JP5253994B2 - 放射性金属廃棄物の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は炭素鋼等の鉄系の放射性金属廃棄物の新規な処理方法に関する。
原子力発電所等で発生する放射能で表面が汚染された放射性金属廃棄物の除染方法として、放射性金属廃棄物の汚染度の高い表面部を酸により溶解して再利用可能な許容汚染レベルまで金属を除染するとともに、溶解して生成させた金属塩や水酸化物等の汚染度の高い沈殿物は、ろ過分離して、ろ滓をセメントで固めて処分する化学的除染方法がある。この化学的除染方法は、原子力発電所から排出される廃棄物を、再利用可能な汚染レベルまで容易に除染することができるとともに、二次放射性廃棄物の発生量も少ない。このため、放射性廃棄物として法規制を受け、所定場所に保管した後に、法規制に適合した処分をすることが必要な放射性廃棄物の発生量を大幅に低減できるとともに、省資源にもつながる。
そして、酸として、ギ酸等の脂肪族カルボン酸を使用すれば、酸化により水と炭酸ガスに分解することができ、使用済除染液を再使用でき液廃棄物の発生が殆どない点等において、無機酸に比して有利である。
例えば、特許文献1(米国特許5386078号)で、ギ酸により化学的除染をする処理法が提案されている。なお、特許文献2にも同様な技術が記載されている。
当該米国特許のアブストラクトを和訳して、以下に引用する。
「放射性汚染金属を除染する方法。放射性汚染金属(対象金属)を第一浴に投入して、該第一浴の非放射性のギ酸水溶液に、ギ酸濃度が化学量論に一致した量を消費した水溶液になるまで接触させる。次に、対象金属を同じ化学組成を有する第二浴に投入する。第二浴の非放射性の水溶液にも同様に、化学量論に一致した量のギ酸が消費されるまで対象金属を接触させることが望ましい。ギ酸濃度は、約0.3mol/Lとする。これらの操作を繰り返して許容汚染率(例えば、0.37Bq/cm)になるまで繰り返す。放射性金属水酸化物乃至酸化物(汚染スラッジ)が沈降分離される。そして、これらの汚染スラッジはセメントで固化されてさらに除染されていく。」
さらに、非特許文献1(kohli & Hanulik「汚染金属廃棄のための新規な除染方法(AN INNOVATIVE CHEMICAL DECONTAMINATION SYSTEM FOR FREE RELEASE OF METALS)」)における要約(abstract)には上記方法について、次の記載(翻訳)がある。
「廃棄可能基準までの経済的な化学的除染方法が開発されている。当該方法「DECOFOR」(特許されたギ酸処理に基づく)は、ニッケル、鉛、銅、炭素鋼やアルミニウム等の広範な金属に適用可能である。本処理は、経済的で、毒性薬剤を使用せず、液体廃棄物は生成されずに最小限の固体廃棄物が生成されるのみである、除染しない水が循環される、等において長所を有する。本方法は、除染処理前後の除染率を測定し、そして、個々に適合可能な全体的な除染技術に展開するための金属試料の精確な採取技術も含む。除染は迅速で効率的である。即ち、室温における除去速度は、酸濃度が0.5〜1.0%において、Pb,Cu:1.0mg/(cm・min);Al,炭素鋼,Ni:0.1〜1.0mg/(cm・h)である。この処理法は、U.S. Department of Energy (DOE) 施設内や他の廃棄プロジェクトにおける在庫汚染金属の廃棄基準までの除染に適用できるものである。」
また、同じく、「III.除染方法の説明、A.DECOFORの基本原理、B.処理法の概括」の項には下記記載(和訳)がある。なお、訳文中の「Fig.1」は、本願の図1(翻訳図)として添付してある。
「A.DECOFORの基本原理:
