図1Aおよび図2では、処理装置100は一般的に回転式加熱部分10、パルスヒータ20、および巻取ベルト30を含む。
装置上には、作業台としての機能を果たす連続巻取ベルト30が位置決めされている。巻取ベルト30は、一方端部で回転式加熱部分10に取り付けられ、他方端部では巻取ベルト30は受容体供給ロール42から受容体40を、第1供与体供給ロール52から第1供与体50を巻き取る。受容体40が第1供与体50上に重ねて配置されるように、第1供与体50は巻取ベルトに接触して配置される。処理装置100が作動し始めると、巻取ベルト30は、受容体30−第1供与体50を移動させ、回転式加熱部分10に進入する際には、巻取ベルト30はまた、第2供与体供給ロール62から第2供与体ロール60と、ティッシュ供給ロール72からティッシュ70とを取り上げて、ティッシュ70の上層→第2供与体60→受容体40→第1供与体50を含むサンドイッチ状の受容体140を形成する。
回転式加熱部分10は、好ましくは供与体からの染料を加熱して受容体上へと押圧するためのカレンダベルト80およびドラム90を備える。カレンダベルト80は好ましくはドラム80のまわりに位置付けられ、位置決め器82Aから82Eを通って移動する。処理装置100が作動すると、カレンダベルト80はサンドイッチ状の受容体140を巻き取り、それを反時計回り方向に位置決め器82Aから82Eへ、ドラム80の側面に接触させるように移動させて内側経路86を形成して、完成受容体240を生成する。完成受容体240が処理装置100に存在すると、カレンダベルト80はドラム90から離れて時計回り方向に移動し、位置決め器82Eから82D、82C、82B、元の82Aへと戻って外側経路88を形成し、図2に示されたように内側経路86に再度戻ってくる。
位置決め器82Aおよび82Eの配向および配置によって、好ましくはカレンダベルト80がサンドイッチ状受容体140をドラム90に押し当てることが可能になる。位置決め器の数は処理装置に依存して変化してもよい。したがって、カレンダベルトの長さも機械のタイプに応じて変化する。カレンダベルトの幅は好ましくは少なくとも150cm(60in)であるが、ここでも市販の実行可能な処理装置の様々なタイプおよび/または供与体もしくは受容体のタイプに応じて、ベルトの幅も変化してもよい。好ましくはベルトは不燃性のメタアラミド材料から製作され、より好ましくは銘柄Nomex(R)繊維から製作される。
パルスヒータ20は好ましくは外側経路88の上で位置決め器82Bと82Aとの間に位置付けられ、これも図2により詳しく示されている。パルスヒータ20の作動中は、パルスヒータ20は、ベルトが外側経路88に沿って時計回りに位置決め器82Bから82Aへと移動するにつれて、カレンダベルト80に対して高熱を生成する。実際には、パルスヒータは、カレンダベルト80を加熱通路210に通して暴露させている。巻取ベルト30が受容体40および第1供与体50を回転式加熱部分10内へと移動させるとき、カレンダベルト80が一時的にパルスヒータ20によって加熱されている。ベルト80が回転式加熱部分10に沿って移動するにつれて、運動エネルギが生成され、パルスヒータから生成された熱によって増大される。サンドイッチ状受容体140が回転式加熱部分10内に進入する瞬間、第2供与体60がカレンダベルト80に押し当てられるにつれて第1供与体50がドラム90に押し当てられる。好ましくはカレンダベルト80は、移動していく際、時計回りに内側経路部分86内へと移動し、パルスヒータ20から生成された残存熱を尚も担持する。カレンダベルト80は、ティッシュ70と直接接触することによってサンドイッチ状受容体140を押圧するが、ティッシュ70は第2供与体60と接触して位置決めされ、受容体40および第1供与体50に押し当てられ、第1供与体50はドラム90に押し当てられる。本質的には、サンドイッチ状受容体140は相変化通路220に暴露されているが、相変化通路220内では、加熱通路210から生成された運動エネルギがカレンダベルト80から伝達されて、第2供与体60が相変化を受けて、染料が受容体40内に鮮やかに転移されることを可能にする。この処理は、サンドイッチ状受容体を、それが回転式加熱部分に進入するにつれて、消散しつつあるが未だ高いベルトからの熱に暴露させる。好ましくはドラム90は、一定の熱を生成して第1供与体55を相変化させて、染料が受容体40上に移送されるのを可能にすると同時に、第2供与体60を強化する。これによって2つの供与体が同時に受容体上に処理されて、鮮やかで均一な印捺と染料添加を得ることが可能になる。相変化通路の長さは、好ましくは熱伝達通路の長さより少なくとも20%長い。場合によっては、サンドイッチ状加工受容体に消散熱を加えることは、ドラム90から生成された一定熱を加える前5秒以内に行うことが可能である。サンドイッチ状受容体140が回転式加熱部分10内を移動し続ける際、サンドイッチ状受容体140はベルトおよびドラムによって尚も加熱されており、この処理は、第2および第1供与体上の染料が相変化し続けて、染料が受容体によって徐々に、鮮やかに深く吸収または捕捉されることを可能にする。
