JP2011021232A - 銀めっきが施された銅又は銅合金屑のリサイクル方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】銀めっきが施された銅又は銅合金屑から安全に効率良く銀を剥離し、銀めっきが剥離された銅又は銅合金屑を銅又は銅合金の製造用原料として使用するリサイクル方法を提供する。
【解決手段】脂肪族有機酸及びその塩の中から選ばれる少なくとも一種とノニオン性界面活性剤とからなる電解剥離液Eが入った電解槽2中に、表面に銀めっきが施された銅又は銅合金屑Cを浸漬して銀めっきを電解剥離し、銀めっきが剥離された銅又は銅合金屑を銅又は銅合金の製造用原料として使用する。
【選択図】 図1
【解決手段】脂肪族有機酸及びその塩の中から選ばれる少なくとも一種とノニオン性界面活性剤とからなる電解剥離液Eが入った電解槽2中に、表面に銀めっきが施された銅又は銅合金屑Cを浸漬して銀めっきを電解剥離し、銀めっきが剥離された銅又は銅合金屑を銅又は銅合金の製造用原料として使用する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、銀めっきが施された銅又は銅合金屑から効率良く銀を剥離し、銀めっきが剥離された銅又は銅合金屑を銅又は銅合金の製造用原料として使用するリサイクル方法に関するものである。
従来、ICやLSIなどの半導体装置、各種電子・電気部品に用いられるリードフレーム、端子、コネクタ等に、銅又は銅合金からなる銅条材の表面にニッケル、錫、銅などのめっき層が形成されためっき付銅条材が広く使用されており、半導体チップ搭載部には部分的に銀めっきが施されることが多い。
この様なめっき付銅条材は打抜き成形にて加工して使用されることが多く、打抜き成形時に発生する多量の油が付着した屑は回収され、表面のめっきを剥離して銅又は銅合金の製造用原料として使用することが資源リサイクルの観点から重要となっている。
特に、銀めっきが施された銅又は銅合金屑からの銀の剥離時には猛毒のシアン化合物を使用することが多く、取り扱い面において大きな問題となっている。
特許文献1では、脂肪族有機酸及びその塩の少なくとも一種を含有し、必要に応じて補助成分としてノニオン性界面活性剤を含有する銀の電解剥離剤、該電解剥離剤を含有する水溶液からなる銀の電解剥離液並びに該電解剥離液をpH4〜14とし、これに剥離対象物を浸漬し、該剥離対象物を陽極として、液温10〜80℃、電流密度0.5〜10A/dm2の操作範囲で電解することを特徴とするシアン化合物を使用しない銀の電解剥離方法を提供している。
この様なめっき付銅条材は打抜き成形にて加工して使用されることが多く、打抜き成形時に発生する多量の油が付着した屑は回収され、表面のめっきを剥離して銅又は銅合金の製造用原料として使用することが資源リサイクルの観点から重要となっている。
特に、銀めっきが施された銅又は銅合金屑からの銀の剥離時には猛毒のシアン化合物を使用することが多く、取り扱い面において大きな問題となっている。
特許文献1では、脂肪族有機酸及びその塩の少なくとも一種を含有し、必要に応じて補助成分としてノニオン性界面活性剤を含有する銀の電解剥離剤、該電解剥離剤を含有する水溶液からなる銀の電解剥離液並びに該電解剥離液をpH4〜14とし、これに剥離対象物を浸漬し、該剥離対象物を陽極として、液温10〜80℃、電流密度0.5〜10A/dm2の操作範囲で電解することを特徴とするシアン化合物を使用しない銀の電解剥離方法を提供している。
この特許文献1に開示の方法では、必要部分の銀めっき部分を痛めることなく、不要部分の薄い銀皮膜を剥離することを目的としており、剥離浴もそれに最適な条件とされており、厚く銀めっきが施された油の付着した多量の銅又は銅合金屑から全面的かつ完全に銀めっきを剥離し、銀めっきが剥離された銅又は銅合金屑を銅又は銅合金の製造用原料として使用するリサイクル方法には適していない。
本発明はこの様な事情に鑑みてなされたものであり、油が付着した銀めっきが施された銅又は銅合金屑から安全に効率良く銀を剥離し、銀めっきが剥離された銅又は銅合金屑を銅又は銅合金の製造用原料として使用するリサイクル方法を提供するものである。
本発明者らは鋭意研究の結果、銀めっき(通常1〜10μm厚)が施された銅又は銅合金屑からシアン化合物を使用せずに完全に効率良く銀めっきを剥離するには、脂肪族有機酸及びその塩の中から選ばれる少なくとも一種と、ノニオン性界面活性剤とからなる電解剥離液が入った電解槽中に、表面に銀めっきが施された銅又は銅合金屑を浸漬し、その場合に、電解剥離液の脂肪族有機酸又はその塩の含有量が10〜300g/lとし、ノニオン性界面活性剤の含有量が0.01〜5g/lとし、更に、電解剥離液のpHを4〜14とし、液温を10〜80℃として、電流密度0.1〜2A/dm2にて電解剥離を行うことが最適であることを見出した。
