JP7299669B2 - ガイド光照射部を備えた測量機 - Google Patents

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Description

本発明は、測量作業員を誘導するためにガイド光を照射するガイド光照射部を備えた測量機に関する。
ガイド光を照射して測量用ポールを持っている測量作業者を杭打ち点へ誘導するためのガイド光照射部を備えた測量機がある。例えば、特許文献1では、測距光学系の鏡筒部を垂直方向に回転可能に支持する測量機本体と、ガイド光を照射するガイド光照射部と、この鏡筒部やガイド光照射部を含めた測量機本体をカバーするカバー部材を備えている測量機が公開されている。ガイド光照射部は測量機本体の上部に設置されてカバー部材で覆われていることから、カバー部材を外してもガイド光照射部の光軸を調整する必要がない。ガイド光は、光軸を含む鉛直面を境として左右で態様が異なる光で構成され、上下方向に伸びて照射される。
しかし、特許文献1のガイド光は、シリンドリカルレンズを用いて上下に広げているため、ガイド光が拡散する分ガイド光到達距離が短くなるという問題があった。この問題解決のため、特許文献2では、ガイド光照射部を、複数個のガイド光照射機を上下に角度をつけて並設するように構成した。これにより光到達距離を延伸し、かつ上下方向に伸びたガイド光を照射することが可能となった。
特開2015-40830号 特願2019-067256号
特許文献1の測量機に特許文献2のガイド光照射部を搭載することで両者の利点を得ることができる。しかし、拡大されたガイド光の使用範囲に対して測量機の鉛直方向の使用範囲(最大角度)が小さいため、高低差のある測量現場では基準点を別の場所に設けて測定するなど、一度で測定できない場合があった。
これを解決するため、ガイド光照部の使用範囲に合わせて測量機の鉛直方向の使用範囲を拡大する必要がある。現構成において鏡筒部の回転範囲は広く、カバー部材に設けられた測距用のレーザー光を透過する窓を上下方向に延伸することで対応可能だが、カバー部材自体も上下方向に延伸せざるを得ず、さらに視準軸とガイド光の光軸を鉛直方向で一致させるために窓の上方に複数個のガイド光照射機を上下に並設すると、上下方向に著しいサイズアップになるという問題があった。
本発明は、この問題に鑑みてなされたものであり、全体がカバー部材で覆われた測量機において、ガイド光の照射範囲および測量範囲を延伸しつつ、カバー部材(筐体)の大きさは妥当な範囲に収められた測量機を提供する。
このため、本開示のある形態においては、 基盤部と、該基盤部に対して水平方向に回転される回転台座とからなる測量機本体と、測量作業員に測量機本体の視準方向を示すためにガイド光を照射するガイド光照射部と、カバー部材とを備え、前記回転台座には測距光学系の鏡筒部が垂直方向に回転可能に支持される支持部材が設けられ、前記カバー部材は前記支持部材と前記鏡筒部とを含めた測量機本体とガイド光照射部とを被覆している測量機において、 前記ガイド光は、前記ガイド光照射部の光軸中心を境として左右で態様の異なる光から構成され、前記ガイド光照射部は、前記ガイド光照射部の光軸が水平方向においては前記鏡筒部の光軸と略平行となるように、前記鏡筒部とは水平方向にシフトして前記支持部材に保持され、前記ガイド光の水平方向の照射角度をα、前記測量機の最短使用距離をCminとすると、前記ガイド光照射部の光軸と前記鏡筒部の光軸との水平シフト距離Dは、tan(α/2)×Cmin>Dを満たすよう構成した。
この態様においては、ガイド光照射部の光軸を鏡筒部の光軸と水平方向に一致させた状態から、水平方向にずれるようにシフトして配置しても、最短使用距離でもガイド光を視認できるため、水平方向にシフト配置させた影響を打ち消すことができる。ガイド光照射部を鏡筒部の上部に配置する必要がなくなるため、その分鏡筒部の上下方向の使用範囲を広げることができ、またこれに合わせてガイド光の使用範囲も広げることができる。ガイド光を上部においたまま使用範囲を広げると、筐体は上下方向に大きく伸ばす必要があるが、水平シフト配置をすることで、筐体の大きさは使用範囲の拡大に対してさほど大きくする必要はなく、筐体を妥当な範囲の大きさに留めることができる。
