JP2004176178A - アルミニウム管およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡単かつ安価に製造でき、しかも十分な耐孔食性を有するアルミニウム管を提供する。
【解決手段】 コンデンサ用入口管6および出口管7を、Mn0.9〜1.5質量%を含み、残部Alおよび不可避不純物からなる合金で形成する。入口管6および出口管7の外周面の最表面から60μm以上の深さまでの表層部にZnを拡散させるとともにこの表層部のZn濃度を0.20〜0.70質量%とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 コンデンサ用入口管6および出口管7を、Mn0.9〜1.5質量%を含み、残部Alおよび不可避不純物からなる合金で形成する。入口管6および出口管7の外周面の最表面から60μm以上の深さまでの表層部にZnを拡散させるとともにこの表層部のZn濃度を0.20〜0.70質量%とする。
【選択図】 図1
Description
この発明はアルミニウム管およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、たとえばフロン系冷媒を使用するカーエアコンのコンデンサやエバポレータ、CO2冷媒を使用するカーエアコンのガスクーラやエバポレータ、自動車用オイルクーラ、自動車用ラジエータなどとして使用される熱交換器の入口管および出口管や、圧縮機、コンデンサおよびエバポレータを備えかつフロン系冷媒を使用する冷凍サイクルからなるカーエアコンの圧縮機、コンデンサおよびエバポレータ間の配管や、圧縮機、ガスクーラ、中間熱交換器、膨張弁およびエバポレータを備えかつCO2冷媒を使用する冷凍サイクルからなるカーエアコンの圧縮機、ガスクーラ、中間熱交換器、膨張弁およびエバポレータ間の配管として用いられるアルミニウム管およびその製造方法に関する。
この明細書および特許請求の範囲において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。なお、当然のことながら、元素記号で表現された金属には、その合金は含まれない。
たとえば、フロン系冷媒を使用する冷凍サイクルからなるカーエアコン用のコンデンサとして、互いに間隔をおいて平行に配置された1対のアルミニウム製ヘッダと、両端がそれぞれ両ヘッダに接続された並列状のアルミニウム製偏平状熱交換管と、隣り合う熱交換管の間の通風間隙に配置されるとともに、両熱交換管にろう付されたアルミニウム製コルゲートフィンと、一方のヘッダに接続されたアルミニウム製入口管と、他方のヘッダに接続されたアルミニウム製出口管とを備えたものは知られている。
従来、上記コンデンサの入口管および出口管としては、JIS A1100や、JIS A3003や、Mnを1.0〜1.5質量%を含有するとともにMgを0.2質量%以上でかつ0.6質量%未満含有し、残部Alおよび不可避不純物からなる合金などにより形成されていた(特許文献1参照)。
ところで、上記のコンデンサにおいては、耐食性を向上させる目的で、従来、表面にクロメート処理が施されていたが、その処理作業が面倒であった。また、Cr6+は有害物質であり、廃液処理が面倒であった。したがって、コンデンサ全体の製造作業が面倒であるという問題があった。しかも、ヨーロッパにおいては、近い将来Cr6+の使用が禁止されることになっている。
そこで、上記コンデンサの冷媒流通管については、有害なCr6+を使用するクロメート処理に代わる耐孔食性処理や、耐孔食性を有するものが種々検討されている。
しかしながら、出入口管については、簡単かつ安価に製造でき、しかも十分な耐孔食性を有するものが見出されていないのが現状である。もちろん、上記公報に記載された熱交換器用出入口管においても、クロメート処理を施さない場合には耐孔食性は期待できない。
特公平3−22459号公報
この発明の目的は、上記問題を解決し、簡単かつ安価に製造でき、しかも十分な耐孔食性を有するアルミニウム管およびその製造方法を提供することにある。
1)Mn0.9〜1.5質量%を含み、残部Alおよび不可避不純物からなる合金で形成されており、外周面の最表面から60μm以上の深さまでの表層部にZnが拡散させられるとともにこの表層部のZn濃度が0.20〜0.70質量%であるアルミニウム管。
