JP2011038156A - 転炉を用いる製鋼精錬プロセスおよび低燐鋼の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】転炉を用いる製鋼精錬プロセス全体として蛍石等のハロゲン化物やAl源を使用すること無く、低燐鋼を安定的に大量製造すると共に、製鋼精錬プロセスを高能率かつ高効率化する方法を提供する。
【解決手段】溶銑予備脱燐処理された溶銑を上底吹き型転炉で吹錬して低燐溶鋼を製造する際に、前記吹錬後のスラグの質量濃度をAl:3.5%以下、T.Fe:15%以上とし、さらにCaOとSiOとの質量濃度比(CaO%/SiO%)を4.0以上6.0以下とすることによって、該スラグ中のフリーCaO質量濃度を7%以上に調整した転炉スラグを同時に製造し、かつ、溶銑予備脱燐処理をされていない溶銑であってSi質量濃度が0.20%以上のものを上底吹き型転炉で溶銑予備脱燐処理する際に、前記のように製造した転炉スラグを脱燐剤の一部として用いてその脱燐処理を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、転炉を用いる製鋼精錬プロセスを全体として高能率かつ高効率化する方法に関し、より具体的には、蛍石等のハロゲン化物を使用すること無く、かつ、Al源を積極的に使用することも無く、溶銑脱燐処理と脱燐処理された溶銑の脱炭処理および脱燐処理とを適正に組み合わせて、転炉を用いる製鋼精錬プロセスを全体として高能率・高効率化する方法、およびその方法を用いる低燐鋼の製造方法に関する。
近年、鋼材に対する品質要求の高度化が進行し、低燐鋼に対する需要が大幅に増加している。これに対応するため、製鋼精錬プロセスとして溶銑段階で転炉を用いて脱燐を施す溶銑予備脱燐処理と、その結果製造される脱燐溶銑を再度転炉を用いて脱炭する脱炭処理とを組み合わせて精錬する方法が一般的になっている。この方法には、溶銑予備脱燐によって脱燐溶銑中のP濃度が低減されるほか、その際にSi濃度も同時に低減されて、脱燐溶銑中のSi濃度がほぼ零か、或いは零に近い状態になっているという特徴がある。
この特徴に対し、この脱燐溶銑を脱炭処理する脱炭吹錬において、その溶銑中Si濃度が零に近いということには何らかの対処を必要としている。その脱炭吹錬においても、脱燐溶銑中に残されたP濃度と最終製品(鋼材)に許容されるP濃度との関係に応じて相当程度の脱燐処理が必要になるほか、その脱炭吹錬時のスピッティングロスやダストロスの発生を抑制するために、或る程度の量以上の溶融スラグを生成させる必要があるからである。
その対処方法として、例えば、その脱炭吹錬時に副原料としてMgOとSiO源をそれぞれ30%以上含む物質を用いる製鋼精錬法が、特許文献1に開示されている。しかし、その方法では、本来脱燐阻害物質であるSiOを多量に使用するので、脱燐効率向上の基本目的に反するほか、脱炭吹錬時のスラグ生成量を増加させてしまうため、そのスラグ処理にも課題が残っている。
また、珪石等に含まれているSiOは常温の固体で添加されるため、溶銑中Siを酸化してSiOを生成させる場合と比較し、スラグ生成が遅くCaO等の滓化促進効果が劣るという難点がある。この難点に対処するため、スラグ生成(滓化)促進剤として蛍石等のハロゲン化物を使用することも考えられたが、近年は地球環境保護の観点からその使用は望ましくなく、ほとんど使用されることはない。その結果、脱燐溶銑の脱炭吹錬では、吹錬終了後もスラグ中に未反応のCaO(本明細書では「フリーCaO」という)が多く存在するようになっている。
その上、近年では溶銑予備脱燐処理においても蛍石等のハロゲン化物は全く使用しなくなってきており、脱燐溶銑中のP濃度が以前よりも高濃度側へ移動する傾向にある。しかも、前述のように低燐鋼に対する需要は増加する一方なので、それに対応するために脱燐溶銑の脱炭吹錬においても脱燐を強化する必要性が増々高まっている。したがって、脱炭吹錬スラグの脱燐能力を高めるために、その生成スラグが高CaO濃度化(高塩基度化)する傾向にあり、この脱炭吹錬で生成する脱炭スラグの高CaO濃度化も、その脱炭スラグ中のフリーCaO濃度の増加に大きく影響している。
しかし、従来はスラグ中フリーCaO濃度が増加すると、転炉スラグの現状の再利用方法の主流である路盤材化に大きな問題が生じていた。
そのため、例えば脱炭吹錬時のスラグ塩基度を3〜4の範囲とし、Al源を添加して最終スラグのAl濃度を3.5以上とする溶鋼の精錬方法が、特許文献2に開示されている。しかし、その方法ではスラグ中のAl濃度が高まることによりスラグのフォーミング(泡立ち)が助長されるため、近年の脱燐処理をも要する高能率脱炭吹錬ではスラグや溶銑の炉外への噴出が発生して操業を継続できなくなるおそれがある。