パルスヒータ20は、好ましくはカレンダベルト80の幅にわたって均一に掛けられる高熱を生成することが可能な熱源である。図3で示されたように、パルスヒータ20は、好ましくはハウジング22と、ハウジング22内に格納された一連の熱要素24と、電源出力26と、制御装置28とを備える。
好ましくはハウジング22は、加熱要素を収容してそれらが露出されるようにするオープンエンクレーブを可能にする、任意選択による縁部25を備える上部23を有する。ハウジング22の縁部25の高さは、好ましくは加熱要素を収容するように少なくとも5インチであり、加熱要素のタイプに応じて変化することが可能である。パルスヒータから分配される熱はベルトに均等に加えられるべきであることから、ハウジングの幅はベルトの幅とほぼ同じであることが想定される。ハウジングの深さに関して、構造は様々であってもよく、一般的にハウジング22は、好ましくは少なくとも650°F、より好ましくは少なくとも550°F、最も好ましくは少なくとも450°Fの温度に耐えることが可能な亜鉛めっき鋼など耐久性材料で製作される。
好ましくはパルスヒータはカレンダベルトの上に好ましくは少なくとも45°の角度で直接取り付けられ、好ましくはベルト70から少なくとも7cm(3in)離して位置付けられる。角度および間隔は、処理装置と熱がどれだけ必要であるかということに、多かれ少なかれ依存してもよいことが想定される。パルスヒータは、好ましくは熱をこのような幅にわたって均等に分配するようにカレンダベルトの幅全体にわたって位置付けられる。しかしながら、装置、ベルトの幅、および受容体のタイプに依存して、パルスヒータがベルトに接近して、またはベルトからさらに離して位置付けられることが可能であることが想定される。
加熱要素24は、好ましくは重なり合う石英管などの様々な熱源から製作されることが可能である。図4で示された好ましい実施形態では、加熱要素24は3つの区域、510、520、および530に分割されることが可能な一連の石英管500を備える。各石英管は好ましくは少なくとも500ワット、またはおおよそ500ワットを生成する。管の数および位置決めに依存して、石英管の電力は増大または縮小されることが可能であり、1000ワット以上を生成する石英管までもが使用されてもよい。各区画は個別に制御される。このことは、各区画への電力出力を増大または縮小することによって、および/または石英管をマトリックスから取り外すことによってベルト70にわたった温度分布が容易に制御されることを可能にする。他のタイプの熱源も使用されることが可能であり、傾斜法が用いられることも想定される。パルス熱は任意の従来の熱源によって生成されることが可能である。熱源が供与体を、供与体がより容易に受容体に加えられるようにする温度まで充分に加熱する限り、熱源は赤外光、紫外線光、または他の任意の熱源であることが可能である。
図5に示された通り、反射器610を石英管640の後ろに配置することによって、温度がベルトの縁部でも均等に分配されることが可能となる。反射器610は角度付けされることが可能であるが、好ましくは平行セクション612と角度付けセクション614とで交互に波形にされていく。平行セクション612は熱波620を直接ベルトに向けて反射し、角度付けされたセクション614は熱波630をベルトの縁部に向けて反射する。
好ましい実施形態では、パルスヒータからベルトにわたって加えられる平均温度は一般的に、ベルト、受容体、供与体、および使用される染料の特性に依存して300°Fから650°Fまで様々である。受容体の重量および密度と、染料の昇華温度と、ベルトの速度とが全て温度の寄与要因となる可能性がある。さらにベルトの速度は、パルスヒータの寸法、数、および配向に大きく影響を及ぼす可能性がある。好ましくは温度はベルトの幅にわたって均等に加えられる。より好ましくはベルトの温度は35°Fを超えて変化しない、最も好ましくは25°Fを超えない。
