JP2011016988A - チアジアゾール含有高分子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下記一般式(1)で表されるチアジアゾール含有高分子。
(式中、Ar1,Ar2は各々独立してアリーレン基、またはヘテロアリーレン基を表し、Ar3は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルケニル基、アルキニル基、又はこれらの連結した基のいずれかを表す。)
【選択図】 なし
Description
位両末端置換基のカップリング反応の低反応性を解決するため、芳香環間をジカルボキシヒドラジド結合で連結後、Thiadiazole環形成を行うことによりユニットを製造し、それを用いて重合を行っている。だが、本願発明者らの検討によれば、チアジアゾール骨格の低溶解性により、製造された高分子は難溶性であり、電子吸収領域も、現在太陽電池用途の研究において汎用されているP3HTと同程度でしかない。
本発明は、チアジアゾール骨格を有する高分子として、有機デバイスに実用可能な易溶解性と、電子吸収波長領域の長波長化を兼ね備えた材料を提供することをその一つの目的とする。
更に、本発明は、上述の高分子を用いた有機電子デバイスを提供することを、その目的の一つとする。
[1] 下記一般式(1)で表されるチアジアゾール含有高分子。
[2]Ar1,Ar2,Ar3が各々独立してアリーレン基、またはヘテロアリーレン基を表すことを特徴とする[1]に記載のチアジアゾール含有高分子。
[3]重量平均分子量が0.5×104以上である[1]又は[2]に記載のチアジアゾール含有高分子。
[4]λmaxが、470nm以上である[1]〜[3]のいずれか一項に記載のチアジアゾール含有高分子。
[5]25℃におけるクロルベンゼンに対する溶解度が0.5wt%以上である[1]〜[4]のいずれか一項に記載のチアジアゾール含有高分子
[6]Ar1,Ar2が各々独立して炭素数4以上の置換基で置換された、アリーレン基、またはヘテロアリーレン基である[1]〜[5]のいずれか一項に記載のチアジアゾール含有高分子。
[7]Ar3が炭素数4以上の置換基で置換された、アリーレン基、またはヘテロアリーレン基である[1]〜[6]のいずれか一項に記載のチアジアゾール含有高分子。
[8]Ar1とAr2が同じ基である[1]〜[7]のいずれか一項に記載のチアジアゾール含有高分子。
[9]下記一般式(2)で表される化合物と、下記一般式(3)で表される化合物を重合する[1]〜[8]のいずれか一項に記載のチアジアゾール含有高分子の製造方法。
[10]Ar1,Ar2,Ar3が各々独立してアリーレン基、またはヘテロアリーレン基を表すことを特徴とする[9]に記載のチアジアゾール含有高分子の製造方法。
[11][1]〜[8]のいずれか一項に記載のチアジアゾール含有高分子を含む有機半導体材料。
[12][11]の有機半導体を含む、有機半導体層。
[13][12]に記載の有機半導体層を含む有機電子デバイス。
[14]光電変換素子であることを特徴とする、[13]に記載の有機電子デバイス。
[15]太陽電池であることを特徴とする、[13]に記載の有機電子デバイス。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
(チアジアゾール含有高分子)
本発明は、下記式(1)で表されるチアジアゾール含有高分子である。
Ar1,Ar2の種類としては、シクロペンタジチオフェニレン基、フェニレン基、ビフェニレン基、アズレニレン基、ナフチレン基(好ましくは2,7−ナフチレン基)、アントリル基(好ましくは2,7−アントリレン基)、ナフタセニル基、フェナントリル基等のアリーレン基、チエニレン基、バイチエニレン基、フルオレニレン基、ピリジレン基、オキサゾーレン基、チアゾーレン基、ベンゾチアジアゾーレン基、ベンゾチエニレン基、ジベンゾチエニレン基、ピラジレン基、ピリミジレン基、ピラゾイレン基、イミダゾイレン基、フェニルカルバゾイレン基、カルバゾイレン基、チエニルチエニレン基、ベンゾジチエニレン基、ジケトピロロピローレン基、ジチエノピローレン基、ジチエノシローレン基、シクロペンタジチオフェン基、チアジアゾロキノキサリン基、チエノピラジン基、ホスホーレン基、イミダゾリノフェニレン基、イミダゾリノチエニレン基、ベンゾビスイミダゾイレン基、ベンゾビスチアゾーレン基等のヘテロアリーレン基が挙げられる。好ましくはシクロペンタジチオフェニレン基、フェニレン基、ビフェニレン基、アズレニレン基、2,7−ナフチレン基、2,7−アントリレン基、ナフタセニレン基、フェナントリレン基、チエニレン基、ビチエニレン基、フルオレニレン基、ベンゾチアジアゾーレン基、カルバゾイレン基、チエニルチエニレン基、ベンゾジチエニレン基、ジケトピロロピローレン基、ジチエノピローレン基、ジチエノシローレン基、シクロペンタジチオフェン基、チアジアゾロキノキサリン基、チエノピラジン基、イミダゾリノフェニレン基、イミダゾリノチエニレン基、ベンゾビスイミダゾイレン基、ベンゾビスチアゾーレン基等が挙げられる。さらに好ましくはフェニレン基、シクロペンタジチオフェニレン基、チエニレン基、チアゾーレン基、ベンゾチアジアゾーレン基、フルオレニレン基、2,7−アントリレン基、ベンゾチアジアゾーレン基、カルバゾイレン基、チエニルチエニレン基、ベンゾジチエニレン基、ジチエノピローレン基、ジチエノシローレン基、シクロペンタジチオフ
ェン基、チエノピラジン基、イミダゾリノフェニレン基、ベンゾビスイミダゾイレン基、ベンゾビスチアゾーレン基等が挙げられる。様々な吸収波長を有する置換基を組み合わせることにより、太陽光のより広範囲を網羅できる点や、高分子に電子の受容性や供与性の特性を選択的に与えられる点から好ましい。
Ar1とAr2は、好ましくは同じ基である。
Ar3は上述のアリーレン基及び/又はヘテロアリーレン基、及び/又はアルケニル基及び/又はアルキニル基の連結した基であってもよい。その場合、Ar3の連結した基の数は、特段の制限はないが、通常2個以上であり、一方通常6個以下、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下である。また、アルケニル基やアルキニル基は連続して配置されることはなく、末端に位置するものが好ましい。
ちアリーレン基及び/又はヘテロアリーレン基が5個もの、アリーレン基及び/又はヘテロアリーレン基が4個でうち1個はアルキニル基及び/またはアルケニル基のもの、アリーレン基及び/又はヘテロアリーレン基が3個でうち2個はアルキニル基及び/またはアルケニル基のもの、アリーレン基及び/又はヘテロアリーレン基が2個でうち3個はアルキニル基及び/またはアルケニル基のものが挙げられる。Ar3が4個連結している場合は、そのうちアリーレン基及び/又はヘテロアリーレン基が4個もの、アリーレン基が3個でうち1個はアルキニル基及び/またはアルケニル基のもの、アリーレン基及び/又はヘテロアリーレン基が2個でうち2個はアルキニル基及び/またはアルケニル基のものが挙げられる。Ar3が3個連結している場合は、そのうちアリーレン基及び/又はヘテロアリーレン基が3個もの、アリーレン基及び/又はヘテロアリーレン基が2個でうち1個はアルキニル基及び/またはアルケニル基のものが挙げられる。Ar3が連結した場合の好ましい基としては、ビスチオフェニルアルキルジケトピロロピロール、ビスフェニルアルキルジケトピロロピロール、ビスピロロフェニルアルキルジケトピロロピロール等が挙げられる。さらに好ましくはビスチオフェニルアルキルジケトピロロピロール、ビスフェニルアルキルジケトピロロピロールが挙げられる。
Ar1,Ar2,Ar3は、アルキル基、アルコキシ基およびアリール基から選ばれる置換基を有すると、有機溶媒への溶解性が特に優れたものとなりやすく、好ましい。
置換の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基の炭素原子数は、通常、1〜20、好ましくは3〜12、より好ましくは4〜10である。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、シクロプロピル基、nブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、3−メチルブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基、ノニル基、シクロノニル基、デシル基、シクロデシル基、ラウリル基、シクロラウリル基等が挙げられるが、n−プロピル基、iso−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、3−メチルブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、シクロラウリル基が好ましく、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロオクチル基、ノニル基、シクロノニル基、デシル基、シクロデシル基等がより好ましい。
まず、様々な吸収波長を有するAr1、Ar2、Ar3を組み合わせて高分子化することにより電子吸収がブロードになり、太陽光の波長のより広範囲を網羅できることが期待で
きる。
さらに、Ar1、Ar2、Ar3の組み合わせを換えることでHOMO・LUMOのエネルギー準位を調節でき、素子特性の向上への寄与、p型またはn型または両極性の半導体特性を持たせることが期待できる。例えば、電子受容性のチアジアゾール基を、電子受容性を有するAr1、Ar2で挟み込み、さらにAr3も電子受容性を有する分子であった場合n型半導体特性を示すと考えられる。Ar3が電子供与性を有する分子であった場合も、高分子全体の電子受容性がより向上しているため、両極性の半導体特性を示す可能性がある。一方で、電子供与性を有するAr1、Ar2を組み合わせた場合は、Ar3が電子受容性であれば両極性、電子供与性であればp型の半導体特性を示す可能性が高いと考える。よって、組み合わせによって高分子に、選択的にpまたはn、または両極性の半導体特性を発現させられると考える。
本発明のチアジアゾール含有高分子のポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常0.5×104以上、好ましくは0.8×104以上、より好ましくは1.0×104以上、さらに好ましくは1.1×104以上である。一方、好ましくは1.0×107以下、より好ましくは1×106以下、さらに好ましくは5×105以下である。(1)式中のnは、前述の高分子のポリスチレン換算の重量平均分子量が、通常0.5×104以上、好ましくは0.8×104以上、より好ましくは1×104以上、さらに好ましくは1.1×104以上である。一方、好ましくは1×107以下、より好ましくは1×106以下、さらに好ましくは5×105以下となるような整数を示す。この重量平均分子量は、小さすぎると鎖上に共役が広がらず、電子吸収波長の短波長化といった問題点が生じ、大きすぎると溶解性が低下するなどの問題点が生ずる。
溶媒の種類としては、前記チアジアゾール含有高分子を均一に溶解あるいは分散できるものであれば特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチルなどのエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレンなどのハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類等が挙げられる。その