さらに、Al濃度の増加でスラグ液相率がほぼ100%となると、炉体耐火物中のMgOとの反応も促進され、耐火物の溶損が促進されるという問題も発生する。したがって、Al源を積極的に用いることを避け、脱燐剤等に混入して持ち込まれる範囲内に吹錬後スラグ中のAl濃度を抑えることが好ましい。通常、このAl濃度の上限は4.0質量%であるが、上記した趣旨から3.5質量%以下であることが一層好ましい。
一方、近年の低燐鋼に対する需要の大幅増加に対応するため、溶銑段階での脱燐処理の高能率化も同時に求められている。前述のように溶銑脱燐後の脱炭吹錬における脱燐強化も必要であるが、溶銑脱燐吹錬自体の高能率・高効率化も、同時に欠かすことができない。
しかし、蛍石等のハロゲン化物を使わずに溶銑脱燐吹錬を高能率・高効率化することは、容易ではない。溶銑脱燐吹錬は、吹錬中の溶銑温度が1300〜1400℃という低温であって、しかも近年の高能率化の要請に応えるために吹錬時間を6〜10分間と短くする必要があるからである。このような低温かつ短時間の吹錬条件下で、脱燐率80%以上を維持できる効率的な溶銑脱燐方法は、未だ確立されていない。
溶銑脱燐方法の効率向上には、特許文献3に開示されている「塊状生石灰源の投入と併用して、上吹きランスより予め定められた量の酸化カルシウム粉を酸素とともに溶銑に吹き付ける方法」により、その明細書の段落0024に記載されているように、塊状生石灰源として生石灰のほか、低燐転炉スラグを用いる方法を利用することが考えられる。
しかし、特許文献3には、その塊状生石灰源の一つとして低燐転炉スラグが挙げられてはいるが、その低燐転炉スラグが具備すべき性状としては「CaO分を40%以上含み、燐の含有量が1%以下のもの」としか記載が無い。その段落0025に「安価CaO源として各種スラグの有効利用を指向するが、CaO分が40%以上でないとスラグ量が増大してヒートロスが大きくなり、経済的でなくなる」と説明していることから、低燐転炉スラグを単なる「安価CaO源の一つ」としてしか評価していないのである。
また、特許文献4には、同じく転炉を用いる溶銑脱燐方法において、脱炭滓を用いるに際し、塩基度が0.5〜1.2の溶媒スラグを生成せしめることを特徴とする脱炭滓の使用方法が開示されている。
しかし、その発明では、その明細書の段落0008に脱炭滓が溶媒スラグへ溶解する過程を詳細に研究した結果を開示しているが、その解析は専ら溶媒スラグが具備すべき性状に関してであり、脱炭滓自体の性状に関しては殆ど説明が無い。
特開平11−61222号公報 特開2001−220621号公報 特開2000ー73112号公報 特開2002ー266015号公報
以上説明したように、近年、低燐鋼に対する需要が大幅に増加しているが、環境問題から、蛍石等のハロゲン化物を使用することは避けなければならず、さらに、産業廃棄物の低減の観点から、製鋼プロセスにおけるスラグ生成量を抑制し、とりわけ路盤材などに有効利用できないスラグの排出量を低減しなければならない。
しかし、蛍石等のハロゲン化物を使用せずに鋼材の燐濃度を低下させる方法としてAl源の使用が知られているが、スラグフォーミングや耐火物溶損の抑制の観点から、それを積極的に用いることは問題がある。
また、溶銑予備処理時の脱燐剤の一部として低燐転炉スラグを用いる方法が知られてはいるが、蛍石等のハロゲン化物を使用せずに鋼材の燐濃度を低下させるために、低燐転炉スラグが具備すべき要件は未だ知られていない。ましてや、蛍石等のハロゲン化物を使用せずに鋼材の燐濃度を高能率で低下させるために、溶銑脱燐吹錬とその脱燐溶銑の脱炭吹錬とを組み合わせて、製鋼精錬プロセス全体として高能率かつ高効率化する着眼点は、未だ公開されていない。
本発明の目的は、転炉を用いる製鋼精錬プロセスを全体として高能率かつ高効率化する方法の提供に関し、より具体的にはそのプロセス全体として蛍石等のハロゲン化物を使用すること無く、かつ、Al源を積極的に使用することも無く、溶銑脱燐処理と脱燐溶銑の脱炭および脱燐処理とを適正に組み合わせて、低燐鋼を安定的に大量製造すると共に、製鋼精錬プロセスを高能率かつ高効率化する方法を提供することにある。
本発明者らは、製鋼精錬プロセスを全体として高能率かつ高効率化するための考え方として、次の諸点に着目した。
1)転炉を用いる製鋼精錬プロセスを溶銑予備脱燐処理と脱燐溶銑の脱炭処理の2段階処理プロセスとして捉え、かつ、その両処理を通算して能率および効率が高まるようにする。
