JP2003147466A - 成形性及びろう付け性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材 - Google Patents

成形性及びろう付け性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材

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JP2003147466A JP2001340388A JP2001340388A JP2003147466A JP 2003147466 A JP2003147466 A JP 2003147466A JP 2001340388 A JP2001340388 A JP 2001340388A JP 2001340388 A JP2001340388 A JP 2001340388A JP 2003147466 A JP2003147466 A JP 2003147466A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ろう付け前の成形加工性に優れると共に、ろ
う付け性に優れ、熱伝導度が高く犠牲陽極効果にも優
れ、ろう付け後の強度特性が更に改善された熱交換器用
アルミニウム合金フィン材を提供する。 【解決手段】 Mn:1.0%〜2.0 %、Si:0.5%〜1.3
%、Ni:0.6%を越え1.3 %以下、Fe:0.3%を越え0.
8 %以下、Cu:0.06 %〜0.2 %、Zn:1.1%〜3 %を
含有し、MnとSiとの含有比(Mn%/Si%)を
1.0〜3.5とし、更に、Zr:0.05 %〜0.3 %及び
Cr:0.05 %〜0.3 %のうちの1種又は2種を含み、残
部Alと不可避的不純物からなり、素材の引張強さが1
60〜270MPaである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形性及びろう付
け性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材、詳
しくは、ラジエータ、カーヒータ、カーエアコン等のよ
うに、フィンと作動流体通路の構成材料とをろう付けに
より接合する熱交換器用アルミニウム合金フィン材、特
に成形性及びろう付け性に優れ、熱伝導率が高く、且つ
犠牲陽極効果に優れ、改善されたろう付け後の強度特性
をそなえたアルミニウム合金フィン材に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム合金製熱交換器は、自動車
のラジエータ、オイルクーラ、インタークーラ、ヒータ
及びエアコンのエバポレータやコンデンサあるいは油圧
機器や産業機械のオイルクーラ等の熱交換器として、広
く使用されている。このアルミニウム合金製熱交換器の
フィン材には、チューブ材(作動流体通路材)を防食す
るために犠牲陽極効果が要求されると共に、ろう付け時
の高温加熱による変形防止やろうの浸食防止のために耐
高温座屈性が要求される。このような要求を満たすため
に、従来、アルミニウム合金フィン材としては、JIS
A3003、JISA3203等のAl−Mn系、Al
−Mn−Si系、Al−Mn−Si−Cu系等、Mnを
有するアルミニウム合金が用いられている。Mnは、ろ
う付け時の変形やろうの浸食を防ぐのに有効に作用し、
更に、Mnを含むアルミニウム合金フィン材に犠牲陽極
効果を付与するために、Zn、Sn、In等を添加して
電気化学的に卑にする手法が知られている(特開昭62
−120455号公報)。
【0003】フィン材は、例えば、図1に示すようにコ
ルゲート成形され、このコルゲートフィン1を図2に示
すように、チューブ材2と組み合わせ、ろう付け接合す
ることにより熱交換器エレメント3となる。近年、自動
車の一層の軽量化のために、自動車用熱交換器の軽量化
の要求がますます強くなっており、これに対応して熱交
換器の構成部材のフィン材、チューブ材等の薄肉化が進
行しているが、例えば、厚み0.1mm以下のアルミニウ
ム合金フィン材をコルゲート成形すると、図1に示すよ
うに、上側R頂点と下側R頂点との間のフィン山高さh
に、h1 、h2、h3 、h4 のように、バラツキが生じ
ることがあり、このバラツキが生じると、コルゲートフ
