JP3763522B2 - 成形性及びろう付け性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材 - Google Patents

成形性及びろう付け性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形性及びろう付け性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材、詳しくは、ラジエータ、カーヒータ、カーエアコン等のように、フィンと作動流体通路の構成材料とをろう付けにより接合する熱交換器用アルミニウム合金フィン材、特に成形性及びろう付け性に優れ、熱伝導率が高く、且つ犠牲陽極効果に優れ、改善されたろう付け後の強度特性をそなえたアルミニウム合金フィン材に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム合金製熱交換器は、自動車のラジエータ、オイルクーラ、インタークーラ、ヒータ及びエアコンのエバポレータやコンデンサあるいは油圧機器や産業機械のオイルクーラ等の熱交換器として、広く使用されている。このアルミニウム合金製熱交換器のフィン材には、チューブ材(作動流体通路材)を防食するために犠牲陽極効果が要求されると共に、ろう付け時の高温加熱による変形防止やろうの浸食防止のために耐高温座屈性が要求される。このような要求を満たすために、従来、アルミニウム合金フィン材としては、JISA3003、JISA3203等のAl−Mn系、Al−Mn−Si系、Al−Mn−Si−Cu系等、Mnを有するアルミニウム合金が用いられている。Mnは、ろう付け時の変形やろうの浸食を防ぐのに有効に作用し、更に、Mnを含むアルミニウム合金フィン材に犠牲陽極効果を付与するために、Zn、Sn、In等を添加して電気化学的に卑にする手法が知られている(特開昭62−120455号公報)。
【0003】
フィン材は、例えば、図1に示すようにコルゲート成形され、このコルゲートフィン1を図2に示すように、チューブ材2と組み合わせ、ろう付け接合することにより熱交換器エレメント3となる。近年、自動車の一層の軽量化のために、自動車用熱交換器の軽量化の要求がますます強くなっており、これに対応して熱交換器の構成部材のフィン材、チューブ材等の薄肉化が進行しているが、例えば、厚み0.1mm以下のアルミニウム合金フィン材をコルゲート成形すると、図1に示すように、上側R頂点と下側R頂点との間のフィン山高さhに、h1 、h2 、h3 、h4 のように、バラツキが生じることがあり、このバラツキが生じると、コルゲートフィン1とチューブ材2とのろう付け接合率が低下して、熱交換性能が低下するため、バラツキを低減するために、通常、フィン成形機を試行錯誤で調整することにより対処しているのが現状である。
【0004】
このように、フィン材の薄肉化、更にフィン成形機の高速化に伴って、フィン材の成形性、その後のろう付け性に問題が生じ、アルミニウム合金製熱交換器の生産性や製造性にも影響することから、アルミニウム合金フィン材の成形性及びろう付け性について一層の改善が望まれている。また、フィンの薄肉化に伴うろう付け後の強度や熱伝導度を更に改善することも要求されている。
【0005】
Mnを含有するアルミニウム合金は、ろう付け時の加熱によりMnが固溶して熱伝導率が低下するという難点があり、この問題を解決するため、Mn含有量を0.8%以下に制限し、Zr:0.02 %〜0.2 %、Si:0.1%〜0.8 %を添加したアルミニウム合金が提案されている(特公昭63−23260号公報参照)が、このアルミニウム合金においては、ろう付け後の熱伝導率は改善されるが、Mn含有量が少ないため、ろう付け後の強度が十分でなく、熱交換器として使用中に、フィン倒れや変形が生じ易く、更に電位が十分に卑でないため犠牲陽極効果が小さいという別の問題が生じる。
【0006】
先に、発明者らは、ろう付け後の強度を改良したフィン材用アルミニウム合金として、Al−Mn−Si−Mg−Fe系合金にZnを添加したアルミニウム合金(特開平5−230578号公報)を提案し、更に、Al−Mn−Si−Fe−Cu−Zn系合金にZr、Crのうちの1種又は2種を含有するアルミニウム合金(特願2000−351019号)を提案した。