JP2004142339A - Tダイおよび熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】流動性が異なる複数種の熱可塑性樹脂を、幅方向の全体にわたって確実に積層させ、かつ吐出されたフィルムの耳高を改良し幅効率のよいフィルムが製膜できるTダイおよび熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法を提供する。
【解決手段】異なる流動性を有する複数種の熱可塑性樹脂を、積層状態でTダイのマニホールド内に流入させ、マニホールド内で、積層状態を保ちながら流入方向に直交する方向に展開したのち、リップ開口部から押し出する熱可塑性樹脂積層製品を得るにあたり、ダイ内での樹脂の展開幅を規制するインナーディッケルを設け、マニホールド内でのインナーディッケルの流動性が低い樹脂の積層側部分に対応する部分に比べ、流動性が高い樹脂の積層側部分に対応する部分を、その少なくとも一部でマニホールドの内側に向かって突出させるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】異なる流動性を有する複数種の熱可塑性樹脂を、積層状態でTダイのマニホールド内に流入させ、マニホールド内で、積層状態を保ちながら流入方向に直交する方向に展開したのち、リップ開口部から押し出する熱可塑性樹脂積層製品を得るにあたり、ダイ内での樹脂の展開幅を規制するインナーディッケルを設け、マニホールド内でのインナーディッケルの流動性が低い樹脂の積層側部分に対応する部分に比べ、流動性が高い樹脂の積層側部分に対応する部分を、その少なくとも一部でマニホールドの内側に向かって突出させるようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Tダイおよび熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂をフィルム状(あるいはシート状)の成形体を成形する方法として、Tダイを用いた押出成形法が使用されている。
すなわち、Tダイは、溶融状態の熱可塑性樹脂が、樹脂流入口からTダイ内に設けられたマニホールド内に供給され、マニホールド内で流入方向に直交する方向に展開されたのち、リップ開口部からフィルム状になって押し出されるようになっている。
ところで、リップ開口部から押し出されたフィルム状物は、その後、ネックイン現象により両端部が厚くなる、所謂「耳高」を生じる。このネックイン現象により生じた耳高部は製品として使用できないため切り捨てなければならず、幅効率を低下させるだけではなく.フィルム製膜において冷却ロールへの密着性を阻害したり、樹脂の種類によってはロールに巻き付くトラブルを起こすこともある。
【0003】
そこで、このような耳高を改良することができるTダイとして、インナーディッケル部を樹脂流路の下流側に向かって分割したもの(特許文献1〜特許文献3参照)がすでに提案されている。
すなわち、押し出されるフィルム状物の幅を規制する目的で設けられたインナーディッケルを樹脂流路の下流側に向かって分割し、分割された個々のインナーディッケル部の樹脂流路側への突出長さを調整することによって、両端側に展開される樹脂の量を中央側に比べて少なくして耳高を抑えるようにしている。
【0004】
また、Tダイを用いれば、複数の熱可塑性樹脂をTダイの上流に設けられたフィードブロックで積層状態にしたのち、Tダイの内部に共押出することによって、複数の熱可塑性樹脂が厚み方向に積層されたフィルム状の成形体をえることができる。すなわち、2種類の熱可塑性樹脂を共押出する場合について説明すると、Tダイの樹脂流入路内に、積層された状態で共押し出しされる熱可塑性樹脂は、マニホールド内に流入すると、マニホールドの幅方向の壁に沿って流動し、幅方向に沿って広がった状態になる。この場合、上下に積層された2種類の熱可塑性樹脂の流動性が完全に一致している場合には、それぞれの樹脂は、マニホールド内にて同様の状態で流動する。従って、積層された状態の熱可塑性樹脂は、マニホールド内を等しい速度で幅方向に沿って流動してマニホールド内に充填されるために、マニホールド内における樹脂流動域の幅方向全体にわたって積層された状態になり、そのような積層状態で、リップ開口部から吐出される。その結果、リップ開口部からは、それぞれの熱可塑性樹脂層が幅方向の全体にわたって一定の厚さで積層された状態で吐出される。各熱可塑性樹脂層の厚さの比率は、各熱可塑性樹脂の押し出し量の比率に対応している。
【0005】
しかし、近年フィルムの高機能化が求められるなかで、Tダイにおけるマニホールドを含む樹脂流入路内に共押し出しされる各樹脂の流動性(例えば、MFR(メルト・フロー・レイト、JIS K6760)で表される性質)が異なっている場合が多い。
【0006】
このような場合、MFRが大きくて流動性の大きな熱可塑性樹脂は、流れの自由度が大きくなっているために、マニホールド内に流入した際に、流入方向とは直交する幅方向にも容易に推進し得るのに対して、MFRが小さくて流動性の小さな樹脂は、流れの自由度が小さくなっているために、流入方向とは直交する幅方向への推進力が弱く、幅方向に沿って容易には広がらない。その結果、図4および図5に示すように、Tダイ100のマニホールド110内に流入した流動性の大きな樹脂200は、図4に二点鎖線で示すように、流動性の小さな樹脂300よりも先にマニホールド110の周縁部に回り込み、流動性の小さな樹脂300は、図4に破線で示すように、マニホールド110の周縁部にまでは回り込むことができなくなる。
