JP2011027346A - クロスフィンチューブ式熱交換器 - Google Patents

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【課題】アルミフィンと銅管、あるいはアルミフィンとアルミ管を組み合わせたクロスフィンチューブ式熱交換器において、熱伝導管を最小肉厚に抑えることにより、経済効果と熱効率の高い熱交換器を提供するものである。
【解決手段】クロスフィンチューブ式熱交換器にして、熱伝導管2をそれら開口部内に冷媒出入り管5、7と、更に熱伝導管2同士をそれらの開口部内にUベント管6の両端部をそれぞれ挿入せしめて、ロー付け固定することにより、接続せしめるようにした構造のものにおいて、ロー付け箇所近傍に、熱伝導管2よりわずか太めの補強管8−1をロー付け前に挿入してロー付けし、2重構造したことにより、熱伝導管を最小肉厚にすることを可能にした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、クロスフィンチューブ式熱交換器にして、積層フィンに挿通された熱伝導管をそれら開口部内に冷媒出入りパイプと、更に熱伝導管同士を、それらの開口部内にUベント管の両端部をそれぞれ挿入せしめて、ロー付け固定することにより、接続せしめるようにした構造のクロスフィンチューブ式熱交換器の改良に関するものであり、空調調和機等の熱交換器として利用される。
図4は、一般的なクロスフィンチューブ式熱交換器の外観を示す斜視図である。クロスフィンチューブ式熱交換器は、両端に管板1、4を備え、管板1、4間に平行に離間して複数の放熱フィン3と、放熱フィン3を貫通して管板1、4間に並列に設けた複数の熱伝導管2と、冷媒入り管5と冷媒出口管7を除き少なくとも1本の冷媒流路が形成されるように熱伝導管2の端部同士を接続するUベント管6で構成されている。
図5は、図4に示したクロスフィンチューブ式熱交換器のAで示した部分の要部拡大図である。熱伝導管2にこれより若干小口径の冷媒出口管7が挿入され、両者をロー付けする。このロー付け箇所の近接部分、すなわち、図5で言うB点より左側部分もロー付け温度(700〜800℃)近くまで加熱・焼鈍され、合わせて引っ張り強さの低下が生じる。冷媒入り管5やUベント管6も同様にロー付けされるので、同様の箇所での熱伝導管2の引っ張り強さの低下が生じる。
一般に、クロスフィンチューブ式熱交換器の製造では、金属管の外径よりも若干大きな内径の孔を放熱フィンに形成しておき、その孔に熱伝導管となる金属管を挿入した後、当該金属管を拡管して放熱フィンと接合させる方法が採用されている。そして、金属管の拡管方法としては、金属管の一端からマンドレルを押し込む方法、流路の一端を閉じて他端から高圧の液体を注入する方法、金属管の一端から液体圧力によって銅球(ボール)を押し込む方法等がある。このほか、金属管の外径より若干小さな内径の孔を放熱フィンに形成しておき、プレス等によって強制的に金属管を挿入する方法も採用されている。
ところで、空気調和機等に使用する熱交換器では、アルミフィンと銅管、あるいはアルミフィンとアルミ管を組み合わせたクロスフィンチューブ式熱交換器が多く使用されている。この種の熱交換器は、高圧冷媒ガス使用のため耐圧性能が要求されている。特に近年、地球環境保全の意味から、炭酸ガス冷媒の使用が多くなって来ている。従来冷媒と異なり使用圧力が高いためより耐圧性が求められ熱伝導管の板厚が厚くなる傾向にあった。熱伝導管の板厚が厚くなると熱伝導管からフィンへの熱伝導効率が悪くなるため、熱交換器全体が大きくなる傾向にあった。それの回避のため伝導管内側に効率向上のため溝を形成し、熱交換を促進させる方法もある(特許文献1)が、両者いずれも経済効果の面からも好ましい姿ではありませんでした。また、管内径が細くなるため配管流量抵抗が増し、冷媒ガスを送り出すコンプレッサーへの負荷を増大させていた。
特開2006−162100号公報
従来より、アルミフィンと銅管、あるいはアルミフィンとアルミ管を組み合わせたクロスフィンチューブ式熱交換器において、経済効果と熱効率の高い熱交換器を提供するためには熱伝導管の肉厚は、熱伝導の効率アップのためには薄い方が好ましい。
しかし、熱伝導管の肉厚は、冷媒ガス圧に耐える肉厚が要求されている。「冷凍保安規則関係基準 23.6.4」では、次の式1に基づいて最小厚さを規定している。

t=P*Do*(1+Do/4*R)/(2*σa*η+0.8*P) ・・・・式1

