JP4601789B2 - 位置検出データ生成方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、検出対象位置に応じて進相方向にシフトされた電気的位相角を持つ第1の交流出力信号と遅相方向にシフトされた電気的位相角を持つ第2の交流出力信号とを生成する位置検出システムにおいて使用される位置検出データ生成方法及び装置に関するものであり、特に、演算処理の負担軽減を図ったものであり、さらには、動特性(検出対象位置が時間的に変化するときの検出特性)についての検出性能を改善することに関し、例えば、レゾルバあるいはシンクロのような回転位置検出器、あるいはそれと同様の位置検出原理に従う直線位置検出器など、電気的位相差に基づき回転位置又は直線位置のアブソリュート位置検出を行なう技術に関連するものである。
【0002】
【従来の技術】
誘導型の回転位置検出器として、1相励磁入力で2相出力(サイン相とコサイン相の出力)を生じるものは「レゾルバ」として知られており、1相励磁入力で3相出力(120度ずれた3相)を生じるものは「シンクロ」として知られている。最も古いタイプの在来型のレゾルバは、ステータ側に90度の機械角で直交する2極(サイン極とコサイン極)の2次巻線を配し、ロータ側に1次巻線を配したものである(1次と2次の関係は逆も可)。このようなタイプのレゾルバはロータの1次巻線に電気的にコンタクトするためのブラシを必要としているので、これが欠点となっている。これに対して、ブラシを不要としたブラシレス・レゾルバの存在も知られている。ブラシレス・レゾルバは、ロータ側においてブラシに代わる回転トランスを設けたものである。一方、最近では、本出願人によって、巻線をステータ側にのみ(又はロータ側にのみ)設けた可変磁気抵抗型の検出器を用いて、1相励磁入力で2相出力(サイン相とコサイン相の出力)を生じるようにした装置も開発されている。また、1相励磁入力で2相出力(サイン相とコサイン相の出力)を生じるようにした位置検出装置は、回転タイプに限らず、直線位置検出タイプにおいても提案されている。
【0003】
先に、本出願人は、この種の1相励磁入力で2相出力を生じるいわゆるレゾルバタイプの位置検出器に対して好適に適用することができる新規な位相差検出技術を、特願平8−299781号(特開平9−126809号)で提案した。そこで提案された位相差検出技術は、検出器の巻線(コイル)は周辺環境の温度変化の影響を受けてそのインピーダンスが変化するので、2次側に誘導される交流信号の電気的位相が該温度変化に応じて微妙に変動して検出誤差をもたらす、という問題点を解決したものである。この公知の位相差検出技術は、大略、次のステップからなっている。
【0004】
〔ステップ1〕 1相励磁入力で2相出力を生じるいわゆるレゾルバタイプの位置検出器からの出力信号は、検出対象位置に応じた位相角θに対応するサイン関数sinθ及びコサイン関数cosθによってそれぞれ振幅変調された2つの出力交流信号sinθsinωt及びcosθsinωtからなっており、これを電気的に処理することで、検出対象位置に応じて正方向にシフトされた電気的位相角(+θ)を持つ第1の交流出力信号sin(ωt+θ)と負方向にシフトされた電気的位相角(−θ)を持つ第2の交流出力信号sin(ωt−θ)とを生成する。ここで、温度による巻線インピーダンス変化等の影響による位相誤差成分を±dで示すと、上記交流出力信号はそれぞれsin(ωt±d+θ)及びsin(ωt±d−θ)と表すことができる。
【0005】
〔ステップ2〕 ゼロクロスラッチ方式のような公知のディジタル位相差測定技術により、所定の基準位相(例えばsinωtの0位相)に対する上記各交流出力信号の位相差(±d+θ)及び(±d−θ)をディジタル検出し、それぞれの位相検出データを得る。
〔ステップ3〕 上記位相検出データを用いて、「{(±d+θ)+(±d−θ)}÷2=±d」なる演算を行い、誤差データ±dを得る。
〔ステップ4〕 上記位相検出データの一方(例えば「±d+θ」)から上記誤差データ±dを差し引くことにより、誤差を除去した位置検出データθを得る。
【0006】
ところで、検出対象位置が静止状態のときは特に問題ないのであるが、検出対象位置が時間的に変化するときは、それに対応する位相角θも時間的に変動することになる。その場合、各交流出力信号sin(ωt±d+θ)及びsin(ωt±d−θ)の位相ずれ量θが一定値ではなく、移動速度に対応して時間的に変化する動特性を示すものとなり、これをθ(t)で示すと、それぞれ、sin{ωt±d+θ(t)}及びsin{ωt±d−θ(t)}となる。すなわち、ドップラ効果によって、基準交流信号sinωtの周波数に対して、進相の交流出力信号は+θ(t)に応じて周波数が高くなる方向に周波数遷移し、遅相の交流出力信号は−θ(t)に応じて周波数が低くなる方向に周波数遷移する。このような動特性の下においては、基準信号sinωtの1周期毎に各交流出力信号の周期が互いに逆方向に次々に遷移していくので、上記ステップ3の演算をするだけでは、正確な位相変動誤差「±d」を得ることが困難となる。
【0007】
そこで、上記先願においては、このような問題を解決するために、上記交流出力信号sin{ωt±d+θ(t)}及びsin{ωt±d−θ(t)}のゼロクロスが一致するときを検出し、このゼロクロス一致検出時に、所定の基準交流信号sinωtに対する上記交流出力信号sin{ωt±d+θ(t)}及びsin{ωt±d−θ(t)}の一方の位相検出データを誤差データ±dとして保持し、この保持した誤差データを用いて、前記ステップ4での位置検出データの修正を行うようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、位相検出データは、各交流出力信号sin(ωt+θ)及びsin(ωt−θ)のゼロクロス毎にしか得ることができないため、その時間的検出分解能が交流信号の1周期に限定されてしまうことになり、動特性(検出対象位置が時間的に変化するときの検出特性)についての応答性能が限界づけられていた。また、上記従来技術においては、動特性を考慮した誤差データ±dの検出には、2つの交流出力信号のゼロクロスが一致する時点を待たなければならないため、応答性が悪くなるおそれがあった。
【0009】
この発明は上述の点に鑑みてなされたもので、補間演算を行なうことにより、動特性についての応答性及び検出性能を改善することを目的としており、特に、その際に、CPUのような演算処理装置による演算処理負担(オーバーヘッド)を軽減することのできる位置検出データ生成方法及び装置を提供しようとするものである。
さらには、本発明は、この種の位相検出型の位置検出システムにおいて、既存の汎用マイクロコンピュータユニットを利用しやすいようにし、システムをできるだけ安価に提供することができるようにしようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、検出対象位置に応じて進相方向に位相シフトされた電気的位相角を持つ第1の交流出力信号と遅相方向に位相シフトされた電気的位相角を持つ第2の交流出力信号とに基づき位置検出データを生成する方法であって、所定の基準位相に対する前記第1の交流出力信号の位相差を検出することで第1の検出データを生成し、該基準位相に対する前記第2の交流出力信号の位相差を検出することで第2の検出データを生成する第1のステップと、位置検出要求に応じた割込み処理として動作し、前記第1のステップで生成された検出データに対して補間演算を行なう第2のステップと、前記各検出データ毎に、前記第1のステップによる位相差検出時点から前記第2のステップによる割込み時点までの時間経過を測定する第3のステップとを具え、前記第2のステップは、時間的に相前後する前記第1の検出データの少なくとも2つのサンプルから第1の予測値を求め、時間的に相前後する前記第2の検出データの少なくとも2つのサンプルから第2の予測値を求めるステップと、前記第1及び第2の予測値を修正して少なくとも一つの標準予測値を求めるステップと、前記第1の検出データに対応する前記時間経過に応じた補間比率と、前記第2の検出データに対応する前記時間経過に応じた補間比率と、前記標準予測値と、前記第1の検出データと、前記第2の検出データとを用いて補間演算を行なうステップとを含むことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、予測補間によって時間的に密に補間済位置検出データを生成する場合において、常に補間演算を行なうのではなく、位置検出要求に応じた割込み処理として、必要最小限の時間で補間演算を行なう。