JP2010280141A - 熱成型に使用されるポリオレフィン系樹脂積層発泡シート及びそれを使用した熱成型物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(C)/(A)/(B)/(A)の層構成を有し、各層は以下の条件を満たし、共押出しにより積層成形された熱成型用の積層発泡シート(A)無機系充填材を5〜55重量%、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を95〜45重量%含有する、ポリオレフィン系複合樹脂組成物層であり、該組成物のMFRが0.2〜20g/10分である(B)発泡剤を含有させて発泡させたポリオレフィン系樹脂層であって、発泡倍率が1.5〜6倍で、連続気泡率が30%以下である(C)10〜500μmの厚みを有す発泡エラストマー層であり、発泡倍率が1.2〜3倍であり、デュロ硬度Aが90以下であり、MFRが30g/10分以下である。
【選択図】図1
Description
ポリオレフィン系樹脂発泡材料は、最近においては、車両用資材や建材或は家具材料や生活用品など各種の用途に広く利用され、特に、その顕著な軽量性からして、材料用途として最も需要量の多い自動車用の内外装材や部品材料として注目されている。
かかる技術事情を背景に、自動車の軽量化や使用材料のリサイクル促進のために、従来から、重量の重い金属材料やゴム資材から軽量のプラスチック材料への変換が進められており、最近では、プラスチック材料として、各種の物性に優れ経済的で成形性も高く環境問題やリサイクルに適応し易いポリプロピレン系樹脂材料が、自動車の内外装材や部品材料として、主として利用され重用されるようになっている。
そして、車両の更なる軽量化を促進するために、発泡樹脂材料の使用が注目され、最近では上述したように、ポリプロピレン系樹脂発泡材料に代表されるポリオレフィン系樹脂発泡材料が、自動車用の内外装材や部品材料として好適に使用されつつある。
そして、ポリオレフィン系樹脂発泡材料により、自動車の内外装材や部品材料を成形するには、溶融ポリオレフィン系樹脂に炭酸ガスやブタンなどの揮発性ガスを金型内の高温高圧下で添加溶解し、その金型内で加圧された溶融樹脂を発泡させ気泡を形成させることにより発泡ポリオレフィン系樹脂成型品を得ることができるが、機械的な物性の向上は考慮されず、しかも、金型内発泡なので生産性が低い欠点を避けられない。
一方、発泡性ポリオレフィン系樹脂材料を押出成形機内で溶融混練してダイスから連続的に押出して発泡させ発泡樹脂シートを製造する成形法もあり、連続製造なので生産性は非常に高いが、この押出発泡成形は薄肉成形部品を対象とするものであり、自動車用材料としては、剛性や耐衝撃性などの機械的物性の向上が必須であり、また、発泡の気泡形状がシート表面に顕出して触感や外観が不良となる欠点を呈している。
また、発泡シート層の外観の不良の改善には、エラストマーを積層する方法が想定され、エラストマーシートに発泡シートを接着剤にて貼合積層し、積層シートを真空成形して凹凸模様の付された自動車内装材を製造する方法が提示されている(特許文献2)。しかし、当方法は発泡シートの機械的物性の向上は何ら考慮せず、しかも両シートを別個に成形し貼合積層してから真空成形するので生産性が非常に低いものである。
ポリプロピレン系樹脂基材層に熱可塑性樹脂発泡層とエラストマー層を積層した自動車内装用積層シートも提案されているが(特許文献3)、ポリオレフィン系樹脂と部分架橋されたα−オレフィン共重合体ゴムとの混合物である、特殊な熱可塑性エラストマーを使用するものであるし、剛性や耐衝撃性は向上せず、基材層とエラストマー層を共押出した後に、接着剤層を設けた発泡層を積層するから生産効率が低く、熱成型により自動車用材料を成型するものでもない。
そしてそれらの結果として、ポリオレフィン系積層発泡樹脂材料を使用して、剛性や耐衝撃性などの機械的な物性が向上され、発泡層の表面にソフト感などの意匠性が付与された、自動車用内外装材や部品材料を生産性よく製造し得る発明を創案するに至った。
そして、本発明における新規な特定の構成の要件及びそれらによる発明の顕著な効果は、前記した各特許文献及び列記していないその他の特許文献を精査しても些かも窺えないものである。
(A−1)無機系又は有機系充填材を5〜55重量%、ポリオレフィン系樹脂を95〜45重量%含有する、ポリオレフィン系複合樹脂組成物層であり、複合樹脂組成物のMFR(メルトフローレート;JIS K7210−1999に準拠して、230℃・21.2Nの条件で測定)が0.2〜20g/10分である。