・t:管の最小厚さ(mm)
・P:設計圧力(MPa)
・Do:管外径(mm)
・σa:材料の許容引張応力(N/mm
・η:溶接継ぎ手の効率(=1)
・R:管の中心線における曲げ半径(mm)

この式1における設計圧力については、「冷凍保安規則関係条項 第64条第1号・2号」に記載されている。従来冷媒、例えばR502、アンモニア等冷媒については、基準凝縮温度43℃において、凝縮圧力はそれぞれ1.7MPa、1.6MPaであるが、近年、地球環境保護の観点から「炭酸ガス冷媒」の使用が多くなっている炭酸ガス冷媒の場合、同じ温度で、8.3MPaと高圧になり、R502、アンモニア等冷媒等の4.88倍、5.18倍と高圧になっているのが分かる。
炭酸ガス冷媒等の高い凝縮圧力の値を、上記した式1に代入すれば、最小板厚が同様の倍数で必要になることが理解される。それにより、板厚アップによる熱伝達効率の低下、効率の低下に伴いそれを補うために大型化になる問題点があった。
その問題点を回避する手段の一つとして、上記した式1のσa:材料の許容引張応力(N/mm)の高い材料を選ぶのが賢明と判断される。材料の許容引張応力については、銅管の場合「JIS H 3300」、アルミ管の場合「JIS H 4080」に記載されている。例えば、銅材、C−1220において、質別0の場合、引っ張り強さは205N/mm以上に対し、加工硬化を施した質別1/2Hの場合、引っ張り強さは245〜325N/mmとなり、硬化加工を施した材料採用によって、管の板厚低減に貢献することが明白である。
しかしながら、そのような硬度材を使用しても、ロー付け近接部の熱伝導管においては、焼鈍現象が発生し、折角の硬度材が焼鈍され、それによって引張強さの低下が生じるために、実際の破壊耐圧実験によると、図5中のB点から左で、管板4との間での膨らみ熱伝導管2が破裂する問題点がある。
本発明は、積層した放熱フィンに挿通された熱伝導管をそれら開口部内に冷媒出入り管と、更に熱伝導管同士をそれらの開口部内にUベント管の両端部をそれぞれ挿入せしめて、ロー付け固定することにより、接続せしめるようにしたクロスフィンチューブ式熱交換器において、ロー付け箇所近傍に、熱伝導管よりわずか太めの補強管をロー付け前に挿入してロー付けして2重構造したことを特徴とする。
また、本発明は、前記補強管の一端を拡管して前記熱伝導管、Uベント管および冷媒出入り管の内径を揃えることを特徴とする。
更に、本発明は、前記補強管の一端に水抜き用の穴を設けたことを特徴とする。
本発明に依れば、補強管の追加により、熱伝導管の肉厚を増やさずに耐圧強度上昇が可能となった。これにより、熱伝導管の板厚が薄くなると、熱伝導管からフィンへの熱伝導効率の向上が可能となり熱交換器全体のコンパクトが可能と共に、配管流量抵抗が軽減でき、冷媒ガスを送りだすコンプレッサーへの負荷減少も可能にした。
また、本発明に依れば、一端を拡管された補強管を用いることにより、熱伝導管、ベント管および冷媒出入り口管の内径を3者共に同程度に揃えることができ、冷媒の配管流量抵抗低減を必要とする場合に適用される。
更に、本発明に依れば、補強管内側に隙間が発生し、熱交換器使用温度帯が氷点下以下の場合、その僅かな隙間に水が滞留しても、水抜き用の穴9から滞留する水を外部に放出できるので、熱伝導管や補強管の破壊を防止できる。
本発明の実施例1を説明する要部拡大一部断面図である。 本発明の実施例2を説明する要部拡大一部断面図である。 本発明の実施例3を説明する要部拡大一部断面図である。 一般的なクロスフィンチューブ式熱交換器の斜視図である。 図4にAで示した部分の要部拡大一部断面図である。
本発明は図4で示した従来からの一般的なクロスフィンチューブ式熱交換器に適用されるものであり、図1、図2および図3は図4のAで示した要部拡大一部断面図である。また、図1は本発明の実施例1に対応し、図2は本発明の実施例2に対応し、図3は本発明の実施例3に対応している。
実施例1を適用するクロスフィンチューブ式熱交換器は、図4に示すように、両端に管板1、4を備え、管板1、4間に平行に離間して複数の放熱フィン3と、放熱フィン3を貫通して管板1、4間に並列に設けた複数の熱伝導管2と、冷媒入り管5と冷媒出口管7を除き少なくとも1本の冷媒流路が形成されるように熱伝導管2の端部同士を接続するUベント管6で構成されている。
