JP2014214378A - Snめっき剥離廃液からの銅回収方法 - Google Patents

Snめっき剥離廃液からの銅回収方法 Download PDF

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賢治 久保田
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圭栄 樽谷
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Junichi Kumagai
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Abstract

【課題】銅或いは銅基合金表面に形成されたSnめっきの剥離廃液から銅を電解採取にて再利用可能な状態に効率良く回収する方法を提供する。【解決手段】銅或いは銅基合金板の表面に形成されたSnめっき剥離廃液から銅を回収する方法であり、めっき剥離液は硫酸濃度:5〜300g/L、Snめっき剥離廃液はSnO又はSnO2濃度:1〜100g/LおよびCu濃度:30〜60g/Lであって、このSnめっき剥離廃液に芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸塩、アルキルアミン、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの添加剤を0.01〜10g/L添加し、さらにアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの界面活性剤を0.001〜10g/L添加して表面張力を50dyn/cm以下に調整した後に電気分解によって銅を析出させて回収することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、銅或いは銅基合金板の表面に形成されたSnめっきをめっき剥離液にて剥離した後のSnめっき剥離廃液から銅を電解採取にて再利用可能な状態に効率良く回収する方法に関する。
銅或いは銅基合金は、鋳塊から熱間圧延、冷間圧延、焼鈍等の工程を経て、板材、条材、線材として仕上られた後、車載用、民生機器用または産業機器用の端子、バスバー、ばね等の通電部材に使用され、通電時の接触信頼性や耐食性を確保するためにも、その表面をめっき金属の中でも比較的安価なSnを適切な厚さでめっき処理して使用されるのが一般的である。
Snめっきが施された銅あるいは銅基合金においては、Snめっき後のリフロー処理や経時変化により、銅或いは銅基合金材料とSnめっきとの間、或いは、銅或いは銅基合金材料とSnめっきの間にCu下地めっきが施されている場合はCu下地めっきとSnめっきとの間に、主にCu6Sn5、Cu3Sn等の金属間化合物等からなるCuSn拡散層が形成され、また、Snめっきの最表面側で、CuSn拡散層の形成に消費されずに残っているSn層が形成されている場合が多い。
このようなSnめっきが施された銅或いは銅基合金材料が通電部材となるまでには、Snめっき後にスリット加工やプレス加工等が行われることが多く、その際に、スクラップが必ず発生する。Snめっき層が残っているスクラップを元の銅或いは銅基合金の溶解・鋳造の原料として使用すると、めっきしたSnの分だけSn成分が多くなり、原料として再利用でき難くなるので、めっきしたSn分を剥離し除去することが必要となる。
Snめっきが形成された銅或いは銅基合金材料のスクラップから、Sn層及びCuSn拡散層を剥離する手段として、特許文献1には、銅基材の表面にSnめっき層が形成されたワークWからSnめっき層を剥離するに際して、ワークWを酸化性溶液中13に浸漬し、回転攪拌することによってワークW同士の重なりを無くし互いに擦り合わせながら、ワークWを陽極電解することにより、Snメッキした銅及び銅合金材からSnメッキ層を短時間で容易かつ確実に除去することができるSnメッキ剥離方法及びSnメッキ剥離装置が開示されており、剥離液としては、硫酸水溶液(例えば濃度71g/L)が用いられており、これに限らず例えば硝酸等の他の酸化性溶液を用いたものであってもよいと記載されている。
