JP4595889B2 - 圧電薄膜素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エアロゾルデポジション法により良質で膜密度の高いニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜が形成できる圧電薄膜素子及びその製造方法に関する。
圧電体は種々の目的に応じて様々な圧電素子に加工され、特に電圧を加えて変形を生じさせるアクチュエータや、逆に素子の変形から電圧を発生するセンサなどの機能性電子部品として広く利用されている。アクチュエータやセンサの用途に利用されている圧電体としては、優れた圧電特性を有する鉛系材料の誘電体、特にPZTと呼ばれるPb(Zr1-xTix)O3系のペロブスカイト型強誘電体がこれまで広く用いられており、通常個々の元素からなる酸化物を焼結することにより形成されている。
現在、各種電子部品の小型化、高性能化が進むにつれ、圧電素子においても小型化、高性能化が強く求められるようになった。しかしながら、従来からの製法である焼結法を中心とした製造方法により作製した圧電材料は、その厚みを薄くするにつれ、特に厚みが10μm程度の厚さに近づくにつれて、厚さが材料を構成する結晶粒の大きさに近づき、そのことによる影響が無視できなくなる。そのため、特性のばらつきや劣化が顕著になるといった問題が発生し、それを回避するために、焼結法に変わる薄膜技術等を応用した圧電体の形成法が近年研究されるようになってきた。
これまでは、ゾルゲル法、スパッタリング法、CVD法、等の薄膜形成技術が検討されてきたが、いずれの方法もコストが高く、殆ど実用化には至っていない状況であった。しかしながら、最近、エアロゾルデポジション法という低コストで薄膜が形成できる新たな成膜方法の検討が進められており、一部の研究機関では、この方法で優れた圧電特性を有するPZT薄膜の形成に成功している。今後、エアロゾルデポジション法で形成したPZT薄膜は、高精細高速インクジェットプリンタのヘッド用アクチュエータなどに応用されていくと思われる。
ところが、PZTから成る圧電焼結体や圧電薄膜は、酸化鉛(PbO)を60〜70重量%程度含有しているので、生態学的見地および公害防止の面から好ましくない。そこで環境への配慮から鉛を含有しない圧電体の開発が望まれている。現在、様々な鉛フリー圧電材料が研究されているが、そのような材料として、(NaxyLiz)NbO3(0<x<1、0<y<1、0≦z<1、x+y+z=1)で表されるニオブ酸リチウムカリウムナトリウムがある。このニオブ酸リチウムカリウムナトリウムは、ペロブスカイト構造の薄膜を作ることができる材料であり、非鉛の材料としては比較的良好な圧電特性を示すため、非鉛圧電材料の有力な候補として期待されている。
特許第3348154号公報 特開平9−52773号公報
しかしながら、前記のエアロゾルデポジション法によりニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜を形成すると、材料の脆さが原因で高密度の薄膜が形成できないという問題がある。そのため、エアロゾルデポジション法で形成したニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜では絶縁性が確保できず、優れた圧電特性を有する圧電薄膜素子は実現されていない。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、エアロゾルデポジション法により良質で膜密度の高いニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜が形成できる圧電薄膜素子及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の圧電薄膜素子の製造方法は、(NaxyLiz)NbO3(0<x<1、0<y<1、0≦z<1、x+y+z=1)で表されるアルカリニオブ酸化物系ペロブスカイト構造の多結晶を主成分とする圧電薄膜を備える圧電薄膜素子の製造方法において、(001)面方位のシリコン基板上に、スパッタリング法により、基板温度を700℃、放電パワー200W、Arガス雰囲気、圧力2.5Paの条件下で白金下部電極を形成する工程と、前記白金下部電極上に、粒径が0.1〜2μmの上記アルカリニオブ酸化物系ペロブスカイト構造の結晶粉末からなる主原料に、粒径が0.1〜2μmのAl 2 3 微粒子からなる副原料を前記主原料に対し重量比で5%以上混合した混合材料を用いエアロゾルデポジション法により膜密度95%以上の圧電薄膜を形成する工程とを備えたものである。
