JP2011005796A - トグル式型締装置におけるトグル機構の劣化診断方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 トグル機構における構成部品の相対位置(クロスヘッドの傾きなど)を、非接触式変位センサーで測定し、測定値と予め設定された基準値とを比較することにより、摩耗などによる劣化を自動判定し、警告を発してオペレータに知らせる。成形運転の安定化および生産設備の長寿命化に貢献できる。
【選択図】 図1
Description
マシンベース13の上には、固定プラテン14が固定キー14aを介して固定的に載置されている。可動プラテン15は、マシンベース13上に摺動移動可能に載置されている。固定プラテン14と可動プラテン15には、固定側と可動側からなる金型12が取り付けられており、可動プラテン15が前後進移動することにより、金型12を開閉できる。
また、固定プラテン14、可動プラテン15、リンクハウジング16には、4本のタイバー17が貫通しており、固定プラテン側で固定ナット18により、リンクハウジング16側で可動ナット19により、ねじ固定される。可動ナット19は、図示せぬダイハイト調整装置によって回転させることが可能で、金型12の型厚に応じてリンクハウジング16およびトグル機構を移動調整することができる。
ここから、さらにシリンダーロッド21を伸ばすと、クロスヘッド25が右側に動き、図9の様に、トグル機構が一直線上に伸びて、金型12に型締力が負荷される状態になる。型締シリンダー20のヘッド室に作動油が高圧で供給されることにより、シリンダーロッド21およびクロスヘッド25が大きな力で右側に動き、ミッドリンク23がクロスヘッドリンク24に大きな力で押されることにより、ミッドリンク23およびトグルリンク22は一直線上に伸び、タイバー17が伸ばされ、その反力として、金型12に型締力が負荷される。また、4本のタイバー17は、均一に伸ばされるよう、それぞれの可動ナット19は調整されている。
図14に、正常なトグル型締状態での型締動作を示す。上の図の型締途中(型締力が上昇中)では、クロスヘッドが前進することにより、ミッドリンクおよびトグルリンクが一直線上に伸ばされる。この時、クロスヘッドリンクには圧縮力が作用している。そして、型締限(型締完了)になると、ミッドリンクとトグルリンクは一直線上になり、クロスヘッドリンクには力は作用しない。
しかし、使用期間が長くなったり、あるいは潤滑油の供給が不十分であったりすると、摩擦抵抗が大きくなり、ブッシュ40aの摩耗が進行して、図15が示すように、トグルピン40がブッシュ40aに食い込んでいく。すると、可動プラテン15とリンクハウジング16の相対的な位置関係が変わり、故障を起こすことになる。
しかし、トグル機構に過度の摩耗による異常状態が生じバランスが崩れると、図9の下図のように、上側のトグル機構は内側に折れ、下側のトグル機構は外側に折れた状態になる。そうなると、クロスヘッド25が傾いた姿勢の型締状態が発生する。下側のトグル機構が下側(外側)に折れ曲がった状態(逆トグル状態)で型開き工程を行なうと、下側のトグル機構は中心線側(内側)に折れ曲がることが困難でロックアップ状態となり、動かなくなる。特に、油圧式では、型開きは面積の小さいロッド側室に高圧油を供給するので、大きな型開き力が出なく、ロックアップ状態になりやすい。
この状態になると、運転を即座に停止し、型締装置を分解するなどして修復をする必要がある。
第2の発明では、構成部品の相対位置関係は、クロスヘッドの傾きであるトグル機構の劣化診断方法とする。
第3の発明では、構成部品の相対位置関係は、可動プラテンとリンクハウジングの間の距離の偏差であるトグル機構の劣化診断方法とする。
第4の発明では、トグル機構の構成部品に装着されており他の構成部品との相対距離を測定する非接触式変位センサーと、あらかじめ相対距離の基準値が記憶されており、変位センサーの測定値と基準値を比較し、基準値を超えた場合は警告を発する制御装置からなるトグル機構の劣化診断装置である。
