JP5714807B2 - ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの押出成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの押出成形方法に関し、詳しくは、剛性や耐衝撃性及び容器成型性や軽量性などに優れたポリオレフィン系多層発泡シートを製造するに当たり、高い生産効率にてポリオレフィン系多層発泡シートを製造する方法、及びその製造方法により得られる連続気泡率の低い多層発泡シートに係るものである。
ポリオレフィン系樹脂は産業用資材における基幹樹脂材料であるが、そのうちのポリオレフィン系樹脂発泡シートは、最近においては、自動車材料や建築用資材及び包装材料や生活用品など各種の用途に広く利用されている。特に、当発泡シートは、優れた物性や成形性及び軽量性や経済性更には環境問題適応性などからして、各種の容器やトレーなどを製造するための成型材料として汎用され重用されている。
ポリプロピレン系樹脂に代表されるポリオレフィン系樹脂発泡シートを製造する方法としては、ポリオレフィン系樹脂を押出成形機内で発泡剤と溶融混練し、この発泡性の溶融混練物を押出成形機の先端のダイスより押出して発泡性溶融混練物を発泡させる押出発泡法がよく知られている。
特に最近では、更なる容器成型性の向上や、剛性と耐熱性の改良のために、発泡シートを多層化して高機能化する手法が用いられている(例えば、特許文献1など)。
ポリオレフィン系樹脂発泡シートを押出発泡積層成形により多層化する場合には、各層の樹脂の粘度バランスや、各層の溶融樹脂合流部分での合流状態、及び発泡性溶融混練物を押出機から押出す際のダイス先端圧力などにおいて僅かな変化が生じると、溶融混練物の発泡状態が大きく変化するという現象を呈し、この現象がが優れた性状のポリオレフィン系樹脂押出発泡積層シートを製造する上での大きな要因(問題)となる。
そして、ポリオレフィン系樹脂を多層構成にて押出成形する場合、合流部分の態様によって、成形されたシートの外観や気泡状態が大きく影響を受け、この結果、好ましくないことに、発泡シートの気泡が大きくなり過ぎたり、連続した気泡が生成したりして、シートの二次加工性に影響を与えるのみならず、発泡倍率の変化も不可避となるためにシートの均一肉厚性にも悪影響を与える。
この傾向は、中心層に発泡層を、その両外側に特にせん断発熱の大きい充填材を含有した非発泡層を配した場合などの多層化において顕著になり、充填材を含有した非発泡層の粘度や温度及び圧力なども発泡層の発泡状態に影響を与えることになる。
ところで、押出積層発泡成形以外の一般の押出積層成形においては、このような合流部分の状態による成形への悪影響の解決方法としては、いくつかの検討がなされており、合流部での合流タイミングをずらして解決する方法(特許文献2)、合流部近傍で流路を拡幅する方法(特許文献3)、円形状態で合流し、その後平板上にダイスで拡幅する方法(特許文献4)、合流部分を個別に温度と粘度の調整をして合流変動を低減する方法(特許文献5)などが提示されている。
しかしこれらは非発泡押出成形を前提としており、必ずしも押出発泡成形への応用ができるわけではなく、押出積層発泡成形における上記の問題を解決し得るものではない。
一方、押出発泡成形の多層構成における製造例としては、マニフォールドの形状を規定する方法(特許文献6)、ダイスのマニフォールドの形状を規定するもの(特許文献7)などが挙げられるが、これらはマルチマニフォールドダイを前提として考えられており、発泡成形ではダイス出口直近にあるマニフォールド部分での圧損がダイ内発泡を誘起してしまい、微細な気泡の形成には大きな障害となっている。
結局、現状においては、押出積層発泡成形においては、前記のような合流部分の状態による成形への悪影響の解決方法は、未だ提案されていない状況となっている。
特公平7−98349号公報(特許請求の範囲を参照) 特開2009−29104号公報(要約及び代表図を参照) 特開2006−142714号公報(要約を参照) 特開2000−289085号公報(要約を参照) 特開平11−309770号公報(要約を参照) 特開2004−249520号公報(要約を参照) 特開平10−29236号公報(要約を参照)
背景技術において前述したように、ポリオレフィン系樹脂発泡シートを押出積層発泡成形により多層化する場合には、各層の溶融樹脂合流部分での合流状態の態様によって、成形されたシートの外観や気泡状態が大きく影響を受け、この結果、好ましくないことに、発泡シートの気泡が大きくなり過ぎたり、連続した気泡が生成したりして、シートの2次加工性に影響を与えるのみならず、発泡倍率の変化も不可避となるためにシートの均一肉厚性にも悪影響を与え、この傾向は、中心層に発泡樹脂層を、その両外側に特にせん断発熱の大きい充填材を含有した非発泡樹脂層を配した場合などの多層化において顕著になっている。
本発明は、かかる背景技術を鑑みて、中心層に発泡層を、その外側に特にせん断発熱の大きい充填材を含有した非発泡層を配した押出多層化において、発泡シートの気泡が大きくなり過ぎたり、連続した気泡が生成したりして、シートの2次加工性に影響を与えるのみならず、発泡倍率の変化も不可避となる問題を解決することを、発明が解決すべき課題とするものである。
