以下に、本発明に係る回転レーザ出射装置の発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係る一実施例としての回転レーザ出射装置10の概略構成を示す説明図である。図2は、回転体12の収容部42に収容されたレーザ出射部41の構成を模式的に示す説明図であり、図3は、図2に示すレーザ出射部41を回転軸Ra方向で上方からみた説明図である。図4は、レーザ出射部41のビームエキスパンダ光学系53の作用を説明するための説明図である。以下の説明および各図面では、理解容易のために、回転軸RaをZ軸方向とし、そこに直交する平面をX−Y平面とする。
回転レーザ出射装置10は、図1に示すように、基台11に対して回転体12が回転可能に支持されて構成されている。この回転レーザ出射装置10は、測量の際に既知点に設置され、測定用レーザ光線Lmを一定の速度で回転照射するものである。
基台11は、回転レーザ出射装置10を既知点に設置する際の基準となる箇所であり、ベース部13の上方にケース14が設けられて構成されている。ベース部13は、図示は略すが回転レーザ出射装置10の設置のための脚部が設けられる箇所であり、全体に板状を呈し、中央に位置決めのための照射孔15が設けられている。このベース部13は、照射孔15を互いに等間隔で取り巻く3箇所に設けられたネジ16(図1では2つのみ図示する。)によりケース14を支持している。この3つのネジ16は、1つがケース14に固定され、かつ残りの2つが高さおよび傾き調整のためにケース14への螺合量が可変とされている。
このケース14は、各ネジ16が螺合される円板状を呈する底壁部17と、この底壁部17とともに外形を形作る円筒状を呈する外壁部18と、この外壁部18の内方で底壁部17上に設けられた円筒状を呈する内筒部19とを有する。
ケース14には、制御部としての機能を有するメイン基板20が収容されている。このメイン基板20は、電動される各部に電気的に接続されており、その制御部が各部の動作を統括的に制御する。
ケース14には、底壁部17に関連して位置決め照射機構21とレベル調整機構22とが設けられている。この位置決め照射機構21とレベル調整機構22とは、上述した制御部(20)の制御下で、図示を略す操作部に為された操作に応じて動作する。
位置決め照射機構21は、底壁部17の中央に設けられ、照射光源23からレーザ光を出射し底壁部17に設けられた貫通孔24およびコリメータレンズ25を経て、ベース部13の照射孔15を通過することにより、回転レーザ出射装置10の設置面に設置位置の基準となる照射スポット(図示せず)を形成する。この位置決め照射機構21の照射光軸は、ケース14すなわち基台11の中心軸と一致され、後述する回転軸Raに一致されている。このため、回転レーザ出射装置10では、位置決め照射機構21で形成する照射スポット(図示せず)を用いることにより、既知点に設置することが容易なものとされている。
レベル調整機構22は、ベース部13に対する底壁部17すなわちケース14の傾斜を調整するものであり、螺合量が可変とされた2つのネジ16(一方は図示せず)に対応して設けられている。レベル調整機構22は、ギア26を介してレベル調整モータ27がネジ16に螺合されて構成されており、レベル調整モータ27の駆動によりネジ16を回転させることで当該ネジ16の底壁部17への螺合量を調節することができ、2つのネジ16(一方は図示せず)の螺合量を適宜調節することによりベース部13に対する底壁部17すなわちケース14の傾斜を調整することができる。
また、ケース14には、外壁部18に関連してパネルディスプレイ28とバッテリ格納部29とが設けられている。パネルディスプレイ28は、回転レーザ出射装置10における諸情報を表示するものであり、上述した制御部の制御下で動作される。バッテリ格納部29は、回転レーザ出射装置10における電力供給のためのバッテリ30を格納する空間であり、開閉自在とされた蓋板31により遮蔽される。
ケース14には、内筒部19に関連して一対のチルトセンサ32が設けられている。この両チルトセンサ32は、水平面に対する内筒部19の傾斜を検出するものであり、一方がX軸回りの傾きを、他方がY軸回りの傾きを、検出可能とされている。
この内筒部19は、前述したように全体に筒状を呈しており、その上部に軸線(後述する回転軸Raに一致する)に直交する基準平面Bp(図2等参照)を規定する上壁部分33と、その中央から軸線(回転軸Ra)に沿って延在する筒状の支持軸部分34(請求項の支持軸部に相当する)とを有する。内筒部19では、一対のチルトセンサ32により傾きが検出されない状態とされると、その上壁部分33が規定する基準平面Bpが水平面と平行となるように設定されている。
この基準平面Bpには、環状ミラー35が設けられている。この環状ミラー35は、支持軸部分34(後述する回転軸Ra)を一定の間隔を置いて取り囲む環状(図3参照)を呈し、基準平面Bpに平行な環状の反射面36(基準反射面であり、以下環状反射面36という)を形成している。この環状ミラー35は、後述する回転体12が回転軸Ra回りに回転された際、その収容部42に収容されたレーザ出射部41の光軸上反射部52がX−Y平面上に描く環状の軌道に合致するように、基準平面Bp上に基準反射面である環状反射面36を形成している。よって、環状ミラー35は、基準反射面を構成する基準反射部として機能する。このため、回転体12が回転軸Ra回りに回転された際、回転軸Raに沿う方向で見てレーザ出射部41の光軸上反射部52の下方には、回転位置に拘らず常に環状反射面36が位置されていることとなる。
この支持軸部分34は、上端が設置部37とされており、実施例1では、無線ユニット38が設置され、さらにその無線ユニット38の上端にGPS受信端末(図示せず)の取り付けのためのアダプタ39が設けられている。
この内筒部19に回転体12が回転可能に支持されている。回転体12は、内筒部19に支持される基部40と、レーザ出射部41を収容する収容部42と、を有する。
基部40は、内筒部19の上部の形状に適合する筒状を呈し、ベアリング部材43を介して内筒部19の軸線回りに回転可能に当該内筒部19に支持されている。このため、内筒部19の軸線が基部40すなわち回転体12の回転軸Raとなる。
この基部40と内筒部19との間には、ダイレクトドライブモータ(以下、DDモータ44という)と、エンコーダ45と、電力転送機構46と、データ転送機構47とが設けられている。このDDモータ44が駆動されることにより、基部40が内筒部19に対して回転される。エンコーダ45は、この相対的な回転速度や回転量を検出するために設けられている。このように回転している場合であっても、基部40と内筒部19との間では、電力転送機構46により電力の供給が為され、かつデータ転送機構47によりデータの遣り取りが可能とされている。この内筒部19に対して回転される基部40の上端に収容部42が固定されている。
収容部42は、中空の円柱形状を呈し、その上壁部42aおよび下壁部42bには中央部分に軸線に一致する貫通孔42cが設けられている。この収容部42では、基部40が内筒部19に回転可能に支持されている状態において、貫通孔42cに内筒部19の支持軸部分34が挿通され、この支持軸部分34の上端(設置部37)が上壁部42aから突出されている。このため、収容部42が基部40とともに内筒部19に対して回転されても、設置部37は、収容部42すなわち回転体12とともに回転されることはなく、安定して他の測定装置(この例では無線ユニット38)を収容部42すなわちそこに収容されたレーザ出射部41の上方で支持することができる。また、収容部42の下壁部42bには、レーザ出射部41の後述する光軸上反射部52の下方位置に反射用貫通孔48が設けられている。この反射用貫通孔48は、後述するように、レーザ出射部41の出射光軸Al上のレーザ光が、光軸上反射部52により反射され、環状ミラー35の環状反射面36により反射され、再び光軸上反射部52により反射されて出射光軸Al上へと戻る光路(図6の光路P2および光路P3参照)の形成のための貫通孔である。
そのレーザ出射部41は、収容部42の側壁面42dに設けられた照射開口49からレーザ光を照射可能とされている。このため、回転レーザ出射装置10では、回転体12が内筒部19に対して回転されることにより、回転軸Ra回りに全周に渡ってレーザ光(測定用レーザ光線Lm)を照射できることとなる。
このレーザ出射部41は、図2および図3に示すように、半導体レーザーダイオード(以下、LD50という)と、コリメータレンズ51と、光軸上反射部52と、ビームエキスパンダ光学系53と、ビーム成形光学系54とを有する。このレーザ出射部41の出射光軸Alは、回転体12の軸線が回転軸Raと一致された状態において、内筒部19の上壁部分33により規定された基準平面Bpと平行となるように設定されている。
LD50は、レーザ出射部41の駆動制御部としての機能を有する駆動制御基板55(図1参照)に接続されており、この駆動制御部の制御により駆動されて出射光軸Al上にレーザ光を出射する(レーザ光源)。この出射光軸Al上に、コリメータレンズ51、光軸上反射部52、ビームエキスパンダ光学系53、ビーム成形光学系54が配置されている。
このLD50から出射されたレーザ光は、コリメータレンズ51に至る。コリメータレンズ51は、LD50からのレーザ光を平行光束とするものである。コリメータレンズ51を経て平行光束とされたレーザ光は、光軸上反射部52に至る。
光軸上反射部52は、LD50に臨む第1反射面56と、ビームエキスパンダ光学系53に臨む第2反射面57とを有する。第1反射面56は、コリメータレンズ51を経て平行光束とされたレーザ光を、収容部42の反射用貫通孔48(図1参照)を通過させつつ内筒部19の基準平面Bpに設けられた環状ミラー35の環状反射面36へ向けて反射するものである。また、第2反射面57は、第1反射面56により反射された後に環状ミラー35の環状反射面36により反射され収容部42の反射用貫通孔48(図1参照)を通過したレーザ光を、出射光軸Al上でビームエキスパンダ光学系53へと向かうように、当該ビームエキスパンダ光学系53へ向けて反射するものである。ここで、実施例1では、出射光軸Alと基準平面Bpとが平行とされており、環状ミラー35の環状反射面36が基準平面Bpに平行とされていることから、第1反射面56と第2反射面57とは、出射光軸Alに対する傾斜角度が絶対値で等しくされている。
この光軸上反射部52は、実施例1では、断面形状が二等辺三角形の三角柱形状の部材で構成され、断面の二等辺三角形で見た頂角が基準平面Bpに対向しつつ基準平面Bpに平行でかつ出射光軸Alに直交する方向に延在するように、配置されている。このため、第1反射面56と第2反射面57とは、断面の二等辺三角形で見て等しい2つの辺となる面により形成されている。
この第2反射面57により反射されたレーザ光は、上述したように、出射光軸Al上でビームエキスパンダ光学系53へと向かう。このビームエキスパンダ光学系53は、2つのレンズ53a、53bにより構成されており、図4に示すように、平行光束が入射されると、そのビーム径を拡張した平行光束として出射する。また、ビームエキスパンダ光学系53は、実施例1では、レンズ53aの(レンズ53b側の)焦点距離faとレンズ53bの(レンズ53a側の)焦点距離fbとの比が1:2とされており、角倍率が1/2に設定されている。このため、ビームエキスパンダ光学系53では、光軸(出射光軸Alに一致されている)に対して角度2α(図4を正面視して反時計周りをプラス側とする)でレンズ53aに入射してきた光束が、光軸に対して角度−αでレンズ53bから出射される。このビームエキスパンダ光学系53における入射角度と出射角度との関係は、入射角度が小さい範囲でのみ成り立つものであるが、後述するように本願発明のレーザ出射部41においては入射角度が極めて小さい範囲で変動することから、第2反射面57により反射されてビームエキスパンダ光学系53に入射する総てのレーザ光に適合される。