【0007】
したがって、それぞれの熱可塑性樹脂層が幅方向の全体にわたって一定の厚さで積層されず、幅方向の各側縁部では、かなりの部分で流動性の小さな樹脂300が全く積層されない状態で、リップ開口部120から吐出されるおそれがある。
すなわち、図5に示すように、流動性の小さな樹脂300が幅方向の各側縁部には全く積層されず、幅方向の各側縁部には、流動性の大きな樹脂200だけになった積層体が得られることになる。
【0008】
したがって、上記公報に開示されたようなインナーディッケル部が樹脂流路の下流側に向かって分割されたTダイを用いて耳高を改良して全体の厚みは求めるものになっても、両側縁部では、積層比が製品設計と違っており、結局両側縁部を従来通り切り捨てなければならず、製品の歩留りが悪くなり、経済性が大きく損なわれるおそれがある。
【0009】
【特許文献1】特開昭61−67523号公報
【特許文献2】特開平06−166083号公報
【特許文献3】特開平09−201865号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みて、流動性が異なる複数種の熱可塑性樹脂を、幅方向の全体にわたって確実に積層させ、かつ吐出されたフィルムの耳高を改良し幅効率のよいフィルムが製膜できるTダイおよび熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のTダイ(以下、「請求項1のTダイ」と記す)は、マニホールド内に流入した熱可塑性樹脂が、マニホールド内で、流入方向に直交する方向に展開され、リップ開口部から押し出されるTダイにおいて、ダイ内での樹脂の展開幅を規制するインナーディッケルを備え、このインナーディッケルの少なくともマニホールド内に臨む部分の厚み方向の一部に厚み方向の他の部分に比べてマニホールドの内側に向かって突出する突出部を備えていることを特徴としている。
【0012】
本発明の請求項2に記載のTダイ(以下、「請求項2のTダイ」と記す)は、また、請求項1のTダイにおいて、インナーディッケルは、突出部が、他の部分に対し独立してマニホールドの内側方向に進退自在に設けられていることを特徴としている。
【0013】
本発明にかかる熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法は、異なる流動性を有する複数種の熱可塑性樹脂を、積層状態でTダイのマニホールド内に流入させ、マニホールド内で、積層状態を保ちながら流入方向に直交する方向に展開したのち、リップ開口部から押し出しする熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法において、ダイ内での樹脂の展開幅を規制するインナーディッケルを設け、マニホールド内でのインナーディッケルの流動性が低い樹脂の積層側部分に対応する部分に比べ、流動性が高い樹脂の積層側部分に対応する部分を、その少なくとも一部でマニホールドの内側に向かって突出させることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本発明にかかるTダイの1つの実施の形態をあらわしている。
【0015】
図1に示すように、このTダイ1Aは、2つの分割型2a,2bを組み合わせることによって形成された本体2と、2つのインナーディッケル3aとを備えている。
本体2は、樹脂流入口4と、樹脂流路5と、リップ開口部6と、インナーディッケル装着孔7とを備えている。
【0016】
樹脂流入口4は、スリット状をしていて、リップ開口部6の中央部に対向して、リップ開口部6とは平行な状態で設けられている。
樹脂流路5は、本体2内に設けられ、樹脂流入路51と、マニホールド52と、リップランド部53とを備え、マニホールド52とリップランド部53との間に必要に応じてプレランド部や流量調整溝部(流量調整バー)が設けられている。なお、図1では、樹脂流路5はマニホールド52からリップランド部53にかけての厚みが同じに描かれているが、実際は、マニホールド52側が厚く、リップランド部53に向かうほど厚みが薄くなっている。
【0017】
マニホールド52は、樹脂流入路51に連続して設けられていて、樹脂流入路51からの熱可塑性樹脂の流入方向とは直交する幅方向に沿って広がっている。インナーディッケル装着孔7は、本体2の幅方向の両側面からマニホールド52からリップランド部53に跨がる部分に開口するように本体2に穿設されている。
【0018】
各インナーディッケル3aは、本体2の厚み方向それぞれその先端部がインナーディッケル装着孔7から樹脂流路5内に臨むとともに、本体2の幅方向にスライド自在にインナーディッケル装着孔7に嵌装されている。
また、インナーディッケル3aのマニホールド52に臨む部分は、本体2の厚み方向の半分(図1でみて下側半分)が残りの半分(図1でみて上側半分)の非突出部32に比べて本体2の幅方向中央側に全体に均等な幅で突出した突出部31となっている。また、突出部31および非突出部32の先端面31a,先端面32aは、平行にかつ樹脂流路5の下流方向に向かって本体2の幅方向内側から幅方向外側に広がる傾斜面になっている。
【0019】
このTダイ1Aは、以上のようになっており、以下のような本発明の熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法に好適に使用することができる。
