本発明は、非接触で各種携帯用電子機器に充電可能な非接触充電装置及び非接触充電システム並びに非接触充電方法に係わり、特に電磁誘導により複数の各種携帯用電子機器に内蔵した二次電池を充電する非接触充電装置及び非接触充電システム並びに非接触充電方法に関するものである。
近年、電気シェーバや電動歯ブラシ等の水周りで使用する携帯用電子機器として、本体及びそれを保持する専用の保持体(クレードル)に、保持状態にあるときに保持体から本体の携帯用電子機器への送電を非接触で行なう非接触送電機能を備えて構成される非接触充電装置が提案されている。このような非接触給電装置は、保持体側に非接触送電装置を備え、本体の携帯用電子装置側に非接触受電装置を備えることで非接触充電を実現するものである。
この様な非接触送電装置及び非接触受電装置の構成としては、一次コイルを非接触送電装置側に、二次コイルを非接触受電装置側に備えて構成することが一般的であり、非接触送電装置内において商用電源からの電圧を高周波インバータ回路により高周波交流電圧に変換して一次コイルに加えることで、この一次コイルに60〜600kHzの高周波の交流磁束を発生させ、非接触受電装置内の二次コイルにて該交流磁束により誘起された交流電圧を二次整流平滑回路で直流に変換した後に充電手段である二次電池に給電するものようになしたものが特許文献1に記載されている。
上記特許文献1に開示された非接触充電装置の回路と機器構成とを図8(A)及び図8(B)に示す。図8(A)は非接触充電装置の構成を示す斜視図を、図8(B)は回路図を示すもので、電力を送電するための非接触送電部40と、電力を受電するための非接触受電部50とを備え、非接触送電部40から非接触受電部50へ電磁誘導作用を利用して非接触に電力を伝送するものである。非接触送電部40および非接触受電部50の各々は、図示しない樹脂ケース内に収納されている。したがって、電気的接触部(接栓)が外部に露出していない。
非接触送電部40は、1次側フェライトコア41と1次側FPC(Flexible Printed Circuit)基板42とを備え、1次側FPC基板42の下面には直方体形状をした軟磁性の1次側フェライトコア41が配されている。1次側FPC基板42上には、一対の平面渦巻型コイル43,44が配設され、この一対の平面渦巻型コイル43,44は互いに発生する磁束の方向が逆となるように巻回され直列に接続されると共に共振用コンデンサ45が搭載される。1次側FPC基板42上にはこれら一対の平面渦巻型コイル(以下、渦巻コイルと記す)43,44と共振用コンデンサ45とを図8(B)に示す様にスイッチング電源から構成される周波数変換回路46の出力に対し並列接続するための配線が形成されている。渦巻コイル43,44のインダクタンスと共振用コンデンサ45のキャパシタンスとによって規定される共振周波数は100Hz〜300Hzの範囲に設定されている。
非接触受電部50は、2次側フェライトコア51と2次側FPC基板52とを備え、2次側FPC基板52は直方体形状で軟磁性の2次側フェライトコア51の下面に配設されている。2次側FPC基板52の下には、一対の平面渦巻型コイル53,54と共振用コンデンサ55と整流用ダイオード56と平滑用コンデンサ57とが図8(B)に示す様に接続され、2次側FPC基板52上にはこれら一対の渦巻型コイル53,54と共振用コンデンサ45と整流用ダイオード56と平滑用コンデンサ57を接続するための配線が形成されている。
渦巻コイル53,54は、それぞれ渦巻コイル43,44と対向するように配置され、渦巻コイル43,44で発生された磁束の変化により発生する電流の向きが同一方向となるように巻回され、直列に接続されている。この直列接続された渦巻コイル53,54は共振用コンデンサ55と並列に接続されている。渦巻コイル53,54のインダクタンスと共振用コンデンサ55のキャパシタンスとによって規定される共振周波数は、送電部40における渦巻コイル43,44のインダクタンスと共振用コンデンサ45のキャパシタンスとによって規定される共振周波数と同一に設定される。
