JP4066604B2 - 樹脂膜の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂膜の形成方法に係り、特に、押出ダイから樹脂を押し出して樹脂膜を形成する際のネックイン現象等の抑制に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、押出ダイから樹脂を押し出して樹脂膜を形成し、この樹脂膜によりフィルム状物や、該樹脂膜を支持体にラミネート若しくはコーティングしたフィルム積層体を製造する際に、押出ダイから押し出された樹脂膜の幅が押出し幅よりも狭くなる、所謂ネックインと呼ばれる現象が生じる。また、それに伴って樹脂膜の幅方向両端部の膜厚が中央部の膜厚に比べて厚くなるという問題がある。更には、製造のライン速度の高速化により樹脂膜を高速形成する場合には、樹脂膜の幅方向両端部が不安定になることに起因して膜揺れ現象が発生し、膜幅が一定にならずに歩留りが低下するという問題もある。この場合、主として、リサイクルアップの目的から幅方向に樹脂をエッジ積層する技術があるが、異なる物性の樹脂をエッジ積層する際に、樹脂膜の中央部の樹脂と両端部の樹脂との間で膜が離れてしまう膜離れの問題がある。
【0003】
即ち、押出ダイによる樹脂膜の形成においては、主として、▲1▼ネックイン及びそれに伴い樹脂膜両端部の膜厚が大きくなる問題、▲2▼膜揺れの問題、▲3▼樹脂膜の両端部と中央部の樹脂の物性が異なることによる膜剥がれの問題があり、これらの改善対策が要望されていた。これらの問題は、樹脂を押出ダイから押し出す場合に限らず塗布液を押出ダイから吐出する場合も同様に生じる問題がある。
【0004】
従来、上記問題の対策としては、複数材料を混合することにより材料物性の改善を図る方法(特公昭64−3655号公報、特公平5−82806公報)、押出ダイ内における樹脂の流れを変更する方法(特公平6−61819公報、特公昭64−64822号公報)、押出ダイから押し出された樹脂膜の両端部を冷却する方法(特公平5−33134公報)が採用されてきた。
【0005】
【発明の解決する課題】
しかしながら、材料物性の改善を図る方法は、材料ごとに適当な添加剤を加える必要があるため汎用性がないという欠点がある。フォーミングプレートを用いて押出ダイ内における樹脂の流れを変更する方法は、ネックインの抑制には効果があるが、膜揺れには効果がないという欠点がある。また、押出ダイから押し出された樹脂膜の両端部を冷却する方法は、ライン速度が増加した場合に安定した効果が得られないという欠点がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、樹脂条件、操作条件等の製造条件が変化した場合でも、ネックイン及びそれに伴う樹脂膜の両端部の膜厚が厚くなるのを抑制でき、また、樹脂膜の幅が変動する膜揺れを抑制し、更には、樹脂膜の両端部と中央部の樹脂の物性が異なっても膜離れしない樹脂膜の形成方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の発明は前記目的を達成するために、押出ダイから溶融状態の樹脂を押し出して樹脂膜を形成する樹脂膜の形成方法において、前記樹脂膜の幅方向の両端部を形成する樹脂は、該樹脂膜の幅方向の中央部を形成する樹脂よりも伸長粘度の大きい樹脂を使用すると共に、前記樹脂膜の両端部を形成する樹脂が前記中央部を形成する樹脂に包み込まれるように合流させて前記押出ダイから押し出されることを特徴とする。
【0008】
これにより、ネックイン及びそれに伴う樹脂膜の両端部の膜厚が厚くなるのを抑制することができる。また、ネックインの抑制効果に伴って樹脂膜の幅が変動する膜揺れをも抑制することができる。また、ネックイン及び膜揺れをより一層抑制することができるだけでなく、樹脂膜の両端部と中央部の樹脂の物性がある程度異なっても膜離れが生じないようにできる。
【0009】