ギ酸(HCOOH)は、殆どの金属と金属酸化物を溶解してギ酸塩となる。ギ酸は溶解度が非常に高い。例えば、2molのギ酸は1molのFeを溶解してギ酸鉄を生成する。その他の反応生成物は存在しないので、この反応は化学量論的に精確に制御でき、結果的に、除染に必要なギ酸量及び廃液量を最小限とすることができる。殆どのギ酸金属塩は水溶性であるため、除染液から溶解金属を回収するとともに水を再生して再使用することが容易となる。
ある金属群は他の金属群より水に溶け易い。例えば、鉛の溶解速度は、pH0.5前後では実質的に酸濃度に無関係である。しかし、Hの濃度は反応速度に関係する。鉛は、2%を超える濃度でのHの激しい分解により溶解する。したがって、本処理法では、当初H濃度3%で開始し、除染サイクルを通じて、丁度2%を超える濃度に維持する。金属表面におけるHの活発な分解は金属表面における除染効率を機械的に高める。鉛は大部分がPb2+として溶けるが、部分的に酸化して酸化物(PbO,PbO)となる。溶解反応は、酸が消費された後、H及びHイオンもなくなって停止する(pH=6〜7)。
B.方法の概括:
処理体系の概括及び物質流れを、Pbを例とするFig.Iに示す。DECOFOR除染処理は、汚染金属を希釈ギ酸溶液に短時間浸漬する工程を含む。当該酸溶液を汚染金属にスプレーしてもよい。ギ酸が化学量論的に消費された後、汚染表面層を水で濯いで除去する。化学量論的に消費された溶液(使用済み溶液)は、酸化剤としてのHで再生することができる。酸化剤は不溶性化合物を沈殿させる。該使用済溶液に当初濃度となるようにギ酸を添加すれば、当該酸溶液は再使用可能である。溶解金属を含む当該溶液は、化学的に又は電気化学的に処理して、金属を回収する。電解後のギ酸溶液は再利用のために除染タンクに戻す。本処理法は水と除染薬剤の閉サイクルで行われることとなる。したがって、そこには廃棄液がなく、二次固体廃棄物が最小限となる(金属又は金属酸化物としての当初金属の0.01〜0.1%)。」
そして、上記の特許文献1・2及び非特許文献1等に記載の鉄系の放射性金属廃棄物の処理方法は、いずれも、基本的に、ギ酸等の有機酸(脂肪族カルボン酸)によって鉄表面に付着生成した放射能汚染層を、その層の下にある金属母材を溶解することで、前記放射能汚染層を剥離除染する方法である。
そして、除染済みの除染廃液は、H等の酸化剤で有機酸を水と二酸化炭素に分解して、水を再利用する。
さらに、その際発生する不溶性化合物(金属水酸化物)等の二次廃棄物の発生を抑制するために、電気化学的に処理(電解処理)して金属を陰極に電着捕集することが提案されている(非特許文献1)。
しかし、該非特許文献1では、再生工程でFeを電解槽で電析回収することについては記載されていない。即ち、PbやCu以外の金属については、電析回収が不可乃至困難であることを示唆している。
非特許文献1のp1881左欄下5行〜同右欄6行頁の「再生(Regeneration)」の項には、下記翻訳文の如く記載されている。
「溶解金属(Fe、Cu、Al、Pb、Ni)は金属水酸化物として沈殿する。溶液からの放射性核種は金属水酸化物の表面に吸着している。沈降・ろ過後、清浄水が回収され除染ループの先頭に戻す。固状沈殿物とろ滓はセメントで固化される。代わりに、PbとCuは、電解槽の鉛又は銅を、金属又は酸化物として、それぞれ陰極又は陽極に析出させて回収できる。電解後の酸溶液は、除染タンクに戻して再使用する。」
なお、本発明の特許性に影響を与えるものではないが、特許文献3に放射性金属廃棄物の処理方法に関連する技術として、下記構成の放射性金属スラッジの処理方法が記載されている(特許請求の範囲等)。
