以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明になる液晶表示装置における画素回路の第1の実施の形態の回路図、図2は、本発明になる液晶表示装置の第1の実施の形態の基本構成図を示す。両図中、同一構成部分には同一符号を付してある。
本実施の形態の液晶表示装置における各画素は、図1に示す画素回路で表される。なお、本明細書において、画素回路は、画素を等価回路で表したものをいい、両者は実質的には同じである。図1に示すように、本実施の形態の一つの画素回路は、ゲ−ト線8−1にゲ−トがそれぞれ接続された画素選択トランジスタQ1及びQ2と、画素選択トランジスタQ1、Q2の各ソ−スに一端がそれぞれ接続され、他端が共通電極線7に共通に接続された保持容量(キャパシタ)C1及びC2と、画素選択トランジスタQ1と保持容量C1との接続点、及び画素選択トランジスタQ2と保持容量C2との接続点に入力端がそれぞれ接続されたバッファアンプA1及びA2と、バッファアンプA1及びA2の各出力端に一端が接続された切り替えスイッチS1及びS2と、切り替えスイッチS1及びS2の各他端の共通接続点と共通電極線7との間に接続された液晶駆動用の保持容量C3と、反射電極(以下、画素駆動電極ともいう)4とで構成されている。画素選択トランジスタQ1及びQ2の各ドレインは、デ−タ線6−1a及び6−1bに別々に接続されている。
また、各画素の液晶素子は、図24に示した周知の構造の液晶素子で、上記の反射電極4に相当する画素駆動電極PEと、上記の画素駆動電極PEに対向する対向電極に相当する共通電極CEとの間に液晶表示体(液晶層)LCMが挟持された構造である。
図2に示す本発明になる液晶表示装置の第1の実施の形態の基本構成は従来と同様である。ただし、本実施の形態では、図2に示すように、水平信号線と、デ−タ線、スイッチはそれぞれ2系統設けられている。すなわち、本実施の形態は、水平方向駆動回路10、垂直方向駆動回路20、共通電極電圧に対して正側の映像信号71aと、負側の映像信号71bとを2系統のビデオスイッチ1−1aと1−1b、1−2aと1−2b、・・・に別々に供給する2系統の水平信号線5a、5bと、画素部30と、2系統のデ−タ線6−1aと6−1b、6−2aと6−2b、・・・、及びゲ−ト線8−1、8−2、・・・などから構成されている。
なお、図1、図2中で、各符号のハイフン後のサフィックス番号は、同一種類の構成要素で異なった位置にあることを示している。また、サフィックス番号に続くアルファベットの小文字aは2系統のうちの1系統目、bは2系統目であることを示す。なお、図2は構成要素全体の一部を示したものである。
画素部30は、2系統のデ−タ線(6−1aと6−1b、・・・)とゲ−ト線(8−1、8−2、・・・)の交差部にマトリクス状に配置された、それぞれ図1の回路構成の画素41、42、51、52等からなる。水平方向駆動回路10は2系統のスイッチ1−1a、1−1bと2系統のデ−タ線6−1a、6−1bを介して第1列目の画素41、51、・・・の画素選択トランジスタQ1、Q2のドレインにそれぞれ接続されている。
同様に、水平方向駆動回路10は、2系統のスイッチ1−2a、1−2bと2系統のデ−タ線6−2a、6−2bを介して第2列目の画素42、52、・・・の画素選択トランジスタQ1、Q2のドレインにそれぞれ接続され、第3列目以降の画素の2つの画素選択トランジスタのドレインにも同様に2系統のスイッチと2系統のデ−タ線を介してそれぞれ接続されている。
垂直方向駆動回路20は、ゲ−ト線8−1を介して画素部30内の第1行目の画素41、42、・・・のそれぞれ2つの画素選択トランジスタQ1及びQ2のゲ−トに共通接続されている。同様に、垂直方向駆動回路20は、各ゲ−ト線を介して画素部30内の同じ行の画素のそれぞれ2つの画素選択トランジスタのゲ−トに共通接続されている。
また、コントロ−ラ60は、入力映像信号71a、71bに同期するように生成した各種クロック信号を水平方向駆動回路10と垂直方向駆動回路20に供給し(経路は図示せず)、入力映像信号71a、71bと同期した形でデ−タ線(6−1a、6−1b、・・・)、ゲ−ト線(8−1、8−2、・・・)をそれぞれ駆動することで、水平と垂直の各走査を伴った画素選択を行う。これにより、本実施の形態では、液晶の交流駆動を高速に行うことが可能になる。
次に、図1に示す第1の実施の形態の画素回路の動作について説明する。デ−タ線6−1aは、液晶の共通電極電圧に対して正側の映像信号71aを供給する。また、これと同時に、デ−タ線6−1bは、共通電極電圧に対して負側の映像信号71bを供給する。画素選択トランジスタQ1及びQ2は、ゲ−ト線8−1を介してゲ−トに印加される電圧により同時にオンになる。これにより、デ−タ線6−1aから供給される正側の映像信号71aが、画素選択トランジスタQ1のドレイン、ソ−スを介して保持容量C1に書き込まれる。一方、これと同時に、デ−タ線6−1bから供給される負側の映像信号71bが、画素選択トランジスタQ2のドレイン、ソ−スを介して保持容量C2に書き込まれる。
続いて、画素選択トランジスタQ1及びQ2は、ゲ−ト線8−1を介してゲ−トに印加される電圧により同時にオフになる。これにより、画素選択トランジスタQ1及びQ2が次にオンとなる次の映像信号71a、71bの書き込みまで、保持容量C1、C2に正側と負側の映像信号71a、71bがそれぞれ保持される。
保持容量C1、C2にそれぞれ保持された正側と負側の映像信号71a、71bは、それぞれ高入力抵抗のインピ−ダンス変換回路であるバッファアンプA1、A2を介して読み出され、切り替えスイッチS1、S2で交互に選択されて、反射電極4(画素駆動電極PE)の電圧を変化させることで液晶を交流駆動する。
この画素構成によれば、1フレ−ムに1度、正側と負側の映像信号71a、71bを保持容量C1、C2に書き込んでしまえば、次のフレ−ムの映像信号が書き込まれるまでの1フレ−ム期間、何回でも切り替えスイッチS1及びS2を交互に切り替えて液晶を交流駆動できる。
つまり、図1の本実施の形態の画素回路によれば、映像信号の書き込み周期とは独立に液晶を、例えばフレ−ム周波数の数十倍の高周波数で交流駆動することが可能になる。これにより、本実施の形態は、焼き付き防止、信頼性向上、シミ・ムラなどが見えない表示品位の向上、などの効果が得られる。また、本実施の形態では、極性反転に合わせて、液晶の共通電極の電圧を振る(変える)ことが可能になり、信号電圧を従来の半分以下にすることも可能になる。
また、本実施の形態の液晶表示装置を標準のCMOSプロセスを用いて作製することができるので、1画素に2つの選択画素トランジスタQ1及びQ2、2つのバッファアンプA1及びA2、2つの切り替えスイッチS1及びS2、2つの保持容量C1及びC2が存在し、素子数が比較的多くても、この素子数の増加が必ずしもコストアップにはならない。
ここで、各画素にはバッファアンプA1及びA2があり、小電流といえどもここに直流電流を流し続けると、液晶駆動素子全体としては100万画素以上あるのが普通なので、消費電力増加や発熱などの悪影響も考えられる。
この防止策として、バッファアンプA1及びA2や切り替えスイッチS1及びS2は、信号読み出しに必要な期間だけイネ−ブルするパルス駆動を行うのが有効である。保持容量C3はこの動作を行わせるためのもので、イネ−ブル期間にはオンとされた切り替えスイッチS1又はS2を通した信号を保持容量C3に書き込み、どちらもオフの時には書き込まれた信号を保持容量C3に保持しつつ液晶を駆動する。これにより、消費電力の大幅な増加を抑えつつ、従来よりも高い周波数で液晶を交流駆動することができ、前述したような多くの効果が得られる。
図3は、図1に示した本発明になる液晶表示装置の第1の実施の形態の一つの画素をより詳細に表した詳細回路図を示す。図3に示すように、本実施形態の液晶表示装置の一つの画素は、正極性、負極性の画素信号を書き込むための画素選択トランジスタQ1及びQ2と、各々の極性の画像信号電圧を並列的に保持する独立した2つの保持容量Cs1及びCs2(図1のC1、C2に相当)と、トランジスタQ3〜Q8と、画素駆動電極PEと共通電極CEとの間に液晶表示体(液晶層)LCMが挟持された構造の、図24に示したと同じ構成の液晶素子とからなる。
トランジスタQ3及びQ7からなるインピ−ダンス変換用ソ−スフォロワ回路は、図1のバッファアンプA1を構成している。トランジスタQ4及びQ8からなるインピ−ダンス変換用ソ−スフォロワ回路は、図1のバッファアンプA2を構成している。また、トランジスタQ3のソ−スにドレインが接続されたトランジスタQ5と、トランジスタQ4のソ−スにドレインが接続されたトランジスタQ6とは、それぞれ図1の切り替えスイッチS1、S2に相当するスイッチングトランジスタである。トランジスタQ5及びQ6の各ソ−スは液晶素子の画素駆動電極PEに接続されている。
なお、図1の保持容量C3は図3には図示されていない。保持容量C3は、トランジスタQ5及びQ6の寄生容量や液晶の寄生容量で代用することが可能であり、また画素駆動電極PEのノ−ドのリ−ク電流が充分に小さい場合は作成しなくてもよいためである。
画素部デ−タ線は、各画素回路について正極性用デ−タ線D+、負極性用デ−タ線D-の2本一組で構成され、図示しないデ−タ線駆動回路でサンプリングされた互いに極性の異なる映像信号が供給される。画素選択トランジスタQ1、Q2の各ドレイン端子は各々正極性用デ−タ線Di+(図1の6−1aに相当)、負極性用デ−タ線Di-(図1の6−1bに相当)に接続され、各ゲ−ト端子は同一行について行走査線Gj(図1のゲ−ト線8−1に相当)に共通に接続されている。
画素選択トランジスタQ1、Q2は、それらのゲ−トに図示しない垂直走査回路より走査パルスが共通の行走査線Gjを介して供給されると、同時にオンとなる。オンとされた画素選択トランジスタQ1は、正極性用デ−タ線Di+を介して入力される正極性の信号電圧を保持容量Cs1に印加して蓄積する。また、オンとされた画素選択トランジスタQ2は、負極性用デ−タ線Di-を介して入力される負極性の信号電圧を保持容量Cs2に印加して蓄積する。