特許文献2には、加工油等が付着していても、Sn層および/またはCuSn層を含有するSnめっき層付きCu系材料のSn層およびCuSn層等を容易に剥離し、Cu系材料を再び原料化することができるCu系材料のSnめっき層の剥離方法として、Cu系材料を3.0〜37.5質量%の濃度の水酸化アルカリ水溶液中に浸漬し、水酸化アルカリ水溶液の水中において、3.0〜50.0質量%の濃度のH22水溶液を添加し、Cu系材料を浸漬したときの水酸化アルカリ水溶液の温度が60〜105℃であり、水酸化アルカリ水溶液の水酸化アルカリのmol数AとH22水溶液のH22のmol数Bとの比A/Bが10以上であり、Sn層中のSnのmol数をC、CuSn層中のSnのmol数をDとすると、B≧C×2+D×6とすることが開示されている。
特許文献3には、Snめっき金属材料からSnを分離させる化学的処理に伴って二次廃棄物や廃棄物ができてしまうのを抑える為に、水酸化ナトリウムの溶融塩を収容した反応槽にSnめっき廃材を浸漬し、短時間でSnめっき層のSnが溶融塩中に溶出させ、反応槽の中の溶融塩には酸素が供給され、酸素を供給して酸素雰囲気で処理することで、溶融塩中に溶出したSnの化合物はSn酸化物が主体となって沈殿すると共に反応によって生成されるH2Oで、溶融塩中の酸化ナトリウムが水酸化ナトリウムに再生されることが開示されている。
この様にしてSnめっきが剥離及び除去された銅或いは銅基合金材料のスクラップは、元の銅或いは銅基合金の溶解・鋳造の原料として再使用されている。
そして、この際に発生するSnめっき剥離廃液中には、油分やSn2価又は4価イオン
のみでなく、母材である銅或いは銅基合金の一部が溶出している場合もあり、Snめっき剥離廃液中に残存しているこの銅或いは銅基合金を電解採取にて効率的に回収し、再利用することが資源有効活用の観点から非常に重要となっている。
特開2010−132940号公報 特開2011−127147号公報 特開2011−32571号公報
前述のように、銅或いは銅基合金板、特にそのスクラップから、その表面に形成されたSnめっきを剥離した剥離廃液には、Snの2価イオン又は4価イオン、Sn酸化物、銅或いは銅基合金から溶出した銅などが含まれており、このようなSnめっき剥離廃液から銅を電解採取にて再利用可能な状態に効率良く回収することは、従来の手法では困難であった。
特に、Snめっき剥離液として一般的に使用される硫酸を主成分とする鉱酸系の剥離液を使用した場合、従来から電解採取時に用いられているニカワやチオ尿素などの添加剤を用いた場合には、陰極上への銅の析出が粗雑となってハンドリング性が悪くなり、また電解採取された銅に硫黄等の不純物が多量に含まれることも問題となっていた。
本発明は、銅或いは銅基合金表面に形成されたSnめっきを剥離した後のSnめっき剥離廃液から銅を電解採取にて再利用可能な状態に効率良く回収する方法を提供する。
本発明者等は、鋭意検討の結果、表面にSnめっきが形成された銅或いは銅基合金板、特に機械加工により発生したそれらのスクラップから、Snめっきをめっき剥離液にて剥離した後の油分やSnの2価イオン又は4価イオン、Sn酸化物、銅或いは銅基合金が溶出したSnめっき剥離廃液から銅を電解採取にて回収する方法において、めっき剥離液の硫酸濃度を一定範囲にし、さらにSnめっき剥離廃液に含まれるSnO又はSnO2濃度およびCu濃度を一定範囲に調整すると共に、このSnめっき剥離廃液に対して、芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸塩、アルキルアミン、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの添加剤を加え、更に、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの界面活性剤を加えて表面張力を一定基準以下とした後に、電気分解を施し、陰極上に銅を析出させて回収することにより、銅を再利用可能な状態に効率良く回収されることを見出した。
本発明は、上記知見に基づくものであり、以下に示す構成によって従来の上記課題を解決したSnめっき剥離廃液からの銅回収方法を提供する。