ポリオレフィン系樹脂発泡シートにおいて、多層容器材料として需要の高いところの、中心層に発泡樹脂層を、その外側に、又はその両外側に特にせん断発熱の大きい充填材を含有した非発泡樹脂層を配した多層化発泡シートにおける、押出積層発泡成形についての上記の発明の課題を解決することを目指して、本発明者は、各層の溶融樹脂合流部分での合流状態の態様や状態及び合流部分における各層の樹脂の温度や粘度(MFR)などの影響、或は樹脂材料や発泡剤などについて、多観点から勘案精査し、実験的な考察吟味を併せることにより、上記の課題の解決には、中心層の発泡樹脂層と外層のせん断発熱の大きい充填材を含有した非発泡樹脂層との合流角度、更には各層の温度や粘度が深く関与することを知見するに至り、特定の合流角度を設定し、更には各層樹脂における特定の温度と粘度を規定することにより、上記の課題を解決し得ることを認識し得て、その結果として、本発明を創案することとなった。
しかして、本発明は、発明の基本的な要件として、発泡性ガス含有溶融ポリプロピレン系樹脂を、充填材含有溶融ポリオレフィン系樹脂の内側に合流させる際の合流角度が、発泡性ガス含有溶融ポリプロピレン系樹脂の流動方向に対して15度から60度の角度と特定するものである。
具体的には、発泡性ガスを含有するポリプロピレン系樹脂(A)と、充填材を含有するポリオレフィン系樹脂(B)とを別々の押出機にて溶融混練し、合流部を通して積層して成形ダイスへ供給し、ダイス出口より吐出させて積層発泡シートを製造する方法において、発泡性ガス含有溶融ポリプロピレン系樹脂を、充填材含有溶融ポリオレフィン系樹脂の内側に合流させる際の合流角度が、発泡性ガス含有溶融ポリプロピレン系樹脂の流動方向に対して15度から60度の角度であることを特徴とする、積層発泡シートの製造方法であり、その基本的な態様は、図1に実例として明示されている。
そして、本発明は、合流積層時における各層樹脂の温度と粘度(MFRにより定量する)を特定することにより、前記の課題をより確実に解決するものであり、具体的には、合流積層時における、発泡性ガスを含有するポリプロピレン系樹脂(A)の温度が160〜190℃、充填材を含有するポリオレフィン系樹脂(B)の樹脂温度を160〜230
℃と規定し、発泡性ガス含有層のポリプロピレン系樹脂(A)のMFR(230℃・2.16kg荷重、「MFR1」という)と、充填材を含有するポリオレフィン系樹脂(B)のMFR(温度230℃・5kg荷重、「MFR2」という)が、MFR1<MFR2の関係を有すると規定する。
更に、本発明においては、発明の実施の態様としては、発泡性ガスを含有するポリプロピレン系樹脂(A)と、充填材を含有するポリオレフィン系樹脂(B)とをフィードブロックからなる合流部を通して積層し(図1を参照)、発泡性ガスとして炭酸ガスを使用し、本発明の積層発泡シートの製造方法により製造され、全体の気泡に対して連続気泡率が20%以下であって、剛性や耐衝撃性及び容器成型性や軽量性などに優れたポリオレフィン系多層発泡シートであり、また、その発泡シートによるポリオレフィン系樹脂積層容器である。
かくして、本発明においては、中心層に発泡樹脂層を、その両外側に特にせん断発熱の大きい充填材を含有した非発泡樹脂層を配した場合などの多層化において、発泡シートの気泡が大きくなり過ぎたり、連続した気泡が生成したりすることを充分に抑制することができ、発泡倍率の変化とシートの肉厚の変動も抑止し得て、各種の物性や容器の成型性に優れたポリオレフィン系樹脂積層発泡シートを生産効率よく製造することができる。
本発明における構成の各要件(発明の特定事項)の設定の合理性と有意性及びそれらによる発明の効果としての、独立気泡率やシートの成型性などは、後述する本発明の各実施例のデータにより、更には各実施例と各比較例の対照により実証されている。
そして、本発明における新規な特定の構成の要件及びそれらによる発明の顕著な効果は、前記した各特許文献及び列記していないその他の特許文献を精査しても些かも窺えないものである。
以上においては、発明の課題を解決する手段を、本発明が創作される経緯及び本発明の基本的な構成と特徴に沿って概述したので、ここでその発明の全体を明確にするために、発明全体を俯瞰すると、本発明は、次の発明単位群から構成されるものであって、[1]〜[3]の発明を基本的な発明とし、それ以下の発明は、基本的な発明を具体化ないしは実施態様化するものである。(なお、発明群全体をまとめて「本発明」という。)
[1]発泡性ガスを含有するポリプロピレン系樹脂(A)と、充填材を含有するポリオレフィン系樹脂(B)とを別々の押出機にて溶融混練し、合流部を通して積層して成形ダイスへ供給し、ダイス出口より吐出させて積層発泡シートを製造する方法において、積層時における、発泡性ガスを含有するポリプロピレン系樹脂(A)の温度が160〜190