中でも好ましくは、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類やクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレンなどのハロゲン炭化水素類である。
発明のチアジアゾール含有高分子の製造方法には特に限定はなく、公知の方法で製造することができる。好ましくは、下記一般式(2)で表される化合物と、下記一般式(3)で表される化合物を重合する方法である。
X、Yは各々独立して、ハロゲン原子、アルキルスタニル基、アルキルスルホ基、アリールスルホ基、アリールアルキルスルホ基、ホウ酸エステル残基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化メチル基、ホウ酸残基(−B(OH)2)、ホルミル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。前記式(2)または(3)で表される化合物の合成上の観点及び反応のし易さの観点から、X、Yは独立に、ハロゲン原子、アルキルスタニル基、ホウ酸エステル残基、またはホウ酸残基(−B(OH)2)であることが好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が例示される。
ホウ酸エステル残基としては、例えば、下記式で示される基が挙げられる。
スタニル基としては、例えば、下記式で示される基等が挙げられる。
本発明の高分子の合成に用いる反応法としては、Suzuki−Miyauraクロスカップリング反応方法、Stilleカップリング反応方法、Yamamotoカップリング反応方法、Grignard反応方法、FeCl3などの酸化剤を用いる反応方法、Sonogashira‐Hagiwaraカップリング反応法、Mizoroki‐Heck反応法、電気化学的な酸化反応を用いる方法、適当な脱離基を有する中間体化合物の分解による反応方法などが挙げられる。これらの中でも、Suzukiカップリング反応方法、Stilleカップリング反応方法、Yamamotoカップリング反応方法、Grignard反応方法が、構造制御がしやすい点で好ましい。特に、Suzuki−Miyauraクロスカップリング反応方法、Stilleカップリング反応方法、Grignard反応方法が、材料の入手しやすさ、反応操作の簡便さの点から好ましい。Sonogashira‐Hagiwaraカップリング反応法、Mizoroki‐Heck反応法は、アルキニル基やアルケニル基を反応させることが出来る点から好ましい。尚、この反応を用いる場合には、Ar3のうちYと結合する部位はアリーレン基またはヘテロアリーレン基であることが好ましい。
本発明の高分子を有機光電変換素子用の材料として用いる場合、その純度が素子特性に影響を与えるので、反応前のモノマーを蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製した後にカップリング反応させることが好ましく、また、高分子の合成後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。
本発明のチアジアゾール含有高分子の合成に用いる反応方法としては、特に、Stilleカップリング反応方法が好ましい。
Stilleカップリング反応は溶媒中で行なう。使用することができる溶媒は一般的に上述した通りである。
Stilleカップリング反応の反応温度は、通常、0〜200°Cであり、好ましくは0〜180°Cであり、より好ましくは0〜160°Cである。該反応の時間は、通常1分間〜160時間であり、好ましくは10分間 〜120時間であり、より好ましくは10分間〜100時間である。
Stilleカップリング反応では、重合触媒としてホスフィン化合物を配位子として含むパラジウム錯体を用いる。具体例としては、Pd(PPh3)4、Pd(PPh2Me)2、Pd(P(t−Bu)3)2、Pd(PEt3)、Pd(PCy3)2、Pd(dppb)、Pd(dppe)、Pd(dppp)、Pd(BINAP)等が挙げられる(式中、Phはフェニル基を表し、Meはメチル基を表し、t−Buはtert−ブチル基を表し、Etはエチル基を表し、Cyはシクロヘキシル基を表す。)。
Stilleカップリング反応では、反応条件として大気下を好まない。よって、N2またはAr雰囲気下で行う。
発明のチアジアゾール含有高分子は、有機半導体材料として用いられることが好ましい。
本発明の有機半導体材料は、上に説明した本発明の高分子を少なくとも含有することを特徴とする。本発明の高分子のうち、何れか一種を単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせで含有していても良い。また、本発明の高分子のみからなるものであってもよいが、その他の成分(例えば、その他の高分子やモノマー、各種の添加剤等)を含有していてもよい。
バイスの項にて説明する。
次に、本発明の有機電子デバイスについて説明する。
本発明の有機電子デバイスは、上述した本発明の有機半導体材料を用いて形成されたことを特徴としている。本発明の有機半導体材料を適用可能なものであれば、有機電子デバイスの種類に特に制限はない。例としては、発光素子、スイッチング素子、光電変換素子、光電導性を利用した光センサー、太陽電池等が挙げられる。
スイッチング素子の具体例としては、ダイオード(pn接合ダイオード、ショットキー・ダイオード、MOSダイオード等)、トランジスタ(バイポーラートランジスタ、電界効果トランジスタ(FET)等)、サイリスタ、更にはそれらの複合素子(例えばTTL等)等が挙げられる。
本発明の有機半導体材料を有機電子デバイスのどの部位に用いるかは特に制限されず、任意の部位に用いることが可能であるが、通常は有機電子デバイスの有機半導体層に使用される。
本発明に係る光電変換素子は、少なくとも1対の電極、活性層、及びバッファ層を有し、該活性層に、本発明の有機半導体層を有する。活性層及びバッファ層は、電極間に配置されている。図1は一般的な有機薄膜太陽電池に用いられる光電変換素子を表すが,これに限るわけではない。
活性層の層構成は、p型半導体化合物とn型半導体化合物が積層された薄膜積層型、p型半導体化合物とn型半導体化合物が混合したバルクヘテロ接合型、薄膜積層型の中間層にp型半導体化合物とn型半導体化合物が混合した層(i層)を有する構造等が挙げられる。中でも、p型半導体化合物とn型半導体化合物が混合したバルクヘテロ接合型が好ましい。
抗が大きくなり、また電極間の距離が離れて電荷の拡散が悪くなる問題が生じるため、好ましくない。そこで、活性層の膜厚は10〜1000nmが好ましく、30〜200nmがさらに好ましい。
p型半導体化合物としては、特に限定はないが、低分子材料と高分子材料が挙げられる。
低分子系材料として,ナフタセン、ペンタセン、ピレン等の縮合芳香族炭化水素;α−セキシチオフェン等のチオフェン環を4個以上含むオリゴチオフェン類;チオフェン環、ベンゼン環、フルオレン環、ナフタレン環、アントラセン環、チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環を合計4個以上連結したもの;フタロシアニン化合物及びその金属錯体並びにテトラベンゾポルフィリン(BP)等のポルフィリン化合物及びその金属錯体等の大環状化合物なども挙げられる。低分子材料は、蒸着法によって製膜したり、半導体化合物前駆体を塗布後、半導体に変換することで製膜する方法がある。
p型半導体化合物としてその中でも好ましくは、低分子材料としては、ナフタセン、ペンタセン、ピレン等の縮合芳香族炭化水素、フタロシアニン化合物及びその金属錯体、もしくはテトラベンゾポルフィリン(BP)等のポルフィリン化合物及びその金属錯体であり、高分子材料としては、ポリチオフェン等の共役ポリマー半導体、もしくは本発明の有機半導体材料が好ましい。なお、上記一種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。
p型半導体化合物のHOMOレベルは、特に限定は無いが、後述のn型半導体の種類によって選択することができるが、特にフラーレン化合物と組み合わせるp型半導体のHOMOレベルは、通常−5.7eV以上、より好ましくは−5.5eV以上、一方、通常−4.6eV以下、−4.8eV以下が好ましい。p型半導体化合物のHOMOレベルが−5.7eV以上であることによりp型半導体としての特性が向上し、p型半導体のHOMOレベルが−4.6eV以下であることにより化合物の安定性が向上し、開放端電圧(Voc)の向上する。また、p型半導体のLUMOレベルは、特に限定は無いが、後述のn型半導体の種類によって選択することができるが、特にフラーレン化合物と組み合わせるp型半導体のLUMOレベルは、通常−3.7eV以上、好ましくは−3.6eV以上である。一方、通常−2.5eV以下、好ましくは−2.7eV以下である。p型半導体の
LUMOレベルが−2.5eV以下であることにより、バンドギャップが調整され長波長な光エネルギーを有効に吸収することができ、短絡電流密度が向上する。p型半導体のLUMOレベルが−3.7eV以上であることにより、n型半導体への電子移動が起こりやすくなり短絡電流密度が向上する。
<n型半導体化合物>
n型半導体化合物としては、特に限定はないが、フラーレン化合物、8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリノン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジン誘導体、アントラセン、ピレン、ナフタセン、ペンタセンなど縮合多環芳香族の全フッ化物、単層カーボンナノチューブ、ポリキノリン、ポリピリジン、ポリアニリン、ポリ(ベンゾビスイミダゾベンゾフェナントロリン)、ホウ素ポリマー、シアノ置換されたポリフェニレンビニレン、もしくは本発明の有機半導体材料等が挙げられる。その中でも好ましくは、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、フラーレン化合物、本発明の有機半導体材料である。これらを一種又は二種以上含んでも良い。
一般式(I)中のR1は置換基を有していても良い炭素数1〜14のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数1〜14のアルコキシ基、置換基を有していても良い芳香族基である。アルキル基として好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基もしくはイソブチル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基である。アルコキシ基として好ましくは、炭素数1〜10のアルコキシ基であり、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。芳香族基は、炭素数3〜10の芳香族炭化水素基あるいは芳香族複素環基であり、好ましくはフェニル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基であり、さらに好ましくはフェニル基、チエニル基である。上記アルキル基に置換しても良い置換基とは、ハロゲン原子又はシリル基である。置換しても良いハロゲン原子として好ましくはフッ素原子である。置換しても良いシリル基とは、ジアリールアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、トリアリールシリル基、トリアルキルシリル基であり、好ましくは、ジアルキルアリールシリル基であり、さらに好ましくは、ジメチルアリールシリル基である。