ィン1とチューブ材2とのろう付け接合率が低下して、
熱交換性能が低下するため、バラツキを低減するため
に、通常、フィン成形機を試行錯誤で調整することによ
り対処しているのが現状である。
【0004】このように、フィン材の薄肉化、更にフィ
ン成形機の高速化に伴って、フィン材の成形性、その後
のろう付け性に問題が生じ、アルミニウム合金製熱交換
器の生産性や製造性にも影響することから、アルミニウ
ム合金フィン材の成形性及びろう付け性について一層の
改善が望まれている。また、フィンの薄肉化に伴うろう
付け後の強度や熱伝導度を更に改善することも要求され
ている。
【0005】Mnを含有するアルミニウム合金は、ろう
付け時の加熱によりMnが固溶して熱伝導率が低下する
という難点があり、この問題を解決するため、Mn含有
量を0.8%以下に制限し、Zr:0.02 %〜0.2 %、S
i:0.1%〜0.8 %を添加したアルミニウム合金が提案さ
れている(特公昭63−23260号公報参照)が、こ
のアルミニウム合金においては、ろう付け後の熱伝導率
は改善されるが、Mn含有量が少ないため、ろう付け後
の強度が十分でなく、熱交換器として使用中に、フィン
倒れや変形が生じ易く、更に電位が十分に卑でないため
犠牲陽極効果が小さいという別の問題が生じる。
【0006】先に、発明者らは、ろう付け後の強度を改
良したフィン材用アルミニウム合金として、Al−Mn
−Si−Mg−Fe系合金にZnを添加したアルミニウ
ム合金(特開平5−230578号公報)を提案し、更
に、Al−Mn−Si−Fe−Cu−Zn系合金にZ
r、Crのうちの1種又は2種を含有するアルミニウム
合金(特願2000−351019号)を提案した。こ
れらのアルミニウム合金は、ろう付け後の強度に優れ、
フィン材の薄肉化を可能とするものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、フィン材の
一層の薄肉化を達成することを可能とする熱交換器用ア
ルミニウム合金を得るためになされたものであり、その
目的は、上記特願2000−351019号をベースと
して、特にろう付け前及びろう付け後に改善された強度
特性を有すると共に、ろう付け前の成形加工性に優れた
熱交換器用アルミニウム合金フィン材を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の請求項1による成形性及びろう付け性に優
れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材は、Mn:1.0
%〜2.0 %、Si:0.5%〜1.3 %、Ni:0.6%を越え1.
3 %以下、Fe:0.3%を越え0.8 %以下、Cu:0.06 〜
0.2 %、Zn:1.1%〜3 %を含有し、MnとSiとの含
有比(Mn%/Si%)を1.0〜3.5とし、更に、
Zr:0.05 %〜0.3 %及びCr:0.05 %〜0.3 %のうち
の1種又は2種を含み、残部Alと不可避的不純物から
なり、素材の引張強さが160〜270MPaであるこ
とを特徴とする。
【0009】請求項2による成形性及びろう付け性に優
れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材は、請求項1
において、アルミニウム合金フィン材が、更に、In:
0.005%〜0.1 %、Sn:0.01 %〜0.1 %のうちの1種
又は2種を含有してなることを特徴とする。
【0010】また、請求項3による成形性及びろう付け
性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材は、請
求項1〜2において、アルミニウム合金フィン材のマト
リックスが繊維組織であることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の熱交換器用アルミニウム
合金フィン材における(1)合金成分の意義及びその限
定理由、(2)素材の引張強さの意義及びその限定理由
について説明する。 (1)合金成分の意義及びその限定理由 フィン材中のMnは、Siと共存することによりAl−
Mn−Si系の化合物を生成して、ろう付け前及びろう
付け後のフィン材の強度を向上させると共に、耐高温座
屈性及び成形加工性を改良する。Mnの好ましい含有範
