JP2010506796A - リブ毎にラグ個数が変化するタイヤトレッドパターンの基本ピッチ設計方法 - Google Patents

リブ毎にラグ個数が変化するタイヤトレッドパターンの基本ピッチ設計方法 Download PDF

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Abstract

本発明はリブ上のラグ個数を増加および減少させることによりタイヤ性能のバランスをとると同時に、望ましいタイヤノイズ性能を得る方法を提供する。本発明方法は、タイヤ設計者が高低の両ピッチ数のパターンによる利点を得るとともに、不快なタイヤノイズを低減することを可能にする。本発明方法は、タイヤトレッドパターンの基本ピッチの設計、およびタイヤのトレッドパターンの設計を含む。本発明は、さらに、基本ピッチおよびトレッドパターンを組み込んだタイヤを提供する。

Description

本件出願は、2006年10月17日に出願された米国仮特許出願第60/852,220号の優先権を主張するものであり、参考として本明細書に付記する。
本発明は、概して、タイヤ、およびピッチシーケンスが原因で起こるタイヤノイズを改善するようタイヤのトレッドパターンの設計する方法に関する。とくに、本発明は、タイヤのトレッドパターン、および異なるリブグループに異なる数のラグを持つ複数のリブグループを有するトレッドパターンの基本ピッチの設計方法に関する。
タイヤ設計のある態様としては、不快なタイヤノイズを最小化するステップを含む。タイヤノイズは、トレッドパターンのラグが路面と接触するときに発生する。変化しないトレッドパターン、すなわち単一ピッチのトレッドパターンは、不快な調子の、すなわち単一ピッチサウンドを発生する。タイヤ設計者は、単一ピッチのサウンドを回避するためにトレッドパターンを変化させる。トレッドパターンは、一般的に、タイヤ周方向のトレッドピッチのサイズを変化させることにより変化を付ける。ピッチシーケンスを形成するトレッドピッチのサイズを変化させることは、ノイズスペクトルの周波数領域を広げることにより単一ピッチのタイヤノイズを減少する傾向を持つが、時間領域における不快なノイズは生成され続ける。タイヤトレッドの設計者は、タイヤに望ましい動作特性を与えると同時に不快なタイヤノイズもまた最小化するようなピッチシーケンスを要望する。
トレッドパターンは、現在、トレッドピッチの異なるバリエーションにより発生するタイヤノイズを比較することで解析されている。既知の解析技術は、容認できるタイヤノイズを発生するトレッド設計のために、タイヤ設計者がピッチシーケンスを選択できるようにする。このような解析技術の一つは、ピッチシーケンスのフーリエスペクトルを用いることで、好ましくないと知られている周波数の集中を認識する。特許文献1(米国特許6112167号)に記載される他の技術は、タイヤ周方向のピッチシーケンスの一部を解析する。
タイヤトレッドの設計者が直面している問題は、多目的タイヤ用の非対称なトレッド設計の需要の高まりである。非対称タイヤは、一方の側をドライトラクションおよび耐摩耗性に最適であるとともに、もう他方の側をウェットトラクションおよび排水作用について最適化するように設計する。非対称なトレッドパターンは、一般的にタイヤの異なる側で異なるトレッドパターンを持ち、したがってタイヤの異なる周方向リブに異なる数のラグを持つことができる。一つのリブグループに望ましいタイヤノイズを与える基本ピッチは、別のリブグループでは不快なタイヤノイズを生じることがあり得る。設計方法論は、非対称タイヤに組み込んだ、異なるピッチシーケンスを解析するメカニズムを提供しない。タイヤ設計者は、それ故に、互いに異なるピッチシーケンスを有する複数のリブを有するタイヤのトレッドパターンを使用するための、改善した解析および設計方法を要望する。タイヤ使用者は、リブ毎にラグ個数が異なる複数リブタイヤを要望するとともに、ピッチシーケンスによる不快なタイヤノイズを最小化することも望んでいる。
