JP5045195B2 - 圧電薄膜積層体及び圧電薄膜素子 - Google Patents

圧電薄膜積層体及び圧電薄膜素子 Download PDF

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Description

本発明は圧電薄膜積層体及びそれを用いた圧電薄膜素子に関する。
圧電材料は種々の目的に応じて様々な圧電素子に加工され、特に電圧を加えて変形を生じさせるアクチュエータや、逆に素子に圧力を加えて変形を生じさせ、その変形に応じて電圧を発生させるセンサなどの機能性電子部品として広く利用されている。
アクチュエータやセンサの用途に利用されている圧電材料としては、優れた圧電特性を有する鉛系材料の強誘電体材料、特にPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)と呼はれるPb(Zr1-xTix)O3系のペロブスカイト型強誘電体材料がこれまで広く用いられており、
このような強誘電体材料は通常個々の元素からなる酸化物粉末を焼結することにより形成される。
一方、現在は各種電子部品の小型化、高性能化が進み、圧電素子に関しても一層の小型化が求められている。これに伴って圧電材料も膜厚が数μmから数十μmの薄膜形状にすることが要求され、適当な基板上に薄膜を形成する方法が主に用いられる。基板上に薄膜を形成する方法としては、例えは特許文献1に記載されているようなスパッタリング法や、PLD(レーザーアブレーション法)、ゾルゲル法等が知られている。
特開2002−151754号公報
従来からの製法である焼結法を中心とする製造方法により作製した圧電材料は、結晶粒が比較的大きいため、近年の小型化の要求に沿って薄膜化を進めるには大きな問題がある。
すなわち、10μm程度の薄膜になると、その膜厚が材料を構成する結晶粒の大きさに近づいてしまうため、個々の結晶粒の特性の影響が無視できなくなる。そのため、特性のばらつきや劣化が顕著になるといった問題が発生する。
また、固形状の焼結体を薄膜形状に加工することは、経済的、工業的見地からみても現実的な方法とは言い難い。
このような理由から、焼結法に代わって上記のような薄膜形成技術を応用した圧電材料の形成法が近年さかんに研究されるようになってきた。最近、高周波(RF)マグネトロンスパッタリング法で形成したPZT薄膜が高精細高速インクジェットプリンタのヘッド用アクチュエータとして実用化されている。
一方、前記のPZTから成る圧電焼結体や圧電薄膜は、鉛を60〜70重量%程度含有しているので、生態学的見地および公害防止の面から好ましくない。そこで環境への配慮から鉛を含有しない圧電材料の開発が望まれている。
現在、様々な非鉛圧電材料が研究されているが、その中にニオブ酸リチウムカリウムナトリウム(一般式(NaxyLiz)NbO3(0<x<1,0<y<1,0≦z≦0.05,x+y+z=1))がある。このニオブ酸リチウムカリウムナトリウムは、ペロブスカイト構造を有する材料であり、非鉛圧電材料の有力な候補として期待されている。
ニオブ酸リチウムカリウムナトリウムはPZTに匹敵する優れた圧電特性を有すると一
般に言われている。しかしなから、現状、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜では、PZTに匹敵する圧電特性は実現されていない。
さらに、上記のような薄膜形成技術で作製したニオブ酸リチウムカリウムナトリウムは、一般に多結晶となるが、その圧電特性を基板面内で均一にすることが困難であり、圧電特性が基板面内でばらついていた。圧電薄膜を圧電素子に用いる場合、圧電特性が基板面内でばらついていると、素子設計が困難になることから好ましくない。したがって、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜の圧電特性を基板面内で均一にすることが要請されている。
そこで本発明の目的は、上記課題を解決し、圧電材料にニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜を用いていながら、優れた圧電特性を有し、かつ圧電特性の面内均一性にも優れた圧電薄膜積層体と、これを用いた圧電薄膜素子を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の第一の態様は、基板上に、少なくとも下部電極、一般式(NaxyLiz)NbO3(0<x<1,0<y<1,0≦z≦0.05,X+y+z=1)で表される圧電薄膜、及び上部電極を配した圧電薄膜積層体において、前記圧電薄膜が、結晶軸のうち2軸以下のある特定の軸に優先的に配向しており、かつ前記配向している結晶軸のうち少なくとも1つの結晶軸と、前記基板表面の法線との成す角度が、0°〜15゜の範囲内である場所が前記圧電薄膜を形成してある場所の90%以上を占めることを特徴とする圧電薄膜積層構造である。
