JP4662516B2 - 位置検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、誘導型若しくは位相検出型の位置検出装置に関し、特に、コネクタを介して信号配線を着脱可能にした部分を有するものにあって、コネクタの信号接点とアース接点間の絶縁不良の問題やその他の不具合に対処しうる改善策を講じたことに関する。
【0002】
【従来の技術】
誘導型の回転位置検出器として、1相励磁入力で2相出力(サイン相とコサイン相の出力)を生じるものは「レゾルバ」として知られており、1相励磁入力で3相出力(120度ずれた3相)を生じるものは「シンクロ」として知られている。最も古いタイプの在来型のレゾルバは、ステータ側に90度の機械角で直交する2極(サイン極とコサイン極)の2次巻線を配し、ロータ側に1次巻線を配したものである(1次と2次の関係は逆も可)。このようなタイプのレゾルバはロータの1次巻線に電気的にコンタクトするためのブラシを必要としているので、これが欠点となっている。これに対して、ブラシを不要としたブラシレス・レゾルバの存在も知られている。ブラシレス・レゾルバは、ロータ側においてブラシに代わる回転トランスを設けたものである。一方、最近では、本出願人によって、巻線をステータ側にのみ(又はロータ側にのみ)設けた可変磁気抵抗型の検出器を用いて、1相励磁入力で2相出力(サイン相とコサイン相の出力)を生じるようにした装置も開発されている。また、1相励磁入力で2相出力(サイン相とコサイン相の出力)を生じるようにした位置検出装置は、回転タイプに限らず、直線位置検出タイプにおいても提案されている。また、本出願人は、この種の1相励磁入力で2相出力を生じるいわゆるレゾルバタイプの位置検出器に対して好適に適用することができる新規な位相差検出技術も提案しており、それは代表的には特開平9−126809号公報で開示されている。
【0003】
このような本出願人の出願に係る位相検出タイプの位置検出装置は、概ね、下記の構成を有する。
(a)励磁用の基準交流信号を発生する基準交流信号発生手段。
(b)基準交流信号によって励磁されるコイルと、検出対象位置に応じて前記コイルに対する相対的位置が変化する磁気応答部材とを含み、前記検出対象位置の関数である振幅を持つ出力交流信号を出力するセンサ部。
(c)前記センサ部から出力される出力交流信号に基づき、前記検出対象位置に応じてシフトされた電気的位相を持つアナログ交流信号を生成する信号生成回路。
(d)前記信号生成回路から出力されるアナログ交流信号のゼロクロスに同期するゼロクロス検出パルスを生成するゼロクロス検出回路。
(e)前記基準交流信号の位相進行に同期するカウンタ出力を前記ゼロクロス検出パルスのタイミングでラッチすることにより、前記基準交流信号に対する前記アナログ交流信号における位相シフト量を測定し、この測定値に基づき位置検出データを得るディジタル処理装置。
上記構成のうち、(b)のセンサ部は、モータやシリンダなど機械に位置検出対象箇所に直接配置されるが、残りの(a)(c)(d)(e)は検出用回路ユニットとして、(b)のセンサ部から適宜離れた箇所に配置される。その場合、(b)のセンサ部と、(a)(c)(d)(e)の検出用回路ユニットとの間は、配線で接続され、かつ、該配線はコネクタを介して着脱可能とされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
例えば信号配線としてシールド線が用いられ、コネクタにおいては信号入力(又は出力)接点とアース接点とを含んでいる。この信号接点とアース接点の間は絶縁されているのであるが、その間の絶縁不良という問題が起こり得る。自動車の電装品など、安全対策上、厳密な品質管理が要求される分野においては、コネクタの信号接点とアース接点との間の絶縁抵抗が或る程度低下しても、支障のない信号処理が行なえるようにすること、つまり位置検出を支障なく行なえるようにすること、が要求される。そのような許容絶縁抵抗の一例として、絶縁抵抗が10乃至5kΩ位まで低下しても位置検出を支障なく行なえるようにすることが要求される場合がある。このような観点から上記従来技術の構成を見てみると、上記(b)のセンサ部から(a)(c)(d)(e)の検出用回路ユニットに入力される信号は、センサ部から出力されるアナログ信号であるから、コネクタの信号接点とアース接点との間の絶縁抵抗が5kΩ位まで低下したとすると、信号接点に加わるアナログ信号のレベルに無視できない影響を与える。よって、従来の構成では、コネクタの信号接点とアース接点との間の絶縁抵抗の低下が起こった場合に、それに耐えうる精度で位置検出を行なうことができないおそれがあった。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、信号配線のコネクタ等の部分における絶縁不良やその他の不具合に対処しうる改善策を講じた位置検出装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に従う位置検出装置は、請求項1によれば、(a)基準交流信号によって励磁されるコイルを含み、検出対象位置に応じて前記コイルにおける磁気結合が変化し、前記検出対象位置に応じた出力交流信号を出力するセンサ部と、(b)前記センサ部から出力される出力交流信号に基づき、前記検出対象位置に応じてシフトされた電気的位相を持つアナログ交流信号を生成する信号生成回路と、(c)前記信号生成回路から出力されるアナログ交流信号をそれに位相同期する検出パルス信号に変換するパルス変換回路と、(d)前記パルス変換回路からの前記検出パルス信号を入力し、前記基準交流信号の所定位相に対する該検出パルス信号の位相ずれを測定し、測定した位相ずれに基づき前記検出対象位置のデータを得るディジタル処理装置とを備え、(e)前記センサ部と信号生成回路とパルス変換回路とを検出ユニットの側に含み、この検出ユニットと前記ディジタル処理装置とを、前記検出パルス信号を伝送する配線及び前記基準交流信号の周期に同期する基準パルス信号を授受するための配線によって、コネクタを介して脱着式に接続するように構成してなり、前記信号生成回路は、前記検出対象位置に応じて進相方向にシフトされた電気的位相角を持つ第1のアナログ交流信号と遅相方向にシフトされた電気的位相角を持つ第2のアナログ交流信号とを生成し、前記パルス変換回路は、前記第1のアナログ交流信号に位相同期する第1の検出パルス信号と、前記第2のアナログ交流信号に位相同期する第2の検出パルス信号とを出力するものであり、前記ディジタル処理装置は、前記基準交流信号の所定位相に対する前記第1の検出パルス信号の位相差を検出することに基づき第1の検出データを生成し、該基準交流信号の所定位相に対する前記第2の検出パルス信号の位相差を検出することに基づき第2の検出データを生成する手段と、前記第1及び第2の検出データの絶対値の差を演算することで誤差データを得る手段と、前記誤差データの時間的変化を検出し、この変化量と所定の基準値との比較に基づき前記検出ユニット及び前記ディジタル処理装置における故障を判定する手段とを具えることを特徴とする。
また、請求項3によれば、基準交流信号によって励磁されるコイルを含み、検出対象位置に応じて前記コイルにおける磁気結合が変化し、前記検出対象位置に応じた出力交流信号を出力するセンサ部と、前記センサ部から出力される出力交流信号に基づき、前記検出対象位置に応じてシフトされた電気的位相を持つアナログ交流信号を生成する信号生成回路と、前記信号生成回路から出力されるアナログ交流信号をそれに位相同期する検出パルス信号に変換するパルス変換回路と、前記パルス変換回路からの前記検出パルス信号を入力し、前記基準交流信号の所定位相に対する該検出パルス信号の位相ずれを測定し、測定した位相ずれに基づき前記検出対象位置のデータを得るディジタル処理装置とを備え、前記センサ部と信号生成回路とパルス変換回路とを検出ユニットの側に含み、この検出ユニットと前記ディジタル処理装置とを、前記検出パルス信号を伝送する配線及び前記基準交流信号の周期に同期する基準パルス信号を授受するための配線によって、コネクタを介して脱着式に接続するように構成してなり、前記センサ部は、少なくとも1つのコイルを有し、該コイルから、少なくとも1つの出力交流信号を出力するものであり、前記信号生成回路は、前記センサ部から出力される前記少なくとも1つの出力交流信号と所定の2つの基準電圧信号とを演算することで、前記検出対象位置の第1の関数に相当する振幅を持つ第1の出力交流信号と、前記検出対象位置の第2の関数に相当する振幅を持つ第2の出力交流信号とを生成し、前記第1及び第2の出力交流信号に基づき、前記検出対象位置に応じてシフトされた電気的位相を持つアナログ交流信号を生成するものであることを特徴とする。
また、請求項4によれば、基準交流信号によって励磁されるコイルを含み、検出対象位置に応じて前記コイルにおける磁気結合が変化し、前記検出対象位置に応じた出力交流信号を出力するセンサ部と、前記センサ部から出力される出力交流信号に基づき、前記検出対象位置に応じてシフトされた電気的位相を持つアナログ交流信号を生成する信号生成回路と、前記信号生成回路から出力されるアナログ交流信号をそれに位相同期する検出パルス信号に変換するパルス変換回路と、前記パルス変換回路からの前記検出パルス信号を入力し、前記基準交流信号の所定位相に対する該検出パルス信号の位相ずれを測定し、測定した位相ずれに基づき前記検出対象位置のデータを得るディジタル処理装置とを備え、前記センサ部と信号生成回路とパルス変換回路とを検出ユニットの側に含み、この検出ユニットと前記ディジタル処理装置とを、前記検出パルス信号を伝送する配線及び前記基準交流信号の周期に同期する基準パルス信号を授受するための配線によって、コネクタを介して脱着式に接続するように構成してなり、前記ディジタル処理装置は、(a)前記基準パルス信号の周期に対応するサンプリング周期で、該基準パルス信号に対する前記検出パルス信号の位相差を検出することで検出データを生成することと、(b)時間的に相前後する前記検出データの少なくとも2つのサンプルに基づき予測値を求めることと、(c)この予測値と時間情報とを用いて前記検出データに対して補間演算を行なうことを行ない、補間された検出データを得るようにしたものであり、かつ、前記(c)の補間演算を、任意の時点で発生される位置検出要求に応じた割込み処理として実行するものであり、前記(a)による位相差検出時点から該位置検出要求による割込み時点までの時間経過を測定することを含み、その測定値を前記(c)の補間演算において前記時間情報として使用することを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、上記(e)のように、センサ部(a)と信号生成回路(b)とパルス変換回路(c)とを検出ユニットの側に含み、この検出ユニットと上記ディジタル処理装置(d)とを、ディジタルの前記基準パルス信号を伝送する配線と、ディジタルの前記検出パルス信号を伝送する配線とによって、コネクタを介して脱着式に接続する構成であるため、コネクタを介して授受される信号配線を通る信号は、すべて、所定のハイレベルとローレベルの2値でのみ区別されるディジタル信号である。すなわち、コイル励磁用の基準交流信号について言えば、アナログ信号がコネクタを含む信号配線で授受されるのではなく、ディジタルの基準パルス信号が授受される。また、検出信号について言えば、センサ部(a)から出力されるアナログ信号が授受されるのではなく、パルス変換回路(c)から出力される検出対象位置に応じた位相ずれを持つディジタルの検出パルス信号が授受される。このように、コネクタを介して授受される信号配線を通る信号は、すべて、ハイレベルとローレベルの2値でのみ区別されるディジタル信号であるため、コネクタの信号入力(又は出力)端子とアース点との間の絶縁抵抗が或る程度低下したとしても、それに伴う電圧変動は、ハイレベルとローレベルのしきい値条件を許容する限り、無視できるものとなり、検出精度に悪影響を与えないものとなる。
【0008】
一実施態様として、前記検出ユニットの側に、前記基準交流信号を発生して前記コイルに供給する励磁用交流発生回路と、前記基準交流信号の周期に同期する基準パルス信号を発生する基準パルス信号発生回路とを含み、前記基準パルス信号を前記配線を介して前記検出ユニットから前記ディジタル処理装置に伝送するようにしてよい。別の実施態様として、前記基準交流信号の周期を設定する基準パルス信号を前記ディジタル処理装置の側で発生し、前記基準パルス信号を前記配線を介して前記ディジタル処理装置から前記検出ユニットに伝送し、前記検出ユニットの側には前記基準パルス信号を入力して該基準パルス信号に基づきアナログの前記基準交流信号を生成し、該基準交流信号を前記コイルに供給する励磁交流発生回路を含むようにしてよい。