本発明のSnめっき剥離廃液からの銅の回収方法は、銅或いは銅基合金板の表面に形成されたSnめっきをめっき剥離液にて剥離した後のSnめっき剥離廃液から銅を回収する方法であり、前記めっき剥離液は硫酸濃度:5〜300g/Lであり、前記Snめっき剥離廃液はSnO又はSnO2濃度:1〜100g/LおよびCu濃度:30〜60g/Lであって、このSnめっき剥離廃液に芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸塩、アルキルアミン、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの添加剤を0.01〜10g/L添加し、さらにアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの界面活性剤を0.001〜10g/L添加して表面張力を50dyn/cm以下に調整した後に、電気分解によって銅を析出させて回収することを特徴とするSnめっき剥離廃液からの銅の回収方法である。
本発明に適用される表面にSnめっきが形成された銅或いは銅基合金板は、種類や性状は問わない。また、Snめっきは、例えば、0.5〜5.0μmの厚みで銅或いは銅基合金板の表面に形成されたSn層及び/またはCuSn層を含むものを意味する。典型的なSnめっき層としては、銅或いは銅基合金板の表面にSnめっきを施したもの、或いは、銅或いは銅基合金板の表面に下地層としてCuめっきを施した後にSnめっきを施したものがある。更に、そのSnめっき後にリフロー処理などの熱処理を施してCuSn層(CuSn拡散層)が形成されたSn層とCuSn層からなるものがある。また、リフロー処理などの熱処理の熱処理条件によっては、Sn層が消滅し、Snめっき層がCuSn層のみとなる場合がある。CuSn層とはCuとSnの金属間化合物および/またはCu又はSnが母相に固溶した層である。通常では、Sn層とは、熱処理していないSnめっきや、Snめっき後にリフロー処理等の熱処理をした後CuSn拡散層とならなかった残存Sn層などを指し、Sn層は概ねSnの含有率が90%以上である。
本発明において用いるSnめっき剥離液の硫酸濃度は5〜300g/Lが好ましい。硫酸濃度が5g/L未満ではSnめっきの剥離効果が低下し、また、電気分解時に、Cuイオンが水酸化物として析出し易くなり、銅が陰極上にハンドリン性の悪い粉状の析出物として形成され易くなるので好ましくない。一方、硫酸濃度が300g/Lを超えると、Snめっきの剥離効果が飽和してコスト的に無駄となると共に、電気分解時にCuイオンが飽和溶解度を超えて、硫酸銅が剥離廃液中に析出するので好ましくない。
Snめっき剥離廃液に含まれるSnO又はSnO2濃度は1〜100g/Lが好ましい。この濃度が1g/L未満では、Snめっきが十分に剥離されていないので好ましくない。一方、この濃度が100g/Lを超えると、電気分解時に、Sn酸化物が陰極上に取り込まれるようになり、また銅の析出形態が粗雑な粉状となり、さらに硫酸が陰極に取り込まれるので好ましくない。
Snめっき剥離廃液に含まれるSnは、スラッジ状のSnO又はSnO2と共に、2価イオン又は4価イオンの形態で共在している場合もあり、その際は、イオン濃度は、0〜50g/Lであることが好ましい。Snイオン濃度が50g/Lを超えると、電気分解時に、Snが陰極上に共析するようになり、銅の析出形態が粗雑な粉状となり、硫酸が陰極に取り込まれるので好ましくない。
Snめっき剥離廃液のCu濃度は30〜60g/Lが好ましい。Cu濃度が30g/L未満では電流効率が減少し、60g/Lを超えると飽和溶解度近くになり、電気分解時に、硫酸銅が電解液中に析出して無駄となる。
本発明では、Snめっき剥離廃液に特定の芳香族化合物が添加される。具体的には、上記Snめっき剥離廃液に、芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸塩、アルキルアミン、芳香族カルボン酸、および芳香族カルボン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの添加剤が添加される。Snめっき表面に付着した機械加工による加工油によってSnめっき剥離廃液が汚染されていても、この剥離廃液に上記添加剤を加えることによって電気分解時に、ハンドリング性の良好な再生原料として利用可能な銅を陰極上に析出させる効果がある。上記添加剤の添加量は0.01〜10g/Lが好ましい。この添加量が0.01g/L未満ではSnが陰極上に共析するようになり、銅の析出形態が粗雑な粉状となり、硫酸が陰極に取り込まれるため望ましくない。一方、上記添加量が10g/Lを超えると、効果が減少する傾向が見られる。