整流用ダイオード56と平滑用コンデンサ57とは直列に接続され平滑用コンデンサ57は共振用コンデンサ58に並列に接続されている。平滑用コンデンサ57の両端の出力端子T1、T2は、電圧調整器58を介して二次電池59に接続し、二次電池59を非接触で充電している。
この様な構成の非接触充電装置では、渦巻コイル43,44で発生された磁束は、ある瞬間では、例えば、渦巻コイル43→1次側フェライトコア41→渦巻コイル44→渦巻コイル54→2次側フェライトコア51→渦巻コイル53→渦巻コイル43というような順序の経路から成る閉磁路を通るので、磁束が外部に漏洩するのを防止する。従って、2次側フェライトコア51に近接して共振コンデンサ55等の電子部品を配置したとしても、この電子部品が漏洩磁束によって影響を受けず、例えば、0〜5mmの範囲に異物金属を配置しても誘導加熱はされない旨が開示されている。
上述の特許分献1に開示の記述での非接触充電装置は、あくまでも一対一の非接触送電装置及び非接触受電装置を有する電子機器であり、複数の電子機器を充電することを想定していなかった。
これに対し、特許文献2には複数の携帯用電子機器を充電する手法として、非接触送電部に複数の携帯用電電話機を載置して、同時に複数の携帯用電話機を充電するようにした非接触充電装置が開示されている。これにより、従来では携帯用電話機ごとに電力伝送用のACアダプタやクレードルが必要であったが、特許文献2によれば、一つですむようになり、旅行に行く場合でも電力伝送用ACアダプタを複数持ち歩く必要はなくなる旨の開示がある。
図9(A)及び図9(B)は特許文献2に開示された非接触充電装置のブロック図及び非接触送電装置に載置した複数の携帯用電話機の充電方法を説明ための斜視図である。
図9(A)及び図9(B)は特許文献2に開示された非接触充電装置を示すもので図9(A)及び図(B)において、60は非接触送電部で、略長方形状の筐体61内に平面渦巻型の一次コイル62を有する。図示しないが、商用電源コンセント等にプラグを介して接続可能で、一次コイル62に供給した電圧に基づいて生じた磁束が図9(A)の矢印Aに示す様に携帯用電子機器を構成する携帯電話機70A内の二次コイル71に電磁誘導によって起電力を誘発する。携帯用電話機70Aの非接触受電部72の二次コイル71で誘導された電圧は整流回路73を介して整流され、平滑回路74で平滑化し、レギュレータ75と充電制御回路76を経由して携帯電話機70A内の二次電池33を充電する。77は制御手段で二次電池33とレギュレータ75から二次電池電圧及びレギュレータ電圧が供給されている。
図9(B)は非接触送電部60の筐体61上に複数の携帯用電話機70A、70B、70Cを着脱自在に載置或いは保持し、複数の携帯電話機70A、70B、70Cを同時に充電可能にする状態を示すものである。
然し、上述の特許文献2に開示の技術では電子機器としての携帯用電話機内に非接続受電部72及び二次コイル71を内蔵しなければならず、小型化の進んだ携帯用電話機70A、70B,70C内に、この様な非接触受電部72や二次コイル71を内蔵させることは難しく、又、従来から広く利用されている接触充電端子を持っている携帯用電話機では、非接触充電装置や非接触充電システムのように同時に複数の携帯用電話機を充電することが出来ない問題があった。
特開平11−98706号公報
PCT公表WO2004/03887A1号公報
特開2001−118040号公報
特開2001−148607号公報
本発明は上述の課題を解決するために成されたもので、本発明が解決しようとする課題は従来から広く使用されている接触充電端子のみを持っている携帯用電子機器であっても、接触充電端子に小型の受電モジュールを接続することにより、非接触受電用の二次コイルを持たない携帯用電子機器であっても、非接触受電用の二次コイルを持つ携帯用電子機器と同等の利点を持たせることが可能な非接触充電装置及び非接触充電システム並びに非接触充電方法を提供することを目的とする。