前記圧電薄膜を形成する工程において、基板温度が450℃であってもよい。
前記圧電薄膜の厚さが0.5μmから100μmの範囲であってもよい。
前記白金下部電極が0.2μmの厚さであってもよい。
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
(1)エアロゾルデポジション法により良質で膜密度の高いニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜が形成できる。
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1(a)に示されるように、圧電薄膜素子101は、基板102上に下部電極103、圧電薄膜104、上部電極105を順に配したものであり、圧電薄膜104の膜密度が95%以上であることを特徴とする。
圧電薄膜104は、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜であり、その圧電薄膜104をエアロゾルデポジション法で形成する際に、主原料のニオブ酸リチウムカリウムナトリウム結晶粉末にエアロゾルデポジション法で成膜されやすい誘電体の結晶粉末を副原料として混合した原料を用いることにより、膜密度を95%以上としたものである。
このような誘電体としては、アルミナ、チタン酸バリウム等がある。もちろん、副原料は、アルミナ、チタン酸バリウムに限定されるものではない。同じエアロゾルデポジション法での成膜条件で比較した時、ピュアなニオブ酸リチウムカリウムナトリウムで薄膜を形成するよりも、その誘電体薄膜を形成する方が膜密度が高くなるような誘電体材料の結晶粉末であればどのような材料でも副原料に適用可能である。
図1(b)に示されるように、圧電薄膜素子の製造装置(エアロゾルデポジション成膜装置)は、チャンバ1内に置かれた基板2の上にニオブ酸リチウムカリウムナトリウムを主成分とする圧電薄膜を形成するものである。この製造装置は、ヘリウムガス又は窒素ガスである搬送用ガスを提供するガス源3と、結晶粉末である原料を搬送用ガスでエアロゾル化するエアロゾル化室4と、チャンバ1内の基板2に原料と搬送用ガスの混成物であるエアロゾル5を吹き付けるノズル6とを備える。
また、この製造装置は、基板2をチャンバ1内に保持する基板ホルダ7と、チャンバ1外に置かれてフレキ管12により基板ホルダ7に連結され、基板ホルダ7を基板の面に沿った2つの方向に移動(走査)させるXYステージ8と、チャンバ1内の余剰ガスを吸い出すポンプ9と、その吸い出される余剰ガスから粉体を除去する粉体フィルタ10とを備える。
この製造装置の動作を説明する。主原料であるアルカリニオブ酸化物系ペロブスカイト構造の結晶粉末に該主原料のみを原料とした場合よりも膜密度を高くできる誘電体結晶粉末を副原料として混合した原料をエアロゾル化室4に入れ、このエアロゾル化室4にガス源3からの搬送用ガスを減圧弁11で減圧して注入することにより、原料をエアロゾル化する。また、エアロゾル化室4では振動による攪拌も行う。
このエアロゾル5をチャンバ1内のノズル6から基板2に向けて噴射し、エアロゾルデポジション法により圧電薄膜を形成する。これによって、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム結晶と誘電体結晶が混在した薄膜が圧電薄膜として形成される。
この圧電薄膜は、主成分がニオブ酸リチウムカリウムナトリウムであり、しかも、膜密度が高い薄膜となる。膜密度が高い薄膜では絶縁性(絶縁耐圧)が確保できる。よって、低コストなエアロゾルデポジション法を用いつつ、優れた特性を有する鉛フリー材料の圧電薄膜素子が形成できるようになる。
図1(a)に示されるように、このようにして製造された圧電薄膜素子101は、基板102上に下部電極103、圧電薄膜104、上部電極105を順に配した構造を有し、前記圧電薄膜104がエアロゾルデポジション法により形成され(NaxyLiz)NbO3(0<x<1、0<y<1、0≦z<1、x+y+z=1)で表されるアルカリニオブ酸化物系ペロブスカイト構造の多結晶を主成分とする圧電薄膜素子101において、圧電薄膜104の膜密度が95%以上であるものである。
圧電薄膜104は、主原料であるアルカリニオブ酸化物系ペロブスカイト構造の結晶粉末に、該主原料のみを原料とした場合よりも膜密度を高くできる誘電体結晶粉末を副原料として混合して形成されている。
