JP2010286632A - フォトマスクブランクスの洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガラス基板の一方の面にCrを主成分とする導電膜が形成された反射型マスクブランクスの洗浄方法であって、前記導電膜の膜厚をL(nm)とするとき、エッチング量が10nm以上、L−20nm以下となるように、硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液を用いて該導電膜をエッチング処理することを特徴とする反射型マスクブランクスの洗浄方法。
【選択図】なし
Description
より具体的には、ガラス基板の成膜面上に反射層および吸収層がこの順に形成され、該成膜面に対する裏面にCrを主成分とする導電膜が形成された反射型マスクブランクスの洗浄方法に関する。
ガラス基板のチャック力を高める目的で形成される導電膜としては、導電膜のシート抵抗を低くすることができる、安価である、基板との密着性に優れる、マスク材料として広く使用されているため成膜に関する知見がかなり蓄積されている等の理由からCrを主成分とする膜が好ましいと考えられている(特許文献1参照)。
上述したように、反射型マスクブランクスの製造時や、製造された反射型マスクブランクスのマスクパターニングプロセス時、あるいはパターニング後のマスクの露光時には、静電チャックを用いてガラス基板を吸着保持するが、静電チャックとガラス基板の裏面に形成された導電膜との間には強いチャック力が加わることとなる。この際、静電チャックと導電膜との界面に異物が存在していると、強いチャック力が加わる結果、界面に存在していた異物が導電膜の表面に固着する場合がある。このような導電膜の表面に固着した異物は、洗浄液としてアルカリ水溶液を用いた従来の洗浄方法では除去できないことを本願発明者らは見出した。
前記導電膜の膜厚をL(nm)とするとき、エッチング量が10nm以上、L−20nm以下となるように、硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液を用いて該導電膜をエッチング処理することを特徴とする反射型マスクブランクスの洗浄方法(以下、本明細書において、「本発明のマスクブランクスの洗浄方法」という。)を提供する。
図1は、反射型マスクブランクスの一般的な構成を示した模式図である。図1に示すマスクブランクス10において、基体をなすガラス基板11の成膜面上には、多層反射膜12および吸収層13がこの順に形成されている。一方、ガラス基板11の裏面には導電膜14が形成されている。
以下、図1に示すマスクブランクス10の各構成要素について説明する。
また、ガラス基板11は、マスクブランクスやパターン形成後のフォトマスクの洗浄に通常用いられるアルカリ性の洗浄液への耐性に優れたものが好ましい。
上記を満たすガラス基板11としては、低熱膨張係数を有するガラス基板、例えばSiO2−TiO2系ガラス基板を用いることができる。但し、これに限定されず、β石英固溶体を析出した結晶化ガラス基板や石英ガラス基板も用いることもできる。
また、ガラス基板11は、平滑性および平坦度に優れることが好ましい。一例を挙げると、EUVリソグラフィ用の反射型マスクブランクスの基体として用いるガラス基板の場合、その成膜面が、Rmsが0.15nm以下の平滑な表面と100nm以下の平坦度を有していることがパターン形成後のフォトマスクにおいて高反射率および転写精度が得られるために好ましい。
ガラス基板11の大きさや厚みなどはマスクの設計値等により適宜決定されるものであるが、一例を挙げると外形6インチ(152.4mm)角で、厚さ0.25インチ(6.3mm)である。
このような高EUV光線反射率を示す多層反射膜12としては、Si膜とMo膜とを交互に積層させたSi/Mo多層反射膜、BeとMo膜とを交互に積層させたBe/Mo多層反射膜、Si化合物とMo化合物層とを交互に積層させたSi化合物/Mo化合物多層反射膜、Si膜、Mo膜およびRu膜をこの順番に積層させたSi/Mo/Ru多層反射膜、Si膜、Ru膜、Mo膜およびRu膜をこの順番に積層させたSi/Ru/Mo/Ru多層反射膜が挙げられる。
本発明のマスクブランクスの洗浄方法では、硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液を用いてCrを主成分とする導電膜のエッチング処理を行うことから、多層反射膜12の構成材料はCrを含まないことが好ましい。
本発明のマスクブランクスの洗浄方法では、硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液を用いてCrを主成分とする導電膜のエッチング処理を行うことから、吸収層13の構成材料はCrを含まないことが好ましい。
例えば、多層反射膜表面の酸化を防止するためのキャップ層が多層反射膜上に形成される場合もある。また、エッチング処理の際に多層反射膜がダメージを受けるのを防止するため、多層反射膜上にバッファ層が形成される場合もある。また、マスクパターンの検査時のコントラストを高めるために、マスクパターンの検査に用いる検査光に対する反射率が低い低反射層が吸収層上に形成される場合もある。
本発明のマスクブランクスの洗浄方法では、硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液を用いてCrを主成分とする導電膜のエッチング処理を行うことから、これらの機能膜の構成材料はCrを含まないことが好ましい。
なお、多層反射膜、吸収層および各種機能膜は、スパッタリング法等の各種成膜法により、ガラス基板の成膜面上に形成することができる。