ビームエキスパンダ光学系53を経たレーザ光は、ビーム成形光学系54に至る。このビーム成形光学系54は、入射されたレーザ光を3分割するとともに、分割した各レーザ光をファンビームに成形して出射するものである。このビーム成形光学系54は、図3に示すように、3分割のための3つのプリズムブロック58a、58b、58cと、ファンビームに成形するための3つのシリンドリカルレンズ59a、59b、59cとを有する。ビーム成形光学系54は、プリズムブロック58a、58b、58cが基準平面Bpと平行に並列されて接合され、かつ各プリズムブロック58a、58b、58cに各シリンドリカルレンズ59a、59b、59cが接合されて構成されている。
詳細には、ビーム成形光学系54では、プリズムブロック58bにより出射光軸Al上に位置された入射端面60が形成され、同じく出射光軸Al上に位置されたプリズムブロック58aにより第1出射端面61aが形成され、このプリズムブロック58aとプリズムブロック58bとの接合面によりビームスプリッタ62aが形成されている。また、出射光軸Al上の光束がビームスプリッタ62aにより反射される方向には、プリズムブロック58bとプリズムブロック58cとの接合面によりビームスプリッタ62bが形成され、このビームスプリッタ62bにより反射される方向にはプリズムブロック58bにより第2出射端面61bが形成されている。さらに、ビームスプリッタ62aにより反射された後ビームスプリッタ62bを透過した光束が進行する方向には、プリズムブロック58cによりプリズム反射面63が形成され、このプリズム反射面63により反射される方向にはプリズムブロック58cにより第3出射端面61cが形成されている。
この各出射端面61a、61b、61cに、シリンドリカルレンズ59(個別に示す場合には59a、59b、59c)が設けられている。この各シリンドリカルレンズ59は、出射端面61a、61b、61cから出射された平行光束を、回転軸Raから遠ざかるにともなって末広がりの扇状面形状を呈する光束いわゆるファンビームとするように設定されている。
このため、ビーム成形光学系54では、出射光軸Al上を通って入射端面60にレーザ光が入射すると、プリズムブロック58b内を進行してビームスプリッタ62aに至り、2分割される。このビームスプリッタ62aを透過した一方のレーザ光は、プリズムブロック58a内を進行して出射端面61aを経てシリンドリカルレンズ59aに至り、ビームスプリッタ62aにより反射された他方のレーザ光は、プリズムブロック58b内を進行してビームスプリッタ62bに至り、さらに2分割される。このビームスプリッタ62bにより反射された一方のレーザ光は、プリズムブロック58b内を進行して出射端面61bを経てシリンドリカルレンズ59bに至り、ビームスプリッタ62bを透過した他方のレーザ光は、プリズムブロック58c内を進行してプリズム反射面63に至り、そこで反射されて出射端面61cを経てシリンドリカルレンズ59cに至る。
このビーム成形光学系54では、シリンドリカルレンズ59aから出射されたファンビームが回転軸Raに沿う照射光線Saとされ、シリンドリカルレンズ59cから出射されたファンビームが回転軸Raに沿いつつ照射光線Saと所定の間隔(水平面で見て互いの出射方向が所定の角度関係)とされ、シリンドリカルレンズ59bから出射されたファンビームが照射光線Saと照射光線Scとの間で一方の上端と他方の下端とを架け渡すように斜めに延在する照射光線Sbとされる。この照射光線Sa、照射光線Sbおよび照射光線Scにより、回転照射される測定用レーザ光線Lmが形成されている。実施例1では、照射光線Saの進行方向を示す線(主光線:符号Cra参照)と、照射光線Sbの進行方向を示す線(主光線:符号Crb参照)と、照射光線Scの進行方向を示す線(主光線:符号Crc参照)と、が、回転軸Ra上の同一個所で交差するように、ビーム成形光学系54が設定されている。
このように、レーザ出射部41は、回転体12の収容部42の側壁面42dに設けられた照射開口49からレーザ光(測定用レーザ光線Lm)を照射することができるので、回転レーザ出射装置10では、回転体12を内筒部19に対して回転させつつレーザ出射部41からレーザ光(測定用レーザ光線Lm)を出射させることにより、回転軸Ra回りに全周に渡って基準平面Bpに沿って測定用レーザ光線Lmを照射できる。
次に、この回転レーザ出射装置10を用いた測量について図5を用いて説明する。図5は、回転レーザ出射装置10を用いた測量の概要を説明するための説明図であり、(a)は回転レーザ出射装置10と受光器65とが等しい高さ位置とされている場面を示し、(b)は(a)の状態における受光器65による受光の様子を示し、(c)は回転レーザ出射装置10に対して受光器65が高い高さ位置とされている場面を示し、(d)は(c)の状態における受光器65による受光の様子を示している。
測量の際、回転レーザ出射装置10が既知点に設置され、測量したい箇所に受光器65が設置される。この受光器65は、検出した受光信号を出力可能とされており、例えば、±10度の指向性を有する非球面レンズとSiフォトダイオードとで構成することができる。この測量では、受光器65から出力される受光信号の時間間隔を正確に測定することにより、回転レーザ出射装置10を基準とした測量箇所の位置を測量することができる。
例えば、図5(a)に示すように、高さ方向(Z軸方向)で見て、受光器65の受光部65aの中心位置が、回転レーザ出射装置10の出射位置(出射光軸Al)と完全に一致している場合、受光器65では、測定用レーザ光線Lmにおける高さ方向(Z軸方向)で見た中心位置Cを受光することになる。すると、受光器65からは、図5(b)に示すように、照射光線Sa、照射光線Sbおよび照射光線Scに応じた出力信号が等間隔で出力されることとなる。
他方、図5(c)に示すように、受光器65の受光部65aの中心位置が、回転レーザ出射装置10の出射位置(出射光軸Al)に対して、出射角度で見てθvだけ上方に位置している場合、受光器65では、高さ方向で見て測定用レーザ光線Lmにおける角度θvだけ上方位置C1を受光することになる。すると、受光器65からは、図5(d)に示すように、照射光線Sa、照射光線Sbおよび照射光線Scに応じた出力信号が、その上方位置C1における間隔に応じた時間差で出力されることとなる。
このことから、受光器65から出力される受光信号の時間間隔を正確に測定することにより、回転レーザ出射装置10の設置された既知点に対する受光器65の設置箇所での高低角を正確に算出することができるので、既知点と設置箇所との距離および方向性を求めることにより、測量箇所を正確に測量することができる。
ここで、このような構成の回転レーザ出射装置10では、回転体12を内筒部19に対して回転させると、回転体12の回転中心が回転軸Raに対してふらついてしまう、すなわち回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対してブレてしまう虞がある。これは、回転体12では、回転軸Raに対して偏った位置にレーザ出射部41が設けられていることから、回転に伴って重心移動が生じてしまうので、内筒部19による回転体12の支持剛性を高めても回転軸Ra(内筒部19)に対する回転体12の回転姿勢のブレを完全になくすことは困難であることによる。このようなブレが生じた際、測定用レーザ光線Lmの出射方向も一緒に傾斜してしまうと、上述したように測定用レーザ光線Lmにおける高さ位置の差異が測量に利用されていることから、正確な測量が行えなくなってしまう。
ところが、本発明に係る回転レーザ出射装置10では、このような回転軸Raに対する回転体12の回転姿勢のブレが生じた場合であっても、照射するレーザ光(測定用レーザ光線Lm)を常に基準平面Bpに平行なものとすることができる。以下では、これについて図6〜図9を用いて説明する。図6〜図8は、本発明に係る実施例1の回転レーザ出射装置10のレーザ出射部41の作用を説明するために模式的に示す説明図であり、図6は元の状態を示し、図7は出射光軸Alが角度θだけ傾いた状態を示し、図8は出射光軸Alが角度−θだけ傾いた状態を示している。図9は、出射光軸が角度θだけ傾いた状態を示す図2と同様の説明図である。なお、図6〜図8では、理解容易のために出射光軸Alの傾斜角度、光軸上反射部52の大きさ寸法等を強調して示しており、実際のレーザ出射部41に合致するものではない。また、図6〜図8では、理解容易のためにLD50から出射された出射光軸Al上のレーザ光が進行する様子を、その中心位置(LD50から出射されたレーザ光のうち出射光軸Al上を通った光束の進行方向)で見た各光路Pで示している。さらに、図7および図8では、角度θ(−θ)だけ傾いた出射光軸を符号Al´で示している。
レーザ出射部41では、上述したように構成されていることから、回転軸Raに対して回転体12の回転姿勢がブレていない場合(以下、元の状態とする)、図6に示すように、出射光軸Alが内筒部19の上壁部分33(図1参照)により規定される基準平面Bpと平行なものとなる。このとき、LD50から出射されたレーザ光は、出射光軸Al上で光軸上反射部52の第1反射面56へと向かう。これを光路P1とする。
この後、レーザ光は、その第1反射面56により反射されて環状ミラー35の環状反射面36へと向かう。これを光路P2とし、この光路P2と出射光軸Alとが為す角度をβ(俯角側であるので−β)とする。
この後、レーザ光は、環状反射面36により反射されて光軸上反射部52の第2反射面57へと向かう。これを光路P3とする。この元の状態では、基準平面Bpと出射光軸Alとが平行であることから、出射光軸Alと環状反射面36とも平行となっているので、光路P3と環状反射面36すなわち基準平面Bpとが為す角度はβとなる。
この後、レーザ光は、第2反射面57により反射されて出射光軸Al上に戻り、出射光軸Al上でビームエキスパンダ光学系53(図2および図3参照)へと向かう。これを光路P4とする。以下では、これらの光路P1〜P4を元の光路(回転体12の回転姿勢が回転軸Raに一致している状態における光路)という。
次に、回転体12の回転姿勢が、図7に示すように、元の状態におけるレーザ光の出射方向に対して上向き側に、回転軸Raに対して角度θで傾斜したものとする。回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対してブレた場合、内筒部19の上壁部分33により規定される基準平面Bpには特に変化が生じることはないが、回転体12に収容されたレーザ出射部41では、出射光軸Alが基準平面Bpに対して角度θだけ傾斜してしまう。以下では、この傾斜状態における実際の各光路をP1´〜P4´とし、元の光路をそのまま角度θだけ傾斜させて示した各仮想光路をP1´´〜P4´´として示す。実際の光路P1´は、元の光路P1に対して角度θだけ傾斜し、第1反射面56により反射された後の実際の光路P2´も元の光路P2に対して角度θだけ傾斜してしまう。なお、仮想光路P1´´、P2´´は、実際の光路P1´、P2´に対して傾斜していない。
ここで、環状反射面36は、元の状態と同様に基準平面Bpに平行であり、傾斜した出射光軸Al´とは角度θを為している。このため、環状反射面36により反射された後の実際の光路P3´は、元の光路P3に対して角度θだけ傾斜し、仮想光路P3´´に対しては角度2θだけ傾斜する。