すなわち、この押出成形方法は、流動性が異なる2種類の熱可塑性樹脂を、フィードブロック(図示せず)内にて積層状態に合流させたのち、流動性が小さい(MFRが小さい)樹脂が本体2の図1でみて上側、流動性が大きい(MFRが大きい)樹脂が下側になった積層状態を保ちながら樹脂が樹脂流入口4から樹脂流路5内に注入し、マニホールド52部分で樹脂の流入方向に直交する方向に展開したのち、リップランド部53を経てリップ開口部6から積層状態でフィルム状に吐出するようになっている。
【0020】
そして、Tダイ1Aは、インナーディッケル3aのマニホールド52に臨む部分の突出部31が非突出部32に比べて本体2の幅方向中央側に突出しているので、マニホールド52内に入った2種類の熱可塑性樹脂のうち、流動性が大きい樹脂がほぼインナーディッケル3aの突出部31の先端面31aに沿うように展開され、流動性が小さい樹脂が非突出部32の先端面32aに沿って展開される。すなわち、非突出部32より内側に突出した突出部31によって、流動性が大きい樹脂の展開幅が、流動性が小さい樹脂部分より小さく抑えられるようになっている。
【0021】
そして、樹脂は、マニホールド52部分を通過した後リップ開口部6に至るまでの樹脂流路5中でさらに展開されるが、インナーディッケル3の突出部31によって展開を抑えられていた流動性が大きい樹脂は、その流動性の差から徐々に幅を広げ、リップ開口部6においては、流動性が大きい樹脂および流動性が小さい樹脂のいずれもがほぼリップ開口部6と同じ幅に展開される。
したがって、この押出成形方法によれば、図2に示すように、流動性の大きい樹脂P1と流動性の小さい樹脂P2とが幅方向のほぼ全体にわたって均一に積層された状態のフィルム状成形体を連続して得ることができる。
【0022】
しかも、マニホールド52部分では、インナーディッケル3aによって樹脂流路5の幅がリップ開口部6より狭くなっているので、リップ開口部6の幅方向両端部での樹脂の流量は中央部の流量より少なくなっており、このことが耳高を改良し、ネックイン現象後のフィルム厚みにおいて、フィルム両端部の厚みを著しく改良することができる。
【0023】
なお、突出部31の非突出部32に対する突出幅Wは、最下流側の突出幅Wが、5mm以上500mm以下がよく、さらに好ましくは、10mm以上100mm以下である。すなわち、突出幅Wが、500mm以上では積層比分布を均一にすることが困難で、5mmより小さいと樹脂の流動性の差により積層比分布が両端部のみ偏り効果が期待できない。
【0024】
図3(a)〜(c)は、本発明にかかるTダイの他の実施の形態をあらわしている。
すなわち、図3(a)に示すTダイ1Bは、インナーディッケル3bがマニホールド用分割部33と、マニホールド52より下流側の2つ分割部34,35の3つに分割されていて、個々の分割部33〜35が樹脂流路5側への突出割合を変更できるようにした以外は、上記Tダイ1Aと同様になっている。
【0025】
図3(b)に示すTダイ1Cは、インナーディッケル3cの突出部31の突出幅を樹脂流路5の下流側に向かって徐々に大きくするようにした以外は、上記Tダイ1Aと同様になっている。
図3(c)に示すTダイ1Dは、インナーディッケル3dのマニホールド52より下流側に臨む部分も下側が突出するようにした以外は、上記Tダイ1Cと同様になっている。
【0026】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、突出部31を非突出部32に対して樹脂流路5の内側方向にスライド自在にして突出幅を自在に変更できるようにしても構わない。このようにすれば、樹脂の組み合わせが変わってもインナーディッケルを交換することなく、突出幅をその樹脂の組み合わせに応じた幅にすることができ、作業性がよい。
また、マニホールドの断面形状が端に行くにつれて順次変化しても、本発明の要件を満足していれば同様の効果が得られる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明について、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0028】
(実施例1) 2層
図3(a)のTダイ1Bを用い、リップ開口部6における樹脂流動域の幅方向寸法を500mm、リップ開口部6の厚み200μm、突出幅を30mm、Tダイ1Bの金型設定温度を200℃として、MFRが3.7g/10分のLDPE(低密度ポリエチレン、三井化学株式会社製、商品名「ミラソン16」)と、MFRが20g/10分のEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体、東ソー株式会社製、商品名「ウルトラセン633」)とを、それぞれ30kg/hr、30kg/hrにて、共押し出ししてフィルム状製品を製造した。得られたフィルム状製品は、幅方向寸法が480mmで、幅方向の各側縁部は、EVAが単層になっていることなくLDPEとEVAとが幅方向の全体にわたって略均一な厚みで積層された状態になっていた。
【0029】
(実施例2) 2層
図1に示すTダイ1Aを用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルム状製品を製造した。得られたフィルム状製品は、幅方向寸法が480mmで、幅方向の各側縁部は、EVAが単層になっていることなくLDPEとEVAとが幅方向の全体にわたって略均一な厚みで積層された状態になっていた。
【0030】
(実施例3) 2層