すなわち、第2のステップは、位置検出要求に応じた割込み処理として動作し、前記第1のステップで生成された検出データに対して補間演算を行なう。この割込みは、CPU等の処理装置に対する外部割込みであってもよいし、内部割込みであってもよい。第3のステップにより、第1のステップによる位相差検出時点から該第2のステップによる割込み時点までの時間経過が測定される。この時間経過は、第2のステップによる割込み時点で行なうべき補間演算における補間比率を示している。そこで、第2のステップでは、時間的に相前後する前記検出データの少なくとも2つのサンプルに基づき予測値を求めるステップと、前記時間経過に応じた補間比率と前記予測値とを用いて前記検出データに対して補間演算を行なうステップとを含み、これにより、位置検出要求に応じたオンデマンドの補間演算処理を適切に行なうことができる。従って、補間演算処理に使用するCPU等の演算処理装置の負担を軽減することができ、オーバーヘッドを減少させることができる。よって、この演算処理装置を、位置検出以外の目的にも同時に多目的的に使用する場合において、極めて効率的に該CPU等の演算処理装置を利用することができる。
さらに、この発明によれば、予測補間によって時間的に密に補間済の位置検出データを生成することで、動特性(検出対象位置が時間的に変化するときの検出特性)についての応答性能を改善することができる。また、上記従来技術のように2つの交流出力信号のゼロクロスが一致する時点を待つ必要がなくなり、応答性がよくなる。
【0012】
また、この発明によれば、前記第1及び第2の予測値を修正して少なくとも一つの標準予測値を求めるようにすることで、正方向に位相シフトされた信号と負方向に位相シフトされた信号との間ではドップラ効果による周波数遷移(周期遷移)のリニアリティが異なることによる生じるおそれのある補間演算誤差を、適切に修正し、精度のよい補間演算を行うことができるようになる。この点について詳しくは後述の実施例において説明する。
【0013】
更に、この発明は、検出対象位置に応じて進相方向にシフトされた電気的位相角を持つ第1の交流出力信号と遅相方向にシフトされた電気的位相角を持つ第2の交流出力信号とを生成する位置検出システムにおいて、前記第1及び第2の交流出力信号をそれぞれディジタル信号に変換する変換手段と、ディジタル変換された前記第1及び第2の交流出力信号の少なくとも一方に関して、所定の基準位相に対する該交流出力信号の位相差を検出することで検出データを生成する処理を行なうディジタル処理手段とを具え、前記ディジタル処理手段では、前記所定の基準位相に対する前記第1の交流出力信号の位相差を検出することで第1の検出データを生成し、該基準位相に対する前記第2の交流出力信号の位相差を検出することで第2の検出データを生成する処理と、時間的に相前後する前記第1の検出データの少なくとも2つのサンプルから第1の予測値を求め、時間的に相前後する前記第2の検出データの少なくとも2つのサンプルから第2の予測値を求める処理と、前記第1及び第2の予測値を修正して少なくとも一つの標準予測値を求める処理と、前記標準予測値と前記第1及び第2のの検出データとを用いて時間経過に従う補間演算を行なう処理とを行なうことを特徴とする。このように交流出力信号のゼロクロス検出を行なうことなく、交流信号のままアナログ/ディジタル変換を行ない、ディジタル変換された交流出力信号をディジタル処理手段に入力することにより、該交流出力信号を多目的に利用することができる。特に、既存のマイクロコンピュータユニットにおいては、アナログ/ディジタル変換器やディジタル/アナログ変換器を付属しているものがあるので、その種のマイクロコンピュータユニットを使用する場合は、本発明に従えば、ハードウエア構成を変更することなく、本発明を適用することができるので、極めて経済的である。
【0014】
本発明は、方法発明として構成し、実施することができるのみならず、システム又は装置発明として構成し、実施することができる。また、本発明は、コンピュータまたはDSP等のプロセッサのプログラムの形態で実施することができるし、そのようなプログラムを記憶した記録媒体の形態で実施することもできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照してこの発明の実施の形態を詳細に説明しよう。
図1は、本発明に係る位置検出データ生成方法の一実施例を、該実施例を適用した位置検出システムの全体構成例と共に、示すブロック図である。この位置検出システムは、位置センサ10と検出処理部11とによって構成され、検出処理部11はアナログ処理部12とディジタル処理部13とを含む。本発明に係る位置検出データ生成方法を特徴づける構成は、ディジタル処理部13に含まれている。ディジタル処理部13の内部構成例は、図示の都合上、図1では一部のみ示し、詳しくは図2に示す。
【0016】
位置センサ10とアナログ処理部12の部分は、検出対象位置(これを「x」で示す)に応じて正方向にシフトされた電気的位相角(これを「+θ」で示す)を持つ第1の交流出力信号(便宜上これを「sin(ωt+θ)」で示す)と負方向にシフトされた電気的位相角(これを「−θ」で示す)を持つ第2の交流出力信号(便宜上これを「sin(ωt−θ)」で示す)とを生成するものであり、このような2種類の交流出力信号を生成するものであれば、図示したものに限らず、どのような構成であってよい。まず、本発明の前提である、これらの2種類の交流出力信号を生成する構成例について簡単に説明する。
【0017】
位置センサ10は、1相励磁入力/2相出力型の位置センサであり、どのようなタイプの位置センサであってもよい。例えば公知のレゾルバであってもよく、その場合、ブラシレス・レゾルバであってもよいし、ブラシのあるタイプてあってもよい。また、1次巻線と2次巻線をステータ側に具備し、ロータ又は可動部側には巻線を持たない、可変磁気抵抗タイプの位置センサであってもよい。また、位置センサ10は、回転位置検出センサであってもよいし、直線位置検出センサであってもよい。位置センサ10には、検出処理部11から発生された1相の励磁用交流信号EACが印加され、これによって1次巻線W1を励磁する。位置センサ10では、この1次巻線W1の励磁に応じて2相の2次巻線W2s,W2cの夫々に出力交流信号が誘導されるようになっており、夫々の誘導電圧レベルは検出対象位置xに対応して2相の関数特性sinθ,cosθを示す。すなわち、各2次巻線W2s,W2cの誘導出力信号は、検出対象位置xに対応して2相の関数特性sinθ,cosθで振幅変調された状態で夫々出力される。ここで、x=θまたはθはxに比例しているとする。説明の便宜上、巻線の巻数等、その他の条件に従う係数は省略し、2次巻線W2sをサイン相として、その出力信号を「sinθ・sinωt」で示し、2次巻線W2cをコサイン相として、その出力信号を「cosθ・sinωt」で示す。すなわち、検出対象位置xに対応する第1の関数値sinθを振幅値として持つ第1の出力交流信号A=sinθ・sinωtが2次巻線W2sから出力され、同じ検出対象位置xに対応する第2の関数値cosθを振幅値として持つ第2の出力交流信号B=cosθ・sinωtが2次巻線W2cから出力される。
【0018】
検出処理部11では、カウンタ19で所定の高速クロックパルスCKをカウントし、そのカウント値に基づき励磁信号発生回路20から励磁用の交流信号を発生し、位置センサ10の1次巻線W1に与える。カウンタ19のモジュロ数は、励磁用の交流信号EACの1周期に対応しており、説明の便宜上、そのカウント値の0は、基準交流信号sinωtの0位相に対応しているものとする。例えば、カウンタ19のカウント値が0から最大値まで1巡する間で、基準交流信号sinωtの0位相から最大位相までの1周期が発生されると想定すると、その基準交流信号sinωtに対応して励磁用の交流信号EACが、励磁信号発生回路20から発生される。
