JP2005108771A - コネクタ - Google Patents

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Abstract


【課題】 ショート端子を確実に保持する。
【解決手段】 雄ハウジング11の内部には、各雄端子金具70間を短絡させるショート端子90を収容するための収容室17が設けられている。雄ハウジング11の嵌合方向の側方面には、収容室17に連通するとともにショート端子90の同収容室17への進入を許容するリテーナ装着孔16が形成されている。収容室17には、ショート端子90の基板94を嵌合方向の前後位置で位置決め状態で保持する第1及び第2の係合部17A,17Bが設けられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ショート端子を備えたコネクタに関する。
この種のコネクタとしては、以下の特許文献1に記載のものが知られている。このものは、雌雄の両ハウジングを備え、図10に示すように、このうち雄ハウジング1は、端子収容部2と、その前部に設けられて前方に突出するフード部3とから構成されている。端子収容部2には、複数本の雄端子金具4が挿入されるキャビティ5が前後に貫通して形成されるとともに、このキャビティ5の上方にショート端子収容室6がフード部3の奥端面に開口して形成されている。雌雄の両ハウジングが嵌合されていない状態では、ショート端子7は、対応する各雄端子金具4と弾性的に接触して隣り合う一対の雄端子金具間を短絡する一方、雌雄の両ハウジングの嵌合にともない、ショート端子7は、雌ハウジングに設けられた解除部との係合に基づいて各雄端子金具4との短絡を解除するようになっている。
ここで、ショート端子7は、フード部3の前方からショート端子収容室6に挿入され、ショート端子収容室6の上面に設けられた係止突部8に対して自身の係止孔9を弾性的に嵌め入れることで前方への変位を規制された状態で保持されている。
特開2003−217764公報
上記の場合には、前方から挿入されるショート端子7の挿入抵抗を減ずるため、係止突部8の前面が切り欠かれてテーパ面8Aとなっていた。そのため、ショート端子9は、前方への変位が規制可能とされているものの、後方への変位が確実に規制され得ない状況にあった。また、前後の型抜き孔6Aを介して型抜きを行って係止突部8を成形していたため、前後の複数箇所に係止突部8を設けようとした場合には、その形成位置や個数が構造上制約されることとなった。その結果、ショート端子7は、雄ハウジング1に対して充分な保持力を確保することができず、雄端子金具4や解除部との係合時に位置ずれしたりロックが外れたりする懸念があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ショート端子を確実に保持することを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、コネクタハウジングと、このコネクタハウジングに挿入される複数の端子金具と、常には各端子金具と接触して各端子金具間を短絡状態とする一方、相手コネクタと嵌合したときに前記短絡状態を解除するショート端子と、前記コネクタハウジングの内部に設けられて前記ショート端子を収容するための収容室とを備えたコネクタにおいて、前記コネクタハウジングにおける前記収容室の内面には、前記ショート端子を前記嵌合方向の前後位置で位置決めした状態で保持する位置決め部が設けられ、前記コネクタハウジングにおける前記嵌合方向の側方面には、前記収容室に連通して前記位置決め部を形成可能とするとともに、前記ショート端子の同収容室への進入を許容する窓部が形成されている構成としたところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記ショート端子は、基板と、この基板の一端から前記端子金具の挿入方向に沿って折り返された短絡片とを備え、これら短絡片と基板との間には、同短絡片の撓み変形を許容する撓み空間が形成され、前記基板には、前記撓み空間側と反対側へ突出するとともに前記収容室への進入方向に沿って斜めとなった撓み可能なランスが設けられ、前記コネクタハウジングにおける前記収容室の内面には、前記ランスと係合することで同ランスを抜け止め状態で保持するランス受け部が設けられているところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記基板には、前記撓み空間側へ突き出る持ち上がり部が設けられ、この持ち上がり部の内側の持ち上がり空間には、前記ランスが突出して配されるとともに前記ランス受け部が入り込む構成となっているところに特徴を有する。