本発明の非接触充電装置は、少なくともインバータ回路に接続された一次コイルを保持する非接触送電手段と、前記一次コイルと磁気結合する、前記非接触送電手段に着脱自在に保持された二次コイルに接続された充電手段をモジュール化した非接触受電手段と、を具備し、前記非接触送電手段及び前記非接触受電手段共に情報伝送回路を有し、且つ、前記非接触受電手段は或る携帯用電子機器専用とし、機器認証用の各種データを内蔵し、前記情報伝送回路は、前記機器認証用の各種データに基づいて機器認証を行い、また、前記情報伝送回路は、前記一次コイルと前記二次コイルの間の磁気結合係数を取得し、機器認証された場合に、前記非接触送電手段から前記非接触受電手段に送電し、前記非接触受電手段の前記充電手段を介して、携帯用電子機器内の二次電池を充電し、磁気結合係数の変化が大きい場合に金属異物が検出されたとして、警報を発するか又は非接触送電手段による送電を遮断する。
本発明の非接触充電システムは、少なくともインバータ回路に接続された一次コイルを保持する筐体から成る非接触送電システムと、前記非接触送電システムの前記筐体に着脱自在に保持された一次コイルと磁気結合する少なくとも二次コイルに接続された充電手段とがモジュール化され、各種携帯用電子機器と接続される非接触受電筐体より成る非接触受電システムと、を有し、前記非接触送電手段及び前記非接触受電手段共に情報伝送回路を有し、且つ、前記非接触受電手段は、或る携帯用電子機器専用とし、機器認証用の各種データを内蔵し、前記情報伝送回路は、前記機器認証用の各種データに基づいて機器認証を行い、また、前記情報伝送回路は、前記一次コイルと前記二次コイルの間の磁気結合係数を取得し、機器認証された場合に、前記非接触送電手段から前記非接触受電手段に送電し、前記非接触受電システムの前記非接触受電筐体内の前記充電手段を介して、前記各種携帯用電子機器内の二次電池を充電し、磁気結合係数の変化が大きい場合に金属異物が検出されたとして、警報を発するか又は非接触送電手段による送電を遮断する。
本発明の非接触充電方法は、少なくともインバータ回路に接続された一次コイルを保持する非接触送電手段を駆動するステップと、前記非接触送電手段の一次コイルと磁気結合する少なくとも二次コイルに接続された充電手段とをモジュール化した非接触受電手段を各種携帯用電子機器に接続するステップと、前記非接触送電手段及び前記非接触受電手段共に情報伝送回路を有し、且つ、前記非接触受電手段は或る携帯用電子機器専用とし、機器認証用の各種データを内蔵し、前記情報伝送回路が、前記機器認証用の各種データに基づいて機器認証を行うステップと、前記情報伝送回路が、前記非接触送電手段から前記一次コイルと前記二次コイルの間の磁気結合係数を取得するステップと、機器認証された場合に、前記非接触送電手段から前記非接触受電手段に送電し、前記非接触受電手段の前記充電手段を介して、携帯用電子機器内の二次電池を充電し、磁気結合係数の変化が大きい場合に金属異物が検出されたとして、警報を発するか又は非接触送電手段による送電を遮断するステップとを含む。
本発明の非接触充電装置及び非接触充電システム並びに非接触充電方法によると、従来の接触型のACアダプタから充電する携帯用電子機器に非接触給電モジュールが取り付けられた、複数の携帯用電子機器を一つの非接触送電装置を用いて同時に充電することが可能である。更に、これに情報伝送回路を内蔵することにより、情報伝送、送電側の異物検知、充電の最適化が容易となる効果を生ずる。
本発明の非接触充電装置(非接触送電装置及び非接触受電モジュール)の1形態例を示す斜視図である。
本発明の非接触充電装置(非接触送電装置及び非接触受電モジュール)の図1のA−A及びB−B断面矢視図である。
本発明の非接触充電システム及び非接触充電方法の1形態例を示すブロック図である。
本発明の非接触充電装置の非接触受電モジュールの他の形態例を示す図1のB−B断面矢視図である。
本発明の非接触充電装置の非接触受電モジュールと電子機器としてのデジタルカメラの接続状態を説明するための斜視図である。
本発明の非接触充電装置の非接触充電モジュールと複数の電子機器としてのデジタルカメラ及び携帯用電話機への充電状態を説明するための平面図である。
