JP2011018881A - 圧電薄膜素子及びそれを備えた圧電薄膜デバイス - Google Patents

圧電薄膜素子及びそれを備えた圧電薄膜デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】圧電特性及び生産性に優れた圧電薄膜素子及びそれを用いた圧電薄膜デバイスを提供する。
【解決手段】基板1上に少なくとも接着層2、下部電極3、一般式(NaxyLiz)NbO3(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦0.2、x+y+z=1)で表される圧電薄膜5、及び上部電極を積層した圧電薄膜素子であって、圧電薄膜5が、擬立方晶、正方晶または斜方晶のいずれか一つの結晶構造を有するか、若しくは擬立方晶、正方晶または斜方晶の少なくとも二つが共存した結晶構造を有しており、それら結晶軸のうち2軸以下のある特定の軸に優先的に配向しており、かつ配向している結晶軸のうち少なくとも1つの結晶軸と、基板1表面の法線とのなす角度が、0°から10°の範囲内にある。
【選択図】図6

Description

本発明は、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウムなどからなる圧電薄膜を有する圧電薄膜素子及びそれを備えた圧電薄膜デバイスに関する。
圧電体は種々の目的に応じて様々な圧電素子に加工され、電圧を加えて変形を生じさせるアクチュエータや、素子の変形から電圧を発生するセンサなどの機能性電子部品として広く利用されている。アクチュエータやセンサの用途に利用されている圧電体としては、大きな圧電特性を有する鉛系の誘電体、特にPZTと呼ばれるPb(Zr1-xTix)O3系のペロブスカイト型強誘電体がこれまで広く用いられており、通常、個々の元素からなる酸化物を焼結することにより形成されている。また、近年では環境への配慮から鉛を含有しない圧電体の開発が望まれており、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム(一般式:(NaxyLiz)NbO3(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦0.2、x+y+z=1)等の開発が進められている。このニオブ酸リチウムカリウムナトリウムは、PZTに匹敵する圧電特性を有することから、非鉛圧電材料の有力な候補として期待されている。
一方、現在、各種電子部品の小型化かつ高性能化が進むにつれ、圧電素子においても小型化と高性能化が強く求められるようになった。しかしながら、従来からの製法である焼結法を中心とした製造方法により作製した圧電材料は、その厚さが特に10μm以下の厚さになると、材料を構成する結晶粒の大きさに近づき、その影響が無視できなくなる。そのため、特性のばらつきや劣化が顕著になるといった問題が発生し、それを回避するために、焼結法に変わる薄膜技術等を応用した圧電体の形成法が近年研究されるようになってきた。
最近、RFスパッタリング法で形成したPZT薄膜が高精細高速インクジェットプリンタのヘッド用アクチュエータや、小型低価格のジャイロセンサとして実用化されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。また、鉛を用いないニオブ酸リチウムカリウムナトリウムの圧電薄膜を用いた圧電薄膜素子も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平10−286953号公報 特開2007−19302号公報
中村僖良監修 圧電材料の高性能化と先端応用技術(サイエンス&テクノロジー刊 2007年)
非鉛系の圧電薄膜を有する圧電薄膜素子を形成することにより、環境負荷の小さい高精細高速インクジェットプリンタ用ヘッドや小型低価格なジャイロセンサを作製することができる。圧電薄膜の具体的な候補として、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウムの薄膜化の基礎研究が進められている。また応用面における低コスト化においては、Si基板やガラス基板等の基板上に当該圧電薄膜を制御良く形成する技術を確立することも不可欠である。
しかしながら、従来技術では、高い圧電定数を示す圧電薄膜素子及びそれを用いた圧電薄膜デバイスを安定的に実現し、提供することができなかった。
本発明の目的は、圧電特性及び生産性に優れた圧電薄膜素子及びそれを用いた圧電薄膜デバイスを提供することにある。
本発明の一態様によれば、基板上に、一般式(NaxyLiz)NbO3(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦0.2、x+y+z=1)で表される圧電薄膜を積層した圧電薄膜素子であって、前記圧電薄膜が、擬立方晶、正方晶または斜方晶のいずれか一つの結晶構造を有するか、若しくは擬立方晶、正方晶または斜方晶の少なくとも二つが共存した結晶構造を有しており、それら結晶構造は(001)方向に優先配向する(001)優先配向結晶粒と、(111)方向に優先配向する(111)優先配向結晶粒が共存した構造であり、かつ前記結晶粒が有する結晶軸のうち少なくとも1つの結晶軸と、前記基板表面の法線とのなす角度が、0°から10°の範囲内にある圧電薄膜素子が提供される。
この場合、前記圧電薄膜が柱状構造の粒子で構成された集合組織を有していることが好ましい。
また、特定の結晶面である(001)の法線が基板表面に対して垂直方向に優先的に配向しており、前記結晶面の法線と前記基板表面の法線とのなす角が、3°以上にあることが好ましい。
また、特定の結晶面である(111)の法線が基板表面に対して垂直方向に優先的に配向しており、前記の結晶面の法線と前記基板表面の法線とのなす角が、1°以下にあることが好ましい。
また、特定の結晶面である(001)の法線が基板表面に対して垂直方向に優先的に配向しており、前記結晶面の法線と前記基板表面の法線とのなす角の中心値に対して、その角度の偏差が、1.2°以上にあることが好ましい。
また、特定の結晶面である(001)の法線が基板表面に対して垂直方向に優先的に配向しており、前記圧電薄膜素子の極図形測定における(001)のデバイリングの幅が、2.4°以上にあることが好ましい。
また、特定の結晶面である(111)の法線が基板表面に対して垂直方向に優先的に配向しており、前記結晶面の法線と前記基板表面の法線とのなす角の中心値に対して、その角度の偏差が、1°以上にあることが好ましい。