請求項4の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記基板は、前記撓み空間側へ昇り勾配となる傾斜部を備え、この傾斜部には、前記ランスが設けられ、前記ランス受け部は、前記傾斜部に沿って設けられているところに特徴を有する。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記窓部は、蓋部材によって閉鎖可能とされ、この蓋部材は、前記窓部を覆う覆い部と、前記端子金具を抜け止め状態で係止可能な係止部とを備えているところに特徴を有する。
<請求項1の発明>
コネクタハウジングにおける嵌合方向の側方面に窓部が設けられ、この窓部を介して位置決め部が形成可能とされているから、ショート端子をその嵌合方向の前後位置で位置決めした状態で確実に保持することができる。
<請求項2の発明>
基板には収容室への進入方向に沿って斜めとなった撓み可能なランスが設けられ、このランスが収容室のランス受け部によって抜け止め保持されているから、ショート端子は、収容室から脱落することがない。
<請求項3の発明>
ランスが撓み空間側と反対側へ突出して設けられているから、仮にこのランスと係合するランス受け部をランスの突出量に合わせて撓み空間側から離れた位置に設けるとすると、コネクタハウジングの高さ寸法が増大してコネクタが大型化する懸念がある。しかるに、本発明では、撓み空間がデッドスペースであることに着目し、撓み空間側へ持ち上がり部を突出させるとともに持ち上がり空間にランスを突出させることで、ランス受け部の配設位置を撓み空間側へ引き上げているから、コネクタが大型化するのを回避できる。
<請求項4の発明>
ランスが撓み空間側と反対側へ突出して設けられているから、仮にこのランスと係合するランス受け部をランスの突出量に合わせて撓み空間側から離れた位置に設けるとすると、コネクタハウジングの高さ寸法が増大してコネクタが大型化する懸念がある。しかるに、本発明では、撓み空間がデッドスペースであることに着目し、撓み空間側へ昇り勾配となる傾斜部を配することで、傾斜部に設けられたランスに追従するようにランス受け部の配設位置を撓み空間側へ引き上げているから、コネクタが大型化するのを回避できる。
<請求項5の発明>
収容室に挿入されたショート端子は、蓋部材によって外部の異物から保護される。しかも、蓋部材は、端子金具を抜け止め状態で係止するリテーナ機能を兼備する。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図8によって説明する。実施形態1では、自動車に搭載されるエアバックの作動回路に使用されるコネクタを示している。コネクタは、雄コネクタ10として構成され、雌コネクタ20(本発明の相手コネクタに相当)との嵌合接続によりエアバックの作動回路を形成するようになっている。なお、以下においては、雌雄の両コネクタ10,20の嵌合面側を前方として説明する。
まず、雌コネクタ20を説明する。雌コネクタ20は、図1の左側に示すように、合成樹脂製で略ブロック状に形成された雌ハウジング21を備え、この雌ハウジング21内には、前後に貫通するキャビティ22が横並び状に複数(この実施形態では3つ)形成されている。各キャビティ22には、後方から雌端子金具40が挿入可能とされている。各キャビティ22に挿入された雌端子金具40は、各キャビティ22の内面に形成された段付き面22Aに自身の金属ランス41を係止させることで後方へ抜け止めされた状態で一次係止されるようになっている。また、雌ハウジング21の上面には、各キャビティ22に連通するリテーナ装着孔23が形成され、このリテーナ装着孔23に組み付けられるリテーナ50によって雌端子金具40が二次係止されるようになっている。さらに、雌ハウジング21の上面には、左右一対のロック突部24が設けられるとともに、そのロック突部24よりも前方に検知突部25が設けられている。
続いて、雄コネクタ10を説明する。雄コネクタ10は、図1の右側に示すように、合成樹脂製の雄ハウジング11(本発明のコネクタハウジングに相当)を備え、この雄ハウジング11は、略ブロック状に形成された端子収容部12と、この端子収容部12の前部に連なって前方へ突出する略角筒状のフード部13とを備えて構成されている。フード部13には、前方から雌ハウジング21が内嵌可能とされている。
