JP2004090827A - トレッドパターン付きタイヤの設計方法およびトレッドパターン付きタイヤ - Google Patents

トレッドパターン付きタイヤの設計方法およびトレッドパターン付きタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】転動中に発生するパターンノイズを抑制したトレッドパターン付きタイヤの設計方法および、トレッドパターン付きタイヤを提供する。
【解決手段】所定の接地条件下の、タイヤ幅方向の所定の位置における接地長さLおよびこの位置における周長さTLを、mm単位の整数値で表して接地長値VL および周長値VTLとし、自然数倍することで周長値VTLとなり、かつ、非自然数倍することで接地長値VL となる基準長値VS を選択し、選択された基準長値VS を自然数倍して得られる複数の算出値のそれぞれを、さらに自然数倍して累積加算した値が周長値VTLとなるように、各自然数を設定し、設定された自然数を用いて得られる前記複数の算出値を、mm単位で表した3種類のパターン要素PA ,PB ,PC のピッチ長qA ,qB ,qC として設定する。
【選択図】図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤの転動中に発生するパターンノイズを抑制したトレッドパターン付きタイヤの設計方法および、トレッドパターン付きタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、トレッドパターン付きタイヤにおけるパターンノイズを低減する方法として、いわゆる周波数分散方法が知られている。この方法は、パターンデザイン列のピッチ配列に対応して、周波数変調方法を用いてパターンノイズの信号波形を作り、この信号波形の次数分析を行って信号波形の次数成分のピーク値を求め、このピーク値を低減するために最適化による周波数分散を行うことによってピッチ配列の修正を行ってパターンノイズを低減するものである。
一方において、タイヤが転動する際に発生するパターンノイズを低減する技術も種々提案されている。
例えば、下記に示す特許文献1では、複数の横溝が設けられたタイヤトレッド部の横溝間の円周方向長さに当たる横溝ピッチを整数倍した整数倍ピッチ長さがタイヤ円周方向の接地長さと略等しくなるようにしたことを特徴とする低騒音タイヤを提案している。
特許文献1では、横溝の内部容積がタイヤの接地時及び解放時に急激に変化し、この時の横溝内外に圧送される空気の圧力波に起因して音エネルギーが発生するポンピング音に注目している。そして、低騒音タイヤの横溝は、その整数倍ピッチ長さをタイヤの接地長さと略等しく形成しているため、接地突入する横溝から生ずるプラス側の音圧パルスと接地解放する横溝から生ずるプラス側の音圧パルスをお互いに干渉することができ音エネルギー自体の低減をはかることができるとされている。すなわち、特許文献1の低騒音タイヤは、横溝が接地突入する際のポンピング音と横溝が接地解放する際のポンピング音に注目し、これらのポンピング音の音圧変動が異なることを利用したものである。
【0003】
【特許文献1】特開平3−10912号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の特許文献1に示す低騒音タイヤでは、タイヤが転動して接地突入する横溝と接地解放する横溝とから発生するポンピング音を干渉させるため、所定の測定位置においては騒音の音圧レベルは低減するが、別の測定位置では音圧が増加するといった問題があり、根本的なパターンノイズの低減を実現することはできないといった問題がある。
【0005】
また、上述の特許文献1において低減しようとする横溝から発生するポンピング音に由来したパターンノイズは、一般的にいわれるパターンノイズの一部分である。パターンノイズの大部分は、トレッドパターンのトレッドゴム部材が転動して路面と接地する際に路面から打撃を受けて発生する打撃音や、接地面内で歪を受けて変形したトレッドゴム部材が路面から解放される際に元の位置に戻るように路面上を滑って発生する滑り音に由来したものもある。そのため、上述の特許文献1のように、横溝から発生するポンピング音のみを低減してもパターンノイズを十分に低減することはできない。