また、特定の結晶面である(111)の法線が基板表面に対して垂直方向に優先的に配向しており、前記圧電薄膜素子の極図形測定における(111)のデバイリングの幅が、2°以上にあることが好ましい。
また、前記基板と前記圧電薄膜との間に下地層を備えてもよく、前記下地層を下部電極層としてもよい。
また、前記下部電極層は、PtもしくはPtを主成分とする合金、またはこれらPtを主成分とする電極層を含む積層構造の電極層であることが好ましい。
また、前記下部電極層として、Ru、Ir、Sn、In乃至同酸化物や圧電薄膜中に含む元素との化合物の層を含む積層構造の電極層であることが好ましい。
また、前記圧電薄膜の一部に、ABO3の結晶層、ABO3の非晶質層、またはABO3の結晶と非晶質とが混合した混合層のいずれかを含むことが好ましい。ただし、AはLi、Na、K、La、Sr、Nd、Ba、Biのうちから選択される1種類以上の元素であり、BはZr、Ti、Mn、Mg、Nb、Sn、Sb、Ta、Inのうちから選択される1種類以上の元素であり、Oは酸素である。
また、基板はSi基板、MgO基板、ZnO基板、SrTiO3基板、ガラス基板、石英ガラス基板、GaAs基板、GaN基板、サファイア基板、Ge基板、ステンレス基板のいずれかに選定されていることが好ましい。
また、上部電極層は、PtもしくはPtを主成分とする合金、またはこれらPtを主成分とする電極層を含む積層構造の電極層であることが好ましい。
また、上部電極層としてRu、Ir、Sn、In乃至同酸化物や圧電薄膜中に含む元素との化合物の電極層を含む積層構造の電極層であることが好ましい。
本発明の他の態様によれば、上述した圧電薄膜素子と、電圧印加手段又は電圧検出手段とを備えた圧電薄膜デバイスが提供される。
本発明によれば、圧電特性及び生産性に優れた圧電薄膜素子及びそれを用いた圧電薄膜デバイスが提供できる。
本発明の実施例1の圧電薄膜を用いた圧電薄膜素子の断面図である。 本発明の実施例1の圧電薄膜素子における2θ/θスキャンのX線回折パターンの一例図である。 本発明の実施例1のKNN圧電薄膜の結晶構造を示す図である。 本発明の実施例1のKNN圧電薄膜の極図形測定における実験配置図である 。 本発明の実施例1、2のKNN圧電薄膜の極図形を示し、(a)はステレオ投影図、(b)はステレオ投影図を直交座標に変換したグラフである。 本発明の実施例2のKNN圧電薄膜素子の高配向膜の概念を示す断面図であって、(a)はKNN薄膜が基板面に対して同じ方向に優先配向している図、(b)はKNN薄膜が基板面に対して結晶粒が傾斜(オフ)を備えて配向している図である。 本発明の実施例2の優先配向したKNN圧電薄膜の基板面に対する結晶粒の傾斜(オフ)角がばらつき(偏差)を備えることを示す断面図である。 本発明の実施例3の基板面に対する結晶粒の傾斜(オフ)角及びそのばらつき(偏差)を変化させたKNN圧電薄膜の極図形を直交座標に変換したグラフであり、(a)〜(c)はそれらを示す。 本発明の実施例4の圧電薄膜の極図形を示すものであって、(a)は基板面に対する(001)優先配向の結晶粒の傾斜(オフ)角が大きいときの極図形の直交座標変換グラフ、(b)は基板面に対する(001)優先配向の結晶粒の傾斜(オフ)角が小さいときの極図形の直交座標変換グラフである。 本発明の実施例5の圧電薄膜の極図形を示すものであって、(a)は基板面に対する(001)優先配向の結晶粒の傾斜(オフ)角のばらつき(偏差)が大きいときの極図形の直交座標変換グラフ、(b)は基板面に対する(001)優先配向の結晶粒の傾斜(オフ)角のばらつき(偏差)が小さいときの極図形の直交座標変換グラフである。 本発明の実施例6の圧電薄膜の極図形を示すものであって、(a)は基板面に対して(001)優先配向したときの極図形の直交座模変換グラフ、(b)は基板面に対して(111)優先配向したときの極図形の直交座標変換グラフである。 本発明の実施例7の圧電薄膜の極図形を示すものであって、(a)は基板面に対して(001)及び(111)優先配向したときの結晶粒の傾斜(オフ)角のばらつき(偏差)が大きいときの極図形の直交座標変換グラフ、(b)は基板面に対して(001)及び(111)優先配向したときの結晶粒の傾斜(オフ)角のばらつき(偏差)が小さいときの極図形の直交座標変換グラフである。 本発明の実施例7の(001)及び(111)優先配向が共存したKNN圧電薄膜の基板面に対して各優先配向の結晶粒が傾斜(オフ)角を備えることを示す断面図である。 本発明の実施例8の圧電薄膜を用いた圧電薄膜素子における(001)優先配向結晶粒の基板に対する傾斜(オフ)角と圧電定数との相関図である。 本発明の実施例8の圧電薄膜を用いた圧電薄膜素子における(111)優先配向結晶粒の基板に対する傾斜(オフ)角と圧電定数との相関図である。 本発明の実施例8の圧電薄膜を用いた圧電薄膜素子における(001)優先配向結晶粒の基板に対する傾斜(オフ)角のばらつき(偏差)と圧電定数との相関図である。 本発明の実施例8の圧電薄膜を用いた圧電薄膜素子における(111)優先配向結晶粒の基板に対する傾斜(オフ)角のばらつき(偏差)と圧電定数との相関図である。 本発明の実施例2の圧電薄膜を用いた圧電薄膜素子を作製するためのRFスパッタリング装置の概略構成図である。 本発明の一実施の形態の圧電薄膜デバイスの概略構成図である。
以下、本発明に係る圧電薄膜素子及びそれを用いた圧電薄膜デバイスの実施の形態を説明する。
[実施形態の概要]
本願発明者は、非鉛系の圧電薄膜素子を作製する場合、圧電素子の基幹部位にあたる圧電薄膜の成膜において、従来技術では行われていなかった結晶配向性の定量的かつ詳細な管理及び制御をすることで、良好な圧電定数を有する圧電素子及び圧電デバイスが得られるという知見を得て、本発明をするに至った。
圧電薄膜の結晶配向性を管理・制御しないと、高い圧電定数が得られず、また、結晶配向性がロット毎、又は同ロット内であっても素子取得部位によって異なるため、得られる素子ごとに圧電定数が不均一になる。本発明の実施の態様によれば、構成材料である電極、圧電薄膜等を適切に選定するとともに、電極や圧電薄膜等の製作条件を制御して、圧電薄膜の結晶配向方位と基板面法線とのなす角またはその偏差を所定範囲に規定することにより、圧電定数を向上して、圧電特性の高い圧電薄膜素子、及び高性能な圧電薄膜デバイスを実現することが可能となる。
[圧電素子の基本構造]
本実施の形態の圧電薄膜素子は、基板と前記基板の表面に形成される酸化膜と、前記酸化膜上に形成される下部電極層と、前記下部電極層上に形成される圧電薄膜とを有する。