2)溶銑予備脱燐の効率的処理方法として特許文献3の方法が公知であるため、その方法をベースとして処理時間の短縮を図る。
3)脱炭処理において脱炭・脱燐の吹錬時間を短縮すると脱燐剤(CaO)の滓化不良を招き、処理後スラグのフリーCaO濃度が高まってしまうことが従来大きな問題であったが、その問題はそのスラグを溶銑脱燐吹錬の脱燐剤として活用することにより解決できる。
従来、脱炭スラグを溶銑脱燐処理の脱燐剤として用いる方法は公知である。但し、脱炭スラグ中に含まれるCaO成分を脱燐に活用することは公知であっても、そのスラグ中に含まれるフリーCaOを積極的に活用することには注目が無かった。その背景として、フリーCaOを多量に生じさせてしまうことは、生石灰等のCaO源の無駄使いと考えられてきたことがある。
また、従来は、転炉スラグを路盤材として使用するための必要特性から、フリーCaO濃度の高いスラグは問題であった。しかし、本発明では積極的にフリーCaO濃度を高めてそれを溶銑脱燐吹錬時の脱燐剤とすることにより、溶銑脱燐とその脱燐溶銑の脱炭・脱燐の全体として最適化を達成するというように、発想の転換を図った。
溶銑予備処理の高能率・高効率化のためには、溶銑脱燐吹錬中の溶銑温度が1300〜1400℃という低温で、しかもその脱燐吹錬時間が6〜10分間と短い条件下で、溶銑脱燐率80%以上を維持することができる溶銑脱燐方法の開発が必要である。そのためには、先ず脱燐剤の適切な選択とその使用方法を決定する必要がある。
本発明は、前述したように、特許文献3に記載された粉状生石灰と塊状生石灰源との併用をベースとするが、中でも塊状生石灰源の選定が重要である。
その選定に当たり、脱燐溶銑の脱炭吹錬においては脱燐溶銑に含まれるSi濃度がほとんど零であるため、従来は何らかのSiO源を脱燐剤であるCaO源と共に添加して溶融スラグを生成させていたという事情を考慮した。その吹錬の際に、脱炭処理後の転炉スラグを路盤材に使うことを考えて、フリーCaOを質量濃度で5%以下とすべくスラグの塩基度(CaO質量%/SiO質量%)を3〜4程度に調整するなどしていたのである。
しかし、その転炉スラグを専ら溶銑脱燐処理における脱燐剤として使うなら、フリーCaO濃度が高くても問題は無いどころか、そのフリーCaOをCaO源の一つとして活用することができると考えられる。また、塩基度を高くしておく方が、副原料としてのSiO源の使用量を少なくできる上に、溶銑脱燐処理における脱燐阻害物質としてのSiO源の混入を抑制できる利点もあって、却って好都合と言える。
そこで、本発明者らは、上記した脱炭吹錬での対応と組み合わせることを前提として、溶銑脱燐吹錬中の溶銑温度が1300〜1400℃という低温で、その脱燐吹錬時間が6〜10分間と短い条件下で、溶銑脱燐率80%以上を維持することができる効率的な溶銑脱燐方法について検討した。
その結果、以下に列記する知見(a)〜(d)を得て、本発明を全体として完成することができた。
(a)7質量%以上の高フリーCaO濃度の転炉スラグを急冷却した後、粒径10mm以上100mm以下に粒度調整して、溶銑予備脱燐処理を実施していない溶銑(Si濃度≧0.20質量%)を吹錬して溶銑脱燐処理する際に脱燐剤の一部として用いると、その転炉スラグを使用しない吹錬の場合と比較して、その含有フリーCaOを単なるCaO源の一つとして考える以上に、その吹錬での脱燐能力が向上する。
(b)この転炉スラグの急冷却は、脱炭・脱燐吹錬後の溶融スラグを地表面などに拡げて凝固させるだけよりも、その拡げた後に散水して急速かつ十分に冷却する方法によれば、その急冷却スラグの前記脱燐能力が一層向上する。
(c)その脱燐能力の向上の理由は、次のように推察される。高塩基度かつ高フリーCaO濃度の転炉スラグは、溶融状態など高温からの急冷却時に亀裂が入る。その際に散水冷却されると、フリーCaOがHOと反応しCa(OH)となって膨張崩壊するので、亀裂が一層増加する上に空隙も内部に多数生成される。それを溶銑脱燐時に使用すると、添加される転炉スラグが亀裂や空隙を多数有しているために、その添加される転炉スラグが塩基度1.0程度で溶銑上に別途形成されているカバースラグと反応し易い。その反応し易い性状により、本発明に係る急冷却転炉スラグは、低温の溶銑脱燐吹錬においても、塩基度2.2〜3.0の脱燐用スラグを短時間で形成することができるのだと考える。
