JPH10104396A - 化学除染方法およびその装置 - Google Patents

化学除染方法およびその装置

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JPH10104396A
JPH10104396A JP26163796A JP26163796A JPH10104396A JP H10104396 A JPH10104396 A JP H10104396A JP 26163796 A JP26163796 A JP 26163796A JP 26163796 A JP26163796 A JP 26163796A JP H10104396 A JPH10104396 A JP H10104396A
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reduction
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Riyouta Takahashi
陵太 高橋
Takeshi Kanezaki
健 金崎
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常の大気存在下で除染を行なうことがで
き、除染対象物上の酸化皮膜を酸化処理する場合も、還
元剤溶液と酸化剤溶液との交換を行なうことなく、二次
廃棄物量を低減することができる化学除染方法とその装
置を提供する。 【解決手段】 本発明の方法は、電極反応により2価希
土類錯体を還元生成する工程と、この工程で還元生成さ
れた2価希土類錯体により、除染対象物上の汚染物質を
含む酸化皮膜等を還元溶解する工程と、この還元溶解工
程で溶出した金属イオンを電極上に析出回収する工程
と、酸化剤により酸化皮膜を酸化する酸化処理工程と、
希土類錯体を回収する除染剤回収工程とを備えている。
また、本発明の装置は、カソード、アノード、参照電極
およびポテンショスタットを有し、希土類錯体を含む除
染液を収容した電解槽と、この電解槽と除染対象物とを
含む除染ループと、希土類イオンの電解回収槽を含む除
染剤回収ループと、除染液を循環させるポンプとを備え
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化学除染方法およ
びその装置に係わり、特に発電施設に設置された機器に
付着した汚染物質を含む金属酸化物等を化学的に除染す
るための方法、およびその方法に用いる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、原子力発電所のような発電施
設の機器に付着した汚染物質を含む金属酸化物やスケー
ルを化学的に除去する方法では、還元性を有する2価バ
ナジウムイオン(V2+)、2価クロムイオン(Cr2+
あるいは2価ニッケルイオン(Ni2+)が用いられてい
る。これらの2価金属イオンは、液中の酸化性化学種に
より容易に酸化される。また、反応性が大きく、溶媒で
ある水を容易に還元分解するため、除染剤として使用す
る際には、ピコリン酸やビピリジン(bpy)等のキレ
ート錯体として用い、かつ窒素やアルゴン等の不活性ガ
ス中で取り扱う必要があった。
【0003】また、ステンレス鋼のような除染対象物上
の酸化皮膜を酸化処理する場合に、除染対象物を含む系
統内の前記した還元剤の水溶液と、酸化剤の水溶液とを
交換する必要があり、交換後の還元剤水溶液を保管する
スペースを必要とした。さらに、この交換操作におい
て、還元剤水溶液に含まれる2価バナジウムイオン等の
錯体が、空気により酸化されて還元性を失なうため、酸
化処理後の還元剤としての再使用が不可能であり、大量
の除染廃液が生じるという問題があった。
【0004】さらに最近、特願平 7-90463号公報に記載
されているように、3価の希土類イオンの錯体(3価希
土類錯体)を2価に還元し、得られた2価希土類イオン
の錯体(2価希土類錯体)を除染剤として使用すること
が試みられている。この除染方法に用いられる2価希土
類錯体は、前記した2価バナジウム錯体および2価クロ
ム錯体に比べて、水溶液系において安定であるため、不
活性ガス雰囲気下でキレート錯体として使用する必要が
なく、また2価希土類錯体を電解槽中で還元再生するこ
とにより、除染液中の除染剤の濃度を低くして、二次廃
棄物の発生量を減少させることができる。
【0005】しかし、この方法でも、除染廃液の処理を
含めた酸化皮膜の酸化処理を、一連の除染工程に導入し
て効率的に行なうことが難しかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来
の化学除染方法においては、除染対象物上の酸化皮膜を
酸化処理する場合に、還元剤の水溶液と酸化剤の水溶液
とを交換しなければならないため、交換後の還元剤水溶
液を保管するスペースを必要とし、除染対象物の構造、
規模、配置条件等により、除染可能な範囲が制限され
た。また、還元剤として用いられる2価バナジウムイオ
ン等の錯体の反応性が大きいため、不活性ガス雰囲気下
で除染作業を行なう必要があるばかりでなく、このよう
な還元剤の水溶液を酸化剤の水溶液と交換する際に、空