囲は、1.0 %〜2.0 %であり、1.0 %未満ではその効果
が小さく、2.0 %を越えて含有すると、鋳造時に粗大な
晶出物が生成して板材の製造が困難となり、更に、Mn
の固溶量が増加して熱伝導度が低下する。
【0012】フィン材中のSiは、Mnと共存してAl
−Mn−Si系化合物を生成し、フィン材の強度を向上
させると共に、Mnの固溶量を減少させて熱伝導度を向
上させる。Siの好ましい含有範囲は0.5 %〜1.3 %で
あり、0.5 %未満ではその効果が十分でなく、1.3 %を
越えるとろう付け時にフィン材の溶融が生じるおそれが
ある。
【0013】MnとSiとは、Al−Mn−Si系化合
物を生成し、Mn及びSiの各固溶量を減少させて熱伝
導度を向上させる。MnとSiとの好ましい含有比(M
n%/Si%)の範囲は1.0〜3.5であり、1.0
未満ではSiの固溶量が増加して熱伝導度が低下し、
3.5を越えるとMnの固溶量が増加して熱伝導度が低
下する。
【0014】フィン中のNiは、合金マトリックス中に
微細な金属間化合物を生成して、熱伝導度をさほど低下
させることなく、ろう付け前及びろう付け後のフィン材
の強度を向上させると共に成形性を改良する。Niの好
ましい含有量は0.6 %を越え1.3 %以下の範囲であり、
0.6 %以下ではその効果が十分でなく、1.3 %を越える
と、鋳造時に粗大な晶出物が生成して加工性を低下さ
せ、板材の製造が困難となり、自己耐食性が低下する。
【0015】フィン材中のFeは、ろう付け前及びろう
付け後のフィン材の強度を向上させると共に成形加工性
を改良する。Feの好ましい含有量は0.3 %を越え0.8
%以下の範囲であり、0.3 %以下ではその効果が十分で
なく、0.8 %を越えると、フィン材の自己耐食性が劣化
する。
【0016】フィン材中のCuは、ろう付け前及びろう
付け後のフィン材の強度を向上させると共に成形加工性
を改良する。Cuの好ましい含有量は0.06%〜0.2 %の
範囲であり、0.06%未満ではその効果が小さく、0.2 %
を越えると、フィン材の電位を貴にしフィンの犠牲陽極
効果を低下させる。
【0017】フィン材中のZnは、フィン材の電位を卑
にし、犠牲陽極効果を与える。Znの好ましい含有範囲
は1.1 %〜3 %であり、1.1 %未満ではその効果が小さ
く、3 %を越えて含有すると、フィン材自体の自己耐食
性が悪くなる。
【0018】フィン材中のZr及びCrは、ろう付け前
及びろう付け後のフィン材の強度を向上させると共に耐
高温座屈性及び成形加工性を改良する。Zr及びCrの
好ましい含有範囲は、共に0.05 %〜0.3 %であり、0.
05%未満ではその効果が小さく、0.3 %を越えて含有す
ると、鋳造時に粗大な晶出物が生成して圧延加工性を害
し、板材の製造が困難となる。
【0019】フィン材中のIn及びSnは、いずれもフ
ィン材の熱伝導度をほとんど低下させることなく電位を
卑にし、犠牲陽極効果を与える。Inの好ましい含有範
囲は、0.005 %〜0.1 %、Snの好ましい含有範囲は、
0.01%〜0.1 %である。In及びSnの含有量がそれぞ
れ下限値未満ではその効果が小さく、上限値を越えると
効果が飽和するばかりでなく、フィン材の自己耐食性及
び圧延加工性が低下する。
【0020】なお、その他の成分として、0.3 %未満の
Ti、Vを含有しても、本発明の効果が損なわれること
はないが、0.3 %以上含有すると、加工性を害するおそ
れがある。
【0021】(2)素材の引張強さの意義及びその限定
理由 本発明の熱交換器用アルミニウム合金フィン材は、成形
前のフィン材(素材)の引張強さが160〜270MP
aの範囲内にあることが重要である。引張強さを160
〜270MPaの範囲内とすることにより、成形性に優
れ、コルゲート成形時のフィン山高さのバラツキをなく
すことができる。素材の引張強さが160MPa未満で
は、コルゲート成形時の加工応力によって異常変形し易
く、フィン山高さのバラツキが大きくなり、素材の引張
強さが270MPaを越えると、コルゲート成形時のス
プリングバックが大きくなって、フィン山高さのバラツ
キが大きくなり、いずれの場合も、ろう付け時にフィン
とチューブとの間に接合不良が生じ易くなる。なお、フ
ィン材の引張強さを160〜270MPaの範囲内にす
るには、フィン材製造時の均質化処理温度、焼鈍処理温
