JP2011022126A - 位相差式レゾルバ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 算出器16が、検出信号ゼロクロス点Xにおける相差M(X)から算出された角度θ(X)、前回の前記検出信号ゼロクロス点X−1における位相差M(X−1)から算出された角度θ(X−1)に基づいて、角度θ(X)における速度V(X)を求め、速度V(X)に基づいて、次回の検出信号ゼロクロス点X+1における推定角
度θ´(X+1)を算出し、推定角度θ´(X+1)と角度θ(X)との差を、所定の最小検出角度θLSBに分割し、角度θ(X)以後、推定角度θ´(X+1)以前の範囲においては、最小検出角度θLSBに基づくリアルタイム角度出力を出力すること、を特徴とする。
【選択図】 図2
Description
自動車のモータ軸の位置検出には、耐高温性、耐ノイズ性、耐振動性、耐高湿性等の機能を満足するために、レゾルバが使用されている。レゾルバは、モータの内部に組み込まれて、モータのロータ軸に直接取り付けられている。
そして、励磁コイルに入力した励磁信号のゼロクロス点と、サーチコイルからの検出信号のゼロクロス点との位相差に基づいて、制御装置が角度変位を算出している。
すなわち、励磁信号が入力する励磁コイルと、検出信号が出力する検出コイルと、前記励磁コイルの励磁信号ゼロクロス点と前記検出信号の検出信号ゼロクロス点との位相差に基づいて、角度変位を算出しているため、励磁信号の周期でしか角度変位を検出できず、さらに高い分解能を必要とする場合には、適応できない問題があった。
例えば、7.2kHzの励磁信号を使用している場合を仮定する。この場合、モータ回転数が3000rpmのときには、角速度は18000度/秒であり、7.2kHzでは、検出できる最小角度は、18000度/7200=2.5度でしかない。
(1)励磁信号が入力する励磁コイルと、検出信号を出力する検出コイルと、前記励磁コイルの励磁信号ゼロクロス点と前記検出信号の検出信号ゼロクロス点との位相差に基づいて、角度変位を算出する制御手段と、を有する位相差式レゾルバであって、制御手段が、検出信号ゼロクロス点Xにおける位相差M(X)から算出された角度θ(X)、前回の検出信号ゼロクロス点X−1における位相差M(X−1)から算出された角度θ(X−1)に基づいて、角度θ(X)における速度V(X)を求め、速度V(X)に基づいて、次回の検出信号ゼロクロス点X+1における推定角度θ(X+1)を算出し、推定角度θ(X+1)と角度θ(X)との差を、所定の最小検出角度θLSBに分割し、角度θ(X)以後、推定角度θ(X+1)以前の範囲においては、最小検出角度θLSBに基づくリアルタイム角度出力を出力すること、を特徴とする。
(2)(1)に記載する位相差式レゾルバにおいて、所定時間TθLX=θLSB/V(X)経過毎に、前記リアルタイム角度出力を出力すること、を特徴とする。
(3)(2)に記載する位相差式レゾルバにおいて、前記リアルタイム信号が、θ(X)にθLSBを加算または減算した角度であること、を特徴とする。
(5)(1)乃至請求項(4)に記載する位相差式レゾルバのいずれか1つにおいて、前記速度V(X)を求めるのに、直前の複数のゼロクロス点における速度を求め、それらの平均値を前記速度V(X)とすることを特徴とする。
(6)(5)に記載する位相差式レゾルバにおいて、前記直前の複数のゼロクロス点の数が、4個または8個であることを特徴とする。
(8)(1)乃至(3)、(5)、(6)に記載する位相差式レゾルバのいずれか1つにおいて、前記最小検出角度θLSBの加減算を行う間隔が、前記制御手段の基準クロックの整数倍であること、を特徴とする。
(10)(8)または(9)に記載する位相差式レゾルバにおいて、前記所定時間TθLXを出力するために、複数のパルス列を出力することを特徴とする。
(11)(1)乃至(10)に記載する位相差式レゾルバのいずれか1つにおいて、前記推定角度θ(X+1)と、前記励磁信号ゼロクロス時間Xにおける位相差M(X)から算出された角度θ(X)との差が所定値以下の場合は、現在の角度算出を行わないことを特徴とする。