(B−1)発泡剤を含有させて発泡させたポリオレフィン系樹脂層であって、発泡倍率が1.5〜6倍で、連続気泡率が30%以下であり、MFR(JIS K7210−1999に準拠して、230℃・21.2Nの条件で測定)が0.5〜10g/10分であり、190℃におけるメルトストレングスが5g以上である。
(C−1)熱可塑性樹脂エラストマー(C)に発泡剤を含有させ、発泡させたエラストマー層であって、発泡倍率が1.2〜3倍であり、(A)層と(B)層の厚みの合計厚みに拘わらず、10〜500μmの厚みを有し、デュロ硬度A(JIS 6253に準拠して測定)が90以下であり、MFR(JIS K7210−1999に準拠して、230℃・21.2Nの条件で測定)が30g/10分以下である。
[3][1]又は[2]における熱成型用の積層発泡シートを、真空成形方法、真空圧空成形法、プラグアシスト真空成形法、プラグアシスト真空圧空成形法のいずれかの成形法にて成形したことを特徴とする熱成型物品。
[4][1]又は[2]における熱成型用の積層発泡シートを両面真空成形方法にて成形したことを特徴とする熱成型物品。
[5]少なくとも発泡エラストマー層(C)の表面が熱成型時に接触する成型用金型として、通気可能なポーラス構造を有する金属製又はセラミック製の金型を用いて熱成型されたことを特徴とする、[3]又は[4]における熱成型物品。
[6]発泡エラストマー層(C)の表面が、熱成型時に接触するシボ加工(皺加工)された成型用金型表面のシボ模様を転写していることを特徴とする、[4]における熱成型物品。
本発明の基本発明である、熱成型用の積層発泡シートは、少なくとも基本的には(B)/(A)/(C)の三層又は(A)/(B)/(A)/(C)の四層の構成を有し(或はそれ以上も包含する)、(A)は無機系又は有機系充填材を5〜55重量%、ポリオレフィン系樹脂を95〜45重量%含有し、MFRが特定された基材層であり、(B)は発泡ポリオレフィン系樹脂層であって、発泡倍率が1.5〜6倍で、連続気泡率が30%以下であり、MFRとメルトストレングスが特定され、一方の面の最外層に熱可塑性樹脂発泡エラストマー層(C)が設けられ、(C)層が、(A)層と(B)層の厚みの合計厚みに拘わらず、10〜500μmの厚みを有する最外層として共押出しにより積層成形され、(C)層の発泡倍率が1.2〜3倍で、デュロ硬度AとMFRが特定された、熱成型用のポリオレフィン系樹脂積層発泡シートである。
無機系又は有機系充填材を含有するポリオレフィン系樹脂の組成物層であり、積層発泡シートの基材層をなし、無機系などの充填材により、剛性や耐衝撃性などの機械的物性の向上を担う。
充填材を含有するポリオレフィン系樹脂(A)に関しては、いかに、自動車用部品などに求められる諸物性を維持しつつ、その隣接する発泡層の気泡形成に影響を与えない樹脂温度で溶融混錬押出でき、ダイスからキャストした溶融樹脂をロールで冷却できるか、更には、その後の両面真空成型などの二次加工時において加熱時のドローダウンなど、生産性を維持できるかが重要となる。
無機系充填材が5〜55重量%、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂が95〜45重量%から構成され、複合樹脂組成物の230℃・21.2N49N(JIS K7210−19
99)にて測定したMFRが0.2〜20g/10分を満たす。
更に好ましくは、押出し時の発熱を抑え、発泡エラストマー層との押出積層を可能にするため、また、成型品の耐衝撃性や剛性のバランスを維持するために、230℃・21.2N(JIS K7210−1999)にて測定したMFRが4〜20g/10分の溶融物性を有するホモポリプロピレン、プロピレンエチレンブロックコポリマー、プロピレンエチレンランダムコポリマー、及びこれらの混合物が良い。
添加されない場合、特に上記で示したように、微細な気泡を形成するために必要な、流動性の良い複合樹脂層のポリオレフィン系樹脂を使用する際には、垂れ下がりが非常に激しく、金型形状に腑形できない場合があり、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂の添加は非常に有効な手段となる。30重量%を超えると、押出時の剪断発熱などで(B)層のの発泡層の気泡の形成に悪影響を与える場合がある。