本発明の銀めっきが施された銅又は銅合金屑のリサイクル方法は、脂肪族有機酸及びその塩の中から選ばれる少なくとも一種とノニオン性界面活性剤とからなる電解剥離液が入った電解槽中に、表面に銀めっきが施された銅又は銅合金屑を浸漬して銀めっきを電解剥離し、銀めっきが剥離された銅又は銅合金屑を銅又は銅合金の製造用原料として使用することを特徴とする。剥離された銀も回収して再利用することとする。この場合、銅又は銅合金屑に油分が付着していても、剥離液中にノニオン性界面活性剤が添加されていることから、油分の除去に有効である。
また、本発明のリサイクル方法において、脂肪族有機酸又はその塩が、酢酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸及びグリコール酸並びにそれらのアルカリ金属塩の中の少なくとも1種である。その中でも、酢酸、酒石酸、クエン酸が特に好適である。
また、本発明のリサイクル方法において、電解剥離液中の脂肪族有機酸及びその塩の中から選ばれる少なくとも1種の含有量が10〜300g/lであり、ノニオン性界面活性剤の含有量が0.1〜50g/lであるとよい。
脂肪族有機酸及びその塩の中から選ばれる少なくとも1種の含有量は100〜200g/l、ノニオン性界面活性剤はポリオキシエチレンアルキルエーテルが最適であり、その含有量は0.1〜2g/lがより好適である。
また、本発明のリサイクル方法において、電解剥離液中の脂肪族有機酸及びその塩の中から選ばれる少なくとも1種の含有量が10〜300g/lであり、ノニオン性界面活性剤の含有量が0.1〜50g/lであるとよい。
脂肪族有機酸及びその塩の中から選ばれる少なくとも1種の含有量は100〜200g/l、ノニオン性界面活性剤はポリオキシエチレンアルキルエーテルが最適であり、その含有量は0.1〜2g/lがより好適である。
また、本発明のリサイクル方法において、電解剥離液のpHを4〜14とし、液温を10〜80℃として、電流密度0.1〜2A/dm2にて電解剥離を行うとよい。
電解剥離液のpHは7〜9、液温は20〜60℃として、電流密度は0.2〜0.45A/dm2が特に好ましい。電流密度が0.1A/dm2未満であると、電解剥離に要する時間が長くなり、0.45A/dm2を超えると、母材である銅の溶出が多くなり、電解剥離に悪影響を及ぼすとともに、溶出した銅が陰極上で銀と混合され銀のみの回収が難しくなる。
電解剥離液のpHは7〜9、液温は20〜60℃として、電流密度は0.2〜0.45A/dm2が特に好ましい。電流密度が0.1A/dm2未満であると、電解剥離に要する時間が長くなり、0.45A/dm2を超えると、母材である銅の溶出が多くなり、電解剥離に悪影響を及ぼすとともに、溶出した銅が陰極上で銀と混合され銀のみの回収が難しくなる。
また、本発明のリサイクル方法において、表面に油が付着した銀めっきが施された銅又は銅合金屑をノニオン性界面活性剤にて表面処理してから電解槽中に浸漬するとよい。
電解剥離で使用するのと同等のノニオン性界面活性剤にて表面処理することにより、表面に付着している油分が除去され、表面に銀めっきが施された銅又は銅合金屑間の密着力が弱くなり、次の電解剥離での効率を上げることができる。また、油分を剥離液に持ち込まないので、剥離液の劣化を防止することができる。
電解剥離で使用するのと同等のノニオン性界面活性剤にて表面処理することにより、表面に付着している油分が除去され、表面に銀めっきが施された銅又は銅合金屑間の密着力が弱くなり、次の電解剥離での効率を上げることができる。また、油分を剥離液に持ち込まないので、剥離液の劣化を防止することができる。
本発明のリサイクル方法により、銀めっきが施された銅又は銅合金屑から安全に効率良く銀を剥離し、銀めっきが施された銅又は銅合金屑を銅及び銅合金の製造用原料として使用することが可能となり、その場合に、銅又は銅合金屑に油分が付着していてもノニオン性界面活性剤により有効に剥離することができる。
以下に、本発明のリサイクル方法の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は銀めっき剥離装置の全体構成を示しており、この銀めっき剥離装置1は、電解剥離液Eを貯留した電解槽2を備えており、この電解槽2内には、リサイクル対象の銅又は銅合金屑Cを入れるドラム籠3と、カソード4とが浸漬され、これらドラム籠3とカソード4との間に、整流器5を介して電源(図示略)が接続されている。