これらのアルミニウム合金は、ろう付け後の強度に優れ、フィン材の薄肉化を可能とするものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、フィン材の一層の薄肉化を達成することを可能とする熱交換器用アルミニウム合金を得るためになされたものであり、その目的は、上記特願2000−351019号をベースとして、特にろう付け前及びろう付け後に改善された強度特性を有すると共に、ろう付け前の成形加工性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の請求項1による成形性及びろう付け性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材は、Mn:1.0%〜2.0 %、Si:0.5%〜1.3 %、Ni:0.6%を越え1.3 %以下、Fe:0.3%を越え0.8 %以下、Cu:0.06 〜0.2 %、Zn:1.1%〜3 %を含有し、MnとSiとの含有比(Mn%/Si%)を1.0〜3.5とし、更に、Zr:0.05 %〜0.3 %及びCr:0.05 %〜0.3 %のうちの1種又は2種を含み、残部Alと不可避的不純物からなり、素材の引張強さが160〜270MPaであることを特徴とする。
【0009】
請求項による成形性及びろう付け性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材は、更に、アルミニウム合金フィン材がコルゲート成形用のアルミニウム合金フィン材であり、該フィン材のマトリックスが繊維組織で、該繊維組織がコルゲート成形されるフィン材の長さ方向に伸びるよう形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項による成形性及びろう付け性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材は、請求項において、アルミニウム合金フィン材が、更に、In:0.005%〜0.1%、Sn:0.01%〜0.1%のうちの1種又は2種を含有してなることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の熱交換器用アルミニウム合金フィン材における(1)合金成分の意義及びその限定理由、(2)素材の引張強さの意義及びその限定理由について説明する。
(1)合金成分の意義及びその限定理由
フィン材中のMnは、Siと共存することによりAl−Mn−Si系の化合物を生成して、ろう付け前及びろう付け後のフィン材の強度を向上させると共に、耐高温座屈性及び成形加工性を改良する。Mnの好ましい含有範囲は、1.0 %〜2.0 %であり、1.0 %未満ではその効果が小さく、2.0 %を越えて含有すると、鋳造時に粗大な晶出物が生成して板材の製造が困難となり、更に、Mnの固溶量が増加して熱伝導度が低下する。
【0012】
フィン材中のSiは、Mnと共存してAl−Mn−Si系化合物を生成し、フィン材の強度を向上させると共に、Mnの固溶量を減少させて熱伝導度を向上させる。Siの好ましい含有範囲は0.5 %〜1.3 %であり、0.5 %未満ではその効果が十分でなく、1.3 %を越えるとろう付け時にフィン材の溶融が生じるおそれがある。
【0013】
MnとSiとは、Al−Mn−Si系化合物を生成し、Mn及びSiの各固溶量を減少させて熱伝導度を向上させる。MnとSiとの好ましい含有比(Mn%/Si%)の範囲は1.0〜3.5であり、1.0未満ではSiの固溶量が増加して熱伝導度が低下し、3.5を越えるとMnの固溶量が増加して熱伝導度が低下する。
【0014】
フィン中のNiは、合金マトリックス中に微細な金属間化合物を生成して、熱伝導度をさほど低下させることなく、ろう付け前及びろう付け後のフィン材の強度を向上させると共に成形性を改良する。Niの好ましい含有量は0.6 %を越え1.3 %以下の範囲であり、0.6 %以下ではその効果が十分でなく、1.3 %を越えると、鋳造時に粗大な晶出物が生成して加工性を低下させ、板材の製造が困難となり、自己耐食性が低下する。
【0015】
フィン材中のFeは、ろう付け前及びろう付け後のフィン材の強度を向上させると共に成形加工性を改良する。Feの好ましい含有量は0.3 %を越え0.8 %以下の範囲であり、0.3 %以下ではその効果が十分でなく、0.8 %を越えると、フィン材の自己耐食性が劣化する。
【0016】
フィン材中のCuは、ろう付け前及びろう付け後のフィン材の強度を向上させると共に成形加工性を改良する。Cuの好ましい含有量は0.06%〜0.2 %の範囲であり、0.06%未満ではその効果が小さく、0.2 %を越えると、フィン材の電位を貴にしフィンの犠牲陽極効果を低下させる。
【0017】
フィン材中のZnは、フィン材の電位を卑にし、犠牲陽極効果を与える。Znの好ましい含有範囲は1.1 %〜3 %であり、1.1 %未満ではその効果が小さく、3 %を越えて含有すると、フィン材自体の自己耐食性が悪くなる。
【0018】
フィン材中のZr及びCrは、ろう付け前及びろう付け後のフィン材の強度を向上させると共に耐高温座屈性及び成形加工性を改良する。Zr及びCrの好ましい含有範囲は、共に0.05 %〜0.3 %であり、0.05%未満ではその効果が小さく、0.3 %を越えて含有すると、鋳造時に粗大な晶出物が生成して圧延加工性を害し、板材の製造が困難となる。