本発明の非接触充電システムの1形態例を示すノート型コンピュータに接続された非接触送電装置に載置した非接触充電モジュールと携帯用端末装置の充電及び情報データ伝達方法を説明するための斜視図である。
従来の非接触充電装置の1形態例の構成を示す斜視図及び回路図である。
従来の非接触充電装置の他の形態例を示すブロック図と非接触充電装置の使用方法を示す斜視図である。
以下、本発明の1形態例を図1乃至図7によって説明する。図1は本発明の非接触充電装置に用いる非接触送電装置及び非接触受電モジュールの1形態例を示す斜視図、図2は本発明における非接触充電装置に用いる非接触送電装置及び非接触受電モジュールの図1のA−A及びB−B断面矢視図、図3は本発明の非接触充電システムの1形態例を示すブロック図、図4は本発明の非接触充電装置の非接触受電モジュールの他の形態例を示す図1のB−Bの断面矢視図、図5は本発明の非接触充電装置の非接触受電モジュールと電子機器としてのデジタルカメラの接続状態を説明するための斜視図、図6は本発明の非接触充電装置の非接触充電モジュールと複数の電子機器としてのデジタルカメラ及び携帯用電話機への充電状態を説明するための平面図、図7は本発明の非接触充電システムの1形態例を示すノート型コンピュータに接続された非接触送電装置に載置した非接触充電モジュールと携帯用端末装置の充電及び情報データ伝達方法を説明するための斜視図である。
以下、図1及び図2によって本発明の1形態例の非接触充電装置及び非接触充電システム並びに非接触充電方法を詳記する。本発明の非接触充電装置1は図1のように非接触送電装置2と非接触受電モジュール3から成る。非接触送電装置2は略方形状の扁平な合成樹脂等の筐体2A内に平面渦巻状にあるいはスパイラル状に巻回した一次コイル4及びスイッチング用のレギレータ回路6等を搭載したFPC配線基板が配設されている。7は商用電源コンセントに挿入する電源プラグを示す。非接触受電モジュール2側の筐体3Aは略方形状の扁平で小型の合成樹脂等よりなり筐体3A内に配設される最低限の構成は同じく平面渦巻状或いはスパイラル状の二次コイル8と整流回路10を搭載したFPC配線基板並びに携帯用電話機等の電子機器と接続可能な端子11からなる。
図3は図1及び図2で説明した本発明の非接触充電システム並びに非接触充電方法の全体的回路構成を説明するためのブロック図であり、非接触送電装置2は合成樹脂筐体2Aに取り付けた電源プラグ7を商用電源コンセントに挿入することで商用交流電圧は整流平滑回路やスイッチング用のレギュレータ回路6を介して一次コイル4を高周波で駆動する。一次コイル4に誘起された電圧は電磁誘導作用により離間して配された非接触受電モジュール3の筐体3A内の二次コイル8に所定の電圧を誘起させる。二次コイル8で誘起された電圧による高周波電流は整流回路10や充電回路(図示せず)等で整流され、その充電電流は携帯用電子機器を構成する、例えばデジタルカメラやPDA(Personal Digital Assistants)18のカメラ筐体18Aに設けた接触充電用端子(接栓座)19に嵌合する端子(接栓)11を介してデジタルカメラ18内の二次電池33を充電する。
非接触受電モジュール3側の受電用の二次コイル8の構造としては、従来品と同様に鉄芯やフェライト等のある有芯コイル或いは空芯コイルでもよい。そのときは電力伝送効率を落とさないように磁界を一次コイル4や二次コイル8に集めやすくするために、特許文献1にあるように、一次コイル4及び二次コイル8の裏側にフェライト板5や9等の磁性体シートを貼付けると良い。