ル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基,ピリミジル基、キノリル基、キノキサリル基であり、さらに好ましくはフェニル基、チエニル基、フリル基である。有していても良い置換基として限定は無いが、好ましくはフッ素原子、炭素数1〜14のアルキル基、フッ化アルキル基、アルコキシ基、エステル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基であり、さらに好ましくはフッ素原子、アルコキシ基、エステル基、アリールカルボニル基であり、さらに好ましくはメトキシ基、メチルエステル基、n−ブチルエステル基、ベンゾイル基である。置換基を有する場合、その数に限定は無いが、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1〜2である。置換基が複数の場合、その種類は異なっていても良いが、好ましくは同一である。
アルコキシカルボニル基におけるアルコキシ基は、炭素数1〜12の炭化水素基あるいはフッ化アルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜12の炭化水素基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、オクチル基、2−プロピルペンチル基、2−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基である。
フラーレン化合物の中でも好ましくは、一般式(I)、一般式(II)もしくは一般式(IV)の構造を有するフラーレン化合物であり、より好ましくは、一般式(II)もしくは一般式(IV)の構造を有するフラーレン化合物であり、さらに好ましくは一般式(IV)の構造を有するフラーレン化合物であり、特に好ましくは、一般式(IV)においてR14が芳香族基で、かつR15が3−(アルコキシカルボニル)プロピル基であるフラーレン化合物である。
n型半導体層の作成方法としては、特段に制限はないが、塗布法が好ましい。塗布法については、p型半導体層の作成方法と同様である。
塗布法を適用できるようにするためには、当該フラーレン化合物自体が液状で塗布可能であるか、当該半導体化合物前駆体が何らかの溶媒に対して溶解性が高く溶液として塗布可能であることが好ましい。溶解性の好適な範囲をあげると、25℃でのトルエンに対する溶解度が、通常0.1重量%以上、好ましくは0.4重量%以上、より好ましくは0.7重量%以上である。溶解度が小さすぎると、フラーレン化合物の分散安定性が低下し、凝集、沈降、分離等を起こしやすくなるため好ましくない。
バッファ層としては、正孔取り出し層及び電子取り出し層に分類することができ、それぞれ、活性層と後述するカソードもしくは後述するアノードの間に設けることができる。
<電子取り出し層>
電子取り出し層の材料は、電子取り出し層には,p半導体化合物とn半導体化合物を含む半導体層から電極へ電子の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、無機化合物又は有機化合物が挙げられる。
アルカリ金属塩としては、LiF、NaF、KF、CsFのようなフッ化物塩が望ましい。このような材料の動作機構は不明であるが、Al等の電子取り出し電極(カソード)と組み合わされてカソードの仕事関数を小さくし、太陽電池素子内部に印加される電圧を上げる事が考えられる。
。 DSC法によるガラス転移温度が300℃以下に観測されないものは熱的に高い安定性を有しており好ましいものである。
以上、一方、通常100nm以下、より好ましくは60nm以下が望ましい。薄すぎると効果が小さく、厚すぎると直列抵抗となり効率の低下を引き起こすからである。
<正孔取り出し層>
正孔取り出し層の材料は、特に限定は無く活性層から電極へ正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミンポリピロールおよびポリアニリンなどにスルフォン酸及び/又はヨウ素などのドーピングした導電性ポリマー、アリールアミン等の導電性有機化合物や後述のp型半導体等が挙げられる。その中でも、好ましくは、スルフォン酸をドーピングした導電性ポリマーであり、より好ましくは、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルフォン酸をドーピングしたPEDOT/PSSである。また、金、インジウム、銀、パラジウム等の金属等の薄膜も使用することができる。さらに、金
属等の薄膜は、単独で形成してもよく、上記の有機材料と組み合わせて用いることもできる。
一般的に、透明電極(ITO)表面に正孔取り出し層としてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)が用いられているが、発電効率等の電池特性向上に寄与するものの、PEDOT:PSSは熱、光に対する安定性が悪く、熱、光照射に伴い構造破壊が生じる。PEDOT:PSSの分解成分は電子取り出し電極(Al)側に拡散し、動作の不安定化や短絡を招く可能性がある。作用機構としてはまだ定かではないものの、本願発明の無機化合物及びガラス転移温度(Tg)が80℃以上の有機化合物を含む電子取り出し層が、PEDOT:PSSの分解成分の電極(Al)側への移行をブロックすることで耐久性等を向上していることが要因のひとつとして考えられる。
本発明に係る電極は、光吸収により生じた正孔及び電子を捕集する機能を有するものである。したがって、一対の電極には、正孔の捕集に適した電極(以下、アノードと記載する場合もある)と電子の捕集に適した電極(以下、カソードと記載する場合もある)を用いることが好ましい。1対の電極は、いずれか一方が透光性であればよく、両方が透光性であっても構わない。透光性があるとは、太陽光が40%以上透過する程度のものである。又、透明電極の太陽光線透過率が70%以上であることが、透明電極を透過させて活性層に光を到達させるためには、好ましい。なお、光の透過率は、通常の分光光度計で測定可能できる。
アノードの材料を挙げると、例えば、酸化ニッケル,酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、インジウムージルコニウム酸化物(IZO),酸化チタン、酸化インジウム,酸化亜鉛などの導電性金属酸化物、金、白金、銀、クロム、コバルトなどの金属あるいはその合金が挙げられる。
電性高分子材料を積層することができるため、好ましい。このような導電性高分子を積層した場合には、その導電性高分子材料の仕事関数が高いことから、上記のような高い仕事関数の材料でなくとも、AlやMg等のカソードに適した金属も広く用いることが可能である。
また、アノード電極が透明電極である場合には、ITO、酸化亜鉛、酸化錫等の透光性がある導電性金属酸化物を用いることが好ましく、特にITOが好ましい。
アノードのシート抵抗は、特段の制限はないが、通常1Ω/γ以上、一方、1000Ω/γ以下、好ましくは500Ω/γ以下、さらに好ましくは100Ω/γ以下である。
電子の捕集に適した電極(カソード)とは、一般には仕事関数がアノード電極よりも高い値を有する導電性材料で、活性層で発生した電子をスムーズに取り出す機能を有する電極であり、本発明の電子取り出し層と隣接することを特徴とする。
カソードのシート抵抗は、特に制限は無いが、1000Ω/γ以下、好ましくは500Ω/γ以下、さらに好ましくは100Ω/γ以下。下限に制限は無いが、通常は1Ω/γ以上である。
さらに、アノードあるいはカソード電極は2層以上積層してもよく、表面処理により特性(電気特性やぬれ特性等)を改良してもよい。
アノード及びカソードを積層した後に、当該光電変換素子を通常50℃以上、好ましくは80℃以上、一方、通常280℃以下、好ましくは250℃以下の温度範囲において,加熱することが好ましい。なお、温度操作については上記範囲内で段階的に加熱してもよ
い。
該加熱処理により,素子の熱安定性を向上させるとともに、電極とバッファ層との間の密着性を向上させる効果が得られる。また,活性層の自己組織化にもこのアニール処理は効果的である。
本発明に係る光電変換素子は、通常は支持体となる基板を有する。すなわち、基板上に、電極と、活性層、バッファ層とが形成される。基板の材料(基板材料)は本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。基板材料の好適な例を挙げると、石英、ガラス、サファイア、チタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル、ポリエチレン等のポリオレフィン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン、エポキシ樹脂等の有機材料;紙、合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート或いはラミネートしたもの等の複合材料等が挙げられる。
基板の形状に制限はなく、例えば、板、フィルム、シート等の形状を用いることができる。基板の厚みに制限はない。ただし、通常5μm以上、中でも20μm以上、また、通常20mm以下、中でも10mm以下に形成することが好ましい。基板が薄すぎると半導体デバイスの強度が不足する可能性があり、基板が厚すぎるとコストが高くなったり重量が重くなりすぎたりする可能性がある。又、基板がガラスの場合は、薄すぎると機械的強度が低下し,割れやすくなるため,好ましくは0.01mm以上。より好ましくは0.1mm以上がよい。また,厚すぎると重量が重くなるため,好ましくは1cm以下,0.5cm以下が好ましい。
本発明の有機電子デバイスの例として、光電変換素子の一種である薄膜太陽電池を挙げて説明する。
図2は本発明の一実施形態としての薄膜太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。図2に示すように、本実施形態の薄膜太陽電池100は、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、太陽電池素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10とをこの順に備え、更に、耐候性保護フィルム1とバックシート10の縁部をシールするシール材11を備えている。そして、耐候性保護フィルム1が形成された側(図中下方)から光が照射されて、太陽電池素子6が発電するようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシートなど防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。
耐候性保護フィルム1は天候変化から太陽電池素子6を保護するフィルムである。
太陽電池素子6の構成部品のなかには、温度変化、湿度変化、自然光、風雨による侵食
などにより劣化するものがある。そこで、耐候性保護フィルム1で太陽電池素子6を覆うことにより、太陽電池素子6等を天候変化などから保護し、発電能力を高く維持するようにしている。
また、耐候性保護フィルム1は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、特に好ましくは95%である。
耐候性保護フィルム1の厚みは特に規定されないが、通常10μm以上、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。厚みを厚くすることで機械的強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まる傾向にある。