さらに、本発明ではSnめっき剥離廃液に特定の界面活性剤が添加される。具体的には、上記Snめっき剥離廃液に、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの界面活性剤が添加される。この界面活性剤はSnめっき剥離廃液中でも化学的に安定であり、長期間にわたり表面張力を下げてミストの飛散を防止する効果が得られる。特に、電気分解時に、陰極から発生する酸素ガスに起因する大量の硫酸ミストの飛散を防止し、ハンドリング性の良好な再生原料として利用可能な銅を陰極上に析出させる。
上記界面活性剤の添加量は0.001〜10g/Lが好ましい。この添加量が0.001g/L未満では加工油の影響を十分に排除することができず、銅の析出形態が粗雑なハンドリング性の悪い粉状となり、硫酸が陰極に取り込まれるので好ましくない。一方、この添加量が10g/Lを超えると、効果が減少する傾向が見られる。
上記界面活性剤を0.001〜10g/L添加することによって、Snめっき剥離廃液の表面張力を50dyn/cm以下に制御すると良い。この表面張力を50dyn/cm以下に制御することによって、電気分解時に、陰極からの酸素ガスに起因する大量の硫酸ミストの飛散を効率良く防ぐことができ、ハンドリング性の良好な再生原料として利用可能な銅を効率良く回収することができる。
上記添加剤および上記界面活性剤を加えたSnめっき剥離廃液を電気分解して銅を回収する際、電気分解の電流密度は1〜8A/dm2が好ましく、電解槽の温度は20〜50℃が好ましい。電流密度および電解槽温度がこの範囲内であると、電解の効率が大幅にアップする。
本発明のSnめっき剥離廃液から銅を回収する方法において、好ましくは、Snめっき剥離液は酸化剤を含有すると良い。酸化剤は、硝酸、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸イオン、3価鉄イオンからなるグループから選択された少なくとも一つを用いることができる。これらの酸化剤を含有することによって、Snめっき剥離が更に促進され、剥離時間を短縮することができる。酸化剤の含有量は1〜100g/Lが好ましい。この量が1g/L未満では効果は少なく、100g/Lを超えると、剥離時に発生するガス量が増加し不都合である。発生するガスは、使用される酸化剤によるが、主にNOx、酸素ガスである。
本発明のSnめっき剥離廃液から銅を回収する方法において、SnめっきがリフローSnめっきである場合、電解時の電流密度は1〜4A/dm2が好ましい。リフローSnめっきでは、銅或いは銅基合金材料とSnめっきとの間、或いは、銅或いは銅基合金材料とSnめっきの間にCu下地めっきが施されている場合はCu下地めっきとSnめっきとの間に、主にCu6Sn5、Cu3Sn等の金属間化合物等からなるCuSn拡散層が形成されており、リフローSnめっき剥離廃液にはこれらの金属間化合物が含まれている。このような剥離廃液から銅を電解採取にて再利用可能に効率良く回収するには、電気分解時の電流密度が1〜4A/dm2であることが好ましい。
本発明の回収方法によれば、銅或いは銅基合金表面に形成されたSnめっきを剥離した後のSnめっき剥離廃液から銅を電解採取にて再利用可能な状態に効率良く回収することができ、さらに、元の銅或いは銅基合金の溶解・鋳造の原材料として、Snめっきが剥離された後のスクラップを再利用可能することにより、資源有効活用が促進される。
本発明の方法を実施する装置の一例を示す概略図。
図1を参照して、本発明の回収方法の一実施例を具体的に説明する。
Snめっき剥離装置1では、Snめっき剥離液2を有するめっき剥離槽3内に、Snめっきが表面に形成された銅或いは銅基合金板4が浸漬され、表面のSnめっきがめっき剥離液2中に剥離される。表面にSnめっきが形成された銅或いは銅基合金板4は種類や性状は問わない。