気酸化されて還元性を失なうため、還元剤としての再使
用が不可能であり、その処理に伴う二次廃棄物が大量に
発生するという問題があった。
【0007】さらに従来の方法においては、還元剤によ
り還元溶解させた金属イオンを電極上に析出させ、電極
の極性を変えることで、析出した金属を剥離除去して回
収しているが、この方法では、金属の再溶解を伴うた
め、除染液中の金属イオンの濃度が増大し、その分二次
廃棄物の発生量が増加するという問題があった。
【0008】本発明は、これらの問題を解決するために
なされたもので、還元剤として2価希土類イオンの錯体
を用いて、通常の大気存在下で化学除染を行なうととも
に、除染対象物上の酸化皮膜を酸化処理する場合も、還
元剤溶液と酸化剤溶液との交換を行なうことなく、単一
の除染液系で行なうことができ、二次廃棄物量を大幅に
低減することができる化学除染方法と、その方法に使用
する化学除染装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の化学除染方法
は、電極反応により2価の希土類イオンの錯体を還元生
成する還元生成工程と、前記還元生成工程で還元生成さ
れた2価希土類イオンの錯体により、除染対象物上の汚
染物質を含む酸化皮膜およびスケールを還元し溶解させ
る還元溶解工程と、前記還元溶解工程で溶出した金属イ
オンを電極上に析出回収する析出回収工程と、酸化剤に
より前記酸化皮膜を酸化する酸化処理工程と、前記希土
類イオンの錯体を回収する除染剤回収工程とを備えたこ
とを特徴とする。
【0010】また、本発明の化学除染装置は、カソー
ド、アノード、参照電極およびポテンショスタットをそ
れぞれ具備し、希土類イオンの錯体を含む除染液を収容
した電解槽と、前記電解槽と除染対象物とを含む除染ル
ープと、前記希土類イオンの電解回収槽を含む除染剤回
収ループと、前記除染液を前記除染ループに循環させる
ポンプとを備えたことを特徴とする。
【0011】本発明の化学除染方法の原理を、図1に示
す。
【0012】本発明においては、還元剤(除染剤)とし
て、2価希土類イオンの錯体(Ln2+)を使用する。図
1に示すように、3価希土類イオンの錯体(Ln3+)を
含む溶液をカソード1により還元電解して、2価希土類
錯体(Ln2+)を生成し、これを、除染対象物2上の汚
染物質を含む酸化皮膜3およびスケールに作用させて還
元溶解する。そして、酸化皮膜3やスケールの還元後に
3価に戻った希土類錯体を、再びカソード1上で還元電
解して2価希土類錯体とし、酸化皮膜3等の還元溶解に
用いる。
【0013】反応後3価になった希土類錯体は、還元電
解により容易に2価希土類錯体に再生されるので、原理
的には、除染剤水溶液系に 1分子の希土類錯体が存在す
れば酸化皮膜3等を還元溶解することができ、溶解すべ
き酸化皮膜3等の量に対して化学当量以下の2価希土類
錯体により、十分に除染を行なうことができる。
【0014】ここで、還元剤として使用する2価希土類
錯体について説明する。希土類元素の中で、ユウロピウ
ム(Eu)、サマリウム(Sm)、ツリウム(Tm)、
およびイッテルビウム(Yb)が2価の酸化状態をとる
ことが知られており、これらのイオンの錯体を使用する
ことができる。特に2価のEuイオンの錯体を使用する
ことが望ましい。
【0015】Euイオン、SmイオンおよびYbイオン
の3価(III)/2価(II)の標準酸化還元電位(E0 v
s.標準水素電極(NHE))を、還元性を有する化学
除染剤として従来から使用されているバナジウム(V)
イオン、クロム(Cr)イオンおよびシュウ酸の標準酸
化還元電位とともに、図2に示す。
【0016】この図から明らかなように、Eu(III)/
Eu(II)の標準酸化還元電位(E0 =-0.429Vvs.N
HE)は、シュウ酸(E0 =-0.490Vvs.NHE)とV
(III)/V(II)(E0 =-0.256Vvs.NHE)との中
間にあり、Eu(II)イオンは還元剤としてエネルギー
的に適当な位置にあると言える。
【0017】本発明では、酸化皮膜3およびスケールの
還元溶解により、除染液中に溶出してくる金属イオン
は、2価希土類錯体を還元生成する電位に制御されたカ
ソード上で、金属として析出し回収される。そして、原
子力発電施設における除染対象機器では、酸化皮膜3等
の還元溶解に伴なって放射能(放射性物質)も溶出し、
この放射能も同様にカソード上で電析捕集されるので、
除染液系の浄化が行われる。
【0018】酸化皮膜3やスケールの還元溶解後、除染
液中の2価希土類錯体に対して過剰の酸化剤を添加し
て、除染液系を酸化剤水溶液にし、この酸化剤水溶液に
より、除染対象物上の酸化皮膜3を酸化処理する。酸化
処理により、例えば酸化皮膜3等に含まれるクロム成分
が酸化され、これが次の還元溶解工程で、クロム酸イオ
ン(CrO4-またはCr2 7 2-)として溶解される。
【0019】酸化処理後、除染液を再び還元電解して2
価希土類錯体を生成する。こうして再生した2価希土類
錯体により、除染液中の過剰の酸化剤は還元または分解
される。溶存している酸化剤の全量が還元または分解さ
れ、除染液系が酸化性を消失した後、さらに2価希土類
錯体の生成を続けて濃度を上昇させ、この2価希土類錯