耐候性保護フィルム1は、薄膜太陽電池100においてできるだけ外側に設けることが好ましい。薄膜太陽電池100の構成部材のうちより多くのものを保護できるようにするためである。
紫外線カットフィルム2は紫外線の透過を防止するフィルムである。
薄膜太陽電池100の構成部品のなかには紫外線により劣化するものがある。また、ガスバリアフィルム3,9などは種類によっては紫外線により劣化するものがある。そこで、紫外線カットフィルム2を薄膜太陽電池100の受光部分に設け、紫外線カットフィルム2で太陽電池素子6の受光面6aを覆うことにより、太陽電池素子6及び必要に応じてガスバリアフィルム3,9等を紫外線から保護し、発電能力を高く維持することができるようになっている。
また、紫外線カットフィルム2は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、特に好ましくは95%以上である。
紫外線カットフィルム2を構成する材料は、紫外線の強度を弱めることができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系、エステル系の樹脂に紫外線吸収剤を配合して成膜したフィルムなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤を樹脂中に分散あるいは溶解させたものの層(以下、適宜「紫外線吸収層」という)を基材フィルム上に形成したフィルムを用いても良い。
基材フィルムの材質は特に限定されないが、耐熱性、柔軟性のバランスが良好なフィルムが得られる点で、例えばポリエステルが挙げられる。
に限定されない。例えば液状の樹脂を溶剤として用いることができ、その例を挙げると、ポリエステル系、アクリル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリカ−ボネ−ト系、ポリスチレン系などの各種合成樹脂などが挙げられる。また、例えば、ゼラチン、セルロース誘導体などの天然高分子;水、水とエタノール等のアルコール混合溶液なども溶剤として用いることができる。さらに、溶剤として有機溶剤を使用してもよい。有機溶剤を使用すれば、色素や樹脂を溶解または分散させることが可能となり、塗工性を向上させることが可能となる。なお、溶剤は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
界面活性剤としては、公知の界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤)を用いることができる。中でも、シリコン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤が好ましい。なお、界面活性剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
紫外線カットフィルム2の具体的な商品の例を挙げると、カットエース(MKVプラスティック株式会社)などが挙げられる。
紫外線カットフィルム2の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。厚みを厚くすることで紫外線の吸収が高まる傾向にあり、薄くすることで可視光の透過率を増加させられる傾向にある。
ただし、太陽電池素子6の受光面6aを覆う位置以外の位置にも紫外線カットフィルム2が設けられていてもよい。
[ガスバリアフィルム3]
ガスバリアフィルム3は水及び酸素の透過を防止するフィルムである。
ガスバリアフィルム3に要求される防湿能力の程度は、太陽電池素子6の種類などに応じて様々である。例えば、太陽電池素子6が化合物半導体系太陽電池素子である場合には、単位面積(1m2)の1日あたりの水蒸気透過率が、1×10−1g/m2/day以下であることが好ましく、1×10−2g/m2/day以下であることがより好ましく、1×10−3g/m2/day以下であることが更に好ましく、1×10−4g/m2/day以下であることが中でも好ましく、1×10−5g/m2/day以下であることがとりわけ好ましく、1×10−6g/m2/day以下であることが特に好ましい。
また、太陽電池素子6が有機太陽電池素子である場合には、単位面積(1m2)の1日あたりの水蒸気透過率が、1×10−1g/m2/day以下であることが好ましく、1×10−2g/m2/day以下であることがより好ましく、1×10−3g/m2/day以下であることが更に好ましく、1×10−4g/m2/day以下であることが中でも好ましく、1×10−5g/m2/day以下であることがとりわけ好ましく、1×10−6g/m2/day以下であることが特に好ましい。水蒸気が透過しなければしないほど、太陽電池素子6及び当該素子6のZnO:Al等の透明電極の水分との反応に起因する劣化が抑えられるので、発電効率が上がると共に寿命が延びる。
以下、ガスバリアフィルム3の構成について、例を挙げて説明する。
一つ目の例は、プラスチックフィルム基材に無機バリア層を配置したフィルムである。この際、無機バリア層は、プラスチックフィルム基材の片面のみに形成してもよいし、プラスチックフィルム基材の両面に形成してもよい。両面に形成するときは、両面に形成する無機バリア層の数が、それぞれ一致していていもよく、異なっていてもよい。
ガスバリアフィルム3に使用されるプラスチックフィルム基材は、上記の無機バリア層及びポリマー層を保持しうるフィルムであれば特に制限はなく、ガスバリアフィルム3の使用目的等から適宜選択することができる。
プラスチックフィルム基材の材料の例を挙げると、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、アクリロイル化合物が挙げられる。また、スピロビインダン、スピロビクロマンを含む縮合ポリマーを用いるのも好ましい。ポリエステル樹脂の中でも、二軸延伸を施したポリエチレンテレフタレート(PET)、同じく二軸延伸したポリエチレンナフタレート(PEN)は、熱的寸度安定性に優れるため、プラスチックフィルム基材として好ましく用いられる。
プラスチックフィルム基材の厚みは特に規定されないが、通常10μm以上、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。厚みを厚くすることで機械的強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まる傾向にある。
ト剤を塗布して形成される。アンカーコート剤としては、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、イソシアネート含有樹脂及びこれらの共重合体などが挙げられる。中でも、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂の1種類以上と、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、イソシアネート基含有樹脂の1種類以上とを組み合わせたものが好ましい。なお、アンカーコート剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
(無機バリア層)
無機バリア層は通常は金属酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物により形成される層である。なお、無機バリア層を形成する金属酸化物、窒化物及び酸化窒化物は、1種でもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
無機バリア層の成膜方法に制限は無いが、一般的にスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法などで行うことができる。例えばスパッタリング法では1種類のあるいは複数の金属ターゲットと酸素ガスを原料とし、プラズマを用いた反応性スパッタ方式で形成することができる。
ポリマー層にはいずれのポリマーでも使用することができ、例えば真空チャンバー内で成膜できるものも用いることができる。なお、ポリマー層を構成するポリマーは、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
前記ポリマーを与える化合物としては多種多様なものを用いることができるが、例えば以下の(i)〜(vii)のようなものが例示される。なお、モノマーは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、単官能アクリレートモノマーとしては、例えば脂肪族アクリレートモノマー、脂環式アクリレートモノマー、エーテル系アクリレートモノマー、環状エーテル系アクリレートモノマー、芳香族系アクリレートモノマー、水酸基含有アクリレートモノマー、カルボキシ基含有アクリレートモノマー等があるが、いずれも用いることができる。
(vii)例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸などが挙げられる。これらは、エチレンとの共重合体を
構成させ、この共重合体をポリマーとして使用できる。さらに、これらの混合物、あるいはグリシジルエーテル化合物を混合した混合物、さらにはエポキシ化合物との混合物もポリマーとして用いることができる。
塗布法でポリマー層を形成する場合、例えば、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンフローコート、スプレーコート、バーコート等の方法を用いることができる。また、ポリマー層形成用の塗布液をミスト状で塗布するようにしてもよい。この場合の液滴の平均粒径は適切な範囲に調整すればよく、例えば重合性モノマーを含有する塗布液をミスト状でプラスチックフィルム基材上に成膜して形成する場合には、液滴の平均粒径は5μm以下、好ましくは1μm以下である。
ポリマー層の厚みについては特に限定はないが、通常10nm以上であり、また、通常5000nm以下、好ましくは2000nm以下、より好ましくは1000nm以下である。ポリマー層の厚みを厚くすることで、厚みの均一性が得やすくなり無機バリア層の構造欠陥を効率よくポリマー層で埋めることができ、バリア性が向上する傾向にある。また、ポリマー層の厚みを薄くする事で、曲げ等の外力によりポリマー層自身がクラックを発生しにくくなるためバリア性が向上しうる。
なお、ガスバリアフィルム3は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。また、ガスバリアフィルム3は単層フィルムにより形成されていても良いが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
バリアフィルム3,9の縁部をシール材11でシールし、ガスバリアフィルム3,9及びシール材11で囲まれた空間内に太陽電池素子6を納めることにより、太陽電池素子6を湿気及び酸素から保護できるようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシートなど防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。
ゲッター材フィルム4は水分及び/又は酸素を吸収するフィルムである。太陽電池素子6の構成部品のなかには前記のように水分で劣化するものがあり、また、酸素によって劣化するものもある。そこで、ゲッター材フィルム4で太陽電池素子6を覆うことにより、太陽電池素子6等を水分及び/又は酸素から保護し、発電能力を高く維持するようにしている。