【0009】
ところで、自動車など万全の安全対策が要求される分野において位置検出装置を適用する場合、上記のように配線コネクタの絶縁不良等に対処するにとどまらず、検出ユニットからディジタル処理装置の内部に至るまで、位置検出システム全体にわたる故障・異常の診断を行なうことができるようにすることが望まれる。一実施態様として、前記信号生成回路は、前記検出対象位置に応じて進相方向にシフトされた電気的位相角を持つ第1のアナログ交流信号と遅相方向にシフトされた電気的位相角を持つ第2のアナログ交流信号とを生成し、前記パルス変換回路は、前記第1のアナログ交流信号に位相同期する第1の検出パルス信号と、前記第2のアナログ交流信号に位相同期する第2の検出パルス信号とを出力することは、温度ドリフト補償に役立つことに加えて、故障診断にも役立つ。
【0010】
すなわち、前記ディジタル処理装置において、所定の基準位相に対する前記第1の交流出力信号の位相差を検出することに基づき第1の検出データを生成し、該所定の基準位相に対する前記第2の交流出力信号の位相差を検出することに基づき第2の検出データを生成する手段と、前記第1及び第2の検出データの絶対値の差を演算することで誤差データを得る手段と、前記誤差データの時間的変化を検出し、この変化量と所定の基準値との比較に基づき前記検出ユニット及び前記ディジタル処理装置における故障を判定する手段とを具えることで、故障診断を行なうことができる。また、別の故障診断策として、前記ディジタル処理装置において、前記パルス変換回路からの前記検出パルス信号が前記基準交流信号の1周期内で少なくとも1回発生したかどうかに基づき、故障を判定する手段を具えるようにしてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照してこの発明の実施の形態を詳細に説明しよう。
図1は本発明に係る位置検出装置の第1の実施例を示すブロック図である。この位置検出装置のシステム構成は、大別して、検出ユニット100とディジタル処理装置200とによって構成される。
検出ユニット100において、センサ部101は、基準交流信号によって励磁されるコイルを含み、検出対象位置に応じて前記コイルにおける磁気結合が変化し、前記検出対象位置に応じた出力交流信号を出力する。この種の誘導型の位置センサとして様々な原理のものが知られており、どのようなタイプのものを用いてもよい。例えば、「レゾルバ」という名称で知られたような1相励磁入力/2相出力型の位置センサを用いてもよいし、2相励磁/1相出力型の位相シフト型センサを用いてもよい。なお、1相励磁入力/2相出力型の位置センサとは、公知のように、代表的には、1相の基準交流信号(便宜上、sinωtとする)で励磁し、検出対象位置に応じた位相値θの正弦関数である振幅を持つ出力交流信号(便宜上、sinθsinωtとする)と、該位相値θの余弦関数である振幅を持つ出力交流信号(便宜上、cosθsinωtとする)とを出力するものである。また、2相励磁/1相出力型の位相シフト型センサは、2相の基準交流信号(便宜上、sinωt及びcosωtとする)で励磁し、検出対象位置に応じた位相ずれθを持つ出力交流信号(便宜上、sin(ωt+θ)とする)を出力するものである。
【0012】
以下説明する実施例においては、センサ部101として、1相励磁入力/2相出力型の位置センサを用いる例について説明する。その場合、センサ部101は、公知のレゾルバと同等の構成であってもよく、ブラシレス・レゾルバであってもよいし、ブラシのあるタイプてあってもよい。あるいは、1次コイルと2次コイルをステータ側に具備し、ロータ又は可動部側にはコイルを持たずに、鉄のような磁性体又は銅のような導電体を磁気応答部材(磁気に応答してコイルに対する磁気結合度を変化させる部材)を持つ、可変磁気抵抗タイプの位置センサであってもよい。また、センサ部101は、回転位置検出センサであってもよいし、直線位置検出センサであってもよい。説明の便宜上、図1においては、センサ部101におけるコイル構成は、1つの1次コイルW1と2つの2次コイルW2s,W2cからなっているように描かれているが、これに限定されるものではない。例えば1次コイルのみとし、該1次コイルにおけるインピーダンス変化に応じた出力交流信号を該1次コイルから取り出すような構成でもよい。あるいは、2次コイルW2s,W2cの数は2個に限らず、4個、6個、8個等多数であってもよく、2次コイルの設け方に様々なバリエーションがあることは公知である。
【0013】
図1に示す実施例では、励磁用の基準交流信号(sinωt)を発振するためにアナログの交流発振回路102が、検出ユニット100の側に設けられている。センサ部101には、この交流発振回路102から発生された1相の励磁用交流信号(sinωt)がバッファアンプ103を介して印加され、これによって1次コイルW1を励磁する。センサ部101では、この1次コイルW1の励磁に応じて2相の2次コイルW2s,W2cの夫々に出力交流信号が誘導されるようになっており、夫々の誘導電圧レベルは検出対象位置xに対応して2相の関数特性sinθ,cosθを示す。すなわち、各2次コイルW2s,W2cの誘導出力信号は、検出対象位置xに対応して2相の関数特性sinθ,cosθで振幅変調された状態で夫々出力される。ここで、x=θまたはθはxに比例しているとする。説明の便宜上、コイルの巻数等、その他の条件に従う係数は省略し、2次コイルW2sをサイン相として、その出力信号を「sinθ・sinωt」で示し、2次コイルW2cをコサイン相として、その出力信号を「cosθ・sinωt」で示す。すなわち、検出対象位置xに対応する第1の関数値sinθを振幅値として持つ第1の出力交流信号A=sinθ・sinωtが2次コイルW2sから出力され、同じ検出対象位置xに対応する第2の関数値cosθを振幅値として持つ第2の出力交流信号B=cosθ・sinωtが2次コイルW2cから出力される。
【0014】
センサ部101から出力された第1及び第2の出力交流信号A,Bは、オペアンプ104,105を介して信号生成回路106に入力される。信号生成回路106は、センサ部101から出力される2相の出力交流信号A,Bに基づき、検出対象位置xに応じてシフトされた電気的位相θを持つアナログ交流信号を生成する。一例として、図2に示すように、信号生成回路106において、第1の出力交流信号A=sinθ・sinωtが位相シフト回路14に入力され、その電気的位相が所定量位相シフトされ、例えば90度進められて、位相シフトされた交流信号A’=sinθ・cosωtが得られる。また、信号生成回路106においては加算回路15と減算回路16とが設けられており、加算回路15では、位相シフト回路14から出力される上記位相シフトされた交流信号A’=sinθ・cosωtと位置センサ10から出力される上記第2の出力交流信号B=cosθ・sinωtとが加算され、その加算出力として、B+A’=cosθ・sinωt+sinθ・cosωt=sin(ωt+θ)なる略式で表わせる進相の位相ずれθを持つ交流信号Y1が得られる。減算回路16では、上記位相シフトされた交流信号A’=sinθ・cosωtと上記第2の出力交流信号B=cosθ・sinωtとが減算され、その減算出力として、B−A’=cosθ・sinωt−sinθ・cosωt=sin(ωt−θ)なる略式で表わせる遅相の位相ずれθを持つ交流信号Y2が得られる。このようにして、検出対象位置(x)に対応して正方向にシフトされた電気的位相角(+θ)を持つアナログ交流信号Y1=sin(ωt+θ)と、同じ前記検出対象位置(x)に対応して負方向にシフトされた電気的位相角(−θ)を持つアナログ交流信号Y2=sin(ωt−θ)とが、演算処理によって夫々得られる。
なお、この実施例では、信号生成回路106で進相の交流信号Y1=sin(ωt+θ)と遅相の交流信号Y2=sin(ωt−θ)とを生成しているが、どちらか一方の方向の位相ずれθを含む信号のみを生成する構成であってもよい。
【0015】
パルス変換回路107は、信号生成回路106から出力されるアナログ交流信号をそれに位相同期するディジタルの検出パルス信号に変換するものである。一例として、図2に示すように、パルス変換回路107はゼロクロス検出回路17,18からなっている。各ゼロクロス検出回路17,18は、例えばゼロレベルを比較基準電圧とするコンパレータにより構成される。信号生成回路106の加算回路15及び減算回路16から出力されたアナログ交流信号Y1,Y2は、夫々ゼロクロス検出回路17,18に入力され、それぞれのゼロクロスが検出される。ゼロクロスの検出の仕方としては、例えば、通常のコンパレータ出力のように、各信号Y1,Y2の瞬時振幅が負極性から正極性に変化するゼロクロスつまり0度位相に応じてハイレベルに立ち上がり、該瞬時振幅が正極性から負極性に変化するゼロクロスつまり180度位相に応じてローレベルに立ち下がるような特性のディジタルパルスを発生する構成とすればよい。あるいは、各信号Y1,Y2の瞬時振幅が負極性から正極性に変化するゼロクロスつまり0度位相に応じてハイレベルに立ち上がり、その後の短い時間ののちローレベルに立ち下がる瞬時的パルス信号で発生する構成でもよい。要するに、パルス信号の立ち上がり又は立下りのエッジがゼロクロスつまり0度位相に同期していればよく、そのパルスのデューティ比は問わない。ゼロクロス検出回路17の出力は、進相の交流信号Y1=sin(ωt+θ)のゼロクロス位相に同期してハイレベルに立ち上がるパルス信号であり、これを信号LP1ということにする。ゼロクロス検出回路18の出力は、遅相の交流信号Y2=sin(ωt−θ)のゼロクロス位相に同期してハイレベルに立ち上がるパルス信号であり、これを信号LP2ということにする。パルス変換回路107からの各出力パルス信号LP1,LP2は、配線301,302を介してディジタル処理装置200に入力される。なお、信号レベルは説明の便宜上アクティブハイであるとして説明するが、アクティブローであってもよく、その場合は、ハイレベルとローレベルの関係が逆になることは言うまでもない。
【0016】
また、検出ユニット100においては、交流発振回路102から発生された励磁用の基準交流信号(sinωt)を、その周期に同期するディジタルの基準パルス信号に変換する基準パルス変換回路108が設けられている。この基準パルス変換回路108は、ゼロクロス検出回路と同様のアナログコンパレータによって構成できる。この基準パルス変換回路108から発生される基準パルス信号REFPは、励磁用の基準交流信号(sinωt)の瞬時振幅が負極性から正極性に変化するゼロクロスつまり0度位相に応じてハイレベルに立ち上がり、該瞬時振幅が正極性から負極性に変化するゼロクロスつまり180度位相に応じてローレベルに立ち下がるような特性のパルス信号である。あるいは、基準交流信号(sinωt)の瞬時振幅が負極性から正極性に変化するゼロクロスつまり0度位相に応じてハイレベルに立ち上がり、その後の短い時間ののちローレベルに立ち下がる瞬時的パルス信号であってもよく、この場合も、要するに、パルス信号の立ち上がり又は立下りのエッジがゼロクロスつまり0度位相に同期していればよく、そのパルスのデューティ比は問わない。この基準パルス変換回路108から出力される基準パルス信号REFPは、配線300を介してディジタル処理装置200に入力される。
【0017】
ディジタル処理装置200では、配線300,301,302を介して検出ユニット100から供給される基準パルス信号REFPと検出対象位置xに応じた位相ずれθを持つ検出パルス信号LP1,LP2とに基づき、該検出パルス信号LP1,LP2の基準パルス信号REFPに対する位相ずれθを測定する処理を行ない、測定した位相ずれθに基づき検出対象位置のデータを得る。
このように、検出ユニット100とディジタル処理装置200とを結ぶ各信号配線300,301,302で授受されたる各パルス信号REFP,LP1,LP2は、それぞれ1ビットの2値化されたディジタル信号つまりディジタルパルス信号である。ここで、各信号配線300,301,302は、検出ユニット100に対してはコネクタ310,311,312を介して、また、ディジタル処理装置200に対してはコネクタ320,321,322を介して、着脱可能な構成とされる。各コネクタ310,311,312,320,321,322においては、それぞれの信号入力(又は出力)端子とアース点との間の絶縁抵抗は本来無限大であるべきなのであるが、絶縁不良によって、その絶縁抵抗が低下することが起こりうる。しかし、コネクタ310〜322を介して授受される信号配線300〜302を通る信号REFP,LP1,LP2は、すべて、ハイレベルとローレベルの2値でのみ区別されるディジタル信号であるため、コネクタの信号入力(又は出力)端子とアース点との間の絶縁抵抗が或る程度低下したとしても、それに伴う電圧変動は、ディジタル回路におけるハイレベルとローレベルのしきい値条件を許容する限り、無視できるものとなり、検出精度に悪影響を与えないものとなる。また、配線300〜302の引き回しによって周辺環境から受けるノイズあるいは温度変化等によるレベル変動に対しても、ディジタル化により耐性が増す。