上記Snめっきは0.5〜5.0μmの厚みで銅或いは銅基合金板の表面に形成されたSn層及び/またはCuSn層を含むものを意味する。典型的なSnめっき層としては、銅或いは銅基合金板の表面にSnめっきを施したもの、或いは、銅或いは銅基合金板の表面に下地層としてCuめっきを施した後にSnめっきを施したものがある。更に、そのSnめっき後にリフロー処理などの熱処理を施し、CuSn層(CuSn拡散層)が形成されたSn層とCuSn層からなるものもある。また、リフロー処理などの熱処理の熱処理条件によっては、Sn層が消滅し、Snめっき層がCuSn層のみとなる場合がある。CuSn層とはCuとSnの金属間化合物および/またはCu又はSnが母相に固溶した層である。通常では、Sn層とは、熱処理していないSnめっきや、Snめっき後リフロー処理等の熱処理をした後CuSn拡散層とならなかった残存Sn層などを指し、Sn層は概ねSnの含有率が90%以上である。
Snめっき剥離液2は、硫酸を含有し、硫酸濃度は5〜300g/Lであることが好ましい。硫酸濃度が5g/L未満では、Snめっきの剥離効果が低下し、また電気分解時にCuイオンが水酸化物として析出し易くなり、電気分解時に、銅8が陰極7上にハンドリン性の悪い粉状の析出物として形成され易くなるので好ましくない。一方、硫酸濃度が300g/Lを超えると、Snめっきの剥離効果が飽和してコスト的に無駄となると共に、電気分解時に、Cuイオンが飽和溶解度を超えて、硫酸銅が陰極7上に析出し、硫酸が陰極7に取り込まれるので好ましくない。
また、Snめっき剥離液2は、剥離効果を更に促進するために、硝酸、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸イオン、3価鉄イオンからなるグループから選択された少なくとも一つの酸化剤を含有していることが好ましい。酸化剤の含有量は1〜100g/Lが好ましい。この量が1g/L未満では効果は少なく、100g/Lを超えると剥離時に発生するガス量が増加し不都合である。発生するガスは、使用される酸化剤にもよるが、主にNOx、酸素ガスである。
Snめっきが剥離された銅或いは銅基合金は、めっき剥離槽3から適切な手段にて搬出され、洗浄後に、銅或いは銅基合金の溶解・鋳造の原料として再利用される。このような再利用によって資源有効活用が促進される。
剥離されたSnめっきを含むSnめっき剥離廃液XにはSnO又はSnO2が含まれ
ている。剥離廃液中のSnO又はSnO2の濃度は1〜100g/Lが好ましい。この濃度が1.0g/L未満ではSnめっきが十分に剥離されていないので好ましくない。一方、この濃度が100g/Lを超えると、電気分解時に、Snが陰極7上に共析するようになり、銅8の析出形態が粗雑な粉状となり、硫酸が陰極7に取り込まれるので好ましくない。
Snは、スラッジ状のSnO又はSnO2と共に、2価イオン又は4価イオンの形態で共在している場合もあり、その際は、Snイオン濃度は0〜50g/Lが好ましい。Snイオン濃度が50g/Lを超えると、電気分解時にSnが陰極7上に共析するようになり、銅8の析出形態が粗雑な粉状となり、硫酸が陰極7に取り込まれるので好ましくない。
Snめっき剥離廃液XのCu濃度は30〜60g/Lが好ましい。Cu濃度が30g
/L未満では電流効率が減少し、一方、Cu濃度が60g/Lを超えると飽和溶解度近くになり、電気分解時に、硫酸銅が電解用Snめっき剥離廃液Y中に析出して無駄となる。
このSnめっき剥離液Xに、芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸塩、アルキルアミ
ン、芳香族カルボン酸、および芳香族カルボン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの添加剤Mが加えられる。添加剤Mを加えることによって、銅或いは銅基合金表面に付着した機械加工による加工油によってSnめっき剥離廃液Xが汚染されていても、電気分解時にハンドリング性の良好な再生原料として利用可能な銅8が陰極7上に析出する効果がある。
添加剤Mの添加量は0.01〜10g/Lが好ましい。この添加量が0.01g/L未満では、Snが陰極7上に共析するようになり、銅8の析出形態が粗雑な粉状となり、硫酸が陰極7に取り込まれるため望ましくない。この添加量が10g/Lを超えると、効果が減少する傾向が見られる。
さらに、Snめっき剥離液Xに、アルキルベンゼンスルホン酸、およびアルキルベン