【0019】
フィン材中のIn及びSnは、いずれもフィン材の熱伝導度をほとんど低下させることなく電位を卑にし、犠牲陽極効果を与える。Inの好ましい含有範囲は、0.005 %〜0.1 %、Snの好ましい含有範囲は、0.01%〜0.1 %である。In及びSnの含有量がそれぞれ下限値未満ではその効果が小さく、上限値を越えると効果が飽和するばかりでなく、フィン材の自己耐食性及び圧延加工性が低下する。
【0020】
なお、その他の成分として、0.3 %未満のTi、Vを含有しても、本発明の効果が損なわれることはないが、0.3 %以上含有すると、加工性を害するおそれがある。
【0021】
(2)素材の引張強さの意義及びその限定理由
本発明の熱交換器用アルミニウム合金フィン材は、成形前のフィン材(素材)の引張強さが160〜270MPaの範囲内にあることが重要である。引張強さを160〜270MPaの範囲内とすることにより、成形性に優れ、コルゲート成形時のフィン山高さのバラツキをなくすことができる。素材の引張強さが160MPa未満では、コルゲート成形時の加工応力によって異常変形し易く、フィン山高さのバラツキが大きくなり、素材の引張強さが270MPaを越えると、コルゲート成形時のスプリングバックが大きくなって、フィン山高さのバラツキが大きくなり、いずれの場合も、ろう付け時にフィンとチューブとの間に接合不良が生じ易くなる。なお、フィン材の引張強さを160〜270MPaの範囲内にするには、フィン材製造時の均質化処理温度、焼鈍処理温度及び冷間圧延の加工度を調整する等の手法を用いることができる。
【0022】
また、本発明の熱交換器用アルミニウム合金フィン材は、その素材のマトリックスを繊維組織とするのが好ましく、繊維組織とすることによりフィン材の成形加工性が均一となり、コルゲート成形時のフィン山高さのバラツキを更に低減することができる。素材のマトリックスが再結晶組織の場合には、フィン材の成形加工性が不均一となることがあり、フィン山高さのバラツキが大きくなり易く、ろう付け時にフィンとチューブとの間に接合不良が生じ易くなる。素材のマトリックスを繊維組織にするには、フィン材製造時の焼鈍処理温度を、合金の再結晶温度より低い温度に調整する手法を用いるのが好ましい。
【0023】
本発明の成形性及びろう付け性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材(以下単にアルミ合金フィン材という)は、このアルミ合金フィン材を構成するアルミニウム合金を、例えば、半連続鋳造により造塊し、常法に従い、均質化処理後、熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍及び仕上げ冷間圧延を経て製造され、通常、厚み0.1mm以下の板材とする。この板材を所定幅にスリッティングした後、コルゲート加工して、作動流体通路用材料、例えば、ろう材を被覆したJISA3003合金等で構成したクラッド板からなる偏平管と交互に積層し、ろう付け接合することにより、熱交換器ユニットとする。
【0024】
本発明においては、引張強さを160〜270MPaの範囲に調整し、素材マトリックスの組織を繊維組織とすることにより、成形性に優れ、コルゲート成形時のフィン山高さのバラツキを無くすことができ、MnとSiとを共存させることでAl−Mn−Si系化合物を生成させ、Mn%/Si%比を調整することにより、Mn及びSiの固溶量を減少させ、Niを含有させることにより、熱伝導度をさほど低下させることなく材料強度を向上させ、Cuを含有させることによって材料の強度を向上させ、また、Zn、In、Snを含有させることによって材料の電位を卑にし、Zr、Crを含有させることにより耐高温座屈性を向上させ、これら合金元素の相互作用により、成形性及びろう付け性に優れ、ろう付け後の強度と熱伝導度が高く、且つ犠牲陽極効果に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金フィン材を得るものである。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明する。
実施例1
連続鋳造により、表1に示す組成(合金No.1〜10に示す組成)を有するアルミニウム合金を造塊し、常法に従って均質化処理した後、熱間圧延し、ついで冷間圧延(加工度87〜96%)した後、中間焼鈍(温度200〜400℃)及び仕上げ冷間圧延(加工度14〜72%)を経て厚み0.07mmのアルミ合金フィン材を製造した。このアルミ合金フィン材における引張強さ及び組織は、中間焼鈍温度及び冷間圧延の加工度を調整することにより、引張強さを160〜270MPaの範囲内で変化させ、且つ組織を調整した。
【0026】
【表1】