体により酸化処理後の酸化皮膜を還元溶解する。
【0020】このように本発明においては、2価希土類
錯体の還元生成、2価希土類錯体による除染対象物上の
酸化皮膜等の還元溶解、酸化剤による除染対象物上の酸
化皮膜の酸化処理、還元生成した2価希土類錯体による
過剰酸化剤の分解と酸化処理後の酸化皮膜の還元溶解と
いう、一連の工程を繰り返すことにより、除染対象物上
の汚染物質を含む酸化皮膜およびスケールが除去されて
ゆき、同時に酸化皮膜等からの溶出金属イオンおよび放
射能は、電極上に析出回収される。そして、析出回収し
た金属や放射能を含む電極は、遮蔽され、適当な期間保
管された後廃棄処分される。また、このような除染終了
後、除染剤である希土類錯体は、別の電解槽で電解する
などの方法で、水酸化物等の塩として、あるいは特に希
土類金属をメッキしたカソード上では金属として、それ
ぞれ回収される。
【0021】このように本発明では、還元剤として使用
されるEu(II)イオンのような2価希土類イオンの錯
体が、水溶液系で比較的安定であるため、従来からのL
OΜI法におけるV(II)イオン錯体が空気中で不安定
で、不活性ガス雰囲気下での除染作業を余儀なくされて
いるのに対して、大気開放系で除染作業を実施すること
ができ、また二次廃棄物量を大幅に低減することができ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づいて説明する。
【0023】図3は、本発明の化学除染方法の一実施例
のフローを示している。
【0024】このフロー図では、まず還元生成工程にお
いて、3価希土類錯体を含む溶液を、電解槽および除染
対象機器を含む除染系統に導入し、昇温するとともに系
統内を循環させ、電解槽のカソード上で3価希土類錯体
を2価希土類錯体に還元する。次いで、こうして還元生
成された2価希土類錯体により、除染工程において、除
染対象物上の汚染物質を含む酸化皮膜およびスケールを
還元して溶解し、同時に、還元溶解により酸化皮膜等か
ら溶出してくる鉄、コバルト、ニッケルなどの金属イオ
ンを、同じカソード上で金属として析出回収する。この
とき、酸化皮膜等の溶解により、これらに含まれている
放射能(放射性物質)も除染液中に溶出するので、この
放射能も同時にカソード上に析出回収して、除染液の浄
化を行なう。
【0025】このような除染対象物上の酸化皮膜および
スケールの還元溶解により、希土類イオンの価数が2価
から3価に戻った希土類錯体は、カソードにより再び2
価に還元され、続けて酸化皮膜等の還元溶解に供せられ
る。
【0026】次いで、このような希土類錯体の還元電解
を停止した後、酸化処理工程において、除染系統内の除
染液中に溶存している2価希土類錯体の量よりも過剰の
酸化剤を導入して、除染液を酸化剤を含む水溶液とし、
この水溶液により除染対象物上の汚染物質を含む酸化皮
膜等を酸化処理する。
【0027】そして酸化処理後、還元生成工程で再び還
元電解を開始することにより、除染液中の3価希土類錯
体を2価希土類錯体に還元する。このとき、再び還元生
成された2価希土類錯体により、除染液中の酸化剤が分
解あるいは還元され、酸化剤の全量が還元された後、除
染液中に2価希土類錯体の量が増加することにより、除
染液は再び還元性を有するようになる。こうして再び生
成された2価希土類錯体により、再除染工程が実施さ
れ、酸化処理工程で酸化処理された酸化皮膜等が還元溶
解され、同時に溶出してくる金属イオンがカソード上に
析出回収される。
【0028】以上の工程を繰り返すことにより、除染対
象物上の汚染物質を含む酸化皮膜およびスケールが除去
される。
【0029】こうして除染を終了した後、除染液中に含
まれる希土類錯体を、除染剤回収工程で、電解により水
酸化物または金属として回収する。回収物は、次回の化
学除染の際に酸に溶解されて再利用される。また、除染
剤が回収された後の除染液には、化学種として酸化剤の
カウンターカチオンが含まれているので、イオン交換樹
脂に通してカチオンを除去した後、水として処理するこ
とができる。
【0030】次に、希土類錯体としてユウロピウム(E
u)錯体を選択し、このようなフローにしたがって除染
を行なう実施例について、さらに説明する。
【0031】各種のEu(III)塩水溶液(25℃)におけ
るEu(III)/Eu(II)の銀/塩化銀(Αg/AgC
l)電極に対する酸化還元電位を、それぞれ表1に示
す。
【0032】
【表1】 この実施例においては、ポテンショスタット(電位可変
器)を用いてカソードの電位を、Αg/AgCl電極に
対して表1に示した電位近傍に制御することにより、E
u(II)イオンの錯体が生成する。そして、このEu
(II)錯体が、除染対象物上の酸化皮膜およびスケール
を還元して溶解する。
【0033】Eu(III)塩水溶液を還元電解したEu
(II)塩水溶液による、四三酸化鉄(マグネタイト、F
3 4 )の平均溶解速度(70℃)を、表2に示す。な
お、平均溶解速度は、単位時間当たり単位量のユウロピ
ウムに対して溶解した鉄の量で示している。
【0034】
【表2】 表2から、カウンターアニオンとして酢酸イオン(CH
3 COO- )を有する、酢酸ユウロピウム(Eu(CΗ