ゼンスルホン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの界面活性剤Nが加えられる。この界面活性剤Nを添加することによって表面張力が50dyn/cm以下に調整される。この界面活性剤Nは、電解用Snめっき剥離廃液Y中でも化学的に安定で、長期間にわたり表面張力を下げてミストの飛散を防止する。特に、電気分解時に、陰極7から発生する酸素ガスに起因する大量の硫酸ミストの飛散を防止し、ハンドリング性の良好な再生原料として利用可能な銅8を陰極7上に析出させる。
界面活性剤Nの添加量は0.001〜10g/Lが好ましい。この添加量が0.001g/L未満では、加工油の影響を受けて、銅8の析出形態が粗雑なハンドリング性の悪い粉状となり、硫酸が陰極7に取り込まれるので好ましくない。この添加量が10g/Lを超えると効果が減少する傾向が見られる。
界面活性剤Nを添加することによって表面張力が50dyn/cm以下に調整される。表面張力が50dyn/cm以下に調整されることによって、電気分解時に陰極7からの酸素ガスに起因する大量の硫酸ミストの飛散を効率良く防ぐことができ、ハンドリング性の良好な再生原料として利用可能な銅8を効率良く回収することができる。
Snめっき剥離廃液Xに、添加剤Mおよび界面活性剤Nを添加して、電解用Snめっき剥離廃液Yにし、必要に応じて適宜撹拌後に、この電解用Snめっき剥離廃液YをポンプP1によって電解処理装置5に導入し、電解処理を行う。電解処理装置5には、陽極6、陰極7がセットされ、その間に通電することにより電解用Snめっき剥離廃液Yが電気分解され、再生原料として利用可能な銅8が陰極7上に析出させ、この銅を回収する。
電気分解の電流密度は1〜8A/dm2が好ましく、電解槽の温度は20〜50℃が好ましい。電流密度および電解槽温度がこの範囲内であると、電気分解の効率がアップし、処理時間が短縮される。
SnめっきがリフローSnめっきである場合には、銅或いは銅基合金材料とSnめっきとの間、或いは、銅或いは銅基合金材料とSnめっきの間にCu下地めっきが施されている場合はCu下地めっきとSnめっきとの間に、主にCu6Sn5、Cu3Sn等の金属間化合物等からなるCuSn拡散層が形成されており、Snめっき剥離廃液XにはこのCu6Sn5、Cu3Sn等の化合物等が含まれているので、電解用Snめっき剥離廃液Yから銅8を電気分解にて陰極7上に再利用可能に効率良く回収するには、電気分解時の電流密度を1〜4A/dm2にすることが好ましい。
電解処理装置5の電解用Snめっき剥離廃液Yが電気分解されて陰極7上に銅8が析出する。この銅8は洗浄後に銅或いは銅基合金の溶解・鋳造の原料として再利用することができる。電解処理装置5において電気分解された後のSnめっき剥離廃液Zは、必要に応じて適切な処理後に、ポンプ2にてSnめっき剥離装置1に戻される。このSnめっき剥離廃液ZはSnめっき剥離液2として再利用することができる。
〔実施例1〜11〕
三菱伸銅株式会社製のSnめっき或いはリフローSnめっきが施された無酸素銅板(板厚:0.5〜2mm、めっき厚:2.0μm)のプレス加工後のスクラップ(油分0.5〜2.0wt%)を表1に示すめっき剥離液中に浸漬し撹拌処理してSnめっきを剥離した。
Snめっきを剥離した後の剥離廃液のSnO又はSnO2濃度、Cu濃度を表1に示す。
このSnめっき剥離廃液50Lに対して、表1に示す添加剤および界面活性剤を加え、表1に示す表面張力に調整して電解用めっき剥離廃液を調製した。
この電解用めっき剥離廃液を電気分解槽に導入し、表1に示す電流密度および槽温に調整して、120時間、電気分解を行い、陰極上にSnめっき剥離廃液に含まれていた銅を析出させた。電気分解槽の陰極には無酸素銅板、陽極には酸化イリジウムコートチタン板を用いた。
表1のAは硝酸、Bは過酸化水素、Cはペルオキソ二硫酸イオン、Dは3価鉄イオン、Eはベンゼンスルホン酸、Fはベンゼンスルホン酸ナトリウム、Gはポリオキシエチレンアミン、Hはドデシルベンゼンスルホン酸、Iはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、Jは安息香酸、Kは安息香酸ナトリウムを表す。表1において、二種類以上添加したものについては、それらを並べて表記し、カッコ内にそれぞれの濃度を記載した。
この析出銅を電気分解槽から回収して、回収された銅の析出状態を観察し、硬度、純度、硫黄濃度を測定した。これらの測定結果を表2に示す。
