JP2008272989A - フィードブロック、積層樹脂フィルム又はシートの成形装置及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のフィードブロック15は、内部空間16を有しており、複数の上流側流路31、32、33から流入した樹脂が、合流部35で合流し、積層状態で流れる下流側流路36を通って フラットダイ10へと流れるものである。そして、上流側流路32には、厚み方向Tに突出する突出部37が形成されて部分的に厚み方向Tが狭くなっており、突出部37によって、上流側流路に樹脂が流れる際の樹脂の流れやすさを変えるものである
【選択図】 図1
Description
共押出し成形とは2種類以上の樹脂を、全ての樹脂を溶融状態で積層する成形方法であり、具体的には、フィードブロックあるいはマルチマニホールドダイなどを用いて、多層一体構造のフィルム製品を作る方法である。そして、積層されたシートやフィルムによって、複数の材料特性を組み合わせて所望の機能を発現させたり、回収材料や低コスト材料を中間層に入れることにより生産効率を上げること等を目的としている。
マルチマニホールド方式は、それぞれの樹脂に対して樹脂流入部及びマニホールドを設け、各層の樹脂が幅方向に拡がった状態で、リップ開口部手前で積層する方式である。
また、他の方式として、それぞれの樹脂に対して樹脂流入部及びマニホールドを設け、各層の樹脂が幅方向に拡がった状態で吐出させ、その後に積層する方式がある。
しかしながらフィードブロック方式では各層の比率や樹脂の流動特性等によっては界面不安定現象と呼ばれている現象が正常な成形を妨げている。これが発生すると、製品の界面に波状の外観不良が発生し外観品質が悪くなるとともに各層の厚み精度が悪くなるといった問題が生じる。また粘度差が極端に大きい場合などには、図13に示すような、一方の樹脂(低粘度樹脂)が他方の樹脂(高粘度樹脂)の端部を包み込む「回りこみ現象」が大きくなり、場合によっては生産効率を著しく下げてしまう。
一般的に、各樹脂のフィードブロック内の流れは、中央付近の流れが速く、両端側に向かって流れが遅くなる。一方で、積層に用いられる樹脂の特性や、積層時の厚みの違いがあり、フィードブロック内での流れの特性が変わるので、中央付近と両端付近との速度の違いの程度に差がある。そのため、厚みに応じて各層の樹脂を吐出量を調整しても、幅方向のいずれかの位置で、流速の差が発生してしまう。
また、高粘度樹脂などは低粘度樹脂に比べて、フィードブロックからマニホールドへと流れる際に展開しにくいので、上記回りこみ現象が発生しやすくなるが、フィードブロックでの幅方向の端部付近の樹脂の速度が遅いと、さらに、この現象が発生しやすい。
なお、本発明において、フラットダイとは、コートハンガーダイ、フィッシュテールダイ、ストレートマニホールドダイを総称して用いるものとする。
本発明の第1の実施形態における成形装置1は、フラットダイ10とフィードブロック15とを有するものである。そして、フラットダイ10とフィードブロック15は、それぞれ、図1に示されるような内部空間11、16が形成される金型を有している。
そして、この内部空間11、16を樹脂が通過して成形が行われるものであり、フラットダイ10の内部空間11が、フィードブロック15の内部空間16よりも下流側である。また、フラットダイ10の内部空間11と通過して樹脂が吐出される部分であるリップ部12から積層シート91として押し出される。
それぞれの誘導部31c、32c、33cでは、幅方向Wが厚み方向Tよりも長くなっている細長い空間である。また、誘導部31c、32c、33cの幅方向Wの長さは、マニホールド31b、32b、33bの幅方向Wの長さと同じである。
また、誘導部31c、32c、33cは、図4に示すように、幅方向Wから見ると、合流部35から放射状となっている形状であり、誘導部31c、32c、33cの同士では、それぞれの流れ方向Sの間では角度がずれている。
突出部37の流れ方向Sの長さ、すなわち、幅狭部61の長さは、幅方向Wの中央付近が長く、幅方向Wの外側に向かって徐々に短くなっている。そして、突出部37の厚み方向Tから見た形状が五角形状となっており、幅方向Wの中央付近の流れ方向Sの長さが長く、幅方向Wの外側ほど、流れ方向Sの長さが短くなっている形状となっている。また、突出部37の上流側の中央付近に角部があり、下流側は直線状となっている。
したがって、突出部37により樹脂の流れは、幅方向Wの中央付近が流れにくく、幅方向Wの外側ほど流れやすいものとなっており、突出部37が無い場合と比較して、上流側流路32の幅方向Wの中央付近の樹脂が流動しにくく、幅方向Wの外側ほど流動しやすいものとなっている。
なお、突出部37の縁の部分は、厚みが徐々に変化するような傾斜部分を有しており、表面に、段が形成されないようになっている。