「放射能で表面の汚染された放射性金属廃棄物を、中性塩電解液中で電解溶解して放射性金属廃棄物表面の放射性物質を除去した際に生成する金属水酸化物スラッジをシュウ酸、ギ酸、クエン酸のうち少なくとも1種以上の有機酸を含む洗浄液によって、金属イオンとして溶解させ、有機酸は電解操作により酸化分解するとともに、溶解した金属イオンを陰極に伝席させた、嵩の小さな金属塊として回収することを特徴とする放射性金属スラッジの処理方法。」
しかし、当該方法は、弱酸を使用しての除染処理ではなくて、中性塩電解液中での除染処理を前提としており除染処理方法が異質であるとともに、有機酸の酸化分解も電解操作によるものであり異質である。
米国特許5386078号明細書 特開2005−315641号公報(特許請求の範囲等) 特開平5−27093号公報(特許請求の範囲等) kohli & Hanulik「汚染金属廃棄のための新規な除染方法(AN INNOVATIVE CHEMICAL DECONTAMINATION SYSTEM FOR FREE RELEASE OF METALS)」原子力廃棄物及び危険廃棄物管理に関する国際会議(Nuclear and Hazardous Waste Management, Proceeding of an International Topic Meeting)1996年議事録
本発明は、上記にかんがみて、鉄系放射性金属廃棄物を酸化分解可能な脂肪族カルボン酸(有機酸)で酸処理する方法において、使用済除染液(劣化除染液)の実用的な再生使用ができ、さらには、脂肪族カルボン酸金属塩の酸化分解に際して生成する放射性金属廃棄物(水酸化沈殿物)の発生量を可及的に低減可能な鉄系放射性金属廃棄物の処理方法を提供することを目的とする。
上記非特許文献1で電解再生については鉛と銅についてのみ記載されている理由は、下記の如くである。
前述の翻訳文に記載の如く、ギ酸の除染液に過酸化水素を添加し、2%以上の過酸化水素濃度で鉛が良く水に溶けることを利用して、鉛系の放射性金属廃棄物の除染を行うことを前提としている。
除染後電解により放射性金属(鉛)を陰極で回収し、陽極では鉛・銅の酸化物を回収する。そして、この陽極での鉛・銅の酸化に際して、過酸化水素が分解して陽極での金属酸化物(PbO)の酸素(O)の供給源となるともに、水素イオン(H)が発生して、有機酸を再生させる。ギ酸の場合を例にとると、反応式は下記の如くであると考えられる。
→2H+O+2e
Pb2++O→PbO+2e
HCOO+H→HCOOH
しかし、放射性金属が鉛や銅以外の鉄の場合は、過酸化水素の存在下で、鉄イオン(Fe2+)を含むと、下記フェントン反応により生成するヒドロキシラジカルが、有機酸の酸化分解を促進するように作用して、脂肪族カルボン酸の電解再生が困難と考えられる。ギ酸の場合を例にとると、反応式は下記の如くであると推定される。
フェントン反応:H+Fe2+→Fe3++HO+・OH
酸化分解:HCOO+・OH→HO+CO
また、過酸化水素を存在させない場合には、電解酸化されると考えられる(特許文献3段落0009〜0010参照)。
このように、鉄とギ酸等の脂肪族カルボン酸で溶解処理した除染液を、過酸化水素の存在の有無に関係なく、電解槽で金属回収とともに脂肪族カルボン酸の再生を行なうことは、従来行なわれていない。
上記考察から、脂肪族カルボン酸の再生を行なうためには、過酸化水素以外のH供給源が必要となると考えて、鋭意開発に努力をした結果、鉄系の放射性金属廃棄物であっても、陽極としてイリジウム被覆電極等の白金族金属等で被覆されたものを用いれば、Hが供給でき、有機酸の電解再生が可能であることを知見して下記構成の本発明に想到し得た。
放射能で表面が汚染された鉄系の放射性金属廃棄物の処理方法であって、