また、ゲッター材フィルム4が酸素を吸収することにより、ガスバリアフィルム3,9等で太陽電池素子6を被覆した場合に、ガスバリアフィルム3,9及びシール材11で形成される空間に僅かに浸入する酸素をゲッター材フィルム4が捕捉して酸素による太陽電池素子6への影響を排除できる。
aO等が挙げられる。その他にZr−Al−BaOや、アルミニウム金属錯体等も挙げられる。具体的な商品名を挙げると、例えば、OleDry(双葉電子社製)等が挙げられる。
なお、ゲッター材フィルム4は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。また、ゲッター材フィルム4は単層フィルムにより形成されていても良いが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
ゲッター材フィルム4は、ガスバリアフィルム3,9及びシール材11で形成される空間内であればその形成位置に制限は無いが、太陽電池素子6の正面(受光面側の面。図2では下側の面)及び背面(受光面とは反対側の面。図2では上側の面)を覆うことが好ましい。薄膜太陽電池100においてはその正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いため、これらの面を介して水分及び酸素が浸入する傾向があるからである。この観点から、ゲッター材フィルム4はガスバリアフィルム3と太陽電池素子6との間に設けることが好ましい。本実施形態ではゲッター材フィルム4が太陽電池素子6の正面を覆い、後述するゲッター材フィルム8が太陽電池素子6の背面を覆い、ゲッター材フィルム4,8がそれぞれ太陽電池素子6とガスバリアフィルム3,9との間に位置するようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシートなど防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。
封止材5は、太陽電池素子6を補強するフィルムである。太陽電池素子6は薄いため通常は強度が弱く、ひいては薄膜太陽電池の強度が弱くなる傾向があるが、封止材5により強度を高く維持することが可能である。
また、封止材5は、薄膜太陽電池100の強度保持の観点から強度が高いことが好ましい。
度とも関係することになり一概には規定しにくいが、薄膜太陽電池100全体が良好な曲げ加工性を有し、折り曲げ部分の剥離を生じないような強度を有するのが望ましい。
また、封止材5は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上、中でも好ましくは85%以上、とりわけ好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、その中でも特に好ましくは97%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
しかし、EVA樹脂の架橋処理には1〜2時間程度の比較的長時間を要するため、薄膜太陽電池100の生産速度および生産効率を低下させる原因となる場合がある。また、長期間使用の際には、EVA樹脂組成物の分解ガス(酢酸ガス)またはEVA樹脂自体が有する酢酸ビニル基が、太陽電池素子6に悪影響を与えて発電効率が低下させる場合がある。そこで、封止材5としては、EVAフィルムの他に、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体からなる共重合体のフィルムを用いることもできる。この共重合体としては、例えば、下記成分1および成分2が配合された熱可塑性樹脂組成物が挙げられる。
・成分2:軟質プロピレン系共重合体が、30重量部以上、好ましくは50重量部以上であり、また、通常100重量部以下、好ましくは90重量部以下。
なお、成分1および成分2の合計量は100重量部である。上記のように、成分1および成分2が好ましい範囲にあると、封止材5のシートへの成形性が良好であるとともに、得られる封止材5の耐熱性、透明性および柔軟性が良好となり、薄膜太陽電池100に好適である。
成分1および成分2が配合された熱可塑性樹脂組成物の融点は、通常100℃以上、好ましくは110℃以上である。また通常140℃以下、好ましくは135℃以下である。
この封止材5においては、上記成分1および成分2に、プラスチックなどに対する接着促進剤としてカップリング剤を配合することが可能である。カップリング剤は、シラン系、チタネート系、クロム系の各カップリング剤が好ましく用いられ、特にシラン系のカップリング剤(シランカップリング剤)が好適に用いられる。
また、上記カップリング剤は、有機過酸化物を用いて、当該熱可塑性樹脂組成物にグラフト反応させてもよい。この場合、熱可塑性樹脂組成物(成分1および成分2の合計量)100重量部に対して、上記カップリング剤を0.1〜5重量部含むことが望ましい。シラングラフト化された熱可塑性樹脂組成物を用いても、ガラス、プラスチックに対して、
シランカップリング剤ブレンドと同等以上の接着性が得られる。
また、封止材5としてエチレン・α−オレフィン共重合体からなる共重合体を用いることもできる。この共重合体としては、下記に示す成分Aおよび成分Bからなる封止材用樹脂組成物と基材とを積層してなる、ホットタック性が5〜25℃のラミネートフィルムが例示される。
・成分A:エチレン系樹脂。
・成分B:以下の(a)〜(d)の性状を有するエチレンとα−オレフィンとの共重合体。
(b)メルトフローレート(MFR)が1〜50g/10分。
(c)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線のピークが1つであり;該ピーク温度が100℃以下である。
(d)温度上昇溶離分別(TREF)による積分溶出量が、90℃のとき90%以上である。
封止材用樹脂組成物の密度は、0.80g/cm3以上が好ましく、0.85g/cm3以上がより好ましく、また、0.98g/cm3以下が好ましく、0.95g/cm3以下がより好ましく、0.94g/cm3以下がさらに好ましい。なお、密度の測定と評価は、JIS K7112に準拠する方法によって実施することができる。
上述した封止材5は、材料由来の分解ガスを発生することがないため、太陽電池素子6への悪影響がなく、良好な耐熱性、機械強度、柔軟性(太陽電池封止性)および透明性を有する。また、材料の架橋工程を必要としないため、シート成形時および薄膜太陽電池100の製造時間が大きく短縮できるとともに、使用後の薄膜太陽電池100のリサイクルも容易となる。
封止材5の厚みは、通常2μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また、通常500μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは100μm以下である。厚みを厚くすることで機械的強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まりまた光線透過率が高まる傾向にある。
[太陽電池素子6]
太陽電池素子6は、光を受けて発電する素子である。本発明の太陽電池素子は有機太陽電池素子である。有機太陽電池素子とは、構成材料として有機半導体を有する太陽電池素子をいう。
例えば、有機太陽電池素子は、少なくとも、一対の電極間に活性層を備えて構成される。このような構成の太陽電池素子では、活性層において光が吸収されて電気が発生し、発生した電気が電極から取り出されるようになっている。
電極は、導電性を有する任意の材料により形成することが可能である。電極の材料の例を挙げると、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属あるいはそれらの合金;酸化インジウムや酸化錫等の金属酸化物、あるいはその合金(ITO);ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子;前記導電性高分子に、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子などのドーパントを含有させたもの;金属粒子、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性粒子をポリマーバインダー等のマトリクスに分散した導電性の複合材料などが挙げられる。なお、電極の材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、電極は2層以上積層してもよく、表面処理による特性(電気特性やぬれ特性等)を改良してもよい。
活性層は、半導体を含有する層であり、光を吸収して電荷を分離する層である。この活性層は、単層の膜のみによって構成されていてもよく、2以上の積層膜によって構成されていても良い。有機太陽電池素子においては、前記の半導体のうち少なくとも1種、好ましくは全てとして有機半導体を用いる。
さらに、有機半導体は、通常、粒子状、ファイバー状等の凝集状態で存在する。この際、半導体の粒径は、通常2nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常10μm以下、好ましくは1μm以下である。有機太陽電池素子においてはこのような小粒径の粒子を活性層内で良好に分散させることが可能である。
バルクヘテロ接合型は、単一の活性層内に、p型の半導体とn型の半導体とを含んで構成されている。そして、p型の半導体とn型の半導体とが相分離した相分離構造となっていて、当該相の界面でキャリア分離が起こり、各相において正電荷(正孔)と負電荷(電子)とが分離、輸送されるものである。
積層型(ヘテロpn接合型)は、活性層が2以上の膜から構成されていて、少なくとも一つの膜がp型の半導体を含有して形成され、他の膜がn型の半導体を含有して形成されているものである。そして、当該p型の半導体を含有する膜とn型の半導体を含有する膜との境界にはp型の半導体とn型の半導体との相界面が形成されて、当該相界面でキャリア分離が起こるようになっている。
ハイブリッド型は、活性層が無機物質及び有機物質を共に含有して形成されるものである。この際、少なくとも1種の有機半導体を含有する以外は、ハイブリッド型の活性層が含有する無機物質及び有機物質は半導体特性を有していないものでもよいが、半導体特性を有しているもの(即ち、無機半導体及び有機半導体)を使用することが好ましい。例えば、ハイブリッド型に用いる有機半導体としてはペリレン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、ポルフィリン顔料等が挙げられ、無機半導体としてはチタニア、酸化亜鉛等が挙げられる。
太陽電池素子6は、薄膜太陽電池100の1個あたり1個だけを設けてもよいが、通常は2個以上の太陽電池素子6を設ける。具体的な太陽電池素子6の個数は任意に設定すればよい。太陽電池素子6を複数設ける場合、太陽電池素子6はアレイ状に並べて設けられていることが多い。
このように太陽電池素子6同士を接続する場合には、太陽電池素子6間の距離は小さいことが好ましく、ひいては、太陽電池素子6と太陽電池素子6との間の隙間は狭いことが好ましい。太陽電池素子6の受光面積を広くして受光量を増加させ、薄膜太陽電池100の発電量を増加させるためである。
封止材7は、上述した封止材5と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は封止材7と同様のものを同様に用いることができる。