【0018】
ここで、これらのパルス信号REFP,LP1,LP2の位相関係の一例を時間を横軸とする波形図によって示すと図3のようである。ディジタル処理装置200では、検出ユニット100から与えられるこれらの信号REFP,LP1,LP2に基づき位置検出データ生成処理を行なう。ディジタル処理装置200は、マイクロコンピュータのような汎用プロセッサを含み、所定のソフトウェア処理によって検出ユニット100からの検出信号に基づく位置検出データ生成処理を行なうと共に、その他種々の処理を並行して実行することが可能である。
【0019】
ディジタル処理装置200が実行する位置検出データ生成処理には、図4のような割込み処理が含まれる。(a)は基準パルス信号REFPがローからハイに立ち上がったときに割込みトリガがかかる割込み処理であり、カウンタKをクリアしカウントスタートさせる。カウンタKは、所定の高速クロックを常時カウントするものであり、このREFP割込み処理で基準交流信号sinωtの0位相毎に繰り返し0にリセットされることとなり、そのカウント値は基準交流信号sinωtの0位相からの位相ずれを示すことになる。図3に示すように、カウンタKのカウント値は、基準交流信号sinωtの周期に同期して、最小値0から最大値MAXまでの増加を繰り返す。図4(b)は、検出対象位置xに応じた進相の位相ずれ+θに同期した検出パルス信号LP1がローからハイに立ち上がったときに割込みトリガがかかる割込み処理であり、その割込み時点でのカウンタKのカウント値を取り込み、進相の位相ずれ+θを示すデータP1としてレジスタに記憶(ラッチ)する。図4(c)は、検出対象位置xに応じた遅相の位相ずれ−θに同期した検出パルス信号LP2がローからハイに立ち上がったときに割込みトリガがかかる割込み処理であり、その割込み時点でのカウンタKのカウント値を取り込み、遅相の位相ずれ−θを示すデータM1としてレジスタに記憶(ラッチ)する。勿論、ディジタル処理装置200における処理は、図4に示すようなソフトウェア処理に限らず、専用ハードウェア回路で処理してもよい。また、カウンタK及びその他一部の構成要素は専用ハードウェア回路で構成し、その他の構成要素はCPUとソフトウェア処理で構成するようにしてもよい。
【0020】
こうして、検出した位相ずれ検出データP1,M1のどちらか一方のみを位置検出データとして使用してよい。あるいは、本出願人が既に特開平9−126809号で示したようなやり方を採用して位相ずれ検出データに基づく位置データ算出演算を行なうようにしてもよい。すなわち、検出データP1,M1の中に温度ドリフト等による同方向の誤差±dが含まれている場合は、進相及び遅相の両検出データP1及びM1を足して2で割ることにより、
(P1+M1)÷2={(±d+θ)+(±d−θ)}÷2=±d
なる関係に基づき、誤差±dを検出し、この誤差分をいずれか一方のデータから下記のように減算することにより、
1−(±d)=(±d+θ)−(±d)=θ
温度ドリフト補償した正確な位置検出データを得るように演算してもよい。あるいは、動特性を改善するために、検出した位置データを補間処理するようにしてもよい。この補間処理の一例については追って説明する。
【0021】
図5は本発明に係る位置検出装置の第2の実施例を示すブロック図である。この実施例では、基準交流信号sinωtに同期する2値的パルスである基準パルス信号REFPをディジタル処理装置200の側で発生し、コネクタ323、配線303、コネクタ313を介して検出ユニット100に与える。検出ユニット100では、例えばローパスフィルタのような回路を含んで構成されるアナログ交流信号発生回路109に基準パルス信号REFPを入力し、該基準パルス信号REFPの周期に同期するアナログ基準交流信号sinωtを出力する。このとき基準パルス信号REFPがデューティ比50%未満の瞬時的なパルスである場合は、デューティ比50%程度の方形波に整形してからローパスフィルタにかけるとよい。このアナログ交流信号発生回路109から出力された基準交流信号sinωtが励磁用交流信号としてセンサ部101に供給される。検出ユニット100における他の構成つまり信号生成回路106とパルス変換回路107の構成は、図1に示した第1の実施例と同様であってよい。
【0022】
図6は上記第2の実施例におけるディジタル処理装置200での基準パルス信号REFPの発生に関連する処理例を示す。図6は、所定の高速クロックパルスの発生周期毎に実行されるタイマ割込み処理である。ステップS1では、カウンタKの値を1インクメントする。ステップS2では、カウンタKのカウント値が所定の最大値MAXに達したかを判定する。YESであれば、ステップS3に行き、カウンタKの値を初期値つまり最小値0にクリアする。次に、ステップS4では、REFPの値を“1”にセットし、リターンする。ステップS2がNOのときはステップS5に行き、カウンタKのカウント値が所定の中間値MAX/2に達したかを判定する。YESであれば、ステップS6に行き、REFPの値を“0”にリセットし、リターンする。これによって、図3に示されたものと同様に、ディジタル処理装置200の内部カウンタKのカウント値は、最小値0から最大値MAXまでの増加を繰り返す。そして、基準パルス信号REFPは、図3に示されたものと同様に、このカウンタKのカウント値の最小値0から最大値MAXまでの繰り返しサイクルに同期して例えば最小値0のときハイレベルに立ち上がるパルス信号として形成される。そのデューティ比は50%でもよいし、また、それに限らない。こうして形成された基準パルス信号REFPが、ディジタル処理装置200のコネクタ323から配線303を介して検出ユニット100のコネクタ313に至り、アナログ交流信号発生回路109に入力され、該基準パルス信号REFPの周期に同期するアナログ基準交流信号sinωtが生成される。なお、この第2の実施例におけるディジタル処理装置200での検出パルス信号LP1,LP2に応じた処理は、前記第1の実施例における図4(b),(c)に示した処理と同様の処理であってよいため、説明を省略する。この場合も、ディジタル処理装置200における処理は、図6に示すようなソフトウェア処理に限らず、専用ハードウェア回路で処理してもよい。また、前述と同様に、カウンタK及びその他一部の構成要素は専用ハードウェア回路で構成し、その他の構成要素はCPUとソフトウェア処理で構成するようにしてもよい。
【0023】
図7は、センサ部101におけるコイル構成として、実質的に1個のセンサ用コイルL1のみを使用する実施例を示す。この図7の構成は、図1に示すような第1の実施例または図5に示すような第2の実施例のいずれにおいても適用可能である。図7の例において、センサ部101はセンサ用コイルL1のほかに図示しない磁気応答部材を含む。この磁気応答部材は鉄のような磁性体あるいは銅のような反磁性体からなり、検出対象位置の変化に応じて該磁気応答部材とセンサ用コイルL1の相対的位置が変化し、これに応じてセンサ用コイルL1の自己インダクタンスが変化する。この点は、図7で、コイルL1を可変インダクタンス要素の図法で図示することで示している。センサ用コイルL1は、アンプ103を介して与えられる前記基準交流信号sinωtによって励磁される。
【0024】
図7において、温度補償用コイルL2がセンサ用コイルL1に直列接続されており、その接続点からセンサ用コイルL1の出力電圧Vxが取り出される。この温度補償用コイルL2は、センサ部101における検出対象位置の変化に応じた上記磁気応答部材の相対的位置変化には応答せず、一定のインピーダンス(インダクタンス)を示すものであるが、できるだけセンサ用コイルL1と同等の温度ドリフト特性を示すように、センサ用コイルL1とできるだけ同一条件のコイル素子であることが好ましく、また、できるだけ同一環境下に配置されることが好ましい。センサ用コイルL1と温度補償用コイルL2の分圧比により、センサ用コイルL1の出力電圧Vxが取り出されるので、両コイルL1,L2の温度ドリフト特性が相殺され、センサ用コイルL1の出力電圧Vxは正確に温度補償されたものとなる。
【0025】
図8(A)は、検出対象たる位置(横軸x)に対応してセンサ用コイルL1に生じる電圧(たて軸)を例示するグラフである。横軸xに記したa,bは検出対象位置の範囲を例示するもので、例えば位置aがセンサ部101における上記磁気応答部材がセンサ用コイルL1の磁界から最も遠ざかっている位置に相当し、位置bが該磁気応答部材がセンサ用コイルL1の磁界に最も近づいている位置に相当し、この位置aからbまでの範囲における検出対象位置を検出することができる。位置aでは、センサ用コイルL1のインピーダンス最小のため、コイルL1に生じる電圧は最小レベル(最小振幅係数)である。また、位置bでは、インピーダンス最大のため、コイルL1に生じる電圧は最大レベル(最大振幅係数)である。
【0026】
センサ用コイルL1に生じる電圧は、検出対象位置がaからbまで動く間で、最小値から最大値まで漸増変化する。この位置aにおいて最小値をとるコイルL1の出力電圧VxがPa sinωtであるとすると(Paは最小インピーダンス)、これを第1の基準電圧Vaとして設定する。すなわち、
Va=Pa sinωt
である。また、位置bにおいて最大値をとるコイルL1の出力電圧VxがPb sinωtであるとすると(Pbは最大インピーダンス)、これを第2の基準電圧Vbとして設定する。すなわち、
Vb=Pb sinωt
である。
【0027】
図7に示すように、各基準電圧Va,Vbを発生するための回路として、2つのコイルLa1,La2を直列接続した回路と、2つのコイルLb1,Lb2を直列接続した回路とが設けられており、これらも基準交流信号sinωtによって駆動される。基準電圧VaはコイルLa1,La2の接続点から取り出され、基準電圧VbはコイルLb1,Lb2の接続点から取り出される。コイルLa1,La2,コイルLb1,Lb2の各対は、所望の基準電圧Va,Vbが得られるように、そのインピーダンス(インダクタンス)が適切に調整される。コイルLa1,La2の分圧比により基準電圧Vaが取り出されるので、コイルLa1,La2の温度ドリフト特性が相殺され、基準電圧Vaは正確に温度補償されたものとなる。同様に、コイルLb1,Lb2の分圧比により基準電圧Vbが取り出されるので、コイルLb1,Lb2の温度ドリフト特性が相殺され、基準電圧Vbは正確に温度補償されたものとなる。
【0028】
図7の例においては、オペアンプ104は、センサ用コイルL1の出力電圧Vxから第1の基準電圧Vaを減算する下記の演算を行なうように設定される。つまり、コイル出力電圧Vxの振幅係数を関数A(x)で示すと、
Figure 0004662516
なる演算を行う。第1の基準電圧Vaによって設定した検出対象区間の始まりの位置aでは、A(x)=Paであることから、この演算結果の振幅係数「A(x)−Pa 」は「0」となる。一方、該検出対象区間の終わりの位置bでは、A(x)=Pbであることから、この演算結果の振幅係数「A(x) −Pa 」は「Pb−Pa 」となる。よって、この演算結果の振幅係数「A(x) −Pa 」は、該検出対象区間の範囲内において、「0」から「Pb −Pa 」まで漸増する関数特性を示す。ここで、「Pb −Pa 」は最大値であるから、これを等価的に「1」と考えると、前記式に従う交流信号の振幅係数「A(x) −Pa 」は、検出対象区間の範囲内において、図8(B)に示すように、「0」から「1」まで変化することになり、この振幅係数の関数特性は、図8(C)に示すようなサイン関数sinθの第1象限(つまり、0度から90度の範囲)の特性になぞらえることができる。よって、前記式に従う交流信号の振幅係数「A(x) −Pa 」は、等価的にsinθ(ただし、大体、0°≦θ≦90°)を用いて表わせる。なお、図8(B)、(C)では、位置xに対するサイン関数特性の振幅係数のカーブsinθのみを示しているが、実際のオペアンプ104の出力はこの振幅係数sinθに対応する振幅レベルを持つ交流信号sinθsinωtである。