図3(b)に示すTダイ1Cを用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルム状製品を製造した。得られたフィルム状製品は、幅方向寸法が480mmで、幅方向の各側縁部は、EVAが単層になっていることなくLDPEとEVAとが幅方向の全体にわたって略均一な厚みで積層された状態になっていた。
【0031】
(実施例4) 3層
図3(a)のTダイ1Bを用い、LDPEとEVAの中間層にMFRが10g/10分のLLDPE(直鎖型低密度ポリエチレン、出光石油化学株式会社製、商品名「1014D」)を、3つそれぞれを各20kg/hrにて、共押し出しして、LDPE、LLDPEおよびEVAを一定の幅方向寸法となるように積層したフィルム状製品を製造した。得られたフィルム状製品は、幅方向寸法が480mmで、幅方向の各側縁部は、EVAが単層になっていることなく、LDPEとLLDPEとEVAとが幅方向の全体にわたって積層された状態になっていた。
【0032】
(比較例1) 2層
突出部のないインナーディッケルを用いた以外は、実施例1と同様になった従来のTダイを用い、実施例1と同様にしてフィルム状製品を製造した。得られたフィルム状製品は、幅方向の各側縁部にLDPEが積層されていないEVAの単層部分が幅方向におのおの20mmにわたって形成されていた。
【0033】
(比較例2) 3層
突出部のないインナーディッケルを用いた以外は、実施例1と同様になった従来のTダイを用い、実施例4と同様にしてフィルム状製品を製造した。得られたフィルム状製品は、LDPEとLLDPEとが積層されていないEVAの単層部分が幅方向におのおの20mmにわたって形成されていた。
【0034】
上記実施例1〜4および比較例1,2で得られたフィルム状製品の耳高最厚部の厚み、リップ開口部6から押し出された直後のフィルム状製品の両端部に形成された単層部分(流動性が大きい樹脂のみの層)の幅を測定し、その結果を以下の表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】
上記表1から本発明の熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法を用いれば、流動性の異なる複数種の熱可塑性樹脂を、吐出方向に直交する幅方向のほぼ全体にわたって均一に積層された状態にすることができるとともに、耳高も抑えることができ製品歩留りがよくなることがよくわかる。
また、実施例1および実施例4のように、インナーディッケルをさらに樹脂流路の下流方向に向かって分割し、個々に樹脂流路内への突出割合を変更できるようにすれば、より耳高を防止できる効果を高められることがよくわかる。
【0037】
【発明の効果】
本発明にかかるTダイは、以上のように構成されているので、本発明の熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法を実施するのに好適に使用することができる。
また、請求項2のTダイのようにすれば、樹脂の組み合わせが変わってもインナーディッケルを交換することなく、突出幅をその樹脂の組み合わせに応じた幅にすることができ、作業性がよい。
【0038】
本発明にかかる熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法は、以上のように構成されているので、流動性の異なる複数種の熱可塑性樹脂が、吐出方向に直交する幅方向のほぼ全体にわたって均一に積層された状態になるとともに両端部の流量制御により耳高を抑制された状態になり、求める積層比になったフィルム状製品を幅効率よく製造することができる。また、フィルム製膜において冷却ロールへの密着性を阻害したり、樹脂の種類によってはロールに巻き付くトラブルを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるTダイの1つの実施の形態を模式的にあらわす一部切欠断面斜視図である。
【図2】本発明にかかる熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法によって得られる積層フィルム状製品の横断面図である。
【図3】本発明にかかるTダイの他の実施の形態を模式的にあらわす断面図である。
【図4】従来のTダイを用いて、流動性の大きい樹脂と流動性の小さい樹脂とを共押出した場合の、金型内で流動性の大きい樹脂および流動性の小さい樹脂のそれぞれの動きを説明する説明図である。
【図5】従来の押出成形方法で得られる積層フィルム状製品の横断面図である。
【符号の説明】
1A,1B,1C,1D Tダイ
2 本体
3a,3b,3c,3d インナーディッケル
31 突出部
32 非突出部(他の部分)
4 樹脂流入口
5 樹脂流路
52 マニホールド
6 リップ開口部
P1 流動性が大きい樹脂
P2 流動性が小さい樹脂
【発明の属する技術分野】
本発明は、Tダイおよび熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂をフィルム状(あるいはシート状)の成形体を成形する方法として、Tダイを用いた押出成形法が使用されている。
すなわち、Tダイは、溶融状態の熱可塑性樹脂が、樹脂流入口からTダイ内に設けられたマニホールド内に供給され、マニホールド内で流入方向に直交する方向に展開されたのち、リップ開口部からフィルム状になって押し出されるようになっている。