本発明の第二の態様は、基板上に、少なくとも下部電極、一般式(NaxyLiz)N
bO3(0<x<1,0<y<1,0≦z≦0.05,x+y+z=1)て表される圧電
薄膜、及び上部電極を配した圧電薄膜積層体において、前記圧電薄膜が、結晶軸のうち2軸以下のある特定の軸に優先的に配向しており、かつ前記配向している結晶軸のうち少なくとも1つの結晶軸と、前記基板表面の法線との成す角度が、100μm2以上の面積に
渡る平均値で0°〜10゜の範囲内である場所が前記圧電薄膜を形成してある場所の90%以上を占めることを特徴とする圧電薄膜積層体である。
なお、100μm2以上の面積に渡る平均値とは、以下のように定義する。すなわち、
10μm×10μmの領域において、薄膜を構成する[001]配向している結晶粒の面積をAi[001]とし、[110]配向している結晶粒をAi[110]、その他の配向をしている結晶粒をAjとし、[001]配向している結晶粒について、その結晶粒の[001]軸と法線の成す角度をθi[001]とするとき、次式で表わされる角度θaveを面積平均角度とする。
θave=(ΣAi[001]×θi[001])/ΣAi[001]
(ただし、Σ(Ai[001]+Ai[110]+Aj)=100μm2
本発明の第三の態様は、本発明の第一及び第二の態様において、前記配向している結晶軸が、[001]あるいは[110]であることを特徴とする圧電薄膜積層体である。なお、本発明におけるLKNN結晶の単位格子はICDDに記載されるKNbO3(ICD
D number:32-0822)と同じ単位格子を定義し、リチウム、ナトリウムは、カリウムのサ
イトを置換しているものとする。なお、a軸、b軸、c軸の向きはそれぞれの単位格子をA、B、CとするとC<A<Bとなる向きとする。
本発明の第四の態様は、本発明の第一及び第二の態様において、前記2軸以下のある特定の軸に優先的に配向した前記圧電薄膜の結晶粒の、基板面内で占める面積の割合が80%以上であることを特徴とする圧電薄膜積層体である。
本発明によれば、圧電材料にニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜を用いていながら、優れた圧電特性を有し、かつ圧電特性の面内均一性にも優れた圧電薄膜積層体と、これを用いた圧電薄膜素子を提供することができる。
本発明者らは、圧電特性が基板面内で不均一になる主原因として、配向した多結晶薄膜の結晶軸が基板に対して直角に揃っている場所と傾いた場所とがあること、また、圧電特性を高くするには直角に揃える必要があることを見出した。この知見をもとに、以下本発明の実施の形態を詳述する。
《RFマグネトロンスパッタリング法を用いた薄膜形成》
RFマグネトロンスパッタリング法を用いてニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜を形成する場合、ターゲットから叩き出された原子が飛んでくる方向に結晶軸が配向し易い傾向が認められる。
通常のRFマグネトロンスパッタリング装置では、図4に示すように、RF電源19に接続されるカソード11側のターゲット12には円形プレーナ型のものを使用し、円形の磁石13をターゲット12の下部に設置する。これは同心円状の磁力線14で電子をターゲット12近傍に閉じ込め、放電限界圧力を下げるためである。この結果、低圧力下で成膜できるために高速で良質の膜が得られるが、その反面、この磁力線14の作用によりターゲット12表面には同心円状に集中的にスパッタされる領域ができる。原料原子16は主にこの領域から叩き出され、チャンバー20の真空度が十分に低い場合、一直線に基板18上に到達する。なお、図4において、符号17は反応ガス、15はAr+イオンであ
る。
一方、アノード側の成膜用の基板18はターゲット12に対向した面にターゲット12とほぼ平行に設置され、一般にターゲット12とほぼ同し程度の面積が成膜可能である。このとき、基板18の外周付近に到達する原料原子16は、そのほとんどが基板18の垂直方向に対して大きな角度を持っており、基板18の表面に垂直な方向から大きく傾いた結晶が形成されやすい。
しかし、基板18の中心部に到達する原料原子16は、その飛来する向きが相殺し合い、平均的には基板18に垂直な向きに近くなり基板18の表面に垂直に配向した結晶が形成されやすい。