また、上述の特許文献1では、横溝ピッチにピッチバリエーションを施した場合を考慮して、横溝ピッチの平均ピッチの整数倍を接地長さとすることを提案しているが、横溝ピッチの平均ピッチの整数倍を接地長さとしてもピンポイントで音圧エネルギーの正負を打ち消し合うようにすることは極めて困難であり、ポンピング音の低減を十分に達成させることはできない。
【0006】
一方、従来より行われている周波数分散方法では、パターンノイズの低減を十分に達成することはできないという問題もあった。
【0007】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解消するために、転動中に発生するパターンノイズを抑制したトレッドパターン付きタイヤの設計方法および、トレッドパターン付きタイヤを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、タイヤ幅方向の少なくとも一部分のタイヤトレッド部に、タイヤ周方向の全周に沿って複数の種類のパターン要素が隣接して配置されてパターンデザイン列が形成されたトレッドパターン付きタイヤの設計方法であって、
所定の接地条件下の、タイヤ幅方向の所定の位置における接地長さおよびこの位置における周長さを、所定の単位の整数値で表して接地長値および周長値とし、
自然数倍することで前記周長値となり、かつ、非自然数倍することで前記接地長値となる基準長値を選択し、選択された基準長値を自然数倍して得られる複数の算出値のそれぞれを、さらに自然数倍して累積加算した値が前記周長値となるように、各自然数を設定し、
設定された自然数を用いて得られる前記複数の算出値を、前記所定の単位で表した前記複数の種類のパターン要素のピッチ長として設定することを特徴とするトレッドパターン付きタイヤの設計方法を提供する。
なお、前記所定の単位とは、例えばmmの単位であり、前記接地長値および前記周長値は、mm単位で四捨五入して、あるいは切り下げて、あるいは切り上げて丸められた値である。
また、非自然数倍することで前記接地長値となる基準長値とは、基準長値に自然数倍しても接地長値に一致しないことを意味する。
【0009】
なお、前記接地長値および前記周長値をmm単位の整数値で表した場合、前記基準長値は、0.5以上であるのが好ましく、より好ましくは3以上である。さらにより好ましくは、最小のピッチ長の6分の1以上とするのがよい。また、前記複数の種類のパターン要素のピッチ長は、10mm以上100mm以下であるのが好ましい。より好ましくは、15mm以上60mm以下である。
また、前記接地長値を±3%変化させた範囲に含まれるいずれの整数値も、前記基準長値の非自然数倍となっているのが好ましい。
【0010】
また、本発明は、タイヤ幅方向の少なくとも一部分のタイヤトレッド部に、タイヤ周方向の全周に沿って複数の種類のパターン要素が隣接して配置されてパターンデザイン列が形成されたトレッドパターン付きタイヤであって、
所定の接地条件におけるタイヤ幅方向の所定の位置における接地長さおよびこの位置における周長さを、所定の単位の整数値で表して接地長値および周長値とした場合、
自然数倍することで前記周長値となり、かつ、非自然数倍することで前記接地長値となる所定の基準長値に対して、前記複数の種類のパターン要素のピッチ長が、前記所定の単位で表した場合、いずれも前記基準長値の自然数倍となっていることを特徴とするトレッドパターン付きタイヤを提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のトレッドパターン付きタイヤを添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、以下に詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明のトレッドパターン付きタイヤの一例であるトレッドパターン付きタイヤ1の概略斜視図であり、図1では、トレッドパターン付きタイヤ1のトレッド部2のトレッドパターンは省略されている。
図2(a)は、本発明のトレッドパターン付きタイヤ(以降、タイヤという)のトレッド部2のトレッドパターンの一例であるトレッドパターン10を示した平面図である。図2(b)は、パターンデザイン列、パターン要素およびこの要素のピッチ長をわかり易く説明した図である。
