JP2011051194A - バリア性積層体、ガスバリアフィルムおよびバリア性積層体の製造方法 - Google Patents

バリア性積層体、ガスバリアフィルムおよびバリア性積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 製膜速度が速く、バリア性に優れたバリア性積層体を提供する。
【解決手段】少なくとも1層の有機層と、少なくとも1層の無機層を有し、前記有機層は、炭素環状骨格を有する樹脂を含み、前記無機層はプラズマアシスト蒸着法によって形成されることを特徴とする、バリア性積層体。
【選択図】 なし

Description

本発明は新規なバリア性積層体、ガスバリアフィルムおよびバリア性積層体の製造方法に関する。特に、太陽電池用部材として好ましく用いられるガスバリアフィルム等に関する。
水蒸気や酸素の透過を遮断する性質、いわゆるガスバリア性を有するフィルム(ガスバリアフィルム)が従来から検討されている。ガスバリアフィルムのガスバリア性を高めるために、スパッタリングやプラズマCVD法等の方法によって無機層を製膜することが行われている(特許文献1)。
ガスバリアフィルムは、種々の用途に用いられており、近年、太陽電池を封止するシートとして、や電子ペーパー等への応用が検討されている(特許文献2)。太陽電池等に用いる場合、比較的大面積が必要になるため、バリアフィルムの生産効率(製膜速度やコスト)を高めることが要求されている。しかしながら、これまで、ガスバリアフィルムのバリア性を高めることは種々検討されていたが、生産効率を高めることについては十分に検討されて来なかった。
特開平8−165368号公報 特開2009−49252号公報
バリアフィルムのバリア性を高めるという観点では、スパッタリングやプラズマCVD法で無機層を形成することにより、その目的は達成される。しかしながら、スパッタリングは製膜速度が極めて遅く、プラズマCVD法は、コストが高く、大面積のガスバリアフィルムが必要とされる用途に用いるには現実的な方法ではないという問題がある。
本発明は大面積のバリアフィルムを高い生産性で供給することを目的としたものであって、スパッタリングやCVD法等の方法を用いずに無機層を形成し、かつ、高いバリア性を有するバリア性積層体および、該バリア性積層体を用いたバリアフィルムを提供することを目的とする。
かかる状況のもと、スパッタリングやCVD法よりも製膜速度の速い方法によって無機層を形成することを目的にプラズマアシスト蒸着法によって無機層を形成することを検討したが、単にプラズマアシスト蒸着法を採用すると、無機層の下地層である、有機層がプラズマによってダメージを受けてしまうことが分かった。そこで、本願発明者がさらに検討を行った結果、有機層の材料として炭素環状骨格を有する樹脂を採用することでこの欠点を解消できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には以下の手段により本願発明の課題は解決された。
(1)少なくとも1層の有機層と、少なくとも1層の無機層を有し、前記有機層は、炭素環状骨格を有する樹脂を含み、前記無機層はプラズマアシスト蒸着法によって形成されることを特徴とする、バリア性積層体。
(2)前記有機層に含まれる樹脂が、紫外線硬化性の樹脂である、(1)に記載のバリア性積層体。
(3)前記有機層に含まれる樹脂が、炭素環状骨格を有する(メタ)アクリレートを硬化させてなる樹脂である、(1)または(2)に記載のバリア性積層体。
(4)前記無機層が、ケイ素および/またはアルミニウムを含有する、(1)〜(3)のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
(5)前記無機層成膜時に用いるプラズマが、アルゴンガス、酸素ガス、または、その混合ガスである、(1)〜(4)のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
(6)前記バリア性積層体は、少なくとも2層の有機層と、少なくとも2層の無機層とが、交互に積層している、(1)〜(5)のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
(7)前記有機層に含まれる樹脂が、芳香環を有する(メタ)アクリレートを硬化させてなる樹脂である、(1)〜(6)のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