ここで、図7(b)には、角度θだけ傾斜したレーザ出射部41の光軸上反射部52の第2反射面57の同一箇所に、仮想光路P3´´および実際の光路P3´を通った光束が向かうものと仮定した状態を示す。この仮想光路P3´´は、元の光路をそのまま角度θだけ傾斜させたものであるから、第2反射面57での反射後の仮想光路P4´´に対して角度βを為しており、この仮想光路P4´´は角度θだけ傾斜した出射光軸Al´に一致する。これに対して、仮想光路P3´´と第2反射面57の同一箇所に至る実際の光路P3´は、仮想光路P3´´に対して角度2θだけ傾斜していることから、反射後の実際の光路P4´も仮想光路P4´´に対して角度2θだけ傾斜することとなる。ここで、実際の光路P4´および仮想光路P4´´の角度関係は、第2反射面57における反射箇所に拘らず一定であることから、実際の光路P4´は、出射光軸Al´に対して角度2θの仰角となるように傾斜することとなる。
このため、回転体12の回転姿勢がレーザ光の出射方向を上向き側に変位させるように回転軸Raに対して角度θで傾斜した場合、レーザ出射部41では、LD50から出射されたレーザ光が、出射光軸Al´に対して仰角側に角度2θだけ傾斜した進行方向でビームエキスパンダ光学系53(図2および図3参照)へと入射することとなる。
ここで、レーザ出射部41では、そのビームエキスパンダ光学系53が角倍率1/2に設定され、上述したように光軸に対して角度2αの方向でレンズ53aに入射してきた光束が、光軸に対して角度−αの方向でレンズ53bから出射される(図4参照)。このため、出射光軸Al´に対して仰角側に角度2θだけ傾斜した進行方向のレーザ光がビームエキスパンダ光学系53に入射すると、当該ビームエキスパンダ光学系53(図2および図3参照)から出射光軸Al´に対して俯角側に角度θだけ傾斜した進行方向(すなわち角度−θ)で出射されることとなる。この出射光軸Al´は、基準平面Bpに対して仰角側に角度θだけ傾斜されていることから、ビームエキスパンダ光学系53(図2および図3参照)から出射されるレーザ光は、基準平面Bpと平行なものとされていることとなる。
また、図8に示すように、回転体12の回転姿勢が、レーザ光の出射方向に対して俯角側に、回転軸Raに対して角度θ(すなわち角度−θ)で傾斜したものとする。この場合であっても、元の光路に対して傾斜する方向が上下(回転軸Ra方向)に逆転するだけであり、実際の光路P1´は、元の光路P1に対して角度θだけ傾斜し、実際の光路P2´は、元の光路P2に対して角度θだけ傾斜し、実際の光路P3´は、元の光路P3に対して角度θだけ傾斜し、仮想光路P3´´に対しては角度2θだけ傾斜する。また、実際の光路P4´は、仮想光路P4´´に対して角度2θだけ傾斜することとなり、出射光軸Al´に対して角度2θの俯角となるように傾斜することとなる。
このため、回転体12の回転姿勢がレーザ光の出射方向に対して下向き側に回転軸Raに対して角度θで傾斜した場合、レーザ出射部41では、LD50から出射されたレーザ光が、出射光軸Al´に対して俯角側に角度2θだけ傾斜した進行方向でビームエキスパンダ光学系53(図2および図3参照)へと入射することとなり、当該ビームエキスパンダ光学系53から出射光軸Al´に対して仰角側に角度θだけ傾斜した進行方向で出射されることとなる。この出射光軸Al´は、基準平面Bpに対して俯角側に角度θだけ傾斜されていることから、ビームエキスパンダ光学系53(図2および図3参照)から出射されるレーザ光は、基準平面Bpと平行なものとされていることとなる。
よって、本発明に係る回転レーザ出射装置10では、図9に示すように、回転体12の回転姿勢に回転軸Raに対して角度θで傾斜した場合であっても、ビームエキスパンダ光学系53を経て出射されるレーザ光すなわち測定用レーザ光線Lmが、常に基準平面Bpと平行なものとされている。このことから、回転レーザ出射装置10では、出射光軸Al上に配置された、コリメータレンズ51、光軸上反射部52、ビームエキスパンダ光学系53およびビーム成形光学系54が、レーザ光源であるLD50から出射されたレーザ光を基準平面Bpに平行な出射光軸Al上で出射させる出射光学系として機能する。また、光軸上反射部52が反射光学部として機能し、平行光学部材としてのコリメータレンズ51とビームエキスパンダ光学系53とが打消光学部として機能する。
ここで、回転軸Raに対する回転体12の回転姿勢のブレは、回転体12の基部40を内筒部19がベアリング部材43を介して回転可能に支持する構成における遊びや各部剤の撓み変形等に起因するものであることから、回転軸Raに対する回転体12の回転姿勢の傾斜角度(θ)は極めて小さなものとなる。このため、その傾斜(θ)に起因して、ビームエキスパンダ光学系53へと入射する際のレーザ光の進行方向の出射光軸Al´に対する傾斜角度2θは極めて小さなものとなるので、ビームエキスパンダ光学系53における入射角度と出射角度との関係は、第2反射面57により反射されてビームエキスパンダ光学系53に入射する総てのレーザ光に適合されることとなる。
本発明に係る回転レーザ出射装置10では、以下の(1)〜(11)の効果を得ることができる。
(1)回転体12の回転姿勢に回転軸Raに対するブレが生じたか否かに拘らず、基準平面Bpと平行なレーザ光(測定用レーザ光線Lm)を回転軸Ra回りに360度切れ目なく出射することができ、軸ブレに起因する測定精度の低下を完全に防止することができる。換言すると、出射されるレーザ光(測定用レーザ光線Lm)の進行方向は、基準平面Bpにより設定することができることとなる。このため、回転レーザ出射装置10では、既知点に設置する際、一対のチルトセンサ32により傾きが検出されない状態となるようにレベル調整機構22を調整すると、内筒部19の上壁部分33が規定する基準平面Bpが水平面と平行となるので、回転軸Ra回りに360度切れ目なく出射するレーザ光(測定用レーザ光線Lm)を常に水平面と平行なものとすることができ、正確な測量を行うことができる。
(2)レーザ出射部41において、ビームエキスパンダ光学系53を経た後のレーザ光をビーム成形光学系54で3分割して成形することから、回転体12の回転姿勢に回転軸Raに対するブレが生じたか否かに拘らず、常に基準平面に平行な進行方向の3つのレーザ光(測定用レーザ光線Lm)を出射させることができる。
(3)光軸上反射部52と、基準平面Bpと平行とされた環状反射面36と、ビームエキスパンダ光学系53と、の協働により、出射するレーザ光の進行方向を光学的に基準平面Bpと平行なものとするものであることから、簡易な構成であるので、LD50から出射されたレーザ光を高い効率で利用することができる。このため、回転照射する測定用レーザ光線Lmの出力を高めることができるので、従来と同様の受光性能の受光器を用いた場合、測定可能な領域を広くすることができる。また、逆に従来よりも低い受光性能の受光器であっても従来と同様の領域を測定可能なものとすることができるので、使用する受光器の有効径を小さくすることができ、当該受光器の小型化が可能となる。
(4)レーザ出射部41が、回転軸Ra回りに回転される回転体12に収容されていることから、測定用レーザ光線Lmにおける回転照射方向(回転体12の回転方向で見た角度位置)による測定精度(高低角測定の精度)のバラツキを抑制することができる。これは以下のことによる。従来のように、基台上に設けられたレーザ出射部が、回転軸上に積み重ねられた複数のペンタプリズムと、そのペンタプリズムへ向けて回転軸に沿うレーザ光を出射可能なレーザ光源と、により構成され、各ペンタプリズムのみが回転されるものであると、レーザ光源から出射されたレーザ光における光量ムラの影響が回転照射方向により異なるものとなってしまう。このため、回転照射方向による測定精度(高低角測定の精度)のバラツキが生じる虞がある。これに対し、本願発明の回転レーザ出射装置10では、レーザ光源であるLD50を含むレーザ出射部41が回転軸Ra回りに回転されるので、光量ムラの影響を回転照射方向に拘らず一定のものとすることができることによる。すなわち、回転レーザ出射装置10では、レーザ光源から出射されたレーザ光が、その光軸方向に直交する断面で見た形状(ビームのプロファイル)が円形状ではない場合や、当該断面で見て光軸からの方向により光軸方向を基準とする広がり角度が異なる場合のように、出射されるレーザ光において当該断面で見て強度の偏りがあっても、レーザ出射部41が回転軸Ra回りに回転されることから、出射されるレーザ光における強度の偏りに起因して測定用レーザ光線Lmにおける回転照射方向に対するバラツキが生じることを防止することができる。
(5)レーザ出射部41では、LD50から出射されたレーザ光がコリメータレンズ51で平行光束とされてから光軸上反射部52に至るので、LD50から出射されたレーザ光を余すことなく回転体の回転姿勢に拘らず確実に基準平面に平行な測定用レーザ光線Lmとして利用することができる。加えて、レーザ出射部41と環状反射面36との間隔が変化してしまった場合であっても、レーザ出射部41の光路において設定された焦点距離に影響を与えることを防止することができる。
(6)第1反射面56および第2反射面57を形成する光軸上反射部52が、断面二等辺三角形の柱状部材により構成されていることから、簡易な構成とすることができる。
(7)基準反射部が、環状ミラー35の環状反射面36により形成されていることから、簡易な構成としつつ回転体12の回転軸Ra回りの回転位置に拘らず光軸上反射部52と協働して光路P2および光路P3を形成することができる。
(8)レーザ出射部41において、ビームエキスパンダ光学系53を経た後のレーザ光を3分割して成形するビーム成形光学系54が、3つのプリズムブロック58a、58b、58cが基準平面Bpと平行に並列されて構成されていることから、回転軸Ra方向で見た回転体12の大きさ寸法を小さくしつつ常に基準平面に平行な進行方向の3つのレーザ光(測定用レーザ光線Lm)を出射させることができる。また、回転軸Ra方向で見た回転体12の大きさ寸法を小さくできることから、回転軸Raに対する回転体12の回転姿勢にブレが生じることを抑制することができる。
(9)収容部42では、基部40が内筒部19に回転可能に支持されている状態において、貫通孔42cに内筒部19の支持軸部分34が挿通され、この支持軸部分34の上端(設置部37)が上壁部42aから突出されているので、収容部42が基部40とともに内筒部19に対して回転されても、支持軸部分34の上端に設けられた設置部37は、収容部42すなわち回転体12とともに回転されることはなく、安定して他の測定装置(この例では無線ユニット38)を収容部42すなわちそこに収容されたレーザ出射部41の上方で支持することができる。
(10)レーザ出射部41では、LD50から出射されたレーザ光がコリメータレンズ51で平行光束とされてから基準反射面としての環状反射面36に至るので、回転体12の回転姿勢に回転軸Raに対するブレが生じた際、出射するレーザ光(測定用レーザ光線Lm)をより適切に基準平面Bpと平行なものとすることができる。
(11)レーザ出射部41のビーム成形光学系54では、照射光線Saの進行方向Craと、照射光線Sbの進行方向Crbと、照射光線Scの進行方向Crcと、が、回転軸Ra上の同一個所で交差するように設定されていることから、既知点に設置された回転レーザ出射装置10から回転出射される測定用レーザ光線Lmの照射光線Sa、照射光線Sbおよび照射光線Scを、同一の点光源(回転軸Ra)から出射されたものとして扱うことができるので、測定用レーザ光線Lmを受光した受光器65から出力される受光信号の時間間隔等から測量箇所を正確に測量するための計算を容易でより正確なものとすることができる。
したがって、本発明に係る回転レーザ出射装置10では、回転軸Raを取り囲む環状の回転体12に設けられたレーザ出射部41から出射されるレーザ光の出射方向が回転軸Raに対してブレることを防止することができる。