度及び冷間圧延の加工度を調整する等の手法を用いるこ
とができる。
【0022】また、本発明の熱交換器用アルミニウム合
金フィン材は、その素材のマトリックスを繊維組織とす
るのが好ましく、繊維組織とすることによりフィン材の
成形加工性が均一となり、コルゲート成形時のフィン山
高さのバラツキを更に低減することができる。素材のマ
トリックスが再結晶組織の場合には、フィン材の成形加
工性が不均一となることがあり、フィン山高さのバラツ
キが大きくなり易く、ろう付け時にフィンとチューブと
の間に接合不良が生じ易くなる。素材のマトリックスを
繊維組織にするには、フィン材製造時の焼鈍処理温度
を、合金の再結晶温度より低い温度に調整する手法を用
いるのが好ましい。
【0023】本発明の成形性及びろう付け性に優れた熱
交換器用アルミニウム合金フィン材(以下単にアルミ合
金フィン材という)は、このアルミ合金フィン材を構成
するアルミニウム合金を、例えば、半連続鋳造により造
塊し、常法に従い、均質化処理後、熱間圧延、冷間圧
延、中間焼鈍及び仕上げ冷間圧延を経て製造され、通
常、厚み0.1mm以下の板材とする。この板材を所定幅
にスリッティングした後、コルゲート加工して、作動流
体通路用材料、例えば、ろう材を被覆したJISA30
03合金等で構成したクラッド板からなる偏平管と交互
に積層し、ろう付け接合することにより、熱交換器ユニ
ットとする。
【0024】本発明においては、引張強さを160〜2
70MPaの範囲に調整し、素材マトリックスの組織を
繊維組織とすることにより、成形性に優れ、コルゲート
成形時のフィン山高さのバラツキを無くすことができ、
MnとSiとを共存させることでAl−Mn−Si系化
合物を生成させ、Mn%/Si%比を調整することによ
り、Mn及びSiの固溶量を減少させ、Niを含有させ
ることにより、熱伝導度をさほど低下させることなく材
料強度を向上させ、Cuを含有させることによって材料
の強度を向上させ、また、Zn、In、Snを含有させ
ることによって材料の電位を卑にし、Zr、Crを含有
させることにより耐高温座屈性を向上させ、これら合金
元素の相互作用により、成形性及びろう付け性に優れ、
ろう付け後の強度と熱伝導度が高く、且つ犠牲陽極効果
に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金フィン材を
得るものである。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。 実施例1 連続鋳造により、表1に示す組成(合金No.1〜10
に示す組成)を有するアルミニウム合金を造塊し、常法
に従って均質化処理した後、熱間圧延し、ついで冷間圧
延(加工度87〜96%)した後、中間焼鈍(温度20
0〜400℃)及び仕上げ冷間圧延(加工度14〜72
%)を経て厚み0.07mmのアルミ合金フィン材を製造
した。このアルミ合金フィン材における引張強さ及び組
織は、中間焼鈍温度及び冷間圧延の加工度を調整するこ
とにより、引張強さを160〜270MPaの範囲内で
変化させ、且つ組織を調整した。
【0026】
【表1】
【0027】上記により得られたアルミ合金フィン材
(フィン材No.1〜12)について、以下の方法に従
って、(1)ろう付け前の引張強さ、(2)組織状況、
(3)成形性(フィン山高さのバラツキ)、(4)ろう
付け後の引張強さ、(5)ろう付け後の電気伝導度、
(6)ろう付け性(フィン接合率)、(7)耐食性を評
価した。結果を表2に示す。
【0028】(1)ろう付け前の引張強さ 上記アルミ合金フィン材について、JIS−5号試験片
を採取して引張試験を行い、引張強さを測定した。
【0029】(2)組織状況 上記アルミ合金フィン材について、表面のミクロ組織を
顕微鏡で観察することにより、組織状況(繊維組織か再
結晶組織か)を判定した。
【0030】(3)成形性(フィン山高さのバラツキ) 上記アルミ合金フィン材について、所定幅の帯状に切断
した後、歯車回転式の成形機を通してコルゲート成形を
行い、これを投影機に映してコルゲート成形したフィン
山高さh(図1参照)のバラツキを測定し、その標準偏
差σ(mm)を求めた。標準偏差が0.1mmを越えると、
ろう付け時にフィンとチューブとの間に接合不良が生じ
易くなるため、成形性の良否は、標準偏差が0.1mm以
下を良好(○)とし、0.1mmを越えるものを不良