(8)前記有機層に含まれる樹脂が、多官能(メタ)アクリレートを硬化させてなる樹脂である、(1)〜(7)のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
(9)基材フィルム上に、(1)〜(8)のいずれか1項に記載のバリア性積層体を設けたガスバリアフィルム。
(10)(9)に記載のガスバリアフィルムをバリア性積層体側を内側にして2枚貼り合せた構造を有する、複合フィルム。
(11)(9)に記載のガスバリアフィルムまたは(10)に記載の複合フィルムを用いた太陽電池用部材。
(12)少なくとも1層の有機層と、少なくとも1層の無機層を有し、前記有機層は、炭素環状骨格を有する樹脂を含むバリア性積層体の製造方法であって、前記無機層をプラズマアシスト蒸着法によって形成することを含む、バリア性積層体の製造方法。
(13)前記有機層を、芳香環を有する(メタ)アクリレートを含む重合性組成物を硬化させて形成することを含む、(12)に記載のバリア性積層体の製造方法。
本発明により、バリア性に優れたバリア性積層体およびガスバリアフィルムを速い製膜速度で生産できる点で、太陽電池のシート等の多量に用いる場合に、好ましく用いることができる。
本発明のガスバリアフィルムの好ましい態様の一例を示す図である。 本発明のガスバリアフィルムの好ましい態様の他の一例を示す図である。 本発明の複合フィルムの好ましい態様の一例を示す図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、本発明における有機EL素子とは、有機エレクトロルミネッセンス素子のことをいう。本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を含む意味で使用される。
<バリア性積層体>
本発明のバリア性積層体は、少なくとも1層の有機層と少なくとも1層の無機層を含むものであり、好ましくは有機層の表面に無機層を設けた構造を有するものであり、より好ましくは、少なくとも2層の有機層と少なくとも2層の無機層とが交互に積層した構造を有するものである。
バリア性積層体を構成する層数に関しては特に制限はないが、典型的には2層〜30層が好ましく、3層〜20層がさらに好ましい。また、有機層および無機層以外の他の構成層を含んでいてもよい。
(有機層)
本発明における有機層は、炭素環状骨格を有する樹脂を含む。炭素環状骨格としては、ベンゼン環骨格、ビフェニル骨格、ナフタレン骨格、ビナフチル骨格、アズレン骨格、ビフェニレン骨格、アセナフチレン骨格、フェナントレン骨格、アントラセン骨格、トリフェニレン骨格、ピレン骨格、クリセン骨格、ナフタセン骨格、ピセン骨格、ペリレン骨格、ベンゾピレン骨格が好ましい例として挙げられる。本発明における、炭素環状骨格は、1つまたは2つ以上の芳香環を有することが好ましく、芳香環を2つ以上有する重合性化合物を硬化させてなる樹脂がより好ましい。1つまたは2つ以上の芳香環を有する炭素環状骨格を有する樹脂を採用することにより、プラズマプロセス中でもより分解されにくい層を形成することができる。この結果、バリア性が良い向上する傾向にある。
本発明における有機層に含まれる樹脂は、3次元架橋性を有する樹脂を用いることも好ましい。このような樹脂を採用することにより、有機層をより緻密な構造とすることができる。
本発明における有機層に含まれる樹脂は、紫外線硬化性の樹脂であることが好ましく、炭素環状骨格を有する(メタ)アクリレートを硬化させてなる樹脂であることがより好ましい。特に、本発明では芳香環を有する(メタ)アクリレートを硬化させてなる樹脂であることがさらに好ましい。このような樹脂を採用することにより、すばやく硬化膜を形成でき、また、(メタ)アクリレートは、単官能であっても多官能であってもよいが、多官能であることが好ましい。多官能(メタ)アクリレートを採用することにより、3次元架橋性をもたせることができる。
以下に、本発明で好ましく用いられる(メタ)アクリレートを例示するが、本発明はこれらに限定されるものではないことは言うまでも無い。
Figure 2011051194
Figure 2011051194
Figure 2011051194
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本発明の有機層は、好ましくは、上述したような重合性化合物と、重合開始剤を含む重合性組成物を硬化させて得られるが、重合性組成物に含まれる重合性モノマー成分は、50〜100重量%が炭素環状骨格を有する(メタ)アクリレートであることが好ましい。
また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、他の重合性モノマーを含んでいてもよい。他の重合性モノマーとしては、炭素環状骨格を有さない(メタ)アクリレートが挙げられる。
