JP2010270357A - ニッケルめっきが施された銅又は銅合金屑のリサイクル方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電解反応を起すアノードとカソードを含有する硫酸鉄溶液が入った処理槽中に、表面にニッケルめっきが施された銅又は銅合金屑を浸漬し、2Fe3++Ni→2Fe2++Ni2+なる化学反応によりニッケルめっきを剥離すると共に、Fe2+→Fe3++e−なる電解反応にて、消費されたFe3+を再生することにより、連続的にニッケルめっきを剥離し、銅又は銅合金の製造用原料として使用する。硫酸濃度50〜600g/l、Fe濃度1〜50g/lの剥離液を用い、電解再生時のカソード電流が5〜100A/dm2、アノード電流が0.01〜10A/dm2である時に顕著に効果を発揮する。
【選択図】 図1
Description
この様なめっき付銅条材は打抜き成形にて加工して使用されることが多く、打抜き成形時に発生する多量の屑は回収され、銅又は銅合金の製造用原料として使用することが資源リサイクルの観点から重要となっている。
特許文献1では、特にニッケルめっきに着目し、ニッケルめっきが施された銅又は銅合金屑から剥離液にてニッケルめっき層を剥離した後、銅又は銅合金屑の表面を更に0.2〜200μmエッチングし、銅又は銅合金原料として使用するリサイクル方法を開示している。
更に、硫酸鉄ベースのシンプルな剥離液を使用するので、硫黄(S)等の残存によるコンタミがなく剥離後のエッチングも不要であることを確認した。
また、本発明のリサイクル方法において、電解反応におけるカソード電流密度が5〜100A/dm2であり、アノード電流密度が0.01〜10A/dm2の範囲であるとよい。
また、本発明のリサイクル方法において、カソードに副反応を防止するための保護袋を設けるとなおよい。
更に、本発明のリサイクル方法において、前記剥離液を攪拌して前記アノード表面に向けて供給することにより、アノード表面に、ニッケル剥離で生じたFe2+を供給し易くするとよい。
図1はニッケルめっき剥離装置の全体構成を示しており、このニッケルめっき剥離装置1は、剥離液Lを貯留した処理槽2内に、リサイクル対象の銅又は銅合金屑Cを入れるドラム籠3が配置され、このドラム籠3とは別に、電源(図示略)に整流器4を介して接続されたアノード5とカソード6とが上方から吊り下げ状態に浸漬され、アノード5の近辺に、その付近の剥離液Lを回転羽根7aによって攪拌してアノード5に向けて供給する攪拌機7が設けられている。
一方、カソード6は、SUS、Cu等の金属からなり、ろ布又はイオン交換膜からなる保護袋8の中に収納されている。この保護袋8は、カソード6との間に間隔を開けた状態でその全体を覆う大きさに形成され、その下端部には、カソード6の表面で発生したCu粉を溜める受け部9が設けられている。
なお、図示はしていないが、処理槽2内の剥離液Lは別途設けたタンクとの間で循環されるなどにより、前述の部分的な攪拌を受け持つ攪拌機7とは別に、全体的に攪拌されるようになっている。
この場合、剥離液Lと銅及び銅合金屑Cとの接触面積を増すためドラム籠3を回転させても良い。
すなわち、剥離液L内では、その中の鉄イオンと銅又は銅合金屑Cのニッケルめっき膜との間で次のような酸化還元反応が生じて、ニッケルが溶解する。
2Fe3++Ni→2Fe2++Ni2+
つまり、Fe3+が還元によりFe2+となり、Niは酸化してNi2+として溶解するのである。
アノード5はニッケル剥離の際の還元作用によって生成したFe2+をFe3+に酸化再生するためのものである。図2中、四角の枠で囲った反応が主反応を示す。
このFe2+の酸化反応は拡散律速であるため、拡散が追いつかない電流密度まであげると副反応(図2中下線で示す反応)の酸素発生(H2O→O2+H+)が起きて電流効率が減少する。従って、アノード電流密度をFe2+の拡散限界電流密度以下として副反応を防ぐ必要がある。また、電解再生中はアノード5の近辺に設置した攪拌機7にて剥離液Lを攪拌し、アノード5の表面にFe2+を積極的に供給して電解再生を促進する。
このカソード6においては、アノード5で再生されたFe3+が再び還元(Fe3+→Fe2+)されると電流効率が減少するので、この副反応のFe3+からFe2+への還元を抑えることが重要である。このFe3+の還元反応は拡散律速であるため、カソード6を保護袋8で覆ってFe3+の拡散を阻害しているとともに、カソード電流密度をFe3+の拡散限界電流密度以上で電解するようにする。