【0019】
位置センサ10から出力された第1及び第2の出力交流信号A,Bは、検出処理部11のアナログ処理部12に入力される。アナログ処理部12において、第1の出力交流信号A=sinθ・sinωtが位相シフト回路14に入力され、その電気的位相が所定量位相シフトされ、例えば90度進められて、位相シフトされた交流信号A’=sinθ・cosωtが得られる。また、アナログ処理部12においては加算回路15と減算回路16とが設けられており、加算回路15では、位相シフト回路14から出力される上記位相シフトされた交流信号A’=sinθ・cosωtと位置センサ10から出力される上記第2の出力交流信号B=cosθ・sinωtとが加算され、その加算出力として、B+A’=cosθ・sinωt+sinθ・cosωt=sin(ωt+θ)なる略式で表わせる第1の電気的交流信号Y1が得られる。減算回路16では、上記位相シフトされた交流信号A’=sinθ・cosωtと上記第2の出力交流信号B=cosθ・sinωtとが減算され、その減算出力として、B−A’=cosθ・sinωt−sinθ・cosωt=sin(ωt−θ)なる略式で表わせる第2の電気的交流信号Y2が得られる。このようにして、検出対象位置(x)に対応して正方向にシフトされた電気的位相角(+θ)を持つ第1の電気的交流出力信号Y1=sin(ωt+θ)と、同じ前記検出対象位置(x)に対応して負方向にシフトされた電気的位相角(−θ)を持つ第2の電気的交流出力信号Y2=sin(ωt−θ)とが、電気的処理によって夫々得られる。
【0020】
加算回路15及び減算回路16の出力信号Y1,Y2は、夫々ゼロクロス検出回路17,18に入力され、それぞれのゼロクロスが検出される。ゼロクロスの検出の仕方としては、例えば、各信号Y1,Y2の振幅値が負極性から正極性に変化するゼロクロスつまり0位相を検出する。各回路17,18で検出したゼロクロス検出パルスつまり0位相検出パルスは、ラッチパルスLP1,LP2として、ディジタル処理部13に供給される。
【0021】
まず、ディジタル処理部13で行なわれる位置検出動作の基本原理につき図2〜図6により説明する。図2は、ディジタル処理部13による位置検出原理を説明するための詳細ブロック図である。図2に示されたディジタル処理部13において、検出対象位置(x)に対応して正方向にシフトされた電気的位相角(つまり進相の位相ずれ+θ)に対応するラッチパルスLP1はラッチ(つまりレジスタ)21のラッチ制御信号として使用され、検出対象位置(x)に対応して負方向にシフトされた電気的位相角(つまり遅相の位相ずれ−θ)に対応するラッチパルスLP2はラッチ(つまりレジスタ)31のラッチ制御信号として使用される。各ラッチ21及び31では、カウンタ19のカウント値を夫々のラッチパルスLP1,LP2の発生タイミングでラッチする。前述のように、カウンタ19のモジュロ数は励磁用の交流信号の1周期に対応しており、そのカウント値の0は基準交流信号sinωtの0位相に対応しているものとしたので、各ラッチ21及び31にラッチしたデータP1,M1は、それぞれ、基準交流信号sinωtに対する各出力信号Y1,Y2の位相ずれ(+θ及び−θ)に対応している。
このように、各ラッチパルスLP1,LP2に応じて各ラッチ21及び31に位相差検出データP1及びM1をそれぞれラッチする処理が、検出対象位置(x)に応じて正方向にシフトされた電気的位相角(+θ)を持つ第1の交流出力信号「sin(ωt+θ)」の位相差を検出することで第1の検出データ(P1)を生成し、検出対象位置(x)に応じて負方向にシフトされた電気的位相角(−θ)を持つ第2の交流出力信号「sin(ωt−θ)」の位相差を検出することで第2の検出データ(M1)を生成する処理に相当する。
【0022】
ここで、位置センサ10と検出処理路部11間の配線ケーブル長の長短による影響や、位置センサ10の巻線W1,W2s,W2cにおいて温度変化等によるインピーダンス変化が生じていることを考慮して、その出力信号の位相変動誤差を「±d」で示すと、アナログ処理部12における上記各検出交流信号Y1,Y2は次のように表わされる。
Y1=sin(ωt±d+θ)
Y2=sin(ωt±d−θ)
したがって、上記各検出データP1及びM1は、検出対象位置xに対応する真の位相角θを示すものではなく、上記誤差±dを含むものである。この誤差±dは、進相の検出データP1に対しても、遅相の検出データM1に対しても、同一方向(同相方向)の誤差として含まれる。この点を図に示すと、図3(a)及び(b)のようである。(a)は誤差位相±dがプラスつまり進相(+d)の場合を図説し、(b)は遅相(−d)の場合を図説するものである。すなわち、進相の検出データP1は基準位相R0(例えば基準交流信号sinωtの0位相)に対して「±d+θ」なる位相ずれを示すものであり、遅相の検出データM1は基準位相R0に対して「±d−θ」なる位相ずれを示すものである。この誤差±dは、未知の値であるが、本出願人の出願に係る前記従来技術においては、進相及び遅相の両検出データP1及びM1を足して2で割ることにより、
{(±d+θ)+(±d−θ)}÷2=±d
なる関係に基づき、誤差±dを検出することができ、これにより温度特性誤差の補償を行うことができることを教示した。本実施例においても、同様の原理に従う温度特性誤差補償を行うが、その点については後述する。なお、以下の説明では、説明に特段の差しつかえがないかぎり、検出交流信号位相成分に上記誤差±dを含んでいる場合であっても、便宜上、あえてこの±dの存在を示さず、単に、「+θ」や「−θ」、あるいは「ωt+θ」や「ωt−θ」のように記載する。
【0023】
なお、各ラッチ21及び31では、同じカウンタ19のカウント出力をラッチするため、遅相の位相ずれ−θについて該カウンタ19のカウント値をそのまま当該位相ずれの絶対値「θ」を示す値とみなした場合、進相の位相ずれ+θについては該カウンタ19のカウント値は360度の補数(つまり「360°−θ」)に相当する位相データをラッチすることとなる。これにより、正負符号付きの各位相差「+θ」及び「−θ」に対応するデータをそのまま位相差検出データP1及びM1としてそれぞれ各ラッチ21及び31にラッチしたことと等価となる。このように、位相差検出データP1及びM1が正負符号付きのままの位相ずれ「+θ」及び「−θ」に対応しているものとしているので、上記のように、進相及び遅相の両検出データP1及びM1を足して2で割ることが、誤差±dを検出することに相当する。一方、このような事項は設計上任意に変更可能であり、例えば、進相の位相ずれ「+θ」についても当該位相ずれの絶対値「θ」がラッチ21にされるようにしてもよい。例えば、そのためには、ラッチ31にはカウンタ19のカウント値をそのままラッチする一方で、ラッチ21にはカウンタ19のカウント値の負の値若しくはモジュロ数に対するカウント値の補数(最大カウント値と現カウント値との差)をラッチするものとするとよい。その場合は、ラッチ21にラッチされる進相方向の位相ずれ「+θ」についての位相差検出データP1はそのθの絶対値を示し、また、ラッチ31にラッチされる遅相方向の位相ずれ−θについての位相差検出データM1もそのθの絶対値を示しているものとなる。その場合は、誤差±dを含む進相方向の位相ずれ「±d+θ」の絶対値「θ±d」を示す検出データP1と遅相方向の位相ずれ「±d−θ」の絶対値「θ−(±d)」を示す検出データM1との差を2で割ることで、誤差±dを検出することができる。その他、データ形式や演算形態の細部は適宜に設計変更可能である。
【0024】
図2の説明に戻ると、各ラッチ21及び31に対応して2次ラッチ(すなわちレジスタ)22及び32が設けられており、前記ラッチパルスLP1に応じて1次ラッチ21の出力を2次ラッチ22にラッチし(つまりシフトし)、前記ラッチパルスLP2に応じて1次ラッチ31の出力を2次ラッチ32にラッチする。これにより、前回のラッチパルスLP1(又はLP2)の発生時にラッチ21(又は31)にラッチされたデータ(つまり1サンプル前の位相差検出データ)が2次ラッチ22(又は32)に転送される。こうして、今回発生したラッチパルスLP1(又はLP2)に応じて1次ラッチ21(又は31)にラッチされて該ラッチ21(又は31)から出力されるデータを今回サンプルの位相差検出データP1(又はM1)とすると、そのとき同時に2次ラッチ22(又は32)に転送されて該ラッチ22(又は32)から出力されるデータは前回サンプルの位相差検出データP0(又はM0)である。こうして、正方向に位相遷移する傾向の、つまり進相の第1の検出データP1についての、時間的に相前後する2つのサンプルのデータ、つまりP1とP0、が各ラッチ21及び22から得られる。同様に負方向に位相遷移する傾向の、つまり遅相の第2の検出データM1についての、時間的に相前後する2つのサンプルのデータ、つまりM1とM0、が各ラッチ31及び32から得られる。