(重合開始剤)
本発明において、光重合開始剤を用いる場合、重合性組成物中の含量は、重合性化合物の合計量の0.1モル%以上であることが好ましく、0.5〜2モル%であることがより好ましい。このような組成とすることにより、活性成分生成反応を経由する重合反応を適切に制御することができる。光重合開始剤の例としてはチバ・スペシャルティー・ケミカルズ社から市販されているイルガキュア(Irgacure)シリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア754、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819など)、ダロキュア(Darocure)シリーズ(例えば、ダロキュアTPO、ダロキュア1173など)、ランベルティ(Lamberti)社から市販されているエザキュア(Ezacure)シリーズ(例えば、エザキュアTZM、エザキュアTZT、エザキュアKTO46など)が挙げられる。
(有機層の形成方法)
有機層の形成方法としては、特に定めるものではないが、例えば、溶液塗布法や真空成膜法により形成することができる。溶液塗布法としては、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法、或いは、米国特許第2681294号明細書に記載のホッパ−を使用するエクストル−ジョンコート法により塗布することができる。真空成膜法としては、特に制限はないが、蒸着、プラズマCVD等の成膜方法が好ましい。本発明においてはポリマーを溶液塗布しても良いし、特開2000−323273号公報、特開2004−25732号公報に開示されているような無機物を含有するハイブリッドコーティング法を用いてもよい。
本発明では、通常、重合性化合物を含む組成物を、光照射して硬化させるが、照射する光は、通常、高圧水銀灯もしくは低圧水銀灯による紫外線である。照射エネルギーは0.1J/cm2以上が好ましく、0.5J/cm2以上がより好ましい。本発明で用いるような(メタ)アクリレートは、空気中の酸素によって重合阻害を受けるため、重合時の酸素濃度もしくは酸素分圧を低くすることが好ましい。窒素置換法によって重合時の酸素濃度を低下させる場合、酸素濃度は2%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。減圧法により重合時の酸素分圧を低下させる場合、全圧が1000Pa以下であることが好ましく、100Pa以下であることがより好ましい。また、100Pa以下の減圧条件下で0.5J/cm2以上のエネルギーを照射して紫外線重合を行うのが特に好ましい。
本発明における有機層は、平滑で、膜硬度が高いことが好ましい。有機層を構成する重合性モノマーの重合率は85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、92%以上であることが特に好ましい。ここでいう重合率とは重合性組成物中の全ての重合性基(例えば、アクリロイル基およびメタクリロイル基)のうち、反応した重合性基の比率を意味する。重合率は赤外線吸収法によって定量することができる。
有機層の膜厚については特に限定はないが、薄すぎると膜厚の均一性を得ることが困難になるし、厚すぎると外力によりクラックを発生してバリア性が低下する。かかる観点から、有機層の厚みは50nm〜2000nmが好ましく、200nm〜1500nmがより好ましい。
また、有機層は先に記載したとおり平滑であることが好ましい。有機層の平滑性は1μm角の平均粗さ(Ra値)として1nm以下が好ましく、0.5nm以下であることがより好ましい。有機層の表面にはパーティクル等の異物、突起が無いことが要求される。このため、有機層の成膜はクリーンルーム内で行われることが好ましい。クリーン度はクラス10000以下が好ましく、クラス1000以下がより好ましい。
有機層の硬度は高いほうが好ましい。有機層の硬度が高いと、無機層が平滑に成膜されその結果としてバリア能が向上することがわかっている。有機層の硬度はナノインデンテーション法に基づく微小硬度として表すことができる。有機層の微小硬度は100N/mm以上であることが好ましく、150N/mm以上であることがより好ましい。
(無機層)
無機層は、通常、金属化合物からなる薄膜の層である。本発明では、無機層は、プラズマアシスト蒸着法によって、形成される。ここで、プラズマアシスト蒸着法とは、真空蒸着中に、プラズマにより蒸着材料をイオン化ながら蒸着する、あるいは別に設けたイオン源から気体イオンを照射する方法をいう。
