JP4796861B2 - 多層フィルム・シート製造用合流装置及び多層フィルム・シート製造装置、多層フィルム・シートの製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、従来のフィードブロックは、各溶融樹脂を狭い幅で合流し、断面が略矩形の積層状としてTダイに送り込み、Tダイで幅を大きく拡大するので、Tダイから押し出したフィルム・シートの各層の幅方向の厚さを均一にすることが非常に難しいという問題がある。前記問題を解決するために、従来、例えば、特許文献1〜5に開示された技術が提案されている。
特許文献1には、フィードブロックの合流域で各ポリマー流路の断面形状を調整する複数のチョークバーを設け、各層の幅方向厚みに対応するポリマー流量を制御する方法が開示されている。しかし、この方法は、幅方向の厚さ分布の調整が難しく、特に層数が多くなると、この調整がさらに困難になる問題がある。また、この方法は、層構成のバリエーションへの対応が困難である。
また、層構成(層の数と組み合わせ)を変えると、新たなフィードブロックを作製する必要があった。
前記第1樹脂流路と前記円錐状樹脂流路との合流部から合流装置先端側に至る環状積層流流路とを有し、前記第1樹脂流路を有する第1ブロックと、前記第1樹脂流路を流れる第1樹脂流の外面に直接又は他の1つ以上の樹脂層を介して同心円状に樹脂を合流させ、外側樹脂層を形成する第2ブロックと、前記第2ブロックの樹脂出口側とTダイ入り口とをつなぐアダプタとを有することを特徴とする多層フィルム・シート製造用合流装置を提供する。
また、本発明の製造方法によれば、同心円状の環状積層流をフィルム・シート化することによって、各層の偏肉が少なく、層の均一性が良好な多層フィルム・シートを製造できるので、層構成(層の数と組み合わせ)に対する自由度を高めることができ、従来は製造が困難であった多層フィルム・シートの製造も可能となる。
また、本発明の多層フィルム・シート製造用合流装置によれば、同心円状の環状積層流をフィルム・シート化することによって、各層の偏肉が少なく、層の均一性が良好な多層フィルム・シートを製造できるので、層構成(層の数と組み合わせ)に対する自由度を高めることができ、従来は製造が困難であった層構成を持った多層フィルム・シートの製造も可能となる。
また、環状マニホールドを用いることで、マニホールド部の体積を大きく設定することができ、マニホールド部と合流部の流速比が従来のフィードブロックに比べて大きくすることができ、その結果、各層の合流部における円周方向(フィルム・シートにした時の幅方向)の流速の偏りが少なくなり、各層の幅方向の厚さの偏肉が少ない多層フィルム・シートを製造できる。
また、従来装置のマニホールドは、フィードブロックの幅より大きくすることが難しいのに対し、本発明の装置では、マニホールドの幅(マニホールド中心部の円周方向の長さ)を合流部より大きくすることができるので、樹脂流の行程差による幅方向の樹脂流の偏りが大幅に減少し、その結果、各層の幅方向厚さの偏りが減少する。
また、マニホールドから合流部までの流路を斜めにすることにより、流路長を長くとれるので、流速のばらつきが少なくなり、各層の偏肉が少なくなる。従来のフィードブロックは、本発明の多層フィルム・シート製造用合流装置より、流路を斜めに長くすることはなされておらず、実施したとしても、フィードブロック本体が大きくなるか、加工が難しくなり、本発明の装置のように簡単に流路長を長く設定することはできない。
また、円柱状をなす第1樹脂流の外周に、円筒状の樹脂流を直角よりも小さい角度で合流させるので、合流による層界面の乱れが少なく、安定して多層フィルム・シートを製造することができる。
また、スペーサで第1樹脂流に積層する各樹脂流を半円状に2分割することにより、更に層構成を多様化できる。
また、スペーサで第1樹脂流に積層する各樹脂流を半円状に2分割した場合、各樹脂流を第1樹脂流の両側に対称に積層することができ、n台の押出機を用いた場合[n]種[2n−1]層迄の多層フィルム・シートを製造できる。2分割した各樹脂流路には、1台の押出機だけでなく2台の押出機から別個の樹脂を流入させても良い。こうすると、各層の組成が異なる[n]種[n]層の積層フィルム・シートを得ることが出来る。
この場合、各層毎にチョークボルト17の操作で、対象となる樹脂流量をゼロから最大まで調節できるので、単層から[n]種[2n−1]層まで、或いは[n]種[n]層までの各層構成の多層フィルム・シートを流量調整手段の操作だけで容易に変更することができる。