誘導部31c、32c、33cの厚み方向Tの間隔については、突出部37が設けられていない部分である幅広部が、2〜10mmが良く、3〜5mmがさらに良く、また、突出部37が設けられている部分である幅狭部が、1〜4mmが良く、2〜3mmがさらに良い。この幅広部に対する幅狭部の長さは、30〜60%が望ましい。
隣り合う樹脂の層の間において、中央付近と外側付近との間で流れの差の程度が異なる場合、境界部分で不安定な流れになりやすい。
このような場合、粘度の高い樹脂や、流量が多い樹脂が流れる上流側流路31、32、33に形成される突出部37の形状を、突出部37の中央付近の流れ方向Sの長さを長くするなど、中央付近の樹脂を流れにくくする様な形状とすることにより、流れをより安定させることができる。
図7に示されるフィードブロック21の突出部41は、上流側の端部が円弧状であり、下流側の端部が直線状である形状である。
図8に示されるフィードブロック22の突出部42は、四角形状であり、上流側及び下流側の中央付近に角部がある形状である。
図9に示されるフィードブロック23の突出部43は、台形状であり、上流側の端部及び下流側の端部が平行であり、上流側の端部の長さが下流側の端部の長さよりも短くなっている。
なお、これらの突出部41、42、43は、フィードブロック15と同様に、中央に配置される上流側流路32の誘導部32cに形成されており、中間層に対応する樹脂の流れを制御するものである。
なお、フィードブロック25では、上流側流路62aに、突出部45が設けられており、フィードブロック26では、両端の上流側流路63、67と、中央の上流側流路65の3ヵ所に、突出部46、47、48が形成されている。
また、上流側流路31、32、33の合流部35側(下流側)に位置する誘導部31c、32c、33cの幅方向Wの長さは、全て同じとなっている。
フラットダイ10は、通常用いられるものが用いられており、コートハンガータイプでも良いし、ストレートマニホールドタイプの金型どちらでも良い。
図12に示されるフィードブロック27では、上流側流路31と上流側流路32との間、上流側流路32と上流側流路33との間のそれぞれに可動板40、40aが配置されており、上流側流路31と上流側流路32との間の可動板40には突出部49が設けられている。
したがって、可動板40を回転させると、突出部49の部分のすき間を可変させることができ、突出部49と対向する壁面とによって形成されるすき間を(厚み方向Tの長さ)を変えることができ、樹脂の流れやすさの調整を容易に行うことができる。
成形装置1で成形に用いる樹脂は、熱可塑性樹脂が用いられており、具体的には、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン塩化ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンエチルアクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、マレイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリレート、セルロースエステル、ポリノルボルネン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。なお、上記熱可塑性樹脂には可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤が添加されていても良く、上記以外の樹脂を用いても良い。
また、突出部37により、幅方向Wの両側の流れを相対的に早くするものであるので、樹脂がフィードブロック15からフラットダイ10へと供給された場合に、フラットダイ10の内部空間11での展開がスムーズにさせることができ、積層シート91の成形を安定させることができる。
具体的には、フラットダイ10から出た樹脂をロール延伸しながらチルロールで冷却しても良いし、エアーナイフやタッチロール、静電ピニングを用いて樹脂をチルロールに押し付けても良い。また水槽に付けて冷却しても良い。
(実施例1)
図1〜図5に示されるフィードブロック15及びフラットダイ10を用いて、実施例1の積層シート91を成形した。
なお、誘導部31c、32c、33cの厚み方向Tの間隔については、突出部37が設けられていない部分が5mmであり、また、突出部37が設けられている部分が2mmである。また、マニホールド31b、32b、33bは半径10mmの円形のものが用いられている。
突出部37の流れ方向Sの最長部37a(中央付近)の長さは15mmであり、最短部37b(両端付近)の長さは5mmであり、この長さの差は、10mmである。
フラットダイ10としては、幅方向Wの長さが1000mmのコートハンガーダイを用い、これらの金型の温度を190℃で成形した。フラットダイ10から出てきた樹脂はチルロールにて引取り多層フィルム状にして各層の厚み精度、外観不良、回りこみ状態を評価した。