通常の真空蒸着は、スパッタリングなどにおける薄膜と比べて飛来する粒子のもつエネルギーが小さく、膜の強度や密度において有利ではない。一方、プラズマアシストを行うことにより、蒸着物質がエネルギーを得るため、真空蒸着においても強度、密度の高い薄膜を形成することができる。また、プラズマ中の励起種は、反応性に富んでいるため、酸素、窒素、アセチレンなどのガスを導入することで蒸発原を任意に酸化、窒化、炭化させた薄膜を形成させることができる。
このような方法によって、無機層を設けることにより、スパッタリングやプラズマCVD法よりも早く製膜することができる。本発明では、有機層に、炭素環状骨格を有する樹脂を用い、プラズマによるダメージを受けにくくするとともに、プラズマアシストを用いることにより、緻密な無機層を形成し、バリア性を高く保つことに成功したものである。
本発明では、プラズマアシストは、イオン電流密度30〜300μA/cm2で行うことが好ましく、60〜120μA/cm2で行うことがより好ましい。また、イオンアシスト電圧は、100〜5000Vであることが好ましく、200〜1000Vであることがより好ましい。
プラズマアシストに用いるガスとしては、アルゴンガス、酸素ガス、窒素ガス、アセチレンガス等が挙げられる。また、これらの混合ガスであっても良い。本発明では、アルゴンガス、酸素ガス、またはその混合ガスであることが好ましい。
無機層に含まれる成分は、本発明の趣旨を逸脱しない限り特に限定されないが、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸化窒化物または金属酸化炭化物であり、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、CeおよびTaから選ばれる1種以上の金属を含む、酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物または酸化炭化物などを好ましく用いることができる。これらの中でも、Si、Al、In、Sn、ZnおよびTiから選ばれる金属の酸化物、窒化物または酸化窒化物が好ましく、特にSiまたはAlの金属酸化物、窒化物または酸化窒化物が好ましい。これらは、副次的な成分として他の元素を含有してもよい。本発明では化学式SiOxで表され、かつ、xが0.9〜1.5である酸化ケイ素が好ましい一例として挙げられる。このような無機層は、色がついてしまうので、有機EL素子等では、使われなかったが、太陽電池に用いる場合、着色が問題にならないためである。
本発明により形成される無機層の平滑性は、1μm角の平均粗さ(Ra値)として1nm未満であることが好ましく、0.5nm以下がより好ましい。
無機層の成膜はクリーンルーム内で行われることが好ましい。クリーン度はクラス10000以下が好ましく、クラス1000以下がより好ましい。
無機層の厚みに関しては特に限定されないが、1層に付き、通常、5〜500nmの範囲内であり、好ましくは10〜200nmである。無機層は複数のサブレイヤーから成る積層構造であってもよい。この場合、各サブレイヤーが同じ組成であっても異なる組成であってもよい。
(有機層と無機層の積層)
有機層と無機層の積層は、所望の層構成に応じて有機層と無機層を順次繰り返し製膜することにより行うことができる。バリア性積層体を作製する間、途中で大気圧に戻すことなく、常に1000Pa以下の真空中で有機層と無機層を積層することが特に好ましい。圧力は100Pa以下であることがより好ましく、50Pa以下であることがより好ましく、20Pa以下であることがさらに好ましい。
(機能層)
本発明のデバイスにおいては、バリア性積層体上、もしくはその他の位置に、機能層を有していても良い。機能層については、特開2006−289627号公報の段落番号0036〜0038に詳しく記載されている。これら以外の機能層の例としてはマット剤層、保護層、耐溶剤層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防汚層、被印刷層、易接着層等が挙げられる。
バリア性積層体の用途
本発明のバリア性積層体は、通常、支持体の上に設けるが、この支持体を選択することによって、様々な用途に用いることができる。支持体には、基材フィルムのほか、各種デバイス等が含まれる。好ましくは、本発明のバリア性積層体はガスバリアフィルムのバリア層として用いることができる。以下、これらについて詳細に説明する。
<ガスバリアフィルム>