またある態様においては、前記ガイド光照射部は、その光軸中心を境として左右で態様の異なる基礎ガイド光を照射する照射機を複数備え、前記複数の照射機は鉛直方向に複数並設され、前記複数の照射機からそれぞれ照射された基礎ガイド光の合成光がガイド光として視認されるよう構成した。この態様によれば、ガイド光を上下方向に延伸できる上、作業者が視認する光は光源を足し合わせたものとなることから、視認距離も伸ばすことができる。
またある態様においては、前記カバー部材は、前記鏡筒部の光軸上に窓を有し、前記窓は、前記カバー部の略底面から略上面まで鉛直方向に伸びて形成されているよう構成した。この態様によれば、鏡筒部の測距光を透過させることができる範囲が広がり、測量機の上下方向の使用範囲を延伸させることができる。
またある態様においては、前記窓は、前記カバー部材の略底面から略上面まで伸び、さらに上面にも伸びて二面にわたり連続して形成されているよう構成した。この態様によれば、鏡筒部の測距光を透過させることが出来る範囲が、上方向90度まで広げることができ、カバー部材を上下方向に延伸させることなく測量機の上下方向の使用範囲を延伸させることができる。
またある態様においては、前記鏡筒部の回転軸と、前記ガイド光照射部のガイド光照射口とが、上下方向に略一致するように、前記ガイド光照射部は配置されるよう構成した。この態様によれば、ガイド光照射部と鏡筒部の鉛直方向の角度の関係は等しくなり、調整等の考慮が不要となる。
また、ある態様においては、前記ガイド光照射部は、垂直方向に摺動可能、または垂直方向に回転可能に、前記支持部材に支持されるよう構成した。この態様によれば、ガイド光照射範囲を上下方向に延伸させることができる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ガイド光照射部を備え、かつ筐体の大きさは妥当な範囲に収められた測量機を提供できる。
本発明に係る測量機の概要を示すための概略斜視図である。 測量機の正面図である。 測量機の内部構造とカバー部材の関係を模式的に示す概略図である。 測量機の光学系の構成を示すブロック回路図である。 測距光学系の一例を示す光学図である。 追尾光学系の一例を示す光学図である。 照射機の光学系の一例を示す光学図であり、(A)が上から見たときの水平方向の光学図、(B)が横から見たときの鉛直方向の光学図である。 ガイド光照射部に備えられる照射機の配置を説明するための説明図であり、ガイド光照射部を横から見たときの鉛直方向の光学図である。 ガイド光照射部の配置を説明するための説明図である。 変形例の一例である。 変形例の一例である。
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
(発明概要)
図1は、本発明に係る測量機1の概要を示すための概略斜視図である。測量機1は、測距・測角機能及び追尾機能を備えたトータルステーションであり、作業者を誘導するためのガイド光Gを照射可能である。ガイド光Gは光軸中心を境として左右で態様の異なる光から構成され、上下方向に伸びる扇状に照射される。
ガイド光Gの光軸は、測量機1の視準方向に対して水平面で略平行であり、視準軸から水平方向に所定距離だけ離れて構成されているが、ガイド光Gにより作業員を誘導する作業工程においては、その距離は十分無視できる程度となっている(後述)。このため、水平面で測量機1の視準軸を境界として左右で態様が異なり、かつ水平に伸びる扇状のガイド光Gが照射されるとみなされる。