図1は銀めっき剥離装置の全体構成を示しており、この銀めっき剥離装置1は、電解剥離液Eを貯留した電解槽2を備えており、この電解槽2内には、リサイクル対象の銅又は銅合金屑Cを入れるドラム籠3と、カソード4とが浸漬され、これらドラム籠3とカソード4との間に、整流器5を介して電源(図示略)が接続されている。
ドラム籠3はSUS等により形成され、カソード4はSUS、Cu等の金属から構成される。このカソード4は、ろ布又はイオン交換膜からなる袋6に覆われている。また、電解槽2内には、電解剥離液Eを攪拌するための攪拌機7が設けられている。
なお、電解剥離液Eとドラム籠3内の銅及び銅合金屑Cとの接触面積を増すため、電解槽2内でドラム籠3を回転させても良い。
また、電解槽2とは別にタンクを設けて、そのタンクと電解槽2との間で電解剥離液Eを循環するなどにより、前述の部分的な攪拌を受け持つ攪拌機7とは別に、全体的に攪拌されるようにしてもよい。
なお、電解剥離液Eとドラム籠3内の銅及び銅合金屑Cとの接触面積を増すため、電解槽2内でドラム籠3を回転させても良い。
また、電解槽2とは別にタンクを設けて、そのタンクと電解槽2との間で電解剥離液Eを循環するなどにより、前述の部分的な攪拌を受け持つ攪拌機7とは別に、全体的に攪拌されるようにしてもよい。
電解槽2内に貯留される電解剥離液Eは、脂肪族有機酸及びその塩の中から選ばれる少なくとも一種と、ノニオン性界面活性剤とを含有する水溶液である。
脂肪族有機酸又はその塩は単独でもよいし、二種以上を混合したものでもよい。具体的には、酢酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸及びグリコール酸並びにそれらのアルカリ金属塩の中から選択でき、酢酸、酒石酸、クエン酸が特に好適である。この場合、脂肪族有機酸又はその塩の含有量は10〜300g/lとされる。その含有量が10g/l未満では剥離速度が低くて完全に剥離するまでに時間がかかり、一方、300g/lを超えても飽和して効果の増大は期待できず、不経済である。より好ましい含有量としては100〜200g/lの範囲とされる。
脂肪族有機酸又はその塩は単独でもよいし、二種以上を混合したものでもよい。具体的には、酢酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸及びグリコール酸並びにそれらのアルカリ金属塩の中から選択でき、酢酸、酒石酸、クエン酸が特に好適である。この場合、脂肪族有機酸又はその塩の含有量は10〜300g/lとされる。その含有量が10g/l未満では剥離速度が低くて完全に剥離するまでに時間がかかり、一方、300g/lを超えても飽和して効果の増大は期待できず、不経済である。より好ましい含有量としては100〜200g/lの範囲とされる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが最適であ。このノニオン性界面活性剤を添加することにより、下地の銅又は銅合金表面を荒らすことなく銀のみを剥離することが可能になる。このノニオン性界面活性剤の含有量は0.01〜5g/lとされ、その含有量が0.01g/l未満では十分な効果が得られず、5g/lを超えても効果は飽和し、それ以上の効果は期待できない。より好ましい含有量としては0.1〜2g/lの範囲とされる。
このような組成を有する電解剥離液Eは、そのpHが4〜14に調整される。このpHを4以上とすることにより、素材の銅又は銅合金をエッチングすることなく安定した剥離を得ることができる。このpHの調整剤として、必要に応じて、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属等を添加してもよい。
次に、このような組成の電解剥離液Eを使用して、銅又は銅合金屑Cから銀めっきを剥離する方法について説明する。
電解槽2内に、脂肪族有機酸及びその塩の中から選ばれる少なくとも1種の含有量を10〜300g/l、ノニオン性界面活性剤の含有量を0.01〜5g/l、pHを4〜14に調整した電解剥離液Eを貯留し、液温を10〜80℃とする。この場合、液温は10℃未満であると、温度が低過ぎることから、剥離速度が遅くなり、一方、80℃を超えると、浴が不安定になり易い。また、攪拌機7を駆動して電解剥離液Eを攪拌しておく。