ガスバリアフィルムは、基材フィルムと、該基材フィルム上に形成されたバリア性積層体とを有する。図1は、本発明のガスバリアフィルムの一例を示したものであって、基材フィルム1の上に、有機層2と無機層3がそれぞれ一層ずつからなるバリア性積層体が積層されている。従来のガスバリアフィルムでは、無機層をスパッタリングやプラズマCVD法で作成されていたため、その下地層である有機層がダメージを受けるケースが認められたが、本発明では、プラズマアシスト蒸着法を採用することにより、ダメージを受けにくくすることができる。また、プラズマアシスト蒸着法を用いることにより、緻密な無機層を形成することができる。
ガスバリアフィルムは、さらに、図2に示すように、基材フィルム1の上に、有機層2と無機層3がそれぞれ複数層設けられていてもよい。さらに、図示していないが、基材フィルムの両面に有機層及び無機層が設けられていてもよい。また、図2とは逆に、基材フィルム側から無機層、有機層、無機層、有機層の順に積層していてもよい。この場合、有機層の表面に設ける無機層をプラズマアシスト蒸着法で形成することが好ましい。
ガスバリアフィルムを構成する層数に関しては特に制限はないが、典型的には2層〜30層が好ましく、3層〜20層がさらに好ましい。
ガスバリアフィルムはバリア性積層体、基材フィルム以外の構成成分(例えば、易接着層等の機能性層)を有しても良い。機能性層はバリア性積層体の上、バリア性積層体と基材フィルムの間、基材フィルム上のバリア性積層体が設置されていない側(裏面)のいずれに設置してもよい。
(プラスチックフィルム)
本発明におけるガスバリアフィルムは、通常、基材フィルムとして、プラスチックフィルムを用いる。用いられるプラスチックフィルムは、有機層、無機層等のバリア性積層体を保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。前記プラスチックフィルムとしては、具体的には、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
本発明のガスバリアフィルムを、耐熱性が要求される用途に使用する場合、基材フィルムは、耐熱性を有する素材からなることが好ましい。具体的には、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上および/または線熱膨張係数が40ppm/℃以下で耐熱性の高い透明な素材からなることが好ましい。Tgや線膨張係数は、添加剤などによって調整することができる。このような熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN:120℃)、ポリカーボネート(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン(例えば日本ゼオン(株)製 ゼオノア1600:160℃)、ポリアリレート(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:220℃)、ポリスルホン(PSF:190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報の化合物:162℃)、ポリイミド(例えば三菱ガス化学(株)ネオプリム:260℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート(BCF−PC:特開2000−227603号公報の化合物:225℃)、脂環変性ポリカーボネート(IP−PC:特開2000−227603号公報の化合物:205℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報の化合物:300℃以上)が挙げられる(括弧内はTgを示す)。特に、透明性を求める場合には脂環式ポレオレフィン等を使用するのが好ましい。
本発明のガスバリアフィルムを、太陽電池素子のフロント側のシート等として利用される場合、基材フィルムは透明であること、すなわち、光線透過率が通常80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。光線透過率は、JIS−K7105に記載された方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率および散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