使用の方法としては、まず測量機1を三脚台2に取付けて既知点に据えつけ、杭打ち点P1の方向に視準させ、ガイド光Gを照射する。測量機1のターゲットであるプリズム60が装備されたポール40を持った作業者は、測量機1から見えるガイド光Gの態様により、左右どちらへ移動すべきかを自身で判断することができる。例えば本実施形態ではガイド光Gは作業者側からみて右側が赤色の光、左側が緑色の光となるよう構成されているため、作業者が赤色の光を確認した場合には、杭打ち点P1よりも右側にいることになるので、測量機1と向き合って現在地より左側へ移動すればよい。このようにしてガイド光Gの左右の色がほぼ均等に見える方向であるガイド光Gの照射部正面(測量機1の視準方向)へと作業者は誘導される。
また、同時に追尾光によるターゲットの探索走査が行われており、追尾光が上下に往復運動されている。作業者の杭打ち点P1付近へ方向誘導がなされて、ターゲットのプリズム60がロックされるとガイド光Gは消灯する。これにより、作業者はターゲットがロックされたことを知ることができる。ここで測量機1にてプリズム60を測距・測角が行われ、作業者の持つタブレット等の端末に、プリズム60の現在地と杭打ち点P1との差分情報が送られ、作業者はより詳細に誘導されて、杭打ち点P1にポール40を立てる。これにより精度高く杭打ち点P1を設定することが出来る。
ガイド光Gは鉛直方向に伸びる構成であるため、杭打ち点P2,P3のように高低差がある場合でも、作業者がガイド光Gを見つけやすい。測量機1は、鉛直方向の測量範囲も広く、起伏に富んだ測量現場に好適である。
ガイド光Gには、左右異なる色の光を用いる他、一方が点滅光で他方が連続光、あるいは左右で点滅周期が異なる光など、様々な態様の光を用いることができる。
(測量機)
測量機1について、図2~図9を用いて説明する。図2は、測量機1の正面図であり、
図3は測量機1の内部構造を模式的に示す概略図である。図2及び図3に示すように、測量機1は、基盤部3と、この基盤部3に対して水平方向に回転される回転台座4とからなる測量機本体5と、カバー部材6とを含んで構成されている。
基盤部3は、三脚台2に固定される固定座3aと、整準ネジ(図示せず)を有する整準台3bと、回転台座4を水平方向に回転駆動する水平方向駆動モータM1等の駆動機構を内蔵するケース3cとから概略構成されている。
回転台座4には、一対の支持部材7,7が立設されている。一対の支持部材7,7の間に測距光学系と追尾光学系の鏡筒部8が配置されている。鏡筒部8は、一対の支持部材7,7に設けられた水平軸8Aにより、垂直方向に回転可能に支持されている。
水平軸8Aの一方の端部には、鏡筒部8を垂直方向に回転駆動する垂直方向駆動モータM2が固定され、他方の端部には、鏡筒部8の回転角度を検出するためのエンコーダ10が設けられている。
一方の支持部材7の上端部には、回転台座4の水平方向の回転と鏡筒部8の垂直方向の回転とを制御する制御回路基板11が、もう一方の支持部材7の上端部にはガイド光照射部50が、それぞれ配置されている。
水平方向駆動モータM1、垂直方向駆動モータM2、エンコーダ10等は、制御回路基板11に接続され、その制御回路基板11には、後述するCPU9が設けられている。
ガイド光照射部50は、ガイド光Gを照射して、測量作業員を誘導する。ガイド光Gの光軸Lと、鏡筒部8の光軸L2は、平面視で略平行となるよう構成されている。
カバー部材6は、上面に取手部6aと、前面に上下方向に伸びる窓6bと、前面の上隅にガイド光窓6cとを有する。窓6bは鏡筒部8の光軸上に形成され、後述する測距・追尾の光学系の赤外レーザー光を透過する。同様に、ガイド光窓6cは、ガイド光Gの光軸上に形成されており、ガイド光Gを透過する。窓6bが赤外レーザー光の光軸と直交していると、窓6bで反射した赤外レーザー光がそのまま返ってきてしまい、測距・測角に悪影響を与えてしまうため、これを回避するよう、窓6bは赤外レーザー光の光軸とは直交せず、僅かに水平方向に傾けられて、反射による誤差が出ない配置とされている。
回転台座4のカバー部材6との接点には、雨水などが侵入するのを防止するシール部材(図示を略す)が設けられている。
カバー部材6とガイド光照射部50、制御回路基板11との間には隙間が設けられている。これにより、カバー部材6の取付け、取り外しの際に、カバー部材6がガイド光照射部50に接触するのを防止できる。また、カバー部材6に外部からの衝撃が加わった場合でも、内部の制御回路基板11やガイド光照射部50にその影響が極力及ばないようにすることができる。カバー部材6はガイド光照射部50と鏡筒部8から離間してこれを被覆しており、カバー部材6を外しても両者の光軸を調整する必要がない。