次に、実施例2の回転レーザ出射装置102について説明する。実施例2の回転レーザ出射装置102は、レーザ出射部412の構成が実施例1とは異なる例である。この回転レーザ出射装置102は、その基本的な構成は実施例1の回転レーザ出射装置10と同様であるので、同一機能部分には実施例1と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここで、図10は、実施例2の回転レーザ出射装置102のレーザ出射部412の構成を模式的に示す図2と同様の説明図である。また、図11は、レーザ出射部412において出射光軸Alが角度θだけ傾いた状態を示す図9と同様の説明図である。なお、図11では、理解容易のために、レーザ出射部412の出射光軸AlとLD502の出射方向(光軸)との交点を回転中心とするように角度θだけ傾いたものとしている。
このレーザ出射部412は、図10に示すように、LD502から出射されたレーザ光が環状反射面36に至るまでの光路が、実施例1のレーザ出射部41(回転レーザ出射装置10)とは異なるものとされている。詳細には、レーザ出射部412では、LD502が、出射光軸Al上ではなく、出射方向(主光線の進行方向)上に環状反射面36が位置するように(基準平面Bpに対して傾斜されて)配置されており、その出射方向上であってLD502と環状反射面36との間にコリメータレンズ512が配置されている。このため、レーザ出射部412では、光軸上反射部522が第2反射面572のみを形成するものとされている。
このレーザ出射部412では、LD502から出射されたレーザ光がコリメータレンズ512を経て平行光束とされ、この平行光束とされたレーザ光が環状反射面36へと向かい、その環状反射面36により反射されて光軸上反射部522の第2反射面572へと向かい、その第2反射面572により反射されて出射光軸Al上でビームエキスパンダ光学系53へと向かう。すなわち、レーザ出射部412では、実施例1のレーザ出射部41において、LD50から出射されコリメータレンズ51を経て平行光束とされたレーザ光を第1反射面56で反射させて環状反射面36へと至る光路(図6の光路P1およびP2参照)において、第1反射面56により反射されて環状反射面36へと向かう個所(図6の光路P2参照)上にLD502およびコリメータレンズ512を設けたものである。
このため、図11に示すように、回転レーザ出射装置102では、実施例1の回転レーザ出射装置10と同様に、回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対して角度θで傾斜した場合であっても、ビームエキスパンダ光学系53を経て出射されるレーザ光すなわち測定用レーザ光線Lmが、常に基準平面Bpと平行なものとされる。なお、この図11では、レーザ光が実際に進行する方向を実線で示し、元の光路をそのまま角度θだけ傾斜させて示した各仮想光路を二点鎖線で示している。
実施例2の回転レーザ出射装置102では、基本的に実施例1の回転レーザ出射装置10と同様の効果を得ることができる。これに加えて、回転レーザ出射装置102では、レーザ出射部412において、第2反射面572のみを形成する光軸上反射部522を用いることができることから、レーザ出射部412をより小さなものとすることができる。さらに加えて、回転レーザ出射装置102では、レーザ出射部412において、LD502およびコリメータレンズ512を、実施例1のレーザ出射部41における光路P2(図6参照)上に配置するものであることから、回転軸Raに直交する方向で見たレーザ出射部412の大きさ寸法を小さくすることができるので、回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対して傾斜すること(ブレが生じること)をより抑制することができる。
次に、実施例3の回転レーザ出射装置103について説明する。実施例3の回転レーザ出射装置103は、実施例1のレーザ出射部41が環状反射面36で1回反射させる構成とされていたのに対し、環状反射面36で複数回反射させる一例としてレーザ出射部413(反射光学部)が2回反射させる構成をされたものである。この回転レーザ出射装置103は、その基本的な構成は実施例1の回転レーザ出射装置10と同様であるので、同一機能部分には実施例1と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここで、図12は、実施例3の回転レーザ出射装置103のレーザ出射部413の構成を模式的に示す図2と同様の説明図である。また、図13は、レーザ出射部413の作用を説明するために模式的に示す説明図であって、(a)は出射光軸Alが角度θだけ傾いた状態を示し、(b)は作用の理解容易のために仮想光路P3´´および実際の光路P3´を通った光束が同一箇所に向かうものと仮定した状態を示している。さらに、図14は、レーザ出射部413において出射光軸Alが角度θだけ傾いた状態を示す図9と同様の説明図である。なお、図13では、理解容易のために出射光軸Alの傾斜角度、光軸上反射部523の大きさ寸法等を強調して示しており、実際のレーザ出射部413に合致するものではない。また、図13では、理解容易のためにLD50から出射された出射光軸Al上のレーザ光が進行する様子を、その中心位置で見た各光路Pで示している。さらに、図13では、角度θ(−θ)だけ傾いた出射光軸を符号Al´で示している。ついで、図14では、理解容易のために、図11と同様に、レーザ出射部413の出射光軸Alと光軸上反射部523の第1反射面563との交点を回転中心とするように角度θだけ傾いたものとしている。
このレーザ出射部413は、図12に示すように、実施例1のレーザ出射部41とは光軸上反射部523が異なるものとされており、それに伴ってビームエキスパンダ光学系533も異なるものとされている。
光軸上反射部523は、LD50に臨む第1反射面563と、ビームエキスパンダ光学系533に臨む第2反射面573と、環状反射面36に臨む第3反射面70とを有する。第1反射面563は、実施例1のレーザ出射部41の第1反射面56と同様に、LD50から出射されてコリメータレンズ51を経て平行光束とされたレーザ光(光路P1とする)を収容部42の反射用貫通孔48(図1参照)を通過させつつ内筒部19の基準平面Bpに設けられた環状ミラー35の環状反射面36へ向けて反射する(光路P2とする)。第2反射面573は、実施例1のレーザ出射部41の第2反射面57と同様に、環状ミラー35の環状反射面36により反射され収容部42の反射用貫通孔48(図1参照)を通過したレーザ光(光路P3とする)を、出射光軸Al上でビームエキスパンダ光学系533へと向かうように、当該ビームエキスパンダ光学系533へ向けて反射する(光路P4とする)。
第3反射面70は、基本設定時の出射光軸Alと内筒部19の基準平面Bpとが平行とされている状態において、環状反射面36すなわち基準平面Bpに平行とされている。この第3反射面70は、第1反射面563により反射された後に環状ミラー35の環状反射面36により反射され収容部42の反射用貫通孔48(図1参照)を通過したレーザ光(光路P5とする)を、再び収容部42の反射用貫通孔48(図1参照)を通過させつつ環状反射面36へ向けて反射する(光路P6とする)。この第3反射面70により反射された後に環状ミラー35の環状反射面36により反射され収容部42の反射用貫通孔48(図1参照)を通過したレーザ光(光路P3)が、第2反射面573により反射される(光路P4)。以下では、上記した各光路P1〜P6を元の光路(回転体12の回転姿勢が回転軸Raに一致している状態における光路)という。
次に、回転体12の回転姿勢が、元の状態におけるレーザ光の出射方向に対して上向き側に、回転軸Raに対して角度θで傾斜したものとする(図13および図14参照)。回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対してブレた場合、内筒部19の上壁部分33により規定される基準平面Bpには特に変化が生じることはないが、回転体12に収容されたレーザ出射部413では、出射光軸Alが基準平面Bpに対して角度θだけ傾斜してしまう。以下では、図13に示すように、この傾斜状態における実際の各光路をP1´〜P6´とし、元の光路をそのまま角度θだけ傾斜させて示した各仮想光路をP1´´〜P6´´として示す。実際の光路P1´は、元の光路P1に対して角度θだけ傾斜し、第1反射面563により反射された後の実際の光路P2´も元の光路P2に対して角度θだけ傾斜してしまう。この実際の光路P1´および光路P2´は、仮想光路P1´´および仮想光路P2´´と重なっている(互いに傾斜していない)。
ここで、環状反射面36は、元の状態と同様に基準平面Bpに平行であり、傾斜した出射光軸Al´とは角度θを為している。このため、環状反射面36により反射された後の実際の光路P5´は、元の光路P5に対して角度θだけ傾斜し、仮想光路P5´´に対しては角度2θだけ傾斜する。また、光軸上反射部523の第3反射面70は、出射光軸Al´と平行であるが、環状反射面36とは角度θを為している。このため、第3反射面70により反射された後の実際の光路P6´は、元の光路P6に対して角度3θだけ傾斜し、仮想光路P6´´に対しては角度2θだけ傾斜する。その後に、環状反射面36により反射された後の実際の光路P3´は、元の光路P3に対して角度3θだけ傾斜し、仮想光路P3´´に対しては角度4θだけ傾斜する。
ここで、図13(b)には、角度θだけ傾斜したレーザ出射部413の光軸上反射部523の第2反射面573の同一箇所に、仮想光路P3´´および実際の光路P3´を通った光束が向かうものと仮定した状態を示す。この仮想光路P3´´は、元の光路P3をそのまま角度θだけ傾斜させたものであるから、仮想光路P3´´が第2反射面573により反射された後の仮想光路P4´´は、元の出射光軸Alから角度θだけ傾斜した出射光軸Al´に一致する。
これに対して、仮想光路P3´´と第2反射面573の同一箇所に至る実際の光路P3´は、仮想光路P3´´に対して角度4θだけ傾斜していることから、反射後の実際の光路P4´も仮想光路P4´´に対して角度4θだけ傾斜する。ここで、実際の光路P4´および仮想光路P4´´の角度関係は、第2反射面573における反射箇所に拘らず一定であることから、実際の光路P4´は、出射光軸Al´に対して角度4θの仰角となるように傾斜する。
このため、回転体12の回転姿勢がレーザ光の出射方向を上向き側に変位させるように回転軸Raに対して角度θで傾斜した場合、レーザ出射部413では、LD50から出射されたレーザ光が、出射光軸Al´に対して仰角側に角度4θだけ傾斜した進行方向でビームエキスパンダ光学系533(図12および図14参照)へと入射する。
これに伴って、レーザ出射部413では、ビームエキスパンダ光学系533が、レンズ533aの(レンズ533b側の)焦点距離f3aとレンズ533bの(レンズ533aの側)焦点距離f3bとの比が1:4とされており、角倍率が1/4に設定されている。このため、ビームエキスパンダ光学系533では、光軸に対して角度4αの方向でレンズ533aに入射してきた光束が、光軸に対して角度−αの方向でレンズ533bから出射される。
このことから、レーザ出射部413では、図13に示すように、出射光軸Al´が出射光軸Alに対して仰角側に角度θだけ傾斜すると、出射光軸Al´に対して仰角側に角度4θだけ傾斜してビームエキスパンダ光学系533へと入射し、当該ビームエキスパンダ光学系533から出射光軸Al´に対して俯角側に角度θだけ傾斜した進行方向(すなわち角度−θ)で出射される。この出射光軸Al´は、基準平面Bpに対して仰角側に角度θだけ傾斜されていることから、ビームエキスパンダ光学系533(図2および図3参照)から出射されるレーザ光は、基準平面Bpと平行なものとされていることとなる。このことは、実施例1のレーザ出射部41と同様に、回転体12の回転姿勢が、レーザ光の出射方向に対して俯角側に、回転軸Raに対して角度θ(すなわち角度−θ)で傾斜した場合であっても同様である。