実施例1では、図1に示すように、熱伝導管2にこれより若干小口径の冷媒出入り口管5、7が挿入され、両者をロー付けする。このロー付け箇所の近接部分、すなわち、図1で言うB点より左側部分から管板1、4もロー付け温度(700〜800℃)近くまで加熱・焼鈍され、焼鈍現象の見られる箇所である。また、冷媒入り管5やUベント管6も同様にロー付けされるので、同様の箇所に焼鈍現象の見られる箇所が生じる。
実施例1ではこの焼鈍現象の見られる箇所に、ロー付け前に補強管(8−1)を挿入したことを特徴とする。すなわち、熱伝導管2にUベント管6及び冷媒出入り口管5、7挿入前に、補強管8−1を先に挿入し、その後にUベント管6及び冷媒出入り口管5、7の挿入部分および補強管8−1を熱伝導管2とロー付けを行う。Uベント管6及び冷媒出入り口管5、7の挿入部分および補強管8−1内側全体にロー付けが出来ているのを望ましい。
熱伝導管2、Uベント管6、冷媒出入り口管5、7、及び補強管8−1の材料は、銅管の場合、押広げ性・曲げ性・絞り加工性・溶接性・耐食性・耐候性・熱伝導性が優れていることから、また、還元性雰囲気中で高温加熱しても水素ぜい化を起こす恐れのない「C1220T」のリン脱酸銅の使用がほとんどであり、JISでも熱交換器用として推奨しており、フルオロカーボン系冷媒や炭酸ガス冷媒に多く使用されている。
一方、アンモニア冷媒に銅管を使用すると腐食で使用不能となるため、その腐食反応のないアルミ管が使用される、材料は、溶接性・耐久性が優れていることから、JISの「1050」の使用が多く、更なる耐久性を求める場合、「3000」を母材に「7000」を表面処理した管の場合も多くなってきている。
銅管同士の場合のロー付け用のロー材は、表1に示すように、銀・銅・亜鉛等を主成分とする銀ロー(JISでの名称:BAg−5/7)やリン銅ロー(JISでの名称:BCup−3/5)等を使用するが、ロー付け温度がいずれも、銅の焼鈍温度(約450〜650℃)より高いことが分かる。
Figure 2011027346
一方、アルミ同士の場合のロー付け用のロー材は、表2に示すように、シリコン・銅等を成分とするアルミ用ロー材(JISでの名称:BA4045/BA4047)を使用するが、ロー付け温度がいずれも、アルミの焼鈍温度(約345℃、空冷または炉冷)より高いことが分かる。
Figure 2011027346
ロー付け作業は、アセチレンバーナーでロー付け箇所を加熱し、作業者の経験と母材の赤色度変化から母材温度を確認し、ロー材を流し込み作業を終了する。その後、ロー付け部は空冷となり、焼鈍温度帯を通過することになる。
実施例1では、熱伝導管2にUベント管6及び冷媒出入り口管5、7挿入する部分(図1ではC−B間)において、熱伝導管2とUベント管6もしくは冷媒出入り口管5、7が2重構造になっており、強固になっているためにここでの熱伝導管の膨らみや破裂は発生しない。次に、熱伝導管2にUベント管6及び冷媒出入り口管5、7挿入する部分の端部(図1ではB)から管板1、4までにおいて、熱伝導管2と補強管8−1とが2重構造になっており、右端部分は更にUベント管6もしくは冷媒出入り口管5、7と重なり3重構造になっており、強固になっているためにここでの熱伝導管の膨らみや破裂は発生しない。
表3に、従来の補強管を有していない[図5]の構造と、実施例1の補強管8−1
を追加した[図1]の構造を比較するために実施した破壊テスト結果を示す。破壊テスト
では、冷媒出入り口管の一方を封じ、もう一方からピストン式水ポンプで加圧し破壊テストをおこなった。熱伝導管の拡管方法としては、金属管の一端からマンドレルを押し込む方法を行い、外径6.35mmから6.75mmまで拡管をおこなった。
Figure 2011027346
破壊テスト結果から、以下のことが考察される。
表3の丸数字1では熱伝導管2として外径(OD)6.75mm、厚み0.8mmの「C1220T−0」のリン脱酸銅を用いた。この場合の破壊耐圧は上記した式1より53.7Mpaである。Uベント管6及び冷媒出入り口管5、7も同様に「C1220T−0」のリン脱酸銅を用い、外径を熱伝導管2に挿入されることを考慮して少し小さくして5.0mm、厚み0.8mmとした。補強管を設けない従来の構造では実際の破壊耐圧は48Mpaであり、破壊箇所はBと管板との間であった。
これに対して、表3の丸数字2では丸数字1に対して補強管8−1を設けた構造である。補強管は同様に「C1220T−0」のリン脱酸銅を用い、外径は熱伝導管2を覆うことを考慮して少し大きくして8.0mm、厚み0.5mmとした。補強管を設けた実施例1での構造では実際の破壊耐圧は61Mpaであり、破壊箇所は熱伝導管2の管板1、4間の直線部分であった。