雄ハウジング11の上面には、両コネクタ10,20が正規の嵌合状態でなく半嵌合状態にあることを検知させるためのスライダ60が組み込まれている。スライダ60は、常にはバネ部61の付勢力により前方位置にあり、両コネクタ10,20の嵌合途中では雌ハウジング21の検知突部25に押動されてバネ部61を弾縮させ、両コネクタ10,20が正規の嵌合状態に達したときにバネ部61の弾発力で元位置に復元するように設定されている。つまり、両コネクタ10,20が半嵌合状態にあるときに嵌合作業を中止すると、蓄勢されたバネ部61の弾発力により雌ハウジング21が弾かれるから、これをもって両コネクタ10,20が半嵌合状態にあることを知らしめるようにしている。スライダ60には、前方へ突出する形態で左右一対の片持ち状のロックアーム62が設けられている。各ロックアーム62は、その先端部に爪部63を備え、両コネクタ10,20が正規の嵌合状態に達したときに各爪部63が雌ハウジング21の各ロック突部24と弾性的に係合して両コネクタ10,20の離脱を規制するようになっている。
また、雄ハウジング11の端子収容部12には、雄端子金具70を後方から挿入可能なキャビティ15が横並び状に複数(本実施形態の場合は3つ)形成され、各キャビティ15の上面には、雄端子金具70の金属ランス71を係止可能な段付き状の係止部14が設けられている。各キャビティ15に挿入された雄端子金具70は、タブ72を前方へ突出させた状態でフード部13内に配されるようになっている。そして、端子収容部12の一側面(嵌合方向の側方面)には、雄端子金具70を二次係止するためのリテーナ装着孔16(本発明の窓部に相当)が開口して形成されている。
リテーナ装着孔16に装着されるリテーナ80(本発明の蓋部材に相当)は、雄端子金具70の挿抜が可能な差し込みの浅い仮係止位置と、雄端子金具70の後端顎部73と係合して雄端子金具70を抜け止めする差し込みのより深い本係止位置との間を変位可能となっている。詳しくはリテーナ80は、図7に示すように、リテーナ装着孔16に被着可能な覆い部81と、この覆い部81から各キャビティ15を横切る方向へ突出されることで各キャビティ15の一部を構成するとともに雄端子金具70を係止可能とする係止板82と、この係止板82の前面から覆い部81に沿って前方へ延出されることでフード部13内に突き出た状態で配される検知片83とにより構成されている。係止板82は、断面略L字状をなし、そのL字の下辺を構成する部分には一対の係合溝84が並設されている。係合溝84のうち覆い部81からより遠い方に形成されたものは、端子収容部12の内部に設けられた突部(図示せず)と係合することでリテーナ80を仮係止位置に留め置くよう作用する一方、係合溝84のうち覆い部81からより近い方に形成されたものは、同じく端子収容部12の突部と係合することでリテーナ80を本係止位置に留め置くよう作用している。
また、検知片83は、リテーナ80が仮係止位置にあるときに雌ハウジング21と干渉して両コネクタ10,20の嵌合動作を規制する一方、リテーナ80が本係止位置にあるときに雌ハウジング21のフード部13内への進入を許容して両コネクタ10,20の嵌合動作を保障している。さらに、覆い部81の後端縁の内面側には、冶具挿入溝80Aが切り欠き形成され、この冶具挿入溝80Aと対応するリテーナ装着孔16の口縁の外側面には、図5に示すように、冶具案内溝11Aが切り欠き形成されており、冶具案内溝11Aから冶具挿入溝80Aにかけて図示しない冶具を差し込むことでリテーナ80を抜脱可能としてある。
さて、上記したリテーナ装着孔16は、図4に示すように、端子収容部12の一側面において横長矩形状に大きく開口して形成されており、このリテーナ装着孔16に端子収容部12の前部側方が臨むようになっている。そして、この端子収容部12の前部側方には、後述するショート端子90を収容するための収容室17がリテーナ装着孔16側とフード部13側とに開口して形成されている。収容室17は、ショート端子90に対応する形態で構成されており、その内面に、ショート端子90を前後方向で位置決めした状態で係合可能な第1及び第2の係合部17A,17B(本発明の位置決め部に相当)を備えるとともに、ショート端子90の短絡片92(後述する)を斜め姿勢で収容するべく前方へ昇り勾配となる傾斜部17Cを備えている。第1の係合部17Aは、収容室17の前端部にあって後方及びリテーナ装着孔16側の2方向に開放される一方、第2の係合部17Bは、収容室17の後端部にあって前方及びリテーナ装着孔16側の2方向に開放されている。これにより、第1及び第2の係合部17A,17Bは、ショート端子90の進入方向に沿った案内溝として構成される。