よって、本発明に係る回転レーザ出射装置10では、回転体12の回転姿勢に回転軸Raに対して角度θで傾斜した場合であっても、ビームエキスパンダ光学系533を経て出射されるレーザ光すなわち測定用レーザ光線Lmが、常に基準平面Bpと平行なものとなる。
実施例3の回転レーザ出射装置103では、基本的に実施例1の回転レーザ出射装置10と同様の効果を得ることができる。
なお、この実施例3のレーザ出射部413では、環状反射面36で2回反射させる構成とされていたが、回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対してブレた場合であっても、その影響を受けることのない基準平面Bp上に配置された環状反射面36で複数回反射させるものであればよく、実施例3に限定されるものではない。このとき、環状反射面36でk回反射させると、出射光軸Al´が出射光軸Alに対して角度θだけ傾斜された際、ビームエキスパンダ光学系へと入射する光束が出射光軸Al´に対して角度2kθだけ傾斜することとなるので、当該ビームエキスパンダ光学系の角倍率を1/2kに設定すればよい。
次に、実施例4の回転レーザ出射装置104について説明する。実施例4の回転レーザ出射装置104は、レーザ出射部414が実施例1のレーザ出射部41とは異なる構成とされたものである。この回転レーザ出射装置104は、その基本的な構成は実施例1の回転レーザ出射装置10と同様であるので、同一機能部分には実施例1と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここで、図15は、実施例4の回転レーザ出射装置104のレーザ出射部414の構成を模式的に示す図2と同様の説明図である。また、図16は、レーザ出射部414の作用の基本的な概念を説明するためにLD50からコリメータレンズ514に至る光路を模式的に示す説明図である。さらに、図17は、レーザ出射部414において出射光軸Alが角度θだけ傾いた状態を示す図9と同様の説明図である。なお、図17では、理解容易のために、図11と同様に、レーザ出射部414の出射光軸Alと光軸上反射部52の第1反射面56との交点を回転中心とするように角度θだけ傾いたものとしている。
このレーザ出射部414は、図15に示すように、実施例1のレーザ出射部41とはコリメータレンズ514の配設位置が異なるものとされており、それに伴ってビームエキスパンダ光学系534も異なるものとされている。
レーザ出射部414では、コリメータレンズ514が、出射光軸Al上において、光軸上反射部52とビームエキスパンダ光学系534との間に設けられている。このコリメータレンズ514は、レーザ出射部414における光路で見て、LD50(その出射位置)が焦点位置となる焦点距離f0(図16参照)を有するレンズが用いられている。このため、レーザ出射部414では、LD50から出射されたレーザ光(光路P1とする)が光軸上反射部52の第1反射面56により反射されて環状ミラー35の環状反射面36へ向かい(光路P2とする)、その環状反射面36で反射されて光軸上反射部52の第2反射面57へ向かい(光路P3とする)、その第2反射面57で反射されて出射光軸Al上を通ってコリメータレンズ514に至る(光路P4とする)こととなり、このコリメータレンズ514を経ることにより平行光束とされる。この実施例4のレーザ出射部414では、光路P1と光路P4とが等しい長さ寸法aとされており、光路P2と光路P3とが等しい長さ寸法bとされている。このため、レーザ出射部414では、LD50からコリメータレンズ514に至るまでの光路における環状反射面36による反射の地点が、当該光路に沿う方向で見た中間の位置(図16に当て嵌めるとm=n)、すなわち当該光路上においてコリメータレンズ514から焦点距離f0の半分の位置とされている。
ここで、レーザ出射部414では、LD50から出射されたレーザ光のうち出射光軸Al上を通った光束の進行方向で見ると、回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対して角度θで傾斜した際(その傾斜した出射光軸をAl´とする)(図17参照)、LD50からコリメータレンズ514に至るまでの光路では、実施例1のレーザ出射部41と同様の作用が生じる。詳細には、実施例1における定義と同様に、傾斜状態における実際の各光路をP1´〜P4´とし、元の光路をそのまま角度θだけ傾斜させて示した各仮想光路をP1´´〜P4´´とすると(図7、図8参照)、実際の光路P1´およびP2´と仮想光路P1´´およびP2´´との間では傾きの差異は生じないが、環状反射面36により反射された後の実際の光路P3´と仮想光路P3´´との間では2θの傾きの差異が生じ、実際の光路P4´と仮想光路P4´´との間でもその2θの傾きの差異が維持される。このことから、レーザ出射部414では、その光路において、回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対して角度θで傾斜すると、環状反射面36による反射の地点から出射光軸Alに対して角度2θで傾斜されたレーザ光が、コリメータレンズ514へと入射することとなる。これを模式的に示したのが、図16である。
すなわち、図16では、LD50からコリメータレンズ514に至るまでの光路を、出射光軸Alに沿う直線状で示し、この直線状の出射光軸Al上において、LD50とコリメータレンズ514とが当該コリメータレンズ514の焦点距離f0の間隔を置いて配置されている。この図16では、出射光軸Al´に対するLD50およびコリメータレンズ514の関係性が一定であることから、回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対して角度θで傾斜しても、傾斜前の出射光軸Alに対して傾斜後の出射光軸Al´が傾斜することはなく(AlとAl´とが等しい直線で示される)、傾斜に応じて光束の進行方向が点sを基点として出射光軸Al´(Al)に対して傾斜する。
このLD50から出射された発散傾向のレーザ光は、コリメータレンズ514を経ることにより平行光束とされる。図16では、そのコリメータレンズ514の中心位置を符号qで示し、LD50における出射位置を符号rで示している。また、LD50からコリメータレンズ514に至るまでの光路における環状反射面36による反射の地点を符号sで示しており、回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対して角度θで傾斜した際、環状反射面36による反射の地点(点s)から出射光軸Al´(線分q−r)に対して角度2θで傾斜された光束l1が、コリメータレンズ514へと入射する様子を線分s−uで示す。ここで、出射光軸Al上で見て、コリメータレンズ514から環状反射面36による反射の地点まで(線分q−s)の長さ寸法をmとし、環状反射面36による反射の地点からLD50まで(線分s−r)の長さ寸法をnとする。なお、コリメータレンズ514の焦点面(焦平面(光軸に直交し焦点位置を含む面))を符号Fpで示している。
この光束l1がコリメータレンズ514を透過した後に進行する方向は、線分s−uを延長し、その延長線と焦点面Fpとの交点tからコリメータレンズ514の中心qへと向かう方向(線分t−qと平行な方向)となる。このため、コリメータレンズ514を経た平行光束は、コリメータレンズ514の中心qを通る線分q−tの出射光軸Al´(線分q−r)に対する角度xでビームエキスパンダ光学系534(図15および図17参照)へ向かう。
ここで、コリメータレンズ514の中心qを通りレーザ光l1と平行な直線と焦点面Fpとの交点vとすると、線分q−vは出射光軸Al´(線分q−r)に対して角度2θで傾斜している。また、上記したように、本願発明のレーザ出射部414においては、出射光軸Alに対する傾斜角度θが極めて小さな値であることから、tanθ=θ(2θであっても同様である。)とみなすことができる。このため、線分q−rを底辺とする三角形qrvと三角形qrtとで見ると、三角形qrvにおける頂点qの角度2θと三角形qrtにおける頂点qの角度xとの比が、線分r−vと線分r−tとの長さの比と等しくなる。このことから、線分r−vにより一辺が規定される三角形qrvと、それと相似関係であり線分r−tにより一辺が規定される三角形srtとで見て、(線分q−r):(線分r−v)=(線分s−r):(線分r−t)となり、(m+n):(2θ)=(n):(x)となるので、x=[2n/(m+n)]θとなる。
よって、上記した構成のレーザ出射部414では、角度xすなわちコリメータレンズ514を経た平行光束の出射光軸Al´(線分q−r)に対する進行方向が、光路で見て、コリメータレンズ514の焦点距離f0の間隔を置いて配設された当該コリメータレンズ514とLD50との間における点sの位置すなわち環状反射面36による反射の地点により、決定されることとなる。なお、このことは、コリメータレンズ514とLD50との間の光路上で見た環状反射面36による反射の地点の前後比が、傾斜後(実際の各光路P1´〜P4´)であっても、傾斜前の状態(各光路P1〜P4)と等しいことを前提とするものであるが、上記したように、本願発明のレーザ出射部414においては入射角度が極めて小さい範囲で変動することから、反射前と反射後の光路長の長さの比の変化は極めて小さいものであり、光路における当該反射面の位置(反射前と反射後の光路長の長さの比)を元の設定値として扱うことができる。
ここで、レーザ出射部414では、上述したように、LD50からコリメータレンズ514に至るまでの光路における環状反射面36による反射の地点が、当該光路に沿う方向で見た中間の位置とされていることから、図16で見るとm=nとなるので、上式からx=θとなる。すなわち、レーザ出射部414では、回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対して角度θで傾斜した場合、レーザ出射部414では、LD50から出射されたレーザ光が、出射光軸Al´に対して回転体12の傾斜方向と等しい方向に角度θだけ傾斜した進行方向でビームエキスパンダ光学系534(図17および図18参照)へと入射する。
これに伴って、レーザ出射部414では、図15に示すように、ビームエキスパンダ光学系534が、レンズ534aの(レンズ534b側の)焦点距離f4aとレンズ534bの(レンズ534a側の)焦点距離f4bとの比が1:1とされており、角倍率が1/1(角倍率等倍)に設定されている。このため、ビームエキスパンダ光学系534では、光軸に対して角度αの方向でレンズ534aに入射してきた光束が、光軸に対して角度−αの方向でレンズ534bから出射される。
このことから、レーザ出射部414では、図17に示すように、出射光軸Al´が出射光軸Alに対して仰角側に角度θだけ傾斜すると、出射光軸Al´に対して仰角側に角度θだけ傾斜してビームエキスパンダ光学系534へと入射し、当該ビームエキスパンダ光学系534から出射光軸Al´に対して俯角側に角度θだけ傾斜した進行方向(すなわち角度−θ)で出射される。この出射光軸Al´は、基準平面Bpに対して仰角側に角度θだけ傾斜されていることから、ビームエキスパンダ光学系534から出射されるレーザ光は、基準平面Bpと平行なものとされていることとなる。このことは、実施例1のレーザ出射部41と同様に、回転体12の回転姿勢が、レーザ光の出射方向に対して俯角側に、回転軸Raに対して角度θ(すなわち角度−θ)で傾斜した場合であっても同様である。