添加できるエラストマーは、公知のエラストマーが使用できるが、一例としては、スチレン系エラストマーとポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどが例示でき、スチレン系エラストマーとしては、スチレンブタジエンエラストマー及びその水添樹脂(SBR、HSBR)、スチレンブタジエンスチレンブロックコポリマー及びその水添樹脂(SBS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロックコポリマー及びその水添樹脂(SEBS)、スチレンエチレンスチレンブロックコポリマー及びその水添樹脂(SEP)、スチレンビニルイソプレンブロックコポリマー及びその水添樹脂(SBIS)、スチレンイソブチレンスチレンブロックコポリマー及びその水添樹脂(SIBS)などが例示され、ポリオレフィン系エラストマーとしては、エチレンブタジエンゴム(EBR)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、メタロセン系ポリエチレン、エチレンと炭素数が4以上とのコモノマーを共重合させたことにより得られるエラストマー、エチレンとプロピレンと炭素数が4以上とのコモノマーを共重合させたことにより得られるエラストマーなどが挙げられる。
また、50重量%を上限として、本発明の発泡積層シートを得る際に発生する耳ロスや成型のスケルトンロスなどの粉砕物、石油樹脂やシクロオレフィン系樹脂、ポリエチレンワックスや石油ワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ABSなどの異なる樹脂を、本発明の作用効果を阻害しない範囲で配合することもできる。
MFRが0.2未満の場合、押出時の発熱が大きくなり、発泡層の押出温度に影響を与え、微細な気泡が得られなくなる。また、MFRが20より大きい場合にはダイスから押出した後、冷却ロールまでの間でのシートの保持力がなくなってしまい、成形できない。
このような充填材は、自動車用内外装材や部品材料など産業用部品としての用途において、曲げ強度、耐衝撃強度、耐熱性、寸法変化率などの物性を高次元で向上させるために有効である。
ポリオレフィン系樹脂に発泡剤を含有させ、発泡させたことによって構成される層であり、軽量化の効能を担う層である。
発泡倍率が1.5〜6倍、連続気泡率が30%以下を満たすことが必要である。また、230℃・21.2N(JIS K7210−1999)にて測定したMFRが0.5〜10g/10分、190℃におけるメルトストレングス(メルトテンションMTと同義)が5g以上と特定される。
適宜なMTを得る方法として、ポリオレフィンを電子線照射して長鎖分岐を付与したり、パーオキサイドと架橋モノマーの存在下に押出機内で変性することによって長鎖分岐を付与したり、多段重合により高分子量の成分を付与して溶融張力を向上させるといった方法が挙げられる。
MFRをこの範囲内に調節するために、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンとの共重合体、エチレン又はプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステルなどとの共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどを混合しても良い。
特に、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂などは、ポリエチレン系やポリプロピレン系樹脂製シートの生産工程での廃棄ロスの有効活用となる。本発明における積層体生産中に発生する耳ロスやスケルトンを発泡層に戻すことに対しては、本材料は電子線架橋や過酸化物による架橋などの後架橋処理を行っていないため、メルトテンションの低下が少なく、有効に働く。添加量としては、70重量%以下、好ましくは50重量%以下、更に好ましくは30重量%以下であると良い。
以下の発泡性ガスと発泡作用については、ポリオレフィン系発泡層(B)について記述するが、発泡エラストマー層(C)にも適用される。
本発明に使用される発泡性ガスは、揮発性炭化水素やエーテルなどの通常の発泡性ガスが使用されるが、特に炭酸ガスが好ましく使用される。
炭酸ガスなどの発泡性ガスを含有させるための方法としては、大別して押出機内に直接ガスを注入する方法と、化学的に熱分解しガスが発生する化学発泡剤を予め添加して、押出機内で混錬する方法が挙げられる。