また、保護袋8の下端部には受け部9が設けられているため、カソード6から落ちてくる銅粉は受け部9に回収される。
以上のようにして、ドラム籠3を剥離液L内に浸漬してから所定時間後にアノード5及びカソード6への通電を中止すると、ドラム籠3内の銅又は銅合金屑Cのニッケルめっきは溶解して剥離された状態となる。
このニッケルめっきが剥離された銅又は銅合金屑は硫黄等のコンタミもなく、その後、エッチング処理等を経ることなく、銅又は銅合金の溶解鋳造等の原料としてそのまま使用することができる。
図1に示すものと同様の剥離装置1を用い、剥離液Lとして、硫酸濃度300g/l、Fe濃度20g/l、温度60℃の硫酸鉄溶液を用いた。銅又は銅合金屑Cのサンプルとして1μmの厚さのニッケルめっきが両面に施された銅合金屑を用い、これを2.6Kgドラム籠3に入れて、剥離液Lに浸漬した。
ドラム籠3を剥離液Lに浸漬させると同時に、アノード5及びカソード6に通電した。アノード5には白金を被覆したチタンからなる表面積の大きなメッシュ電極を用い、カソード6にはSUS電極を用いて、アノード電流密度を5A/dm2、カソード電流密度を40A/dm2とした。アノード5近辺では攪拌機7で剥離液Lを攪拌した。ドラム籠3は剥離液L中で所定速度で回転させた。
また、ニッケルめっきが剥離された銅又は銅合金屑表面をEPMA(Electron Probe Micro Analyzer:電子線マイクロアナライザ)にて分析したところ、硫黄(S)等の残存によるコンタミも無かった。このニッケルめっきが剥離された銅又は銅合金屑を銅合金製造用原料の一部として溶解鋳造に使用し、熱間圧延後の銅合金板を目視にて調べたところ割れは生じていなかった。
比較例として、硫酸濃度は700g/l、Fe濃度70g/l、温度60℃の剥離液にて、カソード電流は120A/dm2、アノード電流が12A/dm2にて、同様な操作を行ったところ、ニッケルが銅又は銅合金屑表面から完全に剥離されるまでに10時間を費やした。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることは可能である。
2 処理槽
3 ドラム籠
4 整流器
5 アノード
6 カソード
7 攪拌機
7a 回転羽根
8 保護袋
9 受け部
L 剥離液
C 銅又は銅合金屑
Claims (5)
- 電解反応を起すアノードとカソードを含有する硫酸鉄溶液が入った処理槽中に、表面にニッケルめっきが施された銅又は銅合金屑を浸漬し、2Fe3++Ni→2Fe2++Ni2+なる化学反応により前記ニッケルめっきを剥離すると共に、Fe2+→Fe3++e−なる電解反応にて、消費されたFe3+を再生することにより、連続的に前記ニッケルめっきを剥離し、当該ニッケルめっきが剥離された銅又は銅合金屑を銅又は銅合金の製造用原料として使用することを特徴とする銅又は銅合金屑のリサイクル方法
- 前記硫酸鉄溶液の硫酸濃度が50〜600g/lであり、Fe濃度が1〜50g/lであることを特徴とする請求項1に記載の銅又は銅合金屑のリサイクル方法。
- 前記電解反応におけるカソード電流密度が5〜100A/dm2であり、アノード電流密度が0.01〜10A/dm2であることを特徴とする請求項1又は2に記載の銅又は銅合金屑のリサイクル方法。
- 前記カソード周辺に副反応を防止するための保護袋を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の銅又は銅合金屑のリサイクル方法。
- 前記剥離液を攪拌して前記アノード表面に向けて供給することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の銅又は銅合金屑のリサイクル方法。
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JP2009121701A JP2010270357A (ja) | 2009-05-20 | 2009-05-20 | ニッケルめっきが施された銅又は銅合金屑のリサイクル方法 |
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Citations (5)
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2009
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