パルスヒータのベルトへの暴露の滞留時間は好ましくは10から15秒の間である。しかしながら、ベルトがゆっくりと移動すればパルスヒータへの暴露はより長く、より弱くなければならず、ベルトが速く移動すればパルスヒータへの暴露は短く、より強くなければならないことが想定される。
図3の制御装置28は、パルスヒータ20によって生成される熱の温度、時間、およびタイプを制御するために使用される。電源出力26および制御装置28は、既存の昇華装置の一部として位置付けられていることも可能であり、必要に応じて個別のユニットであることも可能である。パルスヒータの電源出力および制御装置を既存の機械と一体化することによって、より簡単かつ均一化されたアプローチが可能になる。しかしながら、電源出力と制御装置を個別に有すると、パルスヒータが可動式となることが可能である。
他の好ましい実施形態では、図6で示されたように1つまたは第1の供与体50のみがベルトによって取り上げられる。ティッシュ70は、受容体40がベルト80に直接暴露されないようにするために必要である。ティッシュ−受容体−第1供与体がベルト80内に進入する前に、パルスヒータ20は位置決め器82Bと82Aとの間でベルトを加熱する。ティッシュ−受容体−供与体がベルト内に進入するにつれてベルトから消散していく熱が、第1供与体がドラムに接触しているにも関わらず、第1供与体上に相変化を生じる。相変化を生じるのに充分な消散熱が存在して、染料が受容体内に深く浸透して完成受容体230を生成する。
連続処理を選好する現在の傾向にも関わらず、本発明の主題の実施形態が不連続な方法で実践されること、例えばサンドイッチ状加工部片同士が組み合わされ、熱および圧力が一部片ごとに加えられることが可能であることも想定される。その点で、受容体がバルク材料から切り取られることが可能であることも特に想定される。
好ましい構成として、パルスヒータを個別部片として構築し、前記パルスヒータを、本明細書に述べられた発明概念によって作動するように容易に改造されることが可能なMonti Antonio(TM)、Practix(TM)などの既存の円筒を基礎にした機械に取り付けることがある。他の好ましい構成としては、パルスヒータを内部に構築し、機械の制御装置および電源システム内に一体化させて有した円筒を基礎にした機械を建造することである。
パルスヒータの位置は完成製品の必要に応じて様々であることが可能である。したがって、1つのパルスヒータを位置決め器82Bと82Aとの間に位置付けて有することが好ましいが、染料の飽和度および仕上げを操作するために、ベルトに沿った任意の場所にパルスヒータが位置付けられることが可能であることも想定される。処理装置に依存して、パルスヒータは、ベルトの一方面が予備加熱されている限り、カレンダベルトの下にも、カレンダベルトの上にも配置されることが可能である。
図6に示されたように1つ以上のパルスヒータを有することも好ましい。パルスヒータ20をベルト80の上で位置決め器82Bと82Aとの間に位置付けて有する以外に、追加のパルスヒータ22が位置決め器82Cと82Bとの間に容易に据え付けられることが可能である。位置決め器82Cと82Dとの間にパルスヒータを位置付けることさえも可能である(図示せず)。1つ以上のパルスヒータを有すると、高い熱を生成して、それ以外では処理することが困難な、じゅうたんなどの受容体に鮮やかな仕上げを得ることが可能になる。
本発明の主題の重要な態様は、移動するカレンダベルトから既に発生された運動エネルギにパルスヒータが追加のエネルギを加えて、高熱であるが一時的な熱を放つことである。ベルトからのこの熱とドラムから発生された追加の熱との組み合わせによって、供与体の染料の結合が分解して、サンドイッチ状受容体が回転式加熱要素内に進入する際により飽和度の高い昇華処理が得られるようになる。受容体は供与体の他方面上にあることから、高温によって損傷されない。第2供与体が、受容体があるところのカレンダベルトの反対面に配置されると、パルスヒータも熱くなり、これが第2供与体を飽和させ、染料のより深い分散および浸透が得られるようになる。したがって、パルス加熱するのに充分な熱が、ベルトの長さとベルトが作動する速度とに正比例した時間分カレンダベルトの両面に加えられることが想定される。好ましくは速度は受容体と供与体の特性に依存する。透過性の高い受容体に対しては、速度は速くなることが可能であり、透過性の低いまたは硬い受容体に対してはゆっくりとした処理が必要とされる場合がある。昇華処理の残りの部分に入る前に、カレンダベルトは冷えて通常の昇華温度に戻る。いずれの面の昇華熱も、好ましくは30秒から120秒の間、より好ましくは40秒から75秒の間、最も好ましくは45秒の滞留時間にわたってもたらされる。昇華温度は、好ましくは400°F以下、より好ましくは600°F未満である。