また、化学的に熱分解しガスが発生する化学発泡剤を予め添加して、押出機内で混錬する方法は、押出機にポリオレフィン系樹脂を供給する段階において、マスターバッチの形態で化学発泡剤をドライブレンドなどの方法で添加しておき、押出機内で可塑化混錬しつつ、化学発泡剤を分解し、溶融ポリオレフィンにガスを含有せしめる方法である。
ここで連続気泡率と独立気泡率とは、気泡構造において隣接する気泡とどの程度連続、即ち気泡壁が破れて連通しているか、又は、独立しているかを示す指標であり、一般的には実施例で示すような空気比重計を用いて測定される。連続気泡率と独立気泡率の値は、その後の熱成型などの二次加工性に影響を及ぼす。また、形成されたシートの外観にも影響を及ぼす。
連続気泡率は30%以下であることが必要で、好ましい連続気泡率は20%以下であり、更に好ましくは15%以下である。30%を超えると、気泡が連続している部分が窪んだりしてシートの外観が悪化すると共に、二次加工の際の再加熱によって熱膨張が優先的に起こり破膜したりする不具合が生じる。
本発明の積層発泡シート及び成型品は、少なくとも一方の面の最外層(C)層が、表面特性の付与のために設けられ、JIS6253準拠にて測定したデュロ硬度Aが90以下を満たす熱可塑性樹脂エラストマーの発泡層であることが必要である。これはシートと成型品のソフトな感触を得るために必要であり、デュロ硬度90より大きい値を持つと、表層材の軟質性と対象物との密着性が低下し、ソフト感が得られない。
本発明においてシートを作る製法は共押出法が選択されるが、その際ポリオレフィン系複合樹脂及び発泡剤を含有したポリオレフィン系樹脂との共押出特性を維持するためには、MFRがこの値より高い場合、各層が合流した後に、表層以外の層の樹脂成分に表層材料(C層)が押しやられ、ダイス出口後では表層に均等に乗らず、シートの外側にのみ表層材が集まる傾向が顕著になり、均一の積層体が得られなくなり、また、MFRがこの値より低い場合、逆にダイス幅方向への広がりが悪くなり、やはり幅全体に均一な積層体が得られなくなり、押出時に押出圧力上昇による発熱が生じ、中心層の発泡体の気泡形成に悪影響を与えるなどの不具合が生じる。
0μmの厚みを有することが必要である。ソフト感は(C)層の厚みの影響を受け、10
μm未満では、その隣接する層の剛性感が表層に現れてしまい、ソフト感が失われ、50
0μmを超えると、ソフト感は増加せず、逆に積層体全体の剛性が低下し、コストも上昇することとなり、好ましくない。
この中で、スチレン系エラストマーとポリオレフィン系エラストマーの少なくともいずれか1種類を含む材料が50重量%以上、ポリプロピレン系樹脂が50重量%以下で構成される熱可塑性樹脂からなることが、その他の層との密着性を維持できる観点から好ましい。
エラストマー層(C)の発泡倍率は1.2〜3倍が好ましく、更に好ましくは1.2倍〜2.5倍である。1.2未満では発泡せしめたエラストマー層のクッション性が発現できない、3倍を超えると、次に両面真空成型をする際に(B)層のポリオレフィン系発泡層の発泡の際に、(B)層の再発泡が行われ難くなり、エラストマー層のみが再発泡してしまい、結果として、最終的な増厚み効果による剛性向上効果が得られず、表面層もエラストマー層の過発泡により良好なものとならない。発泡倍率は、希望の発泡倍率になるよう、ガスの供給量、若しくは化学発泡剤の量を調整する。
三種の層の(A)〜(C)の各層の樹脂は別々のスクリュー型押出機にてフィードさせる方法による。押出機としては、任意の単軸押出機や二軸押出機が使用できる。ダイスより押し出す直前に、これらの層を溶融状態で積層する方法であればいずれの手法を用いてもよい。例えば、押出機で溶融混練された後、ダイス内で積層するマルチマニホールド方式や、ダイスに流入させる直前に積層するフィードブロック方式(コンバイニングアダプター方式)などを挙げることができる。
合流は(B)/(A)/(C)又は(A)/(B)/(A)/(C)の層構成にて押し出されることが基本であるが、例えば(C)と(A)の間に別の押出機にて(C)層との接着のための層を追加したり、(A)の外側の層にさらに他の部品と溶着させるための溶着層や接着層などを配しても良い。
冷却固化後の後処理に関しては、発泡エラストマー層のソフト感を損なわない範囲で特に制限は無く、例えばコロナ処理、火炎処理、フレーム処理、プラズマ処理などの極性基付与処理工程、コーターロールによる防曇剤や帯電防止剤などのコーティング処理工程、傷付防止剤コーティング、光沢低減のためのコーティング、印刷や塗装などが使用可能である。