【0029】
図7の例においては、オペアンプ105は、検出用コイルL1の出力電圧Vxと第2の基準電圧Vbとの差を求める下記の演算を行なうように設定される。上記と同様に、A(x)はコイル出力電圧Vxの振幅係数の関数である。
もので、前記式(2)のように、
Figure 0004662516
検出対象区間の始まりの位置aでは、A(x)=Paであることから、この演算結果の振幅係数「Pb −A(x) 」は「Pb −Pa 」となる。一方、第2の基準電圧Vbによって設定した該区間の終わりの位置bでは、A(x)=Pbであることから、この演算結果の振幅係数「Pb −A(x) 」は「0」となる。よって、この演算結果の振幅係数「Pb −A(x) 」は、該検出対象区間の範囲内において、「Pb −Pa 」から「0」まで漸減する関数特性を示す。前記と同様に、「Pb −Pa 」を等価的に「1」と考えると、前記式に従う交流信号の振幅係数「Pb −A(x) 」は、検出対象区間の範囲内において、図8(B)に示すように、「1」から「0」まで変化することになり、この振幅係数の関数特性は、図4(C)に示すようなコサイン関数の第1象限(つまり0度から90度の範囲)の特性になぞらえることができる。よって、前記式に従う交流信号の振幅係数「Pb −A(x) 」は、等価的にcosθ(ただし、大体、0°≦θ≦90°)を用いて表わせる。この場合も、図8(B)、(C)では、位置xに対するコサイン関数特性の振幅係数のカーブcosθのみを示しているが、実際のオペアンプ105の出力はこの振幅係数cosθに対応する振幅レベルを持つ交流信号cosθsinωtである。なお、オペアンプ105での減算は「Vx−Vb」であってもよい。
【0030】
図7の各オペアンプ104,105から出力された検出交流信号sinθsinωt,cosθsinωtは、図1又は図5における信号生成回路106(詳細は図2)に入力される。なお、図7の構成では、センサ用コイルについての温度ドリフト補償が済んでいるので、検出対象位置に応じて位相シフトされた検出交流信号として進相と遅相の2つの信号sin(ωt+θ)とsin(ωt−θ)を生成することなく、どちらか一方の信号のみを生成するだけでもよい。その場合は、検出パルス信号もLP1とLP2のどちらか一方のみが発生される。しかし、センサ用コイル以外の各アナログ回路等における温度ドリフト補償までをも行なうためには、検出交流信号として進相と遅相の2つの信号sin(ωt+θ)とsin(ωt−θ)を生成するのがよい。また、このような進相と遅相の2つの信号sin(ωt+θ)とsin(ωt−θ)を生成することは、後述するように本検出装置における断線やショート等の異常検出処理を、ディジタル処理装置200の側で容易に行なうことができるので、有利である。
【0031】
次に、進相と遅相の2つの検出信号sin(ωt+θ)とsin(ωt−θ)に同期する位相検出パルス信号LP1,LP2に基づきディジタル処理装置200で行なわれる位置検出動作の一例の基本原理につき図9〜図12により説明する。図9は、ディジタル処理装置200による位置検出原理を説明するための詳細ブロック図である。図9に示されたディジタル処理装置200において、検出対象位置(x)に対応して正方向にシフトされた電気的位相角(つまり進相の位相ずれ+θ)に同期する位相検出パルスLP1はラッチ(つまりレジスタ)21のラッチ制御信号として使用され、検出対象位置(x)に対応して負方向にシフトされた電気的位相角(つまり遅相の位相ずれ−θ)に同期する位相検出パルスLP2はラッチ(つまりレジスタ)31のラッチ制御信号として使用される。各ラッチ21及び31では、カウンタKのカウント値を夫々の位相検出パルスLP1,LP2の発生タイミングでラッチする。前述の通り、カウンタKのカウント値の0は基準交流信号sinωtの0位相に対応しているので、各ラッチ21及び31にラッチしたデータP1,M1は、それぞれ、基準交流信号sinωtに対する各出力信号Y1,Y2の位相ずれ(+θ及び−θ)に対応している。
このように、各位相検出パルスLP1,LP2に応じて各ラッチ21及び31に位相差検出データP1及びM1をそれぞれラッチする処理が、検出対象位置(x)に応じて正方向にシフトされた電気的位相角(+θ)を持つ第1の交流出力信号「sin(ωt+θ)」の位相差を検出することで第1の検出データ(P1)を生成し、検出対象位置(x)に応じて負方向にシフトされた電気的位相角(−θ)を持つ第2の交流出力信号「sin(ωt−θ)」の位相差を検出することで第2の検出データ(M1)を生成する処理に相当する。
【0032】
ここで、検出ユニット100とディジタル処理装置200間の配線ケーブル長の長短による影響や、検出ユニット100のコイル及び各回路において温度ドリフトによるインピーダンス変化が生じていることを考慮して、その出力信号の位相変動誤差を「±d」で示すと、上記各検出交流信号Y1,Y2は次のように表わされる。
Y1=sin(ωt±d+θ)
Y2=sin(ωt±d−θ)
したがって、上記各検出データP1及びM1は、検出対象位置xに対応する真の位相角θを示すものではなく、上記誤差±dを含むものである。この誤差±dは、進相の検出データP1に対しても、遅相の検出データM1に対しても、同一方向(同相方向)の誤差として含まれる。この点を図に示すと、図10(a)及び(b)のようである。(a)は誤差位相±dがプラスつまり進相(+d)の場合を図説し、(b)は遅相(−d)の場合を図説するものである。すなわち、進相の検出データP1は基準位相R0(例えば基準交流信号sinωtの0位相)に対して「±d+θ」なる位相ずれを示すものであり、遅相の検出データM1は基準位相R0に対して「±d−θ」なる位相ずれを示すものである。この誤差±dは、未知の値であるが、本出願人の出願に係る前記従来技術においては、進相及び遅相の両検出データP1及びM1を足して2で割ることにより、
{(±d+θ)+(±d−θ)}÷2=±d
なる関係に基づき、誤差±dを検出することができ、これにより温度特性誤差の補償を行うことができることを教示した。本実施例においても、同様の原理に従う温度特性誤差補償を行うが、その点については後述する。なお、以下の説明では、説明に特段の差しつかえがないかぎり、検出交流信号位相成分に上記誤差±dを含んでいる場合であっても、便宜上、あえてこの±dの存在を示さず、単に、「+θ」や「−θ」、あるいは「ωt+θ」や「ωt−θ」のように記載する。
【0033】
なお、各ラッチ21及び31では、同じカウンタKのカウント出力をラッチするため、遅相の位相ずれ−θについて該カウンタKのカウント値をそのまま当該位相ずれの絶対値「θ」を示す値とみなした場合、進相の位相ずれ+θについては該カウンタKのカウント値は360度の補数(つまり「360°−θ」)に相当する位相データをラッチすることとなる。これにより、正負符号付きの各位相差「+θ」及び「−θ」に対応するデータをそのまま位相差検出データP1及びM1としてそれぞれ各ラッチ21及び31にラッチしたことと等価となる。このように、位相差検出データP1及びM1が正負符号付きのままの位相ずれ「+θ」及び「−θ」に対応しているものとしているので、上記のように、進相及び遅相の両検出データP1及びM1を足して2で割ることが、誤差±dを検出することに相当する。一方、このような事項は設計上任意に変更可能であり、例えば、進相の位相ずれ「+θ」についても当該位相ずれの絶対値「θ」がラッチ21にされるようにしてもよい。例えば、そのためには、ラッチ31にはカウンタKのカウント値をそのままラッチする一方で、ラッチ21にはカウンタKのカウント値の負の値若しくはモジュロ数に対するカウント値の補数(最大カウント値と現カウント値との差)をラッチするものとするとよい。その場合は、ラッチ21にラッチされる進相方向の位相ずれ「+θ」についての位相差検出データP1はそのθの絶対値を示し、また、ラッチ31にラッチされる遅相方向の位相ずれ−θについての位相差検出データM1もそのθの絶対値を示しているものとなる。その場合は、誤差±dを含む進相方向の位相ずれ「±d+θ」の絶対値「θ±d」を示す検出データP1と遅相方向の位相ずれ「±d−θ」の絶対値「θ−(±d)」を示す検出データM1との差を2で割ることで、誤差±dを検出することができる。その他、データ形式や演算形態の細部は適宜に設計変更可能である。
【0034】
図9の説明に戻ると、各ラッチ21及び31に対応して2次ラッチ(すなわちレジスタ)22及び32が設けられており、前記位相検出パルスLP1に応じて1次ラッチ21の出力を2次ラッチ22にラッチし(つまりシフトし)、前記位相検出パルスLP2に応じて1次ラッチ31の出力を2次ラッチ32にラッチする。これにより、前回の位相検出パルスLP1(又はLP2)の発生時にラッチ21(又は31)にラッチされたデータ(つまり1サンプル前の位相差検出データ)が2次ラッチ22(又は32)に転送される。こうして、今回発生した位相検出パルスLP1(又はLP2)に応じて1次ラッチ21(又は31)にラッチされて該ラッチ21(又は31)から出力されるデータを今回サンプルの位相差検出データP1(又はM1)とすると、そのとき同時に2次ラッチ22(又は32)に転送されて該ラッチ22(又は32)から出力されるデータは前回サンプルの位相差検出データP0(又はM0)である。こうして、正方向に位相遷移する傾向の、つまり進相の第1の検出データP1についての、時間的に相前後する2つのサンプルのデータ、つまりP1とP0、が各ラッチ21及び22から得られる。同様に負方向に位相遷移する傾向の、つまり遅相の第2の検出データM1についての、時間的に相前後する2つのサンプルのデータ、つまりM1とM0、が各ラッチ31及び32から得られる。
【0035】
引算器23では、ラッチ21の出力値P1からラッチ22の出力値P0を減算して、1サンプル周期当りの変化量ΔPを求める。すなわち、
ΔP=P1−P0
なる減算を行う。なお、ここでいう1サンプル周期とは、第1の交流出力信号sin(ωt+θ)の交流サイクルの1周期であり、検出対象の静止時は基準交流sinωtの1周期に相当するが、検出対象の移動時はドップラ効果によって正方向つまり進相方向に(交流サイクル周期を縮める方向に)遷移する。すなわち、1サンプル周期毎にラッチタイミングが早まるからである。
【0036】
同様に、引算器33では、ラッチ31の出力値M1からラッチ32の出力値M0を減算して、1サンプル周期当りの変化量ΔMを求める。すなわち、
ΔM=M1−M0
なる減算を行う。この1サンプル周期は、第2の交流出力信号sin(ωt−θ)の交流サイクルの1周期であり、検出対象の静止時は基準交流信号sinωtの1周期に相当するが、検出対象の移動時はドップラ効果によって負方向につまり遅相方向に(交流サイクル周期を伸ばす方向に)遷移する。すなわち、1サンプル周期毎にラッチタイミングが遅れるからである。図10(c)は、各サンプル毎の位相差検出データP0,P1,M0,M1の、基準位相R0に対する位相ずれ量をそれぞれ例示し、これによって、1サンプル周期当たりの進相及び遅相の変化量ΔP及びΔMをビジュアルに図示したものである。
【0037】
それぞれの方向についての変化量ΔP、ΔMは、それぞれ次のラッチタイミングまでの変化量の予測値として、補間演算に際して、使用される。例えば、加算器24において、ラッチ21から出力される今回サンプルの検出データP1と、引算器23から出力される次回サンプルまでの予測変化量ΔPとを加算し、補間演算に際しての、目標値TPを得る。すなわち、
TP=P1+ΔP
なる演算を行う。同様に、例えば、加算器34において、ラッチ31から出力される今回サンプルの検出データM1と、引算器33から出力される次回サンプルまでの予測変化量ΔMとを加算し、補間演算に際しての、目標値TMを得る。すなわち、
TM=M1+ΔM
なる演算を行う。なお、この実施例においては、この目標値TP,TMは、補間演算の際の絶対的な到達目標ではなく、補間の方向性を示す目安として使用されるだけである。具体的な補間値を決定するのに関与するのは、次に述べる標準予測値である。
【0038】