また、収容室17は、図6に示すように、リテーナ装着孔16が形成された一側面からその反対側面の近傍にかけて端子収容部12の内部を大きく抉って構成されており、その内部の奥方(反対面側)へ向けてショート端子90が進入可能とされている。よって、収容室17を成形するには収容室17の形態に対応する型材をリテーナ装着孔16から抜出すればよく、つまりこの場合のリテーナ装着孔16は、型抜き孔として機能している。
収容室17の下面のうち前後方向(嵌合方向)のほぼ中央部には、その両端部より台形状に隆起したランス受け部17Eが設けられている。このランス受け部17Eは、図6に示すように、端子収容部12の幅方向のほぼ中央部に段付き面17Fを有するとともに、その段付き面17Fから前記反対面側へ向けショート端子90の進入方向に沿って延出されるランス係合溝17Gを有している。ランス係合溝17Gは、ショート端子90のランス93(後述する)と係合可能とされ、また、段付き面17Fは、ランス係合溝17Gに係合されたランス93に対して抜け方向に突っ張った状態で係止可能となっている。これにより、ショート端子90は、ランス受け部17Eにより収容室17から抜け止めされた状態で保持可能とされる。
続いて、ショート端子90を説明する。ショート端子90は、導電性金属板をプレス加工することで形成され、図8に示すように、ほぼ平板状の基板94と、その基板94の後端から折り返されて斜め前方に延出される一対の短絡片92と、基板94のほぼ中央部にて略コ字状をなす切り込み片を、収容室17への進入方向に沿って斜め下方に切り起こしてなるランス93とを備えて構成されている。各短絡片92は、雄ハウジング11のキャビティ15に挿入される各雄端子金具70と対応する位置に配設されており、基板94との連結部位となる折り返し部95を撓み支点として片持ち状に撓み可能となっている。各短絡片92と基板94との間には、各短絡片92の撓み変形動作を許容する撓み空間が形成されている。
そして、各短絡片92の頂上部96は、略山形状に屈曲して形成されており、各雄端子金具70のタブ72の下面に弾性的に接触可能とされている。この頂上部96がエアバック装置に接続された2本の雄端子金具70のタブ72と弾接することにより、両雄端子金具70間を短絡させて電位差が生じないようにしてある。また、両コネクタ10,20が正規の嵌合状態に達すると、各短絡片92は、図2に示すように、雌ハウジング21の解除部27に押倒されて短絡状態を解除することとなるが、このとき雄ハウジング11のフード部13の下面には頂上部96の前端側を逃がすための逃し凹部18が形成されているので、傾倒動作の円滑性が保障されている。
また、図8に示すように、基板94の前後方向の中央部は、その両端部よりもランス93の突出量に相当する分だけ一段高くなるようにして略クランク状に形成された持ち上がり部97とされている。この待ち上がり部97の内側に形成された持ち上がり空間Sには、ランス93が突出して配されるとともにランス受け部17Eが進入して凹凸状に嵌り合うようになっている。そして、基板94の前端部には、持ち上がり部97よりも少し低い高さ位置まで下方から台形状に叩き出された被係合部91が形成されている。また、基板94の後端部の両端側には、一対の短絡片92を間に挟んで後方へ突出する被係合片98が形成され、この被係合片98には、長さ方向のほぼ全域に亘ってリブ99が突設されている。基板94が収容室17に収容されたときには、被係合部91が第1の係合部17Aに側方から嵌入するとともに、被係合片98が第2の係合部17Bに同じく側方から嵌入する。したがって、ショート端子90は、基板94の前後位置を第1及び第2の係合部17A,17Bにより前後方向及び上下方向に位置決めされた状態で保持されることとなる。
次に、この実施形態の作用を説明する。まず、雄コネクタ10を組付けるには、雄ハウジング11の収容室17に側方からショート端子90を装着する。このとき、ショート端子90は、リテーナ装着孔16から収容室17内に進入し、その被係合部91を第1の係合部17Aに摺動させるとともにその被係合片98を第2の係合部17Bに摺動させ、その状態で収容室17の奥方へ挿入案内される。この間、ショート端子90のランス93は、撓み変形しつつランス受け部17Eの上面を摺動するが、各短絡片92が正規の挿入位置に達するにともない、図6に示すように、ランス係合溝17Gに嵌り込んで抜け止め状態で係止される。