上記1)のアルミニウム管において、Mnは耐孔食性を向上させるとともに、熱交換器用出入口管の強度を向上させるという効果を奏するが、その含有量が0.9質量%未満では上記効果が得られず、1.5質量%を越えると強度向上の効果が飽和する一方、熱間加工時の変形抵抗が増大し、アルミニウム管を成形する際の加工性、たとえば押出加工性が低下する。したがって、アルミニウム管のMn含有量は0.9〜1.5質量%とすべきであるが、1.0〜1.2質量%であることが好ましい。
また、上記1)のアルミニウム管において、外周面の最表面から60μm以上の深さまでの表層部に拡散させられたZnは、この表層部の電位を卑にして、表層部を除いた部分に対して表層部を犠牲腐食させ、アルミニウム管に孔食が発生することを防止するものであるが、上記表層部のZn濃度が0.20質量%未満であると上記効果が得られない。逆に、0.70質量%を越えてもアルミニウム管自体の耐食性に問題はないが、0.70質量%を越えたものにするには、アルミニウム管の製造を、たとえば下記13)のようにして、熱交換器における熱交換管とフィンとのろう付と同時に行った場合、熱交換管の表面に多量のZnを溶射する必要があり、製造された熱交換器における熱交換管や、熱交換管とフィンとのろう付部の耐食性を確保することができない。したがって、上記表層部のZn濃度は0.20〜0.70質量%とすべきである。なお、アルミニウム管の外周面の最表面からのZnの拡散距離は最大で100μm程度である。
2)Mn含有量が1.0〜1.2質量%である上記1)記載のアルミニウム管。
3)不可避不純物としてのCuの含有量が0.01質量%以下である上記1)または2)記載のアルミニウム管。
上記3)のアルミニウム管において、不可避不純物としてのCuは微量の混入によってもアルミニウム管の耐孔食性を低下させるおそれがあるからである。したがって、このCu含有量を0.01質量%以下とするのがよい。
4)不可避不純物としてのFeの含有量が0.25質量%以下である上記1)〜3)のうちのいずれかに記載のアルミニウム管。
上記4)のアルミニウム管において、不可避不純物としてのFeはCuほど影響は強くないものの、アルミニウム管の耐孔食性を低下させるおそれがある。したがって、このFe含有量を0.25質量%以下とするのがよい。
5)不可避不純物としてのSiの含有量が0.25質量%以下である上記1)〜4)のうちのいずれかに記載のアルミニウム管。
上記5)のアルミニウム管において、不可避不純物としてのSiはFeと同様に、アルミニウム管の耐孔食性を低下させるおそれがある。したがって、このSi含有量を0.25質量%以下とするのがよい。
6)不可避不純物としてのMgの含有量が0.30質量%以下である上記1)〜5)のうちのいずれかに記載のアルミニウム管。
上記6)のアルミニウム管において、不可避不純物としてのMgはろう付性および加工性、たとえば押出性を低下させて加工コストを上昇させるおそれがある。したがって、このMg含有量を0.30質量%以下とするのがよい。
7)Mn0.9〜1.5質量%を含み、残部Alおよび不可避不純物からなる合金で形成された管素材と、表面に2.0〜16.0g/m2のZn溶射層が形成されかつZn溶射層の合計Zn量が75〜600gであるアルミニウム材とを、不活性ガス雰囲気の炉中に入れ、580〜610℃で3〜15分間加熱することを特徴とするアルミニウム管の製造方法。
上記7)の製造方法において、アルミニウム材の表面に形成されたZn溶射層を形成するZnは、後工程の加熱の際に蒸発して管素材の外周面の表層部に拡散する。そして、アルミニウム材表面のZn溶射層を、2.0〜16.0g/m2でかつ合計Zn量75〜600gに限定したのは、これらが下限値未満であると製造されたアルミニウム管の前記表層部におけるZn濃度を0.20質量%以上にすることができず、上限値を超えると上記1)のアルミニウム管の表層部におけるZn濃度が0.70質量%を越えるからである。
また、上記7)の製造方法における加熱温度および加熱時間が下限値未満であると、Zn溶射層からのZnの蒸発および蒸発したZnの管素材表層部への拡散が十分ではなくて製造されたアルミニウム管の前記表層部におけるZn濃度を0.20質量%以上にすることができず、上限値を越えると、アルミニウム管の製造を、たとえば下記13)のように、熱交換器における熱交換管とフィンとのろう付と同時に行った場合、フィンなどのアルミニウム材の母材溶融を招いたり、熱交換管表面に溶射されたZnが熱交換管内に過度に拡散し腐食洩れを誘発する可能性があるからである。なお、加熱温度は585〜605℃であることが好ましい。