トランジスタQ3及びQ7からなる回路部と、トランジスタQ4及びQ8からなる回路部は、それぞれ所謂ソ−スフォロワ・バッファであり、トランジスタQ3、Q4が信号入力トランジスタ、トランジスタQ7、Q8が定電流源負荷として機能する。定電流源負荷用トランジスタQ7、Q8は、ゲ−トが同一行画素について行方向配線Bに共通配線され、定電流負荷のバイアス制御が可能な構成となっている。MOS型トランジスタQ3、Q7、Q4、Q8によるソ−スフォロワ・バッファの入力抵抗はほぼ無限大である。このため、従来のアクティブマトリクス型液晶表示装置と同様に、保持容量Cs1、Cs2の蓄積電荷はリ−クすることなく、1垂直走査期間後に保持容量Cs1、Cs2に信号電圧が新たに書き込まれるまで保持される。
スイッチングトランジスタQ5、Q6は、ソ−スフォロワ・バッファの出力信号を反射電極(画素駆動電極)PE、液晶表示体LCM及び共通電極CEからなる液晶素子にスイッチして送出する。正極性信号のスイッチングを行うトランジスタQ5と、負極性信号のスイッチングを行うトランジスタQ6の各々のゲ−ト端子は独立しており、各々が同一行画素について行方向の配線S+、S-に接続されている。
この配線S+、S-に交互に供給されるゲ−ト制御信号は、スイッチングトランジスタQ5、Q6を交互にオン状態とする。スイッチングトランジスタQ5がオン状態のときは、保持容量Cs1に保持されている正極性の信号電圧が、トランジスタQ3及びQ7からなるソ−スフォロワ・バッファと、トランジスタQ5のドレイン・ソ−スを通して液晶素子の画素駆動電極PEに印加される。また、スイッチングトランジスタQ6がオン状態のときは、保持容量Cs2に保持されている負極性の信号電圧が、トランジスタQ4及びQ8からなるソ−スフォロワ・バッファと、トランジスタQ6のドレイン・ソ−スを通して液晶素子の画素駆動電極PEに印加される。
ここで、配線S+、S-に供給される2つのゲ−ト制御信号は、1垂直走査周期よりも短い所定の周期で、かつ、互いに相反する論理値のパルス列である。従って、本実施の形態の画素中の液晶素子は、その画素駆動電極PEに対して、2つのゲ−ト制御信号に同期して正極性、負極性に交互に反転する液晶駆動信号が与えられる。従来のアクティブマトリクス型液晶表示装置では、垂直走査周期でしか極性反転を実現できなかった。これに対し、本実施の形態では上記のように画素回路そのものに極性反転機能を備えているため、液晶素子に対して、2つのゲ−ト制御信号に同期した、垂直走査周波数の制約のない、高い周波数での交流駆動が可能である。
なお、画素回路は、図3の構成に限定されるものではなく、図4に示す構成でもよい。図4に示す画素回路は、ソ−スフォロワ・バッファを形成する定電流負荷用トランジスタQ9が、極性切り替えスイッチングトランジスタQ5、Q6の後段、すなわち画素駆動電極PEのノ−ドに配置され、正極性・負極性のソ−スフォロワ回路双方の負荷として共通に機能する構成となっている点にある。
次に、本発明になる液晶表示装置の交流駆動制御の概要について説明する。図5は、本発明になる液晶表示装置の交流駆動制御の概要を説明するためのタイミングチャ−トを示す。図5(A)は、垂直同期信号VDを示し、図5(B)は、図3、図4の画素回路におけるトランジスタQ7、Q8のゲ−トに印加される配線Bの負荷特性制御信号を示す。また、図5(C)は、上記画素回路における正極性側駆動電圧を転送するスイッチングトランジスタQ5のゲ−トに印加される配線S+のゲ−ト制御信号、同図(D)は、上記画素回路における負極性側駆動電圧を転送するスイッチングトランジスタQ6のゲ−トに印加される配線S-のゲ−ト制御信号の各信号波形を示す。トランジスタQ7、Q8は、前述したように画素回路におけるソ−スフォロワ・バッファ回路の定電流負荷である。
なお、図6は、画素に書込まれる正極性映像信号Iと、負極性映像信号IIの黒レベルから白レベルまでの関係を示す。正極性映像信号Iは、レベルが最小のとき黒レベル、最大のとき白レベルであるのに対し、負極性映像信号IIは、レベルが最小のとき白レベル、最大のとき黒レベルである。正極性映像信号Iと負極性映像信号IIの反転中心は、IIIで示される。
図6では、正極性映像信号Iは、レベルが最小のとき黒レベル、最大のとき白レベルで、負極性映像信号IIは、レベルが最小のとき白レベル、最大のとき黒レベルの場合を示しているが、本発明の液晶表示装置の画素回路では、正極性映像信号Iは、レベルが最小のとき白レベル、最大のとき黒レベルで、負極性映像信号IIは、レベルが最小のとき黒レベル、最大のとき白レベルであってもよい。
前記図3や図4で示した画素回路において、図5(C)に示す配線S+のゲ−ト制御信号がハイレベルの期間、正極性側スイッチングトランジスタQ5がオンとなる。このトランジスタQ5がオンの期間に配線Bに供給される負荷特性制御信号を図5(B)に示すようにハイレベルとすると、ソ−スフォロワ・バッファ回路がアクティブとなる。これにより、画素駆動電極PEノ−ドは、保持容量Cs1に保持されている正極性の映像信号レベルが、アクティブとされたソ−スフォロワ・バッファ回路を通して充電される。画素駆動電極PEの電位が完全に充電された状態となった時点で、配線Bの負荷特性制御信号をロ−レベルとし、かつ、そのとき配線S+のゲ−ト制御信号もロ−レベルに切り替えると、画素駆動電極PEはフロ−ティングとなり、液晶容量に正極性駆動電圧が保持される。
一方、図5(D)に示す配線S-のゲ−ト制御信号がハイレベルの期間、負極性側スイッチングトランジスタQ6がオンとなる。このトランジスタQ6がオンの期間に配線Bに供給される負荷特性制御信号を同図(B)に示すようにハイレベルとすると、ソ−スフォロワ・バッファ回路がアクティブとなる。これにより、画素駆動電極PEノ−ドは、保持容量Cs2に保持されている負極性の映像信号レベルが、アクティブとされたソ−スフォロワ・バッファ回路を通して充電される。画素駆動電極PEの電位が完全に充電された状態となった時点で、配線Bの負荷特性制御信号をロ−レベルとし、かつ、そのとき配線S-のゲ−ト制御信号もロ−レベルに切り替えると、画素駆動電極PEはフロ−ティングとなり、液晶容量に負極性駆動電圧が保持される。
以下、上記のスイッチングトランジスタQ5及びQ6を交互にオンとするスイッチングに同期して、図3の定電流負荷トランジスタQ7及びQ8、又は図4の定電流負荷トランジスタQ9を間欠的にアクティブとする動作を繰り返すことで液晶素子の画素駆動電極PEには正極性と負極性の各映像信号で交流化された駆動電圧VPEが図5(E)に示すように印加される。
本実施の形態では、保持容量Cs1、Cs2の保持電荷を直接に画素駆動電極PEに転送するのではなく、アクティブとされたソ−スフォロワ・バッファ回路を介して電圧を画素駆動電極PEに供給する構成のため、正負極性での繰り返し充放電を行っても電荷の中和の問題はなく、極性切り替えを多数回行っても電圧レベルの減衰がない駆動が実現できる。
また、図5(F)に示すVcomは、液晶表示装置の対向基板に形成した共通電極CEに印加する電圧を表している。液晶表示体LCMの実質的な交流駆動電圧は、この共通電極CEの印加電圧Vcomと画素駆動電極PEの印加電圧VPEとの差電圧である。本実施の形態では、図5(F)に示すように、共通電極CEの印加電圧Vcomは、画素駆動電極電圧VPEの反転基準レベルVcとほぼ等しい基準レベルに対して、配線S+、S-のゲ−ト制御信号による画素極性切り替えと同期して反転されている。これにより、共通電極CEの印加電圧Vcomと画素駆動電極PEの印加電圧VPEとの電位差の絶対値が常に同一となり、液晶表示体LCMには図5(G)に示すような直流成分のない交流電圧VLCが印加される。この共通電極CEの印加電圧Vcomは、図2に示したコントロ−ラ60より出力される。
このように、本実施の形態は、共通電極CEの印加電圧Vcomを画素駆動電極PEと逆相で切り替えることによって、画素(PE)側の駆動電圧の振幅を1/2程度以下に低減できる。これより、画素回路や周辺走査回路を構成するトランジスタの必要耐圧が大幅に低減され、特殊な高耐圧構造、プロセスの適用が不要となり、装置コストが低減できる。また、本実施の形態では、上記のように低耐圧、小型トランジスタで画素回路などの駆動部が構成できるため、より高画素密度の液晶表示装置が実現でき、トランジスタ耐圧の低減により単位チャンネル幅あたりの駆動能力の高いトランジスタの採用が可能となるため、高速駆動動作への対応が容易となる、という効果が得られる。
また、本実施の形態では、図5(A)に示すように、配線Bの負荷特性制御信号をパルス列として、ソ−スフォロワ・バッファ回路の定電流負荷トランジスタ(図3のQ7、Q8)を常時アクティブにせず、極性切り替え用スイッチングトランジスタ(図3のQ5、Q6)の導通期間の内の限られた期間でのみアクティブになるように制御を行っている。液晶表示装置での消費電流低減を考慮したためである。例えば、1画素回路あたりの定常的なソ−スフォロワ・バッファ回路の電流が1μAの微少電流であったとしても、液晶表示装置の全画素が定常的に電流を消費する条件では多大な消費電流となってしまう、という問題がある。例えば、フルハイビジョン(200万画素)の液晶表示装置では、消費電流が2Aにも達してしまう。
そのため、本実施の形態では、図5(A)〜(C)に示したように、配線S+、S-を介して供給されるゲ−ト制御信号がハイレベルである極性切り替え用スイッチングトランジスタ(Q5、Q6)の導通期間内のみ、配線Bを介して供給される負荷特性制御信号をハイレベルとしてソ−スフォロワ・バッファ回路の定電流負荷トランジスタ(図3のQ7、Q8)の駆動期間を制限している。
これにより、本実施の形態では、液晶素子の電極電圧VPEが図5(E)に示すように目標レベルまで充放電された直後には、即座に負荷特性制御信号をロ−レベルとして定電流負荷トランジスタ(Q7、Q8)をオフし、ソ−スフォロワ・バッファ回路の電流を停止することができる。従って、本実施の形態によれば、全画素にバッファアンプを備えた構成でありながら、実質的な消費電流を小さく抑えることが可能である。
