JP2011001994A - ロック解除構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロックアームを有するコネクタ等の主体をブラケット等の副体にスライド式にロックさせた状態から、治具棒をロックアームの付け根側から挿入してスムーズ且つ確実にロック解除させる。
【解決手段】主体1に可撓性のロックアーム4を設け、副体2に、ロックアームの内向きの突起9を係合させる係止縁部24とロックアーム撓み空間11とを設け、ロックアームは、付け根側の緩勾配の長い傾斜面7bを成す治具棒挿入用の溝7と、傾斜面と突起との間の急勾配の短い傾斜面8aとを有し、治具棒6をロックアームの付け根側から溝に沿って係止縁部と突起との間に差し込むようにした。ロックアームは、副体のガイドレール20に対する一対のスライド係合部10を連結する可撓性の支持壁5と、支持壁から突設されたロックアーム主体部4とを含み、支持壁に溝7を設けた。
【選択図】図3

Description

本発明は、ロックアームと係止部とを係合させた状態で、ロックアームの付け根側から治具棒を挿入してロックアームと係止部とのロックを解除するロック解除構造に関するものである。
図6(a)(b)は、従来のロック解除構造の一形態を示すものである。
この構造は、電気接続箱の合成樹脂製の上カバー51と下カバー52とのロックを金属製の治具棒56で解除するものである。図6(a)の如く、ロックは、下カバー52の外壁と同一面に形成された可撓性のロックアーム53と、上カバー51の外壁内面の段部57との係合で行われる。
ロックアーム53は先端側の突起58と、突起58の係止面58aに続く傾斜状のリブ54とを有する。ロックアーム53と上カバー51の外壁内面との間には治具棒挿通用の隙間55が下カバー52の底壁側から上向きに設けられ、隙間55内にリブ54が位置し、突起58の係止面58aが段部57に当接する。
図6(b)の如く、隙間55内に上向きに治具棒56が挿入され、治具棒56の先端がリブ54に乗り上げつつロックアーム53を内向きに撓ませることで、突起58と段部57との係合が解除される。この状態で治具棒56を押さえつつ、両カバー51,52を上下方向に引くことで、両カバー51,52が分離される。
ロックは両カバー51,52の複数箇所に配置され、各ロックが各治具棒56で同時にロック解除される。上カバー51の上部にはヒューズやリレー等の電気部品(図示せず)が装着され、電気部品に端子接続された各電線(図示せず)が下カバー52を経て外部に導出される。
図7は、従来のロック解除構造の他の形態を示すものである。
この構造は、コネクタ(コネクタハウジング61)の可撓性のロックアーム62と外部のスルーブラケット2’の孔部22とのロックを金属製の治具棒65で解除するものである。ロックアーム62は合成樹脂製のコネクタハウジング61の外壁側に一体に設けられ、外壁面との間に先端側の突起66を有する。
図8にも示す如く、ブラケット2’は、基板部19に設けられたガイドレール20と、ガイドレール20の厚み方向中間のスリット21に連通した上側の孔部22と下側の溝部26とを有するものである。上側の板部23の前端と孔部22との間の縁部24の内面にロックアーム62(図7)が接し、ロックアーム62の先端側の突起66が孔部22に係合する。ロックアームは下側の溝部26内で下向きに撓み自在である。ブラケット2’は例えば車両ボディ等に設けられる。上下等の方向性は説明の便宜上のものであり、必ずしもコネクタ61の取付方向と一致するとは限らない。
図7の如く、ロックアーム62の両側には縦断面L字状の一対のスライド係合リブ67が同一面上に設けられ、スライド係合リブ67がガイドレール20(図8)の上板部23に係合しつつ、ロックアーム62が下向きに撓んで縁部24を乗り越え、上向きに復元して孔部22に突起66が係合する。
