライアッシ
ュから化学組成が主にNa 2 O・Al23・3.5Si
2・4.5H2Oで示されるP型(フィリップサイト)
の結晶構造を持つ多孔質結晶物たる人工ゼオライトに改
質する反応を5時間行った。
【0068】次に、上記熱水処理後の多孔質結晶物含有
スラリーは、該スラリーに含まれるアルカリ溶液を脱液
した後、多量の工業用水を濾過ケーキと工業用水の固液
比10.0リットル/kgにて供給し撹拌洗浄を行った
後、連続的に脱水処理することで精製処理を施してなる
改質石炭灰(該濾過ケーキに含まれる水分量45重量
%、改質石炭灰の大きさ1〜50μm、比重d=0.
7)を得た。
【0069】次に、図1に示す熱風乾燥可能な補助手段
を有する回分式の複合型の可変速機能を有する高速回転
羽根付きミキサー1として、アイリッヒミキサー(日本
アイリッヒ株式会社製、DE−18タイプ)を用いて本
実施例における灰質石炭灰のイオン交換造粒法により土
壌改良剤などに適するカルシウム型人工ゼオライトより
なる改質石炭灰の造粒物の製造を行った。
【0070】まず、原料として、上記改質石炭灰の濾過
ケーキおよびセメントバインダーとしてカルシウムに富
みかつ常温固化が可能なポルトランドセメント(比重d
=1.4)を原料全体の乾燥重量に対する配合量をそれ
ぞれ10、15、20、25および30重量%として、
有効容量1000リットル(回分式の複合型、容器半径
0.9m、高さ0.8m)の容器2に原料全体の重量
(処理量)が330kgとなるように調節して装入し、
容器蓋3を閉じた後、撹拌機5の高速回転羽根4である
放射流型翼形状の多段式の回転羽根16枚(羽根の長さ
165mm、幅44mm)に初期回転速度1500rp
mを与えると共に、容器2を該回転羽根4の回転方向と
は反対方向に回転速度6〜7rpmを与えることにより
それぞれ配合比の異なる5種類の原料を各10分間づつ
混合し、加えた機械力により改質石炭灰の濾過ケーキよ
り湧出させた含有水分により原料をペースト状混合物と
した。
【0071】その後、各配合比ごとのペースト状混合物
に対し、系外の送風装置より熱風供給配管6を通じて容
器2内に熱風として不純物除去フィルターにより不純物
を除去した120℃の空気80〜120m3 /minを
吹き込み、熱風排気配管7より乾燥に使われ熱交換の終
わった気体を系外に排気しながら、高速回転羽根4の回
転速度を1200〜1300rpmまで下げて、20分
間混練しつつイオン交換反応を行いながら乾燥を進め
た。
【0072】続いて、上記混練物の含有水分量が、原料
混合物全体に対して33〜35重量%と適性造粒水分に
なった時点で、再び高速回転羽根4の回転速度を800
〜1000rpmにて撹拌剪断力を付与して15分間造
粒を行った。
【0073】さらに造粒完了後、最後に熱風の供給を停
止し、高速回転羽根4の回転速度を600〜700rp
mまで下げて仕上げ造粒を5分間行い、所望の造粒物を
得た。
【0074】得られた5種類の造粒物について、圧潰強
度を測定した。またセメントバインダーの配合比率と圧
潰強度との関係を図2に示す。
【0075】また、得られた5種類の造粒物を、土壌改
良剤に適する粒度1.5〜5.0mmに篩別した結果、
造粒物全体に対する該粒度範囲の収率は、約85〜95
%であった。
【0076】さらに得られた5種類の造粒物の養生期間
は、いずれも約1日であった。
【0077】実施例2 表2に示す配合比率からなる4種類(I〜IV)の原料を
用いた以外は、実施例1と同様にして、改質石炭灰の造
粒を行い、所望の造粒物を得た。
【0078】得られた4種類(I〜IV)の造粒物につ
いて、CECの測定、および水ならびに1モル/リット
酢酸アンモニウム水溶液によりそれぞれ一次抽出を行
い、抽出液中のカルシウム分析を行った。さらに上記酢
酸アンモニウム水溶液による一次抽出後の造粒物に関し
ては、80%アルコールにより充分に洗浄した後、一部
は、再度1モル/リットル酢酸アンモニウム水溶液によ
り二次抽出を行い、抽出液中のカルシウム分析を行い、
また、残りの一部は、塩化カルシウムを用いて液滴下法
によりイオン交換を行った後、1モル/リットル酢酸ア
ンモニウム水溶液により二次抽出を行い、抽出液中のカ
ルシウム分析を行った。
【0079】得られた結果を表2に示すと共に、セメン
トバインダーの配合比率と抽出液中のカルシウム濃度の
関係を図3に、また造粒物のCECと二次抽出液中のカ
ルシウム濃度の関係を図4に、さらに改質石炭灰たる人
工ゼオライトの配合比率とCECとの関係を図5に示
す。
【0080】
【表2】
【0081】上記結果のうち、特に図3および図4に示
す造粒物中の人工ゼオライトの結合陽イオンは、イオン
交換二次抽出後の抽出液中のカルシウムイオンを原子吸
光分析により測定した結果、本実施例2によるイオン交
換造粒法によるイオン交換率(ナトリウムイオンがカル
シウムイオンへの交換)は100%であることが分かっ
た(図3の陽イオン交換型Caに相当する)。さらに、
本発明による造粒物では、水などの非イオン性溶液で
は、イオン交換しないが、アンモニウムイオンなどの陽
イオンとは一度だけイオン交換を行うことのできるカル