該放射性金属廃棄物を、その金属塩が水溶性であり酸化分解可能な脂肪族カルボン酸を含む除染液に浸漬して、前記放射性金属廃棄物の表面部を脂肪族カルボン酸金属塩として前記除染液中に溶出させて除染を行う化学的除染操作を含む放射性金属廃棄物の処理方法において、
前記除染工程で発生する劣化除染液を電解して、陰極で前記カルボン酸金属塩の金属成分を析出させて回収するに際して、
陽極として導電性基体が白金族金属又は白金族金属酸化物で被覆されたものを使用して、脂肪族カルボン酸を電解再生させる、ことを特徴とする。
イリジウム等の白金族金属は、触媒として種々の活性を有しており、有機酸を含む水の分解において、効率よく酸素を発生させ、その結果水素イオンを得るための電極として、工業的に利用されている(商品カタログ「酸素発生用DSE:不溶性金属電極Dimentionally Stable Electrode」ペルメレック電極株式会社、2008年、3p)
本発明では、イリジウム等の白金族金属が同様な作用を奏していると考えられる。
劣化除染液を電解することにより、鉄系成分(Ni,Cr、Co等も含む。)は陰極に電析して回収されるとともに、脂肪族カルボン酸が再生される。このため、脂肪族カルボン酸金属塩の溶解濃度が低減する。この際のpH上昇により金属成分の溶解形態が変化して、水酸化物の沈殿が再溶解する。また、劣化除染液中の脂肪族カルボン酸金塩から金属成分が除去されて生じた脂肪族カルボン酸イオンに、電解により生じた水素イオンが結合して脂肪族カルボン酸を再生する。このため、劣化除染液のpHは低下し、脂肪族カルボン酸の濃度が上昇する。
当該、電解処理後の劣化除染液は、適宜、脂肪族カルボン酸を補充して除染液として再使用できる。
また、電解処理後の劣化除染液を、酸化剤により酸化処理すれば、脂肪族カルボン酸が分解して、最終的に廃棄する際に使用するイオン交換樹脂量を低減できる。また、電解により金属イオンを回収しているので、水酸化物の沈殿発生量も低減することができて、ろ過操作も容易となる。
次に、図例に基づいて本発明を詳述する。図2は本発明方法の一態様を示すフローシートであり、図3は、本発明の方法で使用する除染装置ユニットの概略図である。ここでは、酸化分解可能な脂肪族カルボン酸としてギ酸を、酸化剤として水酸化物を、それぞれ使用する場合を主として例に採り説明する。
該除染装置ユニットは、除染槽11と電解槽13とを備えるとともに、両槽の間には、除染槽11の除染液15を電解槽13に液送りする送りポンプ17を有する送り配管19(液送り手段)と、電解槽13に送液された除染液15を除染槽11へ液戻しする戻しポンプ21を有する戻し配管22(液戻し手段)とで連通されている。
当然、除染槽11には、除染液15が充填され放射性金属廃棄物31が投入可能とされている。また、電解槽13は、電解用電源25と接続された陽極27と陰極29が除染液15に浸漬可能に配設されている。
ここで、陽極27は、白金族金属で全体を形成してもよいが、白金族金属で全体を形成することはコスト的な見地から実際的ではない。このため、通常、安価な導電性基体を白金族金属又は白金族金属酸化物で被覆したものを使用する。
上記導電性基体の材料としては、チタン、タンタル、ニオブ、ステンレス、カーボン系材料等を使用できるがチタンが望ましい。また、白金族金属としては、イリジウム、白金、パラジウム、ルテニウムおよびロジウムを使用することができる。これらの内で、チタンとイリジウムの組合わせのものが、市販品として容易に入手できる。
白金族金属は前述の如く、水を分解して水素イオン(H+)を供給する触媒作用を奏するため、脂肪族カルボン酸の再生を可能とする。他の導電体では、そのような触媒作用は期待できない。