その状態から治具棒65を後方すなわちコネクタ1の端子収容部68側からガイドレール20に沿って差し込んで、ロックアーム62の突起66を治具棒65の先端で押し下げてロックアーム62を下向きに撓ませて突起66と縁部24との係合を解除し、コネクタ1を前方すなわちコネクタ嵌合室69側に引いてブラケット2’から離脱させる。
本例のコネクタ61は電線付きの複数の雄端子(図示せず)を収容したもので、端子収容部68内に雄端子の電線接続部側が収容され、コネクタ嵌合室69内に雄端子の電気接触用のタブないしピンが突出する。コネクタ嵌合室69に相手側の雌端子を有するコネクタ(図示せず)が嵌合する。
特開平9−28018号公報(図1,図5)
しかしながら、上記従来の図6のロック解除構造にあっては、ロックアーム53のリブ54によってロックアーム53と外壁との間の隙間55が大きくなるために、ロック構造が肥大化し、上カバー51内のロック周りのスペースが無駄になるという問題があった。また、図6(b)において治具棒56が下向きに抜けやすいために、治具棒56を抜けないように上向きに押し付けつつ、下カバー52を下向きに上カバー51から離脱させる際に両手を用いなければならず、作業性が悪いという問題があった。
また、図7のロック解除構造にあっては、例えばブラケット2’の形状等によって治具棒65の挿入側の開口70が塞がれた場合に、ロックを解除することができず、無理にコネクタ61を引っ張ってロックを壊し兼ねないという問題があった。
本発明は、上記した点に鑑み、ロックアームを有するコネクタ等の主体をブラケット等の副体にスライド式にロックさせた状態から、治具棒をロックアームの付け根側から挿入してスムーズ且つ確実にロック解除することができると共に、主体側のロック構造をコンパクト化・省スペース化することができ、しかも、ロック解除時の治具棒の抜け出しを防いで、副体からの主体の離脱を作業性良く確実に行うことができるロック解除構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るロック解除構造は、主体に可撓性のロックアームが設けられ、副体に、該ロックアームの内向きの突起を係合させる係止縁部とロックアーム撓み空間とが設けられ、該ロックアームが、付け根側の緩勾配の長い傾斜面を成す治具棒挿入用の溝と、該傾斜面と該突起との間の急勾配の短い傾斜面とを有し、治具棒が該ロックアームの付け根側から該溝に沿って該係止縁部と該突起との間に差し込まれることを特徴とする。
上記構成により、主体が副体にスライド係合すると同時に、主体のロックアームが副体の係止縁部に乗り越えて係合し、このロック状態から治具棒をロックアームの付け根側から溝内に挿入することで、溝の緩勾配の長い傾斜面に沿って治具棒が進入しつつロックアームをロック解除方向に一次的に撓ませ、次いで治具棒の先端が急勾配の短い傾斜面に沿って進入しつつロックアームをロック解除方向に二次的に撓ませ、これによりロックアームの突起と係止縁部とのロックが解除されつつ、治具棒がロックアームの突起と係止縁部との間に進入して突起と係止縁部とを確実に離間させる。治具棒はロックアームの復元力で突起と係止縁部との間に挟まれて保持される。この状態で主体を離脱方向にスライドさせることで、治具棒が主体と一体的に副体から抜き出される。
請求項2に係るロック解除構造は、請求項1記載のロック解除構造において、前記ロックアームが、前記副体のガイドレールに対する一対のスライド係合部を連結する可撓性の支持壁と、該支持壁から突設されたロックアーム主体部とを含み、該支持壁に前記溝が設けられたことを特徴とする。
上記構成により、支持壁がロックアームの一部を成し、治具棒の挿入時に支持壁がロックアーム主体部と同方向に且つロックアーム主体部よりも小さく撓み、ロックアーム主体部を補助する。ロックアーム主体が短くても支持壁が一体に撓むことで、ロックアーム主体部のへたりが防止される。支持壁の溝に沿ってロックアームの付け根側から治具棒が挿入される。