圧電薄膜104は、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム結晶と誘電体結晶が混在することにより、膜密度が高い薄膜となり、これによって絶縁性(絶縁耐圧)が確保される。圧電薄膜104の膜密度は、95%未満であると絶縁耐圧が著しく低下するので、絶縁耐圧が高い95%以上であるのが好ましい。膜密度を95%以上とするためには、副原料の種類にもよるが、おおむね5%以上の副材料を混ぜ込むことで実現できる。
圧電薄膜104の厚さは、100μm以下であるのが好ましい。
本発明の圧電薄膜素子は、インクジェットプリンタ、スキャナー、ジャイロ、超音波発生装置、超音波センサ、圧力センサ、速度センサ、加速度センサなどに応用できる。
(実施例#1)
図2に示されるように、本発明を用いて膜厚10μmの(Na0.470.47Li0.06)NbO3からなる圧電薄膜24を有する圧電薄膜素子21を実施例#1として作製した。基板22は、(001)面方位、厚さ0.5mm、20mm×20mmの大きさに切り出したシリコン基板である。そのシリコン基板22上にRFマグネトロンスパッタリング法で、膜厚0.2μmの白金下部電極23を形成した。白金下部電極23の形成条件は、基板温度700℃、放電パワー200W、導入ガスAr雰囲気、圧力2.5Pa、成膜時間10分である。
この白金下部電極23上にエアロゾルデポジション法で圧電薄膜24を厚さ10μm形成した。その薄膜製造過程を詳しく説明すると、図1の成膜装置において、粒径が0.1〜2μmの良好な圧電特性を有するアルカリニオブ酸化物系ペロブスカイト構造の結晶粉末を主原料とし、粒径0.1〜2μmのAl23微粒子を副原料とし、これら主原料と副原料を混合した。混合割合は、重量比で主原料:副原料=9:1とした。200gの原料をエアロゾル化室4にチャージし、搬送用ガスとしてヘリウムガスを用いた。エアロゾル化室4でヘリウムガスと共に原料をエアロゾル化したエアロゾル5をチャンバ1に搬送し、0.3mm×5mmの微小な開口面積を要するノズル6を通すことでエアロゾル5を高速に加速して基板2に吹き付けた。基板2の温度は450℃とした。基板2をノズル6に対してXYステージ8で連続的に走査することにより、基板2全面に均一に成膜した。ヘリウムガスの流量は1〜5×103cm3/min、チャンバ1内の圧力は約100Pa〜500Paの範囲内とした。
この結果、Al23を含んでいる圧電薄膜24の厚さが10μmである図2の圧電薄膜素子21を得た。
(従来例)
次に、本発明と従来技術の比較のために、従来技術で図3の圧電薄膜素子31を従来例として作製した。基板32および白金下部電極33の形成手順、寸法は、実施例#1と全く同様である。原料としては、粒径が0.1〜2μmの良好な圧電特性を有するアルカリニオブ酸化物系ペロブスカイト構造の結晶粉末を用いた。エアロゾル成膜の条件は実施例#1と全く同じ条件である。この結果、膜厚10μmの圧電薄膜34を有する圧電薄膜素子31を得た。
次に、実施例#1の圧電薄膜素子21と従来例の圧電薄膜素子31について、圧電薄膜24,34の膜密度を測定した。ここでの膜密度は、文献値、理論計算値による真比重と、形成した圧電薄膜の重量および体積から求めた嵩(かさ)比重を用い、嵩比重÷真比重×100(%)の式から算出した。
その結果、従来例の圧電薄膜34の膜密度は60%であるのに対して、実施例#1の圧電薄膜24は膜密度98%であった。これにより、本発明により膜密度に関して大きな改善が得られることが確認できた。
次に、絶縁耐圧性と圧電特性の評価を目的として、実施例#1、従来例のそれぞれの圧電薄膜24,34の上に、膜厚0.2μmの白金上部電極をRFマグネトロンスパッタリング法で形成することで、下部電極と上部電極に圧電薄膜が挟まれた構造の圧電薄膜素子を作製した。図4に示されるように、圧電薄膜素子41a,41bは、実施例#1の圧電薄膜素子41aも従来例の圧電薄膜素子41bも、基板22,32上に下部電極23,33、圧電薄膜24,34、上部電極25,35を順に配したものである。
実施例#1の圧電薄膜素子41aと従来例圧電薄膜素子41bについて、圧電薄膜24,34の絶縁耐圧を測定した。従来例の圧電薄膜34の絶縁耐圧が10kV/cmであるのに対して、実施例#1の圧電薄膜24の絶縁耐圧は500kV/cmであった。これにより、本発明により絶縁耐圧に関して大きな改善が得られることが確認できた。