以上から、基板上には直角な向きに結晶が形成されやすい部分(中心部)と、大きく傾いて結晶が形成されやすい部分(外周部)とがあることが理解できる。
《結晶の配向方向と圧電特性の関係》
次に、結晶の配向方向と圧電特性の関係について述べる。圧電材料の圧電変位量は、分極軸方向に最も大きくなることが知られている。従って薄膜の上下に電極を形成して圧電動作をさせる場合、薄膜の上下方向に分極を起こすように配向した薄膜結晶を形成することが望ましく、結晶の配向方向が上下方向より傾くと、その傾きの程度に応じて圧電変位量が小さくなる。ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜を下部電極上にスパッタリング法で形成した場合、基板表面に対して垂直方向に<001>軸、若しくは<110>軸に配向し易い。ニオブ酸リチウムカリウムナトリウムは<001>軸方向に分極して圧電特性を示すため、基板表面に対して垂直方向に<001>軸が配向する薄膜を作製することが望ましい。
このような結晶学的な効果に加え、結晶軸が傾いて成長した結晶は、結晶軸が基板面に垂直な結晶よりも実際は結晶欠陥が多く導入されていることを、本発明者らは実験によって見出した。
これは基板から成長を始めた初期は電極となる基板を構成する元素の結晶構造を引き継ぎやすい為、基板面に垂直に成長した結晶核が形成されるものの、その後、原子の入射角度の影響を強く受けることで軸の成長方向が傾く。この際に生じる歪みにより欠陥が多く形成され、圧電特性を低下させるものと考えられる。
これらの理由により、結晶軸が傾いた場所にあっては圧電特性が著しく低下する。前記のようにニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜を形成した場合、基板面内で結晶軸の配向方向にばらつきが生じるため、圧電特性にもばらつきが生じ、工業的に使用することを困難にしていた。
《結晶軸の配向方向ばらつきの解決策》
上記の問題を解決するには、基板面内の全面で結晶軸を垂直方向に揃える必要がある。このため、基板面内の全面でターゲットから飛来するスパッタ原料原子の基板入射角度を垂直方向に揃えるような方策を講じる必要が生じる。
チャンバー20内の圧力が十分に低けれは、スパッタされた原料原子16はターゲット12から一直線に基板18上に到達すると考えられる。この場合、スパッタ原料原子16が射出されるターゲット12上の位置と基板18の表面上の到達位置との立体角で入射角度が決まる。このことから、基板18の周辺部でスパッタ原料原子16の入射角度を基板18の表面の法線方向に近づけるには、ターゲット12と基板18の距離Lを離すことが効果的と考えられる。なお、従来条件ではターゲット/基板間の距離は5cmである。
例えば3インチφのターゲットにおいて、スパッタの集中領域が30mmφのドーナッツ状で、2インチφの基板上に成膜する場合、ターゲット/基板間の距離を3cmとすれば、基板周辺部に飛来する原子の入射角度は基板面の法線に対して平均で約40.3°であるが、この距離を10cmとすると約14.3゜、15cmとすると約9.7°まで入射角度を小さくすることができる。後述する実施例から、基板全面でニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜の結晶の軸方向を<001>軸または<110>軸に揃えるためには、ターゲット/基板間距離を15cm以上とすることが好ましい。
このようにして基板全面でニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜の結晶の軸方向を<001>軸または<001>軸に揃えれば、基板面内の圧電特性のばらつきを小さくすることができ、PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)に匹敵する圧電特性を得ることができる。ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜に少量の添加物が混入されている場合も同様の効果が期待できる。
《本発明の態様》
本発明の実施の形態の圧電薄膜積層体は、上述した説明及び後述する実施例から、次のような構成とすることが好ましい。
基板上に、少なくとも下部電極、一般式(NaxyLiz)NbO3(0<x<1,0<y<1,0≦z≦0.05,X+y+z=1)で表される圧電薄膜、及び上部電極を配した圧電薄膜積層体において、前記圧電薄膜が、結晶軸のうち2軸以下のある特定の軸に優先的に配向しており、かつ前記配向している結晶軸のうち少なくとも1つの結晶軸と、前記基板表面の法線との成す角度が、0°〜15°の範囲内である場所が前記圧電薄膜を形成してある場所の90%以上を占めるのが好ましい。