次に、ソ−スフォロワ・バッファ回路の他の制御手段について、図7及び図8を用いて説明する。
図7は、本発明になる液晶表示装置の他の実施の形態の要部の構成図を示す。この実施の形態は、極性反転制御及びソ−スフォロワ・バッファ回路のアクティブ制御を画面の垂直方向について時間差を持たせて実現する実施の形態である。図5のタイミングチャ−トと共に説明した実施の形態では、ソ−スフォロワ・バッファ回路に定常的に電流が流れないように、間欠的なアクティブ制御を行う例について述べた。これに対し、図7に示す本実施の形態の液晶表示装置では、さらに、全画素が同時にオン状態とならないような制御手段を設けたことを特徴とする。
図7に示すように、本実施の形態は、図2の画素部30が垂直方向にh分割(hは2以上の自然数)された分割画素部90−1、90−2、・・・、90−hと、配線S+の極性切替用ゲ−ト制御信号、配線S-の極性切替用ゲ−ト制御信号、配線Bの負荷特性制御信号をそれぞれ同じシフトクロックSCKに同期してシフトするh段のシフトレジスタ91a、91b及び91cとを有する構成である。シフトレジスタ91a、91b及び91cは、それぞれ図2に示した垂直方向駆動回路20に相当する。なお、図7には、ソ−スフォロワ・バッファ回路のアクティブ制御に必要な回路部のみを図示してあり、水平方向駆動回路10等の図示は省略してある。
分割画素部90−1、90−2、・・・及び90−hのそれぞれは、画素部の複数行を1グル−プとするグル−プ#1、#2、・・・及び#hの分割画素部である。シフトレジスタ91aは、分割画素部90−1、90−2、・・・及び90−hの各入力端子S+(1)、S+(2)、・・・及びS+(h)に、配線S+の極性切替用ゲ−ト制御信号(以下、正極性スイッチ制御信号ともいう)を1段目、2段目、・・・h段目の出力端子から供給する。また、シフトレジスタ91bは、分割画素部90−1、90−2、・・・及び90−hの各入力端子S-(1)、S-(2)、・・・及びS-(h)に、配線S-の極性切替用ゲ−ト制御信号(以下、負極性スイッチ制御信号ともいう)を1段目、2段目、・・・h段目の出力端子から供給する。更に、シフトレジスタ91cは、分割画素部90−1、90−2、・・・及び90−hの各入力端子B(1)、B(2)、・・・及びB(h)に、配線Bの負荷特性制御信号を1段目、2段目、・・・h段目の出力端子から供給する。
図8は、図7の各部の信号のタイミングチャ−トを示す。図8(A)はシフトレジスタ91a、91b及び91cに供給されるシフトクロックSCKを示す。このシフトクロックSCKに同期してシフトレジスタ91aは、図8(B)に示す配線S+の極性切替用ゲ−ト制御信号をシフトして1段目、2段目、h段目の出力端子から図8(C)、(D)、(E)に示すゲ−ト制御信号を出力し、分割画素部90−1、90−2、90−hの各入力端子S+(1)、S+(2)、S+(h)に供給する。
同様に、シフトレジスタ91bは、図8(F)に示す配線S-の極性切替用ゲ−ト制御信号をシフトして1段目、2段目、h段目の出力端子から図8(G)、(H)、(I)に示すゲ−ト制御信号を出力し、分割画素部90−1、90−2、90−hの各入力端子S-(1)、S-(2)、S-(h)に供給する。なお、シフトレジスタ91aに供給される配線S+の極性切替用ゲ−ト制御信号と、シフトレジスタ91bに供給される配線S-の極性切替用ゲ−ト制御信号とによる画素回路切り替え周期は、各分割画素部90−1〜90−hそれぞれの画素行(ライン数)に対応している。
更に、シフトレジスタ91cは、図8(J)に示す配線Bの負荷特性制御信号をシフトして1段目、2段目、h段目の出力端子から図8(K)、(L)、(M)に示す負荷特性制御信号を出力し、分割画素部90−1、90−2、90−hの各入力端子B(1)、B(2)、B(h)に供給する。
この実施の形態によれば、画面の垂直方向の分割グル−プについて、時間差を持たせた極性反転とバッファアクティブ制御とが可能となり、電流値が時間的に分散、平均化するため、瞬時過大電流による誤動作や故障などを回避できる。制御の時間差の影響が表示特性に影響しないようにするには、シフトクロックSCKの周波数を極性反転周波数に対して十分高い周波数に選定すればよい。
以上説明した各実施形態の液晶表示装置によれば、液晶の交流駆動周波数は、垂直走査周波数によらず、画素回路での反転制御周期で自由に設定することができる。例えば、垂直走査周波数が一般的なテレビ映像信号で用いられる60Hzで、走査線数が1125ラインで構成されているとし、画素回路の極性切り替えを15ライン期間程度の周期で行うとすれば、以上説明した本発明の液晶表示装置の液晶素子の交流駆動周波数は、2.25kHz(=60(Hz)×1125÷(15×2))となる。
一方、フレ−ムメモリで映像信号の垂直走査周波数60Hzを2倍の120Hzに変換し、垂直走査周期毎に映像信号の極性反転を行う従来のアクティブマトリクス型液晶表示装置の液晶素子の交流駆動周波数は、変換後の周波数の1/2倍の60Hzである。このような液晶素子の交流駆動周波数が数十Hz〜100Hz台程度の駆動条件では、液晶素子に残留電荷の影響が発生し易く信頼性や安定性に問題があり、また液晶材料特性にイオン成分や異物混入などによるシミ状の表示欠陥に起因する表示品位低下の影響が顕著に現れる傾向にある。
これに対し、本発明のアクティブマトリクス型の液晶表示装置の液晶素子の上記の交流駆動周波数は、従来のアクティブマトリクス型の液晶表示装置の液晶素子の交流駆動周波数である60Hzと比較して飛躍的に高い周波数であるため、本発明の液晶表示装置によれば、従来の液晶表示装置に比べて信頼性・安定性やシミなどの表示品位低下などを大幅に改善することが可能となる。
しかしながら、本発明になる液晶表示装置では、上記のように液晶素子の交流駆動周波数を飛躍的に高い周波数にすることができる反面、各画素内に、図1、図3又は図4に示すように、二つの保持容量C1及びC2(又は、Cs1及びCs2)を設ける必要があるため、図24に示した画素回路に比べて画素回路内のトランジスタ数が7倍又は8倍程度に増加し、その結果配線密度が高い。このため、本発明になる液晶表示装置では、隣接配線の干渉ノイズ(以下、クロスト−クノイズと称す)の対策が必要となる場合がある。
このクロスト−クノイズが画素内において存在する場合、正しい電圧が液晶素子に印加されず、それにより表示画像に悪影響を与えることが知られている。クロスト−クノイズは、隣接する配線の一方の信号変化が配線間容量を介して他方の信号に影響を及ぼすもので、平行配線長が長く配線間容量が大きい場合や、一方の信号変化が急激な場合に発生し易くなる。そのため、クロスト−クノイズを低減するには、隣接配線の配線間容量を小さくするか、あるいはノイズを与える側の信号変化を緩くする必要がある。
隣接配線の配線間容量を小さくする方法は、隣接配線間距離を大きくする、あるいは別配線層に配線を移す、あるいはシ−ルド配線を実施するなど、隣接するどちらかの配線経路を変更する必要がある。そのため、クロスト−クノイズ発生箇所の周辺の配線が混雑している場合は、配線経路を変更するための配線領域を十分確保することができず、クロスト−クノイズの改善が困難になるという問題が発生する。実際に、クロスト−クノイズが発生する配線は平行配線長が長い場合が多い。しかし、クロスト−クノイズの改善のために配線変更用の配線領域が全て確保される可能性が低い場合が多い。また、画素の微細化や高精細化が進むと、このような配線変更によるクロスト−ク対策はさらに困難なものとなる。
また、ノイズを与える側の信号変化を緩くする方法は、クロスト−クノイズを与える側の駆動素子能力を小さくして信号変化を緩くする。この方法では、隣接配線の経路を変更する必要が殆ど無いため、周辺の配線が混雑している場合でも改善が可能である。しかし、この方法では、駆動素子電圧の変更に伴い多種類の駆動素子電圧が混在することで、プロセスの工程数が増加する。また、本発明になる液晶表示装置では画素への供給電圧が足りなくなるという致命的な課題があり、実現困難である。
また、図7に示した本発明の液晶表示装置の第3の実施の形態において、図2の画素部30を、それぞれ複数行を1グル−プとするグル−プ#1、#2、・・・及び#hの分割画素部90−1、90−2、・・・、90−hにh分割して、図8に示したタイミングチャ−トに従って順次に駆動制御すると、モニタ画面上では、図9に示すように、分割画素部90−1〜90−hに対応した画像表示部93−1〜93−hの、隣接する画像表示位置94−1〜94−(h-1)において、表示画像上の不良(階調の変動)が発生することがある。この隣接する画像表示位置94−1〜94−(h-1)は、配線S+、S-のゲ−ト制御信号や配線Bの負荷特性制御信号の極性切替行である。
この極性切り替え行で発生する表示画像上の不良(階調の変動)は、上記のゲ−ト制御信号や負荷特性制御信号が、デ−タ線Di+、Di-のデ−タ信号にクロスト−クするためであると考えられる。図10(A)は、上記のデ−タ線Di-により伝送されるデ−タ信号(後述するランプ基準電圧)の波形を示し、その波形の95で示す部分が同図(B)に示す配線S-で伝送されるゲ−ト制御信号のクロスト−クにより若干変形している。上記の変形波形部分95は、ゲ−ト制御信号のパルス幅を狭くすることにより、ある程度の改善は見られるものの、完全にクロスト−クによる階調の変動をなくすことは不可能である。また、これは画素回路が図3(図1)、図4のいずれであっても共通の課題である。
そこで、以下説明する本発明になる液晶表示装置の駆動方法の各実施の形態では、図3(図1)又は図4のように、複数の画素のそれぞれが複数のトランジスタを持つと共に、画素部が図7に示したように複数の分割画素部により分割された場合において、配線間のクロスト−クノイズが発生したり、デ−タ信号がクロスト−クにより変動した場合でも、トランジスタの駆動タイミングを最適化することで、表示画像の視覚上の悪影響を軽減又は除去するものである。