(ブロック図)
次に各種光学系を説明する。図4は、測量機1の光学系の構成を示すブロック回路図である。CPU9は各種演算を行う回路やメモリーを備え、無線送受信部37、測距光学系13、追尾光学系14、駆動回路部35、ガイド光照射部50が接続され、メモリー内のデータやプログラム、及び入力されたデータや受領したデータから演算を行い、命令信号を発して、これらを制御する。
(測距光学系の構成)
鏡筒部8には、測距光学系13と追尾光学系14とが設けられている。測距系光学系から説明する。図5に示すように、測距光学系13は、送光部13Aと受光部13Bとを有する。送光部13Aは、光源13A’を有し、受光部13Bは受光素子13B’を有する。
光源13A’は赤外レーザー光を出射する。その赤外レーザー光はビームスプリッタ18のダイクロイックミラー面18aにより対物レンズ19に向けて反射され、カバーガラス20を介して測量機1の外部に出射され平行光PB3として出射される。
その平行光PB3は、測量機1のターゲットであるプリズム60(図1参照)により反射され、反射光PB3’としてカバーガラス20を介して対物レンズ19に戻り、ビームスプリッタ18のダイクロイックミラー面18bにより反射され、受光素子13B’に収束される。
その受光素子13B’の受光出力はCPU9の演算部に入力される。CPU9はその受光素子13B’の受光出力に基づきプリズム60までの距離を演算する。
(追尾光学系の構成)
追尾光学系14の構成について説明する。追尾光学系14は、プリズム60をロックするのに用いられる。図6に示すように、この追尾光学系14は、レーザーダイオード23、コリメートレンズ24、反射ミラー25、26、対物レンズ30、カバーガラス20、ノイズ光除去用フィルタ33、受光素子34を有する。
レーザーダイオード23、コリメートレンズ24、反射ミラー25、26は送光部14Aを大略構成している。対物レンズ30、ノイズ光除去用フィルタ33、受光素子34は受光部14Bを大略構成する。
レーザーダイオード23は、測距光学系13の測距光の波長とは異なる波長の赤外レーザー光PB4を追尾光として出射する。赤外レーザー光PB4はコリメートレンズ24によって略平行光とされる。
反射ミラー25、26により反射された赤外レーザー光PB4はカバーガラス20を介して測量機1の外部に出射され、この赤外レーザー光PB4によってプリズム60の探索走査が行われる。探索範囲にプリズム60があると、赤外レーザー光PB4がプリズム60により反射されて対物レンズ30に戻る。
赤外レーザー光PB4の反射光PB4’は対物レンズ30により収束され、ノイズ光除去用フィルタ33を通過して受光素子34に結像される。ノイズ光除去用フィルタ33は反射光PB4’と同一波長の光を透過させる機能を有する。
なお、本実施形態では、追尾光学系14の対物レンズ30と測距光学系の対物レンズ19とを別体の構成としたが、これらを一体の構成としても良い。
(駆動部の構成)
測量機1は、駆動回路部35を有している(図4参照)。この駆動回路部35には、水平方向駆動モータM1と垂直方向駆動モータM2とが接続されている。
その駆動回路部35はCPU9によって制御され、CPC9は無線送受信部37が鏡筒部回転許可信号を受信すると、水平方向駆動モータM1の回動許可信号を駆動回路部35に向かって出力する機能を有する。
CPU9は基準とする方位信号と鏡筒部回動許可信号により測量機1の鏡筒部8が向いている水平方向の現在角度から次の杭打ち点までの水平方向の回転角度を演算する。CPU9が演算結果を駆動回路部35に出力することにより、駆動回路部35は水平方向駆動モータM1を駆動させて、杭打ち点P1が存在する方向から次の杭打ち点P2が存在する方向にむけて、鏡筒部8を回転させてその位置で停止させることが可能となる。