3 COO)3 )およびEu(CΗ3 COO)3にギ酸
(HCOOΗ)を添加した系において、マグネタイトの
溶解速度が最も大きく、次いで過塩素酸塩(Eu(Cl
Ο4 3 )の系で溶解速度が大きいことがわかる。
【0035】このように、還元生成したEu(II)錯体
の種類により、酸化皮膜およびスケールの還元溶解速度
が変化し、酢酸ユウロピウムおよび酢酸ユウロピウムと
ギ酸を加えた除染液において、酸化皮膜等の還元溶解速
度が大きくなる。また、安定度定数の大きいキレートが
配位したEu(III)錯体では、酸化皮膜等の還元溶解速
度が小さくなり、例えばキレート剤であるピコリン酸を
過塩素酸ユウロピウム(III)に対して 1: 1の比で添加
したときと、 2: 1の比で添加したときとでは、還元溶
解速度がピコリン酸の量に依存して減少する。したがっ
て、キレート剤を酢酸ユウロピウム(III)水溶液や過塩
素酸ユウロピウム(III)水溶液に添加することにより、
酸化皮膜等の還元溶解速度を制御することができる。さ
らに、単座配位子であるモノカルボン酸、モノアミン、
1価アルコールを過塩素酸ユウロピウム(III)に対して
添加することにより、酸化皮膜等の溶解速度を上げるこ
とができる。
【0036】こうして酸化皮膜およびスケールを還元溶
解した後、3価に戻ったユウロピウム(Eu)錯体のよ
うな希土類錯体は、電位を制御されたカソード上で再び
2価に還元され、同時に除染液中に溶出した鉄、コバル
ト、ニッケルなどの金属イオンが、カソード上に金属と
して析出する。ステンレス系の材料においては、2価希
土類錯体による還元溶解後、クロム成分を含む酸化皮膜
等が溶解せずに除染対象物上に残留するため、これを酸
化剤により酸化処理してから、2価希土類錯体により還
元溶解する。
【0037】実施例では、酸化剤として、過マンガン酸
イオンまたは4価のセリウムイオンを含む化学種が選択
される。これらの酸化剤は、除染対象物上の酸化皮膜等
を酸化処理した後、還元電解の再開で再び還元生成した
2価希土類錯体により還元され、過マンガン酸イオンの
場合は、二酸化マンガン(MnΟ2 )を経て2価マンガ
ンイオン(Mn2+)にまで分解されて、酸化性を失な
う。こうして除染液中には、過マンガン酸イオンまたは
4価セリウムイオンが存在しなくなり、代わりに還元再
生された2価希土類錯体が溶存するようになるので、過
マンガン酸イオンまたは4価セリウムイオンにより酸化
処理された酸化皮膜等は、この2価希土類錯体により還
元溶解される。
【0038】次に、本発明の化学除染装置の実施例につ
いて説明する。
【0039】実施例の化学除染装置は、図4に示すよう
に、希土類錯体を含有する除染液を収容した電解槽4
と、電解槽4を含む除染ループ5と、複数の除染対象物
6を含む除染対象ループ7と、希土類錯体を回収するた
めの電解回収槽8を含む除染剤回収ループ9と、除染液
を除染ループ5および除染対象ループ7に循環させるポ
ンプ10から成っている。なお、図中符号11、12、
13、14はそれぞれバルブを示し、15はイオン交換
樹脂塔を示している。
【0040】この化学除染装置においては、希土類錯体
として酢酸ユウロピウム(Eu(CH3 COO)3 )、
酸化剤として過マンガン酸カリウム(KΜnO4 )をそ
れぞれ使用し、以下に示すようにして系統除染が行なわ
れる。
【0041】すなわち、除染時には、除染剤回収ループ
9へのバルブ12、13およびイオン交換樹脂塔15へ
のバルブ14が閉じられ、除染ループ5と除染対象ルー
プ7に、Eu(CΗ3 COO)3 を溶解した水溶液(除
染液)がそれぞれ満たされ、ヒーターで50℃以上に加熱
昇温され、ポンプ10により循環される。そして、この
除染液が熱平衡状態に達した時点で、電解槽4内で電気
分解を開始する。電解槽4と除染対象物6を含む除染対
象ループ7とは直接連結されているので、電解槽4で還
元生成したEu(II)錯体の水溶液は、除染対象ループ
7に速やかに導入され、除染対象物6上の汚染物質を含
む酸化皮膜およびスケールを還元溶解する。除染対象ル
ープ7を通った除染液は、除染ループ5を通って再び電
解槽4内に導入され、ここで除染液中に含まれるEu
(III)錯体がEu(II)錯体に還元され、再び除染対象
ループ7に導入される。
【0042】除染終了後は、除染ループ5を形成するバ
ルブ11が閉じられ、除染剤回収ループ9へのバルブ1
2、13がそれぞれ開放されて、除染廃液が、ポンプ1
0により除染剤回収ループ9に導入され循環される。除
染廃液は電解回収槽8内で電解され、除染廃液に含まれ
るEu(III)およびEu(II)錯体が、水酸化ユウロピ
ウム(III)(Eu(OH)3 )および金属ユウロピウム
(Eu)となり、回収される。そして、このような除染
剤回収ループ9内に残った除染廃液は、バルブ14の開
放によりイオン交換樹脂塔15に導入され、イオン交換
樹脂塔15を通過した後水として系外に排出される。
【0043】次に、このような化学除染装置の各部と、
このような装置を使用した実施例の各工程についてさら
に詳述する。
【0044】2価希土類錯体の還元生成工程および除染
工程では、図5に示すように、カソード1、アノード1
6、参照電極17、電源およびポテンショスタット18