本発明の積層発泡シートは、自動車用内外装材や部品材料などの成型品に二次成型するのに極めて好適である。本発明においては、共押出しにより三層又はそれ以上の積層発泡シートが成形され、それを直接に真空成形などの熱成型に使用するので、生産性を高くすることができる。
二次成型に用いられる成形法には、通常任意の公知の方法である真空圧空成形法、真空成形法、プラグアシスト真空成形法、プラグアシスト真空圧空成形法、プレス成形法、両面真空成形法などがあるが、シートの発泡性能を維持したまま成形できることから、真空圧空成形法、真空成形法、プラグアシスト真空成形法、プラグアシスト真空圧空成形法、両面真空成形法のいずれかが好ましく、更に発泡性能の軽さを引き出す方法として、発泡倍率を向上させ、目付けは変化無いものの厚みの向上による弾性二次モーメントの増加による剛性向上効果が期待できることから、両面真空成形法が最も好ましい。以下において両面真空成形法に関して詳述する。
また、エラストマー層の耐傷付性、外観を向上させるために、金型表面はディンプル(微小窪み)形状や、皮シボ(皺)などの形状にシボ加工されていることが好ましい。
本発明の発泡成型品は、自動車の内外装材や部品材料として特に好適であるが、椅子の肘掛に代表される家具など、軽量性が要求されかつ、触感がソフトであり、剛性や耐熱性及び寸法安定性や外観の良さなどが必要とされる多様な分野に利用されうる。
MT(単位:g):東洋精機製作所製のキャピログラフを用いて、シリンダー温度19
0℃、オリフィスL/D=8.1/2.095(mm)、ピストンスピード20mm/分、引取速度314m/分の条件下で行い、定常時の張力をMT値とした。
エラストマー層発泡倍率:30μmにスライスした積層シート断面のうち、エラストマー層の断面から、気泡の面積と樹脂部分の面積の比率を画像解析により算出し、発泡倍率を求めた。
連続気泡率(単位:%)と独立気泡率(単位:%):測定装置としてエアーピクノメーター(東芝ベックマン製・型式930)を用いて、空気比重を測定し、多層による非発泡層、上記で求めたエラストマー層の寄与分を除外し、以下の式により連続気泡率、独立気泡率、発泡倍率を測定した。
連続気泡率={(見掛発泡層体積−測定値)/見掛発泡層体積}×100
独立気泡率={(測定値−発泡層重量/0.9)/見掛発泡層体積}×100
発泡倍率=100/(100−独立気泡率−連続気泡率)
シート成形性:積層発泡シートを成形する際、問題なく成形でき、得られた積層発泡シートに、光沢ムラ、スジ、荒れが無いものを ○ と評価し、積層発泡シートを成形する際、各層材料の粘度バランスの不良による流れむらなどが生じ、シート外観で光沢ムラ、フローマーク、スジ、荒れを目視で確認できたものを × と評価した。
(A)層;タルク(富士タルク社製PKP53S)を25重量%、ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ社製 ノバテックPP・BC3 MFR10g/10分)60重量%、エラストマー(日本ポリエチレン社製 カーネル・KF270 MFR2.0g/10分 密度0.907g/cm3)15重量%を二軸押出機で混錬した材料
(B)層;ポリプロピレン(日本ポリプロ社製 ニューフォーマー・FB5100 MFR1=1.0g/10分)100重量部に対し、発泡剤としてクラリアント社製発泡剤CF40E(重曹・クエン酸系化学発泡剤)を発泡倍率(X)が2.1倍になるように添加量を調整してドライブレンドで混ぜた材料
(C)層;スチレン系エラストマー(三菱化学社製 ラバロン・SE8400 MFR1.0g/10分 デュロA硬度 85)100重量部に対し、発泡剤としてクラリアント社製発泡剤CF40E(重曹・クエン酸系化学発泡剤)を発泡倍率(X)が1.5倍になるように添加量を調整してドライブレンドで混ぜた材料
上記材料を、(B)層を成形する押出機として65φmm(スクリュー先端温度 18
0℃)、(A)層を成形する押出機として90φmm(スクリュー先端温度190℃)、(C)層を形成する押出機として50φmm(スクリュー先端温度 180℃)の押出機がそれぞれ、(C)層/(A)層/(B)層/(A)層の層構成にて、厚み比率が50μm/175μm/1,000μm/175μmに配されるように、各押出機吐出量の設定を行い、フィードブロック、及びセレクター(設定温度180℃)にて流路調整した機構を備え、750mm幅のTダイ(設定温度180℃)を備えた多層シート成形機を用い、上記材料を押出し、その後ポリシングロールで冷却固化を行い、巻き取ることによって発泡多層シートの成形を行った。