図11は、本発明になる液晶表示装置の駆動方法の第1及び第2の実施の形態で用いるタイミング制御回路の回路図を示す。図11に示すタイミング制御回路140は、水平同期信号HDを分周する2n分周回路141と、カスケ−ド接続されたx+2個のD型フリップフロップ(以下、D−FF)1421〜142x+2と、2段目〜(x−1)段目のD−FFのQ出力信号を選択するセレクタ回路143と、セレクタ回路143の出力信号を反転するインバ−タ144と、(x+2)段目のD−FFのQ出力信号を反転するインバ−タ145と、2つの2入力AND回路146及び147と、x段目と(x+1)段目のD−FF142x及び142x+1の各Q出力信号の排他的論理和演算を行う排他的論理和(以下、EX−OR)回路148とから構成される。遅延回路149は、カスケ−ド接続されたx+2個のD−FF1421〜142x+2のうち、2段目以降のD−FF1422〜142x+2とセレクタ回路143とからなる。
2n分周回路141は、クロック入力を水平同期信号HD、リセット入力を垂直同期信号VDとするカウンタ回路であり、水平同期信号HDをn個カウントする毎にハイレベル又はロ−レベルに極性が反転する対称矩形波を発生する。この2n分周回路141は、垂直同期信号VDの入力毎にリセットされることから垂直走査と同期したカウンタ出力を得ることができる。
2n分周回路141の分周比は、その分周出力の切り替わり周期が所望の極性反転周期となるように選択されている。これにより、2n分周回路141の分周出力信号を液晶駆動電圧の極性切り替えの基本タイミング信号として利用することができる。2n分周回路141から出力される対称矩形波は、水平、垂直走査タイミングと同期した共通電極電圧切り替え制御信号の原信号として、初段のD−FF1421のデ−タ入力端子に印加される。
また、図11中の遅延回路149は、D−FFの段数により一定期間信号を遅延させる役割を果たし、水平同期信号HDと配線S+、S-の信号発生タイミングの位相を、この遅延回路149による遅延量分だけずらして設定することも可能である。この場合、遅延回路149の遅延量は、セレクタ回路143によりD-FF1422〜142x-1の各Q出力信号のうちの一つのQ出力信号を選択することで加減することができる。この遅延量の加減により、水平走査の動作タイミングと極性切り替え動作との同期を保ったまま相互位相を調整することが可能となり、映像信号走査と極性切り替え動作の相互干渉により発生するノイズが最も軽減される条件を選ぶことが可能になる。
D-FF1421〜142x+2のそれぞれは、1ビットラッチ回路であり、クロック端子には本実施の形態のタイミング制御の時間単位に相当する周期を有する基本クロックCLKが共通に入力される。また、D-FF1421〜142x+2はシフトレジスタを構成する。そのシフトレジスタの初段のD-FF1421のデ−タ入力端子Dには、2n分周回路141から出力される、共通電極電圧Vcomの極性切り替え周期と一致した制御タイミングパルスが供給され、これが各D-FF1421〜142x-1のQ出力端子に1クロック時間単位ずつ遅延して出力される。また、セレクタ回路143の出力信号は、3個のD-FF14x〜142x+2のQ出力端子から1クロック時間単位ずつ遅延して出力される。
本実施の形態では、共通電極電圧Vcomの極性切り替えを画素駆動電極電圧VPEの極性切り替えに先行するように制御するので、初段のD−FF1421のQ出力信号を共通電極電圧Vcomとする。また、AND回路146は、セレクタ回路143の出力信号をインバ−タ144で論理反転した信号と、D−FF142x+2のQ出力信号とを論理積演算して配線S+で伝送されるゲ−ト制御信号(以下、正極性スイッチ制御信号ともいう)を出力する。また、AND回路147は、セレクタ回路143の出力信号と、D−FF142x+2のQ出力信号をインバ−タ145で論理反転した信号とを論理積演算して配線S-で伝送されるゲ−ト制御信号(以下、負極性スイッチ制御信号ともいう)を出力する。
更に、EX−OR回路148は、D−FF142xのQ出力信号とD−FF142x+1のQ出力信号とを排他的論理和演算して、画素回路のソ−スフォロワ・バッファ回路の定電流負荷トランジスタをアクティブとする配線Bの負荷特性制御信号を出力する。
なお、画素回路のソ−スフォロワ・バッファ回路の定電流負荷トランジスタ(図3のQ7及びQ8、又は図4のQ9)をオンからオフに移行する制御は、画素極性切り替えスイッチ(図3、図4のQ5及びQ6)がオン状態を保っている期間に完了させる必要があることから、タイミング制御回路140は、定電流負荷トランジスタのオフタイミングを、x+1段目のD−FF142x+1のQ出力信号から生成し、また、画素極性切り替えスイッチのオフタイミングはそれより遅延したx+2段目のD−FF142x+2のQ出力信号から生成している。
次に、上記の図11に示したタイミング制御回路140を用いて行う本発明の液晶表示装置の駆動方法の各実施の形態についてタイミングチャ−トと共に説明する。
図12は、図11に示したタイミング制御回路140を用いた本発明になる液晶表示装置の駆動方法の第1の実施の形態を説明するタイミングチャ−トを示す。この実施の形態の駆動方法は、図7に示した本発明になる液晶表示装置の実施の形態のシフトレジスタ91a、91b及び91cにそれぞれ図12(A)に示すシフトクロックSCKを供給すると共に、図11に示したタイミング制御回路140の遅延回路149の遅延量を調整して、図12(J)に示す水平同期信号HDの水平ブランキング(H.BLK)期間内で、図11のAND回路146から図12(B)に示す正極性スイッチ制御信号を出力し、かつ、図11のEX−OR回路148から図12(F)に示す負荷特性制御信号を出力する。
なお、図12(B)に示す正極性スイッチ制御信号と、図11のAND回路147から出力される負極性スイッチ制御信号とは、図7に示した各分割画素部90−1〜90−hのそれぞれの行数(ライン数)に対応した水平走査期間毎に交互に出力される。また、図12(F)に示す負荷特性制御信号は、図7に示した各分割画素部90−1〜90−hのそれぞれの行数(ライン数)に対応した水平走査期間の周期で出力される。
これにより、図7に示したシフトレジスタ91aからは、図12(C)、(D)、(E)に示す正極性スイッチ制御信号が、分割画素部90−1、90−2、90−hの各入力端子S+(1)、S+(2)、S+(h)に、各分割画素部90−1〜90−hのそれぞれの行数(ライン数)の2倍の値に対応した水平走査期間毎に供給される。また、図7に示したシフトレジスタ91cからは、図12(G)、(H)、(I)に示す負荷特性制御信号が、分割画素部90−1、90−2、90−hの各入力端子B(1)、B(2)、B(h)に各分割画素部90−1〜90−hのそれぞれの行数(ライン数)に対応した水平走査期間毎に供給される。
また、図12では図示を省略したが、正極性スイッチ制御信号が出力されない期間で、かつ、H.BLK期間内で、各分割画素部90−1〜90−hのそれぞれの行数(ライン数)の2倍の値に対応した水平走査期間毎に図11のAND回路147から負極性スイッチ制御信号が出力されて図7のシフトレジスタ91bに供給される。これにより、図7に示した分割画素部90−1〜90−hの各入力端子S-(1)〜S-(h)には、時分割で、かつ、正極性スイッチ制御信号が出力されない別のH.BLK期間内で負極性制御信号が供給される。
なお、図12(K)に示すランプ波形は、デジタル映像信号をアナログ映像信号に変換して、図3等に示した正極性用デ−タ線Di+に供給するために用いられる、一定傾斜の正極性用基準ランプ電圧であり、その詳細については後述する。なお、同様の表示するデジタル映像信号をアナログ映像信号に変換して、図3等に示した負極性用デ−タ線Di-に供給するために用いられる基準ランプ電圧は図12では図示を省略してある。
この実施の形態の駆動方法によれば、クロスト−クにより基準ランプ電圧が変動して、正極性用デ−タ線Di+に供給される正極性映像信号及び負極性用デ−タ線Di-に供給される負極性映像信号が変動したとしても、H.BLK期間内でランプ波形が本来の波形に戻っていれば、正しい映像信号を書き込むことができる。これにより、図9に示した分割画素部90−1〜90−hに対応した画像表示部93−1〜93−hの、隣接する画像表示位置94−1〜94−(h-1)において、表示画像上の不良(階調の変動)が発生しても、本実施の形態では、クロスト−クによる影響はH.BLK期間内であるので、表示画像の視覚上の画質劣化を除去することができる。
図13は、図11に示したタイミング制御回路を用いた本発明になる液晶表示装置の駆動方法の第2の実施の形態を説明するタイミングチャ−トを示す。
この実施の形態の駆動方法は、図7に示した本発明になる液晶表示装置の第3の実施の形態のシフトレジスタ91a、91b及び91cにそれぞれ図13(A)に示すシフトクロックSCKを供給すると共に、図11のAND回路146から図13(B)に示す正極性スイッチ制御信号を出力し、かつ、図11のEX−OR回路148から図13(F)に示す負荷特性制御信号を出力する。
これにより、図7に示したシフトレジスタ91aからは、図13(C)、(D)、(E)に示す正極性スイッチ制御信号が、分割画素部90−1、90−2、90−hの各入力端子S+(1)、S+(2)、S+(h)に供給される。また、図7に示したシフトレジスタ91cからは、図13(G)、(H)、(I)に示す負荷特性制御信号が、分割画素部90−1、90−2、90−hの各入力端子B(1)、B(2)、B(h)に、各分割画素部90−1〜90−hのそれぞれの行数(ライン数)に対応した水平走査期間毎に供給される。
また、図13では図示を省略したが、図11のAND回路147から負極性スイッチ制御信号が出力されて図7のシフトレジスタ91bに供給される。なお、図13(B)に示す正極性スイッチ制御信号と、図11のAND回路147から出力される上記の負極性スイッチ制御信号とは、図7に示した各分割画素部90−1〜90−hのそれぞれの行数(ライン数)に対応した水平走査期間毎に交互に出力される。また、図13(F)に示す負荷特性制御信号は、図7に示した各分割画素部90−1〜90−hのそれぞれの行数(ライン数)に対応した水平走査期間の周期で出力される。また、図13(K)は、後述する正極性映像信号用の基準ランプ電圧を示す。