(×)とした。
【0031】(4)ろう付け後の引張強さ 上記アルミ合金フィン材について、ろう付け条件と同様
に、フッ化物系フラックスろう付け加熱処理(以下、N
B加熱という)として、アルミ合金フィン材に濃度3%
のフッ化物系フラックスを塗布した後、窒素ガス雰囲気
中600℃で3分間加熱し、NB加熱後のアルミ合金フ
ィン材について、(1)と同様に引張試験を行い、引張
強さを測定した。
【0032】(5)ろう付け後の電気伝導度 上記NB加熱後のアルミ合金フィン材について、25℃
で電気伝導度を測定することにより熱伝導度を評価し
た。実施例のアルミ合金フィン材は、一般の金属材料と
同様に熱伝導度と電気伝導度との間に比例関係があり、
電気伝導度を測定することにより、熱伝導度を評価する
ことができる。
【0033】(6)ろう付け性(フィン接合率) 上記アルミ合金フィン材について、(3)の場合と同様
にコルゲート成形し、JISA3003合金を芯材と
し、JISA4045合金を皮材(ろう材、クラッド率
10%)とする厚さ0.25mmのチューブ材とを組み付
けて、濃度3%のフッ化物系フラックスを塗布した後、
窒素ガス雰囲気中600℃で3分間加熱して、ろう付け
を行い、図2に示すような熱交換器のミニコアを作製し
た。このミニコアについて、フィン材とチューブ材との
接合部を目視観察して、フィン材とチューブ材とがろう
付け接合している割合を調べ、フィン接合率(%)及び
フィンの座屈の有無からろう付け性を評価した。
【0034】(7)耐食性 (6)の場合と同様にして作製した熱交換器のミニコア
について、CASS試験をJISH8681に基づいて
1か月間実施し、フィン材及びチューブ材の腐食状況を
調査し、耐食性の評価を行った。耐食性の良否は、チュ
ーブ材に貫通孔が無いものを○:良好、チューブ材に貫
通孔が発生したもの及びフィン材の自己腐食の大きいも
のを×:不良と評価した。
【0035】表2に示すように、本発明の条件を満たす
フィン材No.1〜12はいずれも、コルゲート成形後
のバラツキ(標準偏差)が0.1mm以下で良好な成形性
を示した。ろう付け後の引張強さはいずれも150MP
a以上の優れた強度を示し、電気伝導度は、従来のJI
S3003のフィン材が37%IACSであるのに対し
て、いずれも40%IACS以上あり、熱伝導度が良好
なことを示した。また、フィン接合率も90%以上でろ
う付け性に優れている。耐食性試験においても、CAS
S試験後、チューブ材に貫通孔が発生しておらず、フィ
ン材の犠牲陽極効果が優れていることを示した。なお、
同一の合金No.で組織状況が繊維組織のものと再結晶
組織のもの(フィン材No.3と4、フィン材No.7
と8)とを比較すると、フィン山高さのバラツキは繊維
組織のものの方がより小さく良好な成形性を示した。
【0036】
【表2】
【0037】比較例1 連続鋳造により、表3に示す組成(合金No.11〜2
6に示す組成)を有するアルミニウム合金を造塊し、実
施例1と同様にして厚み0.07mmのアルミ合金フィン
材を製造した。得られたアルミ合金フィン材(フィン材
No.13〜32)について、実施例1と同様の方法に
従って、(1)ろう付け前の引張強さ、(2)組織状
況、(3)成形性(フィン山高さのバラツキ)、(4)
ろう付け後の引張強さ、(5)ろう付け後の電気伝導
度、(6)ろう付け性(フィン接合率)、(7)耐食性
を評価した。結果を表4に示す。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】本発明の条件を外れたフィン材No.13
〜32は、表4に示すように、いずれもアルミ合金フィ
ン材としての十分な性能を示していない。すなわち、フ
ィン材No.13は、Mnの含有量が少ないため、ろう
付け後の引張強度が十分でない。フィン材No.14
は、Mnの含有量が多すぎるため、熱間圧延が困難とな
り健全な材料が製造できなかった。フィン材No.15
は、Siの含有量が少ないため、ろう付け後の引張強度
が十分でなく、また、Mn/Si比が大きいためMnの
固溶量が増加して電気伝導度を低下させ、熱伝導度が不
十分なものとなった。フィン材No.16は、Siの含
有量が多すぎるため、ろう付け時の加熱によってフィン
材の局部溶融が生じた。
【0041】フィン材No.17は、Feの含有量が少