シートの発泡倍率、連続気泡率、シート成形性の結果を表1に示す。得られた発泡積層シートは、本発明の構成を全て満足しているものであったため、発泡層の気泡は微細であり、連続気泡率は5.6%と低く、シートの外観(成形性)も良好な発泡積層シートであった。
(A)層の材料として、タルク(富士タルク社製PKP53S)25重量%、ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ社製 ノバテックPP・BC3 MFR10g/10分)30重量%、エラストマー(日本ポリエチレン社製 カーネル・KF270 MFR2.0g/10分 密度0.907g/cm3)15重量% 高溶融張力ポリプロピレン(日本ポリプロ社製 ニューストレン・SH9000 MFR=0.3g/10分 メルトストレングス20g)30重量%を二軸押出機で混錬し、(A)層の材料とした以外、実施例1と同様の方法で評価を実施した。
得られた発泡積層シートは、本発明の構成を全て満足しているものであったため、気泡は微細であり、連続気泡率は6.5%と低く、シートの外観も良好な発泡積層シートであった。
実施例2において、厚み比率が5μm/175μm/1,045μm/175μmに配されるよう各押出機吐出量を調整した以外、同様の方法でシートを得た。
シートの発泡倍率、連続気泡率、独立気泡率、外観の結果を表1に示す。得られた発泡積層シートは、本発明の構成のうち、エラストマー厚みを満足していないため、クッション性は得られなく、表面に気泡の後と思われる凹みが散見された。
(C)層の材料として、スチレン系エラストマー(三菱化学社製 ラバロン・FJ737
0C MFR42g/10分 デュロA硬度 72)を用いた以外、実施例2と同様の方法で評価を実施した。
結果を表1に示す。得られた発泡積層シートは、本発明の構成のうち、(C)層の粘度の条件を満足していないため、シートの両端側に(C)層樹脂が流れてしまい、均一に積層されたシートが得られず、エラストマー発泡倍率は不明であった。シートの外観はガス抜けによる表面あれが目立っており、良好とはいえない発泡積層シートであった。
(C)層の材料として、プロピレンエチレンランダムコポリマー(日本ポリプロ社製 ノバテック・EG7F MFR2.0g/10分 デュロ硬度A 99.5)を用いた以外、実施例2と同様の方法で評価を実施した。
結果を表1に示す。得られた発泡積層シートは、本発明の構成のうち、(C)層のデュロ硬度Aの条件を満足していないため、クッション性は得られず、表面もガス抜けによる表面あれが目立っていた。
(A)層の材料として、タルク(富士タルク社製PKP53S)60重量%、ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ社製 ノバテックPP・BC3 MFR10g/10分)15重量%、エラストマー(日本ポリエチレン社製 カーネル・KF270 MFR2.0g/10分 密度0.907g/cm3)10重量%、高溶融張力ポリプロピレン(日本ポリプロ社製 ニューストレン・SH9000 MFR=0.3g/10分 メルトストレングス20g)15重量%を二軸押出機で混錬し、(A)層の材料とした以外、実施例1と同様の方法で評価を実施した。
実施例2と比較しタルク含有量が多いため、複合樹脂層(A)の流動性が悪く、押出温度も高くなったため、連続気泡率も28%と高くなった。
(A)層の材料として、タルク(富士タルク社製PKP53S)25重量%、ポリプロ
ピレン系樹脂(日本ポリプロ社製 ノバテックPP・EC9 MFR0.5g/10分)30重量%、エラストマー(日本ポリエチレン社製 カーネル・KF270 MFR2.0g/10分 密度0.907g/cm3)15重量%、 高溶融張力ポリプロピレン(日本ポリプロ社製 ニューストレン・SH9000 MFR=0.3g/10分 メルトストレングス20g)30重量%を二軸押出機で混錬し、(A)層の材料とした以外、実施例1と同様の方法で評価を実施した。
実施例2と比較しポリプロピレン系樹脂の粘度が高いため、複合樹脂層(A)の流動性が悪く、押出温度も高くなったため、連続気泡率もやや悪く、25%と高くなった。
実施例2において、(B)層のポリプロピレン(日本ポリプロ社製 ノバテック・EC9D MFR1=0.4g/10分)100重量部に対し、発泡剤としてクラリアント社製発泡剤CF40E(重曹・クエン酸系化学発泡剤)を発泡倍率(X)が3倍になるように添加量を調整してドライブレンドで混ぜた以外、同様に評価を行った。