ショート端子90を装着したら、続いて雄ハウジング11のリテーナ装着孔16にリテーナ80を側方から組付けて仮係止位置に保持させる。そして、雄ハウジング11の各キャビティ15に電線Wに接続された各雄端子金具70を挿入する。各雄端子金具70は、正規の挿入深さに達すると、ランス93が端子収容部12の係止部14に係止されることで一次係止される。このとき、エアバック装置に接続された2本の雄端子金具70のタブ72の下面に対して対応する各短絡片92の頂上部96が弾性的に接触される。これにより、各雄端子金具70間が短絡されて各雄端子金具70に電位差が生じない状態となる。その後、リテーナ80を本係止位置に押し込み、各雄端子金具70を二次係止する。本係止位置に至ったリテーナ80は、図5に示すように、リテーナ装着孔16を完全に閉鎖することとなる。なお、ショート端子90と雄端子金具70の組付け作業はどちらを先に行っても構わない。
続いて、雄ハウジング11のフード部13に雌ハウジング21を嵌入させ、図2に示すように、雄ハウジング11のロックアーム62の爪部63に雌ハウジング21のロック突部24を弾性的に係合させることで雌雄の両コネクタ10,20を正規の嵌合状態でロックするとともに、雌雄の両端子金具40,70を導通接続させる。両コネクタ10,20の嵌合動作に連動して、各短絡片92がタブ72から解離されて短絡状態が解除され、もってエアバックの作動回路が形成される。
以上のように、本実施形態のショート端子90は、リテーナ装着孔16を介して側方から収容室17に挿入されたあと第1及び第2の係合部17A,17Bに係合可能となっているから、雄ハウジング11に対して前後方向にがた付くことなく確実に位置決め保持される。しかも、ショート端子90は、ランス93によって抜け止め保持されているから、収容室17から外部に脱落することもない。
また、基板94に設けられたランス93が短絡片92の撓み動作を許容する撓み空間と反対側へ突出して設けられているから、仮にこのランス93の突出量に対応して撓み空間から離れた位置にランス受け部17Eを配設するとすれば、雄コネクタ10の高さ寸法が増大する懸念があるものの、本実施形態においては、撓み空間がデッドスペースであることに着目し、撓み空間側へ持ち上がり部97を突出させるとともに持ち上がり空間Sにランス93を突出させることで、ランス受け部17Eの配設位置を撓み空間側へ引き上げているから、雄コネクタ10の高さ寸法を増大させることがない。
さらに、リテーナ装着孔16がリテーナ80によって閉鎖されることにより、収容室17に挿入されたショート端子90は、外部の異物から保護されるようになる。
<実施形態2>
図9の(B)は、本発明の実施形態2を示す。実施形態2は、雄ハウジング11の嵌合方向の側方面にリテーナ装着孔16を有する点で実施形態1と共通するが、ショート端子90の基板94とランス受け部17Eの各構造が実施形態1と異なっている。
すなわち、実施形態2に係るショート端子90は、基板94の一端(折り返し部95が位置する側)から他端へ向けて撓み空間側に昇り勾配となる傾斜部100を備えている。傾斜部100は、基板94の他端寄りの位置に頂上部100Aを有し、且つ、その傾斜途中にランス93を設けて構成されている。頂上部100Aから他端にかけては、被係合片98が略水平に突出して設けられている。
ランス受け部17Eは、傾斜部100に沿って昇り勾配となって設けられている。また、第2の係合部17Bは、傾斜部100の勾配に対応して第1の係合部17Aよりも少し高い位置に設けられている。
ここで、図9の(A)は、基板94に傾斜部100がなく基板94が平坦となった比較例を示す。この比較例では、ランス93が基板94の一端と同じ高さ位置から撓み空間と反対側へ突出して設けられているから、このランス93を受けるランス受け部17Eが撓み空間から一層離れた位置に配設されることとなり、もって雄コネクタ10の高さ寸法を増大させている。
これに対して、図9の(B)に示す実施形態2によれば、撓み空間がデッドスペースであることに着目し、撓み空間側へ昇り勾配となる傾斜部100を配することにより、この傾斜部100に設けられたランス93に追従するようにランス受け部17Eの配設位置を撓み空間側へ引き上げているから、雄コネクタ10の高さ寸法の増大化を抑制することができる。つまり、図9の(B)に示す雄コネクタ10の高さ寸法L1は、ランス受け部17Eの引き上げ分だけ、図9の(A)に示す雄コネクタ10Aの高さ寸法L2よりも小さくなっている(L1<L2の関係が成立)。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記の実施形態では、ショート端子が片持ち状の短絡片を備える例を示したが、本発明においては、例えば両持ち状の短絡片を備えるものでもよいし、また、単に金属板を叩き出してタブとの接触点を形成するものであっても構わない。