(13)(12)に記載する位相差式レゾルバにおいて、前記検出信号角度θBを算出するときに、正弦波1周期を所定数で分割し、分割した途中の値を、経過時間により補正することを特徴とする。
(1)励磁信号が入力する励磁コイルと、検出信号を出力する検出コイルと、前記励磁コイルの励磁信号ゼロクロス点と前記検出信号の検出信号ゼロクロス点との位相差に基づいて、角度変位を算出する制御手段と、を有する位相差式レゾルバであって、制御手段が、検出信号ゼロクロス点Xにおける位相差M(X)から算出された角度θ(X)、前回の検出信号ゼロクロス点X−1における位相差M(X−1)から算出された角度θ(X−1)に基づいて、角度θ(X)における速度V(X)を求め、速度V(X)に基づいて、次回の検出信号ゼロクロス点X+1における推定角度θ(X+1)を算出し、推定角度θ(X+1)と角度θ(X)との差を、所定の最小検出角度θLSBに分割し、角度θ(X)以後、推定角度θ(X+1)以前の範囲においては、最小検出角度θLSBに基づくリアルタイム角度出力を出力すること、を特徴とするので、直前の角度変化率である速度に基づいて、次のゼロクロス点までの角度変位を、短い経過時間毎に、出力できるため、高い分解能を必要とする場合にもリアルタイムで対応することができる。
本発明では、例えば、最小検出角度θLSB=0.0879度を用いれば、ゼロクロス点のみによる場合の分解能2.5度(モータ回転数が3000rpmのとき)と比較して、2.5/0.0879=約28倍の分解能を得ることができる。
(3)(2)に記載する位相差式レゾルバにおいて、前記リアルタイム信号が、θ(X)にθLSBを加算または減算した角度であること、を特徴とするので、最小検出角度θLSBが変化する毎に、そのときの推定角度を検出することができる。ここで、モータが正転しているときには、加算され、モータが逆転しているときには、減算される。
(5)(1)乃至請求項(4)に記載する位相差式レゾルバのいずれか1つにおいて、前記速度V(X)を求めるのに、直前の複数のゼロクロス点における速度を求め、それらの平均値を前記速度V(X)とすることを特徴とするので、速度が大きく変化しているときに、リアルタイムで出力する推定角度の精度を高くすることができる。
(6)(5)に記載する位相差式レゾルバにおいて、前記直前の複数のゼロクロス点の数が、4個または8個であることを特徴とするので、ビットでの計算がしやすく、プログラムをシンプルにできる。ここで、10個以上とすると、モータの回転角度検出に使用したときに次のような問題が懸念される。
すなわち、モータが10000rpm以上の回転数で回転しているときに、急速な減速が行われた場合に、10個以上とると、誤差が1θLSBを越えることが懸念され、急速に変化している速度V(X)の推定値を、精度よく推定できないからである。
(8)(1)乃至(3)、(5)、(6)に記載する位相差式レゾルバのいずれか1つにおいて、前記最小検出角度θLSBの加減算を行う間隔が、前記制御手段の基準クロックの整数倍であること、を特徴とするので、所定時間TθLXを基本クロックで除したときの余りの積算が誤差となるため、容易に誤差を算出できる。
(10)(8)または(9)に記載する位相差式レゾルバにおいて、前記所定時間TθLXを出力するために、複数のパルス列を出力することを特徴とするので、位相差式レゾルバの出力を容易に出すことができる。
(11)(1)乃至(10)に記載する位相差式レゾルバのいずれか1つにおいて、前記推定角度θ(X+1)と、前記励磁信号ゼロクロス時間Xにおける位相差M(X)から算出された角度θ(X)との差が所定値以下の場合は、現在の角度算出を行わないことを特徴とするので、低回転時においても、逆回転であると誤判断することがない。
(13)(12)に記載する位相差式レゾルバにおいて、前記検出信号角度θBを算出するときに、正弦波1周期を所定数で分割し、分割した途中の値を、経過時間により補正すること、を特徴とするので、単純な計算で角度変位を算出することができる。
第1励磁信号である7.2kHzの正弦波R1(Asinωt)を発生させる正弦波発生回路11が、レゾルバステータの第1励磁コイル21に接続している。また、第2励磁信号である7.2kHzの余弦波R2(Acosωt)を発生させる余弦波発生回路12が、レゾルバステータの第2励磁コイル22に接続している。