また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
ゲッター材フィルム8は、上述したゲッター材フィルム4と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他はゲッター材フィルム4と同様のものを同様に必要に応じて用いることができる。
また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。また使用する水分あるいは酸素吸収剤をゲッター材フィルム4よりも多く含有するフィルムを用いることも可能となる。このような吸収剤としては、水分吸収剤としてCaO、BaO、Zr−Al−BaO、酸素の吸収剤として活性炭、モレキュラーシーブなどが挙げられる。
ガスバリアフィルム9は、上述したガスバリアフィルム3と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他はガスバリアフィルム9と同様のものを同様に必要に応じて用いることができる。
また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
バックシート10は、上述した耐候性保護フィルム1と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は耐候性保護フィルム1と同様のものを同様に用いることができる。また、このバックシート10が水及び酸素を透過させ難いものであれば、バックシート10をガスバリア層として機能させることも可能である。
(i)バックシート10としては、強度に優れ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性に優れた各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルースチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂のシートを使用することができる。これらの樹脂のシートの中でも、フッ素系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂のシートを使用することが好ましい。なお、これらは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(iii)バックシート10としては、例えばアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フイルムを接着した防水性の高いシートを用いても良い。フッ素系樹脂としては、例えば、一弗化エチレン(商品名:テドラー,デュポン社製)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等が挙げられる。なお、フッ素系樹脂は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
基材フィルムとしては、基本的には、無機酸化物の蒸着膜等との密接着性に優れ、強度に優れ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性に優れた各種の樹脂のフィルムを使用することができる。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルースチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムを使用することができる。中でも、フッ素系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、または、ポリエステル系樹脂のフィルムを使用することが好ましい。
基材フィルムの膜厚としては、通常12μm以上、好ましくは20μm以上であり、また、通常300μm以下、好ましくは200μm以下である。
無機酸化物の蒸着膜としては、基本的に金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能である。例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、の酸化物の蒸着膜を使用することができる。この際、酸化ケイ素としては例えばSiOx(x=1.0〜2.0)を用いることができ、酸化アルミニウムとしては例えばAlOx(x=0.5〜1.5)を用いることができる。
無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、通常50Å以上、好ましくは100Å以上であり、また、通常4000Å以下、好ましくは1000Å以下である。
蒸着膜の作製方法としては、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を用いることができる。具体例を挙げると、基材フィルムの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスを原料とし、キャリヤーガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体;プロピレンと他のモノマー(例えばα−オレフィン等)との共重合体を使用することができる。また、ポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクチック重合体を用いることもできる。
ポリプロピレン系樹脂の融点は通常164℃〜170℃であり、比重は通常0.90〜0.91であり、分子量は通常10万〜20万である。
・接着剤
基材フィルムにポリプロピレン系樹脂フィルムを積層する場合には、通常はラミネート用接着剤を用いる。これにより、基材フィルムとポリプロピレン系樹脂フィルムとはラミネート用接着剤層を介して積層されることになる。
上記の接着剤は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他等のコート法、あるいは、印刷法等によって施すことができる。そのコーティング量としては、乾燥状態で0.1g/m2〜10g/m2が望ましい。
シール材11は、上述した耐候性保護フィルム1、紫外線カットフィルム2、ガスバリアフィルム3、ゲッター材フィルム4、封止材5、封止材7、ゲッター材フィルム8、ガスバリアフィルム9及びバックシート10の縁部をシールして、これらのフィルムで被覆された空間内に湿気及び酸素が浸入しないようにシールする部材である。
なお、シール材11は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。
シール材11は、少なくともガスバリアフィルム3,9の縁部をシールできる位置に設ける。これにより、少なくともガスバリアフィルム3,9及びシール材11で囲まれた空間を密閉し、この空間内に湿気及び酸素が侵入しないようにすることができる。
即ち、例えば封止材5の硬化が進行する途中で、半硬化状態の薄膜太陽電池100を前記ラミネート装置から取り出し、太陽電池素子6の外周部であって耐候性保護シート1とバックシート10との間の部分に液状のポリマーを注入し、このポリマーを封止材5と共に硬化させればよい。また、封止材5の硬化が終了した後にラミネート装置から取り出して単独で硬化させてもよい。なお、前記のポリマーを架橋・硬化させるための温度範囲は通常130℃以上、好ましくは140℃以上であり、通常180℃以下、好ましくは170℃以下である。
本実施形態の薄膜太陽電池100は、通常、膜状の薄い部材である。このように膜状の部材として薄膜太陽電池100を形成することにより、薄膜太陽電池100を建材、自動車、インテリア等に容易に設置できるようになっている。薄膜太陽電池100は、軽く、割れにくく、従って安全性の高い太陽電池が得られ、また曲面にも適用可能であるため更に多くの用途に使用しうる。薄くて軽いため輸送や保管など流通面でも好ましい。更に、膜状であるためロール・トゥ・ロール式の製造が可能であり大幅なコストカットが可能である。
[製造方法]
本実施形態の薄膜太陽電池100の製造方法に制限は無いが、例えば、耐候性保護フィルム1とバックシート10との間に、1個又は2個以上の太陽電池素子6を直列または並列接続したものを、紫外線カットフィルム2、ガスバリアフィルム3,9、ゲッター材フ
ィルム4,8及び封止材5,7と共に一般的な真空ラミネート装置でラミネートすることで製造できる。この際、加熱温度は通常130℃以上、好ましくは140℃以上であり、通常180℃以下、好ましくは170℃以下である。また、加熱時間は通常10分以上、好ましくは20分以上であり、通常100分以下、好ましくは90分以下である。圧力は通常0.001MPa以上、好ましくは0.01MPa以上であり、通常0.2MPa以下、好ましくは0.1MPa以下である。圧力をこの範囲とすることで封止を確実に行い、かつ、端部からの封止材5,7がはみ出しや過加圧による膜厚低減を抑え、寸法安定性を確保しうる。
上述した薄膜太陽電池100の用途に制限はなく任意である。例えば、図3に模式的に示すように、何らかの基材12上に薄膜太陽電池100を設けた太陽電池ユニット13を用意し、これを使用場所に設置して用いればよい。具定例を挙げると、基材12として建材用板材を使用した場合、この板材の表面に薄膜太陽電池100を設けて太陽電池ユニット13として太陽電池パネルを作製し、この太陽電池パネルを建物の外壁等に設置して使用すればよい。
1.建築用途
1.1ハウス屋根材として太陽電池
基材として屋根用板材等を使用した場合、この板材の表面に薄膜太陽電池を設けて太陽電池ユニットとして太陽電池パネルを作製し、この太陽電池パネルをハウスの屋根の上に設置して使用すればよい。また、基材として瓦を直接用いることもできる。本発明の太陽電池が柔軟性を有するという特性を生かし、瓦の曲線に密着させることができるので好適である。
ビルの屋上に取り付けることもできる。基材上に薄膜太陽電池を設けた太陽電池ユニットを用意し、これをビルの屋上に設置することもできる。この時基材とともに防水シートを併用し、防水作用を有するのが望ましい。さらに、本発明の薄膜太陽電池が柔軟性を有するという特性を生かし、平面ではない屋根、例えば折半屋根に密着させることもできる。この場合も防水シートを併用するのが望ましい。
エントランスや吹き抜け部分に外装として本発明の薄膜太陽電池を用いることもできる
。何らかのデザイン処理を施されたエントランス等は曲線が用いられている場合が多く、そのような場合において本発明の薄膜太陽電池の柔軟性が生かされる。またエントランス等ではシースルーである場合があり、このような場合には、有機太陽電池の緑色系の色合いが、環境対策が重要視される時代において意匠的な美観も得られるので好適である。
基材として建材用板材を使用した場合、この板材の表面に薄膜太陽電池を設けて太陽電池ユニットとして太陽電池パネルを作製し、この太陽電池パネルを建物の外壁等に設置して使用すればよい。また、カーテンウオールに設置することもできる。その他、スパンドレルや方立等への取り付けも可能である。
1.5窓
また、シースルーの窓に使用することもできる。有機太陽電池の緑色系の色合いが、環境対策が重要視される時代において意匠的な美観も得られるので好適である。
その他建築の外装としてひさし、ルーバー、手摺等にも使用できる。このような場合においても、本発明の薄膜太陽電池の柔軟性が、これら用途にとり好適である。
2.内装
本発明の薄膜太陽電池はブラインドのスラットに取り付けることもできる。本発明の薄膜太陽電池は軽量であり、柔軟性に富むことから、このような用途が可能となる。また、内容用窓についても有機太陽電池素子がシースルーである特性を生かし使用することができる。