℃、充填材を含有するポリオレフィン系樹脂(B)の樹脂温度が160〜230℃であり、発泡性ガス含有層のポリプロピレン系樹脂(A)のMFR(230℃・2.16kg荷重)は、0.5〜10g/10分を満たし、発泡性ガス含有層のポリプロピレン系樹脂(A)のMFR(230℃・2.16kg荷重、「MFR1」という)と、充填材を含有するポリオレフィン系樹脂(B)のMFR(温度230℃・5kg荷重、「MFR2」という)が、MFR1<MFR2の関係を有し、発泡性ガスを含有するポリプロピレン系樹脂(A)と、充填材を含有するポリオレフィン系樹脂(B)とをフィードブロックからなる合流部を通して積層し、発泡性ガス含有溶融ポリプロピレン系樹脂を、充填材含有溶融ポリオレフィン系樹脂の内側に合流させる際の合流角度が、発泡性ガス含有溶融ポリプロピレン系樹脂の流動方向に対して15度から60度の角度であることを特徴とする、積層発泡シートの製造方法。
]発泡性ガスが炭酸ガスであり、炭酸ガスを含有するプロピレン系樹脂(A)の両外面に、充填材を含有するポリオレフィン系樹脂(B)を積層することを特徴とする、[1]における積層発泡シートの製造方法。
][1]又は[2]における積層発泡シートの製造方法により製造され、全体の気泡に対して連続気泡率が20%以下であることを特徴とする積層発泡シート。
][]における積層発泡シートを成型してなる、ポリオレフィン系樹脂積層容器。
本発明においては、中心層に発泡樹脂層を、その両外側に特にせん断発熱の大きい充填材を含有した非発泡樹脂層を配した場合などの押出発泡成形の多層化において、発泡シートの気泡が大きくなり過ぎたり、連続した気泡が生成したりすることを充分に抑制することができ、発泡倍率の変化とシートの肉厚の変動も抑止し得て、各種の物性や容器の成型性に優れたポリオレフィン系樹脂積層発泡シートを生産効率よく製造することができる。
即ち、本発明の積層発泡シートにおいては、気泡径が非常に細かく、気泡の連続性が充分に低減し、偏肉精度や外観が安定したシートが得られる。
本発明の実施例におけるフィードブロック内での、各層の合流状態を例示する模式図である。 本発明の比較例におけるフィードブロック内での、各層の合流状態を例示する模式図である。
本発明については、課題を解決するための手段として、本発明の基本的な構成と特徴に沿って前述したが、以下においては、前述した本発明群の発明の実施の形態を具体的に詳しく説明する。
1.発泡性ガスを含有する溶融ポリプロピレン系樹脂(A)
本発明に用いられる溶融ポリプロピレン系樹脂(A)は、任意の公知のポリプロピレン系樹脂が用いられる。具体的には、ポリプロピレン単独の樹脂或はエチレンなどの他のα−オレフィンとの共重合体である。
なお、発泡による気泡形状の維持の観点から溶融張力Yが、Y >7.4446 (MFR)−0.7419を満たすポリプロピレンが好ましい。ここで、7.4446(MFR)−0.7419の数式は、一般的な分子量分布を有するポリプロピレンのMFRと溶融張力の依存性を示した式であり、一般に発泡用ポリプロピレンとは本数式よりも高い溶融張力を示す。それを得る方法として、ポリプロピレンを電子線照射し、長鎖分岐を付与したり、パーオキサイドと架橋モノマーの存在下に押出機内で変性するにことによって長鎖分岐を付与したり、多段重合により高分子量の成分を付与して溶融張力を向上させるといった方法が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂(A)は、上記の高溶融張力ポリプロピレン単体のみならず、一般的なポリプロピレンも使用され、発泡性を損なわない範囲において、ポリエチレン、ポリスチレン、エラストマーなどその他のポリマー成分を含んでもよく、それ以外にもタルク、炭酸カルシウム、シリカなどの充填材、必要に応じて一般的にポリオレフィンに用いられる補助添加成分、例えば、酸化防止剤、中和剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、防曇剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、着色剤、難燃剤などを配合することができる。
2.発泡性ガス及び発泡作用
本発明に使用される発泡性ガスは、揮発性炭化水素やエーテルなどの通常の発泡性ガスが使用されるが、特に炭酸ガスが好ましく使用される。
炭酸ガスを含有させるための方法としては、大別して押出機内に直接炭酸ガスを注入する方法と、化学的に熱分解し炭酸ガスが発生する化学発泡剤を予め添加して、押出機内で混錬する方法が挙げられる。
押出機内に直接炭酸ガスを注入する方法は、押出機シリンダーにガス供給口が設けられており、ポリプロピレン系樹脂を可塑化した段階で、所定の圧力にてダイヤフラム式定量ポンプなどで炭酸ガスを圧縮注入し、その後の押出機スクリューにて混錬し、ガスを拡散する方法である。この場合において、発泡核剤として、タルク、炭酸カルシウム、クエン酸、重炭酸ナトリウム及びこれらの混合物を加えることが好ましい。
また、化学的に熱分解し炭酸ガスが発生する化学発泡剤をあらかじめ添加して、押出機内で混錬する方法は、押出機にポリプロピレン系樹脂を供給する段階において、マスターバッチの形態で化学発泡剤をドライブレンドなどの方法で添加しておき、押出機内で可塑化混錬しつつ、化学発泡剤を分解し、溶融ポリプロピレンに炭酸ガスを含有せしめる方法である。