図4は本発明の非接触充電装置1に用いる非接触受電モジュール3の他の構成を示すもので、図1及び図2に示した非接触受電モジュール3との対応部分には同一符号を付して重複説明を省略するが送受電誘導用の一次コイル4及び二次コイル8の設計や充電する複数の携帯用電子機器18の個数次第では、電力伝送の効率が落ちてそれが熱に変わるが、このような発熱の問題を防ぐために図4の場合は例えば、充電回路13を構成するFPC配線基板の裏にセラミックス板12を張付けてヒートスプレッダとしたものである。セラミック板12の下側にはフェライト板9を介し二次コイル8が筐体3A内に積層配置されている。この様なヒートスプレッタとしては非接触送電装置2又は非接触受電モジュール3の片方もしくは両方のプリント配線基板の素材そのものをセラミックとするか或いは図4の様にFPC配線基板上にセラミック板12を配設することも出来る。この様なヒートスプレッタとしてはアルミナ(Al2O3)、窒化珪素(Si3N4)若しくは窒化アルミ(AlN)等の熱伝導率が高いセラミックスを用いることが出来る。
更に、非接触送電装置2及び非接触受電モジュール3側に、機器認証や情報伝送を行うための何らかの通信回路を設ける様にすることも出来る。即ち、非接触受電モジュール3は或る携帯用電子機器18の専用とし、機器認証用の各種情報データを内蔵し、かつ情報データ伝送回路を設けることにより、非接触受電モジュール3側に接続する携帯用電子機器18の情報データ、例えば、充電用の二次電池33の容量や充電残り時間などの情報データは情報データ伝送回路を介して非接触送電装置2の回路に反映させることにより、伝送効率を最適化することが可能になる。非接触充電モジュール3内での情報伝送手段として、赤外線や可視光のLED通信や別のコイルを設けた通信手法、ブルートゥース(Bluetooth)無線方式や無線LAN、(特許文献3及び特許文献4参照)記載の方式が考えられるがこれに限られるものではない。
又、携帯用電子機器18を構成する例えば、携帯電話機の接触充電用端子19に情報データを伝送する端子も同時に組み込み、非接触送電装置2側は後述するもUSB(Universal serial bass)やIEEE1394等のインターフェースバスを介してコンピュータと接続し、携帯用電子機器とコンピュータ間で画像、文章、音楽などの各種データを相互に転送することも可能である。
上述した図1乃至図4で説明した様な非接触受電モジュール3の端子11は例えば、図5に示す様にデジタルカメラ18のカメラ筐体18Aに内蔵した充電端子19に嵌合され、互いに接続される。これらを非接触充電装置2上に置くことによって、携帯用電子機器としてのデジタルカメラ18の各種情報データが非接触充電モジュール3に送られて、非接触送電装置2側にフィードバックされデジタルカメラ18内の二次電池33への充電が開始される。
上述の様に非接触受電モジュール3に情報データ伝送回路を設けることにより、非接触送電装置2側は受電モジュール3の存在を認識し、一次コイル4及び二次コイル8間の結合係数等の情報がフィードバックされるために、安全で確実な充電が可能になる。非接触送電装置2上に非接触受電モジュール3と硬貨やクリップ等の金属の異物が同時に置かれると、誘導される磁界が金属と非接触受電モジュール3に集中して非接触送電装置2と異物金属等との間の結合係数が大きく変わるために、異物金属が存在することを非接触送電装置2側が認識し、異物としての金属を検知し警報手段を作動させるか、非接触送電装置2からの送電を遮断するように成せばよい。勿論、非接触送電装置2に異物金属のみが載置された場合は、非接触送電装置2と携帯用電子機器18相互の情報データ伝送が行われないため、非接触送電装置2の送電回路を遮断するようにしても良い。
上記したように、非接触受電モジュール3が携帯用電子機器18に取り付けられた場合は、二次コイル8が内蔵された携帯用電子機器18とは違い、非接触送電装置2側からの電磁波が携帯用電子機器18内に入ることは殆ど無く、携帯用電子機器18に電磁波シールド対策用の遮蔽構造を設けなくても良く、携帯用電子機器18が電磁波の悪影響を受けることのないもが得られる。