8)管素材を形成する合金におけるMn含有量が1.0〜1.2質量%である上記7)記載のアルミニウム管の製造方法。
9)管素材を形成する合金における不可避不純物としてのCuの含有量が0.01質量%以下である上記7)または8)記載のアルミニウム管の製造方法。
10)管素材を形成する合金における不可避不純物としてのFeの含有量が0.25質量%以下である上記7)〜9)のうちのいずれかに記載のアルミニウム管の製造方法。
11)管素材を形成する合金における不可避不純物としてのSiの含有量が0.25質量%以下である上記7)〜10)のうちのいずれかに記載のアルミニウム管の製造方法。
12)管素材を形成する合金における不可避不純物としてのMgの含有量が0.30質量%以下である上記7)〜11)のうちのいずれかに記載のアルミニウム管の製造方法。
13)アルミニウム材が熱交換器における複数の熱交換管であり、各熱交換管の表面に2.0〜16.0g/m2のZn溶射層が形成されかつ全ての熱交換管表面におけるZn溶射層の合計Zn量が75〜600gであり、炉が熱交換管とアルミニウム製ヘッダとアルミニウム製フィンとをろう付する炉であり、不活性ガス雰囲気での熱交換管、ヘッダおよびフィンのろう付の際に、管素材を加熱する上記7)〜12)のうちのいずれかに記載のアルミニウム管の製造方法。
14)上記1)〜6)のうちのいずれかに記載のアルミニウム管が、出入口管として用いられている熱交換器。
15)圧縮機、コンデンサおよびエバポレータを有しかつフロン系冷媒を使用する冷凍サイクルからなるカーエアコンを備えており、コンデンサが上記14)記載の熱交換器からなる車両。
16)圧縮機、コンデンサおよびエバポレータを有するとともにフロン系冷媒を使用しており、上記1)〜6)のうちのいずれかに記載のアルミニウム管が、圧縮機、コンデンサおよびエバポレータ間の配管として用いられている冷凍サイクル。
17)上記16)記載の冷凍サイクルがカーエアコンとして搭載されている車両。
上記1)のアルミニウム管によれば、クロメート処理を施すことなく、孔食の発生を防止することができる。しかも、Mn0.9〜1.5質量%を含み、残部Alおよび不可避不純物からなる合金で形成されており、外周面の最表面から60μm以上の深さまでの表層部にZnが拡散させられるとともにこの表層部のZn濃度が0.20〜0.70質量%となっているだけであるので、簡単かつ安価に製造することができる。
上記2)のアルミニウム管によっても上記1)のアルミニウム管と同様な効果を奏する。
上記3)〜6)のアルミニウム管によれば、耐孔食性が一層向上する。
上記7)のアルミニウム管の製造方法によれば、上記1)のアルミニウム管を比較的簡単かつ安価に製造することができる。
上記8)〜12)のアルミニウム管の製造方法によれば、それぞれ上記3)〜6)のアルミニウム管を比較的簡単かつ安価に製造することができる。
上記13)のアルミニウム管の製造方法によれば、熱交換器の製造と同時にアルミニウム管を製造することができるので、特別な設備等を必要とせず、製造コストが安くなる。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1において、フロン系冷媒を使用するカーエアコンに用いられるコンデンサ(1)は、互いに間隔をおいて平行に配置された1対のアルミニウム製ヘッダ(2)(3)と、両端がそれぞれ両ヘッダ(2)(3)に接続された並列状のアルミニウム押出形材製偏平状冷媒流通管(4)(熱交換管)と、隣り合う冷媒流通管(4)の間の通風間隙に配置されるとともに、両冷媒流通管(4)にろう付されたアルミニウムブレージングシート製コルゲートフィン(5)と、第1ヘッダ(2)の周壁上端部に溶接されたアルミニウム押出形材製入口管(6)と、第2ヘッダ(3)の周壁下端部に溶接されたアルミニウム押出形材製出口管(7)と、第1ヘッダ(2)の中程より上方位置の内部に設けられた第1仕切板(8)と、第2ヘッダ(3)の中程より下方位置の内部に設けられた第2仕切板(9)とを備えている。なお、冷媒流通管(4)としては、電縫管からなるものが用いられてもよい。