ところで、リップ開口部から押し出されたフィルム状物は、その後、ネックイン現象により両端部が厚くなる、所謂「耳高」を生じる。このネックイン現象により生じた耳高部は製品として使用できないため切り捨てなければならず、幅効率を低下させるだけではなく.フィルム製膜において冷却ロールへの密着性を阻害したり、樹脂の種類によってはロールに巻き付くトラブルを起こすこともある。
【0003】
そこで、このような耳高を改良することができるTダイとして、インナーディッケル部を樹脂流路の下流側に向かって分割したもの(特許文献1〜特許文献3参照)がすでに提案されている。
すなわち、押し出されるフィルム状物の幅を規制する目的で設けられたインナーディッケルを樹脂流路の下流側に向かって分割し、分割された個々のインナーディッケル部の樹脂流路側への突出長さを調整することによって、両端側に展開される樹脂の量を中央側に比べて少なくして耳高を抑えるようにしている。
【0004】
また、Tダイを用いれば、複数の熱可塑性樹脂をTダイの上流に設けられたフィードブロックで積層状態にしたのち、Tダイの内部に共押出することによって、複数の熱可塑性樹脂が厚み方向に積層されたフィルム状の成形体をえることができる。すなわち、2種類の熱可塑性樹脂を共押出する場合について説明すると、Tダイの樹脂流入路内に、積層された状態で共押し出しされる熱可塑性樹脂は、マニホールド内に流入すると、マニホールドの幅方向の壁に沿って流動し、幅方向に沿って広がった状態になる。この場合、上下に積層された2種類の熱可塑性樹脂の流動性が完全に一致している場合には、それぞれの樹脂は、マニホールド内にて同様の状態で流動する。従って、積層された状態の熱可塑性樹脂は、マニホールド内を等しい速度で幅方向に沿って流動してマニホールド内に充填されるために、マニホールド内における樹脂流動域の幅方向全体にわたって積層された状態になり、そのような積層状態で、リップ開口部から吐出される。その結果、リップ開口部からは、それぞれの熱可塑性樹脂層が幅方向の全体にわたって一定の厚さで積層された状態で吐出される。各熱可塑性樹脂層の厚さの比率は、各熱可塑性樹脂の押し出し量の比率に対応している。
【0005】
しかし、近年フィルムの高機能化が求められるなかで、Tダイにおけるマニホールドを含む樹脂流入路内に共押し出しされる各樹脂の流動性(例えば、MFR(メルト・フロー・レイト、JIS K6760)で表される性質)が異なっている場合が多い。
【0006】
このような場合、MFRが大きくて流動性の大きな熱可塑性樹脂は、流れの自由度が大きくなっているために、マニホールド内に流入した際に、流入方向とは直交する幅方向にも容易に推進し得るのに対して、MFRが小さくて流動性の小さな樹脂は、流れの自由度が小さくなっているために、流入方向とは直交する幅方向への推進力が弱く、幅方向に沿って容易には広がらない。その結果、図4および図5に示すように、Tダイ100のマニホールド110内に流入した流動性の大きな樹脂200は、図4に二点鎖線で示すように、流動性の小さな樹脂300よりも先にマニホールド110の周縁部に回り込み、流動性の小さな樹脂300は、図4に破線で示すように、マニホールド110の周縁部にまでは回り込むことができなくなる。
【0007】
したがって、それぞれの熱可塑性樹脂層が幅方向の全体にわたって一定の厚さで積層されず、幅方向の各側縁部では、かなりの部分で流動性の小さな樹脂300が全く積層されない状態で、リップ開口部120から吐出されるおそれがある。
すなわち、図5に示すように、流動性の小さな樹脂300が幅方向の各側縁部には全く積層されず、幅方向の各側縁部には、流動性の大きな樹脂200だけになった積層体が得られることになる。
【0008】
したがって、上記公報に開示されたようなインナーディッケル部が樹脂流路の下流側に向かって分割されたTダイを用いて耳高を改良して全体の厚みは求めるものになっても、両側縁部では、積層比が製品設計と違っており、結局両側縁部を従来通り切り捨てなければならず、製品の歩留りが悪くなり、経済性が大きく損なわれるおそれがある。
【0009】
【特許文献1】特開昭61−67523号公報
【特許文献2】特開平06−166083号公報
【特許文献3】特開平09−201865号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みて、流動性が異なる複数種の熱可塑性樹脂を、幅方向の全体にわたって確実に積層させ、かつ吐出されたフィルムの耳高を改良し幅効率のよいフィルムが製膜できるTダイおよび熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のTダイ(以下、「請求項1のTダイ」と記す)は、マニホールド内に流入した熱可塑性樹脂が、マニホールド内で、流入方向に直交する方向に展開され、リップ開口部から押し出されるTダイにおいて、ダイ内での樹脂の展開幅を規制するインナーディッケルを備え、このインナーディッケルの少なくともマニホールド内に臨む部分の厚み方向の一部に厚み方向の他の部分に比べてマニホールドの内側に向かって突出する突出部を備えていることを特徴としている。
【0012】
本発明の請求項2に記載のTダイ(以下、「請求項2のTダイ」と記す)は、また、請求項1のTダイにおいて、インナーディッケルは、突出部が、他の部分に対し独立してマニホールドの内側方向に進退自在に設けられていることを特徴としている。
【0013】
