JP5170348B2 - 溶銑の脱珪・脱リン方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶銑の脱珪・脱リン方法、特にSi濃度の多い溶銑(例えば、Si含有量:0.4質量%以上)に適した脱珪・脱リン方法に関する。
本願は、2011年2月10日に、日本に出願された特願2011−27338号と、2011年2月28日に、日本に出願された特願2011−41220号とに基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
鋼材の使用環境の厳格化に伴い、りん、硫黄に代表される鋼中の不純物元素の低減に対する要求が厳しくなっている。この要求に応えるために、高炉から出銑された銑鉄中の珪素、硫黄、りんを脱炭精錬の前工程で予め取り除いたうえで転炉吹錬して鋼を得る技術、いわゆる溶銑予備処理技術が発展してきている。この溶銑予備処理は、従来主としてトーピードカーにおいて行われていたが、近年では転炉を用いて行われることが多くなっている。
特に、近年、低リン鋼に対する需要が増大しており、また、鋼の溶製コストの合理化およびスラグ処理に関する問題からスラグ発生量の低減も要請されている。
一般に、溶銑の脱リン反応では、溶銑中のリンを酸化してスラグ中に除去するため、酸素源と酸素イオンとを溶銑中のリンに付与して、スラグ中で安定なリン酸イオンを生成させる必要がある。このうち、酸素イオンは、CaOなどの塩基性酸化物が溶融スラグを形成することによって溶銑とスラグとの界面に供給される。
なお、スラグはCaOを含有するため、スラグ発生量の低減の観点からは、脱リン工程以外の工程で生成したスラグを脱リン反応でリサイクルすることが好ましい。
しかし、脱炭工程や二次精錬工程等で生成したスラグ(以下、各々、脱炭滓(脱炭スラグ)や二次精錬スラグという)は、CaO以外に、SiOやAlを高濃度で含むので、これらのスラグを脱リン工程(溶銑脱リン工程)にリサイクルした場合、スラグ量が増大し、炉からスラグが溢れだすスロッピングの危険性が高まるという問題があった。このうち、Alは、スラグの泡立ち(以下、スラグフォーミングという)を著しく促進する化学成分として知られている(例えば、非特許文献1)。なお、スロッピング対策として炉内容積を大きくする方法は、設備コストの観点から好ましくない。
また、溶銑には、リン以外の不純分も含有されており、特に、近年、製造コストの削減の観点から、Si含有量の多い鉄鉱石が使用されることも多くなっている。
溶銑処理の効率化の観点から、溶銑に含まれるケイ素及びリンを、同一工程で除去することが好ましく、本発明者らは、低リン鋼を効率的に溶製する技術として、溶銑に含まれるケイ素を、リンを除去する工程と同一の工程で除去する技術を開示している(特許文献1)。
なお、溶銑に含まれるケイ素とリンとを同一工程で除去する場合には、脱珪反応により生成するSiOによりスラグ量が増大するため、スロッピングが発生しやすくなる問題があった。この問題を回避するために、本発明者らは、上吹きランスから吹き込む酸素ガスをキャリアーガスとして使用し、粉状の生石灰を溶銑上に吹き付ける技術を開示している(特許文献2)。
ただし、Si濃度が従来より多い溶銑(例えば、0.4質量%以上)を処理する場合には、脱珪反応により生成するSiOによりスラグ量が増大するため、脱リン・脱珪反応に用いる酸素イオンの供給源として、上述のリサイクルスラグ(例えば、脱炭スラグや二次精錬スラグ)を使用すると、特にスラグフォーミングの問題が顕在化するという問題があった。
なお、本明細書中の二次精錬スラグには、二次精錬において生成する取鍋スラグや、連続鋳造においてタンディッシュ中の溶鋼の空気酸化防止や保温の目的で用いられたタンディッシュスラグが含まれる。
日本国特開平2−47212号公報 日本国特開2002−256320号公報 日本国特開平11−172315号公報
辻野良二、相田英二:金属精錬プロセスにおける高温界面移動現象、p.57
本発明の目的は、上述の問題を解決し、Si濃度が従来より多い溶銑(例えば、0.4質量%以上)の脱リン・脱珪反応に用いる酸素イオン供給源として、溶鋼段階で発生するリサイクルスラグを使用して溶鋼段階におけるスラグ総排出量を低減しながら、スラグフォーミングを抑制することにより、炉内容積を増大させることなく効果的にスロッピングを防止することができる溶銑の脱珪・脱リン方法を提供することである。
(1)本発明の一態様に係る溶銑の脱珪・脱リン方法は、炉の上方から溶銑の表面に向けて酸素ガスを吹き付ける酸素ガス吹き付け工程と;前記溶銑の表面に向けて、脱炭スラグ、二次精錬スラグの少なくとも一方をリサイクルスラグとして供給するリサイクルスラグ添加工程と;前記溶銑の表面に吹き付ける前記酸素ガスに、最大粒径が500μm以下の微粉生石灰を随伴させて、前記微粉生石灰を前記溶銑上の火点に供給する微粉生石灰添加工程と;を備え、前記微粉生石灰添加工程は、前記溶銑中の珪素濃度が0質量%以上かつ0.15質量%以下まで低下した開始時間から開始され、更に、前記溶銑中にガスを吹き込み、下記式1で定義される1.2〜10kW/tの攪拌力εで前記溶銑を攪拌する攪拌工程を備える。
Figure 0005170348
ここで、
ε:溶銑に対して付与される底吹き攪拌力(W/t)
:底吹きガスの量(固体(石灰石粉等)の分解ガスを含む)(NL/min)
T:底吹き開始時の溶銑温度(K)
:吹き込み前の底吹きガスの温度(K)
:吹き込み深さ(溶銑液面から底吹き羽口先端までの距離)(m)
:溶銑の重量(装入スクラップを含む)(t)
(2)上記(1)に記載の溶銑の脱珪・脱リン方法では、前記開始時間での前記溶銑中の珪素濃度が0質量%以上かつ0.08質量%以下であってもよい。