結果を表1に示す。実施例2と比較し発泡層のポリプロピレン系樹脂の粘度が高いため、押出温度も高くなり、粘度の影響で気泡の成長が妨げられているため、倍率も上がらず、連続気泡率も27%と高くなった。
実施例2において、(B)層のポリプロピレン(日本ポリプロ社製 ノバテック・ BC4 MFR1=5.3g/10分 MT=1.2)100重量部に対し、発泡剤としてクラリアント社製発泡剤CF40E(重曹・クエン酸系化学発泡剤)を発泡倍率(X)が3倍になるように添加量を調整してドライブレンドで混ぜた以外、同様に評価を行った。
結果を表1に示す。実施例2と比較し発泡層のポリプロピレン系樹脂の溶融張力が低いため、気泡が成長し過ぎてしまい、連続気泡率も39%と高くなった。
実施例2において、(B)層のポリプロピレン(日本ポリプロ社製 ニューフォーマー・FB5100 MFR1=0.9g/10分)100重量部に対し、発泡核剤としてクラリアント社製発泡剤CF40E(重曹・クエン酸系化学発泡剤)を0.5重量部添加し、ドライブレンドで混ぜ、押出機の中間にて炭酸ガスを発泡層の発泡倍率が6.5倍になるように供給量を調整して供給した以外、実施例2と同様の方法にて積層シートを得た。
結果を表1に示す。得られた発泡積層シートは、発泡倍率が高いため表面状態は気泡の連続した形状が残っており、連続気泡率も41%と非常に高かった。
実施例2において(C)層のスチレン系エラストマー(三菱化学社製 ラバロン・SE8400 MFR1.0g/10分 デュロA硬度 85)100重量部のみで、発泡剤を添加せずに実施した以外、同様の方法で評価を行った。エラストマー層が発泡していないためにクッション性にやや乏しいシートとなった。
実施例2において(C)層のスチレン系エラストマー(三菱化学社製 ラバロン・SE8400 MFR1.0g/10分 デュロA硬度 85)100重量部に対し、発泡剤としてクラリアント社製発泡剤CF40E(重曹・クエン酸系化学発泡剤)を発泡倍率(X)が3.5倍になるように添加量を調整してドライブレンドで混ぜた以外、同様の方法で評価を行った。
エラストマー層の発泡倍率が3.5倍と高かったため、表面はガス抜けによるあれが発生し、発泡層連続気泡率も11.5%と多少高くなった。
実施例1にて得られたシートを、浅野研究所製コスミック型真空圧空成形機を用い、上下ヒーター温度380℃にて、図1に記載の形状の金型を用いて、雌雄金型クリアランスを2,000μmに調整し、両面真空成型品を作成した。シートのエラストマーに相当する面の金型を通気度600cm2/cm3/秒の表面に牛革様の革シボを転写させたポーラス型金型を使用した。成型品成形性と外観の評価結果を表2に示す。
得られた両面真空成型品は、ドローダウンがやや早く、金型の細部部分で若干引けが生じたものの、成形性及び外観とシボ転写性に優れ、剛性のある成型品であった。
実施例2にて得られたシートを、実施例4に記載の方法と同様にして両面真空成型を実施した。得られた両面真空成型品は、ドローダウンも成型に充分なほど維持されており、金型の細部部分まで完全に金型形状を再現しており、成形性及び外観とシボ転写性に非常に優れ、剛性のある成型品であった。
実施例3にて得られたシートを、実施例4に記載の方法と同様にして両面真空成型を実施した。
得られた両面真空成型品は、ドローダウンは成型に充分なほど維持されているが、連続気泡率が23と比較的高いために、金型の面部分の転写性に関して、若干不十分であって、外観とシボ転写性は多少劣るものの、剛性のある成型品であった。
比較例6にて得られたシートを、実施例4に記載の方法と同様にして両面真空成型を実施した。
得られた両面真空成型品は、ドローダウンは成型に充分なほど維持されているが、連続気泡率が39と高いために、金型の面、特にシボは殆ど転写されず、凹凸のある外観になった。剛性も22と良品に比べかなり低下したものであった。
比較例7にて得られたシートを、実施例4に記載の方法と同様にして両面真空成型を実施した。
得られた両面真空成型品は、ドローダウンは成型に充分なほど維持されているが、連続気泡率が41と高いために、金型の面、特にシボは殆ど転写されず、凹凸のある外観になった。剛性も16と良品に比べかなり低下したものであった。
比較例9にて得られたシートを、実施例4に記載の方法と同様にして両面真空成型を実施した。
得られた両面真空成型品は、ドローダウンは成型に充分なほど維持されているが、エラストマー層の発泡倍率が3.5と高いために、シート全体の剛性は32と維持されているものの、金型の面、特にシボは殆ど転写されず、凹凸のある外観になった。