本発明にかかる熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法は、異なる流動性を有する複数種の熱可塑性樹脂を、積層状態でTダイのマニホールド内に流入させ、マニホールド内で、積層状態を保ちながら流入方向に直交する方向に展開したのち、リップ開口部から押し出しする熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法において、ダイ内での樹脂の展開幅を規制するインナーディッケルを設け、マニホールド内でのインナーディッケルの流動性が低い樹脂の積層側部分に対応する部分に比べ、流動性が高い樹脂の積層側部分に対応する部分を、その少なくとも一部でマニホールドの内側に向かって突出させることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本発明にかかるTダイの1つの実施の形態をあらわしている。
【0015】
図1に示すように、このTダイ1Aは、2つの分割型2a,2bを組み合わせることによって形成された本体2と、2つのインナーディッケル3aとを備えている。
本体2は、樹脂流入口4と、樹脂流路5と、リップ開口部6と、インナーディッケル装着孔7とを備えている。
【0016】
樹脂流入口4は、スリット状をしていて、リップ開口部6の中央部に対向して、リップ開口部6とは平行な状態で設けられている。
樹脂流路5は、本体2内に設けられ、樹脂流入路51と、マニホールド52と、リップランド部53とを備え、マニホールド52とリップランド部53との間に必要に応じてプレランド部や流量調整溝部(流量調整バー)が設けられている。なお、図1では、樹脂流路5はマニホールド52からリップランド部53にかけての厚みが同じに描かれているが、実際は、マニホールド52側が厚く、リップランド部53に向かうほど厚みが薄くなっている。
【0017】
マニホールド52は、樹脂流入路51に連続して設けられていて、樹脂流入路51からの熱可塑性樹脂の流入方向とは直交する幅方向に沿って広がっている。インナーディッケル装着孔7は、本体2の幅方向の両側面からマニホールド52からリップランド部53に跨がる部分に開口するように本体2に穿設されている。
【0018】
各インナーディッケル3aは、本体2の厚み方向それぞれその先端部がインナーディッケル装着孔7から樹脂流路5内に臨むとともに、本体2の幅方向にスライド自在にインナーディッケル装着孔7に嵌装されている。
また、インナーディッケル3aのマニホールド52に臨む部分は、本体2の厚み方向の半分(図1でみて下側半分)が残りの半分(図1でみて上側半分)の非突出部32に比べて本体2の幅方向中央側に全体に均等な幅で突出した突出部31となっている。また、突出部31および非突出部32の先端面31a,先端面32aは、平行にかつ樹脂流路5の下流方向に向かって本体2の幅方向内側から幅方向外側に広がる傾斜面になっている。
【0019】
このTダイ1Aは、以上のようになっており、以下のような本発明の熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法に好適に使用することができる。
すなわち、この押出成形方法は、流動性が異なる2種類の熱可塑性樹脂を、フィードブロック(図示せず)内にて積層状態に合流させたのち、流動性が小さい(MFRが小さい)樹脂が本体2の図1でみて上側、流動性が大きい(MFRが大きい)樹脂が下側になった積層状態を保ちながら樹脂が樹脂流入口4から樹脂流路5内に注入し、マニホールド52部分で樹脂の流入方向に直交する方向に展開したのち、リップランド部53を経てリップ開口部6から積層状態でフィルム状に吐出するようになっている。
【0020】
そして、Tダイ1Aは、インナーディッケル3aのマニホールド52に臨む部分の突出部31が非突出部32に比べて本体2の幅方向中央側に突出しているので、マニホールド52内に入った2種類の熱可塑性樹脂のうち、流動性が大きい樹脂がほぼインナーディッケル3aの突出部31の先端面31aに沿うように展開され、流動性が小さい樹脂が非突出部32の先端面32aに沿って展開される。すなわち、非突出部32より内側に突出した突出部31によって、流動性が大きい樹脂の展開幅が、流動性が小さい樹脂部分より小さく抑えられるようになっている。
【0021】
そして、樹脂は、マニホールド52部分を通過した後リップ開口部6に至るまでの樹脂流路5中でさらに展開されるが、インナーディッケル3の突出部31によって展開を抑えられていた流動性が大きい樹脂は、その流動性の差から徐々に幅を広げ、リップ開口部6においては、流動性が大きい樹脂および流動性が小さい樹脂のいずれもがほぼリップ開口部6と同じ幅に展開される。
したがって、この押出成形方法によれば、図2に示すように、流動性の大きい樹脂P1と流動性の小さい樹脂P2とが幅方向のほぼ全体にわたって均一に積層された状態のフィルム状成形体を連続して得ることができる。
【0022】
しかも、マニホールド52部分では、インナーディッケル3aによって樹脂流路5の幅がリップ開口部6より狭くなっているので、リップ開口部6の幅方向両端部での樹脂の流量は中央部の流量より少なくなっており、このことが耳高を改良し、ネックイン現象後のフィルム厚みにおいて、フィルム両端部の厚みを著しく改良することができる。
【0023】
なお、突出部31の非突出部32に対する突出幅Wは、最下流側の突出幅Wが、5mm以上500mm以下がよく、さらに好ましくは、10mm以上100mm以下である。すなわち、突出幅Wが、500mm以上では積層比分布を均一にすることが困難で、5mmより小さいと樹脂の流動性の差により積層比分布が両端部のみ偏り効果が期待できない。
【0024】
図3(a)〜(c)は、本発明にかかるTダイの他の実施の形態をあらわしている。