駆動回路部35は垂直方向駆動モータM2を正逆回転させる機能を有し、これにより、鏡筒部8を上下方向に回動させることで、追尾光学系14の赤外レーザー光PB4を上下方向に往復走査させることができる。
(照射機)
次に、ガイド光照射部50について説明する。ガイド光照射部50は、複数(本実施形態においては2個)の照射機55を有する(図4参照)。照射機55は、照射方向である光軸L’を含む鉛直面を境として左右で形態の異なる基礎ガイド光G’を照射する。複数の照射機55から照射される基礎ガイド光G’の合成光が、ガイド光Gとして視認される。
照射機55について図7を用いて説明する。なお、図7では基礎ガイド光G’の状態を説明するために照射光を着色している。また(B)では発光ダイオード57a,57bを省略して光源57aS,57bSのみで示し、光源57aS,57bSは側面視して配置が一致するため、後方配置された一方をカッコ内に示す。
図7に示すように、照射機55は光学系として、一対の発光ダイオード57a,57b、直角ミラー56、集光レンズとしてコリメートレンズであるレンズ58を有する。
直角ミラー56は反射面56a,56bを有し、両者の成す角は直角となっている。レンズ58の光軸L’上でレンズ58の後方焦点を通る鉛直面に反射面56a,56bの稜線が一致するように直角ミラー56が配置されている。反射面56a,56bは、レンズ58の方を向いており、かつ光軸L’とは逆方向へ等角度傾斜している。一方の反射面56aの反射光軸La上には赤色の発光ダイオード57aが、また他方の反射面56bの反射光軸Lb上には緑色の発光ダイオード57bが、それぞれ配置されている。
赤色の発光ダイオード57a,および緑色の発光ダイオード57bの直前方には絞り部59a,59bが設けられている。絞り部59a,59bは各光を半分カットする役割を果たす。
赤色の発光ダイオード57aの光源57aSから照射された赤色光が反射面56aで反射し、同様に緑色の発光ダイオード57bの光源57bSから出射された緑色光が反射面56b反射し、光軸L’を含む鉛直面に発光色が二分された状態で、基礎ガイド光G’としてレンズ58から照射される。
レンズ58から出射した基礎ガイド光G’は、光軸L’を照射方向として、鉛直方向にも水平方向にも広がり角度として拡散角度α(光軸L’を中心にα/2ずつ)で広がりながら前方に照射される。遠くからレンズ58を覗き込んだときの結像位置(後方焦点)に直角ミラー56の頂点が配置されているため、赤色と緑色の光の境界を鮮明に際立たせて投影することができる。
(ガイド光照射部)
この照射機55が二つ配置されるガイド光照射部50について、図8を用いて説明する。二つの照射機55,55はその光軸L’,L’が、平面視して略一致し、かつ鉛直方向には所定角度βを成すように、レンズ58のある端部側を寄せ合うように傾けて上下に並設される。
二つの照射機55,55の鉛直方向に成す角度βが単一の照射機55の鉛直方向の光の拡散角度αよりも小さくなるように、配置が調整されている。このように配置することで照射機55,55の照射範囲でカバーされない隙間の発生を防止することができる。
ここで、照射機55,55の配置距離B(レンズの中心間距離)は、ガイド光照射部50の想定される使用距離を想定使用距離Aとして、想定使用距離Aだけ離れた点とレンズ58の中心までの線分が成す角度γ(γ=tan-1(B/A)*180/π)が1分(1/60度)以下となるように設定する。これは、視力1.0の人の目の角度分解能(視角)は1分であるため、視角1分以下の範囲に複数の光源がある場合、個々に分かれた光源ではなく、各光源を単一で見たときの明るさを足し合わせた1つの光源として見えるためである。即ち、角度γを1分以下とすることで、照射機55,55から照射された光が作業者には加算されて見え、合成されるガイド光Gの到達距離を単一の照射機55の基礎ガイド光G’よりも伸長する効果を得ることが出来る。
さらに二つの照射機55,55が上下方向に並設され、かつ二つの照射機55,55は光軸L’を水平から上下に等角度傾けて照射しており、ガイド光Gは基礎ガイド光G’よりも上下方向に伸長され、起伏のあるところでも使用でき、かつ見つけやすいものとなっている。