(3)上記(1)または(2)に記載の溶銑の脱珪・脱リン方法では、前記リサイクルスラグ添加工程において、前記リサイクルスラグ添加工程の開始時に前記溶銑中の珪素濃度が0.6質量%未満である場合に、前記二次精錬スラグのみ、または、前記脱炭スラグ及び前記二次精錬スラグの両方が前記溶銑に供給され、前記リサイクルスラグ添加工程の開始時に前記溶銑中の珪素濃度が0.6質量%以上である場合に、前記脱炭スラグのみが前記溶銑に供給されてもよい。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の溶銑の脱珪・脱リン方法では、前記リサイクルスラグ添加工程において、前記溶銑の表面に向けて前記二次精錬スラグを供給する場合に、前記二次精錬スラグの量が、前記溶銑1t当り0.1〜16kgであってもよい。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の溶銑の脱珪・脱リン方法は、前記溶銑の表面に向けて、固体酸素源を供給する固体酸素源添加工程をさらに備えてもよい。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の溶銑の脱珪・脱リン方法は、前記溶銑の表面に向けて、平均粒径5mm以上の鉱石由来の塊状CaO源を供給する塊状CaO源添加工程をさらに備え、この塊状CaO源添加工程では、前記塊状CaO源の量が前記溶銑1t当り7.5kg以下に制限されてもよい。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の溶銑の脱珪・脱リン方法では、前記リサイクルスラグ中のMnOの合計量が0質量%超かつ25質量%以下であってもよい。
)上記(1)〜(7)に記載の溶銑の脱珪・脱リン方法では、前記攪拌工程において、前記溶銑中に吹き込まれる前記ガスに石灰石粉を随伴させて供給してもよい。
上記(1)に係る溶銑の脱珪・脱リン方法によれば、溶銑中の珪素濃度が0.15質量%以下まで低下した後に、微粉生石灰を溶銑表面に吹き付けることにより、溶銑中の珪素濃度が高い場合であっても溶銑の脱珪と脱リンとを同一処理で効率良く行うことができる。更に、脱炭スラグ、二次精錬スラグから選択されるスラグの少なくとも一方を溶銑に添加するリサイクルスラグ添加工程と、微粉生石灰を溶銑に添加する微粉生石灰添加工程との2つの工程を有するため、溶鋼段階で発生するリサイクルスラグを使用して溶鋼段階におけるスラグ総排出量を低減しながら、炉内容積を増大させることなく効果的にスロッピングを防止することができる。
なお、溶銑中のSi濃度が高い場合、上吹きの微粉生石灰のみでは、CaO源の供給に必要なコストが著しく増大するが、CaO源としてリサイクルスラグを微粉生石灰と併用することにより、CaO源の供給に必要なコストを削減することができる。
また、上記(7)に係る溶銑の脱珪・脱リン方法によれば、二次精錬スラグ中に含まれるMnや、脱炭スラグ中に含まれるMnを溶銑中に移行させることにより、脱珪・脱リン後の溶銑中のMn濃度を向上させることができる。このため、Mnを含む製品規格の鋼材を製造する場合に、後工程において高価なMn鉱石やMn合金の使用量を減少させることができる。
本発明の実施形態に好適に使用される脱リン炉の概略図(縦断面図)である。 本実施形態を製鋼に適用する場合の基本的な工程例の説明図である。 本実施形態の工程表の一例の説明図である。 脱炭スラグが排出される脱炭炉の概略図(縦断面図)である。 スラグの排出量と溶銑の珪素濃度[%Si]との関係を示す図である。 本実施形態に使用する微粉生石灰の粒度分布の一例である。
以下に、本発明の好ましい一実施形態を示す。本実施形態は、特にSi濃度の多い溶銑(Si含有量:0.45〜0.65質量%)に適した脱珪・脱リン方法に関する。なお、以下では、%は、特に言及されない限り、質量%を意味する。
まず、図1に示すような脱リン炉1(溶銑脱リン炉)内の溶銑Pに対し、ホッパー8(上方ホッパー)から塊状(平均粒径5.0mm以上)の副原料が添加される(副原料添加工程)。本実施形態では、この副原料として、脱炭スラグや二次精錬スラグのようなリサイクルスラグ(後工程スラグ)が使用され、鉄鉱石等の固体酸素源やドロマイトも使用することができる。ここで、図2に示すように、リサイクルスラグは、脱珪・脱リン処理(脱リン炉1に対応)よりも後の工程(例えば、脱炭吹錬、二次精錬、連続鋳造)で利用または生成されるスラグ(例えば、脱炭スラグや、取鍋スラグ、タンディッシュスラグ等の二次精錬スラグ)を示している。このリサイクルスラグのうち、ホッパー8に装入される脱炭スラグは、脱炭炉からスラグを排出した後、このスラグを冷却して破砕し、この破砕されたスラグから地金を磁選して除去した後、望ましくは50mmアンダーにスラグを破砕して得られている。また、ホッパー8に装入される二次精錬スラグは、鋳造が終了した取鍋やタンディッシュに残留したスラグを取鍋またはタンディシュから排出した後、このスラグを冷却して破砕し、この破砕されたスラグから地金を除去した後、望ましくは50mmアンダーにスラグを破砕して得られている。これらのスラグは、炉上のホッパー8に入れられた後、定量的に切り出され、脱リン炉1内に添加される。ただし、リサイクルスラグのうち、二次精錬スラグは、スラグフォーミングを誘発するAlを多く含有するので、スラグフォーミングの抑制を優先する必要がある場合には、脱炭スラグを優先的に使用することが望ましい。また、本実施形態では、副原料の種類に応じて副原料の添加(量及びタイミング)を制御するために、複数のホッパーを使用することができる。この場合、この副原料添加工程は、リサイクルスラグ添加工程を含み、必要に応じて、固体酸素源添加工程や、後述の塊状CaO源添加工程を含んでもよい。なお、本実施形態では、脱リン炉1として転炉が用いられている。
続いて、脱リン炉1の底部に設けられた底吹き羽口3から、窒素ガスタンク5から供給される窒素ガスをキャリヤーガスとして使用し、下方ブロータンク6(底吹き粉体ブロータンク)中の石灰石粉が底吹きされる(攪拌工程)。
なお、脱リン反応に必要な攪拌力を確保するため、窒素ガス及び石灰石粉の流量を適宜設定することができる。特に、本実施形態では、溶銑Pに付与する攪拌力を1.2〜10kW/tに制御すると、珪素濃度が比較的高い溶銑であっても脱珪と脱リンとの両方をより効率的に行うことができる。攪拌力が1.2kW/t未満の場合には、溶銑中の珪素の酸化がリンの酸化に対して優先的に進行し、脱リン反応が生じにくくなる。一方、攪拌力が1.2kW/t以上であれば、スラグSと溶銑Pとの界面におけるスラグSの酸素活量がスラグ中のFeOの量で決まる酸素活量に近づくため、溶銑P中の珪素濃度が高い場合でも脱リン反応が生じやすくなる。
攪拌力εは、下記(式1)で定義される。
Figure 0005170348
ここで、上記(式1)中の各変数は、以下の通りである。
ε:溶銑Pに対して付与される底吹き攪拌力(W/t)
:底吹きガスの量(固体(石灰石粉等)の分解ガスを含む)(NL/min)