また、基板上に、少なくとも下部電極、一般式(NaxyLiz)NbO3(0<x<1,0<y<1,0≦z≦0.05,x+y+z=1)て表される圧電薄膜、及び上部電極を配した圧電薄膜積層体において、前記圧電薄膜が、結晶軸のうち2軸以下のある特定の軸に優先的に配向しており、かつ前記配向している結晶軸のうち少なくとも1つの結晶軸と、前記基板表面の法線との成す角度が、100μm2以上の面積に渡る平均値で0°〜
10°の範囲内である場所が前記圧電薄膜を形成してある場所の90%以上を占めるのが好ましい。
また、配向している結晶軸は、[001]あるいは[110]であるのが好ましい。
また、前記2軸以下のある特定の軸に優先的に配向した前記圧電薄膜の結晶粒の、基板面内で占める面積の割合が80%以上であることが好ましい。
また、基板上に、少なくとも下部電極、一般式(NaxyLiz)NbO3(0<x<1,0<y<1,0≦z≦0.05,x+y+z=1)で表される圧電薄膜、及び上部電極を配する圧電薄膜積層体の製造方法において、前記圧電薄膜はRFマグネトロンスパッタリング法を用いて形成し、そのときのターゲット/基板間距離を15cm以上とするのが好ましい。
また、本発明の実施の形態の圧電薄膜素子は、上述した圧電薄膜積層体を有することが好ましい。
《実施の形態の効果》
上述した態様によれば、次の如き優れた効果を発揮する。
(1)優れた圧電特性を有し、かつ圧電特性の面内均一性にも優れたニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜を配した圧電薄膜積層体と、これを用いた圧電薄膜素子を提供できる。
(2)鉛フリー材料で、圧電特性の優れた圧電薄膜素子を提供できる。
なお、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜の形成方法としては、良質で高密度の結晶薄膜が形成できるスパッタリング法、CVD法、PLD法、塗布法等を用いることが望ましい。
また、基板はニオブ酸リチウムカリウムナトリウムを成膜する際の温度に耐える耐熱性を有することが必要であり、さらに安価であることも工業的には重要な要素である。これに最も適した基板としてはSi基板が好ましいが、技術的には他の基板も使用できる。また電極材料も同様に耐熱性を有することが必要であり、Pt等を用いることが好ましいが、これに限定されるものではない。
本発明の実施例として、図1に示す膜厚2μmのニオブ酸リチウムカリウムナトリウム(本実施例においては(NaxyLiz)NbO3:x=0.495、y=0.495、z=0.01、以下LKNNと呼ぶ。)を含む構造の薄膜圧電素子を作製した。なお、下部電極、接着層、およびLKNN膜の形成には、図4に示したRFマグネトロンスパッタリング装置を用い、基板/ターゲット間の距離を変化させて評価用のLKNN膜を成膜した。
図1に示すように、まず、酸化膜付きSi基板1を用意し、その上部に下部電極としてPt膜3を、基板1とPt膜3の間の接着層としてTi膜2をスパッタリング法で形成した。
成膜条件はPt、Ti共に66.66Pa(0.5Torr)、スパッタリングガスとしてArガスを30sccm導入し、RF電力は200Wとした。基板温度は300℃で、プレスパッタリングは3分とした。
この下部電極の上部に試料となるLKNN膜4を3μm成膜した。実験ではターゲット/基板間距離Lを3cm〜20cmと変化させ、ターゲットの組成を(NaxyLiz
NbO3においてx=0.495、y=0.495、z=0.01として成膜を行った。
図2に、本実施例で作製したLKNN薄膜の配向性をEBSD(Electron Back Scattered Diffraction)法で評価した結果を示す。ターゲット/基板間距離を5cm、10
cm、20cmとして成膜したLKNN膜の試料の中央部分と端部分とについて、それぞれ逆極点図、極点図をまとめた。測定領域は50×50μm2である。逆極点図はND方
向(Normal Direction:基板に対して垂直方向)から見た場合の結晶方位について、極点図は主に配向している(001)面、(110)面のうち(001)面についてそれぞれ示した。
逆極点図から分るとおり、どのターゲット/基板間距離で成膜した薄膜についても、基本的には(001)面と(110)面との二面に優先的に配向しており、試料の中央部分ではどの試料にも配向方向に大きな差はなかったが、試料の端部分の方では状況が大きく異なっていた。