入口管(6)と第1仕切板(8)の間の冷媒流通管(4)の本数、第1仕切板(8)と第2仕切板(9)の間の冷媒流通管(4)の本数、第2仕切板(9)と出口管(7)の間の冷媒流通管(4)の本数がそれぞれ上から順次減少されて通路群を構成しており、入口管(6)から流入した気相の冷媒が、出口管(7)より液相となって流出するまでに、コンデンサ(1)内を各通路郡単位に蛇行状に流れるようになされている。
入口管(6)および出口管(7)は、それぞれMn0.9〜1.5質量%を含み、残部Alおよび不可避不純物からなる合金で形成されており、外周面の最表面から60μm以上の深さまでの表層部にZnが拡散させられるとともにこの表層部のZn濃度が0.20〜0.70質量%となっている。
入口管(6)および出口管(7)を形成する合金中のMn含有量は1.0〜1.2質量%であることが好ましい。また、上記合金中の不可避不純物のうちCu含有量は0.01質量%以下であり、同じくFe含有量は0.25質量%以下であり、同じくSi含有量は0.25質量%以下であり、同じくMg含有量は0.30質量%以下である。
入口管(6)および出口管(7)は、たとえば次のようにして製造される。
まず、上述したような合金を用いて入口管素材および出口管素材を押出成形する。また、図1に示すコンデンサ(1)を形成する1対のアルミニウム製ヘッダ(2)(3)、複数のアルミニウム押出形材製冷媒流通管(4)および複数のアルミニウムブレージングシート製コルゲートフィン(5)を用意する。両ヘッダ(2)(3)には、それぞれ複数の管挿入穴を形成しておく。また、各冷媒流通管(4)の表面には、2.0〜16.0g/m2、好ましくは2.0〜8.0g/m2のZn溶射層を形成し、かつ全ての冷媒流通管(4)表面におけるZn溶射層の合計Zn量を75〜600g、好ましくは75〜300gとしておく。
そして、1対のヘッダ(2)(3)を間隔をおいて配置するとともに、複数の冷媒流通管(4)と複数のコルゲートフィン(5)とを交互に配置し、冷媒流通管(4)の両端部を両ヘッダ(2)(3)の管挿入穴に挿入して組み合わせ体を形成する。ついで、これらの組み合わせ体にフッ化物系フラックス(フッ化カリウムとフッ化アルミニウムとの共晶組成近傍のもの)を塗布し、不活性ガス雰囲気となされた炉中に入れるるとともに、全ての入口管素材および出口管素材を上記炉中に入れる。その後、580〜610℃で3〜15分間加熱する。こうして、冷媒流通管(4)とヘッダ(2)(3)とをヘッダ(2)(3)に設けられたろう材層を利用してろう付するとともに、冷媒流通管(4)とコルゲートフィン(5)とをコルゲートフィン(5)のろう材を利用して同時にろう付してコンデンサ(1)を製造するのと同時に、入口管(6)および出口管(7)を製造する。
コンデンサ(1)は、圧縮機およびエバポレータとともにフロン系冷媒を使用する冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。
上述した実施形態においては、この発明によるアルミニウム管は、フロン系冷媒を使用する冷凍サイクルからなるカーエアコンのコンデンサの入口管および出口管として用いられているが、前記カーエアコンのエバポレータの入口管および出口管として用いられることもある。さらに、この発明によるアルミニウム管は、自動車用オイルクーラ、自動車用ラジエータなどとして使用される熱交換器の出入口管として用いられることもある。
また、この発明によるアルミニウム管は、圧縮機、コンデンサおよびエバポレータを備えかつフロン系冷媒を使用する冷凍サイクルからなるカーエアコンの圧縮機、コンデンサおよびエバポレータ間の配管や、圧縮機、ガスクーラ、中間熱交換器、膨張弁およびエバポレータを備えかつCO2冷媒を使用する冷凍サイクルからなるカーエアコンの圧縮機、ガスクーラ、中間熱交換器、膨張弁およびエバポレータ間の配管として用いられることがある。
さらに、この発明によるアルミニウム管は、圧縮機、ガスクーラ、中間熱交換器、膨張弁およびエバポレータを備えかつCO2冷媒を使用する冷凍サイクルからなるカーエアコンのガスクーラやエバポレータの入口管および出口管として用いられることもある。
実施例1
Mn1.08質量%、Cu0.01質量%未満、Si0.06質量%、Fe0.12質量%、Mg0.01質量%、Cr0.01質量%、Ti0.01質量%未満、Zn0.01質量%未満を含み、残部Alおよび不可避不純物からなる合金を用いて、外径12.7mm、周壁の肉厚1.2mmの入口管素材、および外径9.53mm、周壁の肉厚1.0mmの出口管素材を、それぞれ50本ずつ押出成形した。各入口管素材の長さは539mm、各出口管素材の長さは439mmであり、全ての入口管素材および出口管素材の外周面の表面積はトータルで1.732m2である。