正弦波と余弦波とは、振幅が同じで、位相が90度ずれている。
検出コイル23では、出力信号KであるABsin(ωt+θ)が誘起電流として発生する。出力信号Kは、ロータリィトランスコイル24,25を介して、ステータ側に設けられたコンパレータ14に入力される。一方、正弦波発生回路11から正弦波(Asinωt)がコンパレータ13に入力される。
第1励磁コイル21に、正弦波R1(Asinωt)が励磁され、第2励磁コイル22に、余弦波R2が励磁されることにより、レゾルバロータの検出コイル23には、出力信号KであるABsin(ωt+θ)が誘起電流として発生する。正弦波R1と出力信号Kとの関係を図3の上段に示す。
出力信号Kは、ロータリィトランスコイル24,25を介して、ステータ側に設けられたコンパレータ14に入力される。
一方、正弦波発生回路11から正弦波R1(Asinωt)がコンパレータ13に入力される。コンパレータ13が検出する励磁信号である正弦波(Asinωt)のゼロクロス検出タイミングと、コンパレータ14が検出する出力信号であるABsin(ωt+θ)のゼロクロス検出タイミングのずれ(位相差M)から、角度算出器16が、モータロータの回転角度を算出する。コンパレータ13が検出する正弦波R1のゼロクロス検出タイミングを図3に、Srで示す。コンパレータ14が検出する出力信号Kのゼロクロス検出タイミングを図3に、Ssで示す。正弦波R1のゼロクロス検出タイミングと出力信号Kのゼロクロス検出タイミングのずれが位相差Mである。すなわち、位相差Mの単位は、時間である。
図中、Xは、検出信号Kの検出信号ゼロクロス点を示す。X−1は、Xの1回前の検出信号ゼロクロス点を示し、X−2は、Xの2回前の検出信号ゼロクロス点を示し、X+1は、Xの1回後の検出信号ゼロクロス点を示す。ただし、検出信号ゼロクロス点Xは、順次変更されてゆく。すなわち、検出信号Kの1回後のゼロクロス点の瞬間に、前の検出信号ゼロクロス点X+1が、現在の検出信号ゼロクロス点Xに変更される。
位相差M(X)は、検出信号ゼロクロス点Xにおける位相差を示し、角度θ(X)は、検出信号ゼロクロス点Xにおける角度を示す。
角度変位信号Pは、励磁信号である正弦波R1とほぼ同じ周期でしか出力されないため、角度変位信号Pのみでは、角度変位の分解能は低い。本実施例では、7.2kHzの励磁信号を使用している。例えば、モータ回転数が3000rpmのときには、角速度は18000度/秒であり、7.2kHzでは、検出できる最小角度は、18000度/7200=2.5度でしかない。
始めに、直前の角度、位相差より速度V(X)を算出する(S1)。
V(X)=(θ(X)−θ(X−1))/(Tr+M(X)−M(X−1))
ここで、Trは、励磁信号の周期(時間)である。
次に、分解能角度である最小検出角度θLSBの加減算を行う時間T´θLXを算出する(S2)。ここで、TθLXは、分解能角度である最小検出角度θLSBに至る計算上の時間であり、TθLX=θLSB/V(X)、加算カウンタKNxは、角度検出周期Tr+M(X)−M(X−1)にθLSB分の角度変化の出力を行う回数であり、KNx=(Tr+M(X)−M(X−1))/TθLX(=(θ(X)−θ(X−1))/θLSB)、そして、補正後カウンタK´Nxは、加算カウンタに後の補正を加えたものであり、KN´x=KNx+α(αは補正数)とする。このとき、T´θLX=(Tr+M(X)−M(X−1))/KN´xとなる。
次に、T´θLX経過毎に、θLSBを加減算して、現在推定角度θ´を推定する(S3)。
次に、実角度θ(X)検出時に、算出した実角度θ(X+1)と推定角度θ´(X)との値に誤差βが存在しない場合には(S4;Yes)、α=0をS2に入力する(S5)。また、誤差βが存在する場合には(S4;No)、α=(θ´(X+1)−θ(X))/θLSBをS2に入力する(S6)。ここで、θ(X+1)は、θ´(X1)で推定した角度に対応する実角度である。