本発明のガスバリアフィルムに用いられるプラスチックフィルムの厚みは、用途によって適宜選択されるので特に制限がないが、典型的には1〜800μmであり、好ましくは10〜200μmである。これらのプラスチックフィルムは、透明導電層、プライマー層等の機能層を有していても良い。機能層については、上述したもののほか、特開2006−289627号公報の段落番号0036〜0038に記載されているものを好ましく採用できる。
<複合フィルム>
本発明では、上記ガスバリアフィルムの2枚を、バリア性積層体を内側にして2枚貼り合わせた構造を有する複合フィルムとして用いてもよい。2枚のガスバリアフィルムを貼り合せることにより、バリア性をより高めることができる。図3は、2枚のガスバリアフィルムを貼り合せた例を示したものであって、基材フィルム1の上に、有機層2および無機層3が設けられたガスバリアフィルムが、接着層4を介して貼り合わされている。さらに、このような複合フィルムに、ガスバリアフィルムを貼り合せることもできる。
接着層は、接着剤を主成分とする層であり、通常、接着層の70重量%以上が、接着剤であることをいい、接着層の80〜90重量%が接着剤であることが好ましい。接着剤としては、公知の接着剤が広く採用できるが、好ましくは、ウレタン系接着剤である。ここでウレタン系接着剤としては、熱硬化型、紫外線硬化型が挙げられる。バリアフィルムが紫外線を吸収するものである場合、熱硬化型が好ましい。熱硬化型の中には1液型、2液混合型があるが、本発明ではいずれでも好ましく用いられる。本発明においては硬化後に無色透明となる接着剤が好ましい。市販品としては、大日精化製セイカボンドEシリーズ、DIC製、ディックドライLXシリーズ等が挙げられる。
さらに、接着剤にシランカップリング剤を添加することも好ましい。シランカップリング剤を添加することにより、接着力をより効果的に高めることができる。
<デバイス>
本発明のバリア性積層体、ガスバリアフィルムおよび複合フィルムは空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化するデバイスに好ましく用いることができる。特に本発明のバリア性積層体、ガスバリアフィルムおよび複合フィルムは、好ましくは、電子ペーパーおよび太陽電池のシートに用いられ、より好ましくは、太陽電池のシートに用いられる。
(太陽電池)
本発明のガスバリアフィルムは、太陽電池用のシートとして用いることができる。太陽電池素子は通常、一対の基板の間に、太陽電池として働くアクテイブ部分が設けられた構成をしているが、この一対の基板の一方または両方として本発明のガスバリアフィルムまたは複合フィルムを用いることができる。
本発明のガスバリアフィルムが好ましく用いられる太陽電池素子としては、特に制限はないが、例えば、単結晶シリコン系太陽電池素子、多結晶シリコン系太陽電池素子、シングル接合型、またはタンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池素子、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽電池素子、カドミウムテルル(CdTe)等のII−VI族化合物半導体太陽電池素子、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池素子、色素増感型太陽電池素子、有機太陽電池素子等が挙げられる。中でも、本発明においては、上記太陽電池素子が、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池素子であることが好ましい。
(電子ペーパー)
本発明のガスバリアフィルムは、電子ペーパーにも用いることができる。電子ペーパーは反射型電子ディスプレイであり、高精細且つ高コントラスト比を実現することが可能である。
電子ペーパーは、基板上にディスプレイ媒体および該ディスプレイ媒体を駆動するTFTを有する。ディスプレイ媒体としては、従来知られているいかなるディスプレイ媒体でも用いることができる。電気泳動方式、電子粉粒体飛翔方式、荷電トナー方式、エレクトロクロミック方式等のいずれのディスプレイ媒体であっても好ましく用いられるが、電気泳動方式のディスプレイ媒体がより好ましく、なかでもマイクロカプセル型電気泳動方式のディスプレイ媒体が特に好ましい。電気泳動方式のディスプレイ媒体は、複数のカプセルを含むディスプレイ媒体であり、該複数のカプセルのそれぞれが懸濁流体内で移動可能な少なくとも1つの粒子を含む。ここでいう少なくとも1つの粒子は、電気泳動粒子または回転ボールであることが好ましい。また、電気泳動方式のディスプレイ媒体は、第1の面および該第1の面と対向する第2の面を有し、該第1および該第2の面の内の1つの面を介して観察イメージを表示する。