この圧電薄膜は、ペロブスカイト構造を有するABO3型酸化物であり、その組成として、AはLi、Na、K、La、Sr、Nd、Ba、及びBiの中から少なくとも1つの元素からなり、BはZr、Ti、Mn、Mg、Nb、Sn、Sb、Ta及びInの中から選択される少なくとも1つの元素からなるものである。Oは酸素である。
前記基板としては、Si基板、MgO基板、ZnO基板、SrTiO3基板、SrRuO基板、ガラス基板、石英ガラス基板、GaAs基板、GaN基板、サファイア基板、Ge基板、ステンレス基板などが挙げられる。特に、低価格でかつ工業的に実績のあるSi基板が望ましい。
基板の表面に形成される前記酸化膜としては、熱酸化により形成される熱酸化膜、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成されるSi酸化膜などがあげられる。なお、前記酸化膜を形成せずに、石英ガラス(SiO2)、MgO、SrTiO3、SrRuO3基板などの酸化物基板上に、直接下部電極層を形成しても良い。
前記下部電極層は、PtもしくはPtを主成分とする合金からなる電極層、またはPtもしくはPtを主成分とする合金からなる電極層を含む積層構造の電極層であることが望ましい。また、前記下部電極層は、(111)面に配向して形成されるのが好ましい。
前記基板とPtもしくはPtを主成分とする合金からなる電極層との間に、基板との密着性を高めるための接着層を設けても良い。
前記圧電薄膜としてのABO3型酸化物は、特に、ニオブ酸カリウムナトリウムやニオブ酸リチウムカリウムナトリウム(以下、LKNNという)、一般式(NaxyLiz)NbO3(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦0.2、x+y+z=1)で表されるペロブスカイト型酸化物を主相とする圧電薄膜がよい。LKNN薄膜に、所定量のTaやVなどがドーピングされても良い。前記圧電薄膜は、RFスパッタリング法、イオンビームスパッタ法あるいはCVD法などを用いて形成される。これらの方法で形成されるLKNN膜は、柱状構造の結晶粒子で構成された集合組織を有する。本実施の形態ではRFスパッタリング法が採用される。
[下部電極層の結晶配向性]
ところで、従来のように、表面形状や結晶配向性を考慮せずに、または結晶配向性を考慮しているが高精度には制御せずに、Si基板上にPt下部電極を形成した場合、当該下部電極の上部に形成されるLKNN薄膜(ニオブ酸カリウムナトリウム(以下、KNNという)膜を含む)の結晶配向性はランダムな配向状態になることが多い。また、Si基板面の法線方向に対するLKNN薄膜の各結晶粒の配向方向も、基板毎あるいは成膜位置によって異なることが多く、結晶配向性を高精度に制御することを行っていない。すなわち、従来は当該圧電薄膜の特性決定要因の一つである結晶配向性の影響を検討することなく作製していたため、LKNN薄膜の圧電特性として、所望の高い圧電定数を得ることができず、更に素子毎で圧電特性が異なって形成される問題点があった。
実際、このLKNN薄膜の結晶配向性は、成膜箇所あるいは生産ロット毎で異なっている。その理由は、当該圧電薄膜の下地に当たる下部電極層の結晶配向性や表面形状を安定に確保できず、薄膜の結晶成長の初期状態を制御できないため、その上部に形成される圧電薄膜を安定に結晶成長させることが困難になるためである。例えば、Pt電極の場合は、同一の(111)優先配向の結晶性を再現良く作製できなかったため、400℃の加熱でスパッタリング成膜した際、LKNNの個々の結晶粒がランダムな方向へ成長してしまうことを確認している。更に、スパッタリング成膜時の投入電力(Power)を増加させることで、Arイオンなどのエネルギー粒子の衝撃により、多くのスパッタ粒子が基板上に強制的に一定方向へ打ち込まれる。その結果、基板表面の法線方向に対して、大きく傾斜した多結晶粒の圧電薄膜が形成され、分極の容易軸と印加電圧方向が大きく異なってしまう。本発明者は、これらが圧電定数の低下を誘発させることを見出した。また、成膜温度や成膜ガス、投入電力などを最適化することで、圧電定数など圧電薄膜素子の特性に影響を与える結晶配向を制御できるとの知見を得た。
[実施形態による結晶配向制御]
上記知見により、本実施の形態では、Pt薄膜と圧電薄膜との結晶配向を制御した。
(Pt薄膜の結晶配向)
はじめに、LKNN薄膜の下地にあたる下部電極のPt薄膜の結晶性を安定に実現するため、Pt薄膜の成膜温度や成膜ガスの最適化を行った。
成膜条件として、まず、成膜温度の検討をすすめ、(111)優先配向となる条件として、100〜500℃の成膜範囲が最適温度の範囲にあたることを見出した。
更にPt表面の平滑性を向上するため、基板との接着層(密着層)であるTi層の均一性を向上させるべく、0.1nmから20nmの表面平滑なTi層を形成し、その上部にPt電極を形成することで、Pt下部電極の表面租さを数nmの大きさに低減かつ制御することを可能にした。
更にPt下部電極層の膜厚を精密に制御して、Pt下部電極層の表面凹凸を小さくさせ、多結晶であるPt下部電極層について、その結晶粒子のサイズを均一になるように制御してPt下部電極層を形成することも可能にした。
なお、下部電極層は、Ptのみならず、Ptを主成分とする合金、またはPtもしくはPtを主成分とする電極層を含む積層構造の電極層であってもよい。さらには、下部電極層はRu、Ir、Sn、In乃至同酸化物や圧電薄膜中に含む元素との化合物の層を含む積層構造の電極層であってもよい。これらの場合でも、Pt薄膜の場合と同様に成膜温度や成膜ガスの最適化を行うことにより、LKNN薄膜の下地にあたる下部電極薄膜の結晶性を安定に実現できる。
また、それらの下部電極薄膜を形成する基板の候補としては、MgO、Si、Ge、Al23、SrTiO3、石英等の結晶あるいは非晶質あるいはそれらの複合体等が望ましい。それらの基板上に、密着層や下部電極層を形成し、その上部にLKNN薄膜を形成した素子について、LKNN薄膜の結晶配向性を詳細に比較して、実際に、優先配向性を制御できる基板の選定をすすめた。その結果、前記基板としては、Si基板が低価格、かつ工業的に実績があるので好ましい。
[圧電薄膜の結晶配向]
更に、LKNN薄膜の優先配向性をより確実に実現するために、上記の実施の形態において、LKNN薄膜そのものの成膜温度、スパッタリング動作ガスの種類および圧力、真空度、及び投入電力について、LKNN薄膜の反り量が小さくなる作製条件を見出し、最適化を図ることでLKNN薄膜の優先配向を達成するのも良い。これらの条件を装置毎や環境化に応じて多面的に検討することによって、(001)、(111)優先配向、両者が共存して優先配向した擬立方晶のLKNN薄膜を再現よく形成することが可能となる。