【0025】
引算器23では、ラッチ21の出力値P1からラッチ22の出力値P0を減算して、1サンプル周期当りの変化量ΔPを求める。すなわち、
ΔP=P1−P0
なる減算を行う。なお、ここでいう1サンプル周期とは、第1の交流出力信号sin(ωt+θ)の交流サイクルの1周期であり、検出対象の静止時は基準交流sinωtの1周期に相当するが、検出対象の移動時はドップラ効果によって正方向つまり進相方向に(交流サイクル周期を縮める方向に)遷移する。すなわち、1サンプル周期毎にラッチタイミングが早まるからである。
【0026】
同様に、引算器33では、ラッチ31の出力値M1からラッチ32の出力値M0を減算して、1サンプル周期当りの変化量ΔMを求める。すなわち、
ΔM=M1−M0
なる減算を行う。この1サンプル周期は、第2の交流出力信号sin(ωt−θ)の交流サイクルの1周期であり、検出対象の静止時は基準交流信号sinωtの1周期に相当するが、検出対象の移動時はドップラ効果によって負方向につまり遅相方向に(交流サイクル周期を伸ばす方向に)遷移する。すなわち、1サンプル周期毎にラッチタイミングが遅れるからである。図3(c)は、各サンプル毎の位相差検出データP0,P1,M0,M1の、基準位相R0に対する位相ずれ量をそれぞれ例示し、これによって、1サンプル周期当たりの進相及び遅相の変化量ΔP及びΔMをビジュアルに図示したものである。
【0027】
それぞれの方向についての変化量ΔP、ΔMは、それぞれ次のラッチタイミングまでの変化量の予測値として、補間演算に際して、使用される。例えば、加算器24において、ラッチ21から出力される今回サンプルの検出データP1と、引算器23から出力される次回サンプルまでの予測変化量ΔPとを加算し、補間演算に際しての、目標値TPを得る。すなわち、
TP=P1+ΔP
なる演算を行う。同様に、例えば、加算器34において、ラッチ31から出力される今回サンプルの検出データM1と、引算器33から出力される次回サンプルまでの予測変化量ΔMとを加算し、補間演算に際しての、目標値TMを得る。すなわち、
TM=M1+ΔM
なる演算を行う。なお、この実施例においては、この目標値TP,TMは、補間演算の際の絶対的な到達目標ではなく、補間の方向性を示す目安として使用されるだけである。具体的な補間値を決定するのに関与するのは、次に述べる標準予測値である。
【0028】
前述のように、進相つまり正方向(時間圧縮方向)へ位相遷移するときの変化量ΔPと、遅相つまり負方向(時間伸張方向)へ位相遷移するときの変化量ΔMは、ドップラ効果によって生じるものであり、移動速度(回転体の場合は回転数)に依存するものである。しかし、これらの進相方向の変化量ΔPと遅相方向の変化量ΔMは、移動速度に対してリニアティを示さず、図4に示すような非線形性を示す。図4の第1象限に実線で描かれたカーブΔMが遅相遷移方向の変化量ΔMの非線形特性例であり、第4象限に実線で描かれたカーブΔPが進相遷移方向の変化量ΔPの非線形特性例である。このように2つの変化量ΔP,ΔMの非線形特性は互いに逆向きの非線形特性、つまり一方が指数的で、他方が対数的、となる。このような逆向きの非線形特性は、変化量ΔP,ΔMを求めるためのサンプル周期(交流周期)が、進相の場合は速度が増すにつれて圧縮され、遅相の場合は速度が増すにつれて引き延ばされるために生じる。よって、横軸に示す移動速度が増してくるにつれて、2つの変化量ΔP,ΔMの値の重みが異なってくるので、これを適正に修正せずに補間演算に使用すると、後述の温度特性誤差補償演算等で、両者の補間演算結果同士を用いて演算を行った場合、誤差を招くことになる。この実施例において、これらの変化量ΔP,ΔM(すなちわち1次予測値)の非線形特性を修正することで、そのような誤差を招くことがないようにしている。そのようにこれらの変化量ΔP,ΔM(すなちわち1次予測値)の非線形特性を修正した値を、この実施例では、標準予測値(ノーマライズした予測値)と呼ぶことにする。
【0029】
図2の例においては、引算器23,33から出力される各変化量ΔP,ΔMの絶対値を演算器30で下記のように平均化する演算を行うことにより、修正した予測値つまり標準予測値VTを求めるようにしている。
VT=(|ΔP|+|ΔM|)÷2
その結果得られる標準予測値VTの移動速度に対する特性は、図4で破線VTで示すように、ほぼ直線性を示すものとなる。この標準予測値VTは、所定の標準サンプル周期(基準交流信号sinωtの1周期)で、進相及び遅相の位相検出データP1,M1をそれぞれサンプリング(ラッチ)したと仮定した場合のサンプル間の変化量つまり予測値に相当するもの、つまりバーチャルサンプリング(ラッチ)周期毎の変化量の予測値である。換言すれば、この実施例に従って、図4に示すような各変化量ΔP,ΔMの非線形特性を直線特性に変換して標準予測値VTを得ることで、動特性時におけるドップラ効果の影響を排除した、所定の標準サンプル周期(基準交流信号sinωtの1周期)つまりバーチャルサンプリング(ラッチ)周期に従う、ノーマライズされた仮想的な位相差検出が可能となる。これは、本発明で初めて提案する新規なアイデアである。なお、この標準予測値VTを次のステップで演算器25及び35で使用する場合、それぞれの予測値ΔP,ΔMの傾き方向(正負)に合わせた正負符号をつけるものとする。例えば、図4に示したように、進相の予測値ΔPの傾きは負であるから、進相用の演算器25で使用する標準予測値VTには負の符号を付与する(負の値とする)。これを図4で示せば、破線VT’で示す特性となる。
【0030】
標準予測値の求め方としては、これに限らず、例えば進相及び遅相毎にそれぞれ逆特性の非線形変換テーブルを使用して各予測値ΔP,ΔMを個別にデータ変換することで、それぞれ所定の直線性を示す値となるように変換する手法などが考えられる。その場合、標準予測値は進相及び遅相毎に別々に生成することとなる。しかし、上記のように平均値演算により標準予測値を求める手法はかなり簡単な構成で済むため、変換テーブルを用いる手法に比べてかなり有利である。また、予測値ΔP,ΔMは、上記例のように、隣接する2サンプルの位相差検出データの差(1サンプル周期の変化量)に限らず、2サンプル以上離れた2サンプルの位相差検出データの差(2サンプル周期以上の変化量)に基づいて求めるようにしてもよいし、また、2サンプルの位相差検出データに限らず、3サンプル以上の位相差検出データに基づいて求めるようにしてもよい。
【0031】
この実施例において、補間演算は、上述のバーチャルサンプリング(ラッチ)周期つまり所定の標準サンプル周期(基準交流信号sinωtの1周期)を基準にして行われる。すなわち、図5(a)に示すように、励磁側の基準交流信号sinωtの1周期(例えばその周波数が10kHzとすると、100μs)を所定の数nで分割し、その分割された1タイムスロットを1補間ステップとして、バーチャルサンプリング周期(基準交流信号sinωtの1周期)の1周期の間でn個の補間ステップからなる補間演算を、予測補間によって、時間経過に従って順次行う。各補間ステップ毎のタイムスロットを形成する補間クロックTnは、基準交流信号sinωtの1周期の1/nの周期からなる。例えばn=4096とした場合、補間クロックTnは40.96MHzとなる。ここで、例えば、nをカウンタ19のモジュロ数と同数とすると、カウンタのクロックパルスCKと補間クロックTnは、同一のクロックパルスを使用することができる。
【0032】