また、本発明の請求項2は前記目的を達成するために、押出ダイから溶融状態の樹脂を押し出して樹脂膜を形成する樹脂膜の形成方法において、前記樹脂膜の幅方向の両端部を形成する樹脂は、該樹脂膜の幅方向の中央部を形成する樹脂よりもMFRの小さい樹脂を使用すると共に、前記樹脂膜の両端部を形成する樹脂が前記中央部を形成する樹脂に包み込まれるように合流させて前記押出ダイから押し出されることを特徴とする。
【0010】
これにより、ネックイン及びそれに伴う樹脂膜の両端部の膜厚が厚くなるのを抑制することができる。また、ネックインの抑制効果に伴って樹脂膜の幅が変動する膜揺れをも抑制することができる。また、ネックイン及び膜揺れをより一層抑制することができるだけでなく、樹脂膜の両端部と中央部の樹脂の物性がある程度異なっても膜離れが生じないようにできる。
【0011】
また、本発明の請求項3は前記目的を達成するために、押出ダイから溶融状態の樹脂を押し出して樹脂膜を形成する樹脂膜の形成方法において、前記樹脂膜の幅方向の両端部を形成する樹脂は、前記樹脂膜の幅方向の中央部を形成する樹脂よりも伸長粘度が大きく、且つMFRの小さい樹脂を使用すると共に、前記樹脂膜の両端部を形成する樹脂が前記中央部を形成する樹脂に包み込まれるように合流させて前記押出ダイから押し出されることを特徴とする。
【0012】
これにより、ネックイン及び膜揺れをより一層抑制することができる。さらに、樹脂膜の両端部と中央部の樹脂の物性がある程度異なっても膜離れが生じないようにできる。
【0013】
尚、MFRとは、熱可塑性樹脂が230°Cで2310gの力(44pis )を受けたときに、直径2.1mm、長さ8mmのオリフィスから10分間押し出される量のg(グラム)数をいい(測定方法はJIS K 7210,ASTMD1238参照)、一般に、MFRの大きい樹脂ほど溶融時の流動性や加工性が良好であるが、引っ張り強さ等は低下する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る樹脂膜の形成方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0017】
図1は、本発明における樹脂膜の形成方法を適用する製造装置の一例を示した全体構成図であり、樹脂膜を支持体にラミネートしたフィルム状積層体の製造装置の例で説明する。
【0018】
図1に示すように、溶融状態の樹脂を押し出して樹脂膜11を形成する押出ダイ12の下方には、冷却ローラ14とニップローラ16とが平行に隣接配置されると共に、冷却ローラ14を挟んでニップローラ16の反対側には、剥離ローラ18が冷却ローラに平行して隣接配置される。押出ダイ12から押し出された樹脂膜11は、上流側から搬送される帯状の支持体22と張り合わされた後、冷却ローラ14とニップローラ16との間、冷却ローラ14と剥離ローラ18との間を通って冷却ローラ14の周面に接触しながら走行し、剥離ローラ18の位置で冷却ローラから離れる。これにより、フィルム状積層体27が製造される。支持体22としては、必要とするフィルム状積層体27に応じて、紙、樹脂、又は金属を使用することができる。また、樹脂膜を形成する樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をはじめとする公知の熱可塑性樹脂を使用することができる。
【0019】
図2は、押出ダイ12の概略図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【0020】