T:底吹き開始時の溶銑温度(K)
:吹き込み前の底吹きガスの温度(K)
:吹き込み深さ(溶銑液面から底吹き羽口先端までの距離)(m)
:溶銑Pの重量(装入スクラップを含む)(t)
その後、酸素ガスタンク4から供給される酸素ガス(高圧酸素)を脱リン炉1内に挿入された上吹きランス2により溶銑Pの表面上に吹き付けて、脱りんを開始する(酸素ガス吹き付け工程)。更に、スロッピングの状況に応じ、上吹きランス2から吹込んでいる酸素ガスをキャリアーガスとして、溶銑Pの表面に上方ブロータンク7(微粉生石灰ブロータンク)中の微粉生石灰(例えば、図6に示すような2μm〜200μmに分級された生石灰)を吹き付ける(微粉生石灰添加工程)。すなわち、高圧酸素は、酸素ガスタンク4から配管を経由して上吹きランス2に供給されているが、酸素ガスタンク4と上吹きランス2との間に上方ブロータンク7が配置されているため、微粉生石灰を酸素ガスとともに溶銑面に吹き付けることができる。なお、図3の上部のガントチャートに一例として示すように、副原料添加工程(例えば、リサイクルスラグ添加工程)と、攪拌工程と、酸素ガス吹き付け工程と、微粉生石灰添加工程とについて、複数の工程が重複する時間帯が存在する。
本実施形態では、このように、上吹きランスから溶銑面に生成する火点に粉体石灰源を供給することにより、火点で溶融カルシウムフェライト(CaO・FeO)が生成し、この生成したカルシウムフェライトが速やかにスラグ中のSiOと反応して微細なダイカルシウムシリケート2CaO・SiOが生成し、この高融点の2CaO・SiOが、リン酸を固溶しながら成長したのち、マクロ的には均一にスラグ中に分散する。そのため、2CaO・SiOが、スラグの実質的な固相率を高め、ブリッジ効果により泡立ちを抑制するので、生産障害を引き起こすスロッピングを抑制する効果を発揮する。
この方法によるスロッピングの抑制は、特に、高Si溶銑の脱燐を短時間で行う場合、あるいはスラグフォーミングを助長するAlを含む二次精錬スラグをリサイクルする場合、あるいは大量の転炉スラグ(脱炭スラグ)をリサイクルする場合に有効である。
なお、近年、建設廃材のリサイクルが進んでいるが、この建設廃材が土木用材料として多く利用される傾向があり、この土木用材料として利用されているスラグの系外排出量削減のニーズが高い。スラグの系外排出量を削減するためには、スラグ中のCaOをリサイクルすること、即ち、脱リン工程の後工程で生成したスラグをリサイクルすることが最も効果的である。しかしながら、以下に述べる理由により、後工程で生成したスラグを溶銑の脱リン工程において再利用することはそれ程容易なことではない。
即ち、一般に、溶銑の脱リン反応では、溶銑中のリンを酸化してスラグ中に除去するため、酸素源と酸素イオンとを溶銑中のリンに付与して、スラグ中で安定なリン酸イオンを生成させる必要がある。(ここで、酸素イオンは、CaOなどの塩基性酸化物が溶融スラグを形成することによって溶銑とスラグとの界面に供給される。)酸素源として、酸化鉄などの固体酸素源や酸素ガスが使用できる。なお、(式2)〜(式4)中の、下線が引かれた化学成分(Si)は、溶銑中(メタル中)の化学成分を示し、括弧が与えられた化学成分((O2−)、(PO 3−)、(SiO))は、スラグ中の化学成分を示している。
+5O+3(O2−)=2(PO 3−) (式2)
+O=CO (式3)
Si+2O=(SiO) (式4)
溶銑中の初期リン濃度は0.1%程度であるが、溶銑中の初期炭素濃度が4%以上(初期リン濃度の約40倍)であるため、(式3)で表される脱炭反応が不可避的に生じ、その結果COガスが発生する。このCOガスによりスラグの泡立ち、即ち、フォーミングが起こり、このフォーミングが過大になると、炉からスラグが溢れ出す、所謂、スロッピング現象を招く。スロッピングが起きると、酸素供給速度が低下したり、酸素供給を停止して処理中断を余儀なくされたりし、処理時間が長くなり、生産性が低下する、という問題を招く。
しかし、脱炭スラグや二次精錬スラグのような後工程で生成したスラグをCaO源として脱リン工程でリサイクルすると、これらのスラグが脱リンに有効なCaO以外にSiOやAlを高濃度で含むので、スラグ量が増大する。そのため、上記のスロッピングによる問題が顕在化する。また、例えば、非特許文献1に示されているように、Alがスラグの泡立ちを著しく促進するため、特に、短時間での操業が必要とされる場合には、珪素濃度が高い溶銑を脱リン工程に再利用することは困難であった。これは、溶銑中の珪素濃度が高いと、脱珪反応で生成するSiO量が多く、生成する総スラグ量が多くなるからである。
そこで、本発明者らは、詳細な検討を行い、溶銑上に生成する火点に上吹き酸素に随伴させた微粉生石灰を適切なタイミングで供給することにより上記問題を解決した。高温火点では、まずCaO・FeO融体が形成し、次に、火点で生成したCaO・FeO融体が、スラグ中のSiOと反応し、迅速に2CaO・SiO粒子を形成し、この2CaO・SiO粒子が成長してスラグ中に懸濁される。本発明者らは、この懸濁された2CaO・SiO粒子が、上記スラグフォーミングを抑制する効果が高いことを明らかにした。その結果、高珪素溶銑を脱リン処理する場合でも脱炭スラグや二次精錬スラグ等のリサイクルスラグを利用することが可能であることが明らかになった。
脱リン処理時に発生するスラグの量に最も大きな影響を与える要素は、溶銑中の珪素濃度である。脱リン処理中には、(式4)で表される脱珪反応も生じるため、この脱珪反応により生成するSiOに対するCaOの量、すなわち、塩基度が低下する。スラグの脱リン能力を維持するためには、このスラグの塩基度を2程度に維持する必要があるが、溶銑中の珪素濃度が高い場合には、スラグ中に添加するCaOの量も比例して増加する。更に、CaO源として脱リン工程の後工程で生成したスラグを用いる場合、このスラグ中にはCaO以外にSiOやAl、MnO、FeOなどの化学成分も含まれるので、これらCaO以外の化学成分が脱リン炉内で増加し、生石灰のような一次CaO源を用いる場合に比べて生成するスラグ量が多くなる。ひとつの目安として、脱リン処理で生じるスラグ量W(t)は、CaO源として生石灰のみを用いる場合には、凡そ、下記(式5)のように表される。
=[%Si]×60×1000/28/100×[1+(C/S)]×W’ (式5)