をそれぞれ備えた電解槽4内で、除染液に含まれる3価
ユウロピウム(Eu(III))錯体が、カソード1により
2価ユウロピウム(Eu(II))錯体に還元される。こ
こで、カソード1はチタン(Ti)から構成されたウー
ル状または多孔質状の電極であり、Eu(II)錯体を還
元生成するために、電源およびポテンショスタット18
によって、Ag/AgCl参照電極に対する電位が、-
0.5から-2.0Vに制御されている。なお、カソード1の
電位は、参照電極が標準水素電極の場合には 0から-1.8
Vに、カロメル電極の場合には-0.2から-2.0Vに、それ
ぞれ制御される。
【0045】このような電解槽4内および除染対象物を
含む除染対象ループ内に、水を導入し、その中にEu
(CH3 COO)3 または濃縮されたEu(CΗ3 CO
Ο)3水溶液を注入し、ポンプにより除染ループおよび
除染対象ループ内に循環させて、5mmol/dm3 のEu(C
Η3 COO)3 水溶液とする。そして、70℃以上に昇温
後、カソード1の電位を、参照電極17であるΑg/A
gCl電極に対して-0.5から-2.0Vの間に制御し、電流
密度(j)を 10A/m2 以上に設定した定電流電解で、E
u(CΗ3 COO)3 水溶液の還元電解を開始する。電
位制御されたカソード上において、Eu(CH3 CO
O)3 水溶液中のEu(III)錯体がEu(II)錯体に還
元される。除染対象ループへの循環により、ループ内の
除染液中のΕu(II)錯体の濃度が上昇する。またこの
とき、ギ酸(HCOOH)を添加することで、除染液の
pΗを3から4の間の一定の値に制御することが望まし
い。
【0046】このような定電流電解によるEu(II)錯
体の還元生成では、電解時の電流密度を 10A/m2 以上に
設定しておき、電極を可動させることにより、カソード
1の電位を参照電極17に対して前記した範囲に制御す
ることができる。すなわち、図5において、アノード1
6を上下左右に動かしカソード1との距離を調整するこ
とにより、カソード1の電位を制御することができ、同
様にカソード1を、電解槽4の底部に切られた溝19に
沿って前後左右に動かしアノード16との距離を調整す
ることにより、カソード1の電位を制御することができ
る。さらに、別の方法として、電解槽内の除染液に酸を
添加して酸濃度を調整することにより、カソード1の電
位を制御することも可能である。
【0047】除染工程では、還元生成したEu(II)錯
体により、除染対象物上の汚染物質を含む酸化皮膜およ
びスケールが還元溶解され、鉄イオン、コバルトイオ
ン、ニッケルイオンおよびコバルト60(60Co)などの
放射性核種のイオンが除染液中に溶出してくるが、これ
らのイオンは、Ag/AgCl参照電極17に対して-
0.5から-2.0Vの間に電位制御されたカソード1上にお
いて、金属20として析出して回収され、こうして除染
液中の放射能濃度の上昇が抑制される。
【0048】実施例では、電解槽4への除染液導入口に
おいて除染液を採取して、鉄イオン、コバルトイオン、
ニッケルイオンおよびコバルト60等の放射性核種イオン
の濃度を測定し、これらのイオン濃度が減少し、検出下
限値付近に到達したとき、電解槽4での還元電解を停止
して、Eu(II)錯体による除染対象物上の酸化皮膜等
の還元溶解を止める方法が採られる。
【0049】次いで、酸化処理工程において、除染ルー
プおよび除染対象物を含む除染対象ループに、酸化剤と
して、除染液に溶存しているEu(II)錯体に対して過
剰量の過マンガン酸カリウムを導入して、遊離の過マン
ガン酸イオンの濃度が3mmol/dm3 になるように調整し、
このような酸化剤溶液を除染ループおよび除染対象ルー
プ内に循環させたままで数時間放置放置する。なお、過
マンガン酸カリウムの代わりに、過マンガン酸リチウ
ム、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸セシウム、
過マンガン酸銀、過マンガン酸バリウム、過マンガン酸
カルシウム等を用いることも可能である。こうして、除
染対象物上の汚染物質を含む酸化皮膜等を酸化処理した
後、カソード1を参照電極17であるΑg/AgCl電
極に対して-0.5から-2.0Vの電位に制御し、電流密度を
10A/m2 以上に設定した定電流電解で、過マンガン酸カ
リウム水溶液を含むΕu(CH3 COO)3 水溶液の還
元電解を再び開始する。
【0050】この工程では、図6に示すように、除染液
中のEu(III)錯体は、カソード上でEu(II)錯体に
還元され、生成したEu(II)錯体と、過マンガン酸カ
リウム水溶液中の過マンガン酸イオンとが酸化還元反応
を起こし、過マンガン酸イオンが還元され、二酸化マン
ガンを経て2価のマンガンイオン(Mn(II))にまで
分解される。過マンガン酸イオンとの反応により3価の
酸化状態に戻ったEu(III)錯体は、カソード1上で繰
り返しEu(II)錯体に還元され、こうして除染液中に
溶存している過マンガン酸イオンが完全に消失するまで
酸化還元反応が続けられる。そして、過マンガン酸イオ
ンおよび二酸化マンガンが還元分解されて生成したMn
(II)イオンは、Αg/AgCl電極に対して-0.5から