そこで、次に、多結晶あるいはエピタキシャル成長させた単結晶のLKNN薄膜そのものの優先配向を厳密に制御するために、基板表面の法線方向に対して、優先配向した結晶面の傾斜角度が一定の範囲内に入るように、スパッタリングターゲットと基板間の距離を常に一定値に精密に設定した。
更に、スパッタリングターゲットの中心と基板中心のずれ量を一定の範囲内に収まるよう設定を行った。
前記条件に合わせて、スパッタリング投入電力、成膜用の動作ガス圧力やガス流量の大きさを最適な値に決める。
これらによって、優先配向した結晶面の傾斜角度を確実に制御でき、高い圧電定数を示すLKNN薄膜が得られる。
また、スパッタリングターゲット密度も、上記状況に応じて変更することによっても同様な効果が得られる。
前記LKNN薄膜は、擬立方晶あるいは正方晶あるいは斜方晶の結晶構造であるか、あるいはそれらが共存した組織を有することが好ましい。これらの組織で優れた圧電特性が実現できる。
それらの結晶軸のうち、2軸以下がある特定軸方向に優先的に配向している。
しかも、前記配向している結晶軸のうち少なくとも1つの結晶軸と、前記基板表面の法線とのなす角度が、0°から10°の範囲内にあるように前記圧電薄膜が前記下部電極の上に形成されていることが、非常に優れた圧電特性が実現できるので好ましい。基板表面の法線とのなす角度を0°からとしたのは、0°が基準となるからである。基板表面の法線とのなす角度が10°を上限としたのは、これを超えると優先配向とはならなくなるからである。圧電薄膜が下部電極の上に上記角度範囲内にあるように形成される態様は次の(1)〜(4)の通りである。
(1)特定の結晶面である(001)の法線が基板表面に対して垂直方向に優先的に配向しており、前記結晶面の法線と前記基板表面の法線とのなす角が、3°以上にある。
(2)特定の結晶面である(111)の法線が基板表面に対して垂直方向に優先的に配向しており、前記の結晶面の法線と前記基板表面の法線とのなす角が、1°以下にある。
(3)特定の結晶面である(001)の法線が基板表面に対して垂直方向に優先的に配向しており、前記結晶面の法線と前記基板表面の法線とのなす角の中心値に対して、その角度の偏差が、1.2°以上、好ましくは2.4°以上にある。
(4)特定の結晶面である(111)の法線が基板表面に対して垂直方向に優先的に配向しており、前記結晶面の法線と前記基板表面の法線とのなす角の中心値に対して、その角度の偏差が、1°以上、好ましくは2°以上にある。
上記特定軸方向に優先的に配向しているLKNN膜の構造は、(001)優先配向結晶粒、および(111)優先配向結晶粒が共存した構造が好ましい。
[圧電薄膜デバイス]
上記実施の形態の圧電薄膜付の基板に対して、前記圧電薄膜の上部に上部電極層を形成することによって、高い圧電定数を示す圧電薄膜素子を作製できる。この圧電薄膜素子を所定形状に成型したり、電圧印加手段、電圧検出手段を設けたりすることにより各種のアクチュエータやセンサなどの圧電薄膜デバイスを作製することができる。
図19に、上述した電圧印加手段、電圧検出手段を設けた圧電薄膜デバイス例を示す。これは、Si基板1上に接着層2、下部電極層3、圧電薄膜4、及び上部電極層15を積層して構成した圧電薄膜素子と、下部電極層3及び上部電極層15に電気的に接続する電圧印加手段又は電圧検出手段16を備えたものである。
また、上部電極を所定のパターンに形成しパターン電極を形成することで、表面弾性波を利用したフィルタデバイスを形成することもできる。
[上部電極]
上述した圧電薄膜の上部に形成する上部電極層は、下部電極層と同様に、PtもしくはPtを主成分とする合金、またはこれらPtを主成分とする電極層を含む積層構造の電極層であることが好ましい。または、Ru、Ir、Sn、In乃至同酸化物や圧電薄膜中に含む元素との化合物の電極層を含む積層構造の電極層であってもよい。
[実施の形態の効果]
本発明は、以下に挙げる一つ又はそれ以上の効果を有する。
本発明の一つ又はそれ以上の実施態様によれば、圧電薄膜の結晶配向性を制御して、結晶配向方位と基板面法線とのなす角を所定範囲に入るよう規定することにより、圧電特性に優れた圧電薄膜素子およびそれを用いた圧電薄膜デバイスを提供できる。また、長寿命かつ高い圧電定数を示す非鉛系デバイスを安定的に生産することができる。また、結晶配向性が成膜箇所によって異なることなく均一化し、基板上に形成された圧電薄膜の圧電定数のばらつきを抑えることができるので、製造上の歩留りが向上する。
本発明の一つ又はそれ以上の実施態様によれば、基板、下部電極、圧電薄膜及び上部電極の積層構造よりなる圧電薄膜素子において、該圧電薄膜を優先配向にし、かつその配向軸を基板表面の法線とのなす角度が、0°から10°の範囲に入るよう制御し、あるいはその配向軸の振れ角を3°以上に制御し、それと同時に前記と異なるある特定の優先方位軸を1°以下に制御することにより、結晶方位がランダムになることによる圧電定数の低下を防ぐことができる。
また、本発明の一つ又はそれ以上の実施態様によれば、上記圧電薄膜素子の下部電極としてPt電極、あるいはPt合金、その他、上記下部電極としてRu、Ir乃至同酸化物やPtと圧電薄膜中に含む元素との化合物を優先配向に制御することによって、下部電極の上部に形成される圧電薄膜の結晶配向性を制御できる。
また、本発明の一つ又はそれ以上の実施態様によれば、基板についても、Siのほか、MgO基板、SrTiO3基板、ガラス基板、石英ガラス基板、GaAs基板、サファイア基板、Ge基板、ステンレス基板等を使用することによって、基板の上に形成した圧電薄膜の結晶配向性を制御することができる。これにより圧電特性を更に向上することができる。
また、本発明の一つ又はそれ以上の実施態様によれば、上記実施の形態の圧電薄膜素子を所定形状に加工したり、電圧印加手段、電圧検出手段を設けたりすることにより各種のアクチュエータやセンサなどの圧電薄膜デバイスを作製することができる。これら薄膜の結晶配向性を安定に制御することによって、圧電薄膜素子や当該デバイスの圧電特性向上や安定化を実現することで、高性能なマイクロデバイスを安価に提供することが可能になる。