なお、回りこみ量は、図13に示すように、積層シート91の両端部にできてしまう低粘度樹脂91aである第3層のみで形成される長さLであり、第1層、第2層の樹脂91bが無い長さである。
また、用いられる押出機のサイズは上流側流路31及び上流側流路33(第1層及び第3層の両側の外層)が40mmであり、上流側流路32(第2層の中間層)が60mmである。
このゼロせん断粘度の測定はレオメトリックサイエンティフィックエフイー(株)製 メカニカルスペクトロメータ(RMS800)で行い、せん断速度0.1(1/s)のせん断粘度をゼロせん段粘度としている。
成形されたフィルムの厚さは、第1層及び第3層が約10μで、第2層が約30μであり、全体が約50μである。
このように、得られた多層フィルムの厚み精度、外観不良の有無、回りこみ量を表1に示す。
フラットダイ10の幅の長さと、用いる押出機と、押出量を変更した点以外は、実施例1と同じ条件で成形した。
具体的には、フラットダイ10の幅の長さを2000mmにし、上流側流路31及び上流側流路33(第1層及び第3層の両側の外層)の押出機のサイズを55mmのものを用いて40kg/hの押出量とし、また、上流側流路32(第2層の中間層)の押出機のサイズを90mmのものを用いて40kg/hの押出量とした。
得られた多層フィルムの厚み精度、外観不良の有無、回りこみ量を表1に示す。
突起部37の無いフィードブロックを用いた以外は、実施例1と同じ条件にてテストを行った。
得られた多層フィルムの厚み精度、外観不良の有無、回りこみ量を表1に示す。
突起部37の無いフィードブロックを用いた以外は、実施例2と同じ条件にてテストを行った。
得られた多層フィルムの厚み精度、外観不良の有無、回りこみ量を表1に示す。
10 フラットダイ
11 内部空間
15、20、21、22、23、25、26、27 フィードブロック
16 内部空間
31、32、33 上流側流路
31c、32c、33c 誘導部
35 合流部
36 下流側流路
37、38、41、42、43、45、46、47、48、49 突出部
60 幅広部
61 幅狭部
91 積層シート
S 流れ方向
T 厚み方向
W 幅方向
Claims (7)
- 複数の樹脂を積層状態に合流させることができ、合流した積層樹脂をフラットダイに流入させて積層樹脂フィルム又はシートを成形することができ、
複数の樹脂のそれぞれに対応して形成されている複数の上流側流路と、前記上流側流路同士が厚み方向Tに重なるように合流する合流部と、前記合流部よりも下流に位置して全ての樹脂が積層状態で流れる下流側流路とを有しており、
少なくとも1ヵ所以上の上流側流路は、厚み方向T及び幅方向Wを持つ流路であって、厚み方向Tに突出する突出部が形成されて部分的に厚み方向Tの距離が短くなっており、
突出部によって、上流側流路に樹脂が流れる際に、幅方向Wの位置によって樹脂の流れやすさを変えるものであることを特徴とするフィードブロック。 - 突出部の形状は、幅方向Wの中央付近が流れにくく、幅方向Wの外側ほど流れやすい形状となっていることを特徴とする請求項1に記載のフィードブロック。
- 突出部の厚み方向Tから見た形状は、幅方向Wの中央付近の流れ方向Sの長さが長く、幅方向Wの外側ほど、流れ方向Sの長さが短くなっている形状となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィードブロック。
- 上流側流路は3ヵ所以上設けられて3層以上の積層樹脂フィルム又はシートの成形に用いられるものであり、突出部は、少なくとも、積層樹脂の両端の層以外の中間層となる樹脂が流れる上流側流路に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフィードブロック。
- 上流側流路の合流部側の幅方向Wの長さは、合流部で合流する全ての上流側流路の間で同じであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフィードブロック。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のフィードブロックとフラットダイとを用いたことを特徴とする積層樹脂フィルム又はシートの成形装置。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のフィードブロックを用い、複数の樹脂を上流側流路から流入させて合流点で合流させ、合流した樹脂をマニホールドに流入させることにより積層樹脂の成形することを特徴とする積層樹脂フィルム又はシートの製造方法。
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