化学発泡剤の種類としては、分解して炭酸ガスなどのガスを発生する、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、P,P´−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、クエン酸、重炭酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの中で、特に炭酸ガスを充分に発生させ、押出機内での残渣が少ないため、クエン酸か重炭酸ナトリウム、若しくはそれらの混合物が好まく使用される。これらはそのままポリプロピレン系樹脂に添加してもよいし、分解温度より低い融点を持つ樹脂、例えば低密度ポリエチレンなどに予め所定濃度で混錬しておき、マスターバッチとしたものを加えておくことが好ましい。
炭酸ガスなどの発泡性ガス含有溶融ポリプロピレン系樹脂(A)の発泡倍率(X)は1.5〜6倍であり、好ましくは1.5倍〜4倍である。1.5倍未満では発泡シートとしての軽量性が損なわれ軽量化のメリットが得られない。6倍を超えると微細な気泡の状態が維持できず、連続した気泡が形成され、その後の容器成形で不具合が生じる。発泡倍率は、希望の発泡倍率になるよう、炭酸ガスなどの供給量、若しくは化学発泡剤の量を調整する。
3.充填材を含有する溶融ポリオレフィン系樹脂(B)
充填材を含有する樹脂複合材料に使用されるポリオレフィン系樹脂は、通常のポリオレフィン系樹脂であり、代表例として、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン、エチレン又は炭素数4以上のα−オレフィン・プロピレンランダムコポリマー、エチレン又は炭素数4以上のα−オレフィン・プロピレンブロックコポリマー、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴムなどが挙げられる。これらの内で、共押出特性から、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン、プロピレンエチレンブロックコポリマー、プロピレンエチレンランダムコポリマー、及びこれらの混合物が好ましく、更に好ましくは、押出し時の発熱を抑える意味からホモポリプロピレン、プロピレンエチレンブロックコポリマー、プロピレンエチレンランダムコポリマー、及びこれらの混合物が使用される。
この樹脂複合材料に使用される充填材はポリオレフィン系樹脂の耐衝撃強度や耐熱性などの各種の物性を高めるために使用されるが、かかる充填材としては、無機系と有機系の充填材があり、無機系の充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、ガラスビーズ、ベントナイト、ガラスフレーク、ガラス繊維、カーボンファイバー、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム、ハイドロタルサイト、炭素繊維、軽石粉、雲母、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウムなどが挙げられ、有機系の充填材としてはPMMAビーズ、セルロース繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、籾殻、木粉、おから、タピオカ粉末、米粉、ケナフ繊維などが挙げられる。
これらでは、無機系の充填材が物性向上、ハンドリング、臭気、価格の面から好ましく、タルク、炭酸カルシウムが物性向上、価格、臭気の面から更に好ましい。
このような充填材は、自動車部品などの産業用部品材料としての用途のみならず、食品容器などの生活用途品においても、曲げ強度、耐衝撃強度、耐熱性、寸法変化率などの物性を高次元で発揮させるために有効である。
また、該樹脂複合材料には、必要に応じて一般的にポリオレフィンに用いられる補助添加成分、例えば、酸化防止剤、中和剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、防曇剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、着色剤、難燃剤などを配合することができる。
また、50重量%を上限として、本発明の積層発泡シートを得る際に発生する耳ロスやスケルトンなどの粉砕物、若しくは改質材として必要に応じてスチレン系などのエラストマー、石油樹脂やシクロオレフィン系樹脂など、ポリエチレンワックスや石油ワックス、エチレン−酢ビ共重合体、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、PET、PS、ABSなどの各種の樹脂材料を、本発明の作用効果を阻害しない範囲で配合することもできる。
4.押出積層発泡方法