図4及び図5に、検出信号ゼロクロス検出タイミングの途中で、角度を推定する方法を示す。共に、横軸が時間軸であり、縦軸が角度を示している。
図4において、角度θ(X)は、検出信号ゼロクロス点Xにおける実測して算出した角度を示す。角度θ(X−1)は、検出信号ゼロクロス点Xの1回前の検出信号ゼロクロス点X−1における実測して算出した角度を示す。角度θ´(X+1)は、検出信号ゼロクロス点Xの1回後の検出信号ゼロクロス点X+1における推定角度を示す。ダッシュを付けた符号は、推定値を示している。
また、Trは、励磁信号の周期(時間)である。位相差M(X)は、検出信号ゼロクロス点Xにおける励磁信号R1と検出信号Kとのタイミングのずれ(時間)である。位相差M(X−1)は、検出信号ゼロクロス点X−1における励磁信号R1と検出信号Kとのタイミングのずれ(時間)である。推定位相差M´(X+1)は、検出信号ゼロクロス点X+1における推定位相差を示す。
次に、最小検出角度θLSBを決定する。本実施例では、12bitの精度としている。これにより、360度を、2の12乗である4096で除した数、0.0879度が、最小検出角度θLSBとなる。
θ(X)から、最小検出角度θLSBだけ回転するのに要する時間TθLXは、TθLX=θLSB/V(X)である。V´(X+1)を等速と仮定しているので、図5に示すように、TθLX時間が経過する毎に、θ(X)にθLSBを加算(減算)することにより、現在の推定角度θ´を算出できる。
図5に示す時点においては、推定角度θ´は、θ(X)+2θLSBとして出力されている。
本実施例の最小検出角度θLSB=0.0879度によれば、ゼロクロス点のみによる場合の分解能2.5度(モータ回転数が3000rpmのとき)と比較して、2.5/0.0879=約28倍の分解能を得ることができる。
ここで、最小検出角度θLSB分変化したと推定したときに、単純なタイミング信号であるリアルタイム信号Sを出すようにしても良い。この場合には、リアルタイム信号Sを受けた側で出力回数をカウントすることにより、推定角度を知ることができる。また、最小検出角度θLSB分、角度が変化したと推定する方法として、本実施例では、所定時間TθLX=θLSB/V(X)を用いているが、より複雑な計算方法を用いて精度を高めても良い。
図6に、図4から時間経過して、図4における推定検出信号ゼロクロス点X+1が、実測値検出信号ゼロクロス点Xとなった状態を示す。図5においては、図4の検出信号ゼロクロス点Xを、1回前の検出信号ゼロクロス点X−1で表している。また、1回後の推定角度θ´(X+1)をθ´(X)と表している。図5に示すように、検出信号ゼロクロス点Xにおける実測した角度θ(X)と、推定角度θ´(X)と間に誤差βが存在した場合である。
図6に示す時間T(X)の時点で誤差βが確認される。そのとき直ちに、または短時間で、レゾルバ側で誤差βを修正した場合には、モータの制御装置側において、モータが停止していると判断されたり、あるいは逆回転していると判断されたりする恐れがある。実際は、誤差βは発生しているが、通常の回転を行っているのに、逆回転等の判断がされると、誤った情報を与える問題が生じる。
本実施例では、その問題を解決するために、徐々に誤差βを修正する方法を採用している。すなわち、推定角度θ´(X)をそのまま維持したまま、次の推定角速度V´(X+1)として、実測値θ(X)に基づいて角速度V(X)を算出し、推定角速度V´(X+1)=V(X)としている。
誤差を低減する具体的方法を図7に示す。具体的には、θLSBで加減算を行うタイミングを修正することにより、誤差の低減を行っている。
θLSBで加減算を行うタイミングは、実動作としては、基本クロック周期(本実施例では、基本クロックの周波数は、30MHz、周期は、33ns)の整数倍の周期tθLXとなるため、TθLXを基本クロック周期で除した余りの積算が誤差となる。したがって、誤差を基本クロック周期で除した数だけ、θLSBを加減算する間隔を、基本クロック1周期分延ばして、tθLX+1CLK(33ns)とすることにより、誤差を低減することができる。また、θLSBを加減算する間隔を延ばす箇所をバランス良く均等に配分することにより、理想速度に近づけることができる。図7において、実線で示すA1が、誤差を含むリアルタイム信号を示し、破線で示すA2が、理想的なリアルタイム信号を示している。