また、本発明の一つ又はそれ以上の実施態様によれば、圧電特性の良好な圧電薄膜を実現することができ、高歩留りで高品質な圧電薄膜素子を得ることが可能になる。また、このような電薄膜素子は、鉛を用いない薄膜を備えた圧電薄膜素子である。したがって、前述した圧電薄膜素子を搭載することによって、環境負荷を低減させかつ高性能な小型のモータ、センサ、及びアクチュエータ等の小型システム装置、例えばMEMS(Micro electro Mechanical System)等が実現できる。
次に、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
図1〜図5を用いて説明する。
図1に、圧電薄膜付の基板の概要断面図を示す。本実施例においては、酸化膜を有するSi基板1上に接着層2を形成した上部に、下部電極層3とペロブスカイト構造のニオブ酸カリウムナトリウム(以下、KNNと記す)の圧電薄膜4を形成することにより圧電薄膜素子を作製した。その際、作製条件によって圧電薄膜の結晶配向性の状態が変化する。以下、圧電薄膜素子の製造方法を記述する。
始めに、Si基板1の表面に熱酸化膜を形成し、その上に下部電極層3形成した。下部電極層3は接着層2として形成した厚さ2nmのTi膜とこのTi膜上に電極層として形成した厚さ200nmのPt薄膜とからなる。このPt下部電極層3の形成にはスパッタリング法を用いた。スパッタリング用ターゲットとしてPt金属ターゲットを用い、成膜時のスパッタリング投入電力は75Wであり、スパッタリング用ガスには100%Arガスを使用している。また形成時には基板温度を300℃にして成膜を行って、多結晶薄膜のPt薄膜を形成した。
次に、このPt下部電極層3上に圧電薄膜4としてKNN薄膜を形成した。KNN薄膜の成膜にもスパッタリング法を用いて形成した。KNN薄膜の形成時には基板加熱を行い、Ar+O2の混合ガスによるプラズマでスパッタリングを実施した。混合比は9:1とした。ターゲットには(NaxyLiz)NbO3、x=0.5、y=0.5、Z=0の焼結体ターゲットを用いた。膜厚は3μmになるまで成膜を行った。
こうして作製したKNN薄膜について、一般的なX線回折装置で結晶構造を調べた結果、基板加熱を行って形成した実施例1のPt薄膜は、図2のX線回折パターン(2θ/θスキャン測定)に示すように、基板表面に垂直な向きに(111)面に配向した薄膜が形成されていることが判った。この(111)面に優先配向したPt薄膜上に、KNN薄膜を形成した結果、作製されたKNN薄膜は図3に示すような擬立方晶のペロブスカイト型の結晶構造を有する多結晶薄膜であることが判明した。また、図2のX線回折パターンからわかるように、(001)面、(002)面、(003)面の回折ピークのみを確認できることからKNN圧電薄膜が(001)面に優先配向していることが判った。
本実施例1においては、意図的に結晶配向性を制御したKNN圧電薄膜について、当該KNN薄膜の配向性を詳細に評価するために、極図形(Pole figure)の測定を行った。Pole figureはある特定の格子面における極の広がりをステレオ投影した図であり、多結晶の配向の状態を詳細に評価することができるものである。詳細については、文献1(理学電気株式会社編、X線回折の手引き、改訂第4版、(理学電気株式会社1986年))、文献2(カリティ著、新版X線回折要論、(アグネ、1980年))を参照されたい。
優先配向であることの定義は、前記した極図形の測定で明らかにすることができる。多結晶体で構成された物質(薄膜を含む)について、個々の結晶粒子が、ある一定方向に「優先配向」した状態にある場合、当該物質の極図形測定においては、特定の角度の位置にスポット状あるいはリング形状のデバイリング等、X線反射の局所的な分布を必ず見出すことができる。一方、前記物質の個々の結晶粒が任意の方向にあるとき、言い換えれば「ランダム配向」にある場合は、極図形においてスポット状やリング形状のX線反射を見出すことができない。
これらのX線反射の有無によって、当該圧電薄膜が優先配向しているか、いないかを判断しており、優先配向の存在の定義としている。本実施例1の圧電素子における構造解析においては、大面積のX線検出域をもつ2次元検出器を搭載した高出力X繰回折装置であるBrukerAXS社製の「D8 DISCOVER with Hi STAR,VANTEC2000」を用いた。本実施例においては、KNN薄膜の(110)面を極としたPole figureを測定した。
図4に本実施例で行ったPole figureの測定配置の概念図を示す。これはSchultzの反射法と呼ばれる方法である。従来のPole figure測定では、使用されるX線検出器が0次であることが多いため、図4に示すΧ(α)軸とΦ(β)軸を同時に走査する必要があり、測定に長時間を要していた。しかし、本実施例では大面積の2次元検出器(Hi STAR,VANTEC2000)を使用したため、前記2軸の走査がほとんど不要であることから、短時間の測定が可能になった。このため、様々な条件で作製したKNN薄膜の結晶配向性の解析結果を大量かつ迅速に取得できるようになり、本発明の結晶構造を有するKNN圧電薄膜を実現することができた。
図5に、実施例1の圧電薄膜のPole figureの測定結果を示す。極図形である図5(a)に示すように、縦軸及び横軸に沿った中心からの角度が45°付近に(001)の回折面に相当する環(デバイリング)が観察された。一方、35.3°付近には(111)の回折面にあたるデバイリングが見出された。各々のデバイリングは、同心円の配置からはずれており、中心からわずかに偏心していることが分かる。次に、デバイリングの偏心の状態を定量的に比較するため、本実施例の極図形、図5(a)について動径方向の軸(Χ(α)軸)と円周方向の軸(Φ(β)軸)に関して、Χ軸を横軸に、Φ軸を縦軸に変換したグラフに再図示した。図5(b)に示すように、このとき得られたプロファイルについて、その波形のΧ軸における振幅は、偏心の角度を表しており、基板面に対する法線方向と結晶面の法線とのなす角の2倍に相当する。得られた波形データに対して、最小二乗法によるフィッティング解析を行うことによって、波形データの振幅を求めることができ、その結果、基板面の法線方向に対して優先配向している各結晶粒のオフ角(傾斜角)を見積もることができる。上記の振幅が大きいほど、優先配向した各結晶粒のオフ角は大きく、逆に小さいとオフ角が小さくなる。特にグラフがΦ軸に平行な直線になるとオフ角が存在しないことを表している。
(実施例2)
図5、図6、図7、図18を用いて説明する。