次に、実施例#1の圧電薄膜素子41aと従来例の圧電薄膜素子41bから、長さ20mm、幅2.5mmの短冊形状のサンプルを切り出し、そのサンプルを図5の試験装置で試験した。
試験装置は、除振台51に支柱52を起立させ、その支柱52にサンプル53を上下から挟み込むクランプ54を設け、そのクランプ54にサンプル53の一端が固定されて簡易的なユニモルフカンチレバー(カンチレバー型小型アクチュエータ)を形成するようになっている。サンプル53の下部電極と上部電極に配線を取り付け、ファンクションジェネレータ55からサンプル53に任意の電圧を印加可能とする。サンプル53の反対端の上方にレーザードップラ変位計56のヘッド57を設置し、レーザードップラ変位計56の出力を変位信号に変換する復調ユニット58をレーザードップラ変位計56に接続する。復調ユニット58からの変位信号と、ファンクションジェネレータ55からの印加電圧とをオシロスコープ59に取り込んで観測できるようにする。
この状態で下部電極と上部電極間の圧電薄膜24,34に電圧を印加すると、圧電薄膜が伸縮することでカンチレバーとしてのサンプル53全体が屈曲運動し、サンプル53の自由端が変位する。その変位量をレーザードップラ変位計56で測定し、この測定した結果から圧電薄膜24,34の圧電定数d31を算出した。
印加電圧(0〜20V)と圧電定数の関係を図6に示す。但し、従来例では絶縁耐圧の問題で圧電薄膜34に電圧を10Vまでしか印加できなかったため、印加電圧10Vまでの圧電定数しか得ることができていない。
図6に示されるように、従来例の圧電定数d31は約−10pm/Vであるのに対して、実施例#1の圧電定数d31は約−100pm/Vである。この結果、本発明は圧電特性に関して大きな改善をもたらすことが確認できた。
(実施例#2)
次に、図2に示されるように、本発明を用いて膜厚10μmの(Na0.470.47Li0.06)NbO3からなる圧電薄膜24を有する圧電薄膜素子21を実施例#2として作製した。
基板22は、(001)面方位、厚さ0.5mm、20mm×20mmの大きさに切り出したシリコン基板である。そのシリコン基板22上にRFマグネトロンスパッタリング法で、膜厚0.2μmの白金下部電極23を形成した。白金下部電極23の形成条件は、基板温度700℃、放電パワー200W、導入ガスAr雰囲気、圧力2.5Pa、成膜時間10分である。
この白金下部電極23上にエアロゾルデポジション法で圧電薄膜24を厚さ10μm形成した。その薄膜製造過程を詳しく説明すると、図1の成膜装置において、粒径が0.1〜2μmの良好な圧電特性を有するアルカリニオブ酸化物系ペロブスカイト構造の結晶粉末を主原料とし、粒径0.1〜2μmのBaTiO3微粒子を副原料とし、これら主原料と副原料を混合した。混合割合は、重量比で主原料:副原料=9.5:0.5とした。200gの原料をエアロゾル化室4にチャージし、搬送用ガスとしてヘリウムガスを用いた。エアロゾル化室4でヘリウムガスと共に原料をエアロゾル化したエアロゾル5をチャンバ1に搬送し、0.3mm×5mmの微小な開口面積を有するノズル6を通すことでエアロゾル5を高速に加速して基板2に吹き付けた。基板2の温度は450℃とした。基板2をノズル6に対してXYステージ8で連続的に走査することにより、基板2全面に均一に成膜した。ヘリウムガスの流量は1〜5×103cm3/min、チャンバ1内の圧力は約100Pa〜500Paの範囲内とした。
この結果、BaTiO3を含んでいる圧電薄膜24の厚さが10μmである図2の圧電薄膜素子21を得た。
(従来例)
次に、本発明と従来技術の比較のために、従来技術で図3の圧電薄膜素子31を従来例として作製した。基板32および白金下部電極33の形成手順、寸法は、実施例#2と全く同様である。原料としては、粒径が0.1〜2μmの良好な圧電特性を有するアルカリニオブ酸化物系ペロブスカイト構造の結晶粉末を用いた。エアロゾル成膜の条件は実施例#2と全く同じ条件である。この結果、膜厚10μmの圧電薄膜34を有する圧電薄膜素子31を得た。
次に、実施例#2の圧電薄膜素子21と従来例の圧電薄膜素子31について、圧電薄膜24,34の膜密度を測定した。ここでの膜密度は、文献値、理論計算値による真比重と、形成した圧電薄膜の重量および体積から求めた嵩(かさ)比重を用い、嵩比重÷真比重×100(%)の式から算出した。
その結果、従来例の圧電薄膜34の膜密度は60%であるのに対して、実施例#2の圧電薄膜24は膜密度96%であった。これにより、本発明により膜密度に関して大きな改善が得られることが確認できた。