図2(a)には、接地形状の輪郭形状の一例である輪郭形状12を同時に示している。なお、接地形状は、例えば、「JATMA Year Book 」( 日本自動車タイヤ協会規格) で規定されているリムにタイヤを組み、規定されている空気圧および最大荷重の75%荷重で路面に接地した時の接地形状であり、また、タイヤを装着する車両毎に設定されている、標準リムにタイヤを組み、標準空気圧および定員乗車時の負荷条件で路面に接地した時の接地形状である。
【0013】
図2(a)に示す本発明のトレッドー付きタイヤのトレッドパターン10は、タイヤ幅方向の少なくとも一部分のタイヤトレッド部に、タイヤ周方向の全周に沿ってパターン要素が隣接して配置されてパターンデザイン列Da 、Db およびDc が形成されている。
【0014】
ここで、パターン要素は、タイヤ周方向に対して交叉する方向に延在する1.5mm以上の溝幅を持つ横溝によってタイヤ周方向に区切られたものである。従って、溝幅が1.5mmよりも狭いサイプ14は、パターン要素を区切る横溝として扱われない。また、パターン要素は、必ずしも横溝を含む溝によって囲まれたブロックパターンによって構成されなくてもよい。例えば、パターンデザイン列Db 、Dc のように一部分が横溝および縦溝(周方向溝)によって区切られたものであってもよい。
【0015】
図2(b)には、パターンデザイン列Da 、Db およびDc のうち隣接する3つのパターン要素を取り出している。
また、パターン要素のピッチ長とは、タイヤ周方向の1つのパターン要素の長さである。図2(b)においては、パターンデザイン列Da 、Db およびDc におけるピッチ長pa 、pb およびpc が示されている。なお、図2(a)および(b)に示すように、パターンデザイン列Da 、Db およびDc は一定のピッチ長で表されているが、後述するように、ピッチ長の異なる複数種類のパターン要素が隣接してタイヤ周方向に配置される。
なお、本発明は、後述するようにパターン要素のピッチ長を特徴とするものであって、パターン要素の形状等を特徴とするものではないため、パターン要素は、矩形形状で区切って定めてもよい。図2(c)は、図2(b)とは異なり、パターンデザイン列Da を矩形形状で区切ってピッチ長pa のパターン要素を定めた一例を示している。図2(c)では、パターデザイン列Da の列幅の中央線la が2つの横溝の中心線と交叉する2交点間で挟まれるタイヤ周方向の範囲に作られる矩形形状を1つのパターン要素としている。
【0016】
一方、パターンデザイン列Da 、Db およびDc における接地長さは、パターンデザイン列の列幅の中央線la 、lb およびlc と輪郭形状12とが交叉する2交点間の距離をいい、パターンデザイン列Da 、Db およびDc に対して、接地長さLa 、Lb およびLc を定めることができる。
【0017】
図3(a)には、このようなパターンデザイン列D(パターン要素P1 〜Pn )の一例が示されている。
図3(a)では、パターンデザイン列Dが3種類のパターン要素(A,B,C)でピッチバリエーションされている。パターンデザイン列Dにおける接地長さをL、このパターンデザイン列における周長さをTLとしている。
ピッチバリエーションとは、ピッチ長の異なる2種類以上のパターン要素を複数個用いてタイヤ周上に配置した時のパターン要素の配列をいう。周知のように、ピッチバリエーションの調整は、パターンノイズの音圧の大きさや音圧の変動に大きな影響を与える。
【0018】
ここで、本発明のパターンデザイン付きタイヤの少なくとも1つのパターンデザイン列は、図3(b)に示すように、各パターン要素の開始端Si (i=1,2,・・・)から接地長さL、周方向に沿って離れた位置が、この位置の属するパターン要素Pj (j=1,2,・・・)の開始端Sj および終端のいずれにも位置しないようにピッチ長が設定されている。すなわち、タイヤの接地面の踏込み端および蹴り出し端の位置において、同時刻にパターン要素の境界が来ることはない。このようなパターンデザイン列Dの設定により、後述するように、音圧の変動を改善することができる。
【0019】