図2において、演算器25では、演算器30で求めた標準予測値VTを少なくとも用いて、1補間ステップ当りの補間値(つまり増分値)Apを演算する。基本的には、バーチャルサンプリング周期当りの変化量である標準予測値VTを補間ステップ分割数nで割ることで、1補間ステップ当りの増分値Apを求めることができる。しかし、ラッチパルスLP1が発生したタイミングで新たな検出データP1がラッチ21にラッチされたとき、その直前に得られた補間値(補間結果すなわち補間済検出データ)が該今回サンプルの新たな検出データP1に対して誤差を有するときは、この誤差をこの補間増分値Apに反映させることで、予測補間による誤差修正を常に行ってやることが望ましい。そこで、演算器25では、ラッチパルスLP1が発生したタイミングで、ラッチ21から出力される今回サンプルの新たな検出データP1と、補間処理部26で得られた最新の補間値(補間結果すなわち補間済検出データ)つまり補間最終値PAとを更に用いて、下記の演算を行い、新たな補間増分値Apを求める。
Ap={(P1−PA)+VT}÷n
ここで、(P1−PA)が、現在の補間済検出データつまり補間最終値PAと今回サンプリングした新たな検出データP1との誤差であり、この誤差を標準予測値VTに加算することで、向こう1周期にわたるバーチャルサンプリング周期当りの標準予測値を修正し、これをnで割ることにより、補間増分値Apを求める。なお、設計上の細部の話ではあるが、ここで、対応する変化量ΔPが負の傾きを持つ場合は、前述の通り、演算器25で使用する標準予測値VTは、演算器30で求めた値の負の値(つまり図4のVT’)とする。よって、補間増分値Apは負の値となり、事実上、減分値となる。
【0033】
遅相方向についても同様に、演算器35では、ラッチパルスLP2が発生したタイミングで、演算器30で求めた標準予測値VTと、前記分割数nと、ラッチ31から出力される今回サンプルの新たな検出データM1と、補間処理部36で得られた最新の補間値(補間結果すなわち補間済検出データ)つまり補間最終値MAとを用いて、下記の演算を行い、新たな補間増分値Amを求める。
Am={(M1−MA)+VT}÷n
ここで、(M1−MA)が、現在の補間済検出データつまり補間最終値MAと今回サンプリングした新たな検出データM1との誤差であり、この誤差を標準予測値VTに加算することで、向こう1周期にわたるバーチャルサンプリング周期当りの標準予測値を修正し、これをnで割ることにより、補間増分値Amを求める。この場合、演算器33で求めた変化量ΔMが正の傾きを示すものであれば、演算器35では演算器30で求めた標準予測値VTをそのまま(正の符号のまま)上記演算で使用する。
【0034】
進相用の補間演算を行う補間処理部26においては、補間クロックTnに従う補間ステップ毎に、補間最終値PAに対して、前記演算器25で得た補間増分値Apを順次累算していくことで、時間経過に従う予測補間演算を行う。詳しくは、補間クロックTnに従う補間ステップ毎に、ステップ26aで、現在の補間済検出データすなわち補間最終値PAの値に増分値Apを加算し、該補間済検出データすなわち補間最終値PAの値を更新する。ステップ26bで、該補間済検出データPAの値が目標値TPに到達又は越えたかをチェックし、NOであれば、ステップ26aに戻り、次の補間クロックTnの発生タイミングで、PAに対するApの加算を行う。こうして、各補間ステップ毎に補間最終値PAに対して増分値Apを順次累算していく。補間済検出データPAの値が目標値TPに到達又は越えると、ステップ26bでYESと判定され、ステップ26aでの加算を一時停止する。一時停止されたステップ26aでの加算は、次にラッチパルスLP1が発生されたとき再開される。ステップ26aでの演算で求められた補間済検出データPAは、補間クロックTnによって1補間ステップ毎に補間出力ラッチ27にラッチされる。ここで、前述のように増分値Apが負の値(つまり減分値)であれば、ステップ26bでの加算によって、得られる補間済検出データPAの値は順次減少していき、予測補間演算によって進相方向に細かく遷移してゆく補間済検出データPAが得られることとなる。その場合、目標値TPの値は前回の補間最終値PAよりは小さいので、ステップ26bでは、「PA≦TP」が成立したか否かの判定を行うものとする。
【0035】
遅相用の補間演算を行う補間処理部36においても、同様に、ステップ36aで、補間クロックTnに従う補間ステップ毎に、補間最終値MAに対して、前記演算器35で得た補間増分値Amを順次累算していくことで、時間経過に従う予測補間演算を行う。補間済検出データMAの値が目標値TMに到達又は越えると、ステップ36bでYESと判定され、ステップ36aでの加算を一時停止する。一時停止されたステップ36aでの加算は、次にラッチパルスLP2が発生されたとき再開される。ステップ36aでの演算で求められた補間済検出データMAは、補間クロックTnによって1補間ステップ毎に補間出力ラッチ37にラッチされる。ここで、前述のように増分値Amが正の値であれば、ステップ36bでの加算によって、得られる補間済検出データMAの値は順次増加していき、予測補間演算によって遅相方向に細かく遷移してゆく補間済検出データMAが得られることとなる。その場合、目標値TMの値は前回の補間最終値MAよりは大きいので、ステップ36bでは、「MA≧TM」が成立したか否かの判定を行うものとする。
【0036】
図5(b)は、進相方向の補間演算例を示す図である。ラッチパルスLP1によってラッチ21に今回サンプルの検出データP1がラッチされると、前回サンプルの検出データP0との差が変化量ΔPとして検出され、P1+ΔP=TPが目標値として設定される。また、ラッチパルスLP1の発生時点での補間最終値PA’とP1との差が標準予測値VTに加算されて、該標準予測値がVT1で示すように修正される。これに基づき、補間増分値(減分値)Apが計算され、補間ステップ毎に、補間最終値PA’に対して増分値(減分値)Apが累算されていくことで、補間済検出データPAが得られる。
同様に、図5(c)は、遅相方向の補間演算例を示す図である。ラッチパルスLP2によってラッチ31に今回サンプルの検出データM1がラッチされると、前回サンプルの検出データM0との差が変化量ΔMとして検出され、M1+ΔM=TMが目標値として設定される。また、ラッチパルスLP2の発生時点での補間最終値MA’とM1との差が標準予測値VTに加算されて、該標準予測値がVT2で示すように修正される。これに基づき、補間増分値Amが計算され、補間ステップ毎に、補間最終値MA’に対して増分値Amが累算されていくことで、補間済検出データMAが得られる。
【0037】
補間出力ラッチ27及び37から出力される進相方向及び遅相方向の補間済検出データPA及びMAは、演算器28に入力され、前述した温度特性等の誤差±dを除去するための補償演算がなされる。すなわち、図3(a),(b)によって前述した通り、進相及び遅相の位相差検出データP1及びM1を足して2で割ることにより誤差±dを検出することができるのと同様に、演算器28では下記のように、進相及び遅相の補間済検出データPA及びMAを足して2で割ることにより誤差±dを抽出する
±d=(PA+MA)÷2
ここで、補間済検出データPA及びMAは、前述した精度の高い予測補間によって検出対象位置xの時間的変化に追従して密に発生するものであるため、検出対象位置xの時間的変化に伴う位相差成分θの細密な時間的変化を、基準交流信号sinωtの1周期未満の細かなタイムスロット(補間ステップ)毎に示しているものである、従って、等価的に、
PA=±d+θ(t)
MA=±d−θ(t)
で示すことができる。よって、演算器28の演算は、等価的に、
〔{±d+θ(t)}+{±d−θ(t)}〕÷2=±d
であり、温度特性等のインピーダンス変化による誤差±dを、動特性時(+θおよび−θが+θ(t)及び−θ(t)として時間的に変化するとき)においても正確に検出するものである。
【0038】
演算器29では、下記のように、進相又は遅相の一方の補間済検出データPA又はMA(図の例ではPAとする)から、演算器28で求めた誤差±dを引き算し、誤差±dを除去した、動特性補間済みの正確な位置検出データPを得る。
P=PA−(±d)
これは、等価的には、
P={±d+θ(t)}−(±d)=θ(t)
に相当する。
【0039】