図1〜図3は、本発明の多層フィルム・シート製造用合流装置の一実施形態として、3種5層の多層フィルム・シートの製造用に構成した多層フィルム・シート製造用合流装置1を例示する図である。図1は多層フィルム・シート製造用合流装置1の縦断面図、図2は多層フィルム・シート製造用合流装置1の横断面図、図3は図2中のIII部分の拡大断面図である。これらの図中、符号1は多層フィルム・シート製造用合流装置、2は第1ブロック、3は第2ブロック、4は追加ブロック、5は第1樹脂入口、6は外側樹脂層用樹脂入口、7は中間樹脂層用樹脂入口、8はアダプタ、9及び10は環状マニホールド、9A及び10Aは円錐状樹脂流路、11は第1樹脂流路、12は環状積層流流路、13及び14は合流部、15は積層樹脂流路、16はスペーサ、17は流量調節手段としてのチョークボルト、18は壁である。
第2ブロック3には、環状マニホールド9に連通する外側樹脂層用樹脂入口6が設けられ、この外側樹脂層用樹脂入口6には、外側樹脂層用樹脂を供給するための第2の押出機32(図5参照)が接続される。この第2ブロック3は、第2ブロック本体3aと第2ブロックコア3bとからなっている。
追加ブロック4には、環状マニホールド10に連通する中間樹脂層用樹脂入口7が設けられ、この中間樹脂層用樹脂入口7には、中間樹脂層用樹脂を供給するための第3の押出機33(図5参照)が接続される。この追加ブロック4は、追加ブロック本体4aと追加ブロックコア4bとからなっている。
なお、環状マニホールド9、10及び円錐状樹脂流路9A、10Aは、第2ブロック3及び追加ブロックの所定の外面を凹ませ、ブロック同士の連結時にこの凹部と連結相手のブロックの端面とでそれぞれの空間(環状マニホールド9、10及び円錐状樹脂流路9A、10A)が形成される構成とすることができる。また、環状マニホールド9、10及び円錐状樹脂流路9A、10Aとなる凹部の開口には、金属板やパッキンを配置し、凹部とこれらの金属板やパッキンとでそれぞれの空間(環状マニホールド9、10及び円錐状樹脂流路9A、10A)が形成される構成とすることもできる。
また、本実施形態の多層フィルム・シート製造用合流装置1によれば、同心円状の環状積層流をフィルム・シート化することによって、各層の偏肉が少なく、層の均一性が良好な多層フィルム・シートを製造できるので、層構成(層の数と組み合わせ)に対する自由度を高めることができ、従来は製造が困難であった層構成を持った多層フィルム・シートの製造も可能となる。
また、環状マニホールド9,10を用いることで、マニホールド部の体積を大きく設定することができ、マニホールド部と合流部の流速比が従来のフィードブロックに比べて大きくすることができ、その結果、各層の合流部における円周方向(フィルム・シートにした時の幅方向)の流速の偏りが少なくなり、各層の幅方向の厚さの偏肉が少ない多層フィルム・シートを製造できる。
また、従来装置のマニホールドは、フィードブロックの幅より大きくすることが難しいのに対し、本実施形態の装置では、環状マニホールド9,10の幅(マニホールド中心部の円周方向の長さ)を合流部13,14より大きくすることができるので、樹脂流の行程差による幅方向の樹脂流の偏りが大幅に減少し、その結果、各層の幅方向厚さの偏りが減少する。
また、環状マニホールド9,10から合流部13,14までの円錐状樹脂流路9A,10Aを斜めにすることにより、流路長を長くとれるので、流速のばらつきが少なくなり、各層の偏肉が少なくなる。
また、円柱状をなす第1樹脂流の外周に、円筒状の樹脂流を直角よりも小さい角度で合流させるので、合流による層界面の乱れが少なく、安定して多層フィルム・シートを製造することができる。
また、図4に示すように、スペーサ16で第1樹脂流に積層する各樹脂流を半円状に2分割することにより、更に層構成を多様化できる。
また、スペーサ16で第1樹脂流に積層する各樹脂流を半円状に2分割した場合、各樹脂流を第1樹脂流の両側に対称に積層することができ、n台の押出機を用いた場合[n]種[2n−1]層迄の多層フィルム・シートを製造できる。
この場合、各層毎にチョークボルト17の操作で対象となる樹脂流量をゼロから最大まで調節できるので、単層から[n]種[2n−1]層までの各種構成の多層フィルム・シートを流量調整手段の操作だけで容易に変更することができる。
(2)前述した実施形態の通り、追加ブロック4が1台の場合、第1樹脂21の外周に中間樹脂層22が直接積層され、この中間樹脂層22の外周に外側樹脂層23が積層された3種5層の多層フィルム・シートが製造できる。
(3)追加ブロック4が2台以上の場合、第1樹脂21の外周に2層以上の中間樹脂層が積層され、この2層以上の中間樹脂層の外周に外側樹脂層23が積層された多層フィルム・シートが製造できる。
図5は、本発明に係る多層フィルム・シート製造装置の一実施形態を示す横断面図である。本実施形態の多層フィルム・シート製造装置30は、前述した本発明に係る多層フィルム・シート製造用合流装置1と、該多層フィルム・シート製造用合流装置1に樹脂を供給可能に接続された複数の押出機(第1の押出機31,第2の押出機32及び第3の押出機33)と、多層フィルム・シート製造用合流装置1の樹脂出口に取り付けられたTダイ34とを有する構成になっている。