すなわち、図3(a)に示すパターンデザイン列で説明すると、本発明のパターンデザイン列は、接地長さLおよびこの位置における周長さTLを、mm単位の整数値で表して接地長値VL および周長値VTLとした場合、自然数倍することで周長値VTLとなり、かつ、非自然数倍することで接地長値VL となる基準長値VS に対して、図4に示すように、3種類のパターン要素(A,B,C)のピッチ長qA ,qB ,qC が、mm単位で表した場合、いずれも基準長値Vs の自然数倍となっていることを特徴とする。
【0020】
例えば、周長値VTLを2205、接地長値VL を100、総ピッチ個数を62個とした場合、基準長値Vs を7(接地長値VL /基準長値Vs =14.29)とすると、パターン要素PA のピッチ長qA は21(=3×7)mm(ピッチ個数11個)、パターン要素PB のピッチ長qB は28(=4×7)mm(ピッチ個数12個)、パターン要素PC のピッチ長qC は42(=6×7)mm(ピッチ個数39個)といった組、あるいは、例えば基準長値Vs を4.5(接地長値VL /基準長値Vs =22.22)とすると、パターン要素PA のピッチ長qA は22.5mm(=5×4.5)(ピッチ個数20個)、パターン要素PB のピッチ長qB は36mm(=8×4.5)(ピッチ個数15個)、パターン要素PC のピッチ長qC は45mm(=10×4.5)(ピッチ個数27個)といった組が例として挙げられる。
これらのピッチ長はいずれも、自然数倍しても接地長値VL を表すことのできない基準長値VS の自然数倍となっているので、これらのピッチ長をいかように組み合わせて加算しても、いずれも接地長値VL =100に一致させることはできない。
したがって、各パターン要素の開始端Si から接地長さL、周方向に沿って離れた位置が、この位置の属するパターン要素Pj の開始端Sj および終端に位置しないよう設定することができる。
【0021】
なお、接地長値VL を±3%変化させた範囲内のいずれの整数値に対しても、基準長値VS の自然数倍となっていないのが好ましい。すなわち、基準長値VS を自然数倍した値は、接地長値VL を±3%変化させた範囲内のいずれの整数値にならないことが好ましい。接地長さLは、タイヤ間のばらつきや、接地条件によって±3%程度変動するからである。
【0022】
図5(a)〜(c)および図6(a)および(b)は、種々のトレッドパターンにおけるパターンデザイン列、およびパターン要素、およびピッチ長について示したものである。
本発明におけるトレッドパターンは、図5(a)〜(c)に示すように、図中180度回転しても同一のパタンを形成する点対象パターンの他、図6(a)および(b)に示すように、図中のトレッドパターンの中心線を中心として左右対称となっている線対称パターンを含む。
また、図6(a)および(b)に示すように、複数のパターンデザイン列が同一の領域を共有するものであってもよい。
パターンデザイン列におけるピッチバリエーションは、ピッチ長が異なる複数種類のパターン要素がタイヤ周上に配置されているものの他、パターン要素を区切る横溝の傾斜角度が、パターン要素の種類によって異ったものが配置されているものであってもよい。この場合、パターン要素のピッチ長は、パターン要素の幅方向の中央線と、パターン要素を区切る両端の横溝の幅方向の中央線とが交わる2交点間の距離で定めることができる。
【0023】
このようなトレッドパターン付きタイヤの設計方法について、以下具体的に説明する。
まず、所定の接地条件におけるタイヤ幅方向の所定の位置における接地長さおよびこの位置における周長さを、mm単位の整数値で表して接地長値VL および周長値VTLとして設定する。
このような接地長さおよび周長さは、予め作製されたタイヤのトレッドパターンのないスムーズなタイヤの接地形状およびタイヤ形状を測定し、測定結果を参照し、あるいは、スムーズなタイヤに暫定的なトレッドパターンを設けてタイヤの接地形状およびタイヤ形状を測定し、測定結果を参照し、接地長さおよび周長さを既知とすることができる。
【0024】
次に、自然数倍することで周長値VTLとなり、かつ、非自然数倍することで接地長値VL となる基準長値VS を選択する。なお、ピッチ長をqA ,qB ,qC 、総ピッチ個数をNとする。
この基準長値VS について、以下、3種類のパターン要素について式に基づいてより具体的に説明すると、下記式(1),(2)を満たす基準長値VS を選択する。