よって、本発明に係る回転レーザ出射装置104では、回転体12の回転姿勢に回転軸Raに対して角度θで傾斜した場合であっても、ビームエキスパンダ光学系534を経て出射されるレーザ光すなわち測定用レーザ光線Lmが、常に基準平面Bpと平行なものとなる。
実施例4の回転レーザ出射装置104では、基本的に実施例1の回転レーザ出射装置10と同様の効果を得ることができる。これに加えて、回転レーザ出射装置104では、LD50からコリメータレンズ514に至るまでの光路における環状反射面36による反射の地点と、ビームエキスパンダ光学系534における角倍率と、を互いに適合するように適宜設定することができるので、レーザ出射部414の設定の自由度を高めることができる。
次に、実施例5の回転レーザ出射装置105について説明する。実施例5の回転レーザ出射装置105は、レーザ出射部415が実施例4のレーザ出射部414とは異なる構成とされたものである。この回転レーザ出射装置105は、その基本的な構成は実施例4の回転レーザ出射装置104と同様であるので、同一機能部分には実施例1と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここで、図18は、実施例5の回転レーザ出射装置105のレーザ出射部415の構成を模式的に示す図2と同様の説明図である。また、図19は、レーザ出射部415において出射光軸Alが角度θだけ傾いた状態を示す図11と同様の説明図である。なお、図19では、理解容易のために、図11と同様に、レーザ出射部415の出射光軸Alと光軸上反射部52の第1反射面56との交点を回転中心とするように角度θだけ傾いたものとしている。
このレーザ出射部415では、図18に示すように、実施例4のレーザ出射部414とはコリメータレンズ515の配設位置が異なるものとされており、それに伴ってビームエキスパンダ光学系535も異なるものとされている。
レーザ出射部415では、コリメータレンズ515からLD50までの間隔(コリメータレンズ515の焦点距離)が(a+2b+c)とされるとともに、光路P1の長さ寸法がcに、光路P2の長さ寸法がbに、光路P3の長さ寸法がbに、光路P4の長さ寸法がaに、それぞれ設定されている。ここで、上記したa、b、cでは、2(a+b)=b+cとされており、LD50からコリメータレンズ515に至るまでの光路における環状反射面36による反射の地点が、当該光路に沿う長さ寸法で見てLD50側から1:2とされている。
このため、レーザ出射部415では、図16で見るとm=2およびn=1となるので、上記した式に当てはめると、x=(4/3)θとなる。すなわち、レーザ出射部415では、回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対して角度θで傾斜した場合、図19に示すように、LD50から出射されたレーザ光が、出射光軸Al´に対して等しい方向に角度(4/3)θだけ傾斜した進行方向でビームエキスパンダ光学系535へと入射する。
これに伴って、レーザ出射部415では、図18に示すように、レンズ535aの(レンズ535b側の)焦点距離f5aとレンズ535bの(レンズ535a側の)焦点距離f5bとの比が3:4とされており、角倍率が3/4に設定されている。このため、ビームエキスパンダ光学系535では、光軸に対して角度αの方向でレンズ535aに入射してきた光束が、光軸に対して角度−(3/4)αの方向でレンズ535bから出射される。
このことから、レーザ出射部415では、図19に示すように、出射光軸Al´が出射光軸Alに対して仰角側に角度θだけ傾斜すると、出射光軸Al´に対して仰角側に角度(4/3)θだけ傾斜してビームエキスパンダ光学系535へと入射し、当該ビームエキスパンダ光学系535から出射光軸Al´に対して俯角側に角度θだけ傾斜した進行方向(すなわち角度−θ)で出射される。この出射光軸Al´は、基準平面Bpに対して仰角側に角度θだけ傾斜されていることから、ビームエキスパンダ光学系535から出射されるレーザ光は、基準平面Bpと平行なものとされていることとなる。このことは、実施例1のレーザ出射部41と同様に、回転体12の回転姿勢が、レーザ光の出射方向に対して俯角側に、回転軸Raに対して角度θ(すなわち角度−θ)で傾斜した場合であっても同様である。
よって、本発明に係る回転レーザ出射装置105では、回転体12の回転姿勢に回転軸Raに対して角度θで傾斜した場合であっても、ビームエキスパンダ光学系535を経て出射されるレーザ光すなわち測定用レーザ光線Lmが、常に基準平面Bpと平行なものとなる。
実施例5の回転レーザ出射装置105では、基本的に実施例1の回転レーザ出射装置10と同様の効果を得ることができる。これに加えて、回転レーザ出射装置105では、LD50からコリメータレンズ515に至るまでの光路における環状反射面36による反射の地点と、ビームエキスパンダ光学系535における角倍率と、が互いに適合するように適宜設定することができるので、レーザ出射部415の設定の自由度を高めることができる。
次に、実施例6の回転レーザ出射装置106について説明する。実施例6の回転レーザ出射装置106は、レーザ出射部416が実施例1のレーザ出射部41とは異なる構成とされたものである。この回転レーザ出射装置106は、その基本的な構成は実施例1の回転レーザ出射装置10と同様であるので、同一機能部分には実施例1と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。ここで、図20は、実施例6の回転レーザ出射装置106のレーザ出射部416の構成を模式的に示す図2と同様の説明図である。
このレーザ出射部416は、図20に示すように、実施例1のレーザ出射部41とは光路上で見て光軸上反射部526と環状反射面36との間にビームエキスパンダ光学系71が設けられていることが異なるものとされており、それに伴って光軸上反射部526とビームエキスパンダ光学系536とが異なるものとされている。
レーザ出射部416では、光軸上反射部526が2つの部材(526a、526b)により構成されている。この第1反射部材526aは、第1反射面566を形成し、第2反射部材526bは、第2反射面576を形成する。このため、レーザ出射部416では、LD50から出射されたレーザ光がコリメータレンズ51を経て(光路P1とする)第1反射部材526aの第1反射面566により反射されて環状ミラー35の環状反射面36へ向かい(光路P2とする)、その環状反射面36で反射されて第2反射部材526bの第2反射面576へ向かい(光路P3とする)、その第2反射面576で反射されて出射光軸Al上を通ってビームエキスパンダ光学系536に至る(光路P4とする)。
ビームエキスパンダ光学系71は、光路P2上に設けられたレンズ72と、光路P3上に設けられたレンズ73と、により構成されており、平行光束が入射されると、そのビーム径を拡張した平行光束として出射する。このビームエキスパンダ光学系71では、レンズ72の(レンズ73側の)焦点位置、すなわちレンズ73の(レンズ72側の)焦点位置(符号i参照)が、第1反射面566と環状反射面36との間(光路P2)に位置するように設定されている。このLD50から出射されたレーザ光のうち出射光軸Al上を通った光束の進行方向で見た光路において、焦点位置iから環状反射面36までの間隔(距離)をbとし、環状反射面36からレンズ73までの間隔(距離)をaとする。
ここで、レーザ出射部416では、LD50から出射されたレーザ光のうち出射光軸Al上を通った光束の進行方向で見ると、回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対して角度θで傾斜した際(その傾斜した出射光軸をAl´とする)、LD50からコリメータレンズ51に至るまでの光路では、実施例1のレーザ出射部41と同様の作用が生じる。詳細には、実施例1における定義と同様に、傾斜状態における実際の各光路をP1´〜P4´とし、元の光路をそのまま角度θだけ傾斜させて示した各仮想光路をP1´´〜P4´´とすると(図7、図8参照)、実際の光路P1´およびP2´と仮想光路P1´´およびP2´´との間では傾きの差異は生じないが、環状反射面36により反射された後の実際の光路P3´と仮想光路P3´´との間では2θの傾きの差異が生じる。このため、レーザ出射部416では、その光路において、回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対して角度θで傾斜すると、環状反射面36による反射の地点から出射光軸Al´に対して角度2θで傾斜されたレーザ光が、レンズ73へと入射することとなる。
このことから、レーザ出射部416では、焦点位置iから出射光軸上に出射された発散傾向のレーザ光が、環状反射面36で反射された後にレンズ73により平行光束とされるものと扱うことができ、図16に当て嵌めて考えることができる。このため、レーザ出射部416では、図16に当て嵌めるとm=a、n=bとなるので、回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対して角度θで傾斜すると、図16で用いた式x=2nθ/(m+n)を用いることで、角度θで傾斜された出射光軸Al´に対してその傾斜方向へと[2b/(a+b)]θの角度で傾斜してレンズ73へと入射する。
これに伴って、レーザ出射部416では、レンズ536aの(レンズ536b側の)焦点距離f6aとレンズ536bの(レンズ536a側の)焦点距離f6bとの比がd:cとされ、角倍率がd/cに設定されている。ここで、c/d=2b/(a+b)とされている。このため、ビームエキスパンダ光学系536では、光軸に対して角度[2b/(a+b)]αの方向でレンズ536aに入射してきた光束が、光軸に対して角度−αの方向でレンズ536bから出射される。
このことから、レーザ出射部416では、図示は略すが、出射光軸Al´が出射光軸Alに対して仰角側に角度θだけ傾斜すると、出射光軸Al´に対して仰角側に角度[2b/(a+b)]θだけ傾斜してビームエキスパンダ光学系536へと入射し、当該ビームエキスパンダ光学系536から出射光軸Al´に対して俯角側に角度θだけ傾斜した進行方向(すなわち角度−θ)で出射される。この出射光軸Al´は、基準平面Bpに対して仰角側に角度θだけ傾斜されていることから、ビームエキスパンダ光学系536から出射されるレーザ光は、基準平面Bpと平行なものとされていることとなる。このことは、実施例1のレーザ出射部41と同様に、回転体12の回転姿勢が、レーザ光の出射方向に対して俯角側に、回転軸Raに対して角度θ(すなわち角度−θ)で傾斜した場合であっても同様である。
よって、本発明に係る回転レーザ出射装置106では、回転体12の回転姿勢に回転軸Raに対して角度θで傾斜した場合であっても、ビームエキスパンダ光学系536を経て出射されるレーザ光すなわち測定用レーザ光線Lmが、常に基準平面Bpと平行なものとなる。
実施例6の回転レーザ出射装置106では、基本的に実施例1の回転レーザ出射装置10と同様の効果を得ることができる。
これに加えて、回転レーザ出射装置106では、光軸上反射部526が第1反射部材526aと第2反射部材526bとにより構成されていることから、LD50から出射されてコリメータレンズ51により平行光束とされたレーザ光のビーム径に適合する大きさ寸法の第1反射面566を形成する観点から第1反射部材526aを設定することができるとともに、環状反射面36で反射された後にレンズ73により平行光束とされたレーザ光のビーム径に適合する大きさ寸法の第2反射面576を形成する観点から第2反射部材526bを設定することができる。このため、光軸上反射部526の位置や大きさ寸法等の設定の自由度を高めることができる。