ここに、[%Si]:溶銑の珪素濃度(質量%)、(C/S):脱リン処理後のスラグの目標塩基度(=(%CaO)/(%SiO))(−)、(%CaO):脱リン処理後のスラグのCaO濃度(質量%)、(%SiO):脱リン処理後のスラグのSiO濃度(質量%)、W’:溶銑量(装入スクラップを除く)(t)である。
一方、脱炭スラグや二次精錬スラグ等のリサイクルスラグを用いる場合には、脱リン処理で生じるスラグ量W(t)は、下記(式6)のように表される。
=[%Si]×60×1000/28/100×[1+100(C/S)×(ξ/100+ξ/(%CaO)LD+ξ/(%CaO)SR)]×W’ (式6)
ここに、ξ、ξ、ξ:各々、全CaO量に占める微粉生石灰、脱炭スラグ、二次精錬スラグ中のCaOの量の割合(−)、(%CaO)LD:脱炭スラグ中のCaO濃度(質量%)、(%CaO)SR:二次精錬スラグ中のCaO濃度(質量%)である。
なお、一般的に、[%X]は、メタル(ここでは、溶銑)中の化学成分Xの質量百分率を、(%X)は、スラグ中の化学成分Xの質量百分率を示す。
ここで、脱炭スラグ及び二次精錬スラグの化学組成は、表1に例示するような化学組成である。二次精錬スラグでは、化学組成(CaO、Al等の化学成分の量)が大きくばらつく。また、二次精錬では溶鋼に対してAl脱酸を行うため、二次精錬スラグでは、Al濃度が高く、CaO濃度が比較的低い。したがって、この二次精錬スラグのみを脱リン用のCaO源として再利用すると、スラグ量が、CaO源として微粉生石灰のみを用いた場合の2倍〜3倍になり、上記のスロッピングが激しくなり、実操業ができないことがある。
一方、スラグ塩基度の制御に必要なCaO源の一部(望ましくは25〜90%、より好ましくは25〜80%(例えば、3割程度))に微粉生石灰を使用し、かつ、上吹き酸素ガスにより2000℃程度と言われている高温の火点にこの微粉生石灰を吹き付けることにより、スラグの液相率を低下させてスラグの泡立ち(フォーミング)を効果的に抑制することができる。
この場合、まず火点で微粉生石灰からカルシウムフェライトが生成し、引き続いて、このカルシウムフェライトが、スラグ中に移行し、速やかにスラグ中のSiOとリン酸とを溶解しつつ、固体のダイカルシウムシリケート粒子に変化する。さらに、このダイカルシウムシリケート粒子間に液相スラグを固定しながら、ダイカルシウムシリケート粒子が成長して粒状のスラグを形成するため、実質的にスラグの液相率を低下させる効果を得ることができる。
Figure 0005170348
ところで、本発明者らは、特許文献2において、粒径5mm未満のCaO源を用いてスラグ塩基度を1.2以上かつ2.5未満に制御することにより、スラグの液相率を低下させてフォーミングを抑制する方法を示した。しかしながら、この方法では、簡便にスラグ中の塩基度を制御することが可能な生石灰が、溶銑1t当り15.5kg使用されているため、コストが大きく増加するという問題があった。特に、生石灰の粉砕には、大きなエネルギーを投入する必要があるため、15.5kg/tの生石灰の全量が平均粒径5mm未満の生石灰(特に、微粉生石灰)であると、コストが非常に大きくなる。逆に、脱リン工程で平均粒径5mm以上の塊生石灰を多く使用すると、塊生石灰のスラグ中への溶解速度が低下し、脱リン効率が低下する場合がある。
なお、後工程で生成したスラグを脱リン工程に用いると、スラグボリュームが著しく増加するだけでなく、リサイクルスラグに含まれるAlがフォーミングを助長する。そのため、特許文献2の方法に対してリサイクルスラグを使用すると、微粉生石灰の使用量の増加によりコストが著しく増加したり、スラグ中に相当量の液相が残留してフォーミングを助長したりする。なお、リサイクルスラグを使用した上で脱リン速度を高める場合には、同時に塊生石灰を多く添加して塩基度を高めるのが一般的である。
それに対し、本実施形態では、微粉生石灰を適切なタイミングで高温の火点に供給することにより、微粉生石灰の使用量を適切な量に抑制しながら、微粉生石灰による、脱リン促進効果と、フォーミング抑制効果とを十分に確保することができる。すなわち、上述したように、瞬時的なカルシウムフェライト液相の生成と、それに続く2CaO・SiOの生成とが生じ、2CaO・SiOが、リン酸を固溶しながら、スラグ液相をその間隙に取り込み、全体として10〜数10mmの粒状の塊状物へと成長するので、フォーミング抑制、換言すれば、スラグ中の気泡の離脱性が著しく改善される。
加えて、脱リン初期(開始)から融点が低いリサイクルスラグを溶銑(必要に応じてスクラップを含む溶銑)の表面に向けて供給するため、塊生石灰のみの供給と比較して脱珪・脱リン同時処理に有効な初期融液を迅速に形成することもできる。また、リサイクルスラグが迅速に溶銑上のスラグ中に迅速にCaOを供給することができるため、脱珪・脱リン同時処理の効率を低下させることなくコストを低減することができる。さらに、このリサイクルスラグの供給と適切なタイミングの微粉生石灰の供給とによりCaOを効率よく脱リンに利用することができるため、製鋼全体におけるスラグ排出量を低減できるだけでなく、土木用材料として直接利用可能なフリーライムを殆ど含まない脱リンスラグを得ることができる。
本発明者らは、本実施形態のように脱珪と同時に脱リンを行う場合、溶銑中の珪素濃度が低下してほぼゼロに到達した後、次第に脱炭反応が優先するようになり、(式3)の反応で発生するCOガスの発生速度が増大するため、スラグフォーミングが問題になると判断した。従って、本発明者らは、微粉生石灰を添加する時期は、珪素濃度が十分に低下した後が最適であることを見出した。具体的には、図3に示すように、溶銑の表面に吹き付ける酸素ガスに、CaO源として微粉生石灰を随伴させる工程を、溶銑中の珪素濃度が0質量%以上かつ0.15質量%以下まで低下した時間(開始時間)から開始する。微粉生石灰の使用量をできる限り抑制するために、この開始時間は、溶銑中の珪素濃度が0質量%以上かつ0.08質量%以下まで低下した時間であることが好ましい。なお、開始時間における溶銑中の珪素濃度が0質量%以上であればよいが、脱炭反応によるCOガスの発生速度を考慮して、開始時間における溶銑中の珪素濃度が0.001質量%以上または0.01質量%以上であってもよい。このように、(式4)の脱珪の反応速度が低下し、(式3)の脱炭の反応速度が増大するタイミングで、(式2)の脱リンの反応速度を向上させることにより、フォーミングが問題となりうる時間帯を大幅に短縮し、フォーミングを抑制しながら効率良く脱珪及び脱リンを行うことができる。