前述のように、進相つまり正方向(時間圧縮方向)へ位相遷移するときの変化量ΔPと、遅相つまり負方向(時間伸張方向)へ位相遷移するときの変化量ΔMは、ドップラ効果によって生じるものであり、移動速度(回転体の場合は回転数)に依存するものである。しかし、これらの進相方向の変化量ΔPと遅相方向の変化量ΔMは、移動速度に対してリニアティを示さず、図10に示すような非線形性を示す。図10の第1象限に実線で描かれたカーブΔMが遅相遷移方向の変化量ΔMの非線形特性例であり、第4象限に実線で描かれたカーブΔPが進相遷移方向の変化量ΔPの非線形特性例である。このように2つの変化量ΔP,ΔMの非線形特性は互いに逆向きの非線形特性、つまり一方が指数的で、他方が対数的、となる。このような逆向きの非線形特性は、変化量ΔP,ΔMを求めるためのサンプル周期(交流周期)が、進相の場合は速度が増すにつれて圧縮され、遅相の場合は速度が増すにつれて引き延ばされるために生じる。よって、横軸に示す移動速度が増してくるにつれて、2つの変化量ΔP,ΔMの値の重みが異なってくるので、これを適正に修正せずに補間演算に使用すると、後述の温度特性誤差補償演算等で、両者の補間演算結果同士を用いて演算を行った場合、誤差を招くことになる。この実施例において、これらの変化量ΔP,ΔM(すなちわち1次予測値)の非線形特性を修正することで、そのような誤差を招くことがないようにしている。そのようにこれらの変化量ΔP,ΔM(すなちわち1次予測値)の非線形特性を修正した値を、この実施例では、標準予測値(ノーマライズした予測値)と呼ぶことにする。
【0039】
図9の例においては、引算器23,33から出力される各変化量ΔP,ΔMの絶対値を演算器30で下記のように平均化する演算を行うことにより、修正した予測値つまり標準予測値VTを求めるようにしている。
VT=(|ΔP|+|ΔM|)÷2
その結果得られる標準予測値VTの移動速度に対する特性は、図10で破線VTで示すように、ほぼ直線性を示すものとなる。この標準予測値VTは、所定の標準サンプル周期(基準交流信号sinωtの1周期)で、進相及び遅相の位相検出データP1,M1をそれぞれサンプリング(ラッチ)したと仮定した場合のサンプル間の変化量つまり予測値に相当するもの、つまりバーチャルサンプリング(ラッチ)周期毎の変化量の予測値である。換言すれば、この実施例に従って、図4に示すような各変化量ΔP,ΔMの非線形特性を直線特性に変換して標準予測値VTを得ることで、動特性時におけるドップラ効果の影響を排除した、所定の標準サンプル周期(基準交流信号sinωtの1周期)つまりバーチャルサンプリング(ラッチ)周期に従う、ノーマライズされた仮想的な位相差検出が可能となる。これは、本発明で初めて提案する新規なアイデアである。なお、この標準予測値VTを次のステップで演算器25及び35で使用する場合、それぞれの予測値ΔP,ΔMの傾き方向(正負)に合わせた正負符号をつけるものとする。例えば、図4に示したように、進相の予測値ΔPの傾きは負であるから、進相用の演算器25で使用する標準予測値VTには負の符号を付与する(負の値とする)。これを図4で示せば、破線VT’で示す特性となる。
【0040】
標準予測値の求め方としては、これに限らず、例えば進相及び遅相毎にそれぞれ逆特性の非線形変換テーブルを使用して各予測値ΔP,ΔMを個別にデータ変換することで、それぞれ所定の直線性を示す値となるように変換する手法などが考えられる。その場合、標準予測値は進相及び遅相毎に別々に生成することとなる。しかし、上記のように平均値演算により標準予測値を求める手法はかなり簡単な構成で済むため、変換テーブルを用いる手法に比べてかなり有利である。また、予測値ΔP,ΔMは、上記例のように、隣接する2サンプルの位相差検出データの差(1サンプル周期の変化量)に限らず、2サンプル以上離れた2サンプルの位相差検出データの差(2サンプル周期以上の変化量)に基づいて求めるようにしてもよいし、また、2サンプルの位相差検出データに限らず、3サンプル以上の位相差検出データに基づいて求めるようにしてもよい。
【0041】
この実施例において、補間演算は、上述のバーチャルサンプリング(ラッチ)周期つまり所定の標準サンプル周期(基準交流信号sinωtの1周期)を基準にして行われる。すなわち、図12(a)に示すように、励磁側の基準交流信号sinωtの1周期(例えばその周波数が10kHzとすると、100μs)を所定の数nで分割し、その分割された1タイムスロットを1補間ステップとして、バーチャルサンプリング周期(基準交流信号sinωtの1周期)の1周期の間でn個の補間ステップからなる補間演算を、予測補間によって、時間経過に従って順次行う。各補間ステップ毎のタイムスロットを形成する補間クロックTnは、基準交流信号sinωtの1周期の1/nの周期からなる。例えばn=4096とした場合、補間クロックTnは40.96MHzとなる。ここで、例えば、nをカウンタKのモジュロ数と同数とすると、カウンタのクロックパルスCKと補間クロックTnは、同一のクロックパルスを使用することができる。
【0042】
図9において、演算器25では、演算器30で求めた標準予測値VTを少なくとも用いて、1補間ステップ当りの補間値(つまり増分値)Apを演算する。基本的には、バーチャルサンプリング周期当りの変化量である標準予測値VTを補間ステップ分割数nで割ることで、1補間ステップ当りの増分値Apを求めることができる。しかし、位相検出パルスLP1が発生したタイミングで新たな検出データP1がラッチ21にラッチされたとき、その直前に得られた補間値(補間結果すなわち補間済検出データ)が該今回サンプルの新たな検出データP1に対して誤差を有するときは、この誤差をこの補間増分値Apに反映させることで、予測補間による誤差修正を常に行ってやることが望ましい。そこで、演算器25では、位相検出パルスLP1が発生したタイミングで、ラッチ21から出力される今回サンプルの新たな検出データP1と、補間処理部26で得られた最新の補間値(補間結果すなわち補間済検出データ)つまり補間最終値PAとを更に用いて、下記の演算を行い、新たな補間増分値Apを求める。
Ap={(P1−PA)+VT}÷n
ここで、(P1−PA)が、現在の補間済検出データつまり補間最終値PAと今回サンプリングした新たな検出データP1との誤差であり、この誤差を標準予測値VTに加算することで、向こう1周期にわたるバーチャルサンプリング周期当りの標準予測値を修正し、これをnで割ることにより、補間増分値Apを求める。なお、設計上の細部の話ではあるが、ここで、対応する変化量ΔPが負の傾きを持つ場合は、前述の通り、演算器25で使用する標準予測値VTは、演算器30で求めた値の負の値(つまり図4のVT’)とする。よって、補間増分値Apは負の値となり、事実上、減分値となる。
【0043】
遅相方向についても同様に、演算器35では、位相検出パルスLP2が発生したタイミングで、演算器30で求めた標準予測値VTと、前記分割数nと、ラッチ31から出力される今回サンプルの新たな検出データM1と、補間処理部36で得られた最新の補間値(補間結果すなわち補間済検出データ)つまり補間最終値MAとを用いて、下記の演算を行い、新たな補間増分値Amを求める。
Am={(M1−MA)+VT}÷n
ここで、(M1−MA)が、現在の補間済検出データつまり補間最終値MAと今回サンプリングした新たな検出データM1との誤差であり、この誤差を標準予測値VTに加算することで、向こう1周期にわたるバーチャルサンプリング周期当りの標準予測値を修正し、これをnで割ることにより、補間増分値Amを求める。この場合、演算器33で求めた変化量ΔMが正の傾きを示すものであれば、演算器35では演算器30で求めた標準予測値VTをそのまま(正の符号のまま)上記演算で使用する。
【0044】
進相用の補間演算を行う補間処理部26においては、補間クロックTnに従う補間ステップ毎に、補間最終値PAに対して、前記演算器25で得た補間増分値Apを順次累算していくことで、時間経過に従う予測補間演算を行う。詳しくは、補間クロックTnに従う補間ステップ毎に、ステップ26aで、現在の補間済検出データすなわち補間最終値PAの値に増分値Apを加算し、該補間済検出データすなわち補間最終値PAの値を更新する。ステップ26bで、該補間済検出データPAの値が目標値TPに到達又は越えたかをチェックし、NOであれば、ステップ26aに戻り、次の補間クロックTnの発生タイミングで、PAに対するApの加算を行う。こうして、各補間ステップ毎に補間最終値PAに対して増分値Apを順次累算していく。補間済検出データPAの値が目標値TPに到達又は越えると、ステップ26bでYESと判定され、ステップ26aでの加算を一時停止する。一時停止されたステップ26aでの加算は、次に位相検出パルスLP1が発生されたとき再開される。ステップ26aでの演算で求められた補間済検出データPAは、補間クロックTnによって1補間ステップ毎に補間出力ラッチ27にラッチされる。ここで、前述のように増分値Apが負の値(つまり減分値)であれば、ステップ26bでの加算によって、得られる補間済検出データPAの値は順次減少していき、予測補間演算によって進相方向に細かく遷移してゆく補間済検出データPAが得られることとなる。その場合、目標値TPの値は前回の補間最終値PAよりは小さいので、ステップ26bでは、「PA≦TP」が成立したか否かの判定を行うものとする。
【0045】
遅相用の補間演算を行う補間処理部36においても、同様に、ステップ36aで、補間クロックTnに従う補間ステップ毎に、補間最終値MAに対して、前記演算器35で得た補間増分値Amを順次累算していくことで、時間経過に従う予測補間演算を行う。補間済検出データMAの値が目標値TMに到達又は越えると、ステップ36bでYESと判定され、ステップ36aでの加算を一時停止する。一時停止されたステップ36aでの加算は、次に位相検出パルスLP2が発生されたとき再開される。ステップ36aでの演算で求められた補間済検出データMAは、補間クロックTnによって1補間ステップ毎に補間出力ラッチ37にラッチされる。ここで、前述のように増分値Amが正の値であれば、ステップ36bでの加算によって、得られる補間済検出データMAの値は順次増加していき、予測補間演算によって遅相方向に細かく遷移してゆく補間済検出データMAが得られることとなる。その場合、目標値TMの値は前回の補間最終値MAよりは大きいので、ステップ36bでは、「MA≧TM」が成立したか否かの判定を行うものとする。
【0046】
図12(b)は、進相方向の補間演算例を示す図である。位相検出パルスLP1によってラッチ21に今回サンプルの検出データP1がラッチされると、前回サンプルの検出データP0との差が変化量ΔPとして検出され、P1+ΔP=TPが目標値として設定される。また、位相検出パルスLP1の発生時点での補間最終値PA’とP1との差が標準予測値VTに加算されて、該標準予測値がVT1で示すように修正される。これに基づき、補間増分値(減分値)Apが計算され、補間ステップ毎に、補間最終値PA’に対して増分値(減分値)Apが累算されていくことで、補間済検出データPAが得られる。
同様に、図12(c)は、遅相方向の補間演算例を示す図である。位相検出パルスLP2によってラッチ31に今回サンプルの検出データM1がラッチされると、前回サンプルの検出データM0との差が変化量ΔMとして検出され、M1+ΔM=TMが目標値として設定される。また、位相検出パルスLP2の発生時点での補間最終値MA’とM1との差が標準予測値VTに加算されて、該標準予測値がVT2で示すように修正される。これに基づき、補間増分値Amが計算され、補間ステップ毎に、補間最終値MA’に対して増分値Amが累算されていくことで、補間済検出データMAが得られる。
【0047】
補間出力ラッチ27及び37から出力される進相方向及び遅相方向の補間済検出データPA及びMAは、演算器28に入力され、前述した温度特性等の誤差±dを除去するための補償演算がなされる。すなわち、図10(a),(b)によって前述した通り、進相及び遅相の位相差検出データP1及びM1を足して2で割ることにより誤差±dを検出することができるのと同様に、演算器28では下記のように、進相及び遅相の補間済検出データPA及びMAを足して2で割ることにより誤差±dを抽出する。
±d=(PA+MA)÷2
ここで、補間済検出データPA及びMAは、前述した精度の高い予測補間によって検出対象位置xの時間的変化に追従して密に発生するものであるため、検出対象位置xの時間的変化に伴う位相差成分θの細密な時間的変化を、基準交流信号sinωtの1周期未満の細かなタイムスロット(補間ステップ)毎に示しているものである。従って、等価的に、
PA=±d+θ(t)
MA=±d−θ(t)
で示すことができる。よって、演算器28の演算は、等価的に、
〔{±d+θ(t)}+{±d−θ(t)}〕÷2=±d
であり、温度特性等のインピーダンス変化による誤差±dを、動特性時(+θおよび−θが+θ(t)及び−θ(t)として時間的に変化するとき)においても正確に検出するものである。
【0048】