請求項3に係るロック解除構造は、請求項1又は2記載のロック解除構造において、前記治具棒が前記係止縁部を通過して前記ロックアームの先端側まで差し込まれることを特徴とする。
上記構成により、治具棒で係止縁部とロックアームの突起とが確実に分離され、副体からの主体の抜き出し時における不意な突起と係止縁部との係合(ロックアームの復帰)が阻止される。
請求項4に係るロック解除構造は、請求項1〜3の何れかに記載のロック解除構造において、前記溝の幅が前記ロックアームの突起の幅に近似する程度に幅広に設定されたことを特徴とする。
上記構成により、既存の幅広の治具棒を使用可能で、主体として小さなコネクタ等を用いた場合における治具棒の撓みが防止され、治具棒が確実にロックアームをロック解除方向に撓ませる。幅広の治具棒はロックアームの突起を確実に捕らえる。幅広で薄型の治具棒により、ロックアームの溝の浅いコンパクトなロック構造に対応できる。
請求項5に係るロック解除構造は、請求項1〜4の何れかに記載のロック解除構造において、前記ロックアーム撓み空間が、ロック解除時の前記ロックアームの撓み代と前記治具棒の厚みとの総和以上の深さを有することを特徴とする。
上記構成により、治具棒を挿入してロックアームを撓ませた際に、副体の係止縁部とロックアームの突起との間に治具棒が位置し、ロックアームが副体側の撓み空間内にロックアームの撓み代と治具棒の厚みとの総和ないしそれ以上のストロークで大きく撓んで確実にロック解除される。
請求項1記載の発明によれば、ロックアームの付け根側に治具棒挿入用の溝を設けたことで、例えば副体側の形状等によってロックアームの先端側から治具棒を挿入できない場合でも、治具棒をロックアームの付け根側から挿入してロック解除することができ、しかも、溝内の緩勾配の傾斜面とロックアームの急勾配の傾斜面とに沿って順に治具棒を挿入して二段式にロックアームを大きなストロークで確実に撓ませるようにしたことで、ロック解除をスムーズ且つ確実に行わせることができる。また、溝内に緩勾配の傾斜面を設けたことで、治具棒の挿入スペースを省スペース化して、主体側のロック構造をコンパクト化することができる。また、治具棒がロックアームの突起と副体側の係止縁部との間にロックアームの復元力で挟まれて保持されることで、治具棒から手を離しても治具棒が脱落せず、副体からの主体の抜き出し作業を効率良く行うことができる。
請求項2記載の発明によれば、支持壁で治具棒挿入時におけるロックアーム主体部の復元力や耐久性が高められ、しかも、撓みの少ない支持壁に沿って治具棒を傾きなく真直に差し込むことで、ロックアームをロック解除方向に確実に撓ませることができる。
請求項3記載の発明によれば、治具棒で係止縁部とロックアームの突起とを確実に分離することで、ロック解除を確実に行わせ、副体からの主体の抜き出し時における不意な突起と係止縁部との係合を確実に阻止して、主体の離脱作業性を高めることができる。
請求項4記載の発明によれば、幅広で薄型の治具棒を用いて治具棒の撓みを防いでロックアームをロック解除方向に確実に撓ませることができると共に、ロックアームの溝を浅くしてロック構造をコンパクト化することができる。
請求項5記載の発明によれば、例えばブラケットといった副体側にロックアーム撓み空間を設けたことで、例えばコネクタといった主体側のロック構造をコンパクト化することができる。また、ロックアームをロックアームの撓み代と治具棒の厚みとの総和ないしそれ以上のストロークで大きく撓ませることで、ロック解除を確実に行うことができる。