発泡性ガスを含有するポリプロピレン系樹脂(A)と、充填材を含有するポリオレフィン系樹脂(B)とを別々の押出機にて溶融混練し合流して積層するに際して、発泡性ガスを含有するポリプロピレン系樹脂(A)の温度は160〜190℃に設定され、更には160℃〜180℃であることが好ましい。これは、押出後ダイス出口からキャストした以降での冷却速度を速め、樹脂の粘度を高い状態で維持する上で必要であり、この条件より温度が高いと最終的に得られる積層発泡シートの気泡が粗大化し、連続した気泡が生じて、シートの外観が悪くなり、その後の容器成形性が不良になるなどの弊害がある。また、この温度より低いと、樹脂の流路内での固化が始まってしまい、押し出せなくなってしまう。
一方、充填材を含有するポリオレフィン系樹脂(B)の樹脂温度は、160〜230℃に設定され、好ましくは160℃〜200℃である。これは、押出後ダイス出口からキャストした以降でのシート全体の冷却速度を速めると同時に、発泡層への熱の持込を抑制するためであり、この条件より温度が高いと最終的に得られる積層発泡シートの気泡はやはり粗大化し、連続した気泡が生じて、シートの外観が悪くなり、その後の容器成形性が不良になるなどの弊害がある。また、この温度より低いと、樹脂の流路内での固化が始まってしまい、押し出せなくなってしまう。
各層の押出機としては、任意の単軸押出機や二軸押出機が使用できるが、溶融樹脂の温度調整を正確に調製できる点から、水冷やオイル冷却式のシリンダー温調を有する押出機が好ましい。口径に関しては、目的のシートの発泡層と非発泡層の厚み比率に応じて選ばれる。
また、上記の押出成形において、充填材を含有する溶融ポリオレフィン系樹脂(B)の粘度とポリプロピレン系樹脂(A)の粘度の関係も二次的に影響する。粘度をMFRとして見ると、ポリプロピレン系樹脂のMFR(230℃・2.16kg荷重;MFR1)と、充填材含有ポリオレフィン系樹脂のMFR(温度230℃・5kg荷重;MFR2)が、MFR1<MFR2の関係を有することが好ましい。MFRが上記関係を有さない場合、非発泡層の粘度が低くなってしまい、ダイス幅方向に均一に多層押出ができ難くなり、また状況によっては、合流部分での乱流が最終的な製品にまで影響を与える、いわゆるフローマークなどにより、外観の悪化が生じる。
発泡層のMFR1は、0.5〜10を満たすことが更に好ましい。MFRが0.5未満では押出時に剪断の影響による発熱が顕著になり、前記の樹脂温度を達成するためにシリンダ温度を調整してもその温度に冷却できず、樹脂温度が高くなってしまい、その結果安定した気泡が形成されない。また、MFRが10を超えると、押出成形時のダイス出口から冷却ロールまでのシートの保持力が弱くなり、成形ができないなどの不具合がある。
5.溶融樹脂材料の合流
本発明の積層発泡シートは、押出機により各層をダイスより押し出す直前に、各層を溶融状態で合流して積層される。
積層方法はフィードブロック方式が選ばれる。マルチマニフォールド方式はダイス出口直前に樹脂が滞留し、ダイ幅全体へ広げる圧損部分が存在し、この部分で樹脂に溶解したガスが気泡を生成し、その結果得られる発泡シートの気泡は粗大になる。
以下において、合流部の好ましい形態について説明すると、図1に本実施例で用いた三層構成の発泡積層体の生産における好ましい合流部の構造を示す。発泡層の溶融樹脂はa1につながる押出機より可塑化混錬され、発泡性ガスを含んだ状態で更に混錬拡散され、押出機先端よりフィードパイプ、場合によってはスクリーンメッシュやギヤポンプなどの定量供給ポンプを通して合流ブロックのa1部分に供給される。a1に供給された樹脂はa2の合流ブロックの入口を通過して合流ブロック部分へと供給される。
一方、非発泡層溶融樹脂はb1とc1に接続された押出機より可塑化混錬され、押出機先端よりフィードパイプ、場合によってはスクリーンメッシュやギヤポンプなどの定量供給ポンプを通して合流ブロックのb1とc1部分に供給される。b1とc1に接続される押出機は別個のものでも同一のものでもかまわない。b1とc1に供給された樹脂はb2とc2の合流ブロックの入口を通過して合流ブロック部分へと供給される。b3とc3部分には押し込みピン様の構造にて流路を絞る機構を備え付けることが好ましい。これは、表層材の幅方向への均一厚みでの押し出しを調整する役割を担っており、幅方向への広がりが悪い場合にはピンを開き広げる調整を、幅方向へ広がり過ぎて、シート両端部分での表層厚みが厚い場合にはピンを閉める調整を実施することで、シートの層構成を幅方向に均一に調整することを可能ならしめるものである。
以上の機構を通過して、合流ブロックに供給された各層の溶融樹脂はa3部分にて合流することとなる。本発明の基本的な要件であるが、合流部分での合流形態は、発泡性ガス含有溶融ポリプロピレン系樹脂を、充填材含有溶融ポリオレフィン系樹脂の内側に合流させる際の合流角度が、発泡性ガス含有溶融ポリプロピレン系樹脂の流動方向に対して15度から60度の角度であることが必要である。換言すると、中心層の発泡層の流動方向に対して、表層樹脂の合流方向が15°〜60°であることが必要である。
15°未満では、合流ブロックの形状が大きなサイズになってしまい、不都合が生じる。また、60°を超えた角度で合流した場合(比較例1の図2を参照)、合流部分での流動による応力の影響で界面不安定現象が生じ、特に炭酸ガスを含有した樹脂はその樹脂の粘度が大きく低下し、残留応力ひずみの緩和能も低下してしまっていることから、その界面不安定現象がダイス出口付近まで残留し、その結果、シートの外観に悪影響が生じる。