ドラム90は、その表面中で均等である一定の熱源を提供して、受容体が、供与体から昇華された染料をより充分に巻き取りできるようにする温度を維持する。好ましくはドラム90は温熱ヒータドラムである。しかしながら、熱が加えられることが可能である限り、ドラムは他の任意の加熱ユニットであることが可能であると想定される。想定される他の実施例には、トンネル形状の加熱ゾーン、加熱された円筒、または加熱板(アイロンもしくは温間プレス)も含まれる。
供与体を加熱するためにドラムによって発生される温度は、好ましくは少なくとも250°F、より好ましくは少なくとも350°F、最も好ましくは少なくとも385°Fである。ドラムが供与体と接触するところでのドラム間の温度差は、好ましくはカレンダベルト80の温度よりも450°F分温かく、より好ましくは300F°分温かく、さらにより好ましくは200°F分温かく、最も好ましくはカレンダベルト80より100°F分温かいものとなる。この温度差は、供与体のタイプに応じて、また供与体上の染料もしくは他のタイプの化学的特性がどのように相変化して受容体に付着するのかに応じて調節される。
ティッシュ70は、工業用に使用される知られた巻取ティッシュから選択されることが可能である。従来技術とは対照的に、現実施形態ではティッシュは、染料を吸収してそれを完全に受容体40に通過させ、反対側の供与体50もしくは60に通すために使用されているのではない。供与体の材料が、染料の移動に対してほぼまたは完全に不浸透性であることから、ティッシュの使用は不要である。そうではなく、本発明の実施形態のティッシュ70は、機械部分を過剰な着色剤から保護する機能を果たしている。
第1および第2供与体50、60は、知られた供与体紙、または工業用に使用される他の材料から選択されることが可能である。供与体材料は、染料が実質的に一方面から他方面に通過できない、染料が一時的に保持され得る表面を有した任意の薄紙であることが可能である。好ましくは供与体は一般的に、染料を固体の形態で保持する物体であり、染料は、一定量の熱が供与体に加えられると相変化し、受容体に向かって移動する。好ましくは供与体は、より安定した、しっかりとした色をもたらす高エネルギの染料を含む。「染料」および「染料類」という用語は可能な限り広い意味で使用され、インク類と、実際に受容材料に転移されてその材料を着色することが可能な任意の化学成分とを含むものであることも理解されるべきである。したがって、「染料」および「染料類」という用語は、温度または他の条件に依存して色を変化させることが可能な化学成分を含み、また加えられた際には無色であっても、水分または高温に暴露されると発色する化学成分をも含む。さらに、「染料」および「染料類」という用語は、染料が一度ある温度閾値を超えて加熱されると、色付けし、染色し、または他の方法で受容体の可視特性を変化させる任意の温度感受性剥離剤を指す。好ましくは染料は固体の状態から気体の状態に相変化するが、ある種の実施形態では、染料は固体の状態から液体の状態に相変化することが可能である。
その目的のために、供与体50、60が無地色で、あるいは少なくとも比較的大きな面積の無地および/または広い反復模様で印捺されることが可能である。供与体55、50は、無地、または少なくとも10cm2、50cm2、100cm2、200cm2、400cm2の連続面積を有した広い反復模様で印捺されることが可能であることが特に想定される。インクジェットおよび他の印捺された供与体によく見られる色ずれを回避するために、無地または単色しか含まない模様を印捺する際には、ローラコータ(図示せず)を使用して、供与体50、60の一方または双方にインク付けすることが好ましい。供与体50、60の双方をこの方法で印捺することによって、両面に同じ無地色を有した受容体、片面にある無地色、他面に異なる無地色を有した受容体、片面に無地、他面に模様を有した受容体などが製作されることが可能である。両面に模様を印捺することも完全に実行可能であるが、イメージを背中合わせに位置合わせすることには、未だに幾らか問題がある。第3、第4、および他の色を用いて複雑な模様、さらに写真、その他のイメージが印捺されることも可能である。実際、図1Aは、図面を簡略化するために、このような全ての組み合わせを含むものとして総合的に解釈されるべきである。