また、陰極は、導電体であれば特に限定されず、鉄や銅等の金属導電体や、カーボン、セラミック等の非金属導電体を使用できる。
上記脂肪族カルボン酸としては、金属塩が水溶性であり酸化分解可能であれば特に限定されず、ギ酸、シュウ酸等を使用できる。これらの内で、鉄系金属に対する溶解性が高く、酸化分解も容易なギ酸が望ましい。なお、本発明者らは、クエン酸やマロン酸では、金属溶解が出来なかったことを確認している。
次に、上記除染装置ユニットを用いての鉄系放射性金属廃棄物の処理方法(鉄系放射能汚染金属除染方法)について説明をする。
まず、汚染金属31の汚染層の厚さから反応モル数を予測し、浸漬時間を求めて、除染液15を充填した除染槽11を準備する。
除染液15における脂肪族カルボン酸の濃度は、脂肪族カルボン酸の種類により異なるが、ギ酸の場合、0.217〜2.17mol/Lの範囲で適宜選定する。
除染槽11の大きさは、汚染金属31の大きさにより異なるが、例えば、2〜6m程度充填可能のものを通常使用する。汚染金属31の嵩は、0.5〜1.5m程度とする。また、電解槽13の容量は、除染槽11で発生した汚染除染液を送液充填可能であれば特に限定されず、例えば、除染槽11の約1/6とする。
そして、汚染金属31を浸漬用篭33に入れクレーン等で吊り下げて汚染金属31へ投入して、所定時間、浸漬させる。このときの浴温は、常温でもよいが、約60℃以上とすることが、反応速度的に望ましい。上限は、約80℃、望ましくは約65℃とする。高温になるにしたがって、昇温に要する時間が長くなるとともに、ギ酸成分が蒸気とともに系外へ逸散し易くなって望ましくない。
また、浸漬(接触)時間は、温度、ギ酸濃度等により異なるが、通常、0.5〜2hとする。
そして、汚染金属31の除染処理が終了したら、汚染金属31を除染槽11から引き上げる。ここで除染槽11内の除染液は、放射汚染金属の脂肪酸金属塩として溶解しているため、放射能汚染されたものとなっている。
当該汚染除染液を電解槽13へ送り配管19を介して送液・貯留する。電解槽13の電解用電源25をオンとして、電解再生を行なう。このとき陽極側ではH+が生成・供給されて脂肪族カルボン酸の電解再生が、陰極側では、鉄系金属陽イオンに電子が供与されて電析が行なわれる。
そのときの各反応は、脂肪族カルボン酸がギ酸で、鉄系金属がFeの場合の反応式は下記の如くであると推定される。
電解再生反応(陽極):HC00-+H+ → HCOOH
電析反応(陰極):Fe2++2e→ Fe
なお、汚染金属廃棄物がステンレスのような鉄系の場合、CoやNi、Cr等も含んでいるが、それらも、Feの場合と同様に電析する。
このときの電解条件は、例えば、電流密度0.0025〜0.01A/cmとし、通電時間は10〜100hとする。
この電解再生により再生されたギ酸は、戻り配管22を介して除染槽11へ戻す。この際、通常、戻すことのできる除染液の量が不足するので、ギ酸及び水を補填して、除染槽11の除染液量を設定量とする。
そして、再度、汚染金属31を投入して除染処理(溶解処理)を行なう。上記各処理(操作)を繰り返すことにより、鉄系放射性金属廃棄物の処理を行う。
また、電解槽では、陰極に汚染金属がある量以上電析して電解効率が低下してきた場合は、新しい陰極と取替える。使用済陰極は、放射性廃棄物の廃棄基準に従って廃棄する。
なお、電解再生処理後の除染液を、除染液に戻さずに、図2の下段に示すごとく、過酸化水素を添加して、ギ酸を分解させるとともに放射性沈殿物(鉄酸化物)を生成させる処理を行ってもよい。使用済除染液(劣化除染液)の電解処理により汚染金属を電着回収したことにより、金属溶解成分が減少しているため、放射性沈殿物の生成量を大幅に減ずることができる。その結果、放射性沈殿物のろ過分離が容易になり、それらに起因する二次廃棄物の発生がなくなり、ギ酸分解により炭酸ガスと水に分解できるため、水の再利用も可能となる。