各流路の口径は、各押出機に応じた口径が選択できるが、a2,b2,c2で絞られた流路の断面積の和がa3部分の断面積と等しくなるか、小さいことが好ましい。これは、流路における圧損を防止するためであり、a3部分の断面積よりもa2,b2,c2の断面積の和が大きいと、合流部分での樹脂の滞留が生じ、発泡性ガスを含有した樹脂部分で発泡が生じ、その結果、良好な積層発泡シートが得られえなくなり、押出変動や、乱流がシートにも影響するフローマークなどの発生要因にもなる。
合流ブロックの温度設定に関しては、各層の樹脂温度を維持できる程度の設定が選択される。
6.ダイス及び後処理
かくして、各層が合流した溶融樹脂は、ダイスに供給され、ダイス出口より吐出させることとなる。ダイスの形状は、公知のT型ダイス、コートハンガー型、環状ダイスなどを使用することできる。ダイスの温度設定に関しては、各層の樹脂温度を維持できる程度の設定が選択される。
次いで、ダイスより押出された積層発泡シートは、公知の方法、例えばポリシングロール、エアーナイフ、マンドレルなどにより冷却固化され、その後巻き取り機にて巻き取られる、若しくは裁断機にて所定の寸法にカットされる。
冷却固化後の後処理に関しては、特に制限は無く、例えばコロナ処理、火炎処理、フレーム処理、プラズマ処理などの極性基付与処理工程、コーターロールによる防曇剤や帯電防止剤などのコーティング処理工程、フィルム貼合や印刷及び塗装などの二次加工工程などが使用可能である。
特に、フィルム貼合は、二次成型時前に貼合する熱成形前ラミ法、積層発泡シート成形時の冷却時に貼合する熱ラミ法、一旦積層発泡シートを冷却した後、再度加熱ロールなどで加温して貼合する方法などがあるが、いずれの公知の方法により貼合することが可能である。
貼り合わせるフィルムの種類も、CPPフィルム及びその印刷フィルム、EVOHなどを積層したフィルムなど、特に限定はないが、ポリオレフィン系と接着し易い、貼合面にポリオレフィン系樹脂を配したフィルム、又は塩素化ポリプロピレンや低分子量のポリオレフィンを混合したインクや接着剤などを塗布したフィルムを用いることが好ましい。
7.連続気泡と独立気泡
かくして最終的に得られた積層発泡シートは微細な気泡を有して、連続気泡率の低減された良好な積層発泡シートとなり、良好な容器成形などの二次成型性を有する。
ここで連続気泡率と独立気泡率とは、気泡構造において隣接する気泡とどの程度連続、即ち気泡壁が破れて連続しているか、又は、独立しているかを示す指標であり、一般的には実施例で示すような空気比重計を用いて測定される。連続気泡率と独立気泡率の値は、その後の容器成形などの二次加工性に影響を及ぼす。また、形成されたシートの外観にも影響を及ぼす。
好ましい連続気泡率は20%以下であり、更に好ましくは15%以下である。20%を超えると、気泡が連続している部分が窪んだりしてシートの外観が悪化すると共に、二次加工の際の再加熱によって熱膨張が優先的に起こり破膜したりする不具合が生じる。
8.積層発泡シートの利用
本発明の積層発泡シートは、容器などの成形品に二次成型するのに極めて好適である。二次成型に用いられる成形法には、任意の公知の方法である真空圧空成形法、真空成形法、プラグ成形法、プレス成形法、両面真空成形法などがある。
このような成形法により得られた成形品としては、文房具ファイル、食品容器、飲料カップ、ディスプレイ筺体、工業産業用部品、トレーなどあらゆる分野に適用可能である。
以下においては、実施例によって、比較例を対照しながら、本発明をより詳細に具体的に示して、本発明の構成をより明らかにし、本発明の構成の各要件の合理性と有意性及び本発明の従来技術に対する卓越性を実証する。なお、本実施例における各種の性能の評価法を以下に記載する。
MFR(単位:g/10min):JIS−K6921−2附属書に準拠し測定した。条件は、温度230℃・2.16kg荷重と温度230℃・5kg荷重の2条件にて測定を行った。
連続気泡率(単位:%)と独立気泡率(単位:%):測定装置としてエアーピクノメーター(東芝ベックマン製・型式930)を用いて、空気比重を測定し、多層による非発泡層の体積を除外し、以下の式により連続気泡率と独立気泡率を測定した。
連続気泡率={(見掛発泡層体積−測定値)/見掛発泡層体積}×100
独立気泡率={(測定値−発泡層重量/0.9)/見掛発泡層体積}×100
シート成形性:積層発泡シートを成形する際、問題なく成形でき、得られた積層発泡シートに、光沢ムラ、スジ、荒れが無いものを ○ と評価し、積層発泡シートを成形する際、各層材料の粘度バランスの不良による流れむらなどが生じ、シート外観で光沢ムラ、フローマーク、スジ、荒れを目視で確認できたものを × と評価した。
[実施例1]
(積層発泡体成形方法)
ポリプロピレン(日本ポリプロ社製 ニューフォーマー・FB5100 MFR1=0.9g/10分)100重量部に対し、発泡剤としてクラリアント社製発泡剤CF40E(重曹・クエン酸系化学発泡剤)を発泡倍率(X)が3倍になるように添加量を調整してドライブレンドで混ぜ、発泡層の樹脂材料とした。