Mn1.08質量%、Cu0.01質量%未満、Si0.06質量%、Fe0.12質量%、Mg0.01質量%、Cr0.01質量%、Ti0.01質量%未満、Zn0.01質量%未満を含み、残部Alおよび不可避不純物からなる合金を用いて、外径12.7mm、周壁の肉厚1.2mmの入口管素材、および外径9.53mm、周壁の肉厚1.0mmの出口管素材を、それぞれ50本ずつ押出成形した。各入口管素材の長さは539mm、各出口管素材の長さは439mmであり、全ての入口管素材および出口管素材の外周面の表面積はトータルで1.732m2である。
一方、外周面の表面積が0.0219m2であるアルミニウム押出形材製偏平状冷媒流通管(4)を1750本用意し、各冷媒流通管(4)の外周面に8g/m2のZn溶射層を形成した。全ての冷媒流通管(4)の外周面に形成されたZn溶射層の合計Zn量は306.6gである。
さらに、それぞれ35個の管挿入穴を有する1対のアルミニウム製ヘッダ(2)(3)を50組と、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシート製コルゲートフィン(5)を1800個用意した。
そして、1対のヘッダ(2)(3)を間隔をおいて配置するとともに、35本の冷媒流通管(4)と36個のコルゲートフィン(5)とを交互にかつ両端側にコルゲートフィン(5)が来るように配置し、冷媒流通管(4)の両端部を両ヘッダ(2)(3)の管挿入穴に挿入してなる組み合わせ体を50セット用意した。ついで、これらの組み合わせ体にフッ化物系フラックス(フッ化カリウムとフッ化アルミニウムとの共晶組成近傍のもの)を塗布し、窒素ガス雰囲気となされた炉中に入れた。また、全ての入口管素材および出口管素材を上記炉中に入れた。ついで、56℃/minの加熱速度で30℃から580℃まで加熱し、580℃に8.5min保持した後冷却速度48℃/minで300℃まで降温し、さらに30℃まで急冷した。こうして、冷媒流通管(4)とヘッダ(2)(3)とをヘッダ(2)(3)に設けられたろう材層を利用してろう付するとともに、冷媒流通管(4)とコルゲートフィン(5)とをコルゲートフィン(5)のろう材を利用して同時にろう付してコンデンサ(1)を製造するのと同時に、コンデンサ用入口管(6)および同出口管(7)を製造した。
比較例1
入口管素材および出口管素材として、JIS A3003からなるものを用いた他は、上記実施例1と同様にしてコンデンサ用入口管および同出口管を製造した。
入口管素材および出口管素材として、JIS A3003からなるものを用いた他は、上記実施例1と同様にしてコンデンサ用入口管および同出口管を製造した。
比較例2
入口管素材および出口管素材として、JIS A1100からなるものを用いた他は、上記実施例1と同様にしてコンデンサ用入口管および同出口管を製造した。
入口管素材および出口管素材として、JIS A1100からなるものを用いた他は、上記実施例1と同様にしてコンデンサ用入口管および同出口管を製造した。
比較例3
実施例1の合金を用いて押出成形し、その後何等の処理も施さないままのものを入口管および出口管とした。
実施例1の合金を用いて押出成形し、その後何等の処理も施さないままのものを入口管および出口管とした。
評価試験1
実施例1、比較例1、比較例2および比較例3で製造された入口管の中からそれぞれ1本ずつを抜き出し、これらにそれぞれSWAAT960hr試験を施してその腐食状況を調べた。その結果、実施例1の入口管では最大腐食深さが462μmであり、周壁を貫通する孔食は発生していなかった。これに対し、比較例1〜3の入口管では周壁を貫通した孔食が発生していた。
実施例1、比較例1、比較例2および比較例3で製造された入口管の中からそれぞれ1本ずつを抜き出し、これらにそれぞれSWAAT960hr試験を施してその腐食状況を調べた。その結果、実施例1の入口管では最大腐食深さが462μmであり、周壁を貫通する孔食は発生していなかった。これに対し、比較例1〜3の入口管では周壁を貫通した孔食が発生していた。
評価試験2