その上、その転炉スラグの内部に含有されるCa(OH)がCaO源の一つになって脱燐に寄与するので、転炉スラグ全体の脱燐反応効率が高くなる。さらに、Ca(OH)がCaOとHO(気体)に分解し(580℃以上で完全に分解)、発生したHO(気体)がスラグーメタルの攪拌に寄与することでメタルおよびスラグ中の物質移動を促進し、脱燐反応効率を高めるという効果も考えられる。
(d)7質量%以上の高フリーCaO濃度の転炉スラグは、脱燐処理の高能率化に合わせた脱燐溶銑の脱炭・脱燐吹錬において、そのスラグ組成を適正に調整することによって低燐溶鋼を高能率で製造しつつ、副生的に製造することができる。
このようにして完成した本発明に係る具体的な発明の要旨は、次の(1)〜(3)に示すものである。
(1)転炉を用いる製鋼精錬プロセスであって、
溶銑予備脱燐処理された溶銑を上底吹き型転炉で吹錬して低燐溶鋼を製造する際に、
前記吹錬後のスラグを分析して得られる質量濃度をAl:3.5%以下、T.Fe:15%以上とし、
さらにCaOとSiOとの質量濃度比(CaO%/SiO%)を4.0以上6.0以下とすることによって、
該スラグ中に含有されるフリーCaOの質量濃度を7%以上に調整した転炉スラグを同時に製造し、
かつ、
溶銑予備脱燐処理をされていない溶銑であってSi質量濃度が0.20%以上のものを上底吹き型転炉で吹錬して溶銑予備脱燐処理する際に、
前記のように製造した転炉スラグを脱燐剤の一部として用いて溶銑の予備脱燐処理を行うことを特徴とする、転炉を用いる製鋼精錬プロセス。
(2)フリーCaOの質量濃度を7%以上に調整して製造した前記転炉スラグを上底吹き型転炉から排出後、
該スラグに散水冷却を30分間以上行うことによって少なくともその一部にCa(OH)を生成させる処理と
該スラグを破砕して最大粒径を50mm以下に篩分けする処理とを行い、
その後、前記散水冷却および篩分け処理されたスラグを前記溶銑予備脱燐処理する際の脱燐剤の一部として用いるスラグとすることを特徴とする、(1)に記載した転炉を用いる製鋼精錬プロセス。
(3)(1)または(2)に記載した転炉を用いる製鋼精錬プロセスを用いて製造することを特徴とする、低燐鋼の製造方法。
本発明によれば、転炉を用いる製鋼精錬プロセスを全体として蛍石等のハロゲン化物を使用すること無く、かつ、Al源を積極的に使用することも無く、溶銑脱燐処理とその脱燐溶銑の脱炭および脱燐処理とを適正に組み合わせて、低燐鋼を安定的に大量製造できると共に、転炉を用いる製鋼精錬プロセスを全体として高能率かつ高効率化することができる。
特に、溶銑脱燐吹錬中の溶銑温度が1300〜1400℃という低温で、その脱燐吹錬時間が6〜10分間と短い条件下で、溶銑脱燐率80%以上を確保することができる。
さらに、脱炭吹錬時間も6〜10分間と脱燐吹錬に合わせた短い条件下で低燐溶鋼を製造でき、それと同時に塩基度4.0〜6.0かつフリーCaOの質量濃度が7%以上という転炉スラグを製造して、その転炉スラグを前記溶銑脱燐吹錬の脱燐剤として用いることができる。
このことにより、製鋼精錬プロセスから排出される転炉スラグ量の低減も達成される。
脱燐溶銑の脱炭および脱燐処理における、塩基度とフリーCaO%との関係を表す図である。 溶銑脱燐処理において、高塩基度・高フリーCaO濃度の転炉スラグを脱燐剤として使用する効果を表す図である。
以下、本発明を実施するための形態を詳述する。本願明細書の記載においては、濃度を表す%表示を、特に断らない限り質量%の意味で用いることにする。
1)本発明に係る製鋼精錬プロセスの全体像
本発明では、転炉を用いて溶銑予備脱燐処理を行い、そこで処理された脱燐溶銑を再度転炉を用いて脱炭および脱燐処理する。
但し、溶銑脱燐処理における上吹き酸素の供給時間は6〜10分間とし、かつ、その脱燐剤としては粉状CaO源と塊状CaO源とを組み合わせて用いる。
その塊状CaO源には、脱燐溶銑の脱炭および脱燐吹錬によって製造した高塩基度かつ高フリーCaO濃度の転炉スラグを用いる。
また、転炉を用いた脱炭処理において脱燐溶銑の追加脱燐処理を行うが、その脱炭・脱燐処理は、低燐溶鋼を溶銑脱燐処理の高能率化に合わせて高能率で製造すると共に、溶銑脱燐吹錬に用いる塊状CaO源としての高塩基度かつ高フリーCaO濃度の転炉スラグの製造の役割をも担う。
なお、その脱炭・脱燐処理により製造された転炉スラグは、溶銑予備脱燐を行う転炉へ脱燐剤として投入する前に、適切に散水冷却処理しておくことが好ましい。
2)脱燐溶銑の脱炭および脱燐処理
本発明では、溶銑脱燐処理に用いる脱燐剤として、脱燐溶銑を脱炭および脱燐処理した際に製造しておいた所定性状の転炉スラグを用いることを基本的な特徴としているので、先ずその脱炭および脱燐処理について説明する。