また、非発泡層の原料としてポリオレフィン系タルクマスターバッチ(日本ポリプロ社製 ノバテックPP・TX1447MB タルク含有量60重量%)を50重量%、及びポリプロピレン(日本ポリプロ社製 ノバテックPP・BC3 MFR10g/10分)50重量%をドライブレンドしたもの(MFR2=5.3g/10分)を用いた。
発泡層を成形する押出機として115φmm(樹脂温度が175℃になるように設定)、非発泡層を成形する押出機として90φmm(樹脂温度が180℃になるように設定)の押出機を用いた。
樹脂温度は各押出機スクリュー先端において、流路内に接触温度計を設置し測定した。
層構成が、非発泡層/発泡層/非発泡層、厚み比率が、100μm/800μm/100μmに配されるよう各押出機吐出量を調整し、セレクター(設定温度175℃)にて流路分配を行い、合流ブロック(図1に記載の形状 合流角度20°・設定温度175℃)にて各層合流させた後、1,300mm幅のTダイ(設定温度175℃)を用いて押出し、その後ポリシングロールで冷却固化を行い、巻き取ることによって発泡多層シートの成形を行った。シートの発泡倍率、連続気泡率、独立気泡率、シート成形性などの結果を表1に示す。得られた積層発泡シートは、本発明の構成を全て満足しているものであったため、気泡は微細であり、連続気泡率は5%と低く、シートの外観も良好な積層発泡シートであった。
[比較例1]
実施例1において、合流ブロックを図2の形状(合流角度70°・設定温度175℃)とした以外は、実施例1と同様の方法でシートを得た。
シートの発泡倍率、連続気泡率、独立気泡率、シート成形性などの結果を表1に示す。得られた積層発泡シートは、本発明の構成のうち、合流角度を満足していないため、気泡は粗大であり、連続気泡率は26%と比較的連続した気泡状態であり、シート全体にフローマーク様の流れ模様が残存し、良好とはいえない積層発泡シートであった。
[比較例2]
実施例1において、発泡層を成形する押出機の温度設定を、樹脂温度が200℃になるように設定したこと以外、実施例1と同様の方法でシートを得た。
シートの発泡倍率、連続気泡率、独立気泡率、シート成形性などの結果を表1に示す。得られた積層発泡シートは、本発明の構成のうち、発泡層の押出温度の条件を満足していないため、気泡は粗大であり、連続気泡率は45%とほぼ連続した気泡状態であり、シートの外観も粗大な気泡により表面荒れが目立っており、良好とはいえない積層発泡シートであった。
[実施例2]
実施例1において、発泡層を成形する押出機の温度設定を、樹脂温度が190℃になるように設定したこと以外、実施例1と同様の方法でシートを得た。
シートの発泡倍率、連続気泡率、独立気泡率、シート成形性などの結果を表1に示す。得られた積層発泡シートは、本発明の構成を全て満足しているものであったため、気泡は比較的微細であり、連続気泡率は19%と比較的独立した気泡状態であり、シートの外観もほぼ良好の積層発泡シートであった。
[比較例3]
実施例1において、非発泡層を成形する押出機の温度設定を、樹脂温度が230℃になるように設定したこと以外、実施例1と同様の方法でシートを得た。
シートの発泡倍率、連続気泡率、独立気泡率、シート成形性などの結果を表1に示す。得られた積層発泡シートは、本発明の構成のうち、非発泡層の押出温度の条件を満足していないため、気泡は粗大であり、連続気泡率は41%とほぼ連続した気泡状態であり、シートの外観も粗大な気泡により表面荒れが目立っており、良好とはいえない積層発泡シートであった。
[実施例3]
実施例1において、非発泡層を成形する押出機の温度設定を、樹脂温度が190℃になるように設定したこと以外、実施例1と同様の方法でシートを得た。
シートの発泡倍率、連続気泡率、独立気泡率、シート成形性などの結果を表1に示す。得られた積層発泡シートは、本発明の構成を全て満足しているものであったため、気泡は比較的微細であり、連続気泡率は19%と比較的独立した気泡状態であり、シートの外観も一応良好な積層発泡シートであった。
[比較例4]
実施例1において、発泡層の原料としてポリプロピレン(日本ポリプロ社製 ニューフォーマー・FB3312 MFR1=3.5g/10分)100重量部に対し、発泡剤としてクラリアント社製発泡剤CF40E(重曹・クエン酸系化学発泡剤)を用い、非発泡層の原料としてポリオレフィン系タルクマスターバッチ(日本ポリプロ社製 ノバテックPP・TX1778MB タルク含有量60重量%)を50重量%、ポリプロピレン(日本ポリプロ社製 ノバテックPP・EC9 MFR0.5g/10分)50重量%をドライブレンドしたもの(MFR2=2.2g/10分)を用いた以外、実施例1と同様の方法でシートを得た。
シートの発泡倍率、連続気泡率、独立気泡率、シート成形性などの結果を表1に示す。得られた積層発泡シートは、本発明の構成のうち、各層粘度の条件を満足していないため、気泡は粗大であり、連続気泡率は41%とかなり連続した気泡状態であり、シートの外観もガス抜け、フローマークによる表面荒れが目立っており、良好とはいえない積層発泡シートであった。
[実施例4]
実施例1において、ポリプロピレン(日本ポリプロ社製 ニューフォーマー・FB51