ガイド光照射部50から照射されるガイド光Gの照射方向である見かけ上の光軸Lは、二つの照射機55の(ベクトルとしての)光軸L’の和となる。本実施形態では、二つの照射機55,55は上下に等角配置されているため光軸Lは水平となり、ガイド光Gは上下方向に均等に広がりながら照射される。
また、測量機1の測量可能角度に合わせて照射機55の配置角度を調整することも可能である。例えば測量機1の鉛直方向の使用範囲が+55°~-30°である場合、光軸Lが水平よりも僅かに上方向となるように照射機55の配置を調整することで、測量機1の仕様にマッチしたガイド光Gを照射することができる。
(ガイド光照射部の配置)
ここでガイド光照射部50の配置について説明する。図9に示すように、ガイド光照射部50の光軸Lと鏡筒部8の光軸L2は平面視して平行であり、両光軸を含むそれぞれの鉛直面は、距離Dだけ離間している。即ち、ガイド光照射部50は鏡筒部8から水平方向には距離Dだけシフトして配置されている。
ここで、ガイド光Gと光軸L2との交点を交点Pminとすると、交点Pminより以降は、ガイド光Gを視認することができる(図9中の矢印参照)。ガイド光Gの水平方向の拡散角度は、基礎ガイド光G’の拡散角度αと等しいことから、測量機1(基準となる中心点)から交点Pminまでの距離をCxとすると、以下の関係が成り立つ。
tan(α/2)×Cx=D
ここで、交点Pminまでの距離Cxが、測量機1の最短使用距離Cminのとき(Cx=Cmin)、ガイド光Gは測量機1の最短使用範囲から視認されるものとなる。このときの両光軸の水平方向の距離をDmaxとすると、関係式は以下の通りである。
tan(α/2)×Cmin=Dmax
ここで水平方向の距離DがDmax以下(Dmax>D)となるようにガイド光照射部50を配置すれば、測量機1の最短使用距離からガイド光Gが視認可能となる。即ち、ガイド光Gの視認範囲は、ガイド光照射部50の光軸を視準軸と水平面において略一致させて配置した場合と同等の範囲となり、光軸同士を水平方向にシフトさせた影響がなくなる。このため、距離Dは
tan(α/2)×Cmin>D
を満たすものとする。
例えば、最短使用距離Cmin=900mm、ガイド光Gの水平方向の拡散角度α=8°とすると
tan(8°/2)×900≒62.8mm
となため、光軸L2から水平方向には62.8mm以下となる位置にガイド光照射部50を配置することで、測量機1の最短使用距離の900mmから離れた位置からでもガイド光Gが視認可能となり、ガイド光Gの視認範囲は、ガイド光照射部50の光軸を視準軸と水平面において略一致させて配置した場合とほぼ同等となる。
また、最短使用距離Cmin近傍での使用ならば、ガイド光Gの誘導が受けられなくとも、至近距離であるため測量機1の正面を視認可能なことから、実使用上は問題がない。
殆どの場面で、ガイド光Gは数メートル以上離れた場所から確認されるため、この程度のオフセット距離は十分無視できるものである。まずはガイド光Gにて作業者を杭打ち点Pの近傍まで誘導の後、プリズム60を測距・測角することで精度の高く杭打ち点Pが確定される。
(変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態について述べたが、上記の実施形態は本発明の一例である。
図10に変形例として測量機1Aを示す。測量機1Aの窓6b’は、カバー部材6の正面に上下方向に伸び、さらに連続して正面の上端から上面の中ほどまで延伸されており、正面と上面の二面にわたり形成されている。支持部材7,7は一対の柱であり、この間に位置する鏡筒部8は、支持部材7,7に設けられた水平軸8Aに回動可能に支持されており、真上にも向くことができる。ガイド光照射部50が鏡筒部8の真上ではなく、水平方向には距離Dだけ離間して配置されているため、鏡筒部8の上方にはカバー部材6以外存在しない。さらに取手部6aは上面中央を避けるように傾斜して設けられている。このため、カバー部材6の上面にまで窓6b’を延伸して形成することが可能である。これにより、測量機1Aの使用範囲をさらに広げることができ、最大角度を+90°近傍まで広げることができる。この実施形態においは、内蔵されるガイド光照射部50には、照射機55を3以上用いてこれを等角度配置するなどして、ガイド光Gの鉛直方向の照射範囲も延伸すると好ましい。