また、基板上に設けられるTFTは、少なくともゲート電極、ゲート絶縁膜、活性層、ソース電極及びドレイン電極を有し、活性層とソース電極の間か活性層とドレイン電極の間の少なくとも一方に、電気的に接続する抵抗層をさらに有する。電子ペーパーは、電圧印加により光の濃淡を生じる。
高精細なカラー表示の電子ディスプレイを製造する場合は、アライメント精度を確保するためにカラーフィルター上にTFTを形成することが好ましい。ただし、電流効率が低い通常のTFTで必要な駆動電流を得ようとしてもダウンサイジングに限界があるため、ディスプレイ媒体の高精細化に伴って画素内のTFTが占める面積が大きくなってしまう。画素内のTFTが占める面積が大きくなると、開口率が低下しコントラスト比が低下する。このため、透明なアモルファスIGZO型TFTを用いても、光透過率は100%にはならず、コントラストの低下は避けられない。そこで、例えば特開2009−021554号公報に記載されるようなTFTを用いることにより、画素内のTFTの占める面積を小さくして、開口率とコントラスト比を高くすることができる。また、この種のTFTをカラーフィルター上に直接形成すれば、高精細化も達成することができる。
(その他)
その他の適用例としては、特表平10−512104号公報に記載の薄膜トランジスタ、特開平5-127822号公報、特開2002-48913号公報等に記載のタッチパネル、特開2002−865554号公報に記載の円偏光板、特開2007−30387号公報に記載の有機EL素子、好ましく用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
ガスバリアフィルムの作成(1)
PETフィルム(コスモシャインA4300、100μm厚)を10cm角に裁断し、その表面に以下の手順で有機層、無機層を形成して評価した。
(有機層の作成)
PETフィルム上に、下記表に示す組成を有する重合性化合物、紫外線重合開始剤(チバ・スペシャリティーケミカルズ製、Cibaイルガキュア184)0.6g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート190gからなる重合性組成物を、ワイヤーバーを用いて塗布し、窒素置換法によって酸素濃度が0.1%以下で高圧水銀ランプの紫外線を照射(積算照射量1.5J/cm2)して有機層を硬化させ、膜厚が約1μmの有機層を形成した。化合物Fおよび化合物Iを塗布するときは、紫外線重合開始剤を加えることなく塗布し、その後80℃で5分乾燥させた。
(無機層の作成)
EB+イオンガン方式でプラズマアシスト可能な蒸着装置(シンクロン製、ACE1350IAD)を用いて、イオンアシスト電圧:900V、酸素ガス流量:50sccm、アルゴンガス流量:8sccm)の条件で、前記有機層の上に無機層を、酸素プラズマアシストを使用しつつSiOを蒸着源にして蒸着を行った。無機層の厚さは、50nmであった。製膜速度は、5nm/secであった。スパッタリング法で製膜した場合の製膜速度は、0.1nm/secであり、本発明の方法は、製膜速度が極めて早いことが分かる。
モコン法による水蒸気透過率の測定
得られたガスバリアフィルムについて、MOCON社製、「PERMATRAN−W3/31」(40℃、相対湿度90%)を用いて測定した。結果を下記表に示す。
ガスバリアフィルムの作成(比較例)(2)
比較例として、上記ガスバリアフィルムの作成(1)において、有機層の形成に用いる化合物の種類を下記表に記載のものに代え、上記と同様あるいはイオンアシスト電圧を0Vとして無機層の作成を行い、水蒸気透過率を測定した。結果を下記表に示す。
Figure 2011051194
上記化合物は下記のとおりである。
Figure 2011051194
Figure 2011051194
Figure 2011051194
Figure 2011051194
化合物A:新中村化学工業(株)製、NKオリゴEA-1020
化合物B:新中村化学工業(株) 製、NKエステルA-BPEF
化合物C:新中村化学工業(株)製、NKオリゴEA-6320
ダイセル・サイテック、TPGDA
化合物D:ダイセル・サイテック、IRR214-K
化合物F:アルドリッチ製、Polystyrene average、重量平均分子量 200000
化合物G:共栄社化学株式会社製、ライトアクリレートBEPG-A
化合物H:アルドリッチ製、Methyl acrylate
PMMA(ポリメチルメタクリレート):アルドリッチ製:Poly(methyl methacrylate) 、重量平均分子量120000以下(GPC)、粉状)