本発明の実施においては、基本的にはP濃度が0.20%以下まで脱燐処理された溶銑を対象とし、それをさらに転炉を用いて、転炉における脱炭処理後の溶鋼中C濃度が0.08%以下、かつ、P濃度が0.010%以下の低燐溶鋼を、上吹き酸素供給時間6〜10分間という短時間で製造する。この低燐溶鋼中のP濃度は、転炉からの出鋼後の合金添加や脱酸処理によって、低燐鋼製品(鋼材)では0.012%〜0.015%以下程度にまで上昇する場合もある。
このような脱炭および脱燐処理を行うに際し、蛍石などのハロゲン化物は使わず、かつ、取鍋スラグなどAl濃度が10%以上であるようなAl源を使うことも無く、その処理後のスラグをAl:3.5%以下、T.Fe:15%以上とし、さらに塩基度(CaO%とSiO%との質量濃度比)を4.0以上6.0以下とすることによって、該スラグ中に含有されるフリーCaO質量濃度を7%以上に調整する。
より具体的に本発明の実施形態を例示すると、次のようなものである。
溶銑脱燐処理後の溶銑とスクラップとを上底吹き転炉に装入し、上吹きランスからの酸素供給開始と前後して、かんらん岩等のSiO源と生石灰等のCaO源とを適切量投入する。
脱燐溶銑の主な成分は、質量%でC:3.6〜4.0%、Si:0.01%以下、Mn:0.1〜0.2%、P:0.01〜0.02%であり、酸素供給終了後の低燐溶鋼の主な成分は、質量%でC:0.03〜0.08%、Si:0.01%以下、P:0.002〜0.010%である。
酸素供給終了後の転炉内スラグの主な成分は、質量%でCaO:45〜55%、SiO:8〜13%、MgO:3〜7%、Al:2〜3.5%、P:1〜3.5%、T.Fe:15〜22%、塩基度:4.0〜6.0、CaO%の内数としてフリーCaO%:7〜12%になるように、SiO源と生石灰等のCaO源の投入量を調整する。上記したスラグ成分のCaO%は、フリーCaOをも含むトータルCaOの質量濃度である。
ここで、Alを3.5%以下に制限したのは、高速脱炭処理時に発生しがちなスラグフォーミングによる操業トラブルを防止するためであるが、併せて転炉内壁耐火物の溶損を抑制するためでもある。
また、T.Feを15%以上に設定したのは、この脱炭処理においても脱燐を強力に推進する必要があるためにスラグの酸化力を高めることと、それに加えて投入生石灰の滓化を促進する狙いである。このT.Feを15%以上とする調整は、溶鋼中C濃度を0.06%以下にすることで容易に行えるが、C濃度が0.10%以下であれば副原料としてスケール(酸化鉄)を投入したり、上吹きランス高さを高めたりすることによって達成することができる。
さらに、スラグ中のフリーCaO濃度を7%以上とする調整は、上記のスラグ組成範囲近辺であれば、図1に示すようにスラグの塩基度(CaO%/SiO%)を4.0以上とすることにより行うことができることを、本発明の開発経過において確認した。
図1は、上記した成分を含有する脱燐溶銑の脱炭および脱燐処理において上吹き酸素供給時間を6〜10分間とし、酸素供給終了後の転炉内スラグの主な成分が、質量%でCaO:45〜55%、SiO:8〜13%、MgO:3〜7%、Al:2〜3.5%、P:1〜3.5%、T.Fe:15〜22%であった場合の、スラグの塩基度とフリーCaO%との関係を表したものである。この図から、上記した一定のスラグ成分範囲内において、スラグの塩基度とフリーCaO%との関係は或る程度のバラツキはあるものの、その塩基度を4.0以上に調整することによりそのフリーCaO濃度を7%以上にコントロールすることが出来ると分かった。
なお、本発明において転炉スラグの塩基度を6.0以下としたのは、その塩基度が高すぎると、本発明方法の実施によっても溶銑脱燐吹錬時に投入した転炉スラグの滓化が十分に進行せず、溶銑脱燐率が低下してしまう事例があったからである。脱燐剤とした転炉スラグの塩基度が6.0以下の場合には、試験調査時に期待を満たさなかった事例は発生しなかった。
3)溶銑の脱燐処理
本発明の実施においては、基本的には脱燐処理がされていない溶銑であってSi濃度が0.20質量%以上のものを対象とし、それを転炉を用いて脱燐処理後の溶銑中C濃度が3.6〜4.0質量%、かつ、P濃度が0.02質量%以下の低燐溶銑を、上吹き酸素供給時間6〜10分間という短時間で製造する。