なお、補間演算のアルゴリズムは、上記実施例に示したものに限らず、その他任意のものを用いてよい。上記実施例とは異なる補間演算アルゴリズムを用いた実施例を示すと一例として図6のようなものがあり得る。
図6において、ラッチ群(又はレジスタ群)40は、図2のラッチ21,22,31,33と同様のものであり、ラッチパルスLP1,LP2に応じてカウンタ19のカウント出力をラッチし、これを順送りシフトして保持することにより、進相及び遅相方向についての複数サンプルの位相差検出データ(P0,P1,M0,M1)を生成する。演算器41では、進相及び遅相方向についての今回サンプルの検出データP1,M1を用いて下記のように演算を行い、温度特性等の誤差±dを算出する。
±d=(P1+M1)÷2
【0040】
演算器42では、下記のように、進相及び遅相方向の一方についての今回サンプルの検出データ(例えばP1)から、演算器41で求めた誤差±dを引き算し、誤差±dを除去した検出データP’を得る。
P’=P1−(±d)
この検出データP’はまた補間がなされていない。
演算器44では、図2の演算器23と同様に、進相方向の複数サンプルの検出データから変化量ΔP(例えばΔP=P1−P0)を得る。演算器45では、図2の演算器33と同様に、遅相方向の複数サンプルの検出データから変化量ΔM(例えばΔM=M1−M0)を得る。演算器46では、図2の演算器30と同様に、進相及び遅相方向の変化量ΔP,ΔMを修正して、標準予測値VT(例えばVT=(|ΔP|+|ΔM|)÷2)を得る。
【0041】
補間演算器47では、ラッチパルスLP1の発生タイミングに応答して、標準予測値VTを補間ステップ数nで割ることにより補間増分値(または減分値)Apを生成する演算(Ap=VT÷n)を行い、補間クロックTnに従って、補間ステップ毎に該増分値(または減分値)Apを順次累算し、補間値qApを求める。qは0,1,2,…というように補間ステップ毎に順次増加する変数を示する。つまり、qApは、Ap,2Ap,3Ap,…と順次増加し、nステップ目にはnAp=VTとなる。このqApは次にラッチパルスLP1が発生したときリセットされる。
【0042】
演算器43では、演算器42で求めた検出データP’に対して補間演算器47から発生された補間値qApを加算し、補間済みの位置検出データPを得る(P=P’+qAp)。上記では、進相方向の検出データについて補間済みの位置検出データPを求めるようにしたが、遅相方向の検出データについて補間済みの位置検出データMを求めるようにすることができるのは勿論である。その場合は、補間演算器47では、ラッチパルスLP2に応じて動作し、補間増分値Amを累算した補間値qAmを生成するものとする。
【0043】
なお、上記各実施例に示した各回路は、ディスクリート回路に限らず、ゲートアレイ等を用いた集積回路によって構成することができるし、あるいはディジタルシグナルプロセッサを使用した回路によっても構成できるし、その他の高密度集積回路によっても構成することができるし、また、CPU等を使用したソウトウェアプログラムによって実現することができ、それらのすべての実施の形態が本発明の範囲に含まれる。特に、図2に示したディジタル処理部13は、CPU等を使用したソウトウェアプログラムによって実現するのに適している。
【0044】
ディジタル処理部13として、CPU等の演算処理装置を使用したソウトウェアプログラムによって実現するようにした場合、図2あるいは図6に示されたような演算アルゴリズムを常時実行するようにプログラムを組んでもよい。その場合は、補間済みの位置検出データPが常に生成される。しかし、そのように補間済みの位置検出データPを常時生成するようにプログラムを組んだ場合は、CPUの負担(オーバーヘッド)が増すので、該CPU等の演算処理装置を多目的に使用している場合(同時並行的に他の処理にも使用している場合)などにあっては好ましくない。そこで、この発明においては、以下、図7〜図9を参照して説明するように、ディジタル処理部13をCPU等のプログラム可能な演算処理装置を使用したソウトウェアプログラムによって実現する場合において、CPU等の演算処理装置の適切なオーバーヘッド軽減策を提案する。図7〜図9に示した実施例について大まかに説明すると、CPUに対して位置検出の割込み要求が生じたときだけ、該CPUで位置検出のための補間演算処理を行なうことで、CPUの負担(オーバーヘッド)を軽減している。
【0045】
ディジタル処理部13におけるCPUが実行する位置検出のための補間演算処理は、主に、図7に示すラッチパルス割込み処理と、図8に示す位置検出データ要求割込み処理とからなる。図7(A)は、進相位相ずれ+θに対応するラッチパルスLP1が発生したときに行なわれる割込み処理であり、まず、該ラッチパルスLP1の発生タイミングに対応する今回の検出データP1(図2のラッチ回路21でラッチするデータに相当するもの)を取り込むと共に、前回の検出データP0(図2のラッチ回路22でラッチするデータに相当するもの)を保持する(ステップS1)。そして、進相用補間比率データTxpを生成するための進相用補間クロックカウンタをクリアしてカウントスタートする(ステップS2)。この進相用補間クロックカウンタは、補間クロックTnをカウントするものである。これにより、進相用補間クロックカウンタのカウント値つまり進相用補間比率データTxpは、ラッチパルスLP1の発生タイミングからの時間経過を補間ステップ単位で示す。
【0046】
図7(B)は、遅相位相ずれ−θに対応するラッチパルスLP2が発生したときに行なわれる割込み処理であり、まず、該ラッチパルスLP2の発生タイミングに対応する今回の検出データM1(図2のラッチ回路31でラッチするデータに相当するもの)を取り込むと共に、前回の検出データM0(図2のラッチ回路32でラッチするデータに相当するもの)を保持する(ステップS3)。そして、遅相用補間比率データTxmを生成するための遅相用補間クロックカウンタをクリアしてカウントスタートする(ステップS4)。この遅相用補間クロックカウンタも、補間クロックTnをカウントするものである。これにより、遅相用補間クロックカウンタのカウント値つまり遅相用補間比率データTxmは、ラッチパルスLP2の発生タイミングからの時間経過を補間ステップ単位で示す。
【0047】
図9は、各ラッチパルスLP1,LP2の発生タイミングとそれに関連する信号の一例を示すタイミングチャートであり、例えば、時点t1でラッチパルスLP2が発生する(立上りトリガがかかる)と、その時点t1から遅相用補間クロックカウンタのカウントがスタートし、そのカウント値である遅相用補間比率データTxmは0から順次増加してゆく。そして、時点t3で次の周期のラッチパルスLP2が発生すると、遅相用補間比率データTxmは0にクリアされ、0からのカウントを再開する。従って、遅相用補間比率データTxmは、ラッチパルスLP2の1周期の間で、補間ステップ毎に時々刻々と増加する。進相用補間比率データTxpも同様であり、ラッチパルスLP1が発生した時点t2から次に発生する時点t4までの間で、補間ステップ毎に時々刻々と増加する。
【0048】
ディジタル処理部13のCPUに対して位置検出データ要求が与えられたとき、図8の位置検出データ要求割込み処理が行なわれる。例えば、この位置検出データ要求は、位置検出データを利用する装置(図示せず)が最新の位置検出データを必要とするときに、該装置からディジタル処理部13のCPUに対して与えられる。図8では、まず、上記進相用及び遅相用補間クロックカウンタのカウント値つまり進相用及び遅相用補間比率データTxp,Txmが取り込まれる(ステップS5)。例えば、図9における任意の時点txで位置検出データ要求に基づく図8の割込み処理がなされるとすると、該時点txでの各進相用及び遅相用補間クロックカウンタのカウント値が進相用及び遅相用補間比率データTxp,Txmとして、ステップS5で取り込まれる。
【0049】
次にステップS6では、図2における演算ブロック23,33,30における演算と同様の演算を行なう。すなわち、図7(A)のステップS1で取り込んだ、進相の検出データP1についての時間的に相前後する2つのサンプルのデータP1,P0の差を求めて1サンプル周期当りの変化量ΔPを求める。すなわち、
ΔP=P1−P0