本発明に係るロック解除構造を適用したコネクタの一実施形態を示す正面図(円内は要部拡大図)である。 同じくコネクタを示す中央から縦断面とした斜視図である。 コネクタをブラケットに係合させた状態からロック解除するロック解除構造の一実施形態を示す初期解除時の縦断面図である。 同じくロック解除構造における中間解除時の縦断面図である。 同じくロック解除構造における解除完了時の縦断面図である。 従来のロック解除構造の一形態を示す、(a)はロック状態の縦断面図、(b)はロック解除状態の縦断面図である。 従来のロック解除構造の他の形態を示す、要部を縦断面とした側面図である。 図7におけるコネクタ係合用のブラケットの一形態を示す斜視図である。
図1〜図5は、本発明に係るロック解除構造の一実施形態を示すものである。
この構造は、図1の如く、合成樹脂製のコネクタハウジング(主体)1の外壁3に沿うロックアーム4の支持壁5に、ロック解除用の治具棒6(図3)の幅に合わせた幅広Wの治具棒挿入(案内)用の溝7を設け、図2の如く、溝7は入口7a側から漸次高さを増した緩勾配の長い傾斜面7bを有し、支持壁5の外面と同一面にロックアーム4を後方に延長形成し、ロックアーム4は傾斜面7bに続く急勾配の短い傾斜面8aと、短い傾斜面8aに続く水平な短い真直面8bと、真直面8bに続く突起9とを有し、図3〜図5の如く、ブラケット(副体)2にコネクタハウジング1の一対のスライド係合リブ10を係合させると共にロックアーム4を係止させた状態で、ロックアーム4の付け根側7aから治具棒6を差し込んで、ロックアーム4をブラケット2の撓み空間11内に撓ませてロック解除させるようにしたものである。
図1,2の如く、コネクタハウジング1の矩形状のコネクタ嵌合室12が前半に位置し、コネクタ嵌合室12の周囲のフード部13の下側の壁部(外壁)3の内面に、相手側コネクタ(図示せず)に対する案内リブ14が立設され、下側の壁部3の外面に左右一対の縦断面L字状のスライド係合リブ10が対称に設けられ、一対のスライド係合リブ10の長手方向中間部においてロックアーム4(図2)の支持壁5がスライド係合リブ10と同一面に水平に直交して一対のスライド係合リブ10を連結し、支持壁5の中央にロックアーム4が後向きに突出形成されている。
コネクタハウジング1の後半には、複数の端子収容室15(図3)を有する端子収容部16が位置している。端子収容部16に複数の電線付き雄端子(図示せず)の後半部が収容され、各雄端子の前半の電気接触部がコネクタ嵌合室12内に突出し、少なくともコネクタハウジング1と端子とでコネクタが構成される。なお、明細書で前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、必ずしもコネクタ(符号1で代用)の取付方向と一致するとは限らない。
各スライド係合リブ10は、下側の壁部3に直交する垂直部10aと、垂直部10aから内向きに突出した水平部10bと、前端のストッパ壁10cとで構成されている。支持壁5は各水平部10bと同一面に設けられ、各水平部10bを横断方向に連結している。支持壁5の幅(前後方向長さ)はロックアーム4の幅と同程度である。支持壁5の内面の中央に幅広の縦断面矩形状の溝7が設けられ、図2の如く溝7の底面7bは後上がり(前下がり)に緩く傾斜している。
図1の円内の拡大図の如く、溝7の幅Wは既存の治具棒6(図3)の幅と同程度(厳密には若干広く)に広く設定されている。溝7の幅Wはロックアーム4の突起9の幅に近似している。鎖線の如く溝7’を幅狭W1に形成する場合は、治具棒6を細幅に形成する必要がある。治具棒6は金属材で形成されるが、ロック解除時にロックアーム4の弾性に負けて撓まないように、幅広であることが好ましい。
図1の如く、支持壁5の上側にはブラケット2(図3)を挿通させるための隙間17が設けられ、隙間17の幅方向中央にロックアーム4の突起9が上向きに配置されている。溝7と突起9とはブラケット挿通方向の同一線上に配置されている。本例の突起9の幅は溝7の幅よりも少し大きく形成されている。ブラケット挿通用の隙間17の下側で支持壁5の前側に治具棒挿入用のスペース18(図2)が位置し、スペース18は溝7に続いている。