例えば、ΔTc=102で、5段階で制御している場合を想定する。102/5=20余り2となるため、図8に示すように、5段階のうち、tθLN=20CLKを3段階、tθLX+1CLK=21CLKを2段階で行う。このとき、tθLX+1CLKの2つの段階を、tθLXの3つの段階の中間に配分しているので、全体の角度変位バランスを均等にすることができる。
図9の方法では、例えば、T(X−1)からT(X)において、角度変化が10θLSBであるとする。本実施例では、最小検出角度θLSB=360度/4096=0.0879度としているので、検出信号ゼロクロス点Xから推定検出信号ゼロクロス点X+1までの期間ΔTcにおいては、TθLX時間経過する毎に、θ(X)にθLSBを加算(減算)した角度を現在の推定角度θ´として、角度算出器が算出し、出力ポート18にリアルタイム信号Sとして、出力ポート18から出力している。
本実施例では、角度出力の精度は12bitであり、励磁信号の1周期(360度)を360×12=4096単位時間(基準クロック:基本クロック周期30MHz(周期33ns)に対し、励磁信号周波数7324Hz)としている。よって、1単位時間(基本クロック=33ns)が、1θLSBに相当する。ここで、T(X−1)からT(X)にかけて、+10θLSB分の角度変化があった場合(例えば、M(X−1)=40基本クロック、M(X)=50基本クロック)を考える。Tr=4096単位時間であるので、ΔTc(T(X−1)−T(X))=ΔTB(T(X)−T(X−1))=Tr+M(X)−M(X−1)=4106と推定する。よって、4106基本クロックの間に、10回1θLSBの角度変化があったとの信号を出力する必要がある。しかし、4106/10=410.6であり、410.6基本クロック毎に、1θLSBずつ変化すると推定できるが、これは基本クロック周期の整数倍でないため、このような制御はできない。ここで、0.6を切り捨て、410基本クロック毎に+1θLSBずつ角度変化があったとすると、4100基本クロックの時点で、10θLSBの角度変化があったというリアルタイム信号を出力することになり、これでは誤差が発生する。本実施例では、上記誤差の発生を低減させる方法を示す。
このように、順次計算を行い、小数点以下を切り捨てることにより、誤差の低減を行うことができるため、極めて簡易に誤差を低減することができる。すなわち、図8の方法では、予め区分け数ごとに配分等を決めておかなければならないが、図9の方法によれば、順次計算を行うだけで、必要な誤差の低減を行うことができるため、制御が容易である。
出力するために、角度算出器16内で、TθLX時間経過毎に信号を発生させている。図10に、リアルタイム信号Sを出力するためのパルス信号を示す。
図10に示すように、オン時間TθLX、オフ時間TθLXのパルス列Aを、ゼロクロス点Xの時間T(X)から推定時間T(X+1)までの期間に発生させている。パルス列Aの立上がり、立下りの両方のタイミングをとることにより、そのタイミングで、θLSBを加算して、リアルタイム信号Sを出力する。
2つのパルス列を用いることにより、エンコーダ出力が容易にでき、角度及び回転方向を検出することができる。すなわち、2つのパルス列の立上がりと立下りの順序を識別す
ることにより、容易に回転方向を判断することができる。
上記のように、最小分解能θLSBの角度、またはその倍数に対応する時間、TθLX、2TθLX等をパルス列にて発生させることにより、現在の角度θ´を出力することができる。すなわち、パルス列の立上がり、立下り、またはその両方をカウントすると、そのカウント値が絶対角度を示すため、パラレル出力、シリアル出力することにより、現在の絶対角度を示すことができる。
図12を用いて、2θLSB未満の角度変化しかなかった場合には、角度推定を行わない理由を説明する。縦軸は、角度を示し、横軸は時間経過を示している。細い実線M1は、実際の角度変化を示し、破線M3は、常に角度推定を行った場合を示し、太い実線M2は、本実施例の、2θLSB未満の角度変化しかなかった場合には、角度推定を行わない場合を示している。実線M1が示すように、時間経過に対して、角度が僅かずつコンスタントに変化している場合である。