(2)上記の実施形態では、持ち上がり部の待ち上がり空間にランス受け部が凹凸状に嵌り合うようになっていたが、本発明においては、持ち上がり部の持ち上がり空間にランス受け部が単に入り込む態様であっても構わない。
(3)上記実施形態では、スライダを備えた例を示したが、本発明においては、スライダは無くても構わない。
(4)上記の実施形態では、リテーナ装着孔がリテーナにより閉鎖されていたが、本発明においては、リテーナ装着孔に対応する部分が単なる窓部として開口しているだけでも構わない。また、リテーナ以外の蓋部材が窓部を閉鎖する態様であってもよい。
(5)上記の実施形態では、雄ハウジングにショート端子を取り付ける場合を示したが、本発明においては、雌ハウジングにショート端子を取り付ける場合にも適用可能である。
本発明の実施形態1に係るコネクタの嵌合前の状態を示す側断面図 正規に嵌合された状態を示す側断面図 雄ハウジングの側断面図 雄ハウジングの側面図 リテーナが装着された雄ハウジングの側面図 ショート端子が装着された雄ハウジングの縦断面図 リテーナの斜視図 ショート端子の斜視図 (A)実施形態2に係るコネクタの比較例を示す側断面図 (B)実施形態2に係るコネクタの側断面図 従来のコネクタの側断面図
符号の説明
10…雄コネクタ
11…雄ハウジング
16…リテーナ装着孔
17…収容室
17A…第1の係合部
17B…第2の係合部
17E…ランス受け部
70…雄端子金具
80…リテーナ
90…ショート端子
92…短絡片
93…ランス

Claims (5)

  1. コネクタハウジングと、このコネクタハウジングに挿入される複数の端子金具と、常には各端子金具と接触して各端子金具間を短絡状態とする一方、相手コネクタと嵌合したときに前記短絡状態を解除するショート端子と、前記コネクタハウジングの内部に設けられて前記ショート端子を収容するための収容室とを備えたコネクタにおいて、
    前記コネクタハウジングにおける前記収容室の内面には、前記ショート端子を前記嵌合方向の前後位置で位置決めした状態で保持する位置決め部が設けられ、
    前記コネクタハウジングにおける前記嵌合方向の側方面には、前記収容室に連通して前記位置決め部を形成可能とするとともに、前記ショート端子の同収容室への進入を許容する窓部が形成されていることを特徴とするコネクタ。
  2. 前記ショート端子は、基板と、この基板の一端から前記端子金具の挿入方向に沿って折り返された短絡片とを備え、これら短絡片と基板との間には、同短絡片の撓み変形を許容する撓み空間が形成され、
    前記基板には、前記撓み空間側と反対側へ突出するとともに前記収容室への進入方向に沿って斜めとなった撓み可能なランスが設けられ、
    前記コネクタハウジングにおける前記収容室の内面には、前記ランスと係合することで同ランスを抜け止め状態で保持するランス受け部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
  3. 前記基板には、前記撓み空間側へ突き出る持ち上がり部が設けられ、この持ち上がり部の内側の持ち上がり空間には、前記ランスが突出して配されるとともに前記ランス受け部が入り込む構成となっていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
  4. 前記基板は、前記撓み空間側へ昇り勾配となる傾斜部を備え、この傾斜部には、前記ランスが設けられ、前記ランス受け部は、前記傾斜部に沿って設けられていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
  5. 前記窓部は、蓋部材によって閉鎖可能とされ、この蓋部材は、前記窓部を覆う覆い部と、前記端子金具を抜け止め状態で係止可能な係止部とを備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のコネクタ。
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