なる減算を行う。また、図7(B)のステップS3で取り込んだ、遅相の検出データM1についての時間的に相前後する2つのサンプルのデータM1,M0の差を求めて1サンプル周期当りの変化量ΔMを求める。すなわち、
ΔM=M1−M0
なる減算を行う。そして、各変化量ΔP,ΔMの絶対値を平均化する演算を行うことにより、下記のように、修正した予測値つまり標準予測値VTを求める。
VT=(|ΔP|+|ΔM|)÷2
【0050】
次にステップS7では、原理的には、下記式に従い、時点txにおける進相分の位置データの予測補間値PAxと、時点txにおける遅相分の位置データの予測補間値MAxとを求める。
PAx=P1+{VT × (Txp÷n)} …(式1)
MAx=M1−{VT × (Txm÷n)} …(式2)
つまり、図9を参照して説明すると、進相分については時点t2でラッチした今回サンプルの検出データP1に、補間比率データTxpに対応する補間値(VT×(Txp÷n))を加算することで、時点txにおける進相分の位置データの予測補間値PAxを求める。また、遅相分については時点t1でラッチした今回サンプルの検出データM1から、補間比率データTxmに対応する補間値(VT×(Txm÷n))を減算することで、時点txにおける遅相分の位置データの予測補間値MAxを求める。そして、図2の演算ブロック28,29と同様に、前記誤差±dを除去するために、下記の演算を行なう。
Px=PAx−{(PAx+MAx)÷2} …(式3)
こうして、任意の時点txにおける補間済みの位置検出データPxを得ることができる。
【0051】
なお、上記式で、n=1とおき、Txp及びTxmを1に対する比率つまり小数値で表せば、「Txp÷n=Txp」、「Txm÷n=Txm」であるから、このnで割る割算は実質的に省略できる。また、Pxを展開して整理すると、
Px=P1+(VT × Txp)−{(P1+M1)÷2}
+{VT(Txp−Txm)÷2} …(式4)
となる。よって、上記式1〜3をそれぞれ実行することで補間済みの位置検出データPxを求めるようにしてもよいし、式4のみを実行することで補間済みの位置検出データPxを求めるようにしてもよい。式1〜3又は式4に従う補間演算処理は、図2〜図5で説明した補間演算処理と同様の原理に従うものであり、動特性を改善することができる。
【0052】
なお、図7、図8に示したような位置検出要求があったときにオンデマンドで補間演算処理を行なうことで、CPU等演算処理装置の負担を軽減し、多目的なCPU同時活用に役立てる、というアイディアは、上記のような進相と遅相の2種類の検出データに基づく補間演算処理に限らず、どちらか一方の検出データに基づく補間演算処理を行なうものにあっても適用可能である。なお、位置検出要求は、CPUに対する外部割込みで与えられてもよいし、内部割込みで与えられてもよい。
【0053】
次に、図1における検出処理部11の別の構成例について図10によって説明する。図10では、アナログ/ディジタル変換器51,52を付属しているマイクロコンピュータユニット50を用いて、位置検出データの補間演算処理及びその他の処理を行なう。図10では、図1に示されたようなゼロクロス検出回路17,18を設けることなく、アナログ演算器15,16の出力交流信号Y1(=sin(ωt+θ)),Y2(=sin(ωt−θ))をそのままマイクロコンピュータユニット50のA/D入力ポート53,54に接続し、内部のアナログ/ディジタル変換器51,52に入力する。これによって、検出対象位置に応じて進相方向に位相シフトされた出力交流信号Y1(=sin(ωt+θ))と、遅相方向に位相シフトされた出力交流信号Y2(=sin(ωt−θ))がそれぞれディジタル信号に変換され、これが、マイクロコンピュータユニット50内のCPU55の内部バス56に与えられる。CPU55では、この検出対象位置に応じた位相シフトを含むディジタル交流信号を多目的に利用してよい。例えば、このディジタル交流信号のゼロクロスを検出することにより、前述のラッチパルスLP1,LP2に相当するトリガ信号を生成し、このトリガ信号(LP1,LP2)に応じて上記各実施例と同様の位置検出・補間演算処理を行なうようにしてよい。アナログ/ディジタル変換器51,52が複数併設されていない場合は、1個のアナログ/ディジタル変換器を時分割共用すればよい。図10のタイプによれば、アナログ/ディジタル変換器を付属している既存のマイクロコンピュータユニット50を用いて、本発明に従う位置検出データの補間演算処理を行なうことができる。
【0054】
なお、位置センサ10を回転型センサとして構成する場合、位相角θが1回転につき1周期の変化を示すものに限らず、1回転につき多周期の変化を示すような高分解能タイプの回転センサが各種公知であり、そのような高分解能タイプの回転センサについても本発明を適用できるのは勿論である。また、検出対象回転軸の回転が異なる変速比で伝達される複数の回転位置センサを設けることにより、複数回転にわたる絶対的回転位置を検出可能にする技術が公知であり、そのような場合においても、各回転位置センサの位置検出データを位相差検出方式によって求める場合に、本発明が適用できる。勿論、回転型の検出装置に限らず、直線位置検出装置においても、その直線位置検出データを位相差検出方式によって求める全ての場面において本発明が適用可能である。勿論、複数の位置センサ10からの位置検出信号の処理を、共通のディジタル処理部13を用いて、時分割処理することもできる。
さらに、本発明の装置若しくはシステムに付属して付加的機能を付加してもよい。例えば、演算器28又は41の出力データ±dを周辺環境の温度検出データとして取り出す機能を付加してもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上の通り、この発明によれば、予測補間によって補間済位置検出データを生成する場合において、常に補間演算を行なうのではなく、位置検出要求に応じた割込み処理として、必要最小限の時間で補間演算を行なうようにしたことを特徴としており、位相差検出時点から補間演算のための割込み時点までの時間経過を測定し、この時間経過に応じた補間比率と予測値とを用いて検出データに対して補間演算を行なうにしたものであり、これにより、位置検出要求に応じたオンデマンドの補間演算処理を適切に行なうことができる。従って、補間演算処理に使用するCPU等の演算処理装置の負担を軽減することができ、オーバーヘッドを減少させることができる。よって、この演算処理装置を、位置検出以外の目的にも同時に多目的的に使用する場合において、極めて効率的に該CPU等の演算処理装置を利用することができる、という優れた効果を奏する。
【0056】
また、この発明によれば、予測補間によって補間済の位置検出データを生成することで、動特性(検出対象位置が時間的に変化するときの検出特性)についての応答性能を改善することができる。また、上記従来技術のように2つの交流出力信号のゼロクロスが一致する時点を待つ必要がなくなり、応答性がよくなる。また、第1及び第2の(進相及び遅相の)予測値を修正して少なくとも一つの標準予測値を求めるようにしたので、正方向に位相シフトされた信号(進相信号)と負方向に位相シフトされた信号(遅相信号)との間ではドップラ効果による周波数遷移(周期遷移)のリニアリティが異なることによる生じる可能性のある補間演算誤差を、適切に修正し、精度のよい補間演算を行うことができるようになるという優れた効果を奏する。
【0057】
更に、この発明は、検出対象位置に応じて進相方向にシフトされた電気的位相角を持つ第1の交流出力信号と遅相方向にシフトされた電気的位相角を持つ第2の交流出力信号とを生成する位置検出システムにおいて、前記第1及び第2の交流出力信号をそれぞれディジタル信号に変換する変換手段と、ディジタル変換された前記第1及び第2の交流出力信号の少なくとも一方に関して、所定の基準位相に対する該交流出力信号の位相差を検出することで検出データを生成する処理を行なうディジタル処理手段とを具えたので、このように交流出力信号のゼロクロス検出を行なうことなく、交流信号のままアナログ/ディジタル変換を行ない、ディジタル変換された交流出力信号をディジタル処理手段に入力することにより、該交流出力信号を多目的に利用することができる。特に、既存のマイクロコンピュータユニットにおいては、アナログ/ディジタル変換器やディジタル/アナログ変換器を付属しているものがあるので、その種のマイクロコンピュータユニットを使用する場合は、本発明に従えば、ハードウエア構成を変更することなく、本発明を適用することができるので、極めて経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る位置検出データ生成方法の位置検出原理を説明するために、位置検出システムの全体構成例を示すブロック図。