ところで、図12と共に説明した上記の本発明の駆動方法の第1の実施の形態では、H.BLK期間内に正極性スイッチ制御信号、負極性スイッチ制御信号、及び負荷特性制御信号を転送する必要があるため、十分高いシフトクロック周波数を選択する必要がある。ところが、動画応答などの改善を目的として垂直走査周波数が60Hzから120Hz、240Hzとなった場合や、ビット深度の向上が図られた場合などには、十分な時間のH.BLK期間を確保できない場合がある。
そこで、図13に示すタイミングチャ−トの本発明の駆動方法の第2の実施の形態では、図11に示したタイミング制御回路140の遅延回路149の遅延量を調整して、正極性スイッチ制御信号、負極性スイッチ制御信号、及び負荷特性制御信号を1水平走査期間において、図13(K)に示すように基準ランプ電圧の中間点X以降(高輝度側の階調)に転送する。
これにより、本実施の形態の駆動方法によれば、高周波化に伴う上記の時間的課題が解決される。また、本実施の形態の駆動方法によれば、正極性スイッチ制御信号、負極性スイッチ制御信号、及び負荷特性制御信号の切り替えに伴い発生するクロスト−クノイズにより基準ランプ電圧が変動して、図9に示した分割画素部90−1〜90−hに対応した画像表示部93−1〜93−hの、隣接する画像表示位置94−1〜94−(h-1)において、表示画像の階調が変動しても、その変動する階調は高輝度側の階調となるため人の目に視認されにくいものとなる。
ところで、上記の本発明になる液晶表示装置では、液晶素子の交流駆動周波数は画素回路での反転制御周期で自由に設定することができる。例えば、垂直走査周波数が一般的なテレビ映像信号で用いられる60Hzで、フルハイビジョンの走査線数が1125ラインで構成されているとする。画素回路の極性切り替えを15ライン期間程度の周期で行うとすれば、図7に示した分割画素部90−1〜90−hのそれぞれは、15ラインの画素から構成され、各分割画素部90−1〜90−hの液晶素子の交流駆動周波数は2.25(=60(Hz)×1125÷(15×2)kHzとなり、このとき正極性スイッチ制御信号、負極性スイッチ制御信号も15ラインに1回転送することとなる。
この場合、図9と共に説明したように、正極性スイッチ制御信号、負極性スイッチ制御信号のクロスト−クにより、15ラインに1回、隣接する画像表示位置94−1〜94−(h-1)において、基準ランプ電圧が変動した階調が横縞として表示されることとなる。
そこで、次に、この現象を解決した本発明になる液晶表示装置の駆動方法の第3の実施の形態について説明する。図14は、本発明になる液晶表示装置の駆動方法の第3の実施の形態で用いるタイミング制御回路の回路図を示す。図14に示すタイミング制御回路150は、水平同期信号HDを分周する2n分周回路151と、カスケ−ド接続されたx個のD型フリップフロップ(以下、D−FF)1521〜152xと、D−FF)1521のQ出力信号を論理反転するインバ−タ153と、AND回路154と、3段目〜(x−2)段目のD−FFのQ出力信号を選択するセレクタ回路155と、排他的論理和回路(EX−OR)回路156と、セレクタ回路155の出力信号とx−1段目及び最終のx段目のD−FF152x-1及び152xの各Q出力信号の論理和演算を行うOR回路157と、2n分周回路151の出力信号を論理反転するインバ−タ158と、OR回路157の出力信号のスイッチングを行う2つのセレクタ回路159及び160とから構成される。遅延回路161は、カスケ−ド接続されたx個のD−FF1421〜142xのうち、3段目以降のD−FF1423〜142xとセレクタ回路155とからなる。
2n分周回路151は、2n分周回路141と同一構成であり、2n分周回路151の分周比は、その分周出力の切り替わり周期が所望の極性反転周期となるように選択されている。これにより、2n分周回路151の分周出力信号を液晶駆動電圧の極性切り替えの基本タイミング信号として利用することができる。また、2n分周回路151から出力される対称矩形波は、水平、垂直走査タイミングと同期した共通電極電圧切り替え制御信号とされる。
D-FF1521〜152xのそれぞれは、1ビットラッチ回路であり、クロック端子には本実施の形態のタイミング制御の時間単位に相当する周期を有する基本クロックCLKが共通に入力される。また、D-FF1521〜152xはシフトレジスタを構成する。そのシフトレジスタの初段のD-FF1521のデ−タ入力端子Dには、水平同期信号HDが入力され、これが各D−FF1521及び1522のQ出力端子から1クロック時間単位ずつ遅延して出力される。また、D−FF1523〜152x-2の各Q出力端子からはAND回路154から出力された水平同期信号HD又はインバ−タ153により論理反転された水平同期信号が、1クロック時間単位ずつ順次に遅延して出力される。更に、D−FF152x-1〜152xの各Q出力端子からはセレクタ回路155の出力信号が、1クロック時間単位ずつ遅延して出力される。
本実施の形態のタイミング制御回路150では、AND回路154は、初段のD−FF1521のQ出力信号をインバ−タ153で論理反転した信号と、2段目のD−FF1522のQ出力信号とを論理積演算し、それにより得られた信号を遅延回路161を通過させてOR回路157に供給する。タイミング制御回路150は、OR回路157から出力される信号をセレクタ回路159及び160にそれぞれ供給し、セレクタ回路159及び160を共通電極電圧切り替え制御信号により交互に選択動作させて、セレクタ回路159から配線S+に供給させる正極性スイッチ制御信号を出力させ、セレクタ回路160から配線S-に供給させる負極性スイッチ制御信号を出力させる。
また、EX−OR回路156は、セレクタ回路155の出力信号とD−FF152x-1のQ出力信号とを排他的論理和演算して、画素回路のソ−スフォロワ・バッファ回路の定電流負荷トランジスタをアクティブとする配線Bの負荷特性制御信号を出力する。
なお、画素回路のソ−スフォロワ・バッファ回路の定電流負荷トランジスタ(図3のQ7及びQ8、又は図4のQ9)をオンからオフに移行する制御は、画素極性切り替えスイッチ(図3、図4のQ5及びQ6)がオン状態を保っている期間に完了させる必要があることから、タイミング制御回路150は、定電流負荷トランジスタのオフタイミングを、x−1段目のD−FF152x-1のQ出力信号から生成し、また、画素極性切り替えスイッチのオフタイミングはそれより遅延したx段目のD−FF142xのQ出力信号から生成している。
このタイミング制御回路150内の遅延回路161は、D−FFの段数により一定期間信号を遅延させる役割を果たし、水平同期信号HDと配線S+、S-のスイッチ制御信号発生タイミングの位相を、この遅延回路161による遅延量分だけずらして設定することが可能である。この場合、遅延回路161の遅延量は、セレクタ回路155によりD-FF1523〜152x-2の各Q出力信号のうちの一つのQ出力信号を選択することで加減することができる。この遅延量の加減により、水平走査の動作タイミングと極性切り替え動作との同期を保ったまま相互位相を調整することが可能となり、映像信号走査と極性切り替え動作の相互干渉により発生するノイズが最も軽減される条件を選ぶことが可能になる。
次に、上記の図14に示したタイミング制御回路150を用いて行う本発明の液晶表示装置の駆動方法の実施の形態について図15のタイミングチャ−トと共に説明する。
図15は、図14に示したタイミング制御回路150を用いた本発明になる液晶表示装置の駆動方法の第3の実施の形態を説明するタイミングチャ−トを示す。この実施の形態の駆動方法は、図7に示した本発明になる液晶表示装置の第3の実施の形態のシフトレジスタ91a、91b及び91cにそれぞれ図15(A)に示すシフトクロックSCKを供給すると共に、図14に示したタイミング制御回路150の遅延回路161の遅延量を調整して、図14のセレクタ回路159から図15(B)に示す正極性スイッチ制御信号を出力し、かつ、図14のEX−OR回路156から図15(F)に示す負荷特性制御信号を出力する。
ここで、図12(F)及び図13(F)に示した負荷特性制御信号は、各分割画素部90−1〜90−hのそれぞれの行数(ライン数)に対応した水平走査期間毎(上記の例では15H周期)に供給され、図12(B)及び図13(B)に示した正極性スイッチ制御信号と図示しない負極性スイッチ制御信号とは、上記の15H毎に交互に供給されるのに対し、本実施の形態の駆動方法では、図15(B)に示す正極性スイッチ制御信号と、図15(F)に示す負荷特性制御信号とは、図15に示すように、15Hの出力期間において1H毎に出力される点に特徴がある。
すなわち、本実施の形態の駆動方法では、或る15H期間では正極性スイッチ制御信号は1H毎に出力され、かつ、負極性スイッチ制御信号が一定レベルに保持され、続く15H期間では負極性スイッチ制御信号が1H毎に出力され、かつ、正極性スイッチ制御信号が一定レベルに保持されることが15H周期で交互に繰り返される。
図15では図示を省略したが、負極性スイッチ制御信号も15Hの出力期間において1H毎に出力される。なお、図12〜図15に示した各実施の形態では、いずれも共通電極電圧Vcomは、画素電極極性切り替えパルス(すなわち、正極性スイッチ制御信号及び負極性スイッチ制御信号)、負荷特性制御信号にそれぞれ同期して15H毎に反転される波形である。また、上記の15Hは一例であり、図7に示した各分割画素部90−1〜90−hの画素の行数(ライン数)に応じて設定される。