次に、検出信号ゼロクロス点X+2の時点で計測した角度は、推定角度である+2θLSBを下回っているため、その時点において検出信号ゼロクロス点X+3における推定角度θ´(X+3)は、+θLSBとなる。図に示すように、検出信号ゼロクロス点X+2から検出信号ゼロクロス点X+3において、逆回転が行われたこととなり、実際の角度変化M1と相違する問題がある。
これに対して、検出信号ゼロクロス点Xから次の検出信号ゼロクロス点X+1の間で、角度変化が2θLSB未満の場合に推定を行わない場合には、実線M2に示すように、検出信号ゼロクロス点Xでは角度θは変化せず、検出信号ゼロクロス点X+1の時点で、実際の計測値である+θLSBに、角度θが置き換えられる。同様に、検出信号ゼロクロス点X+2では角度θは変化せず、検出信号ゼロクロス点X+3の時点で、実際の計測値である+2θLSBに、角度θが置き換えられる。この方法によれば、角度がマイナス変化することがなく、モータの制御側が、モータが逆転したと誤検出することがない。
例えば、7.2kHzの励磁信号を使用している場合を仮定する。この場合、モータ回転数が3000rpmのときには、角速度は18000度/秒であり、7.2kHzでは、検出できる最小角度は、18000度/7200=2.5度でしかない。これが、出力ポート17からの出力である。
それと比較して、本実施例では、例えば、最小検出角度θLSB=0.0879度を用いれば、ゼロクロス点のみによる場合の分解能2.5度(モータ回転数が3000rpmのとき)と比較して、2.5/0.0879=約28倍の分解能を得ることができる。
また、リアルタイム信号として、所定時間TθLX=θLSB/V(X)経過毎に、推定角度として、前記最小検出角度θLSBを加算した角度を出力すること、を特徴とするので、最小検出角度θLSBが変化する毎に、そのときの推定角度を検出することができる。
また、最小検出角度θLSBの加減算を行う間隔が、角度算出器16の基準クロックの整数倍であること、を特徴とするので、所定時間TθLXを基本クロックで除したときの余りの積算が誤差となるが、容易に誤差を低減することができる。
また、誤差を基準クロックで除算した値に応じた回数分、最小検出角度θLSBを加減算する間隔を、基準クロック1周期分1CLK延ばすこと、を特徴とするので、バランスを確保しながら、誤差の低減を行うことができる。
また、推定角度θ´(X+1)と、励磁信号ゼロクロス時間Xにおける位相差M(X)から算出された角度θ(X)との差が所定値以下の場合は、現在の角度算出を行わないことを特徴とするので、低回転時においても、逆回転であると誤判断することがない。
図13に、励磁信号のうちの正弦波R1=αsinωtと、検出信号K=αβsin(ωt+γt)を示す。任意の測定点Φ1における正弦波R1の値をESrXとし、検出信号Kの値をESsXとする。測定点Φ1における、励磁信号の角度情報θSrXは、arcsin(ESrX/α)であり、検出信号の角度情報θSsXは、arcsin(ESsX/(α*β))である。arcsinは、−90度以上、90度以下の値しか取り得ないため、補正を行う必要がある。
(a)において、実線N1は、sinθの値であり、点線N2は、arcsinθの値である。(a)のデータの処理方法を説明する。sinθ最小値で、演算値arcsinθ´を−90度にセットし、(1)θが、−90度以上90度未満の範囲においては、補正値θ´=θとする。(2)θが、90度以上270度未満の範囲においては、補正値θ´=180−θとする。
これにより、(b)の補正後のデータを得ることができる。太い破線N3が、補正後のデータを示す。補正後のデータN3によれば、360度区間において、arcsin出力を、折れ線ではなく直線とすることができる。