TL = N1 ・ VS                (1)
L  ≠ N0 ・ VS                (2)
(N0 ,N1 は自然数)
この場合、基準長値VS は、必ずしも自然数である必要はない。0.5以上であって、0.5単位、すなわち、0.5,1.0,1.5・・・といった0.5刻みの値であるのが好ましい。より好ましくは、基準長値Vs を3以上とするのがよい。
【0025】
なお、基準長値VS の選択は、例えば、周長値VTLが基準長値VS の自然数倍となることから、整数である周長値VTLを因数分解して、基準長値VS の候補を選択するのがよい。例えば、周長値VTLが2205の場合、2205=3・3・5・7・7であるので、基準長値VS として、3,5,7,9,15,21あるいは4.5,7.5,10.5といった値を候補として複数選択するのがよい。一方、基準長値VS は、自然数倍しても接地長値VL に一致しない点から、接地長値VL が100の場合、基準長値VS の上記候補から5が除かれる。
したがって、基準長値VS として、3,7,9,15,21あるいは4.5,7.5,10.5といった値を複数選択する。
【0026】
次に、ピッチ長をqA ,qB ,qC が、下記式(3)〜(7)を満たすように、自然数N2 〜N7 を設定する。
A  = N2 ・VS                  (3)
B  = N3 ・VS                  (4)
C  = N4 ・VS                  (5)
5 ・qA   + N6 ・qB  + N7 ・qC  = VTL (6)
5  + N6  + N7  = N           (7)
(N2 〜N7 は自然数)
この場合ピッチ長qA ,qB ,qC は、ピッチバリエーションを有効に行うことができると共に、摩耗特性を低下させない点から、10(mm)〜100(mm)とするのが好ましい。また、この場合、基準長値VS がピッチ長をqA ,qB ,qC の最小のピッチ長の6分の1以上となるように設定するのが好ましい。
【0027】
このような基準長値VS を複数個選択した場合、例えば、選択した3,7,9,15,21あるいは4.5,7.5,10.5の値についてそれぞれ、上記式(3)〜(7)を満たす自然数N2 〜N7 の解を、コンピュータを用いて逐次計算することで複数組見出すことができる。
このような方法により、周長値VTLを2205、接地長値VL を100、総ピッチ個数を62個とした場合、例えば基準長値VS を7とすると、上述したように、パターン要素PA のピッチ長qA が21mm(ピッチ個数11個)、パターン要素PB のピッチ長qB が28mm(ピッチ個数12個)、パターン要素PC のピッチ長qC が42mm(ピッチ個数39個)といった組、あるいは、例えば基準長値Vs を4.5とすると、パターン要素PA のピッチ長qA が22.5mm(ピッチ個数20個)、パターン要素PB のピッチ長qB が36mm(ピッチ個数15個)、パターン要素PC のピッチ長qC が45mm(ピッチ個数27個)といった組を求めることができる。
【0028】
このようにして求められた複数の組の中から、1つの組を選択して、ピッチ長をqA ,qB ,qC を設定する。
図7には、求められた複数の組の一例が示されている。
周長さTL=2205(mm)、接地長L=100(mm)、総ピッチ個数N=62個とした場合の例である。図7に示す複数の解の組の中から1組選択する場合、3つのピッチ長qA ,qB ,qC のうち、最大ピッチ長と最小ピッチ長の比率が比較的小さいものを選択するのが好ましい。最大ピッチ長と最小ピッチ長の比率が大きいと、トレッドの部分的な摩耗が発生し易くなるからである。図7では、3つのピッチ長qA ,qB ,qC の最大ピッチ長と最小ピッチ長の比率が最も小さい基準長値VS が7の時の※の解を選択するのが好ましい。この場合のピッチ長qA ,qB ,qC は、21(mm),28(mm),42(mm)である。
【0029】
このようにして設定されたピッチ長qA ,qB ,qC と、ピッチ個数に対応する自然数N5 ,N6 ,N7 を用いて、トレッドパターン付きタイヤの設計を行う。
その際、従来から行われている周波数分散方法を用いて、ピッチ長qA ,qB ,qC のパターンデザイン列のピッチ配列を行うとよい。