蛍光灯などの照明光を活用する植物工場の設置件数は増えているが,照明に掛かる電気代や光源の交換費用などによって栽培コストを引き下げにくいというのが現状である。そこで本発明の薄膜太陽電池を野菜工場に設置し、LEDまたは蛍光灯と組み合わせた照明システムを作製することができる。
また、野菜等を一定温度で輸送するリーファー・コンテナ (reefer container)の屋根や側壁に本発明の太陽電池を用いることもできる。
本発明の薄膜太陽電池は、駐車場の外壁や高速道路の遮音壁や浄水場の外壁等にも用いることができる。
5.自動車
本発明の薄膜太陽電池は、自動車のボンネット、ルーフ、トランクリッド、ドア、フロントフェンダー、リアフェンダー、ピラー、バンパー、バックミラーなどの表面に用いることができる。得られた電力は走行用モータ、モータ駆動用バッテリー、電装品及び電装品用バッテリーのいずれに供給することができる。太陽電池パネルにおける発電状況と該走行用モータ、該モータ駆動用バッテリー、該電装品及び該電装品用バッテリーにおける電力使用状況とに合わせて選択する制御手段とを備えることで、得られた電力が適正にかつ効率的に使用することができる
前記の場合、基材12の形状に制限はないが、通常は板材を使用する。また、基材12の材料、寸法等は、その使用環境に応じて任意に設定すればよい。
なお、以下において、各種分析測定方法の詳細は次の通りである。
<重量平均分子量>
ポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により求めた。カラムとして、Shim−pack GPC−803、GPC−804(島津製作所製、内径8.0mm、長さ30cm)をそれぞれ1本ずつ直列に繋げて用いた。検出器として示差屈折率検出器(島津製作所製:RID−10A)を用いた。高分子をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、得られた溶液50mLをカラムに注入した。移動相としてTHFを用い、1.0ml/minの流速で測定を行なった。
25℃におけるクロルベンゼンに対する溶解度は、5mgの試料が完全に溶解するために必要な溶媒量を測り、以下の式により算出した。
イオン化ポテンシャルは、ITO基板上に塗布製膜した試料を、OPTEL社製イオン化ポテンシャル測定装置PCR−101を用いて測定した。膜厚は50nm以上である。塗布溶液には、1.3wt%のクロルベンゼンを用いた。塗布には、スピンコーティ
ング法を用いた。
電子吸収測定には、日立分光光度計U−3500を用いた。薄膜サンプルは、1.3
wt%のクロルベンゼン溶液を、ITO基板上にスピンコートを行い製膜した。溶液状
態のサンプルは、6.8×10−4wt%クロロホルム溶液とし、1cm角の石英セル
を用いて測定を行った。
2,5− dibromo−2,5−Bis(3−hexylthiophen−2−yl) −1,3,4−thiadiazoleの合成
下記反応式(I)に従って、2,5− dibromo−2,5−Bis(3−hexylthiophen−2−yl) −1,3,4−thiadiazoleの合成を行った。詳細を説明する。
3−hexylthiophene−2−carboxyl acidの合成
室温、窒素雰囲気下において、50ml四ッ口フラスコ中にMg(0.59g,0.0243mol)を入れ1時間攪拌後、dry THF(17.7ml)を加え、次いで2−bromo−3−hexylthiophene(5.0g,0.0202mol)を攪拌しながらゆっくりと加えた。発熱が収まると、60℃に加熱2時間攪拌した。その後、室温まで冷却しdry CO2を用いて30分間のバブリングを行った。反応溶液を、0℃に冷却した1NのHCl(200ml)に滴下し、Diethyl etherを用いて抽出を行った。溶液の洗浄には、飽和食塩水を用いた。溶媒を除去乾燥後、淡黄色の化合物を得た。
1H−NMR(400Hz,CDCl3,TMS)δ/ppm 0.89(t,3H,J=7Hz),1.29−1.40(m,6H),1.64(quin,2H,J=7.5Hz), 3.02(t,2H,J=7.8Hz),6.96(d,1H,J=5.2Hz),7.48(d,1H,J=4.8Hz)
以上の結果より、得られた化合物が3−hexylthiophene−2−carboxyl acidであることが確認された(収率97%)。
3−hexylthiophene−2−carboxyl acid N’−(3−hexyl−thiophene−2−carbonyl) hydrazineの合成
室温、窒素雰囲気下において、50ml二ッ口フラスコ中に3−hexylthiophene−2−carboxyl acid(4.05g,0.01908mol)を入れ、次いでSOCl2(25ml)を加えた。1時間還流させた後、SOCl2の蒸留除去、乾燥を行った。同フラスコ中に、dry THF(16ml)及びtriethylamine(2.7ml)を加え0℃に冷却した。溶液を攪拌しながらhydrazine(0.25ml,8.58×10−3mol)を10分間でゆっくりと加えた。その後、析出した生成物をTHFを用いてろ過単離した。回収物をCHCl3を用いて再結晶を行い、黄色の針状結晶を得た。
1H−NMR(400Hz,CDCl3,TMS)δ/ppm 0.88(t,6H,J=7.2Hz),1.30−1.40(m,12H),1.67(quin,4H,J=7.6Hz),2.98(t,4H,J=7.8Hz),6.99(d,2H,J=4.8Hz),7.36(d,2H,J=5.2 Hz),8.51(s,2H)
以上の結果より、得られた化合物が3−hexylthiophene−2−carboxyl acid N’−(3−hexyl−thiophene−2−carbonyl) hydrazineであることが確認された(収率62%)。
2,5−Bis(3−hexylthiophen−2−yl)−1,3,4−thiadiazoleの合成
室温、窒素雰囲気下において、50 ml四ッ口フラスコ中に3−hexylthiophene−2−carboxyl acid N’−(3−hexyl−thiophene−2−carbonyl)hydrazine(2.47g,5.872×10−3 mol)、Toluene(20ml)を入れ、次いでLawesson’s 試薬(LR) (2.61g,6.45×10−3mol)を加え、7.5時間還流した。反応溶液にaluminaを加えた後ろ過し、CH2Cl2にて洗浄を行った。ろ液を濃縮し、CH2Cl2を展開溶媒としたカラムクロマトグラフィーにて精製を行った。淡黄色の生成物を得た。
1H−NMR(400Hz,CDCl3,TMS)δ/ppm 0.89(t,6H,J= 7.2Hz),1.30−1.34(m,8H),1.39−1.45(m,4H),1.70(quin,4H,J=7.6Hz),2.96(t,4H,J=7.8Hz),7.01(d,2H,J=5.2Hz),7.39(d,2H,J=5.2 Hz)
以上の結果より、得られた化合物が2,5−Bis(3−hexylthiophen−2−yl)−1,3,4−thiadiazoleであることが確認された(収率79%)。
2,5−dibromo−2,5−Bis(3−hexylthiophen−2−yl)−1,3,4−thiadiazoleの合成
室温、窒素雰囲気下において、20mlシュレンク管中に2,5−Bis(3−hexylthiophen−2−yl)−1,3,4−thiadiazole(1.93 g, 4.61×10−3mol)、DMF(5ml)を入れ、窒素バブリングを30分間行った。その溶液を0℃まで冷却し、N−bromosuccinimide(1.64g,9.22×10−3mol)のDMF(5ml)溶液を、シリンジを用いて滴下した。その後、室温で6時間攪拌した。反応溶液はEthyl acetateを用いて抽出し、飽和食塩水にて洗浄した後、溶媒を除去した。淡黄色の結晶を得た。
1H−NMR(400Hz,CDCl3,TMS)δ/ppm 0.89(t,6H,J= 7.0Hz),1.30−1.37(m,8H),1.41−1.44(m,4H),1.66(quin,4H,J=7.9Hz),2.86(t,4H,J=8Hz),6.98(s,2H)
以上の結果より、得られた化合物が2,5−dibromo−2,5−Bis(3−hexylthiophen−2−yl)−1,3,4−thiadiazoleであることが確認された(収率87%)。
2,6−trimethylditin−4,4−bis(2−ethy
lhexyl)−4H− cyclopenta[2,1−b;3,4−b’]dithiopheneの合成
下記反応式(II)に従って、2,6−trimethylditin−4,4−bis(2−ethylhexyl)−4H−cyclopenta[2,1−b;3,4−b’]dithiopheneeの合成を行った。詳細を説明する。
4,4−bis(2−ethylhexyl)−4H−cyclopenta[2,1−b;3,4−b’]dithiopheneの合成
室温、窒素雰囲気下において、200 mlフラスコ中に4H−Cyclopenta[2,1−b;3,4−b’]dithiophene(3g,1.6×10−2mol)、DMSO(100ml)を入れ溶解させた後、KOH(3.78g,6.73×10−2mol)、NaI(0.1g,6.73×10−4mol)、2−ethylhexyl bromide(6.34g,3.28×10−2mol)を加え、室温にて20時間攪拌した。反応溶液に蒸留水を加えた後、Ethyl acetateにて抽出を行った。溶液の洗浄には飽和食塩水を用いた。溶媒の除去後、Hexaneを展開溶媒としカラムクロマトグラフィーを行った。さらに、CHCl3を用いた分取GPC(LC−908−C60(日本分析工業))にて精製を行った。カラムは、JAIGEL−1H40と2H40を直列につないで用いた。淡黄色の化合物を得た。
1H−NMR(400Hz,CDCl3,TMS)δ/ppm 0.61(dt,6H,J=1.2,7.6Hz),0.78(dt,6H,J =0.8,6.4Hz),0.85−1.00(m,18H),1.88(m,4H),6.92(m,2H),7.10(d,2H,J=4.8Hz)
以上の結果より、得られた化合物が4,4−bis(2−ethylhexyl)−
4H−cyclopenta[2,1−b;3,4−b’]dithiopheneであることが確認された(収率96%)。
2,6−trimethylditin−4,4−bis(2−ethylhexyl)−4H−cyclopenta[2,1−b;3,4−b’]dithiopheneの合成
室温、窒素雰囲気下において、300ml四ッ口フラスコ中に4,4−bis(2−ethylhexyl)−4H−cyclopenta[2,1−b;3,4−b’]dithiophene(6g,1.48×10−2mol)、dry THF(120ml)を入れ溶解し、−78℃に冷却後n−BuLi2.6MinHexane(23ml,59.6×10−2mol)を滴下した。−77℃にて1時間攪拌後、ゆっくりと室温に戻し3時間攪拌を行った。再び−78℃に冷却しtriethyltin chloride 1M in Hexane(72ml,7.0×10−2mol)を滴下しゆっくりと室温に戻し16時間攪拌した。反応溶液に蒸留水を加えた後、Ethyl acetateにて抽出を行った。溶液の洗浄には飽和食塩水を用いた。溶媒の除去後、CHCl
3を用いた分取GPCにて精製を行った。淡黄色の化合物を得た。
1H−NMR(400Hz,CDCl3,TMS)δ/ppm 0.35(s,1