図2の如く、溝7はロックアーム4の急勾配の短い傾斜面8aに続き、傾斜面8aは短い水平面8bに続き、水平面8bは突起9に交差して続いている。水平面8bは支持壁5の溝7のない左右両側部分の上面5aと略同一面に位置している。ロックアーム4は支持壁5の後端から急勾配の傾斜面8aと水平面8bと突起9との長さ分だけ後方に突出している。突起9は、垂直よりも若干前向きに傾斜した係止面9aと、係止面9aに交差する短い頂面9bと、頂面9bに続く前側の傾斜面9cとを有している。左右一対のスライド係合リブ10は支持壁5の前端よりも前方に延長され、且つ突起9よりも後方に延長されている。
図3の如く、ブラケット2は、水平な基板部19と、基板部19の上面に設けられたガイドレール20(図8参照)とを有している。図8の例と同様に、ガイドレール20は、前端から厚み方向中央の水平なスリット21を有し、スリット21に連通した矩形状の孔部22と、スリット21の上側の板部23の前端から孔部22までの間の係止縁部24と、スリット21の下側の板部25の前端から孔部22まで設けられた溝部26と、孔部22の内側ほぼ中央に形成されて基板部19に一体に続く中間の段部27と、孔部22の後端の段部28とを有したものである。
コネクタハウジング1をブラケット2に後向きにスライド嵌合させた状態で、後端の段部28の垂直壁28aがコネクタハウジング1の後端に近接して、ロックアーム4の後方の空間29を外部から遮断して塞ぐ。従来の図7の例に較べて例えばコネクタハウジング1の端子収容部16の長さが長い場合や、ガイドレール20の孔部22が長く、後端の段部28が後方に遠く離れて配置されているような場合に、図3の状態となる。
このため、ロックアーム解除用の治具棒2を従来(図7)のように後方から挿入することができず、図3のように治具棒2はコネクタハウジング1の前方から、すなわちロックアーム4の付け根7a側から挿入される。なお、付け根7aの位置は支持壁5の後端を示しているが、実際には支持壁5から突出したロックアーム4の付け根は急勾配の傾斜面8aの下端位置となる。
中間の段部27の垂直壁27aはロックアーム4の先端4aよりも少し後方に位置し、段部27から基板部19の上面(底面)にかけてロックアーム撓み空間11が構成されている。撓み空間11の深さH(図5)すなわち係止縁部24の下面から基板部19の上面までの垂直距離はロックアーム4の撓み代と治具棒6の厚みT(図5)との総和よりも大きく設定される。
図3において、ガイドレール20(図8)のスリット21よりも上側の板部23(図8)の幅方向両端部分が一対のスライド係合リブ10の内側の水平溝内にスライド係合し、ロックアーム4がガイドレール20のスリット21内に挿入されて係止縁部24の下面に沿って位置し、突起9が係止縁部24の後方の孔部22に係合し、突起9の係止面9aが係止縁部24の後端面に当接している。
その状態から治具棒6が前方から支持壁5の溝7内に挿入され、溝7の傾斜面7bに沿って進入する。支持壁5は一対のスライド係合リブ10の間に張り渡され、且つロックアーム4の幅と同程度に細幅に形成されているので、支持壁5とスライド係合リブ10との交差部を支点にロックアーム4と一体に撓み可能である(ロックアーム4が撓んだ際に支持壁5はロックアーム4よりも小さく撓む)。ロックアーム4の突出長さは支持壁5の幅(前後方向長さ)と同程度に短く設定されている。支持壁5はロックアーム4の一部として作用する。本例のロックアーム4は支持壁5から一体に突設されたロックアーム主体部と呼称してもよい(支持壁5はロックアーム副体部と呼称することもできる)。
そのため、図3において治具棒6が支持壁5の溝7とガイドレール20の係止縁部24との間に水平に差し込まれた際に、治具棒6の先端部が溝7の傾斜面7bに沿って摺接しつつ支持壁5と一体にロックアーム4を下向きに押し下げて撓ませる。