Figure 0003763522
【0027】
上記により得られたアルミ合金フィン材(フィン材No.1〜12)について、以下の方法に従って、(1)ろう付け前の引張強さ、(2)組織状況、(3)成形性(フィン山高さのバラツキ)、(4)ろう付け後の引張強さ、(5)ろう付け後の電気伝導度、(6)ろう付け性(フィン接合率)、(7)耐食性を評価した。結果を表2に示す。
【0028】
(1)ろう付け前の引張強さ
上記アルミ合金フィン材について、JIS−5号試験片を採取して引張試験を行い、引張強さを測定した。
【0029】
(2)組織状況
上記アルミ合金フィン材について、表面のミクロ組織を顕微鏡で観察することにより、組織状況(繊維組織か再結晶組織か)を判定した。
【0030】
(3)成形性(フィン山高さのバラツキ)
上記アルミ合金フィン材について、所定幅の帯状に切断した後、歯車回転式の成形機を通してコルゲート成形を行い、これを投影機に映してコルゲート成形したフィン山高さh(図1参照)のバラツキを測定し、その標準偏差σ(mm)を求めた。標準偏差が0.1mmを越えると、ろう付け時にフィンとチューブとの間に接合不良が生じ易くなるため、成形性の良否は、標準偏差が0.1mm以下を良好(○)とし、0.1mmを越えるものを不良(×)とした。
【0031】
(4)ろう付け後の引張強さ
上記アルミ合金フィン材について、ろう付け条件と同様に、フッ化物系フラックスろう付け加熱処理(以下、NB加熱という)として、アルミ合金フィン材に濃度3%のフッ化物系フラックスを塗布した後、窒素ガス雰囲気中600℃で3分間加熱し、NB加熱後のアルミ合金フィン材について、(1)と同様に引張試験を行い、引張強さを測定した。
【0032】
(5)ろう付け後の電気伝導度
上記NB加熱後のアルミ合金フィン材について、25℃で電気伝導度を測定することにより熱伝導度を評価した。実施例のアルミ合金フィン材は、一般の金属材料と同様に熱伝導度と電気伝導度との間に比例関係があり、電気伝導度を測定することにより、熱伝導度を評価することができる。
【0033】
(6)ろう付け性(フィン接合率)
上記アルミ合金フィン材について、(3)の場合と同様にコルゲート成形し、JISA3003合金を芯材とし、JISA4045合金を皮材(ろう材、クラッド率10%)とする厚さ0.25mmのチューブ材とを組み付けて、濃度3%のフッ化物系フラックスを塗布した後、窒素ガス雰囲気中600℃で3分間加熱して、ろう付けを行い、図2に示すような熱交換器のミニコアを作製した。このミニコアについて、フィン材とチューブ材との接合部を目視観察して、フィン材とチューブ材とがろう付け接合している割合を調べ、フィン接合率(%)及びフィンの座屈の有無からろう付け性を評価した。
【0034】
(7)耐食性
(6)の場合と同様にして作製した熱交換器のミニコアについて、CASS試験をJISH8681に基づいて1か月間実施し、フィン材及びチューブ材の腐食状況を調査し、耐食性の評価を行った。耐食性の良否は、チューブ材に貫通孔が無いものを○:良好、チューブ材に貫通孔が発生したもの及びフィン材の自己腐食の大きいものを×:不良と評価した。
【0035】
表2に示すように、本発明の条件を満たすフィン材No.1〜3、5〜7、9〜12はいずれも、コルゲート成形後のバラツキ(標準偏差)が0.1mm以下で良好な成形性を示した。ろう付け後の引張強さはいずれも150MPa以上の優れた強度を示し、電気伝導度は、従来のJIS3003のフィン材が37%IACSであるのに対して、いずれも40%IACS以上であり、熱伝導度が良好なことを示した。また、フィン接合率も90%以上でろう付け性に優れている。耐食性試験においても、CASS試験後、チューブ材に貫通孔が発生しておらず、フィン材の犠牲陽極効果が優れていることを示した。なお、フィン材No.4とフィン材No.8は、同一の合金No.で組織状況が繊維組織のものと再結晶組織のもの(フィン材No.3と4、フィン材No.7と8)とを比較するために、参考例として示すものであり、フィン山高さのバラツキは繊維組織のものの方がより小さく良好な成形性を示した。
【0036】
【表2】
Figure 0003763522
【0037】
比較例1
連続鋳造により、表3に示す組成(合金No.11〜26に示す組成)を有するアルミニウム合金を造塊し、実施例1と同様にして厚み0.07mmのアルミ合金フィン材を製造した。得られたアルミ合金フィン材(フィン材No.13〜32)について、実施例1と同様の方法に従って、(1)ろう付け前の引張強さ、(2)組織状況、(3)成形性(フィン山高さのバラツキ)、(4)ろう付け後の引張強さ、(5)ろう付け後の電気伝導度、(6)ろう付け性(フィン接合率)、(7)耐食性を評価した。結果を表4に示す。
【0038】
【表3】
Figure 0003763522
【0039】
【表4】