図2に示すように、押出ダイ12は、主として、押出ダイ12内に供給された樹脂を押出ダイ12の幅方向(樹脂膜の幅方向)に拡流するマニホールド28と、マニホールド28から樹脂を樹脂膜11として外部に押し出すスリット30と、樹脂膜幅方向の中央部を形成する第1の樹脂11Aが流れる本流路32と、樹脂膜幅方向の両端部を形成する第2の樹脂11Bが流れる枝流路34、34とで構成される。第1の樹脂11Aは、第2の樹脂11Bと合流して2つの樹脂が合体した状態でスリット吐出口30Aから押し出される。尚、第1の樹脂11Aと第2の樹脂11Bは、ここで示したように押出ダイ12内で合流してもよく、押出ダイ12に供給される前に合流してもよい。これにより、押出ダイ12から樹脂が樹脂膜11となって押し出されると共に、押し出された樹脂膜11は中央部が第1の樹脂11Aで形成され、両端部が第2の樹脂11Bで形成される。この場合、第2の樹脂11Bは、第1の樹脂よりも伸長粘度が大きい樹脂を使用することが好ましい。また、第2の樹脂は、第1の樹脂11AよりもMFRの小さい樹脂を使用することが好ましい。尚、第1の樹脂11Aは、単一の樹脂で1層を形成しても複数の樹脂で複層を形成してもよく、無機顔料や添加剤等を含んでいてもよい。また、第2の樹脂11Bは、少なくとも1種類以上の樹脂であって、添加剤等を含んでいてもよいが、トリミングロス(製品の両端である耳部を後工程で裁断することによるロス)を考慮すると単一の樹脂であることが好ましい。
【0021】
図3は、押出ダイ12から押し出された樹脂膜11の幅方向の断面を模式的に示した図であり、樹脂膜幅方向の中央部を形成する第1の樹脂11Aと、樹脂膜幅方向の両端部を形成する第2の樹脂11Bとの関係を示したものである。
【0022】
図3(a)は、第1の樹脂11Aの幅方向両側に、第2の樹脂11Bを隣接するように合流させた場合である。また、図3(b)は、第1の樹脂11Aで第2の樹脂11Bが包み込まれるように合流させた場合である。図3(a)と図3(b)を比較した場合、図3(b)のように、第1の樹脂11Aで第2の樹脂11Bが包み込まれるようにすることで、第1の樹脂11Aと第2の樹脂11Bの物性がある程度異なっても互いに膜離れしないようにできる。
【0023】
図3(b)では、第1の樹脂11Aで第2の樹脂11Bが包み込まれることにより、第2の樹脂11Bが第1の樹脂11Aの幅方向両端部に2つの島を形成するようにした例であるが、1つの島を形成するようにしてもよいし、2つ以上の島を形成してもよい。2つ以上の島を形成するには、第2の樹脂11Bが供給される枝流路34の本数を島の数に対応させるようにすればよい。
【0024】
次に、上記の如く構成されたフィルム状積層体の製造装置10を用いて本発明の製造方法を説明する。
【0025】
押出ダイ12に供給された第1の樹脂11A及び第2の樹脂11Bは、各樹脂の融点温度以上の状態で合流して2つの樹脂が合体し、中央部が第1の樹脂11Aで形成されると共に両端部が第2の樹脂11Bで形成された樹脂膜11としてスリット吐出口30Aから押し出される。押出ダイ12から押し出された樹脂膜11は、上流から搬送される支持体22との十分な接着が得られるように、空気やオゾン等の酸化ガスで酸化された後、冷却ローラ14とニップローラ16との間で挟み込まれることにより、支持体22にラミネートされる。そして、冷却ローラ14で十分に冷却された後、剥離ローラ18によって冷却ローラ14から剥離される。これにより、樹脂膜11を支持体22にラミネートしたフィルム状積層体27が製造される。
【0026】
そして、本発明では、このフィルム状積層体27を製造する際の押出ダイ12による樹脂膜11の形成において、樹脂膜11の幅方向両端部を形成する第2の樹脂11Bは、樹脂膜の幅方向中央部を形成する第1の樹脂11Aよりも伸長粘度の大きい樹脂を使用するようにしたので、ネックインを効果的に抑制することができる。また、ネックインの抑制効果が大きいほど樹脂膜11の幅が変動する膜揺れを効果的に防止することができる。この場合、伸長粘度の上限は、第1の樹脂11Aの伸長粘度に対する第2の樹脂11Bの伸長粘度の比(以下「伸長粘度比」という)で表した場合、10倍以下であることが好ましい。これは、伸長粘度比が10倍を越えると、第1の樹脂11Aと第2の樹脂11Bの物性差が大きくなりすぎて、膜離れの要因になり易いためである。