この問題は、非対称なタイヤのトレッドパターンに限ったものではない。通常、対称的なタイヤトレッドパターンに対して、設計者は、各周方向リブ、すなわちリブグループ毎に同一個数のラグを設計する選択肢か、ある任意のリブまたはリブグループにおいてラグを副分割する選択肢のどちらかを持つ。第1の場合において、全周方向リブにおけるラグ数の比率は1:1である。第2の場合において比率は1:2であり、1個以上の周方向リブにおいて100%増加する。好天候および悪天候条件に対するタイヤ性能をチューニングするために、タイヤ設計者は、パターンの中央部におけるラグの個数差を、肩部におけるよりも少なくするようにして、性能バランスをとる融通性を必要とする。例えば設計者は、劣悪天候でより良い性能を得るために中央部には肩部よりも25%多いラグを持たせるとともに、肩部のラグによる好天候性能を維持することを望む場合がある。したがって、設計者は、一つのリブまたはリブグループが、別のリブまたはリブグループに対して1:1.25または4:5のラグ個数比率にすることを望む場合がある。このバイアス比率は、従って、中央部対肩部バイアス(偏り)により赤道線に対して対称にし、内側対外側バイアスにより赤道線に対して非対称にする。もし2個以上の周方向リブまたはリブグループがある場合、設計者は、それぞれに対して異なるバイアス(偏り)にする、さらにタイヤトレッドパターンの設計をチューニングすることをも望むであろう。
米国特許6112167号明細書
ある実施形態として、本発明は、リブにおけるラグの個数を増加および減少させてタイヤ性能のバランスをとるとともに、また望ましいタイヤノイズ性能を持つようにする方法を供給する。本発明方法は、タイヤ設計者が、高ピッチ総数および低ピッチ総数によるパターン双方の利点を利用するとともに、不快なタイヤノイズを最小化することを可能にする。本発明方法は、タイヤトレッドパターンの基本ピッチの設計、およびタイヤのトレッドパターンの設計に関連する。本発明は、さらに、この基本ピッチおよびトレッドパターンを組み込んだタイヤを提供する。
一つの態様として、本発明は、周方向に少なくとも2種類のリブグループを有し、各リブグループは異なる数のピッチを有するタイヤトレッドパターンの基本ピッチを設計する方法を提供し、本発明方法は、以下のステップ、すなわち、(a)x>1として走行方向におけるトレッドのラグによるx個のリブを有するタイヤトレッドパターンを設けるステップと、(b)n>1として、トレッドのラグによるリブをn個のリブグループにグループ分けするステップと、(c)各リブグループ内のトレッドのラグ個数がs個を決定するラグ個数決定ステップであって、sはi番目のリブにおけるトレッドのラグ個数とし、s<si+1を満たし、iが1からn−1まで線形に増加するものとした該ラグ個数決定ステップと、(d)sからsまでの最大公約数が1となるようにsを定義するステップと、を含む。
本発明の他の態様は、それぞれ周方向の少なくとも2個のリブグループを有し、各リブグループ内に異なる数のピッチを持つ、複数の基本ピッチを用いる空気入りタイヤのトレッドパターンを設計する方法を提供し、本発明方法は、以下のステップを有する、すなわち、(a)x>1として走行方向におけるトレッドのラグによるx個のリブを有するタイプのタイヤトレッドパターンを選択するステップと、(b)n>1として、トレッドのラグによるリブをn個のリブグループにグループ分けするステップと、(c)各リブグループ内のトレッドのラグ個数sを決定するステップであって、sはi番目のリブ内におけるトレッドのラグ数であり、s<si+1を満たし、iが1からn−1まで線形に増加するものとしたステップと、(d)sからsまでの最大公約数が1となるようにsを定義するステップと、任意のリブグループにおけるトレッドのラグ数が最少であるk*s>39となり、任意のリブにおけるトレッドのラグ数が最大となるk*s<81となるように基本ピッチの個数kを選択するステップと、を有する。
本発明の別の態様は、トレッドのラグによる少なくとも2個の周方向リブを有するタイヤトレッドパターンの設計方法を提供し、本発明方法は、以下のステップ、すなわち、タイヤの周方向に配列したトレッドのラグによる複数のリブグループを有する基本ピッチを持つ、トレッドパターンの基本ピッチを選択する基本ピッチ選択ステップであって、ある一つのリブグループは最大個数であるs個のラグを持ち、別のリブグループは最小個数であるs個のラグを有するようにし、ラグの最小個数に対するラグの最大個数の比が、1.0より大きく2.0未満でるが、1.5ではないように選択する該基本ピッチ選択ステップと、トレッドパターンの基本ピッチ個数kを選択するk選択ステップであって、また選択した基本ピッチ数に、基本ピッチにおける任意のリブグループの最大ラグ数を乗じたものが80以下であり、選択した基本ピッチ数に基本ピッチにおける任意のリブグループの最小ラグ数を乗じたものが40以上となるよう選択する該k選択ステップと、を有する。
本発明のさらに他の態様は、タイヤを提供し、本発明タイヤは、タイヤの基本ピッチの長さを変化させることでトレッドパターンにおけるタイヤノイズのピッチシーケンスを形成することである。タイヤノイズのシーケンスは、さらに、基本ピッチをm個のサブピッチに副分割し、タイヤノイズのピッチシーケンスを形成するようタイヤの周方向にサブピッチの物理長さを変化させることによっても、形成できる。