実施例2では、上述した実施例1に関し、優先配向させたKNN薄膜を作製することを試みた。実施例2として図6にその断面模式図を示す。また、図18にKNN薄膜を作製するためのRFスパッタリング装置の概略図を示す。
まず、本実施例2において、RFスパッタリング装置の投入電力を100Wに設定し、スパッタリング用ターゲット10の中心とSi基板1の中心とを一致させたうえで、KNN圧電薄膜4の成膜を行って圧電薄膜素子を作製した。
図6(a)に、そのように作製した圧電薄膜素子断面の模式図として一例を示す。酸化膜を有するSi基板1上に接着層2を形成した上部に、下部電極層3とペロブスカイト構造のKNNの圧電薄膜4を形成した圧電薄膜素子を作製した。ここで、多結晶である圧電薄膜は、おのおのの柱状構造の結晶粒5が、概ねある一定方向に整列して構成されている集合組織である。
作製した圧電薄膜素子から、優先配向した結晶粒5の結晶面の法線方向が、Si基板1面の法線方向に対して同じ方向に優先配向していることを確認できた。すなわち、(001)結晶面の法線がSi基板1面の法線方向とほぼ一致した多結晶の圧電薄膜を作製することができた。
このとき、極図形測定においては、図5(a)に示すような(001)と(111)のデバイリングに偏心は見出されず、同心円状に配置されたようにプロットされた。また、前記したステレオ投影図のΧ軸とΦ軸を、x−y軸が直交軸となったグラフに変換させると、図5(b)に示すような波形曲線は見られず、(001)と(111)は直線状になった。
次に、本実施例2において、投入電力を100Wに設定して、Si基板1中心をスパッタターゲット10中心から数cmシフトさせた位置に配置して成膜を行った。この場合、図6(b)に示すように、Si基板1面の法線方向に対して、優先配向した結晶粒6の結晶面の法線方向がわずかに外れて、傾斜していることを確認できた。
本実施例2では、図5(a)に示すように、(001)と(111)の2つのデバイリングが観察され、図5(b)に示すように、それぞれの波形曲線の振幅が異なっていることがわかる。すなわち、(001)と(111)の各結晶面の基板面に対するオフ角が異なっていることを表している。このとき、(001)の振幅の解析値は9.9°であった。一方、(111)の振幅の解析値は0.52°であった。結果として、本実施例2の圧電薄膜は、基板面の法線方向に対して、(001)の結晶配向方向の角度は約5°傾斜しており、(111)の結晶配向方向の角度は約0.3°傾斜していることが分かった。
このように実施例2では、優先配向させたKNN薄膜を作製することを試みたが、優先配向した結晶粒6が、各々わずかに異なる傾斜角をもっていることが多い。すなわち、結晶粒がばらついていた。図7に、その断面図の概念図を示している。それぞれ、傾斜角が異なる結晶粒7のばらつき(偏差)が、図5に示すデバイリングの幅の大きさを概ね反映したものとなっている。従って、デバイリングの幅を計測することによって、圧電薄膜の基板に対するオフ角のばらつきの大きさを見積もることが可能となる。
(実施例3)
図8を用いて説明する。
実施例3として、図8に傾斜(オフ)角のばらつきを変化させて作製した圧電薄膜の極図形測定の結果を示している。Pt下部電極の結晶配向性やKNN圧電薄膜のスパッタリング成膜の投入電力などの成膜条件を変更させる場合、あるいは成膜条件を厳密に管理しなかった場合に、様々な結晶配向性を示し、(001)と(111)にあたるデバイリングの波形が様々な形に変化することが明らかになった。
図8(a)においては、(001)と(111)両者の振幅は小さく、基板に対するオフ角が小さいことを表している。またそれらのデバイリングの幅は小さく、圧電薄膜の基板に対するオフ角のばらつきも小さいKNN薄膜が形成されていることがわかる。
図8(b)においては、(001)の振幅は大きくなり、(001)に優先配向したKNN薄膜の基板に対するオフ角が大きいことを表している。しかし、(111)の振幅はそれよりは小さく、(111)に優先配向したKNN薄膜の基板に対するオフ角は、(001)に優先配向した結晶に比べて小さいことを表している。
また、図8(c)では、(001)と(111)にあたるデバイリングの幅が、図8(a)や図8(b)に示すそれらより大きく、圧電薄膜の基板に対するオフ角のばらつきが大きくなっていることがわかる。
以上のように、極図形測定を行えば、KNN圧電薄膜の結晶配向性の違いを詳細に調べることが可能である。
(実施例4)
図9を用いて説明する。
実施例4として、図9に、低配向状態にあるPt下部電極上に、スパッタリング投入電力を変えて成膜したKNN圧電薄膜の極図形測定の結果を示している。図9は、スパッタ投入電極に応じて傾斜(オフ)角が変化することを示している。
図9(a)はスパッタリング投入電力を60Wで成膜した場合、図9(b)は65Wで成膜した場合のKNN薄膜の極図形を示している。図9(a)と図9(b)を比較したとき、図9(a)に示す60Wで成膜したKNN薄膜の(001)のデバイリングの振幅は、図9(b)に示す65Wで成膜したときより大きくなっていることが分かる。すなわち、低配向のPt下部電極上に、スパッタリング投入電力を小さくしてKNN薄膜を成膜すると、(001)優先配向した結晶粒のオフ角は大きくなることを示している。
(実施例5)
図10を用いて説明する。
実施例5として、図10に、(001)優先配向した結晶粒について、基板に対する傾斜(オフ)角のばらつき(偏差)を変化させて作製したKNN圧電薄膜の極図形測定の結果を示している。
このとき、図10(a)は、(111)高配向のPt電極上において、スパッタリング投入電力を75Wで成膜した場合、図10(b)は60Wで成膜した場合の結果を示している。図10(a)と図10(b)を比較したとき、振幅の大きさについては同じであることがわかる。すなわち、(001)優先配向の結晶粒の基板面に対する傾斜(オフ)角は同じであることを示している。一方、デバイリングの幅は、図10(a)の方が大きいことがわかる。すなわち、(111)高配向のPt電極上において、スパッタリング投入電力を大きくしてKNN薄膜を成臆すると、(001)優先配向の結晶粒の基板面に対する傾斜(オフ)角のばらつき(傾斜)角が大きくなることを表している。
(実施例6)
図11を用いて説明する。