上述のように微粉生石灰を供給するタイミングを制御することにより、高価な微粉生石灰の使用量を減らし、より多くの脱炭スラグ、二次精錬スラグを利用することが可能になる。
ここで、溶銑中の珪素濃度は、初期の溶銑中の珪素濃度等の各種操業条件に対応した実操業データやシミュレーションから得ることができる。
本実施形態では、CaO源として、生石灰(CaOが主成分)、消石灰(Ca(OH)が主成分)、石灰石(CaCOが主成分)等の一次CaO源、及び、脱炭スラグ、二次精錬スラグ等のリサイクルスラグが使用される。また、酸素ガスとともに随伴させる微粉生石灰は、最大粒径500μm以下の粉体であり、鉱物由来の原料(すなわち、熱分解後に得られる、CaOと脈石等の不純物とからなる化学組成を有する原料)である。後述の実施例、比較例に使用した微粉生石灰の粒度分布測定結果(レーザ回折式粒度分布測定装置により測定された体積頻度分布及びその累積分布(積算分布))の例を図6に示すが、この例では、粒径は2〜200μmの範囲であった。粒径が大きくなると脱リンに関係する化学成分同士の接触効率が低下するため、この微粉生石灰の最大粒径が500μm以下であることが必要である。また、微粉生石灰の最大粒径(例えば、500μm超)があまりに大きいと配管部分の磨耗が激しくなり、好ましくない。一方、微粉生石灰の最大粒径の下限は、特に制限されないが、細かすぎないことにより、粉砕コストに加え吹き付けガスから微粉生石灰が離脱することにより生じうる飛散ロスを低減することができる。そのため、微粉生石灰の最大粒径が1μm以上であってもよい。なお、スラグ中での不必要なガスの発生及びエネルギーロスを防ぐために、酸素ガスに随伴させるCaO源として微粉生石灰(CaOを主成分(例えば、90質量%以上)とする生石灰)を使用している。
また、底吹きに使用する石灰石粉の平均粒径は、32μm〜75μmであることが好ましい。この石灰石粉は、CaO源としても作用するが、主に攪拌のために使用される。
さらに、塩基度の微調整のために、鉱物由来の塊状CaO源(例えば、一次CaO源)をホッパー8から供給してもよいが、塩基度の微調整を行う必要がなければ、リサイクルスラグのリサイクル率を高め、かつ、CaO源の利用効率を高めるために、塊状CaO源をできる限り使用しないことが望ましい。具体的には、平均粒径5mm以上の塊状CaO源の量を、溶銑1t当り、7.5kg以下に制限することが好ましく、7.0kg以下または5.0kg以下に制限することがより好ましく、1kg以下に制限することがさらに好ましく、0kgに制限することが最も好ましい。なお、この塊状CaO源を脱リン炉内に供給する場合、塊状CaO源添加工程は、リサイクルスラグ添加工程と同時に開始してもよい。
また、スラグの塩基度制御とフォーミング抑制とを考慮した場合、微粉生石灰(塊状生石灰を添加しない場合)、または、微粉生石灰と塊状CaO源との合計を、溶銑中の1kgのSi当り、3.2kg以下に制限することが好ましい。
さらに、上記のリサイクルスラグ添加工程の開始時に溶銑中の珪素濃度が0.6質量%未満である場合には、二次精錬スラグのみ、または、脱炭スラグ及び二次精錬スラグの両方を使用することが好ましく、脱炭スラグ及び二次精錬スラグの両方を溶銑に供給することがより好ましい。
一方、上記のリサイクルスラグ添加工程の開始時に溶銑中の珪素濃度が0.6質量%以上である場合には、脱炭スラグのみを溶銑に供給することが好ましい。
このようなリサイクルスラグの使い分けにより、スラグのフォーミングをできる限り抑制しながら、効率よくかつバランス良くリサイクルスラグを活用することができる。
ここで、本実施形態が適用される脱リン炉内の溶銑中の初期珪素濃度(酸素ガス吹き付け前)は、特に制限されないが、例えば、0.3質量%以上であってもよく、0.4質量%以上または0.5質量%以上であってもよい。
本実施形態では、上述のように、リサイクルスラグを再利用して製鋼全体におけるスラグ排出量を低減できるだけでなく、スラグフォーミングを抑制しながら脱珪と脱リンとを同時に行うこともできる。さらに、本実施形態では、変形例として、後述のように、Mnを含む鋼材を製造する場合にリサイクルスラグとしてMnOを含むスラグを使用することにより、Mn量の調整に必要なコストを抑制することができる。なお、後述の変形例(第1の変形例及び第2の変形例)では、一部の構成が上記実施形態と同様であるので、そのような構成については説明を省略する。
Mnを含む鋼材として、高張力鋼板(ハイテン鋼)に代表される鋼材の需要が増加傾向にある。このような鋼材は、製品規格として鋼材中に含まれるMn量が規定されているが、鋼中のMn量を調整する際に、主原料である溶銑中に含まれるMnだけではMn量が不足する。そのため、脱炭吹錬(脱炭炉)において鋼中にMn鉱石を添加する一次調整や、脱炭吹錬の終了時(脱炭炉から鋼鍋へ出鋼する際)から二次精錬の終了時までの間にMn合金を添加する最終調整を行っている。
なお、特許文献3に開示されているように、溶銑予備処理においてMn鉱石を溶銑に添加することも行われている。この場合、Mnを含む製品規格の鋼材を製造する際に、Mn鉱石やMn合金が大量に必要となり、コストが増加する。一方、脱珪・脱リン処理において、Mn鉱石の代わりにMnOを含むスラグを使用すると、コスト削減に有効である。
図2は、本実施形態を製鋼に適用する場合の基本的な工程例の説明図である。図2に示されるように、脱リン炉において溶銑の脱珪・脱りん処理(本実施形態に相当)を行い、次に脱炭炉において脱炭吹錬を行い、更に二次精錬を行い、溶銑から溶鋼を調製したうえでこの溶鋼を連続鋳造して鋼が製造される。Mnを含む鋼材を製造する場合には、これらの工程から排出されるスラグのうち二次精錬や連続鋳造で排出されるスラグ(すなわち、二次精錬スラグ)においてMnOの量が最も多くなりやすい。そのため、溶銑の脱珪・脱りん処理では、Mnを含む二次精錬スラグを返送して脱リン炉内の溶銑に添加することが好ましい(第1の変形例)。また、特に脱炭炉にMn鉱石を添加する場合には、二次精錬スラグの他にMnを含む脱炭スラグも返送して脱リン炉内の溶銑に添加することが好ましい(第2の変形例)。