【0027】
ネックインの要因は色々考えられるが、フィルム状積層体の製造の場合、ネックインは、押出ダイ12から押し出される速度から冷却ローラ14に引き取られる速度に変化する際に樹脂膜11の幅方向に速度分布があることによって樹脂膜11に収縮が生じるためと考えられる。一方、樹脂の粘度によって収縮する度合いが異なる。粘度には剪断粘度と伸長粘度があり、通常、単に粘度と言った場合には剪断粘度を指すが、収縮の度合いとの関係は伸長粘度がより密接な関係があるという知見を得た。従って、樹脂膜11の幅方向中央部を形成する第1の樹脂11Aよりも伸長粘度が大きく、ネックインを起こしにくい第2の樹脂を11Bを樹脂膜11の両端部に配置することで、ネックインを飛躍的に抑制することができることが分かった。この場合、剪断粘度を大きくしたからといって伸長粘度が大きくなるとは限らないので、伸長粘度を管理することによってネックインを抑制することが重要である。
【0028】
また、第2の樹脂11Bとして、第1の樹脂11AよりもMFRの小さい樹脂を使用することによっても、ネックインを効果的に抑制することができる。また、ネックインの抑制効果が大きいほど樹脂膜11の幅が変動する膜揺れを効果的に防止することができる。この場合、MFRの下限は、第1の樹脂11AのMFRに対する第2の樹脂11BのMFRの比(以下「MFR比」という)で表した場合、1/10以上であることが好ましい。これは、MFR比が1/10未満の場合には、第1の樹脂11Aと第2の樹脂11Bの物性差が大きくなりすぎて、膜離れの要因になり易いためである。
【0029】
更には、第2の樹脂11Bが第1の樹脂11Aで包み込まれるように合流することで、第1の樹脂11Aと第2の樹脂11Bの物性がある程度異なっても互いに膜離れしないようにできる。この場合、図3(b)のように第2の樹脂11Bを複数に分割すれば、第2の樹脂11Bと第1の樹脂11Aとの接触面積をより大きくできるので、樹脂膜11の高速形成の場合や、第2の樹脂11Bと第1の樹脂11Aの物性差がある程度大きい場合でも膜離れを効果的に防止することができる。しかし、第2の樹脂11Bの分割数が多くなりすぎると、流量の均一性が悪くなったり、枝流路34の加工が難しくなるので、第1の樹脂11Aと第2の樹脂11Bの物性との兼ね合いで適宜設定するとよい。
【0030】
また、本実施の形態のように、樹脂膜11を支持体22にラミネートするフィルム状積層体の製造の場合、樹脂膜両端部の膜厚が厚い場合には、冷却ローラ14で十分に冷却されず、冷却ローラ14から剥がれないトラブルが生じやすいが、本発明では樹脂膜11の両端部のみの温度ダウンも可能であり、また膜厚を薄くできるので、このようなトラブルをなくすことが可能である。
【0031】
尚、本実施の形態では、樹脂膜11を支持体22にラミネートしたフィルム状積層体を製造する例で説明したが、本発明は、フィルム状物を製造する製膜工程、塗布液を膜状に吐出して支持体に塗布する塗布工程でも適用できる。
【0032】
【実施例】
次に、本発明の樹脂膜の形成方法の具体的な実施例を説明する。試験に供した樹脂は以下の通りである。尚、ライン速度は、200m/分と420m/分の2種類で行った。
(比較例1)
MFRが10g/10分で無次元の伸長粘度が1.0、密度0.917g/cm3 の低密度ポリエチレン溶融物に酸化チタンを10wt%混ぜたものを押出ダイから単一押し出した。即ち、第1の樹脂のみを使用して第2の樹脂を使用せずに行った。尚、伸長粘度はレオメータで測定するが、伸長速度10(1/秒)のときに、1000pa・sを代表粘度とし、本実施例では無次元で表す。
(比較例2)