実施例6として、図11に、(001)及び(111)優先配向させて作製したKNN薄膜の極図形測定の結果を示している。このとき、図11(a)は(111)低配向のPt電極上において、スパッタリング投入電力を70Wで成膜した場合、図11(b)は(111)高配向のPt電極上において、70Wで成膜した場合の結果を示している。図11(a)と図10(b)を比較して分かるように、(001)配向におけるデバイリングの振幅と幅は、(111)配向におけるそれらと同じであることがわかる。すなわち、優先配向している結晶面は異なっているが、その基板面に対する傾斜(オフ)角とそのばらつき(偏差)は同等であることを示している。すなわち、Pt電極の結晶配向性を変えることによって、その上部に形成されるKNN薄膜の配向する結晶面を変えることが可能になることがわかる。
(実施例7)
図12、図13を用いて説明する。
実施例7として、(001)及び(111)優先配向したKNN薄膜の結晶粒が共存した状態について、図12に、基板に対する傾斜(オフ)角のばらつき(偏差)を変化させて作製したKNN圧電薄膜の極図形測定の結果を示している。
ここで、図12(a)は、(111)低配向のPt電極上において、スパッタリング投入電力を100Wで成膜した場合、図12(b)は、(111)高配向のPt電極上において、100Wで成膜した場合の結果を示している。
図12(a)と図12(b)を比較したとき、(001)及び(111)の両者の振幅は、同じであることがわかる。すなわち、(001)と(111)優先配向の結晶粒が共存した状態において、それら優先配向した結晶粒の基板面に対する傾斜(オフ)角は同じであることを示している。
一方、(001)及び(111)のデバイリングの幅は、図12(a)の方が大きい傾向にあることがわかる。すなわち、スパッタリング投入電力を実施例6より高い100Wにして、(111)低配向のPt電極上にKNN薄膜を成膜した場合、(001)と(111)優先配向の結晶粒は、それらの基板面に対する傾斜(オフ)角のばらつき(傾斜)角が大きくなることを示している。図13に、本実施例7の圧電薄膜素子断面図の模式図を示している。(001)優先配向した結晶粒([001]軸配向)9、及び(111)優先配向した結晶粒([111]軸配向)10が共存した状態にあることを示している。それぞれの傾斜(オフ)角が11と12に対応しており、それらのばらつき(偏差)が、(111)と(001)それぞれのデバイリングの幅に概ね相当する。
(実施例8)
図14〜図17を用いて説明する。
図14に(001)優先配向したKNN圧電薄膜の基板面に対する結晶粒の傾斜(オフ)角と圧電定数との相関図を示す。図14の横軸は、基板面に対する(001)優先配向結晶粒の傾斜(オフ)角δである。また、縦軸は圧電定数である。縦軸の具体的な例としては、電極面に垂直(厚さ方向)な伸縮の変化量であるd33、あるいは電極面にそった方向の伸縮の変化量であるd31があげられる。
ここでの単位は任意単位である。圧電定数を任意単位としたのは、次の理由からである。圧電定数を求めるには、圧電薄膜のヤング率やポアソン比等の数値が必要であるが、圧電薄膜(圧電薄膜)のヤング率やポアソン比の数値を求めることは容易でない。殊に、薄膜の場合は、バルク体と異なり、成膜時に使用される基板からの影響(拘束など)を受けるため,薄膜自身のヤング率やポアソン比(定数)の絶対値(真値)を原理的に求めることは困難である。そこで、現在までに知られているKNN薄膜のヤング率やポアソン比の推定値を用いて、圧電定数を算出した。従って、得られた圧電定数は推定値となることから、客観性を持たせるために、相対的な任意単位とした。ただし、圧電定数の算出に用いたKNN薄膜のヤング率やポアソン比の値は推定値とはいえ、ある程度、信頼性のある値であり、圧電定数の約90[任意単位]は、大体、圧電定数d31が90[−pm/V]であると言える。
表1及び、表1をグラフ化した図14からわかるように、(001)優先配向の結晶粒の傾斜(オフ)角が大きくなるに従って、圧電定数が大きくなることがわかる。このとき、印加する電界の大きさに関係なく、同様な変化を示すことがわかる。また、約3°から4°にかけて圧電定数が大きくなり、4°から5°にかけ、さらに5°以上では高い圧電定数を維持する傾向にあることがわかった。
つまり、アクチュエータやセンサなどに適用可能な圧電定数を有するKNN圧電薄膜素子を実現するには、(001)優先配向の結晶粒の傾斜(オフ)角を3°以上とすることが好ましいことが分かった。
また、表2及び表2をグラフ化した図15に(111)優先配向したKNN圧電薄膜の基板面に対する結晶粒の傾斜(オフ)角と圧電定数との相関図を示す。図15の横軸は、基板面に対する(111)優先配向結晶粒の傾斜(オフ)角である。図15において(111)優先配向の結晶粒の傾斜(オフ)角が小さくなるに従って、圧電定数が大きくなることがわかる。
また、印加する電界の大小に関わりなく、同じ傾向を示しているが、(111)優先配向の結晶粒の傾斜(オフ)角が1°以下になると、印加電界が6.7MV/mの圧電定数は、印加電界が0.67MV/mのそれに比べて、急に大きくなることがわかる。従って、高い圧電定数を安定的に得るためには、(111)優先配向の結晶粒の傾斜(オフ)角を1°以下に制御することが望ましい。
次に、図16に(001)優先配向したKNN圧電薄膜の基板面に対する結晶粒の傾斜(オフ)角のばらつき(偏差)と圧電定数との相関図を示す。尚、ここで求めたばらつき(偏差)は、図5に示した極図形において、デバイリングをΧ(α)軸に平行に切断したときに見られるX線回折のピークプロファイルについて、関数フィッティングを行ったときに得られる半値幅である。
表3及び表3をグラフ化した図16において、(001)優先配向の結晶粒の傾斜(オフ)角のばらつきが大きくなるに従って、圧電定数が大きくなる傾向が見られる。図16によれば、良好な圧電定数を得るには、(001)優先配向の結晶粒の傾斜(オフ)角のばらつきを1.2°以上とすることが望ましい。特に2.4°以上からが圧電定数の増加する傾向が大きくなる。従って、高い圧電定数を安定して得るためには、(001)優先配向の結晶粒の傾斜(オフ)角のばらつき、あるいは(001)のデバイリングの半値幅を2.4°以上に制御することが望ましい。
一方、表4及び表4をグラフ化した図17に(111)優先配向したKNN圧電薄膜の基板面に対する結晶粒の傾斜(オフ)角のばらつき(偏差)と圧電定数との相関図を示す。本図において、印加電界の大きさに関係なく、(111)優先配向の結晶粒の傾斜(オフ)角のばらつきが大きくなるに従って、圧電定数が大きくなることがわかる。図17によれば、良好な圧電定数を得るには(111)優先配向したKNN圧電薄膜の基板面に対する結晶粒の傾斜(オフ)角のばらつき(偏差)を1°以上とすることが望ましい。また、約2°から2.5°にかけてまでが、圧電定数が大きくなっている。しかし、それ以上、オフ角のばらつきが大きくなると、圧電定数がほとんど変化しない(高い圧電定数を維持する傾向にある)ことがわかる。したがって、(111)優先配向したKNN圧電薄膜の基板面に対する結晶粒の傾斜(オフ)角のばらつき(偏差)を2°以上とすることで、良好な圧電定数を得ることができる。