なお、図15(K)に示すランプ波形は、デジタル映像信号をアナログ映像信号に変換して、図3等に示した正極性用デ−タ線Di+に供給するために用いられる、一定傾斜の正極性用基準ランプ電圧であり、その詳細については後述する。なお、同様にデジタル映像信号をアナログ映像信号に変換して、図3等に示した負極性用デ−タ線Di-に供給するために用いられる基準ランプ電圧は図15では図示を省略してある。
これにより、図7に示したシフトレジスタ91aから分割画素部90−1、90−2、90−hの各入力端子S+(1)、S+(2)、S+(h)に供給される図15(C)、(D)、(E)に示す正極性スイッチ制御信号は、それぞれ互いに位相が異なる1H周期の信号である。同様に、図7に示したシフトレジスタ91cから分割画素部90−1、90−2、90−hの各入力端子B(1)、B(2)、B(h)に供給される図15(G)、(H)、(I)に示す負荷特性制御信号も、それぞれ互いに位相が異なる1H周期の信号である。
また、図15では図示を省略したが、正極性スイッチ制御信号が出力されない期間で、図14のセレクタ回路160から1H周期の負極性スイッチ制御信号が出力されて図7のシフトレジスタ91bに供給される。なお、正極性スイッチ制御信号と負極性スイッチ制御信号とは、各分割画素部90−1〜90−hそれぞれの画素の複数行(複数ライン数)に対応した水平走査期間毎に交互に出力される。
このように、本実施の形態の駆動方法では、図15(J)に示す水平同期信号HDに対して、遅延回路161の遅延量を調整することで、正極性スイッチ制御信号、負極性スイッチ制御信号及び負荷特性制御信号が、1H内で1回、すなわち、1ラインに1回転送されて極性切り替えが行われるため、それぞれ極性切り替え時に発生するクロスト−クした階調が液晶表示装置の画素部全体の各ラインに表示され、その結果、画面全体として横縞が目立たない画像を表示することができる。
次に、本発明になる液晶表示装置の駆動方法の第4〜第6の実施の形態について説明する。
本発明になる液晶表示装置の駆動方法の第4〜第6の実施の形態では、図16に示すように、画素極性切り替えの制御パルス転送及び共通電極電圧の極性反転をフレ−ム毎に変更して転送させる方法をとることで、前述した画素回路の極性切り替え時に発生するクロスト−クした階調の横縞を散らすことで、視覚上横縞(横線状ノイズ)を目立たなくすることを特徴とする。ここで、画素極性切り替えの制御パルスとは、正極性スイッチ制御信号及び負極性スイッチ制御信号であり、負荷特性制御信号を含めてもよい。
図16(A)、(B)、(C)、(D)は、それぞれ1フレ−ム目、2フレ−ム目、3フレ−ム目、nフレ−ム目における、垂直同期信号VD、配線Bにて伝送される負荷特性制御信号、配線S+にて伝送される正極性スイッチ制御信号、配線S-にて伝送される負極性スイッチ制御信号、及び液晶素子の共通電極電圧Vcomの波形を示す。なお、ここでは、1フレ−ム目とnフレ−ム目とは同じである。図16(A)〜(D)に示すように、垂直同期信号VDに対して、負荷特性制御信号、正極性スイッチ制御信号、負極性スイッチ制御信号、及び共通電極電圧Vcomは、フレ−ム毎に位相がずらされる。
これにより、例えば前記したように、各分割画素部90−1〜90−hそれぞれが15ラインの画素から構成されており、図9に示した15ラインおき毎の隣接する画像表示位置94−1〜94−(h-1)において、表示画像上の不良(階調の変動)による横縞が発生したとしても、フレ−ム毎にその発生する垂直方向のライン位置が変化するため、人間の目に見える積分値としてはクロスト−クによる階調の変動が平均化されることとなり、視覚上は横縞の目立たない画像を表示することが可能となる。
図17は、本発明になる液晶表示装置の駆動方法の第4〜第6の実施の形態で用いるタイミング制御回路の回路図を示す。なお、この例では、垂直走査周波数が一般的なテレビ映像信号で用いられる60Hzで、フルハイビジョンの走査線数1125ラインで構成されているとする。また、このタイミング制御回路が適用される液晶表示装置は、画素回路の極性切り替えを5ライン期間の周期で行い、液晶素子の交流駆動周波数は6.75(=60(Hz)×1125÷5×2)kHzとし、前記のように極性切り替えの制御パルス(正極性スイッチ制御信号、負極性スイッチ制御信号、負荷特性制御信号)によるクロスト−クの影響により、5ラインに1回基準ランプ電圧が変動した階調が横縞として表示されているものとする。
図17に示すタイミング制御回路170は、初期値テ−ブル171と、水平同期信号HDを分周する2n分周回路172と、カスケ−ド接続された5個のD−FF1731〜1735と、D−FF1732のQ出力信号を論理反転するインバ−タ174と、D−FF1735のQ出力信号を論理反転するインバ−タ175と、AND回路176及び177と、D−FF1733とD−FF1734の各Q出力信号を排他的論理和演算するEX−OR回路178とより構成されている。
2n分周回路172は、HDカウンタとVDカウンタを内蔵し、これらのカウント値に応じて波形を生成する。すなわち、2n分周回路172は、クロック入力を水平同期信号HDとし、垂直同期信号VDの入力毎に初期値テ−ブル171からロードされた初期デ−タの次の値から水平同期信号HDのカウントを開始するカウンタ回路であり、水平同期信号HDをn個カウントする毎にハイレベル又はロ−レベルに極性が反転する対称矩形波を発生する。ここでは、2n分周回路172は、水平同期信号を5個カウントする毎に極性が反転する対称方形波を発生するものとして説明する。これにより、このタイミング制御回路170から出力される正極性スイッチ制御信号及び負極性スイッチ制御信号は、5H毎に交互に出力されて図7に示したシフトレジスタ91a及び91bに供給される。なお、この場合は分割画素部90−1〜90−hのそれぞれは5ライン毎に分割されている。
図17に戻って説明する。初期値テ−ブル171は、垂直同期信号VDをカウントし、カウント数に応じて後述する図18乃至図20の各実施の形態の駆動方法にて示されるタイミングの初期値を2n分周回路172にロ−ドする。例えば、垂直同期信号VDが入力されると、初期値テーブル171は、そのときのVDカウンタ値に応じた初期値を2n分周回路172にロードする。これにより、2n分周回路172は、初期値として「0」がロードされたときは、垂直同期信号VD入力後、水平同期信号HDを「1」からカウント開始して5個目の水平同期信号HDが入力された時にHDカウント値が「5」になるので、所定レベルになり、以降水平同期信号HDが5個入力される毎に反転する対称方形波を発生する。また、2n分周回路172は、初期値として「1」がロードされたときは、垂直同期信号VD入力後、水平同期信号HDを「2」からカウント開始して4個目の水平同期信号HDが入力された時にHDカウント値が「5」になるので、所定レベルになり、以降水平同期信号HDが5個入力される毎に反転する対称方形波を発生する。
2n分周回路172の分周比は、その分周出力の切り替わり周期が所望の極性反転周期となるように選択されている。これにより、2n分周回路172の分周出力信号を液晶駆動電圧の極性切り替えの基本タイミング信号として利用することができる。2n分周回路172から出力される対称矩形波は、水平、垂直走査タイミングと同期した共通電極電圧切り替え制御信号の原信号として、D−FF1731のデ−タ入力端子Dに印加される。
なお、図示はしていないが、2n分周回路172の出力端子とD−FF1731のデ−タ入力端子Dとの間に、一定期間信号を遅延する遅延回路を介在させることにより、水平同期信号HDと極性切り替えタイミングの基準電圧との間の位相を、この遅延回路による遅延量分だけずらして設定することも可能である。この場合、上記の遅延量を加減することにより、水平走査の動作タイミングと極性切り替え動作との同期を保ったまま相互位相を調整することが可能となり、映像信号走査と極性切り替え動作の相互干渉により発生するノイズが最も軽減される条件を選ぶことが可能になる。
D−FF1731〜1735の各々は1ビットラッチ回路であり、クロック端子には本実施の形態のタイミング制御の時間単位に相当する周期を有する基本クロックCLKが共通に入力される。カスケ−ド接続された5個のD−FF1731〜1735は、5段のシフトレジスタを構成し、初段のD−FF1731のデ−タ入力端子Dには、2n分周回路172から共通電極電圧Vcomの極性切り替え周期と一致した制御タイミングパルスが入力され、これがD−FF1731〜1735の各Q出力端子に1クロック時間単位ずつ遅延して出力される。
本実施の形態では、共通電極電圧Vcomの極性切り替えを画素駆動電極電圧VPEの極性切り替えに先行するように制御するので、初段のD−FF1731のQ出力信号を共通電極電圧Vcomとする。また、AND回路176は、2段目のD−FF1732のQ出力信号をインバ−タ174で論理反転した信号と、5段目のD−FF1735のQ出力信号を論理積演算し、配線S+で伝送される正極性スイッチ制御信号を出力する。また、AND回路177は、5段目のD−FF1735のQ出力信号をインバ−タ175で論理反転した信号と、2段目のD−FF1732のQ出力信号を論理積演算し、配線S-で伝送される負極性スイッチ制御信号を出力する。
従って、AND回路176及び177は、正極性スイッチ制御信号及び負極性スイッチ制御信号を共通電極電圧Vcomの5H毎の変化に同期して、5H毎に交互に出力して図7に示したシフトレジスタ91a及び91bに供給する。また、EX−OR回路178は、図3又は図4に示した画素回路のソ−スフォロワ・バッファ回路の定電流負荷トランジスタをアクティブとする配線Bの負荷制御信号を生成して、図7に示したシフトレジスタ91cに供給する。
なお、上記画素回路のソ−スフォロワ・バッファ回路の定電流負荷トランジスタ(図3のQ7及びQ8、又は図4のQ9)をオンからオフに移行する制御は、画素極性切り替えスイッチ(図3、図4のQ5及びQ6)がオン状態を保っている期間に完了させる必要があることから、定電流負荷トランジスタのオフタイミングを4段目のD−FF1734のQ出力信号から生成し、また、画素極性切り替えスイッチのオフタイミングはそれより遅延した5段目のD−FF1735のQ出力信号から生成している。