-2.0Vの間の電位に制御されたカソード1上に、金属2
0(マンガン)として析出し回収される。また、一部の
Mn(II)イオンは、アノード16上にマンガン酸化物
21として析出回収される。酸化剤の過マンガン酸イオ
ンおよび二酸化マンガンに特有な紫色および茶色がそれ
ぞれ完全に消失した後も、Eu(II)錯体の還元生成を
続け、過マンガン酸カリウムにより酸化処理された除染
対象物上の酸化皮膜等を、生成したEu(II)錯体によ
り還元溶解する。
【0051】こうして実施例では、除染対象物上の汚染
物質を含む酸化皮膜およびスケールが完全に溶解除去さ
れるまで、Eu(CH3 COO)3 水溶液の還元電解に
より生成したEu(II)錯体による還元溶解と、酸化剤
である過マンガン酸カリウム水溶液による酸化処理が繰
り返される。
【0052】除染対象物上の酸化皮膜等の酸化処理工程
では、過マンガン酸イオンの代わりに、4価セリウムイ
オン(Ce(IV))を使用することができる。すなわ
ち、電解槽4の電解を止めてEu(II)の還元生成を停
止させた後、硝酸セリウム(III)や硫酸セリウム(III)
のようなセリウム塩を、除染対象物を含む除染対象ルー
プに、除染液中に溶存しているEu(II)錯体に対して
過剰な量だけ導入する。そして、電解槽4中にオゾン
(O3 )を通じて除染液をバブリングし、Ce(III)イ
オンをCe(IV)イオンに酸化した後、生成したCe
(IV)イオンとオゾンを含む酸化剤溶液を、除染ループ
および除染対象ループ内に循環させながら放置する方法
を採ることができる。さらに、このようなオゾンによる
Ce(IV)イオンの酸化生成に代わり、アノード16上
でCe(IV)を酸化生成する方法を採ることもできる。
【0053】こうして除染対象物上の汚染物質を含む酸
化皮膜等を溶解除去した後、電解槽4を含む除染ループ
を除染剤回収ループに接続し、以下に示すようにして、
除染剤の回収を行なう。すなわち、除染終了後の除染廃
液には、Eu(CΗ3 COΟ)3 、ΗCOOH、および
カリウムイオンがそれぞれ溶存しているので、図7に示
すように、電解回収槽8内でカソード1をEu(II)錯
体の還元生成と同じ条件に設定し、除染廃液を電気分解
する。このような電解により、アノード16上で、有機
酸成分である酢酸およびギ酸が二酸化炭素(CO2 )と
水(H2 O)とに分解される。また、カソード1上では
水素が発生するため、カソード1近傍においてpHが上
昇し、水酸化ユウロピウム(III)(Eu(OΗ)3 )2
2がカソード1上に析出する。
【0054】こうして、除染廃液中に含まれているΕu
(III)錯体が、Eu(OH)3 22として除去された
後、pHの高い除染廃液中に含まれている化学種は、過
マンガン酸カリウムからのカリウムイオンのみであるの
で、これをイオン交換樹脂塔を通して除去することによ
り、除染廃液を水として系統外に排出することができ
る。
【0055】除染廃液中に含まれているΕu(III)錯体
の別の回収方法としては、カソード1として、金属Eu
または金属EuをメッキしたTi電極を用いて電解を行
なう方法がある。金属Eu等からなるカソード1の電位
を、参照電極であるAg/AgCl電極に対して-2.0V
以下に制御し、電流密度 10A/m2 以上で定電流電解を行
なうことにより、除染廃液中のEu(III)錯体を金属E
uとして回収することができる。
【0056】除染終了後、電解槽4内のウール状または
多孔質状のカソード1上に析出回収された放射能を含む
各種の金属は、カソード1ごと取り外され、保管または
処分される。また、除染剤回収工程で、除染廃液から電
解回収槽8内のカソード1上に析出回収されたEu(O
H)3 22は、次回の除染に再利用される。再利用の際
には、回収されたEu(ΟH)3 22を電解槽4に入れ
て酢酸に溶解させ、Eu(CH3 COO)3 水溶液とし
た後、参照電極17であるΑg/AgCl電極に対して
カソード1を-0.5から-2.0Vの間に電位制御し、電流密
度を 10A/m2 以上に設定して定電流電解することによ
り、還元剤であるEu(II)錯体が還元生成される。一
方、金属Euとしての回収物は、酢酸水溶液中において
陽極電解され、Eu(CH3 COO)3 水溶液に戻され
た後、同様に除染剤として再使用される。
【0057】なお、以上の実施例においては、電解槽4
内でEu(II)錯体を還元生成するためのカソード1と
して、ウール状または多孔質状のTi電極を使用した
が、このような電極の使用により、除染液に対する接液
面積が増大し、Eu(II)イオンの還元生成率が上昇す
ることは、以下に示す測定により確かめられた。
【0058】すなわち、カソード1として、表面積
(S)が50cm2 ( 5cm× 5cm× 2)と 200cm2 (10cm×
10cm× 2)の2種類の平板状のΤi電極と、ウール状の
Ti電極をそれぞれ用い、Eu(CH3 COΟ)3 水溶
液(Eu濃度CEu=5mmol/dm3 )を定電流で還元電解し
たときのEu(II)イオンの濃度を測定し、Eu(II)
イオンの生成率(CEu 2+/CEu)の経時変化を求めた。
結果を図8に示す。
【0059】図8のグラフから、表面積Sが同じ(50cm