(イ)銅表面の析出状態は50倍の顕微鏡にて観察した。
(ロ)銅表面の硬度の測定は市販の硬度計(MVK−G1:AKASHI社)を用い、ビッカース硬さ試験 JIS Z 2244に準じてN=3で行った。
(ハ)銅の純度の測定は、銅の中に含まれる不純物を測定して、その不純物比率を100%から差し引いて求めた。
(ニ)S含有量は赤外吸収法にて測定した。
更に、実施例1〜11の回収銅板を硫酸水溶液で洗浄した後、無酸素銅製造用の原料の一部として使用し、溶解鋳造後、押出加工により棒材を成形し、その棒材のイオウ含有量(S含有量)を測定し、更に、割れの有無を目視にて観察した。この結果を表2に示す。
〔比較例1〜6〕
めっき剥離液の硫酸濃度、めっき剥離廃液のSnOまたはSnO2濃度、Cu濃度、添加剤、界面活性剤、および表面張力を表1に示す条件にし、さらに表1に示す電解条件でめっき剥離廃液の電気分解を行った。この析出銅を電気分解槽から回収して、回収された銅の析出状態を観察し、硬度、純度、硫黄濃度を測定した。この結果を表3に示した。
表2に示すように、本発明の実施例では、回収銅の銅量は何れも1.0kg以上であり、かつS濃度は30ppm以下であって、不純物の少ない銅を効率よく回収することができる。また、本発明の実施例では回収した銅の形状は何れも板状であり、硬度80以上である。この回収した銅を用いて製造した押出し棒材は、S濃度8ppm以下であって割れの無い高品質の棒材を得ることができた。
一方、表3に示すように、比較例の銅量は0.91kg以下であって、S濃度80ppm以上であり、銅の回収率が低く、不純物量が多い。しかも、回収した銅の形状は樹枝状ないし粉状であって硬度66以下ないし測定不能であった。
以上のように、本発明の銅回収方法によれば、銅或いは銅基合金表面に形成されたSnめっきを剥離した後のSnめっき剥離廃液から、再利用可能な銅を効率良く回収することができ。なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
Figure 2014214378
Figure 2014214378
Figure 2014214378
1:Snめっき剥離装置
2:Snめっき剥離液
3:めっき剥離槽
4:Snめっき付き銅或いは銅基合金板
5:電解処理装置
6:陽極
7:陰極
8:銅
X:Snめっき剥離廃液
Y:電解用Snめっき剥離廃液
Z:電解後Snめっき剥離廃液
P1、P2:ポンプ
M:添加剤
N:界面活性剤

Claims (3)

  1. 銅或いは銅基合金板の表面に形成されたSnめっきをめっき剥離液にて剥離した後のSnめっき剥離廃液から銅を回収する方法であり、前記めっき剥離液は硫酸濃度:5〜300g/Lであり、前記Snめっき剥離廃液はSnO又はSnO2濃度:1〜100g/LおよびCu濃度:30〜60g/Lであって、このSnめっき剥離廃液に芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸塩、アルキルアミン、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの添加剤を0.01〜10g/L添加し、さらにアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの界面活性剤を0.001〜10g/L添加して表面張力を50dyn/cm以下に調整した後に、電気分解によって銅を析出させて回収することを特徴とするSnめっき剥離廃液からの銅の回収方法。
  2. 前記Snめっき剥離液は、硝酸、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸イオン、3価鉄イオンからなるグループから選択された少なくとも一つの酸化剤を1〜100g/L含有する請求項1に記載のSnめっき剥離廃液からの銅の回収方法。
  3. 前記SnめっきがリフローSnめっきであるとき、電気分解時の電流密度が1〜8A/dm2である請求項1または請求項2に記載のSnめっき剥離廃液からの銅の回収方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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