本発明は、さらに、トレッドパターンを画定する本体を有するタイヤを提供し、本発明タイヤは、トレッドパターンは周方向における複数のリブグループを有し、各リブグループは、同一数であるk個の基本ピッチを有し、各リブグループは異なる数であるn個のトレッドのラグを有し、;リブグループのうち一つはリブグループのうち一つは最小個数のラグを持ち、前記リブグループの他の一つは最大個数のラグを持ち、最大ラグ個数対最小ラグ個数の比率を1.0より大きく2.0未満とし、ただし1.5を排除した比率にする。
本発明タイヤは、対称構成および非対称構成にして設けることができる。
2種類(大小)の異なるサイズのサブピッチを、各ピッチ間に一個のサブピッチを配置した場合の、例示的な4個のリブトレッド設計要素(トレッド形状は総括的である)の概略図である。 図1に示す4個のリブトレッド設計要素を用いたピッチシーケンスにおける最初の16ピッチの概略図である。 2種類(大小)の異なるサイズのサブピッチを、各ピッチ間に2個のサブピッチを配置した場合の、4個のリブトレッド設計要素(トレッド形状は一般的である)の例の概略図である。 図3に示す4個のリブトレッド設計要素を用いたピッチシーケンスにおける最初の8ピッチの概略図である。 D値の変化を示すチャートである。 Dの比率を4:3または1.33としてタイヤのピッチシーケンスに適用した例示的なS値セットを示すチャートである。 異なる目的のために設計したトレッドパターンであり、より少ないラグを有することにより耐磨耗性および良天候向けに設計したトレッドパターンの実施形態である。 より多くのラグを有することにより悪天候およびノイズ性能向けに設計したトレッドパターンの実施形態である。 図7および8からトレッド設計の一部を用いたトレッドパターンの実施形態である。 ピッチあたりの1サブピッチを有するトレッドの他の実施形態である。 図12のトレッドパターンを形成するのに使用した6個のサブ区域を示す。 図11に示す6個のサブ区域を用いたトレッドパターンの実施形態である。 予測されるノイズ周波数障害の3パターンを示す。 モデル化したノイズのチャートである。 予測されるタイヤ性能のチャートである。 基本ピッチの個数およびサブピッチの個数に対する望ましいラグ個数を示す設計チャートである。 類似参照符号および文字は、本明細書全体を通して類似部分に言及するものである。
本発明方法を使用して空気入りタイヤのトレッドパターンを設計し、このトレッドパターンは、周方向帯域または周方向リブに配置した、周方向の荷重支持要素またはラグを複数個有する。同一個数のラグを有する帯域またはリブは一括してリブグループとしてみなす。それらは隣接することがよくあるが、リブグループ内の帯域またはリブは、他の帯域またはリブに対して間隔を空けて配置することができ、また互いに隣接する必要はない。リブグループとしては、周方向ラグよりなる単独のリブ、または周方向ラグを持つ複数個のリブがあり得る。本発明は多種多様な広範囲の設計に適用できるが、以下に説明する実施形態は、1〜7個のリブグループ内に20〜160個のラグを有するトレッド設計に焦点を当てる。このリブグループの個数範囲は、市場で望まれる大部分のタイヤが約1680mm〜3200mmの範囲におけるタイヤトレッド周長を有するという事実に基づく。これらタイヤに用いる大部分のラグは20mm〜75mmの間の周長を有し、したがって小径タイヤでは約22〜84個の範囲のラグ、大径タイヤでは約43〜160個の範囲のラグを有する。製造基準、タイヤ磨耗基準およびタイヤノイズ基準を考慮するとき、商業的に生産したタイヤのほとんどは40〜80個のラグを有する。本発明方法は、したがって、この範囲のタイヤトレッドパターンに使用ものとして説明する。本発明方法は、さらに、この範囲外のラグ個数範囲にも本発明方法のステップを適用することができる。
タイヤの各トレッド設計に対して、周方向に配列したラグLのリブグループRが「x」個あるものとする。本発明方法により生ずるタイヤトレッドパターンは、サブピッチSの整数組み合わせを有し、このサブピッチSは各リブグループR内に基本ピッチPを形成する。基本ピッチは、(トレッド設計における)共通境界線で始まり(トレッド設計における)共通境界線で終わるタイヤトレッドの一部分として定義し、この部分において基本ピッチ内部に含まれる各リブに対してリブごとのラグ個数の最大公約数は1である。基本ピッチは、リブグループ内でタイヤ周長にわたり「k」回繰り返す。サブピッチは基本ピッチP内部のトレッド形状の一部である。「m」個のサブピッチSが存在し、これらサブピッチは基本ピッチP内で個別に拡縮することできる。