実施例2にて得られたシートを、実施例4に記載の方法において、図2に記載の形状のアルミ製金型に真空孔を空けた金型を用いて、雌雄金型クリアランスを2,000μmに調整し、両面真空成型品を作成した。なお、シートのエラストマーに相当する面の金型に牛革様の革シボを転写させた。
成型品の外観とシボの評価結果を表2に示す。得られた両面真空成型品は、金型の形状を充分反映しているものであったが、表面には真空孔跡が見られ、またシボ転写性も若干甘い部分が残存した。
以上の各実施例のデータに見られるように、本発明の実施例1〜3においては、本発明の構成の要件(請求項1に規定)を満たしているので、概して、連続気泡率は低く、シート成形性とシート外観が良好であった。
また、実施例4〜7においても、熱成型品において、概して、成型品外観とシボ転写性及び機械的物性が良好であった。
Claims (7)
- 少なくとも(B)/(A)/(C)又は(A)/(B)/(A)/(C)の層構成を有し、(A)と(B)及び(C)はそれぞれ以下の条件(A−1)と(B−1)及び(C−1)を満たし、共押出しにより積層成形されたことを特徴とする、熱成型用の積層発泡シート。
(A−1)無機系又は有機系充填材を5〜55重量%、ポリオレフィン系樹脂を95〜45重量%含有する、ポリオレフィン系複合樹脂組成物層であり、複合樹脂組成物のMFR(メルトフローレート;JIS K7210−1999に準拠して、230℃・21.
2Nの条件で測定)が0.2〜20g/10分である。
(B−1)発泡剤を含有させて発泡させたポリオレフィン系樹脂層であって、発泡倍率が1.5〜6倍で、連続気泡率が30%以下であり、MFR(JIS K7210−19
99に準拠して、230℃・21.2Nの条件で測定)が0.5〜10g/10分であり、190℃におけるメルトストレングスが5g以上である。
(C−1)熱可塑性樹脂エラストマー(C)に発泡剤を含有させ、発泡させたエラストマー層であって、発泡倍率が1.2〜3倍であり、(A)層と(B)層の厚みの合計厚みに拘わらず、10〜500μmの厚みを有し、デュロ硬度A(JIS 6253に準拠して測定)が90以下であり、MFR(JIS K7210−1999に準拠して、230
℃・21.2Nの条件で測定)が30g/10分以下である。 - (A)層が、(A−2)無機系充填材を5〜55重量%、ポリプロピレン系樹脂を15〜90重量%含有し、更に高溶融張力ポリプロピレン系樹脂を5〜30重量%含有し、熱可塑性エラストマーを0〜30重量%含有するポリオレフィン系複合樹脂組成物層であって、ポリプロピレン系樹脂のMFR(JIS K7210−1999に準拠して、230℃・21.2Nの条件で測定)が4〜20g/10分であり、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂のMFR(JIS K7210−1999に準拠して、230℃・21.2Nの条件で測定)が0.1〜10g/10分であり、190℃におけるメルトストレングスが5g以上であることを特徴とする、請求項1に記載された熱成型用の積層発泡シート。
- 請求項1又は2に記載された熱成型用の積層発泡シートを、真空成形方法、真空圧空成形法、プラグアシスト真空成形法、プラグアシスト真空圧空成形法のいずれかの成形法にて成形したことを特徴とする熱成型物品。
- 請求項1又は2に記載された熱成型用の積層発泡シートを両面真空成形方法にて成形したことを特徴とする熱成型物品。
- 少なくとも発泡エラストマー層(C)の表面が熱成型時に接触する成型用金型として、通気可能なポーラス構造を有する金属製又はセラミック製の金型を用いて熱成型されたことを特徴とする、請求項3又は4に記載された熱成型物品。
- 発泡エラストマー層(C)の表面が、熱成型時に接触するシボ加工(皺加工)された成型用金型表面のシボ模様を転写していることを特徴とする、請求項4に記載された熱成型物品。
- 無機系又は有機系充填材を含有するポリオレフィン系樹脂材料(A)と、発泡性ガスを含有するポリオレフィン系樹脂材料(B)及び発泡性ガスを含有するエラストマー樹脂材料(C)の各層形成用樹脂材料を、それぞれの押出機内にて溶融混練した後に各層を合流積層し、成形ダイス出口より共押出しして発泡させることを特徴とする、請求項1に記載された熱成型用の積層発泡シートの製造方法。
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