更に、非接触送電装置2側の一次コイル4を二つ以上、複数設けることによって、非接触受電モジュール3および携帯用電子機器18側が複数であっても、非接触送電装置2へ載置する場所を気にせず、電力伝送効率を落とすこと無く複数の携帯用電子機器18の充電が可能となる。例えば、非接触送電装置2側の複数の一次コイル4の各々のリアクタンスを検出するリアクタンス検出回路を設けることにより、非接触送電装置2上のどこに携帯用電子機器18が載置されたかを検出して、二次コイル8が載置されていない部分の二次コイル8への電力伝送を停止することが可能である。一方、効率は落ちるが非接触送電装置2の一次コイル4を非接触受電モジュール3内の二次コイル8よりも小さくすることにより、使用者が携帯用電子機器18を非接触送電装置2へ載置する位置を気にせずに載置することも出来る。
図6は非接触受電モジュール3の端子11が接触充電端子19に差し込まれた複数の携帯用電子機器としてのデジタルカメラ18Bと携帯用電話機18Cを非接触により充電する状態を表したものである。一例として送電用の一次コイル4A〜4Dを4個使用している。この構造により、2つの携帯用電子機器18(18B,18C)の充電が同時に可能となる。非接触送電装置2及び非接触受電モジュール3には夫々ブルートゥース無線方式が取り付けられ、携帯用電子機器18側の二次電池33の充電状況や非接触受電モジュール3の載置されたおおよその位置を非接触送電装置2側にフィードバックするように成せば、効率よく携帯用電子機器18に電力伝送することが可能となる。図6の構成では、非接触受電モジュール3が載置されていない一次コイル4A、4Bの2カ所の送電を停止させて送電時の電力ロスを減少させることも出来る。
図7は携帯用電子機器18としてPDA18Dに非接触受電モジュール3Cを取り付け、ノート型のコンピュータ20に非接触送電装置2をUSBケーブル21で接続した構成を示す。この非接触送電装置2及び非接触受電モジュール3Dの情報伝送には非接触送電装置2及び非接触受電モジュール3Dの筐体2A、3Aに内蔵されている一次コイル4と二次コイル8とは別の情報データ検出一次コイル4E及び情報データ検出二次コイル8Aを用いている。この構成により、ノート型のコンピュータ20とPDA18D間で画像やスケジュールや文章などの情報を非接触で転送することも、同時にPDA18Dを充電することも可能になる。
図6及び図7の構成では夫々、対象とする携帯用電子機器18にデジタルカメラ18B、携帯電話機18C、PDA18Dを、なお、非接触送電装置2及び非接触受電モジュール3の情報伝送にはブルートゥース無線方式や誘導用の情報データ検出一次コイル4E及び情報データ二次コイル8Aを用いたがこれに限られるものではない。又、非接触送電装置2側の一次コイル4A乃至4Dも複数の携帯用電子機器18が充電されるかどうかで一つの例えば、一次コイル4Aのみを用いてもよいし、複数の一次コイル4A乃至4Dを用いてもよい。
本発明によれば、従来の接触型のACアダプタから充電する携帯用電子機器に非接触給電モジュールを取り付けることによって、非接触給電モジュールの取り付けられた複数の携帯用電子機器を一つの非接触送電装置を用いて、同時に充電することが可能である。更に、これに情報データ伝送回路を内蔵することにより、情報伝送、送電側の異物検知、充電の最適化が容易となる効果を生ずる。尚、用いられる携帯用電子機器として想定されるものは、携帯電話、PDA,デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯用記録/再生装置、携帯テレビ及びノートパソコンが挙げられるが、それに限られるものではない。又、上述の説明では複数の非接触受電モジュールと複数の携帯用電子機器を非接触送電装置に載置した場合を説明したが複数の一次コイルと二次コイルが磁気誘導するように櫛歯状に非接触送電装置に形成した凹部に非接触受電モジュールの端子を挿入並設するようにしても良い。
1・・・非接触充電装置、2・・・非接触送電装置、2A,3A,4A・・・筐体、3・・・非接触受電モジュール、4,4A,4B,4C,4D,4E・・・一次コイル、5,9・・・フェライト板、6・・・レギュレータ回路、8,8A・・・二次コイル、10・・・整流回路、11・・・端子、18・・・携帯用電子機器(デジタルカメラ、携帯用電話機、PDA、デジタルビデオカメラ等)、19・・・接触充電用端子、33・・・二次電池