演算器29では、下記のように、進相又は遅相の一方の補間済検出データPA又はMA(図の例ではPAとする)から、演算器28で求めた誤差±dを引き算し、誤差±dを除去した、動特性補間済みの正確な位置検出データPを得る。
P=PA−(±d)
これは、等価的には、
P={±d+θ(t)}−(±d)=θ(t)
に相当する。
【0049】
なお、補間演算のアルゴリズムは、上記実施例に示したものに限らず、その他任意のものを用いてよい。
また、既述の通り、ディジタル処理装置200における各回路は、ディスクリート回路に限らず、ゲートアレイ等を用いた集積回路によって構成することができるし、あるいはディジタルシグナルプロセッサを使用した回路によっても構成できるし、その他の高密度集積回路によっても構成することができるし、また、CPU等を使用したソウトウェアプログラムによって実現することができ、それらのすべての実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
【0050】
ディジタル処理装置200をCPU等の演算処理装置を使用したソウトウェアプログラムによって実現するようにした場合、図9に示されたような演算アルゴリズムを常時実行するようにプログラムを組んでもよい。その場合は、補間済みの位置検出データPが常に生成される。しかし、そのように補間済みの位置検出データPを常時生成するようにプログラムを組んだ場合は、CPUの負担(オーバーヘッド)が増すので、該CPU等の演算処理装置を多目的に使用している場合(同時並行的に他の処理にも使用している場合)などにあっては好ましくない。
【0051】
そこで、次に述べる実施例では、以下、図13〜図15を参照して説明するように、ディジタル処理装置200をCPU等のプログラム可能な演算処理装置を使用したソウトウェアプログラムによって実現する場合において、CPU等の演算処理装置の適切なオーバーヘッド軽減策を提案する。図13〜図15に示した実施例について大まかに説明すると、CPUに対して位置検出の割込み要求が生じたときだけ、該CPUで位置検出のための補間演算処理を行なうことで、CPUの負担(オーバーヘッド)を軽減している。
【0052】
ディジタル処理装置200におけるCPUが実行する位置検出のための補間演算処理は、主に、図13に示す位相検出パルス割込み処理と、図14に示す位置検出データ要求割込み処理とからなる。図13(A)は、進相位相ずれ+θに対応する位相検出パルスLP1が発生したときに行なわれる割込み処理であり、まず、該位相検出パルスLP1の発生タイミングに対応する今回の検出データP1(図2のラッチ回路21でラッチするデータに相当するもの)を取り込むと共に、前回の検出データP0(図9のラッチ回路22でラッチするデータに相当するもの)を保持する(ステップS11)。そして、進相用補間比率データTxpを生成するための進相用補間クロックカウンタをクリアしてカウントスタートする(ステップS12)。この進相用補間クロックカウンタは、補間クロックTnをカウントするものである。これにより、進相用補間クロックカウンタのカウント値つまり進相用補間比率データTxpは、位相検出パルスLP1の発生タイミングからの時間経過を補間ステップ単位で示す。
【0053】
図13(B)は、遅相位相ずれ−θに対応する位相検出パルスLP2が発生したときに行なわれる割込み処理であり、まず、該位相検出パルスLP2の発生タイミングに対応する今回の検出データM1(図9のラッチ回路31でラッチするデータに相当するもの)を取り込むと共に、前回の検出データM0(図9のラッチ回路32でラッチするデータに相当するもの)を保持する(ステップS13)。そして、遅相用補間比率データTxmを生成するための遅相用補間クロックカウンタをクリアしてカウントスタートする(ステップS14)。この遅相用補間クロックカウンタも、補間クロックTnをカウントするものである。これにより、遅相用補間クロックカウンタのカウント値つまり遅相用補間比率データTxmは、位相検出パルスLP2の発生タイミングからの時間経過を補間ステップ単位で示す。
【0054】
図15は、各位相検出パルスLP1,LP2の発生タイミングとそれに関連する信号の一例を示すタイミングチャートであり、例えば、時点t1で位相検出パルスLP2が発生する(立上りトリガがかかる)と、その時点t1から遅相用補間クロックカウンタのカウントがスタートし、そのカウント値である遅相用補間比率データTxmは0から順次増加してゆく。そして、時点t3で次の周期の位相検出パルスLP2が発生すると、遅相用補間比率データTxmは0にクリアされ、0からのカウントを再開する。従って、遅相用補間比率データTxmは、位相検出パルスLP2の1周期の間で、補間ステップ毎に時々刻々と増加する。進相用補間比率データTxpも同様であり、位相検出パルスLP1が発生した時点t2から次に発生する時点t4までの間で、補間ステップ毎に時々刻々と増加する。
【0055】
ディジタル処理装置200のCPUに対して位置検出データ要求が与えられたとき、図14の位置検出データ要求割込み処理が行なわれる。例えば、この位置検出データ要求は、位置検出データを利用する装置(図示せず)が最新の位置検出データを必要とするときに、該装置からディジタル処理装置200のCPUに対して与えられる。図14では、まず、上記進相用及び遅相用補間クロックカウンタのカウント値つまり進相用及び遅相用補間比率データTxp,Txmが取り込まれる(ステップS15)。例えば、図15における任意の時点txで位置検出データ要求に基づく図14の割込み処理がなされるとすると、該時点txでの各進相用及び遅相用補間クロックカウンタのカウント値が進相用及び遅相用補間比率データTxp,Txmとして、ステップS15で取り込まれる。
【0056】
次にステップS16では、図9における演算ブロック23,33,30における演算と同様の演算を行なう。すなわち、図13(A)のステップS11で取り込んだ、進相の検出データP1についての時間的に相前後する2つのサンプルのデータP1,P0の差を求めて1サンプル周期当りの変化量ΔPを求める。すなわち、
ΔP=P1−P0
なる減算を行う。また、図13(B)のステップS13で取り込んだ、遅相の検出データM1についての時間的に相前後する2つのサンプルのデータM1,M0の差を求めて1サンプル周期当りの変化量ΔMを求める。すなわち、
ΔM=M1−M0
なる減算を行う。そして、各変化量ΔP,ΔMの絶対値を平均化する演算を行うことにより、下記のように、修正した予測値つまり標準予測値VTを求める。
VT=(|ΔP|+|ΔM|)÷2
【0057】
次にステップS17では、原理的には、下記式に従い、時点txにおける進相分の位置データの予測補間値PAxと、時点txにおける遅相分の位置データの予測補間値MAxとを求める。
PAx=P1+{VT × (Txp÷n)} …(式1)
MAx=M1−{VT × (Txm÷n)} …(式2)
つまり、図15を参照して説明すると、進相分については時点t2でラッチした今回サンプルの検出データP1に、補間比率データTxpに対応する補間値(VT×(Txp÷n))を加算することで、時点txにおける進相分の位置データの予測補間値PAxを求める。また、遅相分については時点t1でラッチした今回サンプルの検出データM1から、補間比率データTxmに対応する補間値(VT×(Txm÷n))を減算することで、時点txにおける遅相分の位置データの予測補間値MAxを求める。そして、図9の演算ブロック28,29と同様に、前記誤差±dを除去するために、下記の演算を行なう。
Px=PAx−{(PAx+MAx)÷2} …(式3)
こうして、任意の時点txにおける補間済みの位置検出データPxを得ることができる。
【0058】
なお、上記式で、n=1とおき、Txp及びTxmを1に対する比率つまり小数値で表せば、「Txp÷n=Txp」、「Txm÷n=Txm」であるから、このnで割る割算は実質的に省略できる。また、Pxを展開して整理すると、
Px=P1+(VT × Txp)−{(P1+M1)÷2}
+{VT(Txp−Txm)÷2} …(式4)
となる。よって、上記式1〜3をそれぞれ実行することで補間済みの位置検出データPxを求めるようにしてもよいし、式4のみを実行することで補間済みの位置検出データPxを求めるようにしてもよい。式1〜3又は式4に従う補間演算処理は、図9〜図12で説明した補間演算処理と同様の原理に従うものであり、動特性を改善することができる。
【0059】
なお、図13、図14に示したような位置検出要求があったときにオンデマンドで補間演算処理を行なうことで、CPU等演算処理装置の負担を軽減し、多目的なCPU同時活用に役立てる、というアイディアは、上記のような進相と遅相の2種類の検出データに基づく補間演算処理に限らず、どちらか一方の検出データに基づく補間演算処理を行なうものにあっても適用可能である。なお、位置検出要求は、CPUに対する外部割込みで与えられてもよいし、内部割込みで与えられてもよい。
【0060】
次に、ディジタル処理装置200の側で具備する故障診断機能について説明する。例えば、自動車においては、ステアリング操作角度検出や電気モータの回転角度検出など多くの用途で位置検出装置が使用され、本発明に係る位置検出装置が応用可能である。その場合、特にフェールセーフ機能を持つことが要求され、既に述べた実施例のように、配線コネクタの絶縁不良等に対処することもその一環である。以下、説明するディジタル処理装置200の側で具備する故障診断機能は、このフェールセーフ機能を更に拡張するもので、検出ユニット100から該ディジタル処理装置200の内部に至るまで、位置検出システム全体にわたる故障・異常の診断を行なうことができるものである。
【0061】
まず、「故障診断機能1」は、本発明に係る位置検出装置が、進相及び遅相の2つの位相ずれ成分(+θおよび−θ)を持つ検出信号から誤差成分±dを検出する機能を持っていることによる、特有の故障診断機能である。すなわち、この誤差成分±dは、温度ドリフト特性等によるものであるため、正常であれば急激に変化することはない。しかし、検出ユニット100内のいずれかの箇所(例えばコイルあるい配線など)で断線やショートが起きた場合、あるいはノイズが信号に乗った場合など、検出信号のバランスが崩れるために、図9の演算ブロック28で算出される誤差±dが急激に変化することになる。そこで、この「故障診断機能1」では、図9の演算ブロック28で算出される誤差データ±dの変化を検出し、その変化量が所定のリミット値を超えた場合、故障と判定するものである。なお、図14の実施例においても、ステップS17で「(PAx−MAx)÷2」の演算を行なうことで、誤差データ±dを求めることができるので、この「故障診断機能1」を適用することができる。
【0062】
図16は、「故障診断機能1」で行なう処理をフローチャートで示したものである。この「故障診断機能1」は、定期的なタイマ割込みとして、例えば所定の基準交流信号sinωtの1周期に対応する周期で実行される「基準交流サイクル割込み」として実行される。ステップS20では、図9の演算ブロック28又は図14のステップS17で算出された誤差±dの現在値を現在値レジスタd1にストアするが、その前に、それまで現在値レジスタd1にストアされていた値を前回値レジスタd0にシフトしておく。ステップS21では、レジスタd1の現在値とレジスタd0の前回値との差(d1−d0=Sd)を求める。この差(d1−d0=Sd)が、基準交流信号sinωtの1周期当りの誤差±dの変化量である。
【0063】
ステップS22では、上記のように演算した誤差±dの変化量Sdが、所定のリミット値の範囲内であるか否かを判定する。範囲内に収まっていれば、異常なしとしてリターンする。範囲内に収まっていない場合は、ステップS23に行き、所定の異常検知信号1を出力する。内部のCPUでは、この異常検知信号を受け付けて、「故障診断機能1」について異常検知されたことを認識し、所定の処置をとるようにすればよい。例えば、異常アラームを鳴らす、あるいは異常ランプ又は表示を点灯し、ユーザ又はオペレータに告知する。異常判定基準であるリミット値としては、例えば電気角に換算して±5〜6度位に相当する値に設定しておくと、断線あるいはショートあるいはノイズを適切に検出できることが確かめられている。勿論、このリミット値は設計上適宜に設定してよい。
【0064】