00 MFR1=0.9g/10分)100重量部に対し、発泡核剤としてクラリアント社製発泡剤CF40E(重曹・クエン酸系化学発泡剤)を0.5重量部添加し、ドライブレンドで混ぜ、発泡層の樹脂材料とし、発泡層用押出機の中間において、ダイヤフラム供給ポンプにて炭酸ガスを、発泡層の発泡倍率(X)が5倍になるように供給量を調整して供給し、押出した。また、発泡層を成形する押出機の温度設定を樹脂温度が165℃になるように設定し、非発泡層を成形する押出機の樹脂温度が170℃になるように設定した。上記以外、実施例1と同様の方法にて積層シートを得た。
シートの発泡倍率、連続気泡率、独立気泡率、シート成形性などの結果を表1に示す。得られた積層発泡シートは、本発明の構成を全て満足しているものであったため、気泡は微細であり、連続気泡率は16%と低く、シートの外観も比較的良好な積層発泡シートであった。
参考例
実施例1において、発泡層の原料としてポリプロピレン(日本ポリプロ社製 ノバテックPP・BC4L MFR1=5.0g/10分)100重量部に対し、発泡剤としてクラリアント社製発泡剤CF40E(重曹・クエン酸系化学発泡剤)を発泡倍率(X)が3倍になるように添加量を調整してドライブレンドで混ぜ、発泡層の樹脂材料とした以外、実施例1と同様の方法にて積層シートを得た。
シートの発泡倍率、連続気泡率、独立気泡率、シート成形性などの結果を表1に示す。得られた積層発泡シートは、本発明の構成のうちMFR1<MFR2の関係以外を満足しているものであったため、気泡はやや荒いものの、連続気泡率は17%と低く、シートの外観も比較的良好な積層発泡シートであった。
[実施例6]
実施例1において、発泡層の原料としてポリプロピレン(日本ポリプロ社製 ノバテックPP・EC9 MFR1=0.5g/10分)100重量部に対し、発泡剤としてクラリアント社製発泡剤CF40E(重曹・クエン酸系化学発泡剤)を発泡倍率(X)が3倍になるように添加量を調整してドライブレンドで混ぜ、発泡層の樹脂材料とした以外、実施例1と同様の方法にて積層シートを得た。
シートの発泡倍率、連続気泡率、独立気泡率、シート成形性などの結果を表1に示す。得られた積層発泡シートは、本発明の構成を全て満足しているものであったため、気泡はやや粗大であるものの、連続気泡率は20%と一応満足できるレベルであり、シートの外観もやや平滑性に欠けるが、比較的良好な積層発泡シートであった。
Figure 0005714807

[実施例と比較例の結果の考察]
以上の各実施例のデータに見られるように、本発明の各実施例においては、本発明の構成の要件(請求項1〜3に規定)を満たしているので、気泡は粗大ではなく、連続気泡率は20%以下で独立気泡発泡状態を示し、シート外観及びシート成形性も良好であった。
各比較例は、本発明の構成の要件の少なくとも一要件は満たしていないので、気泡状態と連続気泡率及びシート外観とシート成形性に劣っていた。
そして、各実施例のデータ及び各実施例と各比較例の対照から明らかなように、本発明の構成の要件の合理性と有意性及び従来例に対する卓越性が実証されている。


Claims (4)

  1. 発泡性ガスを含有するポリプロピレン系樹脂(A)と、充填材を含有するポリオレフィン系樹脂(B)とを別々の押出機にて溶融混練し、合流部を通して積層して成形ダイスへ供給し、ダイス出口より吐出させて積層発泡シートを製造する方法において、積層時における、発泡性ガスを含有するポリプロピレン系樹脂(A)の温度が160〜190℃、充填材を含有するポリオレフィン系樹脂(B)の樹脂温度が160〜230℃であり、発泡性ガス含有層のポリプロピレン系樹脂(A)のMFR(230℃・2.16kg荷重)は、0.5〜10g/10分を満たし、発泡性ガス含有層のポリプロピレン系樹脂(A)のMFR(230℃・2.16kg荷重、「MFR1」という)と、充填材を含有するポリオレフィン系樹脂(B)のMFR(温度230℃・5kg荷重、「MFR2」という)が、MFR1<MFR2の関係を有し、発泡性ガスを含有するポリプロピレン系樹脂(A)と、充填材を含有するポリオレフィン系樹脂(B)とをフィードブロックからなる合流部を通して積層し、発泡性ガス含有溶融ポリプロピレン系樹脂を、充填材含有溶融ポリオレフィン系樹脂の内側に合流させる際の合流角度が、発泡性ガス含有溶融ポリプロピレン系樹脂の流動方向に対して15度から60度の角度であることを特徴とする、積層発泡シートの製造方法。
  2. 発泡性ガスが炭酸ガスであり、炭酸ガスを含有するプロピレン系樹脂(A)の両外面に、充填材を含有するポリオレフィン系樹脂(B)を積層することを特徴とする、請求項1に記載された積層発泡シートの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載された積層発泡シートの製造方法により製造され、全体の気泡に対して連続気泡率が20%以下であることを特徴とする積層発泡シート。
  4. 請求項3に記載された積層発泡シートを成型してなる、ポリオレフィン系樹脂積層容器。
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