樹脂膜幅方向の両端部を形成する第2の樹脂として、MFRが20g/10分(MFR比2)且つ伸長粘度が樹脂膜の幅方向中央部を形成する第1の樹脂の伸長粘度の1/3倍(伸長粘度比1/3)である樹脂を使用した。そして、中央部が第1の樹脂で形成されると共に両端部が第2の樹脂で形成された樹脂膜として押出ダイのスリット吐出口から押し出した。即ち、比較例2の第2の樹脂は、第1の樹脂よりもMFRが大きいと共に伸長粘度が小さく、本発明を満足しない場合である。尚、第1の樹脂と第2の樹脂が合流したときの樹脂膜の断面形状が、図3(b)のように、第2の樹脂を第1の樹脂で包み込むようにした。
(実施例1)
樹脂膜幅方向の両端部を形成する第2の樹脂として、MFRが8g/10分(MFR比4/5)且つ伸長粘度が樹脂膜幅方向の中央部を形成する第1の樹脂の伸長粘度の1.2倍(伸長粘度比1.2)である樹脂を使用した。そして、中央部が第1の樹脂で形成されると共に両端部が第2の樹脂で形成された樹脂膜として押出ダイのスリット吐出口から押し出した。即ち、実施例1の第2の樹脂は、第1の樹脂よりもMFRが小さいと共に伸長粘度が大きく、本発明を満足する場合である。尚、樹脂膜の断面形状は比較例2と同様である。
(実施例2)
樹脂膜幅方向の両端部を形成する第2の樹脂として、MFRが12g/10分(MFR比1.2)且つ伸長粘度が樹脂膜の幅方向中央部を形成する第1の樹脂の伸長粘度の1.2倍(伸長粘度比1.2)である樹脂を使用した。そして、中央部が第1の樹脂で形成されると共に両端部が第2の樹脂で形成された樹脂膜として押出ダイのスリット吐出口から押し出した。即ち、実施例2の第2の樹脂は、MFRが本発明を満足しないが、伸長粘度が本発明を満足する場合である。尚、樹脂膜の断面形状は比較例2と同様である。
(実施例3)
樹脂膜幅方向の両端部を形成する第2の樹脂として、MFRが8g/10分(MFR比4/5)且つ伸長粘度が樹脂膜幅方向の中央部を形成する第1の樹脂の伸長粘度の0.9倍(伸長粘度比0.9)である樹脂を使用した。そして、中央部が第1の樹脂で形成されると共に両端部が第2の樹脂で形成された樹脂膜として押出ダイのスリット吐出口から押し出した。即ち、実施例3の第2の樹脂は、MFRが本発明を満足するが、伸長粘度が本発明を満足しない場合である。尚、樹脂膜の断面形状は比較例2と同様である。
(実施例4)
樹脂膜幅方向の両端部を形成する第2の樹脂として、MFRが1.0g/10分(MFR比1/10)且つ伸長粘度が樹脂膜幅方向の中央部を形成する第1の樹脂の伸長粘度の10倍(伸長粘度比10)である樹脂を使用した。そして、中央部が第1の樹脂で形成されると共に両端部が第2の樹脂で形成された樹脂膜として押出ダイのスリット吐出口から押し出した。即ち、実施例4の第2の樹脂は、第1の樹脂よりもMFRが顕著に小さいと共に伸長粘度が顕著に大きく、本発明を満足する場合である。尚、樹脂膜の断面形状は比較例2と同様である。
(比較例3)
第1の樹脂と第2の樹脂が合流したときの樹脂膜の断面形状が、図3(a)のように、第1の樹脂と第2の樹脂とが隣接するようにした場合であり、その他は実施例4と同様である。
【0033】
そして、上記の実施例1〜4と、比較例1〜3について樹脂膜の片側のネックイン量(図2のL)及び樹脂膜の中央部と両端部の膜離れの有無を比較した。
【0034】
【表1】
【0035】
(備考)表1における樹脂のMFRの( )内はMFR比を示す。
【0036】
表1における比較例1、2と実施例1〜4との対比から分かるように、MFRと伸長粘度の何れかが本発明を満足することにより、即ち、MFR比を1より小さく、若しくは伸長粘度比を1より大きくすることにより、ネックイン量を低減することができた。
【0037】
また、実施例2のように第2の樹脂はMFRが本発明を満足しないが伸長粘度が本発明を満足する場合、或いは実施例3のようにMFRが本発明を満足するが伸長粘度が本発明を満足しない場合、即ち、MFRと伸長粘度の何れかを満足する場合でもネックイン量を小さくできるが、両方を満足する実施例1や実施例4よりもネックイン量の低減効果は小さかった。
【0038】