以上、本実施例8によれば、結晶配向方位と基板面法線とのなす角、またはそのなす角の偏差を独立して精密に制御することによって、高圧電定数を有する圧電薄膜を安定して得ることができ、結晶配向性を精密に制御したKNN圧電薄膜の実現によって、新規の高性能な圧電薄膜素子及びそれを用いた圧電薄膜デバイスの製造が可能になることがわかった。
実施例8の製造条件の一例を以下に記載する。
まず、基板として0.5mmのSi基板(円形状4インチサイズ)を準備し、表面に熱酸化膜処理を施すことにより、Si基板の表面に150nmの酸化膜を形成した。次に、酸化膜上に、2nmのTi接着層、及びTi接着層上に(111)に優先配向して形成される100nmのPt下部電極を形成した。Ti密着層、及びPt下部電極は、基板温度350℃、投入電力100W、Arガス100%雰囲気、ガス圧力2.5Pa、成膜時間1〜3分(Ti密着層)、10分(Pt下部電極)の条件で成膜を行う。Pt下部電極上に形成されるKNN圧電薄膜は、ターゲットとして(NaxyLiz)NbO3 x=0.5、y=0.5、z=0、ターゲット密度4.6g/cm3のセラミックターゲットを用い、膜厚が3μmとなるようスパッタ法にて成膜を行った。成膜時の基板温度は700℃、投入電力100W、ArとO2ガスの9:1の混合ガスを用い、圧力を1.3Paとした。また、ターゲット中心と基板中心とのシフト量を10mmとした。尚、スパッタ装置には自公転炉を用い、TS間距離を50mmとする。
上記各製造条件において、上述した実施例に基づき、成膜温度などの成膜条件をそれぞれ制御し、優先配向結晶粒の傾きを制御することで、良好な圧電特性を有する圧電薄膜素子及び圧電薄膜デバイスの実現が可能となる。
上述した実施例では、基板上に設けられる(111)に優先配向したPt薄膜をPt下部電極として説明したが、(111)に優先配向したPt薄膜は、LKNN圧電薄膜の配向制御する下地層としても機能している。Pt薄膜上に、またはPt薄膜に代わって、NaNbO3やLaNiO3などのペロブスカイト構造を有する薄膜を形成し、下地層としてもよい。
1 Si基板
2 接着層
3 下部電極層
4 圧電薄膜
5 基板面の法線方向に対して同じ方向に優先配向した結晶粒
6 基板面の法線方向に対して傾斜して優先配向した結晶粒
7 基板面の法線方向に対して傾斜角が各々わずかに異なる優先配向した結晶粒
8 基板面の法線方向と各配向結晶粒の結晶面とのなす角
9 (001)優先配向結晶粒
10 (111)優先配向結晶粒
11 (001)配向方位と基板表面法線とのなす角
12 (111)配向方位と基板表面法線とのなす角

Claims (12)

  1. 基板上に、一般式(NaxyLiz)NbO3(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦0.2、x+y+z=1)で表される圧電薄膜を積層した圧電薄膜素子であって、
    前記圧電薄膜が、擬立方晶、正方晶または斜方晶のいずれか一つの結晶構造を有するか、若しくは擬立方晶、正方晶または斜方晶の少なくとも二つが共存した結晶構造を有しており、それら結晶構造は(001)方向に優先配向する(001)優先配向結晶粒と、(111)方向に優先的に配向する(111)優先配向結晶粒が共存した構造であり、かつ前記結晶粒が有する結晶軸のうち少なくとも1つの結晶軸と、前記基板表面の法線とのなす角度が、0°から10°の範囲内にあることを特徴とする圧電薄膜素子。
  2. 請求項1に記載の圧電薄膜素子において、前記圧電薄膜が柱状構造の粒子で構成された集合組織を有していることを特徴とする圧電薄膜素子。
  3. 請求項1または2に記載の圧電薄膜素子において、特定の結晶面である(001)の法線が基板表面に対して垂直方向に優先的に配向しており、前記結晶面の法線と前記基板表面の法線とのなす角が、3°以上にあることを特徴とする圧電薄膜素子。
  4. 請求項1または2に記載の圧電薄膜素子において、特定の結晶面である(111)の法線が基板表面に対して垂直方向に優先的に配向しており、前記の結晶面の法線と前記基板表面の法線とのなす角が、1°以下にあることを特徴とする圧電薄膜素子。
  5. 請求項1または2に記載の圧電薄膜素子において、特定の結晶面である(001)の法線が基板表面に対して垂直方向に優先的に配向しており、前記結晶面の法線と前記基板表面の法線とのなす角の中心値に対して、その角度の偏差が、1.2°以上にあることを特徴とする圧電薄膜素子。
  6. 請求項1または2に記載の圧電薄膜素子において、特定の結晶面である(001)の法線が基板表面に対して垂直方向に優先的に配向しており、該圧電薄膜素子の極図形測定における(001)のデバイリングの幅が、2.4°以上にあることを特徴とする圧電薄膜素子。
  7. 請求項1または2に記載の圧電薄膜素子において、特定の結晶面である(111)の法線が基板表面に対して垂直方向に優先的に配向しており、前記結晶面の法線と前記基板表面の法線とのなす角の中心値に対して、その角度の偏差が、1°以上にあることを特徴とする圧電薄膜素子。
  8. 請求項1または2に記載の圧電薄膜素子において、特定の結晶面である(111)の法線が基板表面に対して垂直方向に優先的に配向しており、前記圧電薄膜素子の極図形測定における(111)のデバイリングの幅が、2°以上にあることを特徴とする圧電薄膜素子。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の圧電薄膜素子において、前記基板と前記圧電薄膜との間に下地層を備えた圧電薄膜素子。
  10. 請求項9に記載の圧電薄膜素子において、前記下地層は、PtもしくはPtを主成分とする合金からなる下部電極であることを特徴とする圧電薄膜素子。
  11. 請求項1乃至10に記載の圧電薄膜素子において、前記圧電薄膜上に上部電極が形成される圧電薄膜素子。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載の圧電薄膜素子と、電圧印加手段又は電圧検出手段とを備えた圧電薄膜デバイス。
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