2 )平板状のTi電極では、電流密度(j)が大きい場
合に、Eu(II)イオンの生成率(CEu 2+/CEu)が大
きくなり、また形状が同じ平板状のTi電極で電流量
(i)が等しい( 300mA)場合には、電極の表面積が大
きくなるほどCEu 2+/CEuが増大することがわかる。そ
して、ウール状のTi電極を用いた場合のCEu 2+/CEu
が最も大きく、還元電解後約 1時間経過した時点で、そ
の値(CEu 2+/CEu)が 0.5を越えることがわかる。
【0060】次に、カソードとして、ウール状のTi電
極に代えて、ガリウム・インジウム電極を使用し、定電
流電解によるEu(II)錯体の還元生成を行なった実施
例について説明する。
【0061】図9に示す実施例では、ガリウム/インジ
ウムの質量比が3で、常温において液体のガリウム・イ
ンジウム液体カソード23を使用する。そして、電解時
の電流密度を 10A/m2 以上に設定しておき、電極を以下
に示すように可動させることにより、液体カソード23
の電位を参照電極17に対して制御する。すなわち、ア
ノード16を上下に可動させてガリウム・インジウム液
体カソード23との距離を調整することにより、あるい
はカソードであるガリウム・インジウム液体の液柱の高
さを上下に可動させて、アノード16との距離を調整す
ることにより、液体カソード23の電位を、参照電極1
7がAg/AgCl電極の場合は-0.5から-2.0Vに、標
準水素電極の場合は 0から-1.8Vに、カロメル電極の場
合は-0.2から-2.0Vにそれぞれ制御する。なお、符号2
4は、ガリウム・インジウム液体溜めを示す。
【0062】こうしてEu(II)錯体を還元生成し、こ
の錯体により除染対象物上の汚染物質を含む酸化皮膜等
を還元溶解した場合は、酸化皮膜等から溶出してくる鉄
イオン、コバルトイオン、ニッケルイオンおよびコバル
ト60等の放射性核種のイオンは、ガリウム・インジウム
液体カソード23の表面に金属20として析出し、析出
した金属20の一部はガリウム・インジウム液体カソー
ド23に固溶する。したがって、除染終了時に、電解槽
底部よりガリウム・インジウム液体を抜き、電解槽4底
部に残留する放射能を含む金属片を取出して廃棄処分す
る。
【0063】ガリウム・インジウム合金では、インジウ
ムの質量をガリウムに対して増加させるとペースト状に
変化する。図10に示す実施例では、こうしてペースト
状にしたガリウム・インジウム合金を電解槽4の一部に
塗装し、この塗装体を電源18の陰極に結線しカソード
25として用いる。そして、このようなガリウム・イン
ジウムペースト状カソード25の電位制御を、アノード
16を上下前後左右に移動させることにより行なって、
Eu(II)錯体を還元生成し、この錯体により除染対象
物上の汚染物質を含む酸化皮膜およびスケールを還元溶
解する。
【0064】なお、図8のグラフから明らかなように、
電流量(i)が等しい場合は、電極の表面積が大きくな
るにしたがってEu(II)イオンの生成率(CEu 2+/C
Eu)が増大するため、ガリウム・インジウムペーストを
塗装する面積により、カソード25の電位を制御し、E
u(II)錯体の還元電解生成を調整することもできる。
【0065】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、除染剤として比較的安定な希土類錯体が用い
られているので、不活性ガス中で除染を行なう必要がな
く、大気開放下で除染を行なうことができる。また、2
価希土類錯体は水素イオンを直接発生しないため、酸に
よる母材の腐食が抑制される。
【0066】また、除染中に電極反応により還元剤であ
る2価希土類錯体を再生しているので、除染対象物上の
金属酸化物と当量の還元剤を必要とせず、さらに除染途
中で酸化被膜等から溶出した金属イオンをカソード上で
析出回収しているので、溶出した金属イオンに相当する
量のイオン交換樹脂による浄化が必要でなく、最終的に
生じる二次廃棄物量を減容することができる。
【0067】またさらに、除染中に溶出してくる放射能
を含む金属イオンをカソード上に析出回収しているの
で、除染系統内の放射能レベルが上がらない。さらに、
ステンレス鋼等の酸化皮膜の酸化処理に使用する酸化剤
が、還元生成した2価希土類錯体により還元処理される
ため、酸化剤水溶液と還元剤水溶液とを交換することな
く処理することができ、この点でも二次廃棄物量を減容
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化学除染方法の原理を示す図。
【図2】還元性を有する化学除染剤の標準酸化還元電位
を示すグラフ。
【図3】本発明の化学除染方法の一実施例を示すフロー
図。
【図4】本発明の化学除染装置の一実施例を概略的に示
す図。
【図5】実施例の還元生成工程および除染工程におい
て、電解槽内のイオン等の状態を示す図。
【図6】実施例において、酸化処理工程後過剰酸化剤の
還元分解により生じたイオン等の回収状態を示す図。
【図7】除染剤回収工程において、電解回収槽内での酢
酸ユウロピウムおよびギ酸等の電気分解を示す図。
【図8】Eu(II)イオンの還元生成率(CEu 2+
Eu)の経時変化を示すグラフ。