8H),0.58(dt,6H,J=1.2,7.6Hz),0.74(t,6H,J=7.0Hz),0.86−0.99(m,18H),1.82(dt,4H,J=5.2,14 Hz),6.94(t,2H,J=3.4Hz)
以上の結果より、得られた化合物が2,6−trimethylditin−4,4−bis(2−ethylhexyl)−4H−cyclopenta[2,1−b;3,4−b’]dithiopheneであることが確認された(収率65%)。
2,5−bis(trimethyltin)−2,5−Bis(3−hexylthiophen−2−yl)−1,3,4−thiadiazoleの合成
1H−NMR(400Hz,CDCl3,TMS)δ/ppm 0.41(s,18H),0.89(t,6H,J=7.2Hz),1.30−1.37(m,8H),1.39−1.46(m,4H),1.66−1.73(m,4H),2.96(t,4H,J=7.8Hz),7.05(s,2H)
以上の結果より、得られた化合物が2,5−bis(trimethyltin)−2,5−bis(3−hexylthiophen−2−yl)−1,3,4−thiadiazoleであることが確認された(収率69%)。
Poly[ (4,4−bis−[2−ethylhexyl]−4H−cyclopenta[2,1−b:3,4−b¢]dithiophene−2,6−diyl)−per−(3−n−hexylthiophene−2,5−diyl)−per− (
1,3,4−thiadiazole−2,5−diyl)−per− (3−n−hexylthiophene−2,5−diyl)]P(DTHTTdzHT)の合成
−1,3,4−thiadiazole(0.65g,1.14×10−3mol)、合成例2で得られた2,6−trimethylditin−4,4−bis(2−ethylhexyl)−4H−cyclopenta[2,1−b;3,4−b’]dithiophene(1g,1.37×10−4mol)、Toluene(15ml)を入れ溶解させた後、次いでtriphenylphosphine(0.096g,3.66×10−4mol)、tris(dibenzylidenacetone)dipalladium(0) (Pd2(dba)3)(0.0419g,4.58×10−5mol)を加えた。反応溶液を19時間還流した。反応溶液はMethanol(200ml)に滴下、ろ過後、生成物を得た。Toluene(100ml)に溶解させ、その溶液を1N HCl溶液にて酸処理後、飽和食塩水にて洗浄した。溶媒を除去後、アミン系金属除去シリカゲルを用いて、Tolueneを展開溶媒としカラムクロマトグラフィーを行った。カラムを通過した生成物を収集後、Toluene(200ml)に溶解させ、Acetone(310ml)を用いオイルアウト法にて低分子量の分子を分離した。ろ過後、回収した生成物をCHCl3(20ml)に溶解し、分取GPC(LC−908−C60(日本分析工業))にて低分子量の分子を分離した。カラムは、JAIGEL−3H40と4H40を直列につないで用いた。高分子(Mw=29,600)また、低分子(Mw=7,410)の2種類の赤色の生成物を得た。
1H−NMR(400Hz,CDCl3,TMS)δ/ppm 0.56−0.67,0.67−0.77,0.81−1.12,1.26−1.44,1.66−1.83,1.85−2.02,2.84−3.00,7.00−7.08,7.13−7.17
以上の結果より、得られた化合物がP(HTTdzHT−DT)であることが確認された。
Poly[(4,8−diethylhexyloxy−benzo[1,2−b;3,4−b]dithiophene)−per−(3−n−hexylthiophene−2,5−diyl)−per− (1,3,4−thiadiazole−2,5−diyl)−per− (3−n−hexylthiophene−2,5−diyl)]P(BDTHTTdzHT)の合成
−1,3,4−thiadiazole(0.2 g,3.47×10−4 mol)、公知文献(J.Am.Chem.Soc.,2009,131,15586−15587)の方法に従い合成した2,6−bis(trimethyltin)−4,8−diethylhexyloxy−benzo[1,2−b;3,4−b]dithiophene(0.295 g,3.82×10−4 mol)、Toluene:DMF(6.3 ml:0.7 ml)を入れ溶解させた後、次いでtetrakis(triphenylphosphine)palladium(0) (Pd(PPh3)4)(0.0160g,1.39×10−5mol)を加えた。反応溶液を11.5時間還流した後に、その反応溶液をMethanol(110ml)に滴下、ろ過後、生成物を得た。アミン系金属除去シリカゲルを用いて、Tolueneを展開溶媒としカラムクロマトグラフィーを行った。カラムを通過した生成物を収集後、回収した生成物をCHCl3(20ml)に溶解し、CHCl3を展開溶媒とし、分取GPC精製(LC−908−C60(日本分析工業))にて低分子量の分子を分離した。カラムは、JAIGEL−3H40と4H40を直列につないで用いた。Mw=110,000、PDI=5.23の青色生成物を25mg得た。
Poly[(3,6−bis(thiophen−2−yl))−2,5−didecyltetrakosyl−1,4−diketopyrrolo(3,4−c)pyrrole)−per−(3−n−hexylthiophene−2,5−diyl)−per− (1,3,4−thiadiazole−2,5−diyl)−per− (3−n−hexylthiophene−2,5−diyl)] P(TDPPHTTdzHT)の合成
e(0.0200 g,7.62×10−5 mol)、tris(dibenzylidenacetone)dipalladium(0) (Pd2(dba)3)(0.00873 g,9.53×10−6 mol)を加えた。
<比較例1>
下記一般式のポリマーPoly[ (1,3,4−thiadiazole−2,5−diyl)−alt−(thiophene−2,5−diyl
)](P(Thdz−Th)、構造は、以下に示す)を特開2006−131799の方法
に基づき合成し、Mw、溶解度、IP、λmaxを測定した。得られた結果を表1に表す。
Aldrich社製poly(3−hexylthiophene−2,5−diyl),regioregular(P3HT、構造は、以下に示す)について、Mw、溶解度、IP、λmaxを測定した。得られた結果を表1に表す。
p型半導体としてP(DTHTTdzHT)を用いた有機薄膜太陽電池
電子供与性分子構造を有するP(DTHTTdzHT)及び電子受容性分子構造を有する1−(3−メトキシカルボニル)プロピル−1−フェニル(6,6)−C60)(C60PCBM、フロンティアカーボン社製)を重量比1:3で、1.2重量%の濃度でクロロベンゼンに溶解させた。得られた溶液を、60℃で窒素雰囲気中、4時間スターラーで攪拌混合した。0.45μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過し、光電変換層塗布液を作製した。
この透明基板上に、0.45μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルターで濾過したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)水性分散液(エイチ・シー・スタルク社製 商品名「CLEVIOSTM P VP AI4083」)をスピンコートした後、120℃で大気中10分間加熱乾燥した。更に窒素雰囲気下で上記基板を195℃で3分間加熱処理を施した。その膜厚は40nmであった。
<実施例5>
p型半導体としてP(TDPPHTTdzHT)を用いた有機薄膜太陽電池
実施例4において、P(DTHTTdzHT)の代わりに、P(TDPPHTTdzHT)を用いた以外は、同様にして、太陽電池を作製し、光電変換特性を評価した。結果を
表2に示す。
p型半導体としてP(BDTHTTdzHT)を用いた有機薄膜太陽電池
実施例4において、P(DTHTTdzHT)の代わりに、P(BDTHTTdzHT)を用いた以外は、同様にして、太陽電池を作製し、光電変換特性を評価した。結果を表2に示す。
p型半導体としてP(BDTHTTdzHT)、n型半導体のC70PCBM用いた有機薄膜太陽電池実施例6において、C60PCBMの代わりに、1−(3−メトキシカルボニル)プロピル−1−フェニル(6,6)−C 60)(C70PCBM、フロンティアカーボン社製)を用いた以外は、同様にして、太陽電池を作製し、光電変換特性を評価した。結果を表2に示す。
p型半導体としてP(Thdz−Th)を用いた有機薄膜太陽電池
実施例4において、P(DTHTTdzHT)の代わりに、P(Thdz−Th)を用いた以外は、同様にして、太陽電池を作製しようとしたが、クロロベンゼンに溶解せず、素子を作製できなかった。
2 紫外線カットフィルム
3,9 ガスバリアフィルム
4,8 ゲッター材フィルム
5,7 封止材
6 太陽電池素子
10 バックシート
11 シール材
12 基材
13 太陽電池ユニット
100 薄膜太陽電池
101 透明電極
102 電子取り出し層
103 有機活性層(p型半導体、n型半導体混合層)
104 正孔取り出し層
105 対向電極
106 基板
Claims (15)
- 下記一般式(1)で表されるチアジアゾール含有高分子。
- Ar1,Ar2,Ar3が各々独立してアリーレン基、またはヘテロアリーレン基を表すことを特徴とする請求項1に記載のチアジアゾール含有高分子。
- 重量平均分子量が0.5×104以上である請求項1又は2に記載のチアジアゾール含有高分子。
- λmaxが、470nm以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載のチアジアゾール含有高分子。
- 25℃におけるクロルベンゼンに対する溶解度が0.5wt%以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載のチアジアゾール含有高分子
- Ar1,Ar2が各々独立して炭素数4以上の置換基で置換された、アリーレン基、またはヘテロアリーレン基である請求項1〜5のいずれか一項に記載のチアジアゾール含有高分子。
- Ar3が炭素数4以上の置換基で置換された、アリーレン基、またはヘテロアリーレン基である請求項1〜6のいずれか一項に記載のチアジアゾール含有高分子。
- Ar1とAr2が同じ基である請求項1〜7のいずれか一項に記載のチアジアゾール含有高分子。
- 下記一般式(2)で表される化合物と、下記一般式(3)で表される化合物を重合する請求項1〜8のいずれか一項に記載のチアジアゾール含有高分子の製造方法。
- Ar1,Ar2,Ar3が各々独立してアリーレン基、またはヘテロアリーレン基を表すことを特徴とする請求項9に記載のチアジアゾール含有高分子の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のチアジアゾール含有高分子を含む有機半導体材料。
- 請求項11の有機半導体を含む、有機半導体層。
- 請求項12に記載の有機半導体層を含む有機電子デバイス。
- 光電変換素子であることを特徴とする、請求項13に記載の有機電子デバイス。
- 太陽電池であることを特徴とする、請求項13に記載の有機電子デバイス。
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