任意の所定リブグループR内で、ラグLの総数「y」はラグの等式により定義することができる。すなわち、y=k*m である。各基本ピッチP内に1個のみのサブピッチSがあるとき(単一ユニット設計と称する)、各リブグループR内のラグLの総数yは、基本ピッチPの数と等しい。各基本ピッチP内にサブピッチSが2個あるとき、各リブグループR内のラグLの総数yは基本ピッチの個数kの2倍に等しい。これら二つの例を図1〜4に示す。
単一ユニット設計を説明するために、例示的な4個のリブRのトレッドパターン要素を図1に示し、この場合、基本ピッチPあたりに1個のサブピッチSのみ存在して、このサブピッチは小(Sm)または大(Lg)のいずれかである。この実施例において、各リブグループは単一のリブを有する。これら図面に示すトレッドパターンの形状は、概略的、総括的また例示的なものである。本発明は多種多様なラグ形状に適用することができる。例えば、小サブピッチ(Sm)は25mmの長さとし、大サブピッチ(Lg)は40mmの長さとすることができる。ある実施例におけるピッチシーケンスを、[25,25,40,40,25,40,40,25,25,25,40,40,40,25,40,40…]とすることができる。図2はこのピッチシーケンスを適用した図1のトレッド要素を線図的に示す。
2ユニット設計を説明するために、例示的な4個のリブRのトレッドパターン要素を図3に示す。第1サブピッチ(S1)は上述した図1につき説明した実施例と同様の形状を有するとともに、第2サブピッチ(S2)は異なる形状を有する(リブR2およびR3では横溝を省いてある)状態を図3に示す。図3は大(Lg)小(Sm)両方のサブピッチ長を示す。図4は、上述の実施例における図3のトレッド要素のピッチシーケンス[25,25,40,40,25,40,40,25,25,25,40,40,40,25,40,40…]を適用したものを線図的に示す。この実施例において、各基本ピッチPは、S1およびS2(S1およびS2のサイズはこの実施例のピッチシーケンスに従う)を有して、異なるリブRは異なる個数のラグLを持つ。R1およびR4は、R2およびR3の2倍のラグを有する。この実施例におけるラグLの特定配列は本発明とは無関係であり、R1およびR2がR3およびR4の2倍のラグLを有する、またはR2およびR3がR1およびR4の2倍のラグLを有するものとこともできる。
各リブにおける異なる個数のラグにより生ずる、異なるタイヤノイズを解析するために、リブ微分値Dを以下の式により決定する。すなわち、D=(任意のリブグループにおけるラグの最大個数)/(任意のリブグループにおけるラグの最小個数)。リブグループ微分値(D)は、最小個数のラグを持つリブで生ずるノイズ数に対する、最大個数のラグを持つリブで生ずるノイズ数の比を与える。図2の第1実施例ではD=1で、図4の第2実施例ではD=2である。D>2を持つトレッド設計は可能であるが、望ましくない特性となることがわかっており、なぜならこれらの設計はラグの剛性において望ましくない大きな差を有するからである。Dが厳密に2であるトレッド設計もまた望ましくなく、なぜなら最大トレッド通過振動数が最小トレッド通過振動数の倍数となり、この振動数で望ましくない振幅スパイクを生ずるからである。トレッド通過振動数Fは、以下のように定義される。すなわち、F=V*y/C、ここでVはタイヤの接地速度を表し、Cはタイヤ周長を表す。タイヤが回転するにつれて各ラグが路面と衝突して、したがってインパルスとして働く。したがって基本振動数の整数倍である多重周波数が存在する。これらの周波数は、j=1,2,3…としてF=j*(V*y/C)により決定される。タイヤ設計者は、あるリブで最初に存在する3種類の周波数のいずれかが、異なる個数のラグを有するリブにおける最初の3種類の周波数と一致することを望まない。このことは、D=1,2.0または1.5のときに発生する。したがって、Dを1と2の間とする(D=1.0,2.0または1.5を除く)タイヤトレッド設計が、タイヤノイズに関して望ましい。本明細書の文脈では、用語「間(between)」は端部境界の1.0および2.0を除く。しかし、1.5と2.0の間のD値は1.0と1.5の間のD値に比べてあまり望ましくない結果となり、これはすなわちD値が1.5と2.0の間であるときにラグ剛性により大きな差が生まれるからである。
図5のチャートは設計パラメータを定義するために用いる。基本設計サイクルにおけるラグの最小個数を横方向に配置し、またラグの最大個数を縦方向に配置する。各組み合わせのD値をチャートのセルにおいて計算する。