また、回転レーザ出射装置106では、ビームエキスパンダ光学系71におけるレンズ72とレンズ73との位置関係および焦点位置等と、ビームエキスパンダ光学系536における角倍率と、が互いに適合するように適宜設定することができるので、レーザ出射部416の設定の自由度を高めることができる。
次に、実施例7の回転レーザ出射装置107について説明する。実施例7の回転レーザ出射装置107は、レーザ出射部417が実施例6のレーザ出射部416とは異なる構成とされたものである。この回転レーザ出射装置107は、その基本的な構成は実施例6の回転レーザ出射装置106と同様であるので、同一機能部分には実施例6と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここで、図21は、実施例7の回転レーザ出射装置107のレーザ出射部417の構成を模式的に示す図2と同様の説明図である。また、図22は、レーザ出射部417の作用の基本的な概念を説明するために仮想光源74からレンズ737に至る光路を模式的に示す図16と同様の説明図である。
このレーザ出射部417は、図21に示すように、実施例6のレーザ出射部416とは光軸上反射部526と環状反射面36との間に設けられたビームエキスパンダ光学系717の構成が異なるものとされており、それに伴ってビームエキスパンダ光学系537とが異なるものとされている。
レーザ出射部417では、実施例6のレーザ出射部416と同様に、光軸上反射部526が2つの部材(526a、526b)により構成されており、LD50から出射されたレーザ光(光路P1とする)が第1反射部材526aの第1反射面566により反射されて環状ミラー35の環状反射面36へ向かい(光路P2とする)、その環状反射面36で反射されて第2反射部材526bの第2反射面576へ向かい(光路P3とする)、その第2反射面576で反射されて出射光軸Al上を通ってビームエキスパンダ光学系537に至る(光路P4とする)。
ビームエキスパンダ光学系717は、光路P2上に設けられたレンズ727と、光路P3上に設けられたレンズ737と、により構成されており、平行光束が入射されると、そのビーム径を拡張した平行光束として出射する。このビームエキスパンダ光学系717では、レンズ727の(レンズ737側の)焦点位置、換言するとレンズ737の(レンズ727側の)焦点位置(符号i参照)が、環状反射面36と第2反射面576との間(光路P3)に位置するように設定されている。このLD50から出射されたレーザ光のうち出射光軸Al上を通った光束の進行方向で見た光路において、環状反射面36から焦点位置iまでの間隔(距離)をbとし、焦点位置iからレンズ737までの間隔(距離)をaとする。実施例7では、a:b=2:1とされている。
ここで、レーザ出射部417では、LD50から出射されたレーザ光のうち出射光軸Al上を通った光束の進行方向で見ると、回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対して角度θ´で傾斜した際(その傾斜した出射光軸をAl´とする)、LD50からレンズ737に至るまでの光路では、実施例1のレーザ出射部41と同様の作用が生じる。詳細には、実施例1における定義と同様に、傾斜状態における実際の各光路をP1´〜P4´とし、元の光路をそのまま角度θ´だけ傾斜させて示した各仮想光路をP1´´〜P4´´とすると(図7、図8参照)、実際の光路P1´およびP2´と仮想光路P1´´およびP2´´との間では傾きの差異は生じないが、環状反射面36により反射された後の実際の光路P3´と仮想光路P3´´との間では2θ´の傾きの差異が生じる。このため、レーザ出射部417では、その光路において、回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対して角度θ´で傾斜すると、環状反射面36による反射の地点から、出射光軸Al´に対して角度2θ´で傾斜されたレーザ光が、レンズ737へと入射することとなる。
このことから、レーザ出射部417では、環状反射面36で反射された後の出射光軸上の焦点位置iから当該出射光軸上に出射された発散傾向のレーザ光が、レンズ737により平行光束とされるものと考えることができる。これを模式的に示したのが、図22である。この図22は、図16におけるコリメータレンズ514をレンズ737とし、焦点位置iに仮想光源74が設けられたものとし、レンズ737側から見て、出射光軸Al上での仮想光源74(図16ではLD50)と点s´の位置すなわち環状反射面36による反射の地点とが、図16とは入れ替わったものである。
すなわち、図22では、LD50からレンズ737に至るまでの光路を、出射光軸Alに沿う直線状で示し、この直線状の出射光軸Al上において、仮想光源74とレンズ737とが当該レンズ737の焦点距離f0´の間隔を置いて配置されている。このため、仮想光源74は、出射位置がレンズ737の焦点面(焦平面)Fpに位置している。この図22では、出射光軸Al(Al´)に対するLD50とレンズ737との関係性が一定であることから、回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対して角度θ´で傾斜しても、傾斜前の出射光軸Alに対して傾斜後の出射光軸Al´が傾斜することはなく(AlとAl´とが等しい直線で示される)、傾斜に応じて光束の進行方向が点s´を基点として出射光軸Al´(Al)に対して傾斜する。この図22では、光束の進行方向が出射光軸Al´(Al)に対して傾斜すると、仮想光源74は、点s´を基点とする光束の進行方向と焦点面(焦平面)Fpとの交点(符号t´参照)へと移動することとなる。
仮想光源74から出射された発散傾向のレーザ光は、レンズ737を経ることにより平行光束とされる。図22では、そのレンズ737の中心位置を符号q´で示し、仮想光源74における出射位置を符号r´で示している。また、出射光軸Al´(Al)上における環状反射面36による反射の地点を符号s´で示しており、回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対して角度θ´で傾斜した際、環状反射面36による反射の地点(点s´)から出射光軸Al´(線分q´−r´)に対して角度2θ´で傾斜された光束l2が、レンズ737へと入射する様子を線分s´−u´で示す。ここで、出射光軸Al上で見て、レンズ737から仮想光源74の出射位置まで(線分q´−r´)の長さ寸法をm´とし、仮想光源74の出射位置から環状反射面36による反射の地点まで(線分r´−s´)の長さ寸法をn´とする。
この光束l2がレンズ737を透過した後に進行する方向は、線分s´−u´と焦点面Fpとの交点t´からレンズ737の中心q´へと向かう方向(線分t´−q´と平行な方向)となる。このため、レンズ737を経た平行光束は、出射光軸Al´(線分q´−r´)に対して、レンズ737を透過する前とは逆の符号の角度x´(出射光軸Al´を中心とした反対側への角度x´)でビームエキスパンダ光学系537(図21参照)へ向かう。
ここで、レンズ737の中心q´を通りレーザ光l2と平行な直線と焦点面Fpとの交点v´とすると、線分q´−v´は出射光軸Al´(線分q´−r´)に対して角度2θ´で傾斜していることとなる。また、上記したように、本願発明のレーザ出射部417においては、出射光軸Alに対する傾斜角度θ´が極めて小さな値であることから、tanθ´=θ´(2θ´でも同様である)とみなすことができる。このため、線分q´−r´を底辺とする三角形q´r´v´と三角形q´r´t´とで見ると、三角形q´r´v´における頂点q´の角度2θ´と三角形q´r´t´における頂点q´の角度x´との比が、線分r´−v´と線分r´−t´との長さの比と等しくなる。このことから、線分r´−v´により一辺が規定される三角形q´r´v´と、それと相似関係であり線分r´−t´により一辺が規定される三角形s´r´t´とで見て、(線分q´−r´):(線分r´−v´)=(線分s´−r´):(線分r´−t´)となり、(m´):(2θ´)=(n´):(x´)となるので、x´=(2n´/m´)θ´となる。
よって、上記した構成のレーザ出射部417では、角度x´すなわちレンズ737を経た平行光束の出射光軸Al´(線分q´−r´)に対する進行方向が、光路で見て、レンズ737と仮想光源74との間の距離(間隔(レンズ737の焦点距離f0´の間隔))と、仮想光源74から出射光軸Al´上の環状反射面36による反射の地点(点s´)の間の距離(間隔)と、により、決定されることとなる。なお、このことは、傾斜後(実際の各光路(図7、8等のP1´〜P4´参照))であっても、レンズ737と仮想光源74との間の光路上で見た環状反射面36による反射の地点の前後比が、傾斜前の状態(各光路P1〜P4)と等しいことを前提とするものであるが、上記したように、本願発明のレーザ出射部417においては入射角度が極めて小さい範囲で変動することから、反射前と反射後の光路長の長さの比の変化は極めて小さいものであり、光路における当該反射面の位置(反射前と反射後の光路長の長さの比)を元の設定値として扱うことができる。
ここで、レーザ出射部417では、上述したように、仮想光源74と当該レンズ737との間の距離(間隔)m´すなわちaと、仮想光源74から出射光軸Al´上の点s´の間の距離(間隔)n´すなわちbとが、2:1とされていることから、上式x´=(2n´/m´)θ´により、x´=θ´となる。ここで、上述したように、レンズ737を透過する前とは逆の符号の角度x´(出射光軸Al´を中心とした反対側への角度x´)で出射されることから、x´=−θ´となる。すなわち、レーザ出射部417では、回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対して角度θ´で傾斜した場合、LD50から出射されたレーザ光が、出射光軸Al´に対して等しい方向に角度−θ´だけ傾斜した進行方向で出射される。このため、実施例7のレーザ出射部417では、レンズ737から出射されるレーザ光の進行方向を、ビームエキスパンダ光学系537により変化させる必要がないので、図21に示すように、ビームエキスパンダ光学系537が設けられていない。
このことから、レーザ出射部417では、出射光軸Al´が出射光軸Alに対して仰角側に角度θ´だけ傾斜すると、出射光軸Al´に対して俯角側に角度θ´だけ傾斜した進行方向(すなわち角度−θ´)でレンズ737から出射される。この出射光軸Al´は、基準平面Bpに対して仰角側に角度θ´だけ傾斜されていることから、レンズ737から出射されるレーザ光は、基準平面Bpと平行なものとされていることとなる。このことは、実施例1のレーザ出射部41と同様に、回転体12の回転姿勢が、レーザ光の出射方向に対して俯角側に、回転軸Raに対して角度θ´(すなわち角度−θ´)で傾斜した場合であっても同様である。
よって、本発明に係る回転レーザ出射装置107では、回転体12の回転姿勢に回転軸Raに対して角度θ´で傾斜した場合であっても、レンズ737を経て出射されるレーザ光すなわち測定用レーザ光線Lmが、常に基準平面Bpと平行なものとなる。
実施例7の回転レーザ出射装置107では、基本的に実施例6の回転レーザ出射装置106と同様の効果を得ることができる。これに加えて、回転レーザ出射装置107では、ビームエキスパンダ光学系537を設ける必要がないので、より簡易な構成とすることができ、より軽量化および小型化を図ることが容易である。