従来条件であるターゲット/基板間距離が5cmの場合、試料の中心部分については<001>軸は基板の法線方向に向いているが、試料の端部分は結晶軸が大きく斜めに傾いて成長しており、その傾きは30゜〜45°にも達していることが極点図より分る。このような試料の場合、中央部分と端部分とでは圧電特性に大きな差が生じ、中央部分の圧電特性に対して端部分の圧電特性は1/2〜1/3程度まで低下した。一方、ターゲット/基板間距離を大きくするに従い、試料の中央部分の<001>軸の向きはターゲット/基板間距離が5cmの時と変わらないものの、端部分は基板表面の法線方向に近くなり、ターゲット/基板間距離を20cmとすると、基板の端のエッジの影響や、フェイスダウン方式の製膜の場合の基板を保持する為のつめの影響を受ける10%以下の面積の部分を除く(以下、基板全体とは、前記のような10%以下の面積の部分を除いた部分のことを示すものとする。)基板全体に渡って均一に<001>軸の向きは基板表面の法線方向となった。
このようにして基板全体に渡って均一な配向性を有するLKNN薄膜について圧電特性を測定したところ、基板全体に渡って均一な特性を有しており、この材料系で大きな問題となっていた圧電特性の面内不均一の問題が解決できることが分った。
上記測定領域におけるLKNN膜の<001>軸の方向は基板表面の法線に対して面内一様に0°〜15°の範囲であり、また(001)面に配向している結晶粒についてその各結晶粒の<001>軸と基板表面の法線とが成す角度を100μm2以上の面積に渡っ
て面積平均したところ、基板上どの部分についてもその面積平均した角度は0°〜10゜の範囲内であった。また、EBSD測定の結果から、(001)面、(110)面に配向している結晶粒の面積を積算したところ、任意の箇所について全体の80%以上であった。
また、図3に、ターゲット/基板間距離Lを3cm〜20cmに変えたときの、ターゲット/基板間距離に対する、圧電特性d31の面内最小値と最大値の比を示す。ターゲット/基板間距離と、圧電特性d31の面内最小値と最大値の比との間には相関があり、ターゲット/基板間距離を15cm以上とすることで面内の圧電特性のばらつきを±10%以内
に抑えることができた。
なお、本実施例ではx=0.495、y=0.495、z=0.01としたが、0<x<1、0<y<1、0≦z≦0.05の範囲、特にz=0とした場合でも同様の効果があった。
本発明の実施例の断面構造を示す模式図である。 本発明の実施例をEBSD測定て評価した結果を示す図である。 本発明の実施例のターゲット/基板間距離に対する、圧電特性d31の面内最小値と最大値の比の関係を示したグラフである。 本発明の実施例で用いたRFマグネトロンスパッタリング装置の概略構成図である。
符号の説明
1 Si基板
2 Ti膜
3 Pt膜
4 LKNN膜((NaxyLiz)NbO3圧電薄膜)

Claims (5)

  1. 基板上に、少なくとも下部電極、一般式(NaxyLiz)NbO3(0<x<1,0<y<1,0≦z≦0.05,x+y+z=1)で表される圧電薄膜、及び上部電極を配した圧電薄膜積層体において、
    前記圧電薄膜が、結晶軸のうち2軸以下のある特定の軸に優先的に配向しており、
    かつ前記配向している結晶軸のうち少なくとも1つの結晶軸と、前記基板表面の法線との成す角度が、0°〜15°の範囲内である場所が前記圧電薄膜を形成してある場所の90%以上を占める
    ことを特徴とする圧電薄膜積層体。
  2. 基板上に、少なくとも下部電極、一般式(NaxyLiz)NbO3(0<xく1,0<y<1,0≦z≦0.05,x+y+z=1)で表される圧電薄膜、及び上部電極を配した圧電薄膜積層体において、
    前記圧電薄膜が、結晶軸のうち2軸以下のある特定の軸に優先的に配向しており、
    かつ前記配向している結晶軸のうち少なくとも1つの結晶軸と、前記基板表面の法線との成す角度が、100μm2以上の面積に渡る平均値で0°〜10°の範囲内である場所
    が前記圧電薄膜を形成してある場所の90%以上を占める
    ことを特徴とする圧電薄膜積層体。
  3. 請求項1及び2記載の圧電薄膜積層体において、前記配向している結晶軸が、[001]あるいは[110]であることを特徴とする圧電薄膜積層体。
  4. 請求項1及び2記載の圧電薄膜積層体において、前記2軸以下のある特定の軸に優先的に配向した前記圧電薄膜の結晶粒の、前記基板の面内で占める面積の割合が80%以上であることを特徴とする圧電薄膜積層体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の圧電薄膜積層体を有する圧電薄膜素子。
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