また、リサイクル処理される銅又は銅合金屑Cは、そのほとんどがプレス加工による打ち抜き屑であり、加工油が付着しているので、電解剥離液Eに浸漬する前に、ノニオン性界面活性剤が添加された水溶液中に浸漬して脱脂処理される。このノニオン性界面活性剤としては、電解剥離液Eに用いるものと同じものが良く、前述したポリオキシエチレンアルキルエーテルが好適である。
電解槽2内に、脂肪族有機酸及びその塩の中から選ばれる少なくとも1種の含有量を10〜300g/l、ノニオン性界面活性剤の含有量を0.01〜5g/l、pHを4〜14に調整した電解剥離液Eを貯留し、液温を10〜80℃とする。この場合、液温は10℃未満であると、温度が低過ぎることから、剥離速度が遅くなり、一方、80℃を超えると、浴が不安定になり易い。また、攪拌機7を駆動して電解剥離液Eを攪拌しておく。
また、リサイクル処理される銅又は銅合金屑Cは、そのほとんどがプレス加工による打ち抜き屑であり、加工油が付着しているので、電解剥離液Eに浸漬する前に、ノニオン性界面活性剤が添加された水溶液中に浸漬して脱脂処理される。このノニオン性界面活性剤としては、電解剥離液Eに用いるものと同じものが良く、前述したポリオキシエチレンアルキルエーテルが好適である。
そして、脱脂処理された銅又は銅合金屑Cをドラム籠3内に収容し、電解槽2内にドラム籠3とカソード4とを浸漬した状態でこれらの間に電源から整流器5を介して電流を流すことにより、ドラム籠3に接触している銅又は銅合金屑Cから銀を溶解して剥離する。このときの電流密度は0.1〜2A/dm2で、電解の所要時間は30〜40分とされる。この電流密度が0.1A/dm2未満であると、剥離速度が遅くて剥離に時間がかかり、一方、2A/dm2を超えると母材である銅又は銅合金の溶出が多くなって電解剥離に悪影響を及ぼし、銅の回収量が減ることになってリサイクルとして損失である。また、電流密度が高すぎると、電解剥離液E中に溶出した銅が陰極4上で銀と混合されることから、銀のみの回収も難しくなる。このため、電流密度は0.1〜2A/dm2が好ましい。さらに、剥離効率を最大限にするには、電流密度が0.1〜0.45A/dm2であることが好ましい。
以上のようにして、ドラム籠3を電解剥離液E内に浸漬してから所定時間後にドラム籠3とカソード4との間の通電を中止すると、ドラム籠3内の銅又は銅合金屑Cの銀めっきは溶解して剥離された状態となる。また、カソード4を覆っている袋6内には、銀粒子が捕集されている。
この銀めっきが剥離された銅又は銅合金屑は、その後、エッチング処理等を経ることなく、銅又は銅合金の溶解鋳造等の原料としてそのまま使用することができる。
また、袋6内に溜まった銀粒子は、銀精錬工場へ送られ、銀精錬の原料として使用されてもよい。
この銀めっきが剥離された銅又は銅合金屑は、その後、エッチング処理等を経ることなく、銅又は銅合金の溶解鋳造等の原料としてそのまま使用することができる。
また、袋6内に溜まった銀粒子は、銀精錬工場へ送られ、銀精錬の原料として使用されてもよい。
この一連のリサイクル処理において、比較的厚肉(1〜10μm)の銀めっきを下地の銅又は銅合金から完全に剥離して、その銅又は銅合金と、貴金属である銀とをそれぞれ回収して新たな原料として利用することが可能であり、その場合に、猛毒のシアン化合物を使用せずに効率良く電解剥離することができる。また、銅又は銅合金屑に付着している油分を電解剥離液に使用するノニオン性界面活性剤にて脱脂処理しているので、そのまま電解剥離液に浸漬しても電解剥離液を劣化させることはなく、安定した電解剥離を実施することができる。
本発明の方法による効果の検証を行った。
図1に示すものと同様の剥離装置1を用い、電解剥離液Eとして、クエン酸を150g/l、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを1g/l含有し、pHを8に調整したものを用いた。浴温は50℃に設定した。銅又は銅合金屑Cのサンプルとして5μmの厚さの銀めっきが両面に施された銅合金屑を用い、これを2kgドラム籠3に入れて、電解剥離液Eに浸漬した。
ドラム籠3を電解剥離液Eに浸漬させ、ドラム籠3とカソード4間に通電した。ドラム籠3は、SUS製のものを使用し、カソード4にもSUS電極を用いた。ドラム籠3は電解剥離液E中で所定速度で回転させた。
図1に示すものと同様の剥離装置1を用い、電解剥離液Eとして、クエン酸を150g/l、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを1g/l含有し、pHを8に調整したものを用いた。浴温は50℃に設定した。銅又は銅合金屑Cのサンプルとして5μmの厚さの銀めっきが両面に施された銅合金屑を用い、これを2kgドラム籠3に入れて、電解剥離液Eに浸漬した。