このチャートにおける各組み合わせに対して、追加のチャートを展開して、基本設計サイクルの数に基づくフルパターンにおけるラグ個数のバランスを検討する。実施例を得る目的のために、小ラグ4個対大ラグ3個(D=1.33)の比率(m)を図6のチャートで分析する。このチャートから、14〜20の基本設計サイクルを使用することで望ましいラグ個数が得られ、この理由としては、各リブにおけるラグ総数が、上記の望ましい設計パラメータの範囲内に含まれるからである。基本ピッチPが14個である(k=14)場合、2個のリブ内に42個と56個のラグが存在してリブの間に14ピッチの差があり、P=20の場合、2個のリブ内に60個と80個のラグが20ピッチの差で存在する。ピッチ数の差(Δ)は次式により定義される。すなわち、Δ=P*(mmax−mmin)。この差Δが増加するにつれて、ラグ剛性の変化も増加する。タイヤトレッド設計におけるラグ数の増加は、雪および雨天条件での性能が向上するとともに、タイヤ−路面境界面における衝撃エネルギーが減少し、この結果低ノイズ振幅をもたらす。ラグ数を減少するまたはラグ剛性を増加させることは、好天条件でのドライトラクションが向上するとともに、タイヤの寿命が向上する。本発明により設計したタイヤトレッドは、ドライトラクションおよび悪天候の両方に対するタイヤ特性を持つことにより、タイヤ性能のバランスをとる。
図7および8は、異なる特性を持つタイヤトレッドパターンによる2種類の異なる実施例を示し、これらを組み合わせて図9のタイヤトレッドパターンを形成し、タイヤ赤道により2等分された上側を図8のトレッド、タイヤ赤道により2等分された下側を図7のトレッドとする。図7のトレッドはより少ないラグを、図8のトレッドパターンはより多くのラグを、タイヤの周縁にわたりに配置する。図9は、上側の2つのリブ(R1およびR2)は図8の構成を持ち、下側の2つのリブ(R3およびR4)は図7の構成を持つパターンを示す。図9のトレッドパターンは、したがって両トレッドパターンから性能の利点を組み込んでいる。この実施例において、Dは1.33であり、R1およびR2内ではピッチあたりラグが8個であり、R3およびR4内ではピッチあたりラグが6個である。
ツーピースに関しては、クラムシェルタイプのタイヤモデルが20世紀終盤を通してタイヤ産業界で一般的になっており、図9のタイヤトレッドはタイヤモールド(金型)製造という観点で望ましいだろう。ツーピース式のモールド(金型)はタイヤ赤道またはその近傍の位置で周方向に2分割する。各ピースの製造は個別に行うことができ、したがって図9に示すような互いに無関係のトレッドパターンを備えることができる。トレッドパターンの一方の側からトレッドパターンの他方の側までタイヤモールド(金型)の横方向区域としては、8個から100以上ものトレッドセグメントにより形成される従来のタイプのタイヤモデルでは、トレッドパターンの一方の側から他方の側まで連続した境界線を有するタイヤトレッド区域を持つことが望ましい。図9に示したタイヤトレッドの連続境界線の例として、区域A−Aおよび区域B−Bの断面がある。本発明方法により構成したタイヤトレッドパターンは、図9に示す区域A−Aのように、トレッドパターンの始端には少なくとも1個の共通境界線を有する。図7および図8のタイヤの各トレッドパターンに対する、タイヤトレッドパターンのノイズシーケンスの複雑性に基づいて、図9に示す区域B−Bのように1個以上の共通境界線を持つことができる。共通境界線の最小個数はしたがって1であり、共通境界線の最大個数は幾何学的観点における最大公約数として知ることができる。図7の各繰り返しパターンのタイヤは12個の区域を持つ。図8のタイヤは16個の区域を持つ。12という数は1,2,3,4,6,12を含む6個の公約数を持つ。16という数は1,2,4,8,16を含む5個の公約数を持つ。12と16の最大公約数は4である。したがって図9の複合トレッドパターンは最大4個の共通境界線を有することができる。
このとき、基本ピッチは、共通境界線で始まり共通境界線で終わるタイヤトレッドの一部分として定義することができ、この部分において基本ピッチに含まれる各リブに関してリブ毎のラグ数の最大公約数は1である。図9に例示したタイヤの基本ピッチは1であり、各リブにおけるラグ数は、上記で計算した最大公約数により除算した任意のリブにおけるラグ総数と等しい。この場合、リブR1およびR2における基本ピッチ内のラグ数は4(16/4=4)であり、リブR3およびR4におけるラグ数は3(12/4=3)である。