次に、表3の丸数字3では熱伝導管2として外径(OD)6.75mm、厚み1.0mmの「C1220T−0」のリン脱酸銅を用いた。この場合の破壊耐圧は上記した式1より68.9Mpaである。Uベント管6及び冷媒出入り口管5、7も同様に「C1220T−0」のリン脱酸銅を用い、外径を熱伝導管2に挿入されることを考慮して少し小さくして5.0mm、厚み0.8mmとした。補強管を設けない従来の構造では実際の破壊耐圧は61Mpaであり、破壊箇所はBと管板との間であった。
これに対して、表3の丸数字4では丸数字3に対して補強管8−1を設けた構造である。補強管は同様に「C1220T−0」のリン脱酸銅を用い、外径を熱伝導管2を覆うことを考慮して少し大きくして8.0mm、厚み0.5mmとした。補強管を設けた実施例1での構造では実際の破壊耐圧は74Mpaであり、破壊箇所は熱伝導管2の管板1、4間の直線部分であった。
補強管の効果としては、約1.21〜1.27倍程、耐圧強度が上昇を示している。補強管の追加により、熱伝導管の肉厚を増やさずに耐圧強度上昇が可能となった。これにより、熱伝導管の板厚が薄くなると、熱伝導管からフィンへの熱伝導効率の向上が可能となり熱交換器全体のコンパクトが可能と共に、配管流量抵抗が軽減でき、冷媒ガスを送りだすコンプレッサーへの負荷減少も可能にした。
なお、耐圧テストの丸数字2丸数字4の引張り強さσbについて、JISでの引張り強さσaから約10%強数値が上がっているが、これは、材料バラツキも当然考えられるが、熱伝導管を金属管の一端からマンドレルを押し込む方法を行った際の加工硬化によるアップ分も加味されていると思われる。
実施例2を適用するクロスフィンチューブ式熱交換器は、図4に示すように、両端に管板1、4を備え、管板1、4間に平行に離間して複数の放熱フィン3と、放熱フィン3を貫通して管板1、4間に並列に設けた複数の熱伝導管2と、冷媒入り管5と冷媒出口管7を除き少なくとも1本の冷媒流路が形成されるように熱伝導管2の端部同士を接続するUベント管6で構成されている。
実施例2では、図2に示すように、熱伝導管2に、一部拡管された補強管8−2を先に挿入し、その後に熱伝導管2端部を拡管し、Uベント管6及び冷媒出入り口管5、7を挿入し、その後にロー付け(図中C部)を行い、補強管8−2内側全体にロー付けが出来ている。上述した実施例1では、熱伝導管2の内径より細い外径のUベント管6、冷媒出入り口管5、7の例であるが、実施例2は配管流量抵抗低減のため3者共に同程度の内径を必要とする場合に適用される。
実施例3は実施例1及び2で用いた補強管8−1、8−2の改良である。図3(A)は補強管8−1の改良であり、図3(B)は補強管8−2の改良である。
補強管8−1、8−2の内側全体にロー付けされているのがベストであるが、それが不充分な時、補強管内側に隙間が発生してしまう。熱交換器使用温度帯が氷点下以下の場合、その僅かな隙間に水が滞留し、それが凍結した場合、熱伝導管2や補強管8−1、8−2の破壊へつながる。その防止のため、補強管8−1、8−2の管板1、4近い一方側に、全周に一定の間隔で水抜き用の穴9を設けたものである。穴径としては、水が抜けやすい2〜3mm程度が好ましい。
1 管板1
2 熱伝導管
3 フィン
4 管板2
5 冷媒入り管
6 Uベント管
7 冷媒出口管
8−1、8−2 補強管
9 水抜き用の穴

Claims (3)

  1. 積層した放熱フィンに挿通された熱伝導管をそれら開口部内に冷媒出入り管と、更に熱伝導管同士をそれらの開口部内にUベント管の両端部をそれぞれ挿入せしめて、ロー付け固定することにより、接続せしめるようにしたクロスフィンチューブ式熱交換器において、ロー付け箇所近傍に、熱伝導管よりわずか太めの補強管をロー付け前に挿入してロー付けして2重構造したことを特徴とするクロスフィンチューブ式熱交換器。
  2. 前記補強管の一端を拡管して前記熱伝導管、Uベント管および冷媒出入り管の内径を揃えることを特徴とする請求項1に記載のクロスフィンチューブ式熱交換器。
  3. 前記補強管の一端に水抜き用の穴を設けたことを特徴とする請求項1に記載のクロスフィンチューブ式熱交換器。
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