なお、断線あるいはショートあるいはノイズなどの異常があったとき、算出される誤差±dの値が大きく変化する理由は、信号のバランスがくずれるためである。例えば、図1のセンサ部101において、出力信号Aを生成する系列で断線あるいはショートのような異常が生じたとすると、その振幅係数は位置に対応する本来のsinθとはならず、大きく異なる値(例えばa’とする)となる。すなわち、信号A=a’sinωtとなる。一方、センサ部101における出力信号Bを生成する系列は正常であるとすると、その振幅係数は位置に対応する本来のcosθを示し、信号B=cosθsinωtである。よって、信号生成回路106における信号合成演算結果B+A’とB−A’は、sin(ωt+θ)とsin(ωt−θ)を示すものとはならず、変則的な値を示す。よって、位相検出パルスLP1,LP2の位相関係は正常時の相関関係を示さず、変則的な関係を示すことになる。従って、ディジタル処理装置200でそれぞれの位相を測定して誤差±dを求めると、この誤差±dは急激な変化を示し、その変化量Sdは正常状態を規定する所定のリミット値を越えることになる。センサ部101における出力信号Bを生成する系列で断線あるいはショートのような異常が生じた場合も信号のバランスが崩れるので同様に故障診断を行なうことができる。センサ部101における故障のみならず、検出ユニット100内のいずれかの回路で断線あるいはショートあるいはノイズピックアップのような異常が生じた場合も信号のバランスが崩れるので同様に故障診断を行なうことができる。また、ディジタル処理装置200の内部で、誤差±dを求める演算を行なうまでに至る経路(例えば図9の演算ブロック28までの経路)で、断線あるいはショートあるいはノイズピックアップあるいはプログラム異常動作等の異常が生じた場合も、結果的に求められる誤差±dの値が急激に変化するので、その変化量Sdは正常状態を規定する所定のリミット値を越えることになり、同様に故障診断を行なうことができる。
【0065】
次に、「故障診断機能2」は、検出ユニット100からディジタル処理装置200に与えられる位相検出パルスLP1,LP2が正常に発生しているかどうかを判定することで故障診断を行なう機能である。図17は「故障診断機能2」のために行なう処理をフローチャートで示したものであり、(a)は所定の基準交流信号sinωtの1周期に対応する周期で実行される「基準交流サイクル割込み」処理、(b)は進相の位相検出パルスLP1を検出ユニット100から受けたときに実行される「LP1割込み」処理、(c)は遅相の位相検出パルスLP2を検出ユニット100から受けたときに実行される「LP2割込み」処理である。進相の位相検出パルスLP1を検出ユニット100から受けたとき、図17(b)の「LP1割込み」処理によって、LP1フラグLP1Fが1にセットされる。遅相の位相検出パルスLP2を検出ユニット100から受けたとき、図17(c)の「LP2割込み」処理によって、LP2フラグLP2Fが1にセットされる。基準交流信号sinωtの1周期に対応する周期で(例えばカウンタKのカウント値が最大値から初期値に戻るときに出力されるキャリイアウト信号に応じて)定期的に図17(a)の「基準交流サイクル割込み」処理が実行され、ステップS31でLP1フラグLP1Fが1かどうかをチェックし、ステップS32でLP2フラグLP2Fが1かどうかをチェックする。フラグLP1Fが1にセットされていない場合は、ステップS33に行き、LP1異常信号を出力する。また、フラグLP2Fが1にセットされていない場合は、ステップS34に行き、LP2異常信号を出力する。内部のCPUでは、この異常信号を受け付けて、「故障診断機能2」について異常検知されたことを認識し、所定の処置をとるようにすればよい。例えば、異常アラームを鳴らす、あるいは異常ランプ又は表示を点灯し、ユーザ又はオペレータに告知する。最後に、ステップS35では、各フラグLP1F,LP2Fを0にリセットする。
【0066】
従って、基準交流信号sinωtの1サイクル周期内で進相又は遅相の位相検出パルスLP1又はLP2が1度も発生されなかった場合、対応するフラグLP1F又はLP2Fが1にセットされず、ステップS33又はS34でLP1異常信号又はLP2異常信号が発生される。すなわち、進相又は遅相の位相検出パルスLP1又はLP2は、基準交流信号sinωt(キャリア周波数)に相当する周波数で繰り返されるものであるので(動特性時のドップラー変動はあるにしても)、正常状態であれば基準交流信号sinωt(キャリア周波数)の1周期内で1度は立ち上がりトリガがかかる信号であるところ、これがなかった場合は何らかの故障であるので、これによって故障診断を行なうことができる。この「故障診断機能2」によれば、検出ユニット100における1次側励磁用の基準交流信号sinωtを発生する回路及び2次側の各回路の故障、並びに配線300〜303及びそれに関連するコネクタ等の故障を診断することができる。
【0067】
次に、「故障診断機能3」について図18により説明する。上記「故障診断機能1」では、算出した誤差±dに基づいて故障診断を行なっているので、誤差±dを算出した以後の回路又は処理で生じる故障を検出することができない。例えば、図9の演算ブロック29での故障および/又はその入出力配線の故障を検出することができない。そこで、図18に示すように、図9における演算ブロック28及び29に対応する誤差演算ブロック38と位置データ生成演算ブロック39の系列を余分に設ける(つまりブロック28,29の系列に対して冗長的に二重化してブロック38,39の系列を設ける)。誤差演算ブロック38では、演算ブロック28と同様に、予測補間演算済みの進相の検出データPA(図9のブロック27でラッチされたもの)と遅相の検出データMA(図9のブロック37でラッチされたもの)とを足して2で割ることにより、誤差±dを算出する。位置データ生成演算ブロック39では、下記のように、予測補間演算済みの遅相の検出データMAから上記ブロック38で求められた誤差±dを引き算し、誤差±dを除去した遅相の位置検出データMを得る。
M=MA−(±d)
これは等価的には、
M={±d−θ(t)}−(±d)=−θ(t)
に相当する。
【0068】
図18では、演算ブロック29で求めた位置検出データPをシリアルデータに変換してシリアルバス(図示せず)に出力するシリアル出力ブロック40が示されている。このブロック40からシリアルバス(図示せず)に出力されるのと同じ位置検出シリアルデータPがライン41を介してブロック42に入力される。ブロック42では、演算ブロック39で求めた遅相の位置検出データMと上記ライン41からの進相の位置検出シリアルデータPとを加算する。誤差演算用及び位置データ生成演算用の各ブロック28,29及び38,39の部分並びにシリアル出力ブロック40の部分に故障がない場合は、上述の通り、P=+θ(t),M=−θ(t)と等価であるから、ブロック42での加算結果はP+M=0である。逆に、P+M≠0ならば、誤差演算用及び位置データ生成演算用の各ブロック28,29及び38,39の部分並びにシリアル出力ブロック40の部分に故障があったことを意味する。そこで、ブロック43では、ブロック42での加算結果がP+M≠0であるかどうかを判定し、そうであれば異常検知信号を出力する。なお、ブロック44は、ブロック28で算出された誤差±dに基づきその変化量(Sd)から図16に示したのと同様の「故障診断機能1」を実行するブロックである。ブロック45は、図16に示したのと同様の「故障診断機能1」を、ブロック38で算出された誤差±dに基づき、行なうものである。すなわち、この例の場合、「故障診断機能1」を、ブロック44,45の2系列で冗長的に行なうことができる。従って、どちらかのブロック44,45の系列に故障が生じたとしても「故障診断機能1」を遂行することができる。
【0069】
なお、上記実施例において、検出ユニット100からディジタル処理装置200に送信される検出パルスは、基準位相に対する位相ずれθに同期するタイミングで立ち上がりトリガがかかる位相検出パルスLP1,LP2であるが、これに限らず、他の形式の2値的パルス信号であつてもよい。例えば、図19に示すように、各信号sin(ωt+θ)及びsin(ωt−θ)における位相ずれθにに応じてパルス幅変調されたパルス信号であってもよい。この場合は、ディジタル処理装置200においては、パルス幅をカウントすることで位相ずれ+θ及び−θを測定するようにしてよい。このようにパルス幅変調された検出パルスを発生するには、例えば、検出ユニット100においてフリップフロップを基準パルスREFPでセットし、位相検出パルスLP1又はLP2でリセットする、という構成を採用さすればよい。また、必要とあらば、位相シフトさせるための信号生成回路106を経由していない出力信号A=sinθsinωt及びBcosθsinωtを整流して、それ自体は従来技術として知られているように、整流したsinθに対応する電圧レベル及びcosθに対応する電圧レベルに応じて図20に示すようにそれぞれパルス幅変調したパルス信号を発生し、これを検出ユニット100からディジタル処理装置200に送信するようにしてもよい。この場合も、ディジタル処理装置200においては、パルス幅をカウントすることで検出対象位置に応じたデータを得ることができる。このようなパルス幅変調した検出パルスのディジタル処理装置200に対する送信を、位相検出パルスLP1,LP2のディジタル処理装置200に対する送信に並行して行ない得るようにしてもよい。そうすれば、ユーザが、ディジタル処理装置200を設計する場合に、望みの方の検出パルスに基づき位置検出演算を行なうように構成できる。また、ディジタル処理装置200において、パルス幅変調した検出パルスに基づく位置検出演算と、位相検出パルスLP1,LP2に基づく位置検出演算の両方を行ない得るように冗長性をもたせて構成すれば、どちらか一方の系列で故障が生じたとしても、対処できる。
【0070】
なお、センサ部101を回転型センサとして構成する場合、位相角θが1回転につき1周期の変化を示すものに限らず、1回転につき多周期の変化を示すような高分解能タイプの回転センサが各種公知であり、そのような高分解能タイプの回転センサについても本発明を適用できるのは勿論である。また、検出対象回転軸の回転が異なる変速比で伝達される複数の回転位置センサを設けることにより、複数回転にわたる絶対的回転位置を検出可能にする技術が公知であり、そのような場合においても、各回転位置センサの位置検出データを位相差検出方式によって求める場合に、本発明が適用できる。勿論、回転型の検出装置に限らず、直線位置検出装置においても、その直線位置検出データを位相差検出方式によって求める全ての場面において本発明が適用可能である。勿論、複数の検出ユニット100からの位置検出信号の処理を共通のディジタル処理装置200に入力し、時分割処理あるいは並行処理によって検出処理するようにしてもよい。
【0071】
【発明の効果】
以上の通り、この発明によれば、検出ユニットとディジタル処理装置との間を、基準パルス信号を伝送する配線と検出パルス信号を伝送する配線とによって、コネクタを介して脱着式に接続する構成であるため、コネクタを介して授受される信号配線を通る信号は、すべて、所定のハイレベルとローレベルの2値でのみ区別されるディジタル信号となり、コネクタの信号入力(又は出力)端子とアース点との間の絶縁抵抗が或る程度低下したとしても、それに伴う電圧変動は、ハイレベルとローレベルのしきい値条件を許容する限り、無視できるものとなり、検出精度に悪影響を与えないものとなる。また、配線コネクタの絶縁不良等に対処するにとどまらず、ディジタル処理装置の側で故障診断機能を具備することで、検出ユニットからディジタル処理装置の内部に至るまでの位置検出システム全体にわたる故障・異常の診断を行なうことができる。また、予測補間によって補間済位置検出データを生成する場合において、常に補間演算を行なうのではなく、位置検出要求に応じた割込み処理として、必要最小限の時間で補間演算を行なうようにしたことで、位置検出要求に応じたオンデマンドの補間演算処理を適切に行なうことができ、補間演算処理に使用するディジタル処理装置におけるCPU等の演算処理装置の負担を軽減することができ、オーバーヘッドを減少させることができる。よって、この演算処理装置を、位置検出以外の目的にも同時に多目的的に使用する場合において、極めて効率的に該CPU等の演算処理装置を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る位置検出装置の一実施例を示すブロック図。
【図2】 図1の検出ユニットにおける信号生成回路とパルス変換回路の構成例を示すブロック図。
【図3】 図1の実施例に関する動作例を説明するタイミングチャート。
【図4】 図1のディジタル処理装置における検出処理例を示すフローチャート。
【図5】 本発明に係る位置検出装置の別の実施例を示すブロック図。
【図6】 図5のディジタル処理装置における基準パルス信号の発生処理例を示すフローチャート。