ここで、溶銑中Si濃度が0.20質量%以上を対象とする理由は、上吹きランスからの粉状CaO源の吹付けを伴う高能率吹錬では、スピッティングの発生を抑制するために、その粉体吹付けを開始する前に或る程度の量のカバースラグを溶銑上に形成させておくと好都合だからである。また、高フリーCaO濃度の転炉スラグは、高塩基度であるにしては滓化が容易な特性を持っているが、その特性を十分に発揮させるためには、塩基度が1程度の溶融スラグを早期に生成させることが好ましいからでもある。このようなカバースラグは、珪砂などの固体SiO源を溶銑上に投入して形成させるより、溶銑中に含まれているSiを酸化して形成させる方が遥かに容易である。
このカバースラグの形成は、溶銑を転炉に装入した後に上吹き酸素を吹き付けて溶銑中Siを酸化することにより行っても良いが、脱燐吹錬時間が6〜10分間という制約から、転炉に装入する前に溶銑脱珪処理などにより済ませておく方が好ましい。例えば、高炉から出銑された溶銑をトーピードカーから注銑鍋へ払い出す際に、高炉原料である焼結鉱を少量加えて脱珪スラグを生成させ、それを徐滓せずに上底吹き転炉に装入してしまう方法の適用が適切と言える。
この少量脱珪処理は、転炉での粉状生石灰上吹きに先立つカバースラグ生成の役割を担うものであるが、高炉から出銑する溶銑の成分に依っては転炉への溶銑装入前に本格的に脱珪処理してその一部の脱珪スラグを徐滓時に溶銑上に残す方法でも、前記例示した少量脱珪処理と同じ効果を得ることが出来る。
本発明の溶銑脱燐処理では、上記したように溶銑中Si含有量として0.20%相当以上をスラグ生成用の助剤として利用し、上吹きランスからの酸素供給開始と前後して、上記した脱炭および脱燐処理によって製造した塩基度が4.0以上6.0以下、かつ、フリーCaO質量濃度が7%以上の転炉スラグを脱燐剤として溶銑上に投入する。
さらに、この脱燐処理における上吹き酸素の全供給時間を6〜10分間で溶銑脱燐率((処理前P%−処理後P%)×100/処理前P%)を80%以上にするためには、上吹き酸素の供給開始から1〜2分経過してから、上吹き酸素と共に粉状生石灰を上吹きランスから溶銑に向けて吹き付けて、溶銑脱燐処理を行うと良い。この粉状生石灰は、高能率で脱燐処理を行うために、100または200メッシュアンダー(粒径0.15または0.075mm以下)でCaO濃度が92%以上(残部は主としてCO)の微粉を用いることが好ましい。
使用する溶銑の主な成分は、トーピードカーからの払い出し前の質量濃度で、C:4.4〜4.6%、Si:0.2〜0.4%、Mn:0.2〜0.3%、P:0.10〜0.12%が通常想定されるが、Siについてはトーピードカーからの払い出し前に脱珪処理されていても、脱燐処理用の転炉へ装入するSi成分として、溶銑中のSiとスラグ中のSi成分とを合計して溶銑中Si濃度に換算した値が0.2〜0.4%であれば、本発明の実施においては均等と言える。
また、Pについては、溶銑中にもっと高濃度が含まれることも想定され得るが、そのような高P溶銑を脱燐処理する場合にも、脱燐率((処理前P%−処理後P%)×100/処理前P%)が80%以上を、本発明の実施に係る効果の指標として採用することができる。
脱燐処理後の主なスラグ成分は、質量%でCaO:45〜55%、SiO:15〜22%、MgO:2〜4%、Al:2〜3.5%、P:8〜13%、塩基度:2.2〜3.0になるように、溶銑から持ち込まれるSiを主とする転炉装入SiO源の量を考慮しつつ、脱燐剤としての前記転炉スラグと生石灰粉の投入量を加減して調整すればよい。
ここでもAl濃度を3.5%以下に制限したのは、高能率脱燐処理時に発生しがちなスラグフォーミングによる操業トラブルを防止するためである。
図2には、トーピードカーからの払い出し前の質量濃度で、C:4.4〜4.6%、Si:0.2〜0.4%、Mn:0.2〜0.3%、P:0.10〜0.12%の溶銑に対し、上吹き酸素の供給時間を6〜10分間として溶銑脱燐処理試験を行った際の、脱燐処理後のスラグの塩基度とスラグ/溶銑間のP濃度分配比(スラグ中のP%/溶銑中のP%)との関係を、本発明例と従来の実施例とを比較して
示す。
この図において、本発明例は塊状CaO源としてフリーCaOの質量濃度が7%以上の転炉スラグを溶銑トン当たり10〜20kg使用し、残りのCaO必要量を粒径100メッシュアンダーの粉状生石灰の上吹きランスからの吹き付けで供給して、溶銑の脱燐率80%以上を達成した例である。
一方、従来例1はフリーCaOの質量濃度が3〜6%の転炉スラグを同じく10〜20kg使用し、残りのCaO必要量を粒径100メッシュアンダーの粉状生石灰の上吹きランスからの吹き付けで供給した例である。また、従来例2は転炉スラグを使わず、必要なCaO量を粒径10〜25mmの塊状生石灰と粒径100メッシュアンダーの粉状生石灰の上吹きランスからの吹き付けで供給した例である。本発明例も従来例1、2も、粉状生石灰の使用量は粉状生石灰と塊状CaO源との合計に対してCaO成分の供給質量比で40%以上であった。