ないため、ろう付け後の引張強度が十分でなく、フィン
材No.18は、Feの含有量が多すぎるため、自己腐
食性が大きくなってフィン材の腐食消耗が顕著となり、
フィン材の犠牲陽極効果が長時間持続できなかった。フ
ィン材No.19は、Zn、In、Snの各含有量が少
ないため、犠牲陽極効果が劣り、CASS試験後のチュ
ーブ材に貫通孔が発生した。フィン材No.20、2
7、28は、Zn、In、Snの各含有量が多すぎるた
め、自己腐食性が大きくなってフィン材の腐食消耗が顕
著となり、フィン材の犠牲陽極効果が長時間持続できな
かった。
【0042】フィン材No.21は、Niの含有量が少
ないため、ろう付け後の引張強さが十分でない。フィン
材No.22は、Niの含有量が多いため、熱間圧延が
困難となり、健全な材料が製造できなかった。
【0043】フィン材No.23は、Zr、Crの各含
有量が少ないため、ろう付け時にフィン材が座屈変形し
た。また、Cu量が少ないため、ろう付け後の引張強さ
が十分でない。フィン材No.24は、Cuの含有量が
多いため犠牲陽極効果が劣り、CASS試験においてチ
ューブの貫通孔が生じた。フィン材No.25、26
は、Zr、Crの各含有量が多すぎるため、熱間圧延が
困難となり健全な材料が製造できなかった。
【0044】フィン材No.29は、(ろう付け前)素
材の引張強さが低いため、また、フィン材No.30
は、素材の引張強さが高すぎるためフィン山高さのバラ
ツキが大きく、フィン接合率が低くなり、熱交換器に組
み込んだ場合、熱交換器の熱特性を低下させる。フィン
材No.31は、素材の引張強さが低く且つ再結晶組織
のため、フィン材No.32は、素材の引張強さが高く
且つ再結晶組織のため、いずれもフィン山高さのバラツ
キが大きく、フィン接合率が低くなり、熱交換器に組み
込んだ場合、熱交換器の熱特性を低下させる。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、成形性及びろう付け性
に優れ、熱伝導度が高く、且つ犠牲陽極効果に優れ、ろ
う付け後の強度が更に改善された熱交換器用アルミニウ
ム合金フィン材が提供される。当該熱交換器用アルミニ
ウム合金フィン材によれば、フィン材の一層の薄肉化が
可能となり、熱交換器の軽量化、長寿命化、生産性の向
上が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィン材をコルゲート成形した状態を示す正面
図である。
【図2】図1のコルゲート成形されたフィン材とチュー
ブ材とを組み合わせ、ろう付け接合した熱交換器エレメ
ントを示す正面図である。
【符号の説明】
1 コルゲートフィン 2 チューブ材 3 熱交換器エレメント

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mn:1.0%(質量%、以下同じ)〜2.0
    %、Si:0.5%〜1.3 %、Ni:0.6%を越え1.3 %以
    下、Fe:0.3%を越え0.8 %以下、Cu:0.06〜0.2
    %、Zn:1.1%〜3 %を含有し、MnとSiとの含有比
    (Mn%/Si%)を1.0〜3.5とし、更に、Z
    r:0.05 %〜0.3 %及びCr:0.05 %〜0.3%のうちの
    1種又は2種を含み、残部Alと不可避的不純物からな
    り、素材の引張強さが160〜270MPaであること
    を特徴とする成形性及びろう付け性に優れた熱交換器用
    アルミニウム合金フィン材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のアルミニウム合金フィン
    材が、更に、In:0.005%〜0.1 %、Sn:0.01 %〜0.
    1 %のうちの1種又は2種を含有してなることを特徴と
    する成形性及びろう付け性に優れた熱交換器用アルミニ
    ウム合金フィン材。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のアルミニウム合金
    フィン材のマトリックスが繊維組織であることを特徴と
    する成形性及びろう付け性に優れた熱交換器用アルミニ
    ウム合金フィン材。
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