図10は、図9のトレッドパターンと同数のラグをリブあたりに有するタイヤトレッドパターンを示すが、4個の基本ピッチを備えており、各基本ピッチはピッチサイズを大小二つに変化させた複合ユニットである。全トレッドパターンは、タイヤノイズのピッチシーケンスの要件にもとづいて順次に配列した基本ピッチを有する。したがって、図10に示すタイヤトレッドパターンの共通ピッチ境界線の数は、各リブにおけるラグ数の最大公約数と等しく、また従来タイプのセグメント化したタイヤモールド(金型)から製造するタイヤに好適に適用できる。図10の設計に対する制限は、タイヤトレッド内でのラグサイズの可変性は、基本ピッチサイズにおけるサイズ可変性に一致する点である。図10において、各サブピッチの長さは基本ピッチの長さに等しい。各基本ピッチ(P)はしたがって、サブピッチ(S)の倍数(m)まで副分割する。m値はm=1,2,3,4,5,6などの任意の整数とすることができる。m値が増加するにつれて、モールド(金型)のユニークな固有区域の数も増加する。図10ではm=1であり、ピッチサイズの個数(t)は2(大と小)である。固有な形状のサブピッチ(S)の個数(U)は以下の式により表すことができる。すなわち、U=m*t。固有な形状のサブピッチ(S)の個数(U)を増加するために、サブピッチサイズの個数(t)または基本ピッチの分割数(m)のどちらかを増加しなくてはならない。従来技術に一般的であるのは、ピッチサイズの個数(t)を2〜8の間にすることである。固有な形状の個数(U)を急激に増大する方法は、mを増加させることである。
mとして基本ピッチにおけるラグの最大個数(この実施例では4)より大きい値を選択することは実用的でなく、mとして基本ピッチにおけるラグの最小個数(この実施例では3)よりも小さい値を選択することは望ましくない。モールド製造の複雑性を最小化するために、固有な形状の最小個数を最初に選択する。本発明において、mは、任意のリブにおける基本設計サイクルのラグの最小個数として最初に選択する。ユニークな固有セグメント数(U)として、より大きい数がノイズまたは他の性能のために必要であると決定した場合、mは、任意のリブにおける基本設計サイクルのラグの最大個数に一致するまで増加する。
図11は、基本ピッチの小および大のサブ区域の組(セット)を示す。図12は、1,2,3,1,2,3…のように形状の反復を使用して、また選択したサイズシーケンスに基づくサイズ選択を利用した、トレッドパターンの典型的区域を示す。この設計は増大した形状可変性を有して、リブ1および2は基本ピッチあたり4個のラグを持ち、リブ3および4は基本ピッチあたり3個のラグを持つ。図6のチャートに基づき、基本ピッチが15個ある場合、リブ1および2は60個のラグをもち、リブ3および4は45個のラグを持つ。60個のラグを持つタイヤ側は悪天候時の性能をもたらし、45個のピッチを持つ方は好天候での性能をもたらす。このパターンをノイズ解析することにより、本発明によりタイヤノイズが大きく減少した。図13は、この実施例から3パターンの予測ノイズ周波数分布を示す。最大ノイズレベルを有するタイヤは、図1に示した固有形状であり、図2に示した実施例のように各リブに同数のラグを有するタイヤである。したがって、基本ピッチあたり1個のサブピッチのみの45個の基本ピッチを持つ。2番目に高いノイズレベルを有するタイヤは、基本ピッチあたり1つのサブピッチを持つ60個の基本ピッチを有して、図1に示したものと同様な固有形状を持つ。最も低いノイズレベルを有するタイヤは本発明の望ましい実施形態によるものである。このタイヤは、図10に分類されるような6個のユニークな固有形状を持ち、図12を代表例とする。この設計において事実上、上側の2個のリブに60個のラグを設け、下側の2個のリブに45個のラグを設ける。モデル化したノイズレベルの差を図14に示す。予測されるタイヤ性能のチャートを図15に示す。このように設計したタイヤは、全天候における性能とノイズ性能における改善を両立するように設計されている。
上述の実施例は、低い側と高い側の比が3:4となるようにタイヤを中心で分けている。図16のチャートは、任意の所定リブにおけるラグ個数を、2〜27個の基本ピッチに対して3〜16個のサブピッチを持つ条件に対して計算したものである。明るい網掛けのセルはラグ個数が40以下の場合を表し、より暗い網掛けのセルはラグ個数が80以上の場合を表す。このチャートの範囲について、網掛けしていないセルは特定のサブピッチ数および基本ピッチ数について望ましいラグ個数であることを表す。