このように、本実施形態の第1の変形例では、二次精錬スラグ(取鍋スラグ、タンディッシュスラグの少なくとも一つ)を返送して脱リン炉1内に投入している。Mnを含む鋼材を製造する場合、二次精錬スラグ中にMnが含まれる。しかしながら、上述のように、二次精錬スラグ中には多量のAlが含まれているため、二次精錬スラグを脱リン炉内に投入すると、スラグフォーミングを著しく助長させ、炉からスラグや溶銑が溢れるいわゆるスロッピング現象を生じさせる。このように、操業困難に陥るおそれがあるため、これまでは二次精錬スラグを脱リン炉内に投入することは実用化されてこなかった。
上述のように、本実施形態の第1の変形例では、二次精錬スラグを溶銑に添加するとともに、微粉生石灰を上吹き酸素ガスに随伴させて溶銑表面に吹き付けている。これにより、溶銑表面のホットスポット(火点)において2CaO・SiOが速やかに生成し、スラグの液相率が低下する。このため、スラグの流動性が低下してスロッピング現象が生じにくくなるので、脱珪・脱リン処理において二次精錬スラグを添加することができる。同時に、スラグ液相率の低下によりMnOがスラグ液相中に濃化するため、溶銑中のMnに対するスラグ中のMnOの分配比(すなわち、(%MnO)/[%Mn])を低下させながら二次精錬スラグ中のMnを溶銑中に移行させて溶銑中のMn濃度を向上させたり、酸化により溶銑中のMnが二次精錬スラグ中に移行することを抑制したりすることができる。なお、二次精錬スラグは、CaO量のばらつきが大きいため、脱りん剤の代替品としての効果は生石灰に比べると小さい場合がある。
二次精錬スラグの溶銑への添加量は、0.1〜16kg/tとすることが好ましい。二次精錬スラグの添加量が少なすぎると、溶銑中のMn濃度を従来に比べて向上させる効果が十分得られにくい。逆に、二次精錬スラグの添加量が多すぎると、脱珪・脱リン処理におけるスラグ量が増加してスロッピング現象を生じやすくなる。この場合、スロッピング現象を抑制するために多量の微粉生石灰が必要になる。
上記した第1の変形例では、二次精錬スラグのみを脱リン炉に投入しているが、第2の変形例では、二次精錬スラグのほか、後述の図4に示すような脱珪・脱りん処理後の溶銑を脱炭吹錬する工程で生成した脱炭スラグも脱リン炉に投入する。この脱炭スラグ中にもMnOが含まれているため、第1の変形例と同様にスラグ中のMnを溶銑中に移行させて溶銑中のMn濃度を向上させたり、酸化により溶銑中のMnが二次精錬スラグ中に移行することを抑制したりすることができる。脱炭スラグをリサイクルスラグとして使用する点を除くその他の構成は、第1の変形例と同様であるので、説明を省略する。
ここで、以下に、上記変形例(第1の変形例及び第2の変形例)において二次精錬スラグを脱リン炉に投入すると効率的である理由を図2に示すフローチャートの流れに従って説明する。図1は、脱リン炉における脱珪・脱りん処理を示す図であり、図4は、脱炭炉における脱炭吹錬を示す図である。
脱リン炉1の上方に設けられたホッパー8から二次精錬スラグを少なくとも含む塊状の副原料が溶銑Pに添加される。この他、脱リン炉1の底部に設けられた底吹き羽口3から、燃料ガス、酸素ガス、不活性ガスなどのガスとともに必要に応じて底吹きフラックス(例えば、上記の石灰石粉)が吹き込まれて溶銑Pが攪拌される。その後、上吹きランス2から酸素ガスを溶銑Pの表面上に吹き付け、CaO源を脱珪脱りん剤として作用させることにより脱珪と脱りんとが同時に行われる。この脱リン炉1内では、溶銑中のSi及びPがスラグ中に移行して、溶銑中のSi濃度及びP濃度が減少する。
さらに、このMn濃度を従来よりも向上させた溶銑は図4に示す脱炭炉10へ移送され、脱炭吹錬が行われる。この脱炭炉10の上方にはホッパー15が設けられており、このホッパー15から塊状の副原料(例えば、生石灰やMn鉱石)が溶銑PLDに添加される。上記変形例では、この副原料として溶銑PLD中のMn濃度を製品規格範囲内にまで高めるために必要な量のMn鉱石が使用される。しかし、脱炭炉10内の初期の溶銑PLD中のMn濃度が従来よりも高められているため、Mn鉱石の必要量が従来と比べて大幅に低下する。したがって、脱炭吹錬や二次精錬で使用される高価なMn鉱石やMn合金の量を従来よりも減少させることによって、コストを削減することが可能となる。副原料を溶銑PLDに添加した後、この脱炭炉10では、脱炭炉10の底部に設けられた底吹き羽口14から、溶銑PLD中に底吹きガスタンク13中のガスが吹き込まれる。その後、上吹きランス11から酸素ガスタンク12中の酸素ガスを溶銑PLD上に吹き付けることにより、脱炭吹錬が行われる。
この脱炭吹錬により製造された溶鋼を二次精錬工程に移送し、二次精錬において溶鋼中の化学成分が調整される。この二次精錬後の溶鋼が連続鋳造機に移送され、溶鋼からスラブ等の鋼が製造される。図2では、同一ラインのリサイクルスラグが脱リン炉内に添加されているが、上記実施形態及びその変形例を適用する脱リン炉と異なるラインのリサイクルスラグを脱リン炉内に添加することもできる。
なお、二次精錬スラグを本実施形態のように脱リン炉1に投入する代わりに脱炭炉10に投入することも考えられるが、脱炭炉では、脱リン炉に比較して溶銑のC濃度が低く、かつ酸化雰囲気が高いため、MnOからMnへの還元反応が進行しにくく、Mn歩留まりが悪くなる。また、リサイクルスラグ中のMnをリサイクルするためには、リサイクルスラグ中にMn(すなわち、MnO)が含まれることが必要である。すなわち、Mnのリサイクルには、リサイクルスラグのMnO濃度が、0%超であることが必要であり、6.0%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。このリサイクルスラグ中のMnO濃度の上限は、特に制限されないが、例えば、スラグ中のCaO量を考慮して、25%であってもよい。
上記実施形態及びその変形例では、炉の上方から溶銑の表面に向けて酸素ガスを吹き付ける酸素ガス吹き付け工程と、溶銑の表面に向けて、脱炭スラグ、二次精錬スラグの少なくとも一方をリサイクルスラグとして供給するリサイクルスラグ添加工程と、溶銑の表面に吹き付ける酸素ガスに、最大粒径が500μm以下の微粉生石灰を随伴させる微粉生石灰添加工程とを備えており、これらの工程のうち微粉生石灰添加工程は、溶銑中の珪素濃度が0質量%以上かつ0.15質量%以下まで低下した開始時間から開始されている。そのため、上記実施形態及びその変形例では、製鋼全体におけるスラグの総排出量を低減しながら、脱珪と脱リンとを同時に効率良く行うことができる。