【図2】 図1におけるディジタル処理部の詳細例を示すブロック図。
【図3】 図1の動作説明図。
【図4】 ドップラ効果に基づく進相信号と遅相信号における変化量の対速度特性が非線形特性を示すことを示すとともに、本実施例による当該非線形特性の改善を説明する図。
【図5】 本発明の実施例による補間演算動作例を説明する図。
【図6】 補間演算アルゴリズムの別の例を示すものであって、図1におけるディジタル処理部の他の実施例を示すブロック図。
【図7】 本発明に係る位置検出データ生成方法の一実施例を示すもので、ラッチパルス割込み処理を示すフローチャート。
【図8】 本発明に係る位置検出データ生成方法の一実施例を示すもので、位置検出データ要求割込み処理を示すフローチャート。
【図9】 図7及び図8に示す実施例の動作例を示すタイミングチャート。
【図10】 図1における検出処理部11の別の構成例を示すブロック図。
【符号の説明】
10 位置センサ
11 検出処理部
12 アナログ処理部
13 ディジタル処理部
12 カウンタ
13 励磁信号発生回路
14 位相シフト回路
15 加算回路
16 減算回路
17,18 ゼロクロス検出回路
19 カウンタ
20 励磁信号発生回路
21,22,27,31,32,37 ラッチ
26,36 補間処理部
50 マイクロコンピュータユニット
51,52 アナログ/ティジタル変換器
55 CPU

Claims (6)

  1. 検出対象位置に応じて進相方向に位相シフトされた電気的位相角を持つ第1の交流出力信号と遅相方向に位相シフトされた電気的位相角を持つ第2の交流出力信号とに基づき位置検出データを生成する方法であって、
    所定の基準位相に対する前記第1の交流出力信号の位相差を検出することで第1の検出データを生成し、該基準位相に対する前記第2の交流出力信号の位相差を検出することで第2の検出データを生成する第1のステップと、
    位置検出要求に応じた割込み処理として動作し、前記第1のステップで生成された検出データに対して補間演算を行なう第2のステップと、
    前記各検出データ毎に、前記第1のステップによる位相差検出時点から前記第2のステップによる割込み時点までの時間経過を測定する第3のステップと
    を具え、前記第2のステップは、
    時間的に相前後する前記第1の検出データの少なくとも2つのサンプルから第1の予測値を求め、時間的に相前後する前記第2の検出データの少なくとも2つのサンプルから第2の予測値を求めるステップと、
    前記第1及び第2の予測値を修正して少なくとも一つの標準予測値を求めるステップと、
    前記第1の検出データに対応する前記時間経過に応じた補間比率と、前記第2の検出データに対応する前記時間経過に応じた補間比率と、前記標準予測値と、前記第1の検出データと、前記第2の検出データとを用いて補間演算を行なうステップと
    を含むことを特徴とする位置検出データ生成方法。
  2. 前記第1及び第2の予測値の平均を求めることで前記標準予測値を求める請求項に記載の位置検出データ生成方法。
  3. 前記第1及び第2の予測値をそれぞれ所定のテーブルを用いて変換することでそれぞれに対応する前記標準予測値を求める請求項に記載の位置検出データ生成方法。
  4. 検出対象位置に応じて進相方向に位相シフトされた電気的位相角を持つ第1の交流出力信号と遅相方向に位相シフトされた電気的位相角を持つ第2の交流出力信号とに基づき位置検出データを生成する装置であって、
    所定の基準位相に対する前記第1の交流出力信号の位相差を検出することで第1の検出データを生成し、該基準位相に対する前記第2の交流出力信号の位相差を検出することで第2の検出データを生成する第1の手段と、
    位置検出要求に応じた割込み処理として動作し、前記第1の手段で生成された検出データに対して補間演算を行なう第2の手段と、
    前記各検出データ毎に、前記第1の手段による位相差検出時点から該第2の手段による割込み時点までの時間経過を測定する第3の手段と
    を具え、前記第2の手段は、
    時間的に相前後する前記第1の検出データの少なくとも2つのサンプルから第1の予測値を求め、時間的に相前後する前記第2の検出データの少なくとも2つのサンプルから第2の予測値を求める手段と、
    前記第1及び第2の予測値を修正して少なくとも一つの標準予測値を求める手段と、
    前記第1の検出データに対応する前記時間経過に応じた補間比率と、前記第2の検出データに対応する前記時間経過に応じた補間比率と、前記標準予測値と、前記第1の検出データと、前記第2の検出データとを用いて補間演算を行なう手段と
    を含むことを特徴とする位置検出データ生成装置
  5. 機械読み取り可能な記憶媒体であって、検出対象位置に応じて進相方向に位相シフトされた電気的位相角を持つ第1の交流出力信号と遅相方向に位相シフトされた電気的位相角を持つ第2の交流出力信号とに基づき位置検出データを生成する方法を処理装置に実行させるための命令群を内容としており、前記方法は、
    所定の基準位相に対する前記第1の交流出力信号の位相差を検出することで第1の検出データを生成し、該基準位相に対する前記第2の交流出力信号の位相差を検出することで第2の検出データを生成する第1のステップと、
    位置検出要求に応じた割込み処理として動作し、前記第1のステップで生成された検出データに対して補間演算を行なう第2のステップと、
    前記各検出データ毎に、前記第1のステップによる位相差検出時点から前記第2のステップによる割込み時点までの時間経過を測定する第3のステップと
    を具え、前記第2のステップは、
    時間的に相前後する前記第1の検出データの少なくとも2つのサンプルから第1の予測値を求め、時間的に相前後する前記第2の検出データの少なくとも2つのサンプルから第2の予測値を求めるステップと、
    前記第1及び第2の予測値を修正して少なくとも一つの標準予測値を求めるステップと、
    前記第1の検出データに対応する前記時間経過に応じた補間比率と、前記第2の検出データに対応する前記時間経過に応じた補間比率と、前記標準予測値と、前記第1の検出データと、前記第2の検出データとを用いて補間演算を行なうステップと
    を含むことを特徴とする記憶媒体。
  6. 検出対象位置に応じて進相方向にシフトされた電気的位相角を持つ第1の交流出力信号と遅相方向にシフトされた電気的位相角を持つ第2の交流出力信号とを生成する位置検出システムにおいて、
    前記第1及び第2の交流出力信号をそれぞれディジタル信号に変換する変換手段と、
    ディジタル変換された前記第1及び第2の交流出力信号の少なくとも一方に関して、所定の基準位相に対する該交流出力信号の位相差を検出することで検出データを生成する処理を行なうディジタル処理手段と
    を具え
    前記ディジタル処理手段では、
    前記所定の基準位相に対する前記第1の交流出力信号の位相差を検出することで第1の検出データを生成し、該基準位相に対する前記第2の交流出力信号の位相差を検出することで第2の検出データを生成する処理と、
    時間的に相前後する前記第1の検出データの少なくとも2つのサンプルから第1の予測値を求め、時間的に相前後する前記第2の検出データの少なくとも2つのサンプルから第2の予測値を求める処理と、
    前記第1及び第2の予測値を修正して少なくとも一つの標準予測値を求める処理と、
    前記標準予測値と前記第1及び第2のの検出データとを用いて時間経過に従う補間演算を行なう処理と
    を行なうことを特徴とする位置検出システム。
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