設計者は図16のチャートを用いて、基本ピッチ、サブピッチおよびラグ数の望ましい組み合わせを設計者の基準に基づいて割り出す。例えば、もしタイヤが5個のリブグループを持つことをタイヤ設計者が知っていたなら、図16のチャートにより設計者は初めに、10,8,7,6,5,4の基本ピッチのタイヤ設計に限定し、この理由としては、これらは5個以上の網掛していないセルを持つ唯一の列であるからである。設計者は次に、Dの比率を計算することにより、またはラグ数の範囲を選択することにより、潜在的選択肢を限定する。この実施例において、10個の基本ピッチと5個のリブグループを選択することは、比率Dを2.0(80/40)とする。この比率は、したがって10個の基本ピッチという選択肢を除外する。この設計は、次に、8個の基本ピッチの選択肢に着目して、比率Dを2.00(80/40),1.80(72/40),1.67(80/48)とする3つの選択肢が利用可能であることがわかる。D=2.00という選択肢は図5につき説明したように除外される。上述のように、他の選択肢も利用可能であるが、もしより望ましい比率Dが利用可能ならば、それらの採用をやめるべきである。設計者は、次に、基本ピッチが7個の場合に利用可能な選択肢を解析することができる。このチャートにより、70/42(D=1.67)、77/49(D=1.57)、77/42(D=1.83)の3個の可能性を得る。基本ピッチが6個の場合のデータにより、Dが1.57,1.71,1.85,1.5,1.63,1.44の6個の可能性を得る。次にD=1.5という選択肢は図5ににつき説明したように除外する。比率1.44が好適であり、設計者は54,60,66,72,78個のラグを持つリブグループを使用可能である。各リブグループは9,10,11,12,13個のサブピッチに分割した6個の基本ピッチを持つ。同様の解析を5個および4個の基本ピッチに対しても実行して、代替可能性を得る。
設計者が設計チャートを用いる別の方法は、リブグループにおける望ましいラグ数を選択し、その後に、チャート上に適合する選択肢を見つける方法である。例えばトレッド設計者は、各リブに異なる数のラグを有する5個のリブ(したがってリブグループが5個である)のタイヤであって、リブあたりのラグ数の範囲が47以上79以下であるタイヤを設計することを望むと仮定する。この設計チャートより、47個より大きいラグ個数を持つ網掛けしてないブロックは少なくとも5個あり、8,7,6,5,4個の基本ピッチを持つことがわかる。基本ピッチが6個の場合、72/48(D=1.5)、78/48(D=1.63)、78/54(D=1.44)の選択肢が存在する。次にD=1.5の選択肢は図5につき説明したように除外する。比率Dの計算により、78,72,66,60,54個のラグを有するリブの選択肢を一つ得る。これらのリブを任意の特定の順番で配置する必要はない。この設計チャートは、さらに、5個の基本ピッチ(70/55および75/55)においても可能性を得る。
本発明によれば、タイヤ設計者に、全天候性能および改善したノイズ性能のバランスをとる設計を創作する融通性を与える。上述の説明において、簡潔さ、明確さおよび理解し易さのために特定の用語を用いた。従来技術要件を越えて不必要に限定する意図はなく、なぜならこのような用語は説明目的のために用いたものであり、広く解釈されるべきである。
さらにまた、本発明の説明および図面の記載は例示的なものであり、本発明は図示または説明した正確な細部に限定するものではない。

Claims (20)

  1. 周方向に少なくとも2種類のリブグループを有し、各リブグループは異なる数のピッチを有するタイヤトレッドパターンの基本ピッチを設計する方法において、
    (a)x>1として、走行方向におけるトレッドのラグによるx個のリブを有するタイヤトレッドパターンを設けるステップと、
    (b)n>1として、前記トレッドのラグによるリブをn個のリブグループにグループ分けするステップと、
    (c)各リブグループ内のトレッドのラグ個数sを決定するステップであって、sはi番目のリブにおけるトレッドのラグ数とし、s<si+1 を満たし、iは1からn−1まで線形に増加するものとしたステップと、
    (d)sからsまでの最大公約数が1となるようにsを定義するステップと、
    を有する方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、さらに、sに対するsの比を、1.0〜2.0の間における数に限定し、ただし1.5を除くものとするステップを有する方法。
  3. 請求項1に記載の方法において、さらに、sに対するsの比を、1.0〜2.0の間における数に限定するステップを有する方法。
  4. 前記基本ピッチはそれぞれ周方向の少なくとも2個のリブグループを有し、各リブグループ内に異なる数のピッチを有する、複数の基本ピッチを用いる空気入りタイヤのトレッドパターンを設計する方法において、
    前記トレッドパターンの基本ピッチを創生する基本ピッチ創生ステップであって、(a)x>1として走行方向におけるトレッドのラグによるx個のリブを有するタイプのタイヤトレッドパターンを選択するステップ、(b)n>1として、前記トレッドのラグによるリブをn個のリブグループにグループ分けするステップ、(c)各リブグループ内のトレッドのラグ個数sを決定するステップであって、sはi番目のリブ内におけるトレッドのラグ数とし、s<si+1を満たし、iは1からn−1まで線形に増加するものとした、ステップ、(d)sからsまでの最大公約数が1となるようにsを定義するステップ、を含む該基本ピッチ創生ステップと、