また、各押出機と合流装置との間の樹脂流路に、流量調整手段としてチョークボルト17を設けて、樹脂流量を調節することが好ましい。
また、前記積層用樹脂流の各環状マニホールド9,10に、2枚のスペーサ17を配置して該マニホールドを2分割し、積層用樹脂流をそれぞれ2分割して第1樹脂流と合流せしめることが好ましい。
さらに、分割した各環状マニホールドユニット毎に、流量調整手段を有する樹脂流路を設けて、各環状マニホールドユニット毎に樹脂流量を調整して第1樹脂流と合流せしめることが好ましい。
また、本発明の製造方法によれば、同心円状の環状積層流をフィルム・シート化することによって、各層の偏肉が少なく、層の均一性が良好な多層フィルム・シートを製造できるので、層構成(層の数と組み合わせ)に対する自由度を高めることができ、従来は製造が困難であった多層フィルム・シートの製造も可能となる。
Claims (10)
- 第1の押出機から供給される第1樹脂流を円柱状として流す第1樹脂流路と、
別の1つ以上の押出機から樹脂が供給され、前記第1樹脂流路の外周を囲むように1段又は多段に配置された環状マニホールドと、
前記1つ以上の環状マニホールドのそれぞれから前記第1樹脂流路への各合流部に至る円錐状樹脂流路と、
前記第1樹脂流路と前記円錐状樹脂流路との合流部から合流装置先端側に至る環状積層流流路とを有し、
前記第1樹脂流路を有する第1ブロックと、
前記第1樹脂流路を流れる第1樹脂流の外面に直接又は他の1つ以上の樹脂層を介して同心円状に樹脂を合流させ、外側樹脂層を形成する第2ブロックと、
前記第2ブロックの樹脂出口側とTダイ入り口とをつなぐアダプタとを有することを特徴とする多層フィルム・シート製造用合流装置。 - 前記環状積層流流路から合流装置先端までの間に、断面が円形から略長方形に漸次変化する積層樹脂流路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の多層フィルム・シート製造用合流装置。
- 前記合流部における前記円錐状樹脂流路と前記第1樹脂流路とがなす合流角度が80度以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多層フィルム・シート製造用合流装置。
- 前記環状マニホールドの少なくとも1つに、2枚のスペーサが設けられ、該環状マニホールドが2つの環状マニホールドユニットに分割されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多層フィルム・シート製造用合流装置。
- 前記第1ブロックと前記第2ブロックとの間に、第1樹脂流路を流れる第1樹脂流の外面に1層以上の中間樹脂層を同心円状に形成する1つ又はそれ以上の追加ブロックが設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多層フィルム・シート製造用合流装置。
- 前記第2ブロックと前記追加ブロックは、前記第1樹脂流路の外周を囲むように設けられた環状マニホールドと、該環状マニホールドから第1樹脂流路又は環状積層流流路に樹脂を合流させる円錐状樹脂流路とが設けられたことを特徴とする請求項5に記載の多層フィルム・シート製造用合流装置。
- 前記アダプタ内部に断面が円形から略長方形に漸次変化する積層樹脂流路が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の多層フィルム・シート製造用合流装置。
- 前記第1樹脂流路と前記円錐状樹脂流路とに、樹脂流量を調整する流量調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の多層フィルム・シート製造用合流装置。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の多層フィルム・シート製造用合流装置と、該多層フィルム・シート製造用合流装置に樹脂を供給可能に接続された複数台の押出機と、前記多層フィルム・シート製造用合流装置の樹脂出口に取り付けられたTダイとを有することを特徴とする多層フィルム・シート製造装置。
- 第1の押出機から供給される第1樹脂流を、第1ブロックが有する第1樹脂流路に円柱状として供給し、別の1つ以上の押出機から前記第1樹脂流路の外周を囲むように1段又は多段に配置された第2ブロックが有する環状マニホールドを経て、1種又はそれ以上の積層用樹脂流を供給し、
前記積層用樹脂流を、前記1つ以上の環状マニホールドのそれぞれから前記第1樹脂流路への円錐状樹脂流路を経て各合流部で合流させて、同心円状の環状積層流とし、
この環状積層流を前記第2ブロックの樹脂出口側からアダプタを介してTダイに導いて、該Tダイからフィルム又はシート状に押し出して多層フィルム・シートを得ることを特徴とする多層フィルム・シートの製造方法。
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