上記では、マスクブランクス10を静電チャックで吸着保持する際と記載したが、ガラス基板11の成膜面上に多層反射膜12および吸収層13を形成して、マスクブランクス10を作成する際にも、基体であるガラス基板11を静電チャックで吸着保持する。したがって、多層反射膜12および吸収層13を形成する前のガラス基板11の段階から、該ガラス基板11の裏面には導電膜14が形成されている。
本明細書において、Crを主成分とする導電膜と言った場合、当該膜材料中Crを55at%以上、好ましくは65at%以上、より好ましくは70at%以上含有する導電膜を意味する。
導電膜14には、その特性を損なわない限り、Cr以外の材料を含んでもよい。導電膜14に含んでもよいCr以外の材料の具体例としては、B、N、Si等が挙げられる。
一方、導電膜表面にμmオーダーのサイズの異物が固着していると、マスクブランクスの外観の悪化や、パターニング後のマスクを静電チャックで吸着保持して露光に供する際に、露光面に微細な変形部位が生じて転写不良等の問題を生じるおそれがあることから、本発明のマスクブランクスの洗浄方法を用いて除去する必要がある。
また、μmオーダーのサイズの異物ではないが、導電膜表面に固着した大きさ200nm以上の異物の数は100個未満に抑えることが好ましい。
ここで、重要な点として、本発明のマスクブランクスの洗浄方法は、いわゆるリフトオフ法の概念にしたがって、導電膜表面に固着した異物を除去するものである。すなわち、Crを主成分とする導電膜に対してエッチング処理を施すことで、該導電膜表面に対する異物の固着力を低下させることによって、該導電膜表面から異物を除去するものである。
したがって、リフトオフ法による異物除去について一般的に認識されるように、エッチング処理のみによって、導電膜表面に固着した異物が除去されることは必ずしも要求されず、エッチング処理により異物の固着力が低下した導電膜表面をスクラブ洗浄することによって、該導電膜表面から異物を除去するものであってもよい。
なお、導電膜がCr以外の材料を含有する場合であっても、Cr以外の材料が段落[0027]に例示されたものである限り、硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液によるエッチング処理が阻害されることはない。
エッチング処理に用いる硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液の濃度の好適範囲については後述する。
(1)リフトオフ法の概念にしたがって導電膜表面に固着した異物を除去するのに十分なエッチング量である。
(2)エッチング処理後の導電膜が、マスクブランクスの導電膜として機能するのに十分な膜厚を有する。
エッチング量が10nm以上であれば、リフトオフ法の概念にしたがって導電膜表面に固着した異物を除去できる程度まで、導電膜表面に対する異物の固着力を低下させることができる。
本発明のマスクブランクスの洗浄方法における導電膜のエッチング量は、20nm以上であることが好ましく、25nm以上であることがより好ましく、30nm以上であることがさらに好ましい。
但し、エッチング量が大きすぎると、導電膜の平坦性が損なわれるおそれがあることから、エッチング量は、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、40nm以下であることがさらに好ましい。
エッチング処理後の導電膜の膜厚が20nm未満だと、導電膜の膜厚が小さすぎるため、マスクブランクスを静電チャックにより吸着保持した際にチャック力が不足するおそれがある。また、マスクブランクスを静電チャックにより吸着保持した際に、高電圧の引加によりガラス基板が絶縁破壊するおそれがある。
本発明のマスクブランクスの洗浄方法における導電膜のエッチング量は、L−25nm以上であることが好ましく、L−30nm以上であることがより好ましい。
別の言い方をすると、エッチング処理後の導電膜の膜厚が少なくとも25nmとなるようにエッチング処理を行うことが好ましく、少なくとも30nmとなるようにエッチング処理を行うことがより好ましい。
なお、上記の硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液の濃度は、エッチング処理時の実際の硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液の濃度を意図している。例えば、後述する枝葉式スピン洗浄装置(図2に記載)を用いた洗浄方法の場合、導電膜上に供給され、純水を用いて希釈された状態での硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液の濃度を意図している。
図2は、枝葉式スピン洗浄装置の一構成例を示した模式図である。但し、本発明のマスクブランクスの洗浄方法に用いる枝葉式スピン洗浄装置はこれに限定されない。
図2に示す枝葉式スピン洗浄装置20を用いてエッチング処理を行う場合、エッチング処理を施す面(すなわち、導電膜14表面)を上向きにして、マスクブランクス10を洗浄装置20の基板設置部21に設置する。なお、理解を容易するため、図1に示すマスクブランクス10のうち、基板11、多層反射膜12および吸収層13は区別することなしに、1つの構成要素として示している。
次に、自転機構24によりマスクブランクス10を自転させた状態で、エッチング処理液吐出口23よりエッチング処理液(硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液)を供給し、純水吐出口22より純水を供給し、導電膜14表面でのエッチング処理液の濃度が所望の濃度となるようにエッチング処理液を希釈して、導電膜14のエッチング処理を行う。