ガスバリアフィルムの作成(3)
上記ガスバリアフィルムの作成(1)において、SiOに代えて、Al23を用いたところ、同様の傾向を示すことがわかった。
ガスバリアフィルムの作成(4)
上記ガスバリアフィルムの作成(1)において、さらに、同様の手法により、有機層および無機層を形成して、多層型ガスバリアフィルムを作成した。得られたガスバリアフィルムのガスバリア性を上記方法で測定した。以下に結果を示す。
Figure 2011051194
ガスバリアフィルムの作成(5)
上記ガスバリアフィルムの作成(1)において、無機層の形成条件をイオンアシスト電圧:450V、酸素ガス流量:50sccm、アルゴンガス流量:8sccmに変更し、他は同様に行った。得られたガスバリアフィルムのガスバリア性を上記方法で測定した。以下に結果を示す。
Figure 2011051194
ガスバリアフィルムの作成(6)
上記ガスバリアフィルムの作成(1)で作成したガスバリアフィルムのバリア性積層体側同士を接着剤(大日精化製、主剤:E-372、硬化剤:C-76)にて貼り合せた。得られた複合フィルムのガスバリア性を上記方法で測定した。その結果を下記に示す。
Figure 2011051194
太陽電池の作成
ガスバリアフィルム(6)で作成したガスバリアフィルムを用いて、太陽電池モジュールを作成した。具体的には、太陽電池モジュールよう充填剤として、スタンダードキュアタイプのエチレンー酢酸ビニル共重合体を用いた。10cm角の強化ガラス上に厚さ450μmのエチレンー酢酸ビニル共重合体でアモルファス系のシリコン太陽電池セルを挟み込み充填し、さらにその上のガスバリアフィルムを設置することで太陽電池モジュールを作成した。設置条件は、150℃にて真空引き3分行ったあと、9分間圧着を行った。本方法で作成した太陽電池モジュールは、良好に作動し、85℃、85%相対湿度の環境下でも良好な電気出力特性を示した。
1 基材フィルム
2 有機層
3 無機層
4 接着層

Claims (13)

  1. 少なくとも1層の有機層と、少なくとも1層の無機層を有し、前記有機層は、炭素環状骨格を有する樹脂を含み、前記無機層はプラズマアシスト蒸着法によって形成されることを特徴とする、バリア性積層体。
  2. 前記有機層に含まれる樹脂が、紫外線硬化性の樹脂である、請求項1に記載のバリア性積層体。
  3. 前記有機層に含まれる樹脂が、炭素環状骨格を有する(メタ)アクリレートを硬化させてなる樹脂である、請求項1または2に記載のバリア性積層体。
  4. 前記無機層が、ケイ素および/またはアルミニウムを含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  5. 前記無機層成膜時に用いるプラズマが、アルゴンガス、酸素ガス、または、その混合ガスである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  6. 前記バリア性積層体は、少なくとも2層の有機層と、少なくとも2層の無機層とが、交互に積層している、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  7. 前記有機層に含まれる樹脂が、芳香環を有する(メタ)アクリレートを硬化させてなる樹脂である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  8. 前記有機層に含まれる樹脂が、多官能(メタ)アクリレートを硬化させてなる樹脂である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  9. 基材フィルム上に、請求項1〜8のいずれか1項に記載のバリア性積層体を設けたガスバリアフィルム。
  10. 請求項9に記載のガスバリアフィルムをバリア性積層体側を内側にして2枚貼り合せた構造を有する、複合フィルム。
  11. 請求項9に記載のガスバリアフィルムまたは請求項10に記載の複合フィルムを用いた太陽電池用部材。
  12. 少なくとも1層の有機層と、少なくとも1層の無機層を有し、前記有機層は、炭素環状骨格を有する樹脂を含むバリア性積層体の製造方法であって、前記無機層をプラズマアシスト蒸着法によって形成することを含む、バリア性積層体の製造方法。
  13. 前記有機層を、芳香環を有する(メタ)アクリレートを含む重合性組成物を硬化させて形成することを含む、請求項12に記載のバリア性積層体の製造方法。
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