また、ライン速度が420(m/分)と大きい場合であっても、実施例4のように樹脂膜の幅方向中央部を形成する第1の樹脂と、樹脂膜の幅方向両端部を形成する第2の樹脂とが合流する際に、第2の樹脂が第1の樹脂で包み込まれるようにすることで、第1の樹脂と第2の樹脂とが膜離れするのを防止でき、しかもネックインの抑制効果を維持できた。これに対し、比較例3のように、第1の樹脂と第2の樹脂を隣接させるように合流させた場合には、膜離れが生じ、ネックイン量の測定が不可能であった。
【0039】
膜揺れの評価については、表1に記載しなかったが、ネックイン量が小さいほど膜揺れも小さかった。このことから、ネックインを抑制することで膜揺れも抑制することができた。
【0040】
また、図3(a)のように第1の樹脂と第2の樹脂を隣接させて合流させる場合、押出ダイの幅方向両端部(樹脂膜の幅方向両端部に対応)の設定温度を、表1の試験における設定温度よりも40°C下げて、その他の条件は実施例1と同じにして行った結果、同様のネックイン効果が得られ、膜離れも生じなかった。即ち、押出ダイから押しだされる時点で既に両端部の樹脂膜温度を下げて、粘度を高くすることで、図3(a)のように第1の樹脂と第2の樹脂を隣接させて合流させる場合でも膜離れを防止できた。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の樹脂膜の形成方法によれば、樹脂条件、操作条件等の製造条件が変化した場合でも、ネックイン及びそれに伴う樹脂膜の両端部の膜厚が厚くなるのを抑制でき、また、樹脂膜の幅が変動する膜揺れを抑制し、更には、樹脂膜の両端部と中央部の樹脂の物性が異なっても膜離れしないようにできる。
【0042】
これにより、ネックインに伴い樹脂膜両端部の膜厚が大きくなる問題、膜揺れによる問題を解消でき、更には材料ロスを低減できる。
【0043】
また、本発明により、ラインの高速化が可能になるので、生産効率を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂膜の形成方法を適用するフィルム状積層体の製造装置の構成図
【図2】押出ダイを説明する図で(a)は正面図で(b)は側面図
【図3】押出ダイから押し出された樹脂膜の幅方向の断面を模式的に示した図
【符号の説明】
10…フィルム状積層体の製造装置、11…樹脂膜、11A…第1の樹脂、11B…第2の樹脂、12…押出ダイ、14…冷却ローラ、16…ニップローラ、18…剥離ローラ、22…支持体、27…フィルム状積層体、28…マニホールド、30…スリット、30A…スリット吐出口、32…本流路、34…枝流路、
Claims (3)
- 押出ダイから溶融状態の樹脂を押し出して樹脂膜を形成する樹脂膜の形成方法において、前記樹脂膜の幅方向の両端部を形成する樹脂は、該樹脂膜の幅方向の中央部を形成する樹脂よりも伸長粘度の大きい樹脂を使用すると共に、前記樹脂膜の両端部を形成する樹脂が前記中央部を形成する樹脂に包み込まれるように合流させて前記押出ダイから押し出されることを特徴とする樹脂膜の形成方法。
- 押出ダイから溶融状態の樹脂を押し出して樹脂膜を形成する樹脂膜の形成方法において、前記樹脂膜の幅方向の両端部を形成する樹脂は、該樹脂膜の幅方向の中央部を形成する樹脂よりもMFRの小さい樹脂を使用すると共に、前記樹脂膜の両端部を形成する樹脂が前記中央部を形成する樹脂に包み込まれるように合流させて前記押出ダイから押し出されることを特徴とする樹脂膜の形成方法。
- 押出ダイから溶融状態の樹脂を押し出して樹脂膜を形成する樹脂膜の形成方法において、前記樹脂膜の幅方向の両端部を形成する樹脂は、前記樹脂膜の幅方向の中央部を形成する樹脂よりも伸長粘度が大きく、且つMFRの小さい樹脂を使用すると共に、前記樹脂膜の両端部を形成する樹脂が前記中央部を形成する樹脂に包み込まれるように合流させて前記押出ダイから押し出されることを特徴とする樹脂膜の形成方法。
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