図11は、別の変形例である測量機1Bを示す。この形態においては、ガイド光照射部50’の配置は、鏡筒部8の配置と上下方向に略一致している。このように構成されることで、両者の鉛直方向の角度の関係は等しくなり、調整等の考慮が不要となる。
また、図11に示すように、ガイド光照射部50は、水平軸50Aで回転可能となるように、一方の支持部材7で保持されてもよい。
あるいは、ガイド光照射部50は垂直軸50Bに摺動可能に支持部材7で保持されてもよい。このように構成することで。ガイド光Gの照射範囲を鉛直方向に広げることができる。なお、この場合、ガイド光窓6cも上記構成に合わせて形成され、鉛直方向に延伸される、あるいはさらに窓6b’のように上面まで連続して延伸されると好ましい。
このような変形や組み合わせは当業者の知識に基づいて行うことができ、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
1 測量機
3 基盤部
4 回転台座
5 測量機本体
6 カバー部材
6b 窓
7 支持部材
8 鏡筒部
8A 水平軸
50 ガイド光照射部
55 照射機
G ガイド光
α (ガイド光の)拡散角度

Claims (6)

  1. 基盤部と、該基盤部に対して水平方向に回転される回転台座とからなる測量機本体と、測量作業員に前記測量機本体の視準方向を示すためにガイド光を照射するガイド光照射部と、
    カバー部材とを備え、前記回転台座には測距光学系の鏡筒部が垂直方向に回転可能に支持される支持部材が設けられ、前記カバー部材は前記支持部材と前記鏡筒部とを含めた前記測量機本体と前記ガイド光照射部とを被覆している測量機において、
    前記ガイド光は、前記ガイド光照射部の光軸中心を境として左右で態様の異なる光から構成され、
    前記ガイド光照射部は、前記ガイド光照射部の光軸が水平方向においては前記鏡筒部の光軸と平行となるように、前記鏡筒部とは水平方向にシフトして前記支持部材に保持され、
    前記ガイド光の水平方向の照射角度をα、前記測量機本体の最短使用距離をCminとすると、前記ガイド光照射部の光軸と前記鏡筒部の光軸との水平シフト距離Dは、
    tan(α/2)×Cmin>D
    を満たす、
    ことを特徴とする測量機。
  2. 前記ガイド光照射部は、その光軸中心を境として左右で態様の異なる基礎ガイド光を照射する照射機を複数備え、
    前記複数の照射機は鉛直方向に複数並設され、
    前記複数の照射機からそれぞれ照射された前記基礎ガイド光の合成光が前記ガイド光として視認される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の測量機。
  3. 前記カバー部材は、前記鏡筒部の光軸上に窓を有し、
    前記窓は、前記カバー部材底面から上面まで鉛直方向に伸びて形成されている、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の測量機。
  4. 前記窓は、前記カバー部材の前記底面から前記上面まで伸び、さらに前記上面にも伸びて二面にわたり連続して形成されている、
    ことを特徴とする請求項3に記載の測量機。
  5. 前記鏡筒部の回転軸と、前記ガイド光照射部のガイド光照射口とが、上下方向に一致するように、前記ガイド光照射部は配置される、
    ことを特徴とする請求項1~請求項3に記載の測量機。
  6. 前記ガイド光照射部は、垂直方向に摺動可能、または垂直方向に回転可能に、前記支持部材に支持される、
    ことを特徴とする請求項1~請求項4に記載の測量機。
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