以上のように、このタイミング制御回路170は、基準クロックCLKの周期で共通電極、画素スイッチ、画素バッファ負荷の制御を所定のタイミング関係で確実に実現することができる。
なお、図17に示すタイミング制御回路170は、原入力信号が共通電極制御信号で、これを遅延させて所望のタイミング制御信号を生成する構成となっている。しかし、タイミング制御回路は、図17に示す回路構成に限定されるものではなく、図16に説明したタイミング制御の基本を実現するものであればよい。
次に、上記の図17に示したタイミング制御回路170を用いて行う本発明の液晶表示装置の駆動方法の各実施の形態について図18乃至図20と共に説明する。
図18は、図17に示したタイミング制御回路170を用いた本発明になる液晶表示装置の駆動方法の第4の実施の形態の説明図を示す。この実施の形態の駆動方法は、図18(A)に示すように、最初のフレ−ムはライン1で極性切り替えを行い、その後、垂直走査方向にライン6、ライン11、・・・と順次5ライン毎に極性切り替えを行う。
続いて、次のフレ−ム(2フレ−ム目)になると、図18(A)に示すように、垂直走査方向に1ラインシフトしてライン2から切り替えを行い、その後、垂直走査方向にライン7、ライン12、・・・と順次5ライン毎に極性切り替えを行う。以下、同様に、図18(A)に示すように、3フレ−ム目は、ライン3から順次5ライン毎に極性切り替えを行い、4フレ−ム目は、ライン4から順次5ライン毎に極性切り替えを行う。そして、そして5フレ−ム目にライン5から順次5ライン毎に極性切り替えを行った後、6フレ−ム目において再びライン1で行ったと同じ極性切り替えを行う、という動作を5フレ−ム周期で繰り返す。
上記の動作を行うため、図17に示したタイミング制御回路170は、1フレ−ム目の垂直同期信号が入力されたときは、初期値テーブル171は、VDカウンタ値が「1」であるので、このとき初期値「4」を2n分周回路172にロードする。これにより、2n分周回路172は、垂直同期信号VD入力後、水平同期信号HDを「4」からカウント開始して1個目の水平同期信号HDが入力された時にHDカウント値が「5」になるので、所定レベルになり、以降水平同期信号HDが5個入力される毎に反転する対称方形波を発生する。従って、1フレーム目は、ライン1、ライン6、ライン11、・・・と順次5ライン毎に正極性スイッチ制御信号及び負極性制御信号が交互に出力されると共に、負荷制御信号が出力されて極性切り替えを行う。
続いて、2フレ−ム目の垂直同期信号が入力されたときは、初期値テーブル171は、VDカウンタ値が「2」であるので、このとき初期値「3」を2n分周回路172にロードする。これにより、2n分周回路172は、垂直同期信号VD入力後、水平同期信号HDを「3」からカウント開始して2個目の水平同期信号HDが入力された時にHDカウント値が「5」になるので、所定レベルになり、以降水平同期信号HDが5個入力される毎に反転する対称方形波を発生する。従って、2フレーム目は、ライン2、ライン7、ライン12、・・・と順次5ライン毎に正極性スイッチ制御信号及び負極性制御信号が交互に出力されると共に、負荷制御信号が出力されて極性切り替えを行う。
以下、同様にして、初期値テーブル171は、3フレ−ム目の垂直同期信号が入力されたときは初期値「2」を、4フレ−ム目の垂直同期信号が入力されたときは初期値「1」を、5フレ−ム目の垂直同期信号が入力されたときは初期値「0」を、2n分周回路172にロードする。これにより、2n分周回路172は、3フレーム目では垂直同期信号VD入力後3個目の水平同期信号HD入力時点から、4フレーム目では垂直同期信号VD入力後4個目の水平同期信号HD入力時点から、5フレーム目では垂直同期信号VD入力後5個目の水平同期信号HD入力時点から、水平同期信号HDが5個入力される毎に反転する対称方形波を発生する。なお、初期値テーブル171及び2n分周回路172は、5フレーム周期で上記の動作を行う。
このようにして、本実施の形態の駆動方法によれば、図18(B)に模式的に示すように、画面には画素回路の極性切り替えによる横縞の発生するライン位置が、各フレ−ムにおいて5ライン毎に表示され、かつ、そのライン位置が5フレ−ム周期で変化するため、クロスト−クによる階調の変動が人間の目の積分効果により平均化して見え、視覚上横縞の発生位置を目立たなくすることができる。
図19は、図17に示したタイミング制御回路170を用いた本発明になる液晶表示装置の駆動方法の第5の実施の形態の説明図を示す。この実施の形態の駆動方法は、前述したように液晶表示装置が、垂直走査周波数が60Hzで、走査線数1125ラインで構成されているフルハイビジョンの映像信号を表示するものとすると、図19(A)に示すように、最初のフレ−ムはライン1で極性切り替えを行い、その後、垂直走査方向にライン6、ライン11、・・・と順次5ライン毎に極性切り替えを行う。
続いて、次のフレ−ム(2フレ−ム目)になると、図19(A)に示すように、垂直走査方向に2ラインシフトしてライン3から切り替えを行い、その後、垂直走査方向にライン8、ライン13、・・・と順次5ライン毎に極性切り替えを行う。以下、同様に、図19(A)に示すように、3フレ−ム目は、ライン5から順次5ライン毎に極性切り替えを行う。このように1フレ−ムから3フレ−ムでは極性切り替えの開始ライン位置を1ラインから5ラインのうち奇数ラインの位置とし、かつ、その位置を変更する。そして、奇数ラインの極性切り替えの開始ライン位置の指定が終了した4フレ−ム目は、1ラインから5ラインのうち偶数ラインのライン2から順次5ライン毎に極性切り替えを行う。そして、そして5フレ−ム目に偶数ラインのライン4から順次5ライン毎に極性切り替えを行った後、6フレ−ム目において再びライン1で行ったと同じ極性切り替えを行う、という動作を5フレ−ム周期で繰り返す。
図19(A)と共に説明した動作を行うため、図17に示したタイミング制御回路170は、初期値テーブル171が、垂直同期信号のカウント値とロードする初期値の関係が図18の場合とは異なるだけで、上記と同様の動作を行う。
すなわち、図17に示したタイミング制御回路170は、1フレ−ム目の垂直同期信号が入力されたときは、初期値テーブル171は、VDカウンタ値が「1」であるので、このとき初期値「4」を2n分周回路172にロードする。これにより、2n分周回路172は、垂直同期信号VD入力後、水平同期信号HDを「4」からカウント開始して1個目の水平同期信号HDが入力された時にHDカウント値が「5」になるので、所定レベルになり、以降水平同期信号HDが5個入力される毎に反転する対称方形波を発生する。従って、1フレーム目は、ライン1、ライン6、ライン11、・・・と順次5ライン毎に正極性スイッチ制御信号及び負極性制御信号が交互に出力されると共に、負荷制御信号が出力されて極性切り替えを行う。
続いて、2フレ−ム目の垂直同期信号が入力されたときは、初期値テーブル171は、VDカウンタ値が「2」であるので、このとき初期値「2」を2n分周回路172にロードする。これにより、2n分周回路172は、垂直同期信号VD入力後、水平同期信号HDを「2」からカウント開始して3個目の水平同期信号HDが入力された時にHDカウント値が「5」になるので、所定レベルになり、以降水平同期信号HDが5個入力される毎に反転する対称方形波を発生する。従って、2フレーム目は、ライン3、ライン8、ライン13、・・・と順次5ライン毎に正極性スイッチ制御信号及び負極性制御信号が交互に出力されると共に、負荷制御信号が出力されて極性切り替えを行う。
以下、同様にして、初期値テーブル171は、3フレ−ム目の垂直同期信号が入力されたときは初期値「0」を、4フレ−ム目の垂直同期信号が入力されたときは初期値「3」を、5フレ−ム目の垂直同期信号が入力されたときは初期値「1」を、2n分周回路172にロードする。これにより、タイミング制御回路170は、3フレーム目はライン5から、4フレーム目はライン2から、5フレーム目はライン4からそれぞれ5ライン毎に正極性スイッチ制御信号及び負極性制御信号が交互に出力すると共に、負荷制御信号を出力して極性切り替えを行う。
このようにして、本実施の形態の駆動方法によれば、図19(B)に模式的に示すように、画面には画素回路の極性切り替えによる横縞の発生するライン位置が、各フレ−ムにおいて5ライン毎に表示され、かつ、各フレ−ムの横縞の発生するライン開始位置が丸数字で示す順番で5フレ−ム周期で分散される(散らされる)ため、クロスト−クによる階調の変動が人間の目の積分効果により平均化して見え、視覚上横縞の発生位置を目立たなくすることができる。
図20は、図17に示したタイミング制御回路170を用いた本発明になる液晶表示装置の駆動方法の第6の実施の形態の説明図を示す。この実施の形態の駆動方法は、前述したように液晶表示装置が、垂直走査周波数が60Hzで、走査線数1125ラインで構成されているフルハイビジョンの映像信号を表示するものとすると、図20(A)に示すように、最初のフレ−ムはライン1で極性切り替えを行い、その後、垂直走査方向にライン6、ライン11、・・・と順次5ライン毎に極性切り替えを行う。
続いて、次のフレ−ム(2フレ−ム目)になると、図20(A)に示すように、垂直走査方向に最も離れたラインへシフトしてライン5から極性切り替えを行い、その後、垂直走査方向にライン10、ライン15、・・・と順次5ライン毎に極性切り替えを行う。続いて、次のフレ−ム(3フレ−ム目)になると、図20(A)に示すように、極性切り替えを行っていない最も遠いライン2から極性切り替えを行い、その後、垂直走査方向にライン7、ライン12、・・・と順次5ライン毎に極性切り替えを行う。以下、同様にして、図20(A)に示すように、4フレ−ム目はライン4から極性切り替えを5ライン毎に行い、5フレ−ム目はライン3から極性切り替えを5ライン毎に行う。そして、6フレ−ム目で再びライン1で行ったと同じ極性切り替えを行う、という動作を5フレ−ム周期で繰り返す。