したがって、各パターン要素の開始端から接地長さ分、周方向に沿って離れた位置が、この位置の属するパターン要素の開始端および終端に位置しないよう設定されるので、タイヤの路面と接する両側の接地端で同時にパターン要素が切り替わることがない。したがって、タイヤが転動して路面と接地するトレッドパターンの領域が絶えず変わっても、接地端の両端にパターン要素の境界が同時に位置することがないので、路面と接地するトレッドパターンの実面積の変動は小さくなる。したがって、実面積の変動によって発生するパターンノイズを低減することができる。
また、ピッチ長qA ,qB ,qC のパターンデザイン列のピッチ配列を周波数分散方法を用いて最適化することもできるので、パターンノイズを一層低減することができる。
こうして設計されたトレッドパターンを用いてトレッドパターン付きタイヤを作製することができる。
【0030】
なお、上記説明では、3種類のパターン要素のピッチ長を設定する場合を例として説明したが、本発明では、パターン要素の種類の数は、3種類に限定されず、2種類以上であればよい。
【0031】
【実施例】
本発明のトレッドパターン付きタイヤを設計して作製し、パターンノイズの評価を行った。
タイヤサイズは、乗用車用タイヤ205/65R15で、周長さ2026mm、接地長さ155mmである。
トレッドパターンは、矩形状のブロックパターンとし、3種類のパターン要素で構成した。また、3種類のパターン要素の総ピッチ個数は72個とし、ピッチ長範囲を10〜100の範囲として、上記式(1)〜(7)を満たす解を求めた。
基準長値Vs の候補として、3,4.5,6,9を選択し、複数の解を求めた。その中から、基準長値Vs が4.5の時の解、ピッチ長qA =22.5mm(ピッチ個数28個)、ピッチ長qB =27mm(ピッチ個数20個)およびピッチ長qC =36mm(ピッチ個数24個)を採用し、トレッドパタンー付きタイヤを作製した(実施例)。
一方、矩形状のブロックパターンを5種類のパターン要素で構成し、最小ピッチ長を100とした時のピッチ長の比が100:114:128:139:156となるパターン要素を持つトレッドパターン付きタイヤを作製した(比較例)。
【0032】
なお、実施例におけるピッチ配列は、ピッチ長qA =22.5mm、ピッチ長qB =27mmおよびピッチ長qC =36mmの各パターン要素をX、YおよびZとして、「XXXXXXXXXYYYZZZZZZZZYYYYXXXXXXXXXXYYYYYZZZZZZYYYXXXXXXXXXYYZZZZZZZZZZYYY」とした。
一方、比較例におけるピッチ配列は、ピッチ長の比100:114:128:139:156のそれぞれのパターン要素をA,B,C,D,Eとして、「EEEEDDCCCCBBAABBCCDDDDEEDDCCCCBBAAAAAABBBBBBCCCCDDEEDDCCBBAAAABBCCDDDDEE」とした。
【0033】
作製したタイヤを総排気量3リッターの後輪駆動式のセダン型乗用車に装着し、速度100km/時の定常走行から、シフトレバーをニュートラルにし、エンジンを切って、速度が0になるまで惰性直進走行を行い、その時の車室内騒音の評価を行った。評価は、3人の熟練ドライバによる官能評価である。
【0034】
官能評価結果によると、ドライバ全員、騒音レベルの点で、実施例と比較例とは差はないが、実施例は、比較例に比べて速度に対する騒音の変動が明らか小さいという評価であった。
このことから、本発明では、ピッチ長の種類を少なくしても騒音の変動を小さく抑えることができることがわかった。
また、一般に、ピッチ長の種類を増やす程、パターンノイズを低減させることができるので、5種類のピッチ長を用いた従来例の騒音レベルと、3種類のピッチ長を用いた実施例の騒音レベルが同等である上記評価結果から、ピッチ長の種類の数を同一にした場合、本発明では、騒音レベルを従来に比べて低下させることができる他、騒音の変動を小さくすることもできるといえる。
また、ピッチ長の種類を少なくすることで、タイヤ成形用金型を作製する際の作製コストを抑えることができるといったメリットもある。
【0035】