なお、実施例7の回転レーザ出射装置107では、焦点位置iからレンズ737までの間隔(距離)aと、環状反射面36から焦点位置iまでの間隔(距離)bとの比a:bを2:1とすることにより、ビームエキスパンダ光学系537を設けないものとしていたが、実施例7の構成に限定されるものではない。すなわち、出射光軸Al´が出射光軸Alに対して角度θ´だけ傾斜した際、レンズ737から出射されるレーザ光の進行方向は、x´=(2n´/m´)θ´となることから、角倍率が(m´/2n´)のビームエキスパンダ光学系537を用いることにより、m´:n´を任意の値とすることができる。
なお、上記した各実施例では、レーザ出射部が収容される回転体12に、上端の設置部37に無線ユニット38が設置された支持軸部分34が挿通された構成とされていたが、レーザ出射部が回転軸Ra回りに回転される回転体に収容されて構成され、回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対して傾斜することに起因してレーザ出射部の出射光軸が傾斜する虞があるものであれば本発明に係る回転レーザ出射装置の構造を採用することができ、その作用効果を得ることができる。
また、上記した各実施例では、基準反射部として環状ミラー35により形成された環状反射面36が用いられていたが、回転体12の回転位置に拘らず光軸上反射部52と協働して光路P2および光路P3を形成することができるものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
さらに、上記した実施例1および実施例3〜5では、断面二等辺三角形の柱状部材である光軸上反射部52が用いられていたが、基準反射部(実施例1および実施例3〜5では環状反射面36)と協働して光路P2および光路P3を形成する第1反射面56および第2反射面57を形成するものであれば、例えば、角柱形状のものであってもよく、二つの板状部材で構成されているもの(実施例6、7参照)であってよく、上記した実施例1および実施例3〜5に限定されるものではない。
上記した各実施例では、レーザ出射部41において、ビーム成形光学系54がビームエキスパンダ光学系53等を経た後のレーザ光を3分割して成形する構成とされていたが、傾斜角および高さの測定に好適なレーザ光を出射することができるものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
上記した各実施例では、レーザ出射部41において、ビーム成形光学系54がビームエキスパンダ光学系53等を経た後のレーザ光を回転軸Raから遠ざかるにともなって末広がりの扇状面形状を呈する光束いわゆるファンビームとするように設定されていたが、
回転軸Ra回りに回転しながらレーザ光を出射するものであれば、例えば、図23に示す回転レーザ出射装置10´のように、棒状の光束Lm´を出射するものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。この回転レーザ出射装置10´では、レーザ出射部41´が、上記した各実施例の回転レーザ出射装置のレーザ出射部において、ビーム成形光学系54が設けられていない構成とされている。
上記した実施例4〜7では、基準反射面による反射回数が1回の例が示されていたが、実施例3に示したように、基準反射面による反射回数が複数回であってもよい。この場合、実施例3と同様に基準反射面による反射回数をkとすると、回転体12の回転姿勢が回転軸Raに対して角度θで傾斜した場合、その反射に起因して傾斜角度が2kθとなるので、この2kθに適合するように、光路上における焦点位置の設定やビームエキスパンダ光学系の角倍率(実施例4〜7参照)を設定すればよい。
ここで、請求項3に記載の回転レーザ装置において、前記ビームエキスパンダ光学系は、前記反射光学部により前記出射光軸上に反射された後のレーザ光が進行する光路上であって前記出射光軸上に設けられており、前記レーザ光源から出射されたレーザ光が進行する光路上での前記平行光学部材の設定位置と前記反射光学部による前記基準反射面での反射回数とに基づいて角倍率が設定されていることとすると(構成aとする)、ビームエキスパンダ光学系および平行光学部材を有する打消光学部と、反射光学部とが互いに適合するように適宜設定することができるので、出射光学系の設定の自由度を高めつつレーザ出射部から出射されるレーザ光の出射方向を常に基準平面に平行なものとすることができる。
上記した構成aに加えて、前記平行光学部材は、前記基準反射面により反射される前のレーザ光が進行する光路上に設けられており、前記ビームエキスパンダ光学系の前記角倍率は、前記反射光学部による前記基準反射面での反射回数をkとして、1/2kに設定されていることとすると(構成bとする)、回転体の回転姿勢が回転軸に対してブレてしまった場合であっても、レーザ出射部から出射されるレーザ光の出射方向を常に基準平面に平行なものとすることができる。これは、例えば、反射回数が1(k=1)であるとすると、回転体の回転姿勢が回転軸に対して所定の角度θだけ傾いてしまった場合、レーザ出射部の出射光軸が、基準平面に対して角度θだけ傾いていることから、反射光学部から基準反射面に向かうレーザ光の進行方向および基準反射面により反射されたレーザ光の進行方向も、元の状態に比較すると、角度θだけ傾く。ここで、出射光軸が角度θだけ傾いていることから、基準反射面により反射されたレーザ光が反射光学部により反射されて、ビームエキスパンダ光学系へと向かうレーザ光の進行方向は、角度θだけ傾いた出射光軸に対して角度2θだけ傾く。このビームエキスパンダ光学系では、角倍率(1/2k)が1/2に設定されていることから、光軸(すなわち出射光軸)に対して角度2θだけ傾く進行方向で入射したレーザ光は、光軸に対して角度−θだけ傾いた進行方向のレーザ光として出射される。よって、鉛直面で見ると、ビームエキスパンダ光学系を経た後のレーザ光の進行方向は、角度θだけ傾いた出射光軸に対して角度−θだけ傾くこととなり、基準平面に対して平行なものとなるので、回転体の回転姿勢が回転軸に対してブレてしまった場合であっても、レーザ出射部から出射されるレーザ光の出射方向を常に基準平面に平行なものとすることができる。
上記した構成bに加えて、前記反射光学部は、前記出射光軸に直交しかつ前記基準平面に平行な方向に延在する長尺部材であり、前記レーザ光源から前記基準平面に平行な状態の前記出射光軸上に出射されたレーザ光を前記基準反射面へ向けて反射させる第1反射面と、前記基準反射面により反射された当該レーザ光を前記出射光軸上に戻すように反射させる第2反射面とを有し、前記第1反射面と前記第2反射面との前記出射光軸に対する傾斜角度が絶対値で等しくされていることとすると、反射光学部を簡易な構成とすることができる。
上記した構成aに加えて、前記平行光学部材は、前記基準反射面により反射された後のレーザ光が進行する光路上であって前記ビームエキスパンダ光学系よりも前記基準反射面側に設けられ、前記レーザ光源側の焦点位置が前記基準反射面により反射される前のレーザ光が進行する光路上に設定されており、前記ビームエキスパンダ光学系の前記角倍率は、前記反射光学部による前記基準反射面での反射回数が1である場合、レーザ光が進行する光路において、前記平行光学部材の中心から前記基準反射面までの間隔をmとし、かつ該基準反射面から前記平行光学部材の焦点位置までの間隔をnとして、(m+n)/2nに設定されていることとすると、回転体の回転姿勢が回転軸に対してブレてしまった場合であっても、レーザ出射部から出射されるレーザ光の出射方向を常に基準平面に平行なものとすることができる。
上記した構成aに加えて、前記平行光学部材は、前記基準反射面により反射された後のレーザ光が進行する光路上であって前記ビームエキスパンダ光学系よりも前記基準反射面側に設けられ、前記レーザ光源側の焦点位置が前記基準反射面により反射される前のレーザ光が進行する光路上に設定されており、前記ビームエキスパンダ光学系の前記角倍率は、前記反射光学部による前記基準反射面での反射回数をkとし、レーザ光が進行する光路において、前記平行光学部材の中心から前記基準反射面までの間隔をmとし、かつ該基準反射面から前記平行光学部材の焦点位置までの間隔をnとして、(m+n)/4knに設定されていることとすると、回転体の回転姿勢が回転軸に対してブレてしまった場合であっても、レーザ出射部から出射されるレーザ光の出射方向を常に基準平面に平行なものとすることができる。
上記した構成aに加えて、前記ビームエキスパンダ光学系は、一対のレンズを互いの焦点位置が一致するように対向されて構成され、当該焦点位置が前記基準反射面により反射された後のレーザ光が進行する光路上に位置するように設けられており、前記ビームエキスパンダ光学系の前記角倍率は、前記反射光学部による前記基準反射面での反射回数が1である場合、レーザ光が進行する光路において、前記平行光学部材の中心から当該焦点位置までの間隔と、当該焦点位置から前記基準反射面までの間隔と、の比が、2対1とされていることとすると、極めて簡易な構成で、回転体の回転姿勢が回転軸に対してブレてしまった場合であっても、レーザ出射部から出射されるレーザ光の出射方向を常に基準平面に平行なものとすることができる。
上記した構成aに加えて、前記ビームエキスパンダ光学系は、前記基準反射面により反射されてから前記反射光学部により反射された後のレーザ光が進行する光路上であって前記出射光軸上に設けられており、前記平行光学部材は、前記基準反射面により反射された後のレーザ光が進行する光路上であって前記ビームエキスパンダ光学系よりも前記基準反射面側に設けられて、前記レーザ光源側の焦点位置が前記基準反射面により反射された後のレーザ光が進行する光路上に設定されており、前記ビームエキスパンダ光学系の前記角倍率は、前記反射光学部による前記基準反射面での反射回数が1である場合、レーザ光が進行する光路において、前記平行光学部材の中心から当該焦点位置までの間隔をm´とし、かつ当該焦点位置から前記基準反射面までの間隔をn´として、m´/2n´に設定されていることとすると、回転体の回転姿勢が回転軸に対してブレてしまった場合であっても、レーザ出射部から出射されるレーザ光の出射方向を常に基準平面に平行なものとすることができる。
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の回転レーザ装置もしくは上記した構成に加えて、前記レーザ出射部には、前記出射光学系を経たレーザ光を、前記回転軸から遠ざかるにともなって一方向に拡がっていく扇状に成形するシリンドリカルレンズが設けられ、前記レーザ出射部は、前記シリンドリカルレンズを介して3本の扇状のレーザ光を出射し、3本の該扇状のレーザ光の断面形状で見て、2本が互いに間隔を置いて延在させるとともに残りの1本が一方の上端と他方の下端とを架け渡すように斜めに延在させることとすると(構成cとする)、傾斜角および高さの測定により好適な所謂N字型のファンビームを、鉛直面で見て基準平面に平行な進行方向のレーザ光により形成することができる。
請求項7または請求項8に記載の回転レーザ装置もしくは上記した構成cに加えて、前記レーザ出射部では、前記ビームエキスパンダ光学系を経たレーザ光が前記各プリズムブロックにより3つに分割され、この3つに分割された各レーザ光が対応する前記シリンドリカルレンズを経ることにより、互いに間隔を置いて前記回転軸と平行に延在する2本の照射光線と、該両照射光線の間で斜めに延在する照射光線と、を形成することとすると、回転体の回転姿勢が回転軸に対してブレてしまった場合であっても、出射方向が常に基準平面に平行な複数のレーザ光で、所定の位置関係とされた3つの照射光線を形成することができるので、高低角の正確な算出を容易なものとすることができ、高い精度での傾斜角および高さの測定を可能とすることができる。