この図から、いずれの場合においても、脱燐処理後のスラグ塩基度が高い方がP濃度分配比が高い傾向が認められるが、本発明例の方が同一の塩基度で比べてみれば最も高いP濃度分配比になっていたことが分かる。このことは、先に述べたようにフリーCaO濃度が高いスラグを用いることによる脱燐促進効果の発現によると考えられ、吹錬時間が6〜10分間という短時間での溶銑脱燐処理に関し、本発明に係る吹錬の脱燐効率が高いことが分かった。
なお、この溶銑脱燐吹錬後のスラグ塩基度は、脱燐率80%以上を確保するためには2.2以上が必要であるが、それが3.0を超えても脱燐率の向上効果が一層高まるという状況にはない。したがって、脱燐剤の有効反応効率を考慮して、溶銑脱燐吹錬後のスラグ塩基度は3.0以下とすることが適当である。
また、フリーCaOの質量濃度が7%以上の転炉スラグの使用量は、その使用効果の発現機構を考慮すれば、溶銑トン当たり5kg以上の使用でないと使用効果が明確に現れ難い。この使用量は、溶銑トン当たり10kg以上とすることが好ましい。しかし、その使用量が多過ぎても転炉内へ投入した際にカバースラグを冷却固化してしまう割合が増えてしまい、転炉スラグ自身の滓化が遅れてしまう弊害が現われるので、溶銑トン当たり40kg程度が上限となる。
4)脱炭処理後の転炉スラグの処理
本発明では、脱燐溶銑を脱炭・脱燐処理し、その際同時に溶銑脱燐処理用の脱燐剤として用いる高塩基度かつ高フリーCaO濃度の転炉スラグを製造する。その転炉スラグは、脱炭・脱燐処理後にその処理をした転炉から排出して、適当な手段により溶銑脱燐用の転炉まで搬送し、転炉内へ投入すれば良い。
但し、この搬送する間に、搬送しやすいように冷却したり破砕したりすることが通常行われている。この冷却や破砕を工夫すれば、本発明の実施効果を一層高めることができる。
本発明の脱燐処理で使用する転炉スラグは、脱燐溶銑を脱炭および脱燐吹錬した後の転炉内から排出後、その上部からシャワー状の水をかけて冷却することが好ましいのである。この水冷処理は、スラグが固化した後の破砕後に行っても良いが、スラグを転炉から排出後、部分的に溶融状態であるような高温状態から30分間以上散水して冷却する方が、スラグを脆くして脱燐処理時に滓化し易くする観点、およびより多くのフリーCaOをHOと反応させる観点から一層好ましい。
このようにして急冷却(好ましくは散水冷却)を行った転炉スラグであって、最大粒径100mm以下に粒度を揃えたものを、前記の溶銑脱燐処理で使用する。但し、滓化し易くする観点からは最大粒径が小さい方が良いのは当然で、例えば最大50mm以下、できれば最大30mm以下にすることが好ましい。しかし、細かく破砕するほど粉状のスラグが増加してしまうので、転炉スラグの搬送および使用時の粉じん飛散抑制など取扱い上の観点からは、あまり細かくすることは好ましくない。結局、最大粒径を50mm以下程度とすることが、総合的に最も適切である。なお、搬送および使用上は、最小粒径が5mm程度以上のものが好適といえる。
この転炉スラグの添加は、上底吹き型転炉内へ溶銑を装入する前にスクラップと一緒にスクラップシュート内へ投入して行うことが効率的である。但し、上底吹き転炉の上に設置されたバンカー内へ転炉スラグを搬送し、上吹き酸素の供給開始前または開始後にそのバンカーから転炉内へ投入する方法でも構わない。
(1)溶銑脱燐処理
高炉から出銑した溶銑であって、その主な成分がトーピードカーからの払い出し前の質量濃度で、C:4.4〜4.6%、Si:0.2〜0.4%、Mn:0.2〜0.3%、P:0.10〜0.12%の溶銑に対し、それをトーピードカーから溶銑鍋に約275t払い出す際に高炉原料である焼結鉱を溶銑トン当たり約3kg添加して軽く脱珪処理し、その後徐滓せずにスクラップ約20tと共に上底吹き転炉へ装入した。
その装入完了後、直ちに上吹きランスから溶銑への酸素を吹き付けを開始し、その開始直後からの1分間に、後述する脱炭処理で製造して水冷し破砕整粒しておいた転炉スラグを、断続的に数回、合計量として溶銑トン当たり10〜20kg、転炉内に投入した。
その後、上吹きランスからの酸素吹き付けを継続したまま、同じ上吹きランスから粒度100メッシュアンダーの生石灰粉(CaO:92〜95%)を、酸素吹き付けの終了時点まで連続的に溶銑へ吹き付けた。1回の脱燐処理全体における上吹きランスからの酸素吹き付け時間は、その吹き付け開始から6〜10分間であった。また、溶銑脱燐処理における酸素供給終了時の溶銑温度は、1350〜1400℃であった。