シウムが存在することが確認された(図3の一過性イオ
ン交換型Caに相当する)。このような現象をもたらす
要因として正確なところは明らかではないが、恐らく
は、造粒物のゼオライト構造のイオン交換機能を有する
結合部以外に存在するセメントバインダーの一部とイオ
ン結合しているカルシウムイオンないし改質されない結
晶性ゼオライトの一部とイオン結合しているカルシウム
イオン、あるいは物理吸着などによるものと考えられ
る。
【0082】また、得られた4種類の造粒物を、土壌改
良剤に適する粒度1.5〜5.0mmに篩別した結果、
造粒物全体に対する該粒度範囲の収率は、約85〜95
%であった。
【0083】さらに得られた4種類の造粒物の養生期間
は、いずれも約1日であった。
【0084】
【発明の効果】本発明により、高いイオン交換率を有す
るカルシウムを含有する人工ゼオライトを簡便かつ効率
的に製造することができ、得られた造粒物は、一過性イ
オン交換型カルシウムを多量に含むため、土壌改良剤な
どに利用する場合には、初期の土壌改質効果を大きくで
きるなどの利点を有するほか、造粒コストも従来法(合
成ゼオライトの造粒法を利用する場合)に比して約1/
4に低減することができる。
【0085】また、本発明により、人工ゼオライトの崩
壊もなく、機械的強度の優れた造粒物を得ることができ
る。
【0086】さらに、本発明の方法では、撹拌しつつ乾
燥を行うため、乾燥効率が高く、事前に原料の改質石炭
灰を適性造粒水分まで乾燥する場合5時間を要するのに
対し、本発明では約0.5時間で足りる。
【0087】さらにまた、本発明では、セメントをバイ
ンダーとして、熱風乾燥を併用する造粒方法であるた
め、セメントの反応時間が早く養生期間がセメントの一
般的な養生期間の1週間に対し、約1日で十分となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る改質石炭灰の造粒方法に用いら
れる混練および造粒に用いられる混練造粒装置の一実施
態様としての熱風乾燥可能な補助手段を有する回分式の
複合型の可変速機能を有する高速回転羽根付きミキサー
を示す概略図である。
【図2】 本実施例1により実施したセメントバインダ
ーの配合比率と圧潰強度との関係を示すグラフである。
【図3】 本実施例2により実施したセメントバインダ
ーの配合比率と抽出液中のカルシウム濃度の関係を示す
グラフである。
【図4】 本実施例2で得られた造粒物のCECと二次
抽出液中のカルシウム濃度の関係を示すグラフである。
【図5】 本実施例2により実施した改質石炭灰たる人
工ゼオライトの配合比率とCECとの関係を示すグラフ
である。
【図6】 本発明に用いられる改質石炭灰たる人工ゼオ
ライトを焼成した際のCECの変化を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1…高速回転羽根付きミキサー、 2…回転式容
器、3…固定式容器蓋、 4…高速回
転羽根、5…撹拌機、 6…熱
風供給配管、7…熱風排気配管。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−321528(JP,A) 特開 平4−1242(JP,A) 特開 平3−40915(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 39/00 - 39/54 B01J 20/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石炭灰にアルカリ水溶液を添加して熱水
    処理にて改質し、脱液、水洗、脱水の精製処理を施して
    なる改質石炭灰原料全体の乾燥重量に対する配合
    15重量%以上のセメントバインダーを加えたものを
    料とし、該原料に初期回転速度を付与して混合し、加え
    た機械力により原料の改質石炭灰より水分を湧出させて
    ペースト状とした後に、初期回転速度より低い回転速度
    にて混練、乾燥を行い、適性造粒水分になった時点で、
    目標粒径に見合った回転速度にて造粒、乾燥を行うこと
    を特徴とする改質石炭灰のイオン交換造粒法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の造粒、乾燥完了後、初
    期回転速度より低い回転速度にて仕上げ造粒を行うこと
    を特徴とする改質石炭灰のイオン交換造粒法。
  3. 【請求項3】 前記混合、混練および造粒が高速回転羽
    根付きミキサーを用いて行うことを特徴とする請求項1
    または2に記載の改質石炭灰のイオン交換造粒法。
  4. 【請求項4】 前記乾燥が熱風の吹き込みによる乾燥で
    ある1ないし3のいずれかに記載の改質石炭灰のイオン
    交換造粒法。
  5. 【請求項5】 前記適性造粒水分が原料全体に対して3
    3〜38重量%である請求項1ないし4のいずれかに記
    載の改質石炭灰のイオン交換造粒法。
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