支持壁5に緩勾配の傾斜面7bを有する溝7を設けたことで、従来(図6)のロックアーム53の傾斜状のリブ54に較べてロックアーム4の急勾配の傾斜面8aの高さを低くすることができ、それにより、従来(図6)のロックアーム53の治具棒挿入隙間55よりも、係止縁部24とロックアーム4との間の治具棒挿入隙間(溝7)を狭く設定して、ロック構造がコンパクト化されている。
さらに、図4の如く、治具棒6の先端に設けた下向きの傾斜面6aがロックアーム4の急勾配の傾斜面8aに摺接することで、ロックアーム4をさらに下向きに押し下げて撓ませ、治具棒6の傾斜面6aの上端の鋭利な先端6bがロックアーム4の突起9の係止面9aの上側(上端)に位置する。
さらに、図5の如く、治具棒6を押し込むことで、治具棒6の先端6bがロックアーム4の突起9を乗り越え、治具棒6の下面6cが突起9をさらに押し下げてロックアーム4を最大に撓ませて、確実にロック解除させる。なお、図5ではロックアーム4の下面と支持壁5の下面とを直線的に結んでいるが、実際にはロックアーム4の撓みが大きく、支持壁5の撓みが小さいので、両下面を結ぶ線は曲線的となる。
治具棒6の先端6bはロックアーム4の先端4aのほぼ上側に位置する。ロックアーム4の撓み代はブラケット2の深さHからほぼ治具棒6の板厚Tを減じた値である。治具棒6の前端には垂直なストッパ板6dが設けられているので、図5においてストッパ板6dがコネクタハウジング1の前端ないしブラケット2の前端壁30に当接して、それ以上の治具棒6の押し込みが阻止される。
本例の治具棒6は、ロックアーム4とガイドレール20の係止縁部24との間に挿入される先端側の薄板部6eと、係止縁部24の前方に位置する厚板部6fとで成り、薄板部6eは上面側の段部を経て厚板部6fに続き、治具棒6の下面は同一面で段差なく続いている。薄板部6eの先端に下向きの傾斜面6aが形成され、図4の如く傾斜面6aの傾斜角度はロックアーム4の急勾配の傾斜面8aの傾斜角度にほぼ等しい。治具棒6の傾斜面6aがロックアーム4の傾斜面8aに押接した際に、治具棒6の先端6bがロックアーム4の突起9の上端9bに位置する。
図3において治具棒6の薄板部6eが、鋭利な先端6bと、先端6bに続く下向きの傾斜面6aとでロックアーム4と係止縁部24との間にスムーズに且つ水平に押し込まれることで、ロックアーム4が支持壁5の傾斜面7bと共に押し下げられて下向きに撓む。図4においても治具棒6は水平に挿入されることがロックアーム4を大きく撓ませる上で好ましい。
図5の治具棒6の押し込み状態で、治具棒6はロックアーム4と係止縁部24との間に完全に挟まれて保持される。治具棒6はロックアーム4の復元力で係止縁部24に押し付けられる。このため治具棒6が抜け出すことがないから、作業者は治具棒6を抜け防止のために手で押さえる必要がなく、図5の状態でコネクタ1を片手で前方に引っ張ることで、コネクタ1が治具棒6と共にブラケット2から作業性良く抜き出される。図5において治具棒6の先端6bが係止縁部24よりも後方に長く突出して位置するから、コネクタ1の抜き出し時に治具棒6の先端部がロックアーム4と係止縁部24との不意な係合を確実に阻止する。
なお、上記実施形態においては、支持壁5に短いロックアーム4を突設したが、支持壁5に長めのロックアーム(4)を突設した場合は、支持壁5の傾斜状の溝7をロックアーム(4)まで一体に延長し、ロックアーム(4)の溝7の緩勾配の傾斜面7bをロックアーム(4)の突起9寄りの急勾配の傾斜面8aに連続させてもよい。
また、一対のスライド係合リブ10とロックアーム4とを遠く離間させて別体に設け、あるいは異なる方向に設け、ロックアーム4をコネクタハウジング1の外壁3に沿う二重壁(図示せず)に略コの字状のスリット(図示せず)を介して一体に設けた場合等においても、上記ロック解除構造を適用可能である。この場合、ロックアーム4の長手方向に緩勾配の傾斜面7bと急勾配の傾斜面8aと突起9とが順次設けられ、ブラケット2(図8)にロックアーム4を挿入する厚み方向中間のスリット21と、スリット21に連通する係止用の孔部22が設けられる。