次に、絶縁耐圧性と圧電特性の評価を目的として、それぞれの圧電薄膜24,34の上に、膜厚0.2μmの白金上部電極をRFマグネトロンスパッタリング法で形成することで、下部電極と上部電極に圧電薄膜が挟まれた構造の圧電薄膜素子を作製した。図4に示されるように、圧電薄膜素子41は、実施例#2の圧電薄膜素子41aも従来例の圧電薄膜素子41bも、基板22,32上に下部電極23,33、圧電薄膜24,34、上部電極25,35を順に配したものである。
実施例#2と従来例の圧電薄膜素子41a,41bについて、圧電薄膜24,34の絶縁耐圧を測定した。従来例の圧電薄膜34の絶縁耐圧が10kV/cmであるのに対して、実施例#2の圧電薄膜24の絶縁耐圧は700kV/cmであった。これにより、本発明により絶縁耐圧に関して大きな改善が得られることが確認できた。
次に、実施例#2の圧電薄膜素子41aと従来例の圧電薄膜素子41bから、それぞれ長さ20mm、幅2.5mmの短冊形状のサンプルを切り出し、そのサンプルを図5の試験装置で試験した。図5の状態で下部電極と上部電極間の圧電薄膜24,34に電圧を印加すると、圧電薄膜が伸縮することでカンチレバーとしてのサンプル53全体が屈曲運動し、サンプル53の自由端が変位する。その変位量をレーザードップラ変位計56で測定し、この測定した結果から圧電薄膜24,34の圧電定数d31を算出した。
印加電圧(0〜20V)と圧電定数の関係を図7に示す。但し、従来例では絶縁耐圧の問題で圧電薄膜34に電圧を10Vまでしか印加できなかったため、印加電圧10Vまでの圧電定数しか得ることができていない。
図7に示されるように、従来例の圧電定数d31は約−10pm/Vであるのに対して、実施例#2の圧電定数d31は約−95pm/Vである。この結果、本発明は圧電特性に関して大きな改善をもたらすことが確認できた。
(a)は、本発明の圧電薄膜素子の断面図、(b)は本発明の圧電薄膜素子の製造方法を実施する製造装置の構成図である。 実施例#1,#2の圧電薄膜素子の断面図である。 従来例の圧電薄膜素子の断面図である。 実施例#1,#2及び従来例の圧電薄膜素子の断面図である。 試験装置の構成図である。 実施例#1及び従来例の印加電圧対圧電定数特性図である。 実施例#2及び従来例の印加電圧対圧電定数特性図である。
符号の説明
1 チャンバ
2 基板
3 ガス源
4 エアロゾル化室
5 エアロゾル
6 ノズル
101 圧電薄膜素子
102 基板
103 下部電極
104 圧電薄膜
105 上部電極

Claims (4)

  1. NaxyLiz)NbO3(0<x<1、0<y<1、0≦z<1、x+y+z=1)で表されるアルカリニオブ酸化物系ペロブスカイト構造の多結晶を主成分とする圧電薄膜を備える圧電薄膜素子の製造方法において、
    (001)面方位のシリコン基板上に、スパッタリング法により、基板温度を700℃、放電パワー200W、Arガス雰囲気、圧力2.5Paの条件下で白金下部電極を形成する工程と、
    前記白金下部電極上に、粒径が0.1〜2μmの上記アルカリニオブ酸化物系ペロブスカイト構造の結晶粉末からなる主原料に、粒径が0.1〜2μmのAl 2 3 微粒子からなる副原料を前記主原料に対し重量比で5%以上混合した混合材料を用いエアロゾルデポジション法により膜密度95%以上の圧電薄膜を形成する工程とを備えたことを特徴とする圧電薄膜素子の製造方法。
  2. 前記圧電薄膜を形成する工程において、基板温度を450℃とすることを特徴とする請求項1に記載の圧電薄膜素子の製造方法。
  3. 前記圧電薄膜の厚さが0.5μmから100μmの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電薄膜素子の製造方法。
  4. 前記白金下部電極を0.2μmの厚さに形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧電薄膜素子の製造方法。
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JP2005143245A (ja) * 2003-11-07 2005-06-02 Ricoh Co Ltd 圧電アクチュエータ
JP2006108638A (ja) * 2004-09-13 2006-04-20 Denso Corp 圧電アクチュエータ

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