導電膜14のエッチング処理後、純水吐出口22より純水を供給してエッチング処理液を置換することが好ましく、純水を供給してエッチング処理液を置換した後、スピン乾燥を行うことがより好ましい。
なお、マスクブランクス10の両面を洗浄する場合、導電膜14をエッチング処理してから、導電膜14に対して裏面側に形成されたマスクブランクスの構成要素である吸収層14表面(吸収層上に低反射層が形成されている場合は低反射層表面)の洗浄を行うことが好ましい。
本実施例では、図2に示す枝葉式スピン洗浄装置20を用いて、図1に示す構成のマスクブランクス10の導電膜14のエッチング処理、および、吸収層13の表面洗浄を実施した。なお、マスクブランクス10の構成は以下の通り。
ガラス基板11:SiO2−TiO2系のガラス基板(外形6インチ(152.4mm)角、厚さ6.3mm)
多層反射膜12:Si/Mo多層反射膜(膜厚272nm((4.5+2.3)×40)
キャップ層(図示せず):Si層(膜厚11.0nm)
吸収層13:TaN層(膜厚70nm)
導電膜14:CrN膜(Cr85at%)(膜厚100nm)
マスクブランクス10を作成する際には、基体であるガラス基板11を静電チャックで吸着保持した状態で、該ガラス基板11の成膜面上に、多層反射膜12、キャップ層(図示せず)および吸収層13を形成したので、導電膜14の表面には異物が固着しているものと考えられる。
導電膜14表面のエッチング処理後、純水吐出口22より純水を供給してエッチング処理液を置換した後、回転数1000rpmでスピン乾燥させた。
その後、反転機構(図示していない)を用いてマスクブランクス10を上下反転させて、吸収層13表面をスピン洗浄した。スピン洗浄の条件は以下の通り。
回転数:100rpm
洗浄液:アンモニア水(0.1wt%)+過酸化水素水の混合液(0.1wt%)
洗浄液吐出量:1.0L/min
純水吐出量:1.0L/min
吸収層13表面洗浄後、純水吐出口22より純水を供給して洗浄液を置換した後、回転数1000rpmでスピン乾燥させた。なお、この手順を3枚のマスクブランクスに対して実施した。
エッチング処理前後の導電膜の膜厚を、分光膜厚計(大塚電子製FE−3000)を用いて測定し、両者の差からエッチング量が35nmであったことを確認した。
また、スピン乾燥後のマスクブランクスの導電膜表面を、欠陥検査機(レーザーテック製M1350A)にて検査した結果、200nm以上の欠陥数、すなわち、導電膜表面に固着した大きさ200nm以上の異物の数は、3枚平均で34個であった。
導電膜14表面のエッチング処理の代わりに、以下の条件で導電膜14表面のスピン洗浄を行ったことを除いて、実施例1と同様の手順を実施した。
回転数:100rpm
洗浄液:アンモニア水(0.1wt%)+過酸化水素水の混合液(0.1wt%)
洗浄液吐出量:1.0L/min
純水吐出量:1.0L/min
また、スピン乾燥後のマスクブランクスの導電膜表面を、欠陥検査機(レーザーテック製M1350A)にて検査した結果、200nm以上の欠陥数、すなわち、導電膜表面に固着した大きさ200nm以上の異物の数は3枚平均で411個であった。
11:ガラス基板
12:多層反射膜
13:吸収層
14:導電膜
20:枝葉式スピン洗浄装置
21:基板設置部
22:純水吐出口
23:エッチング処理液吐出口
24:自転機構
Claims (7)
- ガラス基板の一方の面にCrを主成分とする導電膜が形成された反射型マスクブランクスの洗浄方法であって、
前記導電膜の膜厚をL(nm)とするとき、エッチング量が10nm以上、L−20nm以下となるように、硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液を用いて該導電膜をエッチング処理することを特徴とする反射型マスクブランクスの洗浄方法。 - 濃度0.5〜21wt%の硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液を用いて前記導電膜をエッチング処理する請求項1に記載の反射型マスクブランクスの洗浄方法。
- エッチング処理後の導電膜表面に対してスクラブ洗浄を施す請求項1または2に記載の反射型マスクブランクスの洗浄方法。
- 前記硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液を用いた導電膜のエッチング処理による、前記ガラス基板、および、前記導電膜に対して裏面側に形成された反射型マスクブランクスの構成要素のエッチング量が2nm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の反射型マスクブランクスの洗浄方法。
- 前記硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液を用いた導電膜のエッチング処理を実施した後、前記導電膜に対して裏面側に形成された反射型マスクブランクスの構成要素を、アンモニアおよび過酸化水素を含む洗浄液を用いて洗浄する請求項1〜4のいずれかに記載の反射型マスクブランクスの洗浄方法。
- 反射型マスクブランクスの製造工程で実施する洗浄処理に請求項1〜5のいずれかに記載の洗浄方法を用いる反射型マスクブランクスの製造方法。
- 反射型マスクの製造工程で実施する洗浄処理に請求項1〜5のいずれかに記載の洗浄方法を用いる反射型マスクの製造方法。
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