受容体40は、昇華型印捺を受容することが可能な任意の材料であることが可能である。これは、最も具体的には、ポリエステルと、高温高圧で染料を吸収する他の合成ポリマまたは合成繊維とを含み、現在好まれている受容材料には、真性合成物または非セルロースの混合物など(例えばポリエステル、ナイロン、アクリル、モダクリル、およびポリオレフィンなど)がある。受容材料には天然繊維(例えば綿、毛、絹、リネン、麻、ラミー、およびジュートなど)、半合成物またはセルロース(例えばビスコースレーヨンおよび酢酸セルロースなど)を含むことも可能であると想定されるが、現在入手可能な着色剤は、そのような繊維にうまく「のる」ことができない。Tyvek(R)および他のもののようなパイマイド(pymides)などの温度受容体が、この装置を使用した昇華に利用可能であることがさらに想定される。受容体は軟質または硬質、漂白または非漂白、白または色付け、織物または不織物、編物または不編物、あるいはこれらまたは他の要因の任意の組み合わせであることが可能である。したがって、受容体は、例えば一方面に織り材料を、他方面に非織り材料または異なる織り材料を含むことが可能である。特に、受容体は、衣類、バナー、旗、カーテンおよび他の壁装物、さらにじゅうたんのための布素材および繊維をも含むことが想定される。
本明細書で開示された方法およびシステムの利点は莫大である。第一に、カレンダベルトを予備加熱することによって、昇華処理が一般的により向上されたものになる。パルスヒータを使用する利点によって、より高い飽和度が得られ、様々な染料を使用することが可能になる。昇華性染料は全て分散性であるが、分散された染料の全てが昇華されることが可能になるわけではない。「昇華性染料」とは、標準的な昇華温度で相変化して受容体に付着し、それらを昇華しても受容体を破壊または損傷しない、工業用に一般的に使用されている染料である。それとは対照的に、「高エネルギ染料」は、標準的な昇華温度よりも極めて大きなエネルギおよび温度を必要とする染料であり、したがって受容体を破壊または損傷する可能性がある。このように、高エネルギ染料では、受容体がひどく焼かれ、融解され、変形されて非可撓性材料になってしまうことから、高エネルギ染料は過去では効果的に使用されることが可能ではなかった。本発明の主題は、熱エネルギを変換し、それを使用して高エネルギ染料の結合を分解し、熱エネルギを受容体に伝達せずに相変化を創出することによって分散化された面を準備するパルスヒータを使用する。したがって、昇華処理が続いていくうちに、高エネルギ染料が、受容体を破壊する可能性のある高温を生じることなく受容体上に分散される。受容体は、高温の使用によって損傷されることがなく、したがって高エネルギ染料が使用されることが可能である。このことによって、受容体はいつでも染料を受容できる状態であることが可能となる。染料および印捺がより均一および一貫して加えられるだけでなく、それらは受容体内により深く浸透して、滲みや染みを軽減する。印捺および染色の品質が全体として大幅に向上される。
さらに、パルスヒータによって、重大な位置合わせの問題なく多数のイメージが同一の受容体を通過できるようになる。染色処理を、瞬間的な相変化の段階から漸進的な巻取の段階へと2つの部分に分割することによって、パルスヒータを用いて、異なるイメージまたは染料が滲み、または互いに干渉することがなくなる。これはパルスヒータが受容体をより効果的に準備することによる。その結果、パルスヒータは、染料の分散がより均一で一貫した両面印捺を生成することも可能となる。
本発明の主題の他の利点は、便利さおよび設置のし易さにある。パルスヒータは様々なDDS機械を収容することが可能である。このことによって融通性ができ、既存の機械を取り換え、コストを増大させる必要がなくなる。したがって、品質が向上しても、全体的生産コストを増大させずにすむ。
しかしながら当業者に明らかなとおり、本明細書の発明概念から逸脱せずに、既にここに述べられたもの以外の多くの修正形態が可能である。さらに本開示を解釈するにあたって、全ての用語は、文脈と一致した可能な限り広い意味で解釈されるべきである。特に、「備える」および「備えている」という用語は、非排他的な意味で要素、構成要素、またはステップを指しているものと解釈されるべきであり、ここに指し示された要素、構成要素、またはステップは、ここに明確に指し示されていない他の要素、構成要素、またはステップとともに存在し、利用され、あるいはそれらと組み合わされることが可能であることを明示している。