上記の処理の結果、脱燐処理後の脱燐溶銑の主な成分を、質量濃度でC:3.6〜4.0%、Si:0.01%以下、Mn:0.1〜0.2%、P:0.01〜0.02%にすることが出来た。
また、脱燐処理後のスラグの主な成分は、質量濃度でCaO:45〜55%、SiO:15〜22%、MgO:2〜4%、Al:2〜3.5%、P:8〜13%、塩基度:2.2〜3.0であった。
(2)脱燐溶銑の脱燐・脱炭処理
上記の溶銑脱燐処理をされた脱燐溶銑を機械撹拌式の脱硫装置を用いて脱硫処理した後、さらに追加するスクラップと合わせて、約300tを上記の溶銑脱燐処理を行った転炉とは別の上底吹き転炉に装入した。
その装入完了後、直ちに上吹きランスから溶銑へ酸素吹き付けを開始し、その開始直後に少量のかんらん岩を転炉内に投入して、その後酸素吹き付けを継続しつつ適量の生石灰を転炉内へ投入した。1回の脱燐・脱炭処理における上吹きランスからの酸素吹き付け時間は、溶銑脱燐処理時間に合わせて6〜10分間とした。この脱燐・脱炭処理における酸素供給終了時の溶鋼温度は、1630〜1660℃であった。
上記の処理の結果、脱燐・脱炭処理後の低燐溶鋼の主な成分を、質量濃度でC:0.03〜0.06%、Si:0.01%以下、Mn:0.1〜0.15%、P:0.002〜0.006%とすることが出来た。
また、脱燐・脱炭処理後のスラグの主な成分は、質量濃度でCaO:45〜55%、SiO:8〜13%、MgO:3〜7%、Al:2〜3.5%、P:1〜3.5%、T.Fe:15〜22%、塩基度:4.0〜6.0、CaO%の内数としてフリーCaO%:7〜12%に調整されていた。
さらに、このようにして製造した低燐溶鋼を通常の溶鋼循環式真空脱ガス設備を用いて成分調整し、通常の連続鋳造設備を用いて連続鋳造した結果、主な成分として、質量濃度でC:0.04〜0.10%、Si:0.10〜0.20%、Mn:1.0〜1.5%、P:0.003〜0.008%、sol.Al:0.020〜0.040%を含有する低燐鋼(鋼材)を製造することができた。
(3)脱燐・脱炭処理後のスラグの処理
上記の脱燐・脱炭処理により製造された転炉スラグを、転炉からの溶鋼出鋼後にスラグポットへ排出し、スラグ処理場へと搬送した。
スラグ処理場では、スラグの到着直後に処理場内にスラグを拡げ、そのスラグの内部は部分的に未だ溶融状態にあると推測されるときにスラグの上部から散水を開始して、その散水を30分〜60分間行ってスラグ表面が100℃以下になるまで十分冷却した。
その後、散水しつつ転炉スラグを破砕し、最大粒径を50mm以下に整粒した。
このようにして、脱燐・脱炭処理により製造した転炉スラグを、先述した溶銑脱燐処理時の脱燐剤として使用し、所期の目的である転炉を用いた製鋼精錬プロセスの全体としての高能率・高効率化を達成することができた。

Claims (3)

  1. 転炉を用いる製鋼精錬プロセスであって、溶銑予備脱燐処理された溶銑を上底吹き型転炉で吹錬して低燐溶鋼を製造する際に、前記吹錬後のスラグを分析して得られる質量濃度をAl:3.5%以下、T.Fe:15%以上とし、さらにCaOとSiOとの質量濃度比(CaO%/SiO%)を4.0以上6.0以下とすることによって、該スラグ中に含有されるフリーCaOの質量濃度を7%以上に調整した転炉スラグを同時に製造し、
    かつ、溶銑予備脱燐処理をされていない溶銑であってSi質量濃度が0.20%以上のものを上底吹き型転炉で吹錬して溶銑予備脱燐処理する際に、前記のように製造した転炉スラグを脱燐剤の一部として用いて溶銑の予備脱燐処理を行うことを特徴とする、転炉を用いる製鋼精錬プロセス。
  2. フリーCaOの質量濃度を7%以上に調整して製造した前記転炉スラグを上底吹き型転炉から排出後、該スラグに散水冷却を30分間以上行うことによって少なくともその一部にCa(OH)を生成させる処理と該スラグを破砕して最大粒径を50mm以下に篩分けする処理とを行い、
    その後、前記散水冷却および篩分け処理されたスラグを前記溶銑予備脱燐処理する際の脱燐剤の一部として用いるスラグとすることを特徴とする、請求項1に記載した転炉を用いる製鋼精錬プロセス。
  3. 請求項1または請求項2に記載した転炉を用いる製鋼精錬プロセスを用いて製造することを特徴とする、低燐鋼の製造方法。
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