(a)において、実線N1は、sinθの値であり、点線N2は、arcsinθの値である。(a)のデータの処理方法を説明する。sinθが演算値arcsinθ´を90度にセットし、(1)θが、90度以上270度未満の範囲においては、補正値θ´=θとする。(2)θが、−90度(270度)以上90度未満の範囲においては、補正値θ´=−180−θとする。これにより、(b)の補正後のデータN3を得ることができる。補正後のデータN3によれば、360度区間において、arcsin出力を、折れ線ではなく直線とすることができる。
任意の時点におけるレゾルバ角度ΦXは、ΦX=θ´Sr1−θ´Ss1(度)となる。常時レゾルバ角度を検出し、ΦXが、最小検出角度θLSB=0.0879度増加(減少)する毎に、リアルタイム信号Sを出力ポート18から出力する。
ロス点に限定されることなく、任意の時間において、角度変位を推定することができる。
また、検出信号角度θ´SsXを算出するときに、SIN1周期を所定数で分割し、分割した途中の値を、経過時間により補正することを特徴とするので、単純な計算で角度変位を算出することができる。
図16に、速度V(X)の求め方を示す。
(X−4)-(X−3)の区間における速度V´(X−3)=(θ(X−3)-θ(X−4))/(Tr+M(X−3)−M(X−4))を求める。
また、(X−3)-(X−2)の区間における速度V´(X−2)=(θ(X−2)-θ(X−3))/(Tr+M(X−2)−M(X−3))を求める。
また、(X−2)-(X−1)の区間における速度V´(X−1)=(θ(X−1)-θ(X−2))/(Tr+M(X−1)−M(X−2))を求める。
また、(X−1)-(X)の区間における速度V´(X)=(θ(X)-θ(X−1))/(Tr+M(X)−M(X−1))を求める。
このV(X)を第1実施例のV(X)として使用する。
ここで、図16の下段に示すように、4つの区間を1つとみなして、全体で平均速度V(X)=(θ(X)-θ(X−4))/(4Tr+M(X)−M(X−4))を算出して使用しても良い。
4個の速度V´の平均を計算するときに、本実施例では、各速度V´のデータは、12ビットであるため、4個の合計値は、14ビットとなる。このとき、単純に平均をとるならば、下2桁を削除して12ビットデータとすればよいのであるが、本実施例では、下2桁の上位の桁が、1の場合には切り上げ、0の場合は切り捨てている。これにより、実際の速度により近づけることができる。
上記実施例では、4個のゼロクロス点により、速度V(X)を求めているが、8個のゼロクロス点を用いて、速度V(X)を求めれば、さらに精度を高くすることができる。
また、直前の複数のゼロクロス点の数が、4個または8個であることを特徴とするので、ビットでの計算がしやすく、プログラムをシンプルにできる。
すなわち、モータが10000rpm以上の回転数で回転しているときに、急速な減速が行われた場合に、10個以上とると、誤差が1θLSBを越えることが懸念され、急速に変化している速度V(X)の推定値を、精度よく推定できないからである。10個以上とると、過去分のデータを多くとることになり、速度変化が急激な場合には、その分、推定する速度の誤差が大きくなる問題があるからである。
例えば、本実施例では、最小検出角度θLSB分、角度が変化したと推定するのに、所定時間TθLX=θLSB/V(X)を用いているが、他の計算式で、角度の変化を推定しても良い。さらに、最小検出角度θLSB分、角度が変化することを推定する代わりに、一定時間毎に、そのときの推定角度を算出して、一定時間毎に、算出した推定角度をリアルタイム信号Sとして、出力しても良い。
また、本実施例では、12bitの精度としているが、さらに大きなbitを用いて精度を高くしても良い。
本実施例では、モータが正転している場合について説明したが、モータが逆転しているときには、θLSB分、減算して推定角度を算出すれば良い。
12 余弦波発生回路
13,14 コンパレータ
16 角度検出器
17,18 出力ポート
21 第1励磁コイル
22 第2励磁コイル
23 検出コイル
24,25 ロータリィトランスコイル
X ゼロクロス点
M 位相差
P 角度変位信号
S リアルタイム信号
θ 角度
θ´ 推定角度
θLSB 最小検出角度
β 誤差
Claims (13)