また、ロックアームを二重壁(図示せず)に形成するのではなく、コネクタハウジング1の外壁3に直交する支持部(図示せず)を介して外壁3と平行に側方視略L字状に形成した場合は、支持部を幅広に形成し、支持部に治具棒挿通孔を設けることも可能である。
また、上記実施形態においては、雄端子を収容するコネクタ1を主体としたが、雌端子を収容するコネクタ(図示せず)を主体として用いることも可能である。この場合、コネクタハウジング(図示せず)には後端から前端にかけて複数の端子収容室が設けられ、コネクタハウジングの一外壁にスライド係合リブ10やロックアーム4等が設けられる。
また、上記実施形態においては、コネクタ1を主体としたが、主体としてコネクタ1に代えて例えばワイヤハーネス挿通保護用の合成樹脂製の矩形樋状のプロテクタ(図示せず)を用い、プロテクタの外壁に一対のスライド係合リブ10とその間の支持壁5とロックアーム4とを設け、副体のブラケット2にスライド係合させることも可能である。
また、副体としてブラケット2に代えて例えば合成樹脂製の電気接続箱本体(図示せず)を用い、電気接続箱本体にブラケット2におけると同様のガイドレール20を設け、ガイドレール20に主体としてのコネクタ1やプロテクタ等をスライド係合させることも可能である。また、主体として一方の電気接続箱本体(図示せず)、副体として他方の電気接続箱本体(図示せず)をそれぞれ用い、一方の電気接続箱本体に設けたスライド係合リブ10やロックアーム4等を、他方の一方の電気接続箱本体に設けたガイドレール20にスライド係合させて、分割式の電気接続箱を構成することも可能である。
本発明に係るロック解除構造は、例えばコネクタとブラケットとのロック解除や、プロテクタとブラケットとのロック解除等において、ロックアームの先端側からロック解除用の治具棒を差し込めない場合に利用することができる。
1 コネクタハウジング(主体)
2 ブラケット(副体)
4 ロックアーム(ロックアーム主体部)
4a 先端
5 支持壁
6 治具棒
7 溝
7b 緩勾配の長い傾斜面
8a 急勾配の短い傾斜面
9 突起
10 スライド係合部
11 ロックアーム撓み空間
20 ガイドレール
24 係止縁部
W 幅
T 厚み

Claims (5)

  1. 主体に可撓性のロックアームが設けられ、副体に、該ロックアームの内向きの突起を係合させる係止縁部とロックアーム撓み空間とが設けられ、該ロックアームが、付け根側の緩勾配の長い傾斜面を成す治具棒挿入用の溝と、該傾斜面と該突起との間の急勾配の短い傾斜面とを有し、治具棒が該ロックアームの付け根側から該溝に沿って該係止縁部と該突起との間に差し込まれることを特徴とするロック解除構造。
  2. 前記ロックアームが、前記副体のガイドレールに対する一対のスライド係合部を連結する可撓性の支持壁と、該支持壁から突設されたロックアーム主体部とを含み、該支持壁に前記溝が設けられたことを特徴とする請求項1記載のロック解除構造。
  3. 前記治具棒が前記係止縁部を通過して前記ロックアームの先端側まで差し込まれることを特徴とする請求項1又は2記載のロック解除構造。
  4. 前記溝の幅が前記ロックアームの突起の幅に近似する程度に幅広に設定されたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のロック解除構造。
  5. 前記ロックアーム撓み空間が、ロック解除時の前記ロックアームの撓み代と前記治具棒の厚みとの総和以上の深さを有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のロック解除構造。
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