また、上記変形例では、Mnを含むリサイクルスラグが使用されているため、Mnを含む製品規格の鋼材を製造する場合にも、Mn鉱石やMn合金の使用量を従来よりも低減させ、コストアップを抑制することができる。
従来、溶銑の珪素濃度が0.3%を超える場合、図5に示すように、脱リン・脱珪処理、脱炭吹錬、二次精錬で発生する総スラグ量は、処理溶銑1tあたり概ね100kg/tを超えていた。しかし、上記実施形態及びその変形例を適用することにより、溶銑の珪素濃度が0.5%であっても、100kg/tを下回る量に総スラグ量を抑制することができた。ここで、図5に示すスラグ排出量は、脱珪・脱リン処理で発生するスラグ(脱リンスラグ)と、脱炭スラグおよび二次精錬スラグのうち、脱珪・脱リン工程にリサイクルされないスラグとの和である。また、図5中の凡例の数字は、左から順にそれぞれ、上記(式6)のξ1、ξ、ξを示す。
更に、本実施形態及びその変形例により発生する脱リンスラグは、フリーライムを殆ど含まないため、従来のように蒸気エージングや数ヶ月の長期に渡る大気エージング処理を行わなくてもJIS A5015 に定められた測定方法による水浸膨張率が0.5%以下と極めて小さい。その他、脱リンスラグを、微粉砕した後、水:スラグ=5:1の条件で純水中に浸漬した場合でも、従来のフリーライム濃度が高い脱リンスラグではpHが12.5程度になるが、本実施形態及びその変形例により発生する脱リンスラグではpHが11程度に低下し、脱リンスラグを土木用材料として安全に使用可能である。
下記の実施例1〜14、比較例1〜3の全てにおいて、次のような処理を行った。転炉形式の炉に所定量の溶銑とスクラップとを装入した。次に、炉底から窒素ガスと炭酸カルシウム粉体(石灰石粉)とを底吹きしながら、炉上のホッパーより副原料(表1中の初期上方添加フラックス)を添加しつつ、メインランスから酸素ガスを上吹きして脱リン処理を行った。脱珪によるスラグの塩基度の低下をCaO源の添加により相殺して脱リン処理中のスラグの塩基度を調整した。なお、表1に示す化学組成(スラグ組成)の脱炭スラグ及び二次精錬スラグが使用された。
実施例1〜14においては、上方から添加するCaO源として、二次精錬スラグ、脱炭スラグ等のリサイクルスラグを炉内に供給し、微粉生石灰を上吹き酸素ガスとともに火点に供給した。
なお、炉底から溶銑中に吹き込まれた炭酸カルシウムは、(式7)の反応によりCOガスを生成し、攪拌に寄与する(は、溶銑中のCである)。
CaCO=CaO+2CO (式7)
表2〜4に示した実施例1〜9では、リサイクルスラグとして、二次精錬スラグ、脱炭スラグの少なくとも一方を使用し、脱リン処理前後の溶銑中のC量[%C]、Si量[%Si]及びP量[%P]が測定された。これらの実施例では、珪素濃度をほぼ0%まで低下させ、リン濃度を約0.1%から0.035%以下まで十分に低下させることができた。
ここで、実施例4(溶銑中のSi濃度が約0.15%)では、微粉生石灰の供給開始時間を適切に制御することにより、リサイクルスラグや微粉生石灰の使用量が同レベルである比較例2に比べて溶銑中からより多くのリンをスラグ中に除去することができた。同様に、実施例1〜3では、微粉生石灰の供給開始時間(溶銑中のSi濃度が約0.08%)をより適切に制御することにより、リサイクルスラグや微粉生石灰の使用量が同レベルである実施例4〜6に比べて溶銑中からより多くのリンをスラグ中に除去することができた。
さらに、リサイクルスラグの添加を開始する際の溶銑(初期の溶銑)中の珪素濃度が0.6%以上である場合に、実施例3では、脱炭スラグのみを使用したため、二次精錬スラグ及び脱炭スラグの両方を使用した実施例7に比べて溶銑中からより多くのリンをスラグ中に除去することができた。
加えて、実施例1〜3では、塊生石灰の量を低減することにより、実施例8に比べて同レベルの目標塩基度でより多くのリサイクルスラグを有効活用することができた。
また、実施例1〜3では、より十分な攪拌力が溶銑に与えられているため、より高いSi量を含有する溶銑に対して好適に適用することができるだけでなく、実施例9に比べて溶銑中からより多くのリンをスラグ中に除去することもできた。
一方、比較例1では、微粉生石灰を使用せず、従来のように、平均粒径20mm程度の塊状の生石灰を脱炭スラグと二次精錬スラグとともに用いたが、スロッピングが激しかった。そのため、スラグの沈静をはかるために、5分間の脱リン処理の中断を余儀なくされ、生産性が著しく低下した。また、炉外にスラグが溢れたため、鉄分ロスが増えた。さらに、脱リン処理を中断すると、すなわち酸素ガスの供給を停止すると、その間、溶銑中の炭素によってスラグ中のFeOが還元されるので、炉内の酸化力が低下し、脱リン能(脱リン量)が低下した。この脱リン能の低下を補うために酸素量を増やすと必要以上に脱炭反応が進行して溶銑の融点が高まるため、炉内に付着する地金が増えたり、炉から取鍋に出湯後において取鍋へ地金が付着しやすくなったりする。
また、比較例2では、比較的高価な微粉生石灰の供給開始が脱リンと脱珪とが競合するタイミングであったため、高効率脱リンに微粉生石灰を十分活用することができなかった。
Figure 0005170348
Figure 0005170348
Figure 0005170348
表5〜7に示すように、実施例10〜14及び比較例3では、上記の[%C]、[%Si]及び[%P]に加え、脱リン処理前後の溶銑中のMn量[%Mn]が測定され、脱リン処理後のMn量[%Mn]から脱炭炉へのMn鉱石の必要投入量(脱炭炉内の溶銑中Mn基準、表7中の脱炭炉Mn鉱石)を算出した。一般に、脱炭炉へのMn鉱石の投入量は、Mn鉱石の還元率の経験値(即ち、Mn鉱石による[%Mn]の上昇量)と、最終目標[%Mn]と、脱炭炉処理前(即ち、脱リン処理後)の[%Mn]とから決定される。なお、これら実施例10〜14及び比較例3では、リサイクルスラグとして、二次精錬スラグ、脱炭スラグの少なくとも一方を使用した。
実施例10〜14では、珪素濃度をほぼ0%まで低下させ、リン濃度を約0.1%から0.015%以下まで十分に低下させることができた。
ここで、MnOの濃度が十分に高い二次精錬スラグ(取鍋スラグ)を脱リン炉内に添加した実施例11〜14では、二次精錬スラグを使用しない実施例10に比べて、脱リン処理後のMn濃度が高くなり、脱炭炉におけるMn鉱石の必要投入量が減少した。なお、実施例13では、二次精錬スラグに加え、脱炭スラグも投入した。