【図7】 図1又は図5の実施例における検出ユニットの構成例を示す回路図。
【図8】 図7の例の検出動作例を示す図。
【図9】 図1又は図5の実施例のディジタル処理装置における予測補間に基づく位置検出処理演算例を示すブロック図。
【図10】 図9の動作説明図。
【図11】 ドップラ効果に基づく進相信号と遅相信号における変化量の対速度特性が非線形特性を示すことを示すとともに、本実施例による当該非線形特性の改善を説明する図。
【図12】 本発明の実施例による補間演算動作例を説明する図。
【図13】 図1又は図5の実施例のディジタル処理装置における別の位置検出処理演算例を示すもので、ラッチパルス割込み処理を示すフローチャート。
【図14】 図1又は図5の実施例のディジタル処理装置における別の位置検出処理演算例を示すもので、位置検出データ要求割込み処理を示すフローチャート。
【図15】 図13及び図14に示す実施例の動作例を示すタイミングチャート。
【図16】 図1又は図5の実施例のディジタル処理装置において実現できる故障診断機能の一例を示すフローチャート。
【図17】 図1又は図5の実施例のディジタル処理装置において実現できる故障診断機能の別の例を示すフローチャート。
【図18】 図1又は図5の実施例のディジタル処理装置において実現できる故障診断機能の更に別の例を示すブロック図。
【図19】 図1又は図5の実施例の検出ユニットから検出対象位置に応じてパルス幅変調された検出パルス信号を発生する例を示すタイミングチャート。
【図20】 図1又は図5の実施例の検出ユニットから検出対象位置に応じてパルス幅変調された検出パルス信号を発生する別の例を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
100 検出ユニット
200 ディジタル処理装置
101 センサ部
102 交流信号発振回路
103 バッファアンプ
104,105 オペアンプ
106 信号生成回路
107 パルス変換回路
108 基準パルス変換回路
109 アナログ交流信号発生回路
300〜303 配線
310〜323 コネクタ

Claims (12)

  1. 基準交流信号によって励磁されるコイルを含み、検出対象位置に応じて前記コイルにおける磁気結合が変化し、前記検出対象位置に応じた出力交流信号を出力するセンサ部と、
    前記センサ部から出力される出力交流信号に基づき、前記検出対象位置に応じてシフトされた電気的位相を持つアナログ交流信号を生成する信号生成回路と、
    前記信号生成回路から出力されるアナログ交流信号をそれに位相同期する検出パルス信号に変換するパルス変換回路と、
    前記パルス変換回路からの前記検出パルス信号を入力し、前記基準交流信号の所定位相に対する該検出パルス信号の位相ずれを測定し、測定した位相ずれに基づき前記検出対象位置のデータを得るディジタル処理装置と
    を備え、前記センサ部と信号生成回路とパルス変換回路とを検出ユニットの側に含み、この検出ユニットと前記ディジタル処理装置とを、前記検出パルス信号を伝送する配線及び前記基準交流信号の周期に同期する基準パルス信号を授受するための配線によって、コネクタを介して脱着式に接続するように構成してなり、
    前記信号生成回路は、前記検出対象位置に応じて進相方向にシフトされた電気的位相角を持つ第1のアナログ交流信号と遅相方向にシフトされた電気的位相角を持つ第2のアナログ交流信号とを生成し、
    前記パルス変換回路は、前記第1のアナログ交流信号に位相同期する第1の検出パルス信号と、前記第2のアナログ交流信号に位相同期する第2の検出パルス信号とを出力するものであり、
    前記ディジタル処理装置は、
    前記基準交流信号の所定位相に対する前記第1の検出パルス信号の位相差を検出することに基づき第1の検出データを生成し、該基準交流信号の所定位相に対する前記第2の検出パルス信号の位相差を検出することに基づき第2の検出データを生成する手段と、
    前記第1及び第2の検出データの絶対値の差を演算することで誤差データを得る手段と、
    前記誤差データの時間的変化を検出し、この変化量と所定の基準値との比較に基づき前記検出ユニット及び前記ディジタル処理装置における故障を判定する手段とを具えることを特徴とする位置検出装置。
  2. 前記第1及び第2の検出データの絶対値の差を演算することで誤差データを得る前記手段を2系列設け、
    前記ディジタル処理装置において、
    前記第1の検出データから第1の系列で得た前記誤差データを取り除く演算を行ない、補償された進相の位置検出データを得る手段と、
    前記第2の検出データから第2の系列で得た前記誤差データを取り除く演算を行ない、補償された遅相の位置検出データを得る手段と、
    前記補償された進相及び遅相の位置検出データの絶対値が一致していなければ故障と判定する手段と
    を更に具えた請求項1に記載の位置検出装置。
  3. 基準交流信号によって励磁されるコイルを含み、検出対象位置に応じて前記コイルにおける磁気結合が変化し、前記検出対象位置に応じた出力交流信号を出力するセンサ部と、
    前記センサ部から出力される出力交流信号に基づき、前記検出対象位置に応じてシフトされた電気的位相を持つアナログ交流信号を生成する信号生成回路と、
    前記信号生成回路から出力されるアナログ交流信号をそれに位相同期する検出パルス信号に変換するパルス変換回路と、
    前記パルス変換回路からの前記検出パルス信号を入力し、前記基準交流信号の所定位相に対する該検出パルス信号の位相ずれを測定し、測定した位相ずれに基づき前記検出対象位置のデータを得るディジタル処理装置と
    を備え、前記センサ部と信号生成回路とパルス変換回路とを検出ユニットの側に含み、この検出ユニットと前記ディジタル処理装置とを、前記検出パルス信号を伝送する配線及び前記基準交流信号の周期に同期する基準パルス信号を授受するための配線によって、コネクタを介して脱着式に接続するように構成してなり、
    前記センサ部は、少なくとも1つのコイルを有し、該コイルから、少なくとも1つの出力交流信号を出力するものであり、
    前記信号生成回路は、前記センサ部から出力される前記少なくとも1つの出力交流信号と所定の2つの基準電圧信号とを演算することで、前記検出対象位置の第1の関数に相当する振幅を持つ第1の出力交流信号と、前記検出対象位置の第2の関数に相当する振幅を持つ第2の出力交流信号とを生成し、前記第1及び第2の出力交流信号に基づき、前記検出対象位置に応じてシフトされた電気的位相を持つアナログ交流信号を生成するものであることを特徴とする位置検出装置。
  4. 基準交流信号によって励磁されるコイルを含み、検出対象位置に応じて前記コイルにおける磁気結合が変化し、前記検出対象位置に応じた出力交流信号を出力するセンサ部と、
    前記センサ部から出力される出力交流信号に基づき、前記検出対象位置に応じてシフトされた電気的位相を持つアナログ交流信号を生成する信号生成回路と、
    前記信号生成回路から出力されるアナログ交流信号をそれに位相同期する検出パルス信号に変換するパルス変換回路と、
    前記パルス変換回路からの前記検出パルス信号を入力し、前記基準交流信号の所定位相に対する該検出パルス信号の位相ずれを測定し、測定した位相ずれに基づき前記検出対象位置のデータを得るディジタル処理装置と
    を備え、前記センサ部と信号生成回路とパルス変換回路とを検出ユニットの側に含み、この検出ユニットと前記ディジタル処理装置とを、前記検出パルス信号を伝送する配線及び前記基準交流信号の周期に同期する基準パルス信号を授受するための配線によって、コネクタを介して脱着式に接続するように構成してなり、
    前記ディジタル処理装置は、
    (a)前記基準パルス信号の周期に対応するサンプリング周期で、該基準パルス信号に対する前記検出パルス信号の位相差を検出することで検出データを生成することと、
    (b)時間的に相前後する前記検出データの少なくとも2つのサンプルに基づき予測値を求めることと、
    (c)この予測値と時間情報とを用いて前記検出データに対して補間演算を行なうこと
    を行ない、補間された検出データを得るようにしたものであり、かつ、
    前記(c)の補間演算を、任意の時点で発生される位置検出要求に応じた割込み処理として実行するものであり、前記(a)による位相差検出時点から該位置検出要求による割込み時点までの時間経過を測定することを含み、その測定値を前記(c)の補間演算において前記時間情報として使用することを特徴とする位置検出装置。
  5. 前記検出ユニットの側に、前記基準交流信号を発生して前記コイルに供給する励磁用交流発生回路と、前記基準交流信号の周期に同期する基準パルス信号を発生する基準パルス信号発生回路とを含み、前記基準パルス信号を前記配線を介して前記検出ユニットから前記ディジタル処理装置に伝送する請求項1乃至4のいずれかに記載の位置検出装置。
  6. 前記基準交流信号の周期を設定する基準パルス信号を前記ディジタル処理装置の側で発生し、前記基準パルス信号を前記配線を介して前記ディジタル処理装置から前記検出ユニットに伝送し、
    前記検出ユニットの側には前記基準パルス信号を入力して該基準パルス信号に基づきアナログの前記基準交流信号を生成し、該基準交流信号を前記コイルに供給する励磁交流発生回路を含む1乃至4のいずれかに記載の位置検出装置。
  7. 前記センサ部は、基準交流信号によって励磁されるコイルと、検出対象位置に応じて前記コイルに対する相対的位置が変化する磁気応答部材とを含み、前記検出対象位置の関数である振幅を持つ出力交流信号を出力するものである請求項1乃至のいずれかに記載の位置検出装置。
  8. 前記センサ部は、少なくとも2つのコイルを有し、各コイルから、前記検出対象位置の第1の関数に相当する振幅を持つ第1の出力交流信号と、前記検出対象位置の第2の関数に相当する振幅を持つ第2の出力交流信号とを出力するものであり、前記第1の関数と第2の関数とは略90度位相がずれた関係にあり、
    前記信号生成回路は、前記第1及び第2の出力交流信号に基づき、前記検出対象位置に応じてシフトされた電気的位相を持つアナログ交流信号を生成するものである請求項1乃至のいずれかに記載の位置検出装置。
  9. 前記信号生成回路は、前記検出対象位置に応じて進相方向にシフトされた電気的位相角を持つ第1のアナログ交流信号と遅相方向にシフトされた電気的位相角を持つ第2のアナログ交流信号とを生成し、
    前記パルス変換回路は、前記第1のアナログ交流信号に位相同期する第1の検出パルス信号と、前記第2のアナログ交流信号に位相同期する第2の検出パルス信号とを出力するものである請求項1乃至のいずれかに記載の位置検出装置。
  10. 前記信号生成回路は、前記センサ部から出力される出力交流信号に基づき、前記検出対象位置に応じて進相方向にシフトされた電気的位相角を持つ第1のアナログ交流信号と遅相方向にシフトされた電気的位相角を持つ第2のアナログ交流信号とを生成し、
    前記パルス変換回路は、前記第1のアナログ交流信号に基づき前記検出対象位置に応じた第1のパルス幅を持つ第1の検出パルス信号と、前記第2のアナログ交流信号に基づき前記検出対象位置に応じた第2のパルス幅を持つ第2の検出パルス信号とを生成するパルス幅変調回路からなることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の位置検出装置。
  11. 前記信号生成回路は、前記センサ部から出力される出力交流信号に基づき、検出対象位置の第1の関数に相当する振幅を持つ第1のアナログ交流信号と、検出対象位置の第2の関数に相当する振幅を持つ第2のアナログ交流信号とを生成し、
    前記パルス変換回路は、前記第1のアナログ交流信号に基づき前記検出対象位置に応じた第1のパルス幅を持つ第1の検出パルス信号と、前記第2のアナログ交流信号に基づき前記検出対象位置に応じた第2のパルス幅を持つ第2の検出パルス信号とを生成するパルス幅変調回路ことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の位置検出装置。
  12. 前記ディジタル処理装置は、
    前記パルス変換回路からの前記検出パルス信号が前記基準交流信号の1周期内で少なくとも1回発生したかどうかに基づき、故障を判定する手段
    を含む請求項1乃至11のいずれかに記載の位置検出装置。
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