ドラム籠3を電解剥離液Eに浸漬させ、ドラム籠3とカソード4間に通電した。ドラム籠3は、SUS製のものを使用し、カソード4にもSUS電極を用いた。ドラム籠3は電解剥離液E中で所定速度で回転させた。
ドラム籠3を電解剥離液E内に浸漬してから30分後にドラム籠3とカソード4との間の通電を中止し、サンプルをドラム籠3内より取り出し、SEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)にて銅又は銅合金屑Cの表面を観察したところ、銀が完全に剥離されているのを確認した。
また、銀めっきが剥離された銅又は銅合金屑表面をEPMA(Electron Probe Micro Analyzer:電子線マイクロアナライザ)にて分析したところ、硫黄(S)等の残存によるコンタミも無かった。この銀めっきが剥離された銅又は銅合金屑を銅合金製造用原料の一部として溶解鋳造に使用し、熱間圧延後の銅合金板を目視にて調べたところ割れは生じていなかった。
一方、カソード4を囲っている袋5内には、45gの銀が得られ、ICPで分析したところ、Cu含有量100ppm以下で、他の金属元素は検出されなかった。
また、銀めっきが剥離された銅又は銅合金屑表面をEPMA(Electron Probe Micro Analyzer:電子線マイクロアナライザ)にて分析したところ、硫黄(S)等の残存によるコンタミも無かった。この銀めっきが剥離された銅又は銅合金屑を銅合金製造用原料の一部として溶解鋳造に使用し、熱間圧延後の銅合金板を目視にて調べたところ割れは生じていなかった。
一方、カソード4を囲っている袋5内には、45gの銀が得られ、ICPで分析したところ、Cu含有量100ppm以下で、他の金属元素は検出されなかった。
以上のように、本発明の方法によると、銀めっきが施された銅又は銅合金屑から銀めっきを効率的に剥離し、剥離後にエッチング処理する必要はなく、銀めっきが剥離された銅又は銅合金屑を溶解鋳造等の原料としてそのままリサイクル可能であることがわかる。また、電解剥離液から銀粒子を効果的に分離採取することができ、有価物としてリサイクル可能であることが確認された。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることは可能である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることは可能である。
1 銀めっき剥離装置
2 電解槽
3 ドラム籠
4 カソード
5 整流器
6 袋
7 攪拌機
E 電解剥離液
C 銅又は銅合金屑
2 電解槽
3 ドラム籠
4 カソード
5 整流器
6 袋
7 攪拌機
E 電解剥離液
C 銅又は銅合金屑
Claims (5)
- 脂肪族有機酸及びその塩の中から選ばれる少なくとも一種とノニオン性界面活性剤とからなる電解剥離液が入った電解槽中に、表面に銀めっきが施された銅又は銅合金屑を浸漬して銀めっきを電解剥離し、銀めっきが剥離された銅又は銅合金屑を銅又は銅合金の製造用原料として使用することを特徴とする銀めっきが施された銅又は銅合金屑のリサイクル方法。
- 前記脂肪族有機酸又はその塩が、酢酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸及びグリコール酸並びにそれらのアルカリ金属塩の中の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の銀めっきが施された銅又は銅合金屑のリサイクル方法。
- 前記電解剥離液中の脂肪族有機酸及びその塩の中から選ばれる少なくとも1種の含有量が10〜300g/lであり、ノニオン性界面活性剤の含有量が0.01〜5g/lであることを特徴とする請求項1又は2記載の銀めっきが施された銅又は銅合金屑のリサイクル方法。
- 前記電解剥離液のpHを4〜14とし、液温を10〜80℃として、電流密度0.1〜2A/dm2にて電解剥離を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の銀めっきが施された銅又は銅合金屑のリサイクル方法。
- 表面に油が付着した銀めっきが施された銅又は銅合金屑をノニオン性界面活性剤にて表面処理してから電解槽中に浸漬することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の銀めっきが施された銅又は銅合金屑のリサイクル方法。
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