- 励磁信号が入力する励磁コイルと、検出信号を出力する検出コイルと、前記励磁コイルの励磁信号ゼロクロス点と前記検出信号の検出信号ゼロクロス点との位相差に基づいて、角度変位を算出する制御手段と、を有する位相差式レゾルバにおいて、
前記制御手段が、
前記検出信号ゼロクロス点Xにおける位相差M(X)から算出された角度θ(X)、前回の前記検出信号ゼロクロス点X−1における位相差M(X−1)から算出された角度θ(X−1)に基づいて、前記角度θ(X)における速度V(X)を求め、
前記速度V(X)に基づいて、次回の前記検出信号ゼロクロス点X+1における推定角度θ(X+1)を算出し、
前記推定角度θ(X+1)と前記角度θ(X)との差を、所定の最小検出角度θLSBに分割し、
前記角度θ(X)以後、前記推定角度θ(X+1)以前の範囲においては、最小検出角度θLSBに基づくリアルタイム角度出力を出力すること、
を特徴とする位相差式レゾルバ。 - 請求項1に記載する位相差式レゾルバにおいて、
所定時間TθLX=θLSB/V(X)経過毎に、前記リアルタイム角度出力を出力すること、
を特徴とする位相差式レゾルバ。 - 請求項2に記載する位相差式レゾルバにおいて、
前記リアルタイム信号が、θ(X)にθLSBを加算または減算した角度であること、
を特徴とする位相差式レゾルバ。 - 請求項1に記載する位相差式レゾルバにおいて、
前記リアルタイム信号として、任意に定めた時間が経過する毎に、そのタイミングにおける推定角度を算出して、前記推定角度を出力すること、
を特徴とする位相差式レゾルバ。 - 請求項1乃至請求項4に記載する位相差式レゾルバのいずれか1つにおいて、
前記速度V(X)を求めるのに、直前の複数のゼロクロス点における速度を求め、それらの平均値を前記速度V(X)とすることを特徴とする位相差式レゾルバ。 - 請求項5に記載する位相差式レゾルバにおいて、
前記直前の複数のゼロクロス点の数が、4個または8個であることを特徴とする位相差式レゾルバ。 - 請求項1乃至請求項6に記載する位相差式レゾルバのいずれか1つにおいて、
前記推定角度θ(X+1)と、前記励磁信号ゼロクロス点X+1における位相差M(X+1)から算出された角度θ(X+1)とに誤差がある場合に、次回の前記励磁信号ゼロクロス点X+1における速度V(X+1)を算出するときに、前記誤差に基づく補正を行うことを特徴とする位相差式レゾルバ。 - 請求項1乃至請求項3、請求項5、6に記載する位相差式レゾルバのいずれか1つにおいて、
前記最小検出角度θLSBの加減算を行う間隔が、前記制御手段の基準クロックの整数倍であること、
を特徴とする位相差式レゾルバ。 - 請求項8に記載する位相差式レゾルバにおいて、
前記誤差を前記基準クロックで除算した値に応じた回数分、前記最小検出角度θLSBを加算する間隔を、前記基準クロック1周期分延ばすこと、
を特徴とする位相差式レゾルバ。 - 請求項8または請求項9に記載する位相差式レゾルバにおいて、
前記所定時間TθLXを出力するために、複数のパルス列を出力することを特徴とする位相差式レゾルバ。 - 請求項1乃至請求項10に記載する位相差式レゾルバのいずれか1つにおいて、
前記推定角度θ(X+1)と、前記励磁信号ゼロクロス時間Xにおける位相差M(X)から算出された角度θ(X)との差が所定値以下の場合は、現在の角度算出を行わないことを特徴とする位相差式レゾルバ。 - 励磁信号が入力する励磁コイルと、検出信号が出力する検出コイルと、前記励磁信号と前記検出信号との位相差に基づいて、角度変位を算出する制御手段と、を有する位相差式レゾルバにおいて、
前記制御手段が、
時間Tにおける前記励磁信号の値から励磁信号角度θAを算出し、時間Tにおける前記検出信号の値から検出信号角度θBを算出し、前記励磁信号角度θAと前記検出信号角度θBとの差に基づいて、現在の角度を推定することを特徴とする位相差式レゾルバ。 - 請求項12に記載する位相差式レゾルバにおいて、
前記検出信号角度θBを算出するときに、正弦波1周期を所定数で分割し、分割した途中の値を、経過時間により補正することを特徴とする位相差式レゾルバ。
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