【図9】ガリウム・インジウム液体カソードを使用して
還元生成工程および除染工程を行なった実施例におい
て、電解槽内でのイオン等の状態を示す図。
【図10】ガリウム・インジウムペースト状カソードを
使用して還元生成工程および除染工程を行なった実施例
において、電解槽内でのイオン等の状態を示す図。
【符号の説明】
1………カソード 2、6………除染対象物 4………電解槽 5………除染ループ 7………除染対象ループ 8………電解回収槽 9………除染剤回収ループ 10………ポンプ 11、12、13、14………バルブ 15………イオン交換樹脂塔 16………アノード 17………参照電極 18………電源およびポテンショスタット 19………電極可動溝 20………析出金属 23………ガリウム・インジウム液体カソード 25………ガリウム・インジウムペースト状カソード

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極反応により2価の希土類イオンの錯
    体を還元生成する還元生成工程と、前記還元生成工程で
    還元生成された2価希土類イオンの錯体により、除染対
    象物上の汚染物質を含む酸化皮膜およびスケールを還元
    し溶解させる還元溶解工程と、前記還元溶解工程で溶出
    した金属イオンを電極上に析出回収する析出回収工程
    と、酸化剤により前記酸化皮膜を酸化する酸化処理工程
    と、前記希土類イオンの錯体を回収する除染剤回収工程
    とを備えたことを特徴とする化学除染方法。
  2. 【請求項2】 前記希土類イオンが、サマリウム、ユウ
    ロピウム、ツリウム、イッテルビウムの各イオンから選
    択されたイオンであることを特徴とする請求項1記載の
    化学除染方法。
  3. 【請求項3】 前記酸化剤が、過マンガン酸イオンまた
    は4価のセリウムイオンを含む化学種であることを特徴
    とする請求項1または2記載の化学除染方法。
  4. 【請求項4】 前記還元生成工程における2価希土類イ
    オン錯体の還元生成と、前記析出回収工程における金属
    イオンの析出回収とを、同一のカソード上で同時に行な
    うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載
    の化学除染方法。
  5. 【請求項5】 前記還元生成工程において、参照電極に
    対してカソードを所定の電位に制御し、3価の希土類イ
    オン錯体の水溶液を 10A/m2 以上の電流密度で定電流電
    解することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項
    記載の化学除染方法。
  6. 【請求項6】 前記酸化処理工程後、前記酸化剤の過剰
    量を還元生成された2価希土類イオンの錯体により還元
    し分解することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか
    1項記載の化学除染方法。
  7. 【請求項7】 カソード、アノード、参照電極およびポ
    テンショスタットをそれぞれ具備し、希土類イオンの錯
    体を含む除染液を収容した電解槽と、前記電解槽と除染
    対象物とを含む除染ループと、前記希土類イオンの電解
    回収槽を含む除染剤回収ループと、前記除染液を前記除
    染ループに循環させるポンプとを備えたことを特徴とす
    る化学除染装置。
  8. 【請求項8】 前記カソードが、ウール状または多孔質
    状のチタン電極であることを特徴とする請求項7記載の
    化学除染装置。
  9. 【請求項9】 前記カソードが、ガリウム・インジウム
    合金の液体電極またはペースト状電極であることを特徴
    とする請求項7記載の化学除染装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005537462A (ja) * 2002-07-08 2005-12-08 コミツサリア タ レネルジー アトミーク 表面汚染除去のための組成物、気泡および方法
JP2010151596A (ja) * 2008-12-25 2010-07-08 Chubu Electric Power Co Inc 放射性金属廃棄物の処理方法
JP2011515687A (ja) * 2008-03-28 2011-05-19 アレヴァ エンペー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 原子力蒸気発生器の湿式化学方式による洗浄の際に生じる洗浄溶液を調整する方法
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KR20210041658A (ko) * 2019-10-07 2021-04-16 한국원자력연구원 SP-HyBRID 제염 공정 후 용액의 망간을 제거하는 방법 및 이를 포함하는 SP-HyBRID 제염 공정

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