第5の発明では、非接触式変位センサーはレーザ式変位センサーであるトグル機構の劣化診断装置とする。
(1)成形運転中に、トグル機構の劣化を常時測定、監視が可能であるため、重大故障の発生を未然に防止できる。
(2)センサーが非接触式であり経年劣化することが無いので、長期間にわたって正確にトグル機構の劣化を測定、監視できる。
下の図は、ガイドロッド固定板27およびクロスヘッド25を、可動プラテン側から見た図である。ガイドロッド固定板27上において、ガイドロッド29の上と下の位置に2個の取付け部品51が取り付けられ、それらに2個のレーザ式(非接触式)の変位センサー50が取り付けられている。上の図は、取付け部品51や変位センサー50を上から見た図である。レーザ式の変位センサー50からレーザ光線を照射し、反射光を受光することにより、クロスヘッド25までの距離を測定する状態を表わす。変位センサー50は、照射したレーザ光線が、反射物(クロスヘッド25)によってはね返り、受光した位置を微小に感知することにより、反射物までの距離が測定できる構造である。よって、上下の2個の変位センサー50によって測定したクロスヘッド25までの距離を比較することにより、クロスヘッド25の傾きが測定できる。レーザ光による非接触式の測定であるため、計測装置自体が劣化することはない。また、ガイドロッド固定板27の位置や姿勢は、摩耗などの影響を受けないので安定的である。
クロスヘッド25の傾きは、型開きに支障がない許容できる基準値を、幾何学的計算や経験値によって予め設定しておく。型締動作毎に変位センサー50によって測定する傾きが、基準値を超えたかどうかを制御装置が判定することにより、トグル機構の劣化を診断することができる。そして、許容値を超えた場合は、アラーム表示などの警告を発してオペレータに知らせ、重大故障が発生する前に、適切なタイミングで分解、部品交換などの処置を施す。
例えば、上側の2個の変位センサーによる計測距離が小さくなれば、上側のトグル機構の摩耗が進行していることが予測できる。
12 金型
13 マシンベース
14 固定プラテン
14a 固定キー
15 可動プラテン
16 リンクハウジング
17 タイバー
18 固定ナット
19 可動ナット
20 型締シリンダー
21 シリンダーロッド
22 トグルリンク
23 ミッドリンク
24 クロスヘッドリンク
25 クロスヘッド
25a ガイドロッドブッシュ
27 ガイドロッド固定板
28 スペーサ
29 ガイドロッド
29a ガイドロッドカラー
30 サーボモータ
31 ボールねじ軸
32 ボールねじナット
33 ベルト&プーリー
40 トグルピン
40a ブッシュ
41 トグルピンカバー
50 変位センサー
51 取付け部品
Claims (5)
- 金型に型締力を負荷し開閉動作を行なうトグル式型締装置において、トグル機構における構成部品の相対位置を非接触式変位センサーで測定し、前記構成部品の相対位置関係によりトグル機構の劣化を判定することを特徴とするトグル機構の劣化診断方法。
- 前記構成部品の相対位置関係は、クロスヘッドの傾きであることを特徴とする請求項1記載のトグル機構の劣化診断方法。
- 前記構成部品の相対位置関係は、可動プラテンとリンクハウジングの間の距離の偏差であることを特徴とする請求項1記載のトグル機構の劣化診断方法。
- 金型に型締力を負荷し開閉動作を行なうトグル式型締装置において、トグル機構の構成部品に装着されており他の構成部品との相対距離を測定する非接触式変位センサーと、あらかじめ前記相対距離の基準値が記憶されており、前記非接触式変位センサーの測定値と前記基準値を比較し、基準値を超えた場合は警告を発する制御装置からなることを特徴とするトグル機構の劣化診断装置。
- 前記非接触式変位センサーはレーザ式変位センサーであることを特徴とする請求項4記載のトグル機構の劣化診断装置。
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