比較例3では、脱リン炉に二次精錬スラグ(取鍋スラグ)を投入したが微粉生石灰を供給しなかった。そのため、比較例3では、火点における高効率脱リンを利用できず、実施例10〜14に比べて溶銑中からスラグ中に除去されるP量が低下した。また、この場合には、スロッピングを防止するために二次精錬スラグの投入量を僅かな量に制限しなければならず、二次精錬スラグ中のMnを再利用する効果が十分に得られなかった。
なお、表3及び表6中の目標塩基度は、脱リン炉内に添加した全副原料(例えば、CaCO、微粉生石灰、塊生石灰、脱炭スラグ、二次精錬スラグ、鉄鉱石)中のCaO量及びSiO量と、溶銑中のSi量とから計算される(CaO)/(SiO)である。すなわち、目標塩基度は、副原料中の全CaO量(すなわち、CaO換算量)を、副原料中の全SiO量と溶銑中のSiの酸化により生じるSiOの全量との合計量(すなわち、SiO換算量)で除した値である。また、表4及び表7中の処理時間は、脱リン炉内に上吹き酸素ガスの供給を継続した供給時間であり、上吹き酸素ガスの供給を停止した中断時間を含まない。
Figure 0005170348
Figure 0005170348
Figure 0005170348
以上に説明したように、二次精錬スラグや脱炭スラグ中に含まれるMnをリサイクルし、脱珪・脱リン処理後の溶銑中のMn濃度を従来よりも高めることができるので、Mnを含む製品規格の鋼材を製造する場合にも、高価なMn鉱石やMn合金の使用量を減少させることができる。
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は、前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
溶鋼段階で発生するリサイクルスラグを使用して溶鋼段階におけるスラグ総排出量を低減しながら、スラグフォーミングを抑制することにより、炉内容積を増大させることなく効果的にスロッピングを防止することができる溶銑の脱珪・脱リン方法を提供することができる。
1 脱リン炉(溶銑脱リン炉)
2 上吹きランス
3 底吹き羽口
4 酸素ガスタンク
5 窒素ガスタンク
6 下方ブロータンク(底吹き粉体ブロータンク)
7 上方ブロータンク(微粉生石灰ブロータンク)
8 ホッパー(上方ホッパー)
10 脱炭炉
11 上吹きランス
12 酸素ガスタンク
13 底吹きガスタンク
14 底吹き羽口
15 ホッパー
P 溶銑
S スラグ
LD 溶銑
LD スラグ

Claims (8)

  1. 炉の上方から溶銑の表面に向けて酸素ガスを吹き付ける酸素ガス吹き付け工程と;
    前記溶銑の表面に向けて、脱炭スラグ、二次精錬スラグの少なくとも一方をリサイクルスラグとして供給するリサイクルスラグ添加工程と;
    前記溶銑の表面に吹き付ける前記酸素ガスに、最大粒径が500μm以下の微粉生石灰を随伴させて、前記微粉生石灰を前記溶銑上の火点に供給する微粉生石灰添加工程と;
    を備え、
    前記微粉生石灰添加工程は、前記溶銑中の珪素濃度が0質量%以上かつ0.15質量%以下まで低下した開始時間から開始され
    更に、前記溶銑中にガスを吹き込み、下記式1で定義される1.2〜10kW/tの攪拌力εで前記溶銑を攪拌する攪拌工程を備えることを特徴とする溶銑の脱珪・脱リン方法。
    Figure 0005170348
    ここで、
    ε:溶銑に対して付与される底吹き攪拌力(W/t)
    :底吹きガスの量(固体(石灰石粉等)の分解ガスを含む)(NL/min)
    T:底吹き開始時の溶銑温度(K)
    :吹き込み前の底吹きガスの温度(K)
    :吹き込み深さ(溶銑液面から底吹き羽口先端までの距離)(m)
    :溶銑の重量(装入スクラップを含む)(t)
  2. 前記開始時間での前記溶銑中の珪素濃度が0質量%以上かつ0.08質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の溶銑の脱珪・脱リン方法。
  3. 前記リサイクルスラグ添加工程では、
    前記リサイクルスラグ添加工程の開始時に前記溶銑中の珪素濃度が0.6質量%未満である場合に、前記二次精錬スラグのみ、または、前記脱炭スラグ及び前記二次精錬スラグの両方が前記溶銑に供給され、
    前記リサイクルスラグ添加工程の開始時に前記溶銑中の珪素濃度が0.6質量%以上である場合に、前記脱炭スラグのみが前記溶銑に供給される
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶銑の脱珪・脱リン方法。
  4. 前記リサイクルスラグ添加工程では、前記溶銑の表面に向けて前記二次精錬スラグを供給する場合、前記二次精錬スラグの量が、前記溶銑1t当り0.1〜16kgであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の溶銑の脱珪・脱リン方法。
  5. 前記溶銑の表面に向けて、固体酸素源を供給する固体酸素源添加工程をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の溶銑の脱珪・脱リン方法。
  6. 前記溶銑の表面に向けて、平均粒径5mm以上の鉱石由来の塊状CaO源を供給する塊状CaO源添加工程をさらに備え、この塊状CaO源添加工程では、前記塊状CaO源の量が前記溶銑1t当り7.5kg以下に制限されることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の溶銑の脱珪・脱リン方法。
  7. 前記リサイクルスラグ中のMnOの合計量が0質量%超かつ25質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の溶銑の脱珪・脱リン方法。
  8. 前記攪拌工程では、前記溶銑中に吹き込まれる前記ガスに、石灰石粉を随伴させて供給することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の溶銑の脱珪・脱リン方法。
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