図20(A)と共に説明した動作を行うため、図17に示したタイミング制御回路170は、図17に示したタイミング制御回路170は、初期値テーブル171が、垂直同期信号のカウント値とロードする初期値の関係が図18、図19の場合とは異なるだけで、上記と同様の動作を行う。
すなわち、図17に示したタイミング制御回路170は、1フレ−ム目の垂直同期信号が入力されたときは、初期値テーブル171は、VDカウンタ値が「1」であるので、このとき初期値「4」を2n分周回路172にロードする。これにより、2n分周回路172は、垂直同期信号VD入力後、水平同期信号HDを「4」からカウント開始して1個目の水平同期信号HDが入力された時にHDカウント値が「5」になるので、所定レベルになり、以降水平同期信号HDが5個入力される毎に反転する対称方形波を発生する。従って、1フレーム目は、ライン1、ライン6、ライン11、・・・と順次5ライン毎に正極性スイッチ制御信号及び負極性制御信号が交互に出力されると共に、負荷制御信号が出力されて極性切り替えを行う。
続いて、2フレ−ム目の垂直同期信号が入力されたときは、初期値テーブル171は、VDカウンタ値が「2」であるので、このとき初期値「0」を2n分周回路172にロードする。これにより、2n分周回路172は、垂直同期信号VD入力後、水平同期信号HDを「0」からカウント開始して5個目の水平同期信号HDが入力された時にHDカウント値が「5」になるので、所定レベルになり、以降水平同期信号HDが5個入力される毎に反転する対称方形波を発生する。従って、2フレーム目は、ライン5、ライン10、ライン15、・・・と順次5ライン毎に正極性スイッチ制御信号及び負極性制御信号が交互に出力されると共に、負荷制御信号が出力されて極性切り替えを行う。
以下、同様にして、初期値テーブル171は、3フレ−ム目の垂直同期信号が入力されたときは初期値「3」を、4フレ−ム目の垂直同期信号が入力されたときは初期値「1」を、5フレ−ム目の垂直同期信号が入力されたときは初期値「2」を、2n分周回路172にロードする。これにより、タイミング制御回路170は、3フレーム目はライン2から、4フレーム目はライン4から、5フレーム目はライン3からそれぞれ5ライン毎に正極性スイッチ制御信号及び負極性制御信号が交互に出力すると共に、負荷制御信号を出力して極性切り替えを行う。
このようにして、本実施の形態の駆動方法によれば、図20(B)に模式的に示すように、画面には画素回路の極性切り替えによる横縞の発生するライン位置が、各フレ−ムにおいて5ライン毎に表示され、かつ、各フレ−ムの横縞の発生するライン開始位置が丸数字で示す順番で5フレ−ム周期で分散される(散らされる)。この分散は、極性切り替えが行われていない垂直方向に最も離れたラインへシフトするように行われるため、クロスト−クによる階調の変動が人間の目の積分効果により、より一層平均化して見え、視覚上横縞の発生位置をより目立たなくすることができる。
なお、図18〜図20に示した実施の形態において、最初のフレ−ムの極性切り替えラインは、ライン1として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、どのラインから極性切り替えを開始するようにしてもよい。
次に、本発明になる液晶表示装置のより具体的な全体構成及び映像信号のサンプリング回路(水平方向駆動回路)の実施例について説明する。
図21は、本発明になる液晶表示装置の一実施例の全体構成図、図22は、図21中の水平ドライバ回路の回路図を示す。図21に示すように、液晶表示装置200は、シフトレジスタ回路201a及び201bと、1ラインラッチ回路202と、コンパレ−タ203と、階調カウンタ204と、アナログスイッチ205と、水平方向にm個、垂直方向にn個それぞれマトリクス状に配置された画素回路206と、タイミング発生器207と、極性切り替え制御回路208と、垂直シフトレジスタ及びレベルシフタ209とから構成される。なお、画素回路206は、各々液晶素子を含んでおり、画素でもある。
シフトレジスタ回路201a及び201b、1ラインラッチ回路202、コンパレ−タ203、及び階調カウンタ204は、水平ドライバ回路を構成している。この水平ドライバ回路は、図2に示した水平方向駆動回路10に相当し、アナログスイッチ205と共にデ−タ線駆動回路を構成している。デ−タ線駆動回路は、図22にも示してある。なお、コンパレ−タ203は、図21では図示の簡単のために一つのブロックで示しているが、実際には図22に示すように各画素列毎に設けられている。
図21及び図22に示すアナログスイッチ205は、各画素列毎に正極性用及び負極性用の2つ1組のサンプリング用アナログスイッチが配置された構成である。正極性用のサンプリング用アナログスイッチは、図2に示したスイッチ1−1a、1−2a等に相当し、負極性用のサンプリング用アナログスイッチは、図2に示したスイッチ1−1b、1−2b等に相当する。図21に示す画素回路206は、2系統のデ−タ線(D1+とD1-、・・・、Dm+とDm-)とゲ−ト線(G1、・・・、Gn)との交差部に配置されている。これらn・m個の画素回路206は、それぞれ図3(図1)又は図4の回路構成とされている。
図21に示す極性切り替え制御回路208は、タイミング発生器207からのタイミング信号に基づいて、前述した配線S+に第1のゲ−ト制御信号(正極性スイッチ制御信号)、配線S-に第2のゲ−ト制御信号(負極性スイッチ制御信号)、配線Bに負荷特性制御信号をそれぞれ出力する。図21に示す垂直シフトレジスタ及びレベルシフタ209は、図2に示した垂直方向駆動回路20に相当し、ゲ−ト線G1〜Gnに対してゲ−ト信号を1水平走査周期で順次出力して、ゲ−ト線G1〜Gnを1水平走査周期で順次選択する。なお、図21において、画素回路206を複数行ずつグル−プ化して図7に示した分割画素部90−1〜90−hを構成した場合は、極性切り替え制御回路208を、図11、図14、図17のタイミング制御回路の構成とすることもできる。
次に、図21及び図22の動作について、図23のタイミングチャ−トを併せ参照して説明する。図21及び図22において、図23(A)に示す水平同期信号HDに同期した、同図(B)に示す複数ビットの画素デ−タ(DATA)が時系列的に合成されたデジタル映像信号は、シフトレジスタ回路201a、201bで1ライン分のデ−タとして順次展開され、1ライン分の展開が終了した時点で、1ラインラッチ回路202でラッチされる。
なお、図23(B)に示す画素デ−タ(DATA)のうち、白地の一つ置きに示す水平方向の偶数列画素デ−タDATA(even)がシフトレジスタ回路201aに供給され、斜線を付した残りの一つ置きに示す水平方向の奇数列画素デ−タDATA(odd)がシフトレジスタ回路201bに供給される。これは、高解像度パネルでの高速動作への対応を容易とするためである。
1ラインラッチ回路202は、シフトレジスタ回路201aから出力される奇数列画素デ−タDATA(odd)と、シフトレジスタ回路201bから出力される偶数列画素デ−タDATA(even)とからなる同じラインの1ライン期間の画素デ−タDATAを図23(D)に模式的に示すように保持した後、各画素列のコンパレ−タ203の第1のデ−タ入力部に供給する。
階調カウンタ204は、図23(E)に示すクロックCount-CKをカウントして、同図(F)に示すように複数の階調値が水平走査期間内で最小値から最大値まで順次に変化する基準階調デ−タC-outを水平走査期間毎に出力し、各画素列のコンパレ−タ203の第2のデ−タ入力部に供給する。コンパレ−タ203は、第1のデ−タ入力部の入力画素デ−タDATAの値と第2のデ−タ入力部の入力基準階調デ−タC-outの値(階調値)とを比較し、両者の値が一致したタイミングで一致パルスを生成して出力する。
アナログスイッチ205を構成する正極性用及び負極性用の2つ1組のサンプリング用アナログスイッチのうち、正極性用のサンプリング用アナログスイッチは、入力側共通配線に基準ランプ電圧Ref_Ramp(+)が印加される。一方、負極性用のサンプリング用アナログスイッチは、入力側共通配線に基準ランプ電圧Ref_Ramp(-)が印加される。図2に示したコントロ−ラ60内に存在する基準電圧発生回路が発生する上記の基準ランプ電圧Ref_Ramp(+)及びRef_Ramp(-)のうち、Ref_Ramp(+)は、図23(I)に示すように水平走査期間周期で映像の黒レベルから白レベルにレベルが上昇する方向に変化する周期的な掃引信号である。一方、上記の基準ランプ電圧Ref_Ramp(-)は、図23(J)に示すように水平走査期間周期で映像の黒レベルから白レベルにレベルが減少する方向に変化する周期的な掃引信号である。従って、基準ランプ電圧Ref_Ramp(+)とRef_Ramp(−)は、所定の基準電位について反転関係となっている。
アナログスイッチ205は、図23(G)に示すSW-Start信号を受け、水平走査期間の開始時点で一斉にオンとなった後、コンパレ−タ203から一致パルスを受けた時点でオフに移行するように開閉制御される。図23のタイミングチャ−トでは、一例として階調レベルkの画素デ−タDATAに対応した画素列のアナログスイッチ205の開閉タイミングを、同図(H)に示す波形SPkとして図示している。その結果、上記画素列のアナログスイッチ205を構成する正極性用及び負極性用の2つ1組のサンプリング用アナログスイッチが、上記一致パルスを受けて同時にオフした時点の基準ランプ電圧Ref_Ramp(+)とRef_Ramp(−)の対応レベル(図23(I)、(J)の点P、点Q)が、同時にサンプリングされて、その画素列の画素デ−タ線D(+)、D(−)に出力される。
以上、構成と動作について説明した本実施例の水平ドライバ回路によれば、簡易な構成で各画素に正負両極性の画素デ−タを供給することができる。また、本実施例の水平ドライバ回路によれば、図21に示すように液晶表示装置への映像入力をデジタル信号でインタ−フェイスすることが可能で、外部駆動回路で高帯域の映像信号を高精度で処理するためのアナログ回路ブロックが不要となるため、回路コストを低減することができる。