実施例1で製造された入口管および出口管の中からそれぞれ2本ずつを抜き出し、電子線マイクロアナライザ(EPMA)により、外周面の最表面からのZnの最大拡散距離および最大拡散距離でのZn濃度を測定した。その結果を表1に示す。また、これらの入口管および出口管にそれぞれSWAAT960hr試験を施して最大腐食深さを調べた。その結果も表1に示す。
実施例1で製造された入口管および出口管の中からそれぞれ2本ずつを抜き出し、電子線マイクロアナライザ(EPMA)により、外周面の最表面からのZnの最大拡散距離および最大拡散距離でのZn濃度を測定した。その結果を表1に示す。また、これらの入口管および出口管にそれぞれSWAAT960hr試験を施して最大腐食深さを調べた。その結果も表1に示す。
(1):コンデンサ(熱交換器)
(2)(3):ヘッダ
(4):冷媒流通管(熱交管管)
(5):コルゲートフィン
(6):入口管(アルミニウム管)
(7):出口管(アルミニウム管)
(2)(3):ヘッダ
(4):冷媒流通管(熱交管管)
(5):コルゲートフィン
(6):入口管(アルミニウム管)
(7):出口管(アルミニウム管)
Claims (17)
- Mn0.9〜1.5質量%を含み、残部Alおよび不可避不純物からなる合金で形成されており、外周面の最表面から60μm以上の深さまでの表層部にZnが拡散させられるとともにこの表層部のZn濃度が0.20〜0.70質量%であるアルミニウム管。
- Mn含有量が1.0〜1.2質量%である請求項1記載のアルミニウム管。
- 不可避不純物としてのCuの含有量が0.01質量%以下である請求項1または2記載のアルミニウム管。
- 不可避不純物としてのFeの含有量が0.25質量%以下である請求項1〜3のうちのいずれかに記載のアルミニウム管。
- 不可避不純物としてのSiの含有量が0.25質量%以下である請求項1〜4のうちのいずれかに記載のアルミニウム管。
- 不可避不純物としてのMgの含有量が0.30質量%以下である請求項1〜5のうちのいずれかに記載のアルミニウム管。
- Mn0.9〜1.5質量%を含み、残部Alおよび不可避不純物からなる合金で形成された管素材と、表面に2.0〜16.0g/m2のZn溶射層が形成されかつZn溶射層の合計Zn量が75〜600gであるアルミニウム材とを、不活性ガス雰囲気の炉中に入れ、580〜610℃で3〜15分間加熱することを特徴とするアルミニウム管の製造方法。
- 管素材を形成する合金におけるMn含有量が1.0〜1.2質量%である請求項7記載のアルミニウム管の製造方法。
- 管素材を形成する合金における不可避不純物としてのCuの含有量が0.01質量%以下である請求項7または8記載のアルミニウム管の製造方法。
- 管素材を形成する合金における不可避不純物としてのFeの含有量が0.25質量%以下である請求項7〜9のうちのいずれかに記載のアルミニウム管の製造方法。
- 管素材を形成する合金における不可避不純物としてのSiの含有量が0.25質量%以下である請求項7〜10のうちのいずれかに記載のアルミニウム管の製造方法。
- 管素材を形成する合金における不可避不純物としてのMgの含有量が0.30質量%以下である請求項7〜11のうちのいずれかに記載のアルミニウム管の製造方法。
- アルミニウム材が熱交換器における複数の熱交換管であり、各熱交換管の表面に2.0〜16.0g/m2のZn溶射層が形成されかつ全ての熱交換管表面におけるZn溶射層の合計Zn量が75〜600gであり、炉が熱交換管とアルミニウム製ヘッダとアルミニウム製フィンとをろう付する炉であり、不活性ガス雰囲気での熱交換管、ヘッダおよびフィンのろう付の際に、管素材を加熱する請求項7〜12のうちのいずれかに記載のアルミニウム管の製造方法。
- 請求項1〜6のうちのいずれかに記載のアルミニウム管が、出入口管として用いられている熱交換器。
- 圧縮機、コンデンサおよびエバポレータを有しかつフロン系冷媒を使用する冷凍サイクルからなるカーエアコンを備えており、コンデンサが請求項14記載の熱交換器からなる車両。
- 圧縮機、コンデンサおよびエバポレータを有するとともにフロン系冷媒を使用しており、請求項1〜6のうちのいずれかに記載のアルミニウム管が、圧縮機、コンデンサおよびエバポレータ間の配管として用いられている冷凍サイクル。
- 請求項16記載の冷凍サイクルがカーエアコンとして搭載されている車両。
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