すなわち、図3(a)に示すTダイ1Bは、インナーディッケル3bがマニホールド用分割部33と、マニホールド52より下流側の2つ分割部34,35の3つに分割されていて、個々の分割部33〜35が樹脂流路5側への突出割合を変更できるようにした以外は、上記Tダイ1Aと同様になっている。
【0025】
図3(b)に示すTダイ1Cは、インナーディッケル3cの突出部31の突出幅を樹脂流路5の下流側に向かって徐々に大きくするようにした以外は、上記Tダイ1Aと同様になっている。
図3(c)に示すTダイ1Dは、インナーディッケル3dのマニホールド52より下流側に臨む部分も下側が突出するようにした以外は、上記Tダイ1Cと同様になっている。
【0026】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、突出部31を非突出部32に対して樹脂流路5の内側方向にスライド自在にして突出幅を自在に変更できるようにしても構わない。このようにすれば、樹脂の組み合わせが変わってもインナーディッケルを交換することなく、突出幅をその樹脂の組み合わせに応じた幅にすることができ、作業性がよい。
また、マニホールドの断面形状が端に行くにつれて順次変化しても、本発明の要件を満足していれば同様の効果が得られる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明について、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0028】
(実施例1) 2層
図3(a)のTダイ1Bを用い、リップ開口部6における樹脂流動域の幅方向寸法を500mm、リップ開口部6の厚み200μm、突出幅を30mm、Tダイ1Bの金型設定温度を200℃として、MFRが3.7g/10分のLDPE(低密度ポリエチレン、三井化学株式会社製、商品名「ミラソン16」)と、MFRが20g/10分のEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体、東ソー株式会社製、商品名「ウルトラセン633」)とを、それぞれ30kg/hr、30kg/hrにて、共押し出ししてフィルム状製品を製造した。得られたフィルム状製品は、幅方向寸法が480mmで、幅方向の各側縁部は、EVAが単層になっていることなくLDPEとEVAとが幅方向の全体にわたって略均一な厚みで積層された状態になっていた。
【0029】
(実施例2) 2層
図1に示すTダイ1Aを用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルム状製品を製造した。得られたフィルム状製品は、幅方向寸法が480mmで、幅方向の各側縁部は、EVAが単層になっていることなくLDPEとEVAとが幅方向の全体にわたって略均一な厚みで積層された状態になっていた。
【0030】
(実施例3) 2層
図3(b)に示すTダイ1Cを用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルム状製品を製造した。得られたフィルム状製品は、幅方向寸法が480mmで、幅方向の各側縁部は、EVAが単層になっていることなくLDPEとEVAとが幅方向の全体にわたって略均一な厚みで積層された状態になっていた。
【0031】
(実施例4) 3層
図3(a)のTダイ1Bを用い、LDPEとEVAの中間層にMFRが10g/10分のLLDPE(直鎖型低密度ポリエチレン、出光石油化学株式会社製、商品名「1014D」)を、3つそれぞれを各20kg/hrにて、共押し出しして、LDPE、LLDPEおよびEVAを一定の幅方向寸法となるように積層したフィルム状製品を製造した。得られたフィルム状製品は、幅方向寸法が480mmで、幅方向の各側縁部は、EVAが単層になっていることなく、LDPEとLLDPEとEVAとが幅方向の全体にわたって積層された状態になっていた。
【0032】
(比較例1) 2層
突出部のないインナーディッケルを用いた以外は、実施例1と同様になった従来のTダイを用い、実施例1と同様にしてフィルム状製品を製造した。得られたフィルム状製品は、幅方向の各側縁部にLDPEが積層されていないEVAの単層部分が幅方向におのおの20mmにわたって形成されていた。
【0033】
(比較例2) 3層
突出部のないインナーディッケルを用いた以外は、実施例1と同様になった従来のTダイを用い、実施例4と同様にしてフィルム状製品を製造した。得られたフィルム状製品は、LDPEとLLDPEとが積層されていないEVAの単層部分が幅方向におのおの20mmにわたって形成されていた。
【0034】
上記実施例1〜4および比較例1,2で得られたフィルム状製品の耳高最厚部の厚み、リップ開口部6から押し出された直後のフィルム状製品の両端部に形成された単層部分(流動性が大きい樹脂のみの層)の幅を測定し、その結果を以下の表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】
上記表1から本発明の熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法を用いれば、流動性の異なる複数種の熱可塑性樹脂を、吐出方向に直交する幅方向のほぼ全体にわたって均一に積層された状態にすることができるとともに、耳高も抑えることができ製品歩留りがよくなることがよくわかる。
また、実施例1および実施例4のように、インナーディッケルをさらに樹脂流路の下流方向に向かって分割し、個々に樹脂流路内への突出割合を変更できるようにすれば、より耳高を防止できる効果を高められることがよくわかる。