    任意のリブグループにおけるトレッドのラグ数が最少であるk*s>39となり、任意のリブにおけるトレッドラグの数が最大となるk*s<81となるように基本ピッチの個数kを選択するステップと、
    を有する方法。
  5. 請求項4に記載の方法において、さらに、k*sに対するk*sの比を、1.0〜2.0の間における数に限定し、ただし1.5を排除するものとしたステップを有する方法。
  6. 請求項4に記載の方法において、さらに、k*sに対するk*sの比を、1.0〜1.5の間における数に限定するステップを有する方法。
  7. トレッドのラグによる少なくとも2個の周方向リブを持つタイヤトレッドパターンを設計する方法において、
    前記タイヤの周方向に配列したトレッドのラグによる複数のリブグループを有する基本ピッチを持つ、前記トレッドパターンの基本ピッチを選択する基本ピッチ選択ステップであって、ある一つのリブグループは最大個数であるs個のラグを持ち、別のリブグループは最小個数であるs個のラグを有するようにし、ラグの最大個数とラグの最小個数の比は、1.0より大きく2.0未満であるが、1.5ではない、ように選択する該基本ピッチ選択ステップと、
    前記トレッドパターンの基本ピッチの個数kを選択するk選択ステップであって、選択した基本ピッチ数に基本ピッチにおける任意のリブグループの最大ラグ数を乗じたものが80以下であり、また選択した基本ピッチ数に基本ピッチにおける任意のリブグループの最小ラグ数を乗じたものが40以上となるよう選択する該k選択ステップと、
    を有する方法。
  8. 請求項7に記載の方法において、さらに、k*sに対するk*sの比を1.0〜2.0の間における数に限定するステップを有する方法。
  9. 請求項7に記載の方法において、さらに、前記基本ピッチの個数を最大化し、またトレッドパターンの共通境界線の個数を最大化するために前記基本ピッチ内のサブピッチの個数を最小化するステップ、有する方法。
  10. 請求項7に記載の方法において、さらに、タイヤノイズのピッチシーケンスを形成するために、タイヤ周方向に前記基本ピッチの物理長さを変化させるステップを有する方法。
  11. 請求項7に記載の方法において、さらに、前記基本ピッチをm個のサブピッチに副分割するステップと、タイヤノイズのピッチシーケンスを形成するためにタイヤ周方向の前記サブピッチの物理長さを変化させるステップと、を有する方法。
  12. 空気入りタイヤにおいて、
    トレッドパターンを画定する本体を有し、前記トレッドパターンは周方向における複数のリブグループを有し、
    各リブグループは、同一数であるk個の基本ピッチを有し、
    各リブグループは、異なる数であるn個のトレッドのラグを有し、前記リブグループのうち一つは最小個数のラグを持ち、前記リブグループの他の一つは最大個数のラグを持ち、
    ラグの最小個数に対するラグの最大個数の比率を、1.0以上2.0未満とし、ただし1.5を排除した比率にした
    タイヤ。
  13. 請求項12に記載のタイヤにおいて、前記比率は1.0以上1.5未満としたタイヤ。
  14. 請求項12に記載のタイヤにおいて、任意のリブグループにおけるラグの最大数が80以下であり、任意のリブグループ内のラグの最小数が40以上とした、タイヤ。
  15. 請求項12に記載のタイヤにおいて、前記トレッドパターンは、中央リブグループと、内側リブグループと、外側リブグループとを有する、タイヤ。
  16. 請求項15に記載のタイヤにおいて、前記中央リブグループは、前記内側および外側リブグループのどちらよりも多い個数のラグを有する、タイヤ。
  17. 請求項15に記載のタイヤにおいて、前記中央リブグループは、前記内側および外側リブグループのどちらよりも少ない個数のラグを有する、タイヤ。
  18. 請求項12に記載のタイヤにおいて、前記トレッドパターンは、内側リブグループと外側リブグループとを有する、タイヤ。
  19. 請求項18に記載のタイヤにおいて、前記内側リブグループは、前記外側リブグループよりも多くのラグを有する、タイヤ。
  20. 請求項18に記載のタイヤにおいて、前記外側リブグループは、前記内側リブグループよりも多くのラグを有する、タイヤ。
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