Figure 0003763522
【0040】
本発明の条件を外れたフィン材No.13〜32は、表4に示すように、いずれもアルミ合金フィン材としての十分な性能を示していない。すなわち、フィン材No.13は、Mnの含有量が少ないため、ろう付け後の引張強度が十分でない。フィン材No.14は、Mnの含有量が多すぎるため、熱間圧延が困難となり健全な材料が製造できなかった。フィン材No.15は、Siの含有量が少ないため、ろう付け後の引張強度が十分でなく、また、Mn/Si比が大きいためMnの固溶量が増加して電気伝導度を低下させ、熱伝導度が不十分なものとなった。フィン材No.16は、Siの含有量が多すぎるため、ろう付け時の加熱によってフィン材の局部溶融が生じた。
【0041】
フィン材No.17は、Feの含有量が少ないため、ろう付け後の引張強度が十分でなく、フィン材No.18は、Feの含有量が多すぎるため、自己腐食性が大きくなってフィン材の腐食消耗が顕著となり、フィン材の犠牲陽極効果が長時間持続できなかった。フィン材No.19は、Zn、In、Snの各含有量が少ないため、犠牲陽極効果が劣り、CASS試験後のチューブ材に貫通孔が発生した。フィン材No.20、27、28は、Zn、In、Snの各含有量が多すぎるため、自己腐食性が大きくなってフィン材の腐食消耗が顕著となり、フィン材の犠牲陽極効果が長時間持続できなかった。
【0042】
フィン材No.21は、Niの含有量が少ないため、ろう付け後の引張強さが十分でない。フィン材No.22は、Niの含有量が多いため、熱間圧延が困難となり、健全な材料が製造できなかった。
【0043】
フィン材No.23は、Zr、Crの各含有量が少ないため、ろう付け時にフィン材が座屈変形した。また、Cu量が少ないため、ろう付け後の引張強さが十分でない。フィン材No.24は、Cuの含有量が多いため犠牲陽極効果が劣り、CASS試験においてチューブの貫通孔が生じた。フィン材No.25、26は、Zr、Crの各含有量が多すぎるため、熱間圧延が困難となり健全な材料が製造できなかった。
【0044】
フィン材No.29は、(ろう付け前)素材の引張強さが低いため、また、フィン材No.30は、素材の引張強さが高すぎるためフィン山高さのバラツキが大きく、フィン接合率が低くなり、熱交換器に組み込んだ場合、熱交換器の熱特性を低下させる。フィン材No.31は、素材の引張強さが低く且つ再結晶組織のため、フィン材No.32は、素材の引張強さが高く且つ再結晶組織のため、いずれもフィン山高さのバラツキが大きく、フィン接合率が低くなり、熱交換器に組み込んだ場合、熱交換器の熱特性を低下させる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、成形性及びろう付け性に優れ、熱伝導度が高く、且つ犠牲陽極効果に優れ、ろう付け後の強度が更に改善された熱交換器用アルミニウム合金フィン材が提供される。当該熱交換器用アルミニウム合金フィン材によれば、フィン材の一層の薄肉化が可能となり、熱交換器の軽量化、長寿命化、生産性の向上が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィン材をコルゲート成形した状態を示す正面図である。
【図2】図1のコルゲート成形されたフィン材とチューブ材とを組み合わせ、ろう付け接合した熱交換器エレメントを示す正面図である。
【符号の説明】
1 コルゲートフィン
2 チューブ材
3 熱交換器エレメント

Claims (2)

  1. Mn:1.0%(質量%、以下同じ)〜2.0%、Si:0.5%〜1.3%、Ni:0.6%を越え1.3%以下、F:0.3%を越え0.8%以下、Cu:0.06%〜0.2%、Zn:1.1%〜3%を含有し、MnとSiとの含有比(Mn%/Si%)を1.0〜3.5とし、更に、Zr:0.05%〜0.3%及びCr:0.05%〜0.3%のうちの1種又は2種を含み、残部Alと不可避的不純物からなる組成を有し、素材の引張強さが160〜270MPaであるコルゲート成形用のアルミニウム合金フィン材であり、該フィン材のマトリックスが繊維組織で、該繊維組織がコルゲート成形されるフィン材の長さ方向に伸びるよう形成されていることを特徴とする成形性及びろう付け性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材。
  2. 請求項1記載のアルミニウム合金フィン材が、更に、In:0.005%〜0.1%、Sn:0.01%〜0.1%のうちの1種又は2種を含有してなることを特徴とする成形性及びろう付け性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材。
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