原子力発電所から出た放射性金属廃棄物(炭素鋼廃棄:約600g)を使用して、除染液240L(開始時ギ酸濃度:2%(0.435mol/L)を用いて、2h浸漬処理(除染処理)を行なって、汚染除染液(劣化除染液)の試料液240Lを調製した。
該試料液240Lを、下記仕様の電解槽(容量:40L)を用いて、下記条件でギ酸の電解再生を行なった。
<電解槽>
陽極:市販イリジウム被覆チタン板(電極面積900cm/枚×1枚、両面電極)
陰極:市販ステンレス板(電極面積900cm/枚×2枚)
<電解条件>
平均電流値;11.5A(平均電流密度:0.06A)、 電解時間:60h、
なお、該試料液の処理前後のギ酸濃度及び鉄イオン濃度はそれぞれ、下記の如くであった。即ち、実用的なギ酸回復ができることが確認できた。更に、鉄(汚染金属)の回収率も良好であり、ギ酸の過酸化物分解に際しての沈殿物(鉄系酸化物)の生成量も少なく、後処理も容易となることが確認できた。
ギ酸濃度:再生前 0.72%→再生後 1.56%(回復率約78%)
鉄イオン濃度:再生前 7.75g→再生後 2.65g(回収率約66%)
非特許文献1のFig.1の翻訳図である。 本発明の放射性金属廃棄物の処理方法のモデル説明図である。 本発明の放射性金属廃棄物の処理方法に使用する除染槽/電解槽ユニットの装置概略図である。
符号の説明
11 除染槽
13 電解槽
15 除染液
27 電解陽極
29 電解陰極
31 汚染金属

Claims (7)

  1. 放射能で表面が汚染された鉄系の放射性金属廃棄物の処理方法であって、
    該放射性金属廃棄物を、その金属塩が水溶性であり酸化分解可能な脂肪族カルボン酸を含む除染液に浸漬して、前記放射性金属廃棄物の表面部を脂肪族カルボン酸金属塩として前記除染液中に溶出させて除染を行う化学的除染操作を含む放射性金属廃棄物の処理方法において、
    前記除染工程で発生する劣化除染液を電解して、陰極で前記カルボン酸金属塩の金属成分を析出させて回収するに際して、
    陽極として導電性基体が白金族金属又は白金族金属酸化物で被覆されたものを使用して、脂肪族カルボン酸を電解再生させる、
    ことを特徴とする放射性金属廃棄物の処理方法。
  2. 前記電解を、前記陽極として導電性基体がイリジウム又はイリジウム酸化物で被覆されたものを使用し、電流密度:0.0025〜0.01A/cmの条件で行うことを特徴とする請求項1記載の放射性金属廃棄物の処理方法。
  3. さらに、前記陽極で電解再生させた脂肪族カルボン酸を、除染液として、適宜、脂肪族カルボン酸を補充して、循環使用することを特徴とする請求項1又は2記載の放射性金属廃棄物の処理方法。
  4. さらに、前記陽極で電解再生させた脂肪族カルボン酸を酸化剤で分解するとともに、前記カルボン酸金属塩の残留金属イオンを水酸化物として沈殿させた後に、該沈殿水酸化物を、ろ過分離工程を経て廃棄することを特徴とする請求項1又は2記載の放射性金属廃棄物の処理方法。
  5. 前記酸化剤が過酸化水素であることを特徴とする請求項4記載の放射性金属廃棄物の処理方法。
  6. 前記脂肪族カルボン酸がギ酸であることを特徴とする請求項1又は2記載の放射性金属廃棄物の処理方法。
  7. 請求項2記載の放射性金属廃棄物の処理方法に使用する装置であって、除染槽、電解槽、該除染槽から電解槽への液送り手段、及び、該電解槽から除染槽への液戻し手段を備えていることを特徴とする放射性金属廃棄物の処理装置。
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