【0037】
【発明の効果】
本発明にかかるTダイは、以上のように構成されているので、本発明の熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法を実施するのに好適に使用することができる。
また、請求項2のTダイのようにすれば、樹脂の組み合わせが変わってもインナーディッケルを交換することなく、突出幅をその樹脂の組み合わせに応じた幅にすることができ、作業性がよい。
【0038】
本発明にかかる熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法は、以上のように構成されているので、流動性の異なる複数種の熱可塑性樹脂が、吐出方向に直交する幅方向のほぼ全体にわたって均一に積層された状態になるとともに両端部の流量制御により耳高を抑制された状態になり、求める積層比になったフィルム状製品を幅効率よく製造することができる。また、フィルム製膜において冷却ロールへの密着性を阻害したり、樹脂の種類によってはロールに巻き付くトラブルを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるTダイの1つの実施の形態を模式的にあらわす一部切欠断面斜視図である。
【図2】本発明にかかる熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法によって得られる積層フィルム状製品の横断面図である。
【図3】本発明にかかるTダイの他の実施の形態を模式的にあらわす断面図である。
【図4】従来のTダイを用いて、流動性の大きい樹脂と流動性の小さい樹脂とを共押出した場合の、金型内で流動性の大きい樹脂および流動性の小さい樹脂のそれぞれの動きを説明する説明図である。
【図5】従来の押出成形方法で得られる積層フィルム状製品の横断面図である。
【符号の説明】
1A,1B,1C,1D Tダイ
2 本体
3a,3b,3c,3d インナーディッケル
31 突出部
32 非突出部(他の部分)
4 樹脂流入口
5 樹脂流路
52 マニホールド
6 リップ開口部
P1 流動性が大きい樹脂
P2 流動性が小さい樹脂
Claims (3)
- マニホールド内に流入した熱可塑性樹脂が、マニホールド内で、流入方向に直交する方向に展開され、リップ開口部から押し出されるTダイにおいて、
ダイ内での樹脂の展開幅を規制するインナーディッケルを備え、このインナーディッケルの少なくともマニホールド内に臨む部分の厚み方向の一部に厚み方向の他の部分に比べてマニホールドの内側に向かって突出する突出部を備えていることを特徴とするTダイ。 - インナーディッケルは、突出部が、他の部分に対し独立してマニホールドの内側方向に進退自在に設けられている請求項1に記載のTダイ。
- 異なる流動性を有する複数種の熱可塑性樹脂を、積層状態でTダイのマニホールド内に流入させ、マニホールド内で、積層状態を保ちながら流入方向に直交する方向に展開したのち、リップ開口部から押し出しする熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法において、
ダイ内での樹脂の展開幅を規制するインナーディッケルを設け、マニホールド内でのインナーディッケルの流動性が低い樹脂の積層側部分に対応する部分に比べ、流動性が高い樹脂の積層側部分に対応する部分を、その少なくとも一部でマニホールドの内側に向かって突出させることを特徴とする熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法。
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JP2002311520A JP2004142339A (ja) | 2002-10-25 | 2002-10-25 | Tダイおよび熱可塑性樹脂積層製品の押出成形方法 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2007001012A1 (ja) * | 2005-06-29 | 2007-01-04 | Sekisui Chemical Co., Ltd. | フラットダイ、並びに、積層樹脂フィルム又はシートの製造方法 |
JP2007038655A (ja) * | 2005-06-29 | 2007-02-15 | Sekisui Chem Co Ltd | フラットダイ、並びに、積層樹脂フィルム又はシートの製造方法 |
JP2007045020A (ja) * | 2005-08-10 | 2007-02-22 | Sekisui Chem Co Ltd | フラットダイ、並びに、積層樹脂フィルム又はシートの製造方法 |
CN103507283A (zh) * | 2012-06-19 | 2014-01-15 | 东洋橡胶工业株式会社 | 环状橡胶构件的成形方法及环状橡胶构件的成形设备 |
KR101489518B1 (ko) | 2008-07-31 | 2015-02-03 | 더 재팬 스틸 워크스 엘티디 | 압출성형용 다이 및 다이 유로 결정방법 |
-
2002
- 2002-10-25 JP JP2002311520A patent/JP2004142339A/ja active Pending
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