以上、本発明のトレッドパターン付きタイヤの設計方法およびトレッドパターン付きタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0036】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明は、自然数倍することで周長値となり、かつ、非自然数倍することで接地長値となる基準長値に対して、複数の種類のパターン要素のピッチ長が、mm単位等の所定の単位で表した場合、いずれも基準長値の自然数倍となっているので、各パターン要素の開始端から接地長さ分、周方向に沿って離れた位置が、この位置の属するパターン要素の開始端および終端に位置しないよう設定される。したがって、タイヤが転動して路面と接地するトレッドパターンの領域が絶えず変わっても、タイヤの路面と接する両側の接地端で同時にパターン要素が切り替わることがないので、路面と接地するトレッドパターンの実面積の変動は少ない。したがって、トレッドパターンが路面と接触する実面積の変動を小さくすることができ、パターンノイズを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトレッドパターン付きタイヤの一例の概略斜視図である。
【図2】(a)は、本発明のトレッドパターン付きタイヤのトレッドパターンの一例を示した平面図であり、(b)および(c)は、パターンデザイン列、パターン要素およびこの要素のピッチ長を説明した説明図である。
【図3】(a)および(b)は、本発明のパターン要素の配列を説明する図である。
【図4】本発明における基準長値とピッチ長の関係を説明する図である。
【図5】(a)〜(c)は、パターン要素およびピッチ長の例を説明する図である。
【図6】(a)および(b)は、本発明におけるパターン要素およびピッチ長の他の例を説明する図である。
【図7】本発明のトレッドパターン付きタイヤの設計方法で得られるピッチ長の組の一例を表で示した図である。
【符号の説明】
1 トレッドパターン付きタイヤ
2 トレッド部
10 トレッドパターン
12 輪郭形状

Claims (5)

  1. タイヤ幅方向の少なくとも一部分のタイヤトレッド部に、タイヤ周方向の全周に沿って複数の種類のパターン要素が隣接して配置されてパターンデザイン列が形成されたトレッドパターン付きタイヤの設計方法であって、
    所定の接地条件下の、タイヤ幅方向の所定の位置における接地長さおよびこの位置における周長さを、所定の単位の整数値で表して接地長値および周長値とし、
    自然数倍することで前記周長値となり、かつ、非自然数倍することで前記接地長値となる基準長値を選択し、選択された基準長値を自然数倍して得られる複数の算出値のそれぞれを、さらに自然数倍して累積加算した値が前記周長値となるように、各自然数を設定し、
    設定された自然数を用いて得られる前記複数の算出値を、前記所定の単位で表した前記複数の種類のパターン要素のピッチ長として設定することを特徴とするトレッドパターン付きタイヤの設計方法。
  2. 前記接地長値および前記周長値をmm単位の整数値で表した場合、前記基準長値は、0.5以上である請求項1に記載のトレッドパターン付きタイヤの設計方法。
  3. 前記複数の種類のパターン要素のピッチ長は、10mm以上100mm以下である請求項1または2に記載のトレッドパターン付きタイヤの設計方法。
  4. 前記接地長値を±3%変化させた範囲に含まれるいずれの整数値も、前記基準長値の非自然数倍となっている請求項1〜3のいずれか1項に記載のトレッドパターン付きタイヤの設計方法。
  5. タイヤ幅方向の少なくとも一部分のタイヤトレッド部に、タイヤ周方向の全周に沿って複数の種類のパターン要素が隣接して配置されてパターンデザイン列が形成されたトレッドパターン付きタイヤであって、
    所定の接地条件におけるタイヤ幅方向の所定の位置における接地長さおよびこの位置における周長さを、所定の単位の整数値で表して接地長値および周長値とした場合、
    自然数倍することで前記周長値となり、かつ、非自然数倍することで前記接地長値となる所定の基準長値に対して、前記複数の種類のパターン要素のピッチ長が、前記所定の単位で表した場合、いずれも前記基